<このWebサイトはアフィリエイト広告を使用しています。> SS投稿掲示板

SS投稿掲示板


[広告]


No.36036の一覧
[0] ヘロヘロさんがINしたようです(オーバーロード二次創作)[えいぼん](2012/12/03 23:34)
[1] 第01話[えいぼん](2012/12/23 01:17)
[2] 第02話[えいぼん](2013/01/03 13:09)
[3] 第03話[えいぼん](2012/12/20 20:56)
[4] 閑話1[えいぼん](2012/12/07 23:40)
[5] 第04話[えいぼん](2012/12/23 01:15)
[6] 第05話[えいぼん](2012/12/09 07:35)
[7] 第06話[えいぼん](2012/12/10 23:36)
[8] 第07話[えいぼん](2012/12/23 01:41)
[9] 閑話2[えいぼん](2012/12/14 22:20)
[10] 第08話[えいぼん](2012/12/23 02:00)
[11] 第09話[えいぼん](2012/12/23 02:08)
[12] 第10話[えいぼん](2012/12/24 17:38)
[13] 閑話3[えいぼん](2012/12/24 19:00)
[14] 第11話[えいぼん](2012/12/26 21:35)
[15] 第12話[えいぼん](2012/12/28 21:34)
[16] 閑話4[えいぼん](2012/12/28 21:42)
[17] 第13話[えいぼん](2012/12/31 19:58)
[18] 第14話[えいぼん](2013/01/03 21:01)
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[36036] 第10話
Name: えいぼん◆d3fec379 ID:b1fb4ca7 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/12/24 17:38
鬱蒼とした森が広がる山腹で、ひた走る俺をストーンゴーレムの集団が木々を薙ぎ倒しながら追いかけて来る。
俺が木々の間を抜けて走っていると、やがて不自然に空いている広場――キルゾーンが見えてきた。
そのまま広場を通り過ぎる俺の後を追って、ストーンゴーレム達が姿を現した。

「ターゲット確認、ロックオン」

轟音と共にストーンゴーレム達へ降り注ぐ鉄のシャワー。
瞬く間に広場は砕けた石と弾丸で埋め尽くされた。

「ターゲットの完全沈黙を確認」
「よくやったな、ロボ子」

俺はひとしきりシズを褒め称えた。
こうしないと奴は、なんとロボの癖に拗ねるのだ。
忠誠心ェ……と思わなくも無いが、泣いたり拗ねたりのお茶目機能を入れた犯人もやはり俺なのだろう。
ナザリックを支配しようとしているペンギン――エクレアの存在もそうだが、どうやら性格は設定や機能に引っ張られるようだ。
個人的にはガッチガチの従者魂を見せられるより気楽なので、シズの従者とは思えない無口さや態度は気に入っているから問題ない。

「さて、魔石を拾うとするか」
「サーイエッサー、マスター」

一点貫通に特化した俺の銃だと、倒した後に改めてゴーレムを砕かねばならないので効率が悪い。
わざわざキルゾーンまで引っ張って蜂の巣にしたのも、魔石を拾いやすくするためだ。
シズと手分けして魔石を探しながら雑談に興じた。

「ところで褒めるのはいいんだけど、なんかリアクションはないのか?」
「頭を撫でながらだとオプションが付く」

非常に興味が湧いたので、シズに近づいて褒めながら頭を撫でる。

「へぅ……」
「いやいや、無表情のままだし」
「胸を撫でながらだと表情も変わる」
「どんなセクハラだよ!」

シズにツッコミを入れたのが引き金となり、ふいにまだナザリックを得ていなかった当時のことを思い出した。
当然プレアデスなんて影も形もなかった頃の話だが、確かペロロンチーノさん達と変態紳士らしいメイドの褒め方を考えようみたいな話題になった時に……。

「認めたくないものだな、自分自身の若さゆえの過ちというものを。……ん?」

昔のアニメの名台詞を口にした瞬間を見計らっていたかのように、モモンガさんからメッセージが入った。
ちなみに当時の俺は社会人になったばかりの10代であり、ギリギリ若さゆえの過ちだと言い張れると信じている。

『こんにちは、ヘロヘロさん。今お忙しいでしょうか?』
「どうも、モモンガさん。こっちは大丈夫ですよ」
『実は先日の会談の件で色々と考えが煮詰まりましたので、そろそろヘロヘロさんとも一度お話をさせて頂きたいのですよ』
「そういうことなら急いだ方がいいですね。今出先なのですがキリのいい所でシズに送って貰いますよ」

