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No.36036の一覧
[0] ヘロヘロさんがINしたようです(オーバーロード二次創作)[えいぼん](2012/12/03 23:34)
[1] 第01話[えいぼん](2012/12/23 01:17)
[2] 第02話[えいぼん](2013/01/03 13:09)
[3] 第03話[えいぼん](2012/12/20 20:56)
[4] 閑話1[えいぼん](2012/12/07 23:40)
[5] 第04話[えいぼん](2012/12/23 01:15)
[6] 第05話[えいぼん](2012/12/09 07:35)
[7] 第06話[えいぼん](2012/12/10 23:36)
[8] 第07話[えいぼん](2012/12/23 01:41)
[9] 閑話2[えいぼん](2012/12/14 22:20)
[10] 第08話[えいぼん](2012/12/23 02:00)
[11] 第09話[えいぼん](2012/12/23 02:08)
[12] 第10話[えいぼん](2012/12/24 17:38)
[13] 閑話3[えいぼん](2012/12/24 19:00)
[14] 第11話[えいぼん](2012/12/26 21:35)
[15] 第12話[えいぼん](2012/12/28 21:34)
[16] 閑話4[えいぼん](2012/12/28 21:42)
[17] 第13話[えいぼん](2012/12/31 19:58)
[18] 第14話[えいぼん](2013/01/03 21:01)
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[36036] 閑話1
Name: えいぼん◆d3fec379 ID:b1fb4ca7 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/12/07 23:40
アンフィテアトルムからモモンガの姿が消えた後、残された守護者達の中で最初に口を開いたのは、第5階層――氷河の守護者・コキュートスだ。

「苦節数十年、遂ニ御方ノ御同輩ガ戻ッテ来テ下サレタッ!」
「我が君の発せられんした絶望――ご褒美の重圧の中でも平然と笑われなんしたぇ」
「ボ、ボク達にあんな立ち振る舞いは出来ないです……。さすがは至高の方々だよね、お姉ちゃん」
「それに模擬戦の時も凄かったよね。モモンガ様の持ってた杖、伝説のアレじゃなかった?」
「我が君の発せられんした攻撃――ご褒美の直撃の中でも平然と笑われなんしたぇ」
「守護者ノ我等デハ、即死セヌマデモ大ダメージヲ負ッテイタデアロウナ」
「や、やっぱり、モモンガ様に並び立てるのは、至高の方々だけ……なんだと思います」

それを皮切りに、守護者達は口々に先ほどの印象を言い合う。
どんどん興奮して騒がしくなっていく皆を、守護者統括という立場のアルベドが手を打って静めた。

「はい、そこまでよ。モモンガ様もこの異変への対処が先とおっしゃっていたでしょ」
「君達の気持ちもわかるがね、今はモモンガ様が警戒されるほどの非常事態だということを忘れないようにしたまえよ」

第7階層――溶岩の守護者・デミウルゴスも、防衛時における指揮官としての立場から全員を嗜める。
しかしこの両者にしても、根底には皆と同じ思いがあるため、すぐに話題はヘロヘロの帰還へと戻ってしまう。

ギルメンの中でヘロヘロが特にNPCから慕われている設定、というわけではない。
もちろん至高の41人に捧げる忠誠はMAXであり、そこに偽りはないのだが。


ただ守護者達は、どうしても考えてしまうのだ――

「ねぇ、マーレ。ぶくぶく茶釜様も帰ってきて下さるかなぁ」
「ヘロヘロ様だってお戻りになられたんだし、きっと大丈夫だよ、お姉ちゃん」

――自分達の創造主が、ナザリックに戻ってきてくれる可能性を。


「シャルティア、貴方の創造主ペロロンチーノ様とヘロヘロ様は特に親しかったように記憶しているのだがね。ペロロンチーノ様のこと、なにか言ってなかったかね?」

ナザリック地下大墳墓最高の知能を持つと設定されたデミウルゴスが、その明晰な頭脳で的確に絞り込んだ重要項目を鋭く突いた。
だが残念ながら聞かれた側のシャルティアは、基本性能がエロゲ設定である。

「それがヘロヘロ様のお姿を目にしんすと、頭がピンク色になりんして記憶がありんせんの」
「いい加減にその病気をなんとかした方がいいわよ、シャルティア」
「清純きどりで隙あらば至高の方々を誑かそうとしてたサキュバスに言われたくありんせん」
「四六時中ハァハァしてる万年発情期の腐肉に、少しは時や場所を選べと言っているのよ」
「それだけもの欲しげなのに誰からも相手にされんした新古品の年増に言われたくありんせん」