帝都からこの山脈までは人外な俺達のペースで歩いても1週間ほど掛かる。
ストーンゴーレムの魔石も既に10個ほど集まっているので依頼は達成しているし、問題のシズもきちんと言い聞かせてやれば大丈夫だろう。
本当はこの近辺に住むというドワーフに未練があったが、こればかりは仕方がない。

『出先って、ヘロヘロさんは帝都ではないのですか?』
「今は俺とロボ子でクエスト中なんですよ。ストーンゴーレムを狩りに中央山脈に来ています」
『えええっ、いいなぁ! クエストとか響きが素敵過ぎますよ!』

モモンガさんの喰いつきがやたらと良い。
尤もこういうのが嫌いであれば、DMMO-RPGのユグドラシルをプレイなんかしないだろうが。

『ナザリック大公なんて肩書きは、冒険者をするには邪魔ですよね』
「うーん、変装して身分を隠すとか、やりようはあると思いますが」
『デミウルゴスやアルベド達も大公位には微妙な反応でしたし……』
「まぁまぁ、その辺の話もナザリックに帰ってからということで」
『わかりました。ではお待ちしていますね』

モモンガさんとの通信を切り、俺はシズへと向き直る。
ヘッケランのフォローがなければ宿屋を追い出されていたであろうシズの大泣きを、こんなところでやられてはたまらない。

「取引だ、ロボ子。お前は俺の命令に従う、その代わり俺はお前のお願いを聞く」
「なんでもいい?」
「そこは交渉だ。俺からの命令は、この場で俺をナザリックに送った後、魔石を拾ってから1人で帝都に向かうこと。多分その途中で合流出来ると思う」
「傍を離れる時間だけ、抱っこ」

タブラ・スマラグディナさんの設定だと、シズは無口無表情だが精神的に幼く甘えん坊だった。
しかし妙齢の大和撫子風美女であるシズには似合わないことこの上ない。

「ああ、ギャップ萌えだったっけ、タブラさんは。……まぁいいか。ロボ子、その条件を飲むからナザリックに送ってくれ」
「サーイエッサー、マスター」

人間を止めたせいか、シズにくっつかれても照れをあまり感じずにいられる。
だからシズが甘えたいと言うなら、こちらに拒否する理由はない。

俺はシズの胸を優しく撫でて労をねぎらうと、さっそくナザリックへリターンした。






円卓には既にモモンガさんが座っていて、俺が着くと手ずから紅茶を淹れてくれた。
アインズ・ウール・ゴウンのメンバー以外は円卓への立ち入りを禁止しているので、メイドに頼むことが出来ないからだ。
挨拶を交わしながら紅茶を飲んで一息ついていると、モモンガさんが話を切り出した。

「まず王国への今後の対応から相談したいのですが」
「了解です、モモンガさん」
「あの時の会談や歓待で思ったのですが、やはり私達は一般人に過ぎないです」
「ラナー王女は凄かったですからね……」

会話の機微に聡いとか、話題の誘導が上手いとか、そういったことではない。
ラナー王女の気品や物腰に、王族の匂いがプンプンしていたのだ。
つけ加えるなら人材交流などの具体的な内容を即座に考える能力などにもびっくりしたが。

「国のために大を生かして小を捨てる、みたいな感じが凄く王族っぽかったですもんね」
「ええ。あれが上に立つ者のあるべき姿なら、私の演技力では無理だと思い知らされました」
「別にモモンガさんが同じ真似をしなくてもいいのでは? デミウルゴスあたりに交渉を丸投げするとか」
「私もそう思ったのですが、折角王国と良い関係を築いていけそうな所なのにデミウルゴスにやらせて破綻するもの嫌ですし……」

今後の交渉をデミウルゴスに任せればナザリックが有利になるよう上手くやるだろうが、モモンガさんの懸念も理解出来る。
会談での雰囲気を考えるに、守護者達は王国との交渉自体を不要と考えているのが丸分かりであったからだ。
歓待ではセバスとメイド達が中心の人員配置だったので問題なかったが、その点を考えるとデミウルゴスに委任するのは如何にもまずい。

しかしモモンガさん個人としては、本当に王国と協調路線で良いのだろうか。
以前デミウルゴスがモモンガさんから世界征服の話を聞いたと確かに言っていたのだが。
もしモモンガさんが本気で考えていたら黒歴史な意味で気まずいと思ってノータッチだったが、ここは確認しておくべきだろう。