言葉を交わす度に険悪な雰囲気となっていくシャルティアとアルベド。
どんどん口汚くなっていく彼女達の応酬を、少し怯えたようなマーレの声が遮った。

「そ、そういえばさっき、ヘロヘロ様が気になることをおっしゃっていたかも……」
「ほぉ、それは興味深いね、マーレ。是非とも教えてくれないかね?」
「モモンガ様とこっそり話していたので全部は分かりませんけど、探し出して、という単語は間違いなく聞こえました」
「その場にはアウラも一緒にいたのだろう。どうだったのかね?」
「ドルイドのこの子とは違うんだから、無茶言わないでよ。でも前後の話からペロロンチーノ様に関することだと思う」

ふむ、と考え込むデミウルゴスに、皆の視線が集まる。
守護者達の期待は裏切られず、ナザリック最高の頭脳はすぐに答えを弾き出した。

「探し出すというのは、逆説的に見つけ出せるということ。少なくともヘロヘロ様の知りうる範囲内に、至高の方々はいらっしゃるのだと思うがね」
「ナゼ御方ハ、ソノ情報ヲ我等ニ隠サレルノダ?」
「モモンガ様のお言葉どおり、異変の対処が先だからよ。現にマーレの断片的な情報だけでも皆が気を散らしているわ。モモンガ様はそれを嫌ったのよ」

アルベドの出した結論に、コキュートスもなるほどと頷いた。
その言葉を聞いたマーレの顔が、どんどん青くなっていく。

「ボ、ボク、どうしよう。そんなの知らなくて……」
「マーレ、大した失態ではないのだから怯える必要はないとも。今後の働きで挽回すれば済む話だと思うがね」

幼いマーレを年長者らしい態度で優しく宥めたデミウルゴスが、その視線をセバスへと向ける。
その意味を察したセバスは、デミウルゴスが問い掛ける前に口を開いた。

「私やメイド達も現時点では皆様と同様、この事態の対処を最優先にするよう仰せつかっておりますので、そのあたりのことは知りませんよ」
「しかし君達は、我々守護者よりもヘロヘロ様と関係が深かったと思うがね。それに君の創造主たっち・みー様は最初の9人。ヘロヘロ様とのご友誼も古いだろう」
「現時点で皆様方にお渡し出来る情報はありませんよ。かの方がお戻りになられてから、まだ数えるほどしかお言葉を交わしていないのですから」
「では今後に期待だね。我々よりお傍に侍る機会が多いのだから、色々と聞けることもあるだろうしね」

別にとげとげしくもなんともない会話だが、ある意味アルベドとシャルティアのやり取りよりも緊迫感の溢れる空気を醸し出す2人。
両者とも感情より理性を先行させるタイプの性格であるため、一触即発の雰囲気ではないのだが、それだけにじわじわと恐怖感が立ち込めていく。

「委細承知しました、デミウルゴス」
「頼りにしているとも、セバス」
「では私は先に戻ります、デミウルゴス」
「御方々に宜しく、セバス」

セバスが踵を返したことで、先ほどまでの空気があっという間に霧散した。
2人とも自分と接する時にはとても優しいのに、なんで仲が悪いんだろうと考えながら、マーレはこっそり溜息をついた。
そんなマーレをよそに、去り行くセバスの背中に制止の声が掛けられる。

「セバス、至高の方々に失礼のないように仕えなさい。特にヘロヘロ様は疲労しておられたようですから……」
「メイド達は部屋の外に待機させ、身辺を騒がすことのないよう配慮します」
「いえ、中で注意深く見守るように指示なさい。殿方はお疲れになると、お体の一部が硬くそそり立つことがあります。その場合は、何をおいてもまず私に――」
「蜘蛛の巣が張ったおばさんの体じゃ、とても満足されんせんと思いんすから、ここはわらわが一肌脱ぐことにしんす」
「その腐れきった体を差し出すよりマシだと思うけど。ヘロヘロ様の劇酸で、余計ドロドロになってしまうわよ?」
「なんだぁ?」
「あん?」

額がくっつく程の距離で、互いに睨み合うアルベドとシャルティア。
付き合いきれないといった風に首を振ったセバスは、そのまま無言で去っていた。






モモンガ達の私室がある第9階層の廊下を歩きながら、セバスは物思いに耽っていた。

――至高の方々について、果たしてヘロヘロ様に直問してよいものでしょうか?

デミウルゴスに反感する気持ちで悩んでいるのでは、もちろんない。
本音を言えば、セバスだってたっち・みーの消息を知りたくてたまらない。
しかしセバスやプレアデスはヘロヘロから直接教育を受けた面々なのである。

――折角お戻り下さったヘロヘロ様が、我等に呆れて再び姿を隠されてしまうことだけは避けねばなりません。

しもべのために最後まで残ってくれた慈悲深い至高の御方、という評価のモモンガとは異なり、ヘロヘロにはまた去られてしまうかもという不安が常に付きまとう。
特にセバスやメイド達のような傍仕えの人間にとって、ヘロヘロは絶対に下手を打てない緊張を強いられる相手となる。

――うっかりデミウルゴスの甘言に乗せられては危うい。それよりも誠心誠意お仕えしていれば、いつかは……。

セバスにとってヘロヘロの帰還は、再び昔のように至高の41人に仕える喜びを味わうための、大切な第一歩であるのだ。
それを邪魔する者がいるのならば、例え守護者であろうとも躊躇なく打ち倒すだけの覚悟をセバスは心に秘めていた。

その歩みがヘロヘロの私室がある場所へ差し掛かった時、セバスは溜息を吐くと己の眉間を揉み解した。
セバスの顔を顰めさせた原因は、彼の登場にも気づかず丁々発止とやり合っている。

「マスターの部屋には私が控えている。ソリュシャンは仕事に戻ればいい」
「ヘロヘロ様が創造されたのは私だけです。シズにマスターと呼ぶ資格はありません」
「私はガンナーとしてマスターの弟子。ソリュシャンは仕事に戻ればいい」
「私だってアサシンとして師弟関係です。シズより関係の深い私がやるべきです」
「人選の指示はなかった。早い者勝ち。ソリュシャンは仕事に戻ればいい」
「きっとセバス様がユリ姉に伝え忘れただけです。だから交代して下さい」

先ほどモモンガから指令を受けている途中で、ヘロヘロが自分の部屋へと戻ってしまった。
その際にセバスは、9階層入口で上層を警戒する任務に付いていたプレアデスのリーダーであるユリ・アルファにメッセージを送っていた。
プレアデスの1人をヘロヘロの私室に控えさせるよう連絡したのだが、その時に誰と指定しなかっただけでこの有様かとセバスは眩暈を感じた。

「お黙りなさい、2人とも! 戦闘メイドとしてヘロヘロ様の教えを授かった身でありながらその態度。恥ずかしいとは思わないのですか」
「ソリュシャンが悪い」
「ですがセバス様、シズが自分勝手に――」
「……止めなさい、というのが、わかりませんか?」

セバスの瞳が硬質の光を帯び、鋼の輝きを灯す。
その様子にセバスの本気を察した2人は、口を閉ざして直立した。

「シーゼットニイイチニイハチ・デルタ。貴方の仕事はなんですか?」
「至高の方々に快適かつ安全に過ごして頂くこと」
「ソリュシャン・イプシロン。先ほどの行為は、そのために必要なことですか?」
「いいえ、違います」
「ならばナザリックの誇る戦闘メイド――プレアデスとして、相応しい行動をしなさい」
「了解」「はい、畏まりました」

場合によっては2人の処分も考えての対応だったが、自分にしては拙速に過ぎた行為だったと反省し、セバスは大きく息をついて心を落ち着けた。
プレアデスがギルドメンバーの作ったメイドである以上、もしセバスが勝手に処分すれば間違いなく越権行為といえる。
おそらくここに来るまでにしていた考え事のせいで、メイド達の失態に対して敏感になってしまったのだろう。

「それではセバス様。私達のうち、どちらがここで控えるべきか決めて頂けますか?」
「セバス様の決定に従う」
「ふむ、そうですね……」

――失態の罰として2人とも外し、代わりを呼ぶのが妥当でしょうか。

そう考えてから、それは少し厳しすぎるかと思い直すセバス。
だが2人のうちのどちらかを選ぶというのもまた難しい。
少し苦笑した後、セバスは2人のメイドへ告げた。

「では2人で仲良くヘロヘロ様の傍に控えて下さい」
「いいの?」
「ええ。2人の譲れない気持ちは、私にもよく分かります。もしたっち・みー様がご光臨されていたら、私も傍仕えを他に譲れるはずありませんし」
「ご配慮ありがとうございます、セバス様」






その頃、アンフィテアトルムでも同じような結論に達した2人がいた。

「確かにアルベドの言う通り、至高の御方が1人しか妃を持てないというのはあまりに奇妙な話でありんすね」
「妃を1人に固定しない利点はそれだけじゃないわ。ヘロヘロ様に続いて他の方々が戻られた時、こちらはアウラを入れても僅かに3人でしょ」
「……と言いなんしは、守護者で同盟を組みやってレベルの低いメイド達を排除出来んしたら――」
「……1on2や3on3なんかは通常プレイ、場合によってはそれ以上もありうるってことよ」
「…………最大で44Pだと? 天才か、てめぇ」
「…………サキュバスなめんな、コラ」

がっちりと握手を交わす2人。
『パンを食べて、ケーキも食べればいいじゃない』プロジェクト・チーム発足の瞬間であった。



ちなみに他の守護者達は、デミウルゴスの指示でとっくにナザリック防衛強化のため動いていたことを付け加えておく。


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