「ところでモモンガさん、世界征服を目指しているって本当なんですか?」
「プフッ、そ、そんなわけないじゃないですか! 一体誰がそんなことを!」

モモンガさんが骨髄っぽいものを噴き出した。
とっさに距離を取ってなんとか事無きを得た俺は、アバターの性能に感謝しつつモモンガさんに答えた。

「デミウルゴスから聞いたのですが……」
「あっ、まさかあの時の冗談を! ほら、ヘロヘロさん。夜空を眺めに行った時のことですよ。あ、そうか、ヘロヘロさんは地上で待たせてしまったのでしたね」 

モモンガさんの説明によると、それはどうやら嘗てのギルドメンバー達を思い出しての戯言に過ぎなかったらしい。
しかし少なくともあの広間でデミウルゴスの話を聞いた面々にとって、アインズ・ウール・ゴウンによる世界制覇は本気っぽいのだが……。

「早めに訂正した方がいいと思いますよ?」
「それはそうなのですが、あの会談の後からアルベドやデミウルゴスが考え事をしていることが多くなりまして……」
「王国への俺達の対応に不満を持った、ということですか?」
「そこまでは行かないと思いますが、どうも私の意図を探っているような……。ですから今は守護者達に刺激を与えたくないのですよね」

あの狂信ともいえるような忠誠心を考えるとモモンガさんの杞憂な気はするが、万が一を考えると放ってはおけない。
旅を始めたばかりだが、一時中断してでも暫くナザリックに戻るべきかもしれない。
ソロでは心許無いが、モモンガさんとのコンビなら守護者達に対抗することも出来るだろう。
そのことを俺が口に出そうとした時、モモンガさんが先に手を振ってこちらの言葉を遮った。

「なに、ヘロヘロさんの手は煩わせません。危険だからと2人で汲々としながら過ごすなんて、アインズ・ウール・ゴウンのギルド長に相応しくない態度ですから」
「では対策を打たないつもりですか?」
「いえ、いっそ外に出ようかと。先ほど思いついたのですが、ナザリック大公を名乗って堂々と冒険者をやって偉業を打ち立てるのです」

モモンガさんのアイデアは確かに有効かも知れない。
ナザリック内部だけではなく王国側もモモンガさんの実力に目を見張り、会談や歓待などでの俺達には分からないような一般人らしい失態も帳消しになることが期待出来る。
個人的には一石二鳥な考えのように思えるのだが、悲しいことに俺の頭はそれほど出来が宜しくない。
この時期にモモンガさんまでがナザリックを空けることに対するデメリットの予測などつくわけがないのだが、それでも頑張って問題点らしきものを提起する。

「でも先日の会談でこの近辺を守るって言っちゃいましたし、特に城塞都市エ・ランテルなんかはモモンガさんがナザリックにいないと守りきれないのでは?」
「その心配はご無用ですよ、ヘロヘロさん。実は帝国からの侵略を防ぐいい方法があるのです。正確には思い出したのですが……」
「へぇ、どんな案なんです?」
「ヒントはぷにっと萌えさんのギルド戦における得意戦術です」

モモンガさんに言われて首を捻る。
アインズ・ウール・ゴウンの諸葛孔明と言われた男の得意戦術は多岐に渡っており、ピンポイントで絞るのが難しい。
悩んでいた俺に、モモンガさんが正解を告げた。

「ラナー王女の話では、帝国との戦争は毎年カッツェ平野という場所で行われるそうです。要するにそこが戦場にならなければ、エ・ランテルは守られるというわけですよ」
「ああ、なるほど。2ch連合と戦った時の戦術ですか。よく思いつきましたね、モモンガさん」
「ふっふっふ、私の脳裏には今もぷにっと萌えさんの教えが根付いていますから。では早速明日にでも」
「くっくっく、ええ分かりました。お楽しみの時間と行きましょうか」

アインズ・ウール・ゴウンのギルド規則その15――悪巧みをする時には相応の笑い方をすること、を遵守しながら俺達は詳細の打ち合わせに入った。






カッツェ平野のほぼ中央あたりで、モモンガさんを基点に約10mくらいの巨大なドーム状の魔法陣が展開されている。
俺は付近に吸い寄せられてきたアンデッド達を銃で蹴散らしながら、モモンガさん達の様子を伺う。
モモンガさんの近くではアルベドとデミウルゴスが付近の警戒にあたり、背後にはセバスが控えている。

この人選も昨日の相談により決めたことで、モモンガさんの圧倒的な力を守護者筆頭格の両者に間近で見せての忠誠心アップを期待してのことだ。
セバスはモモンガさんの傍に控えていても不自然ではないだろうと、万が一の保険という意味で連れて来ていた。

「ゆくぞ、お前達。クリエイション系魔法の極限を見よ!」

モモンガさんの得意魔法の1つ、超位魔法《ザ・クリエイション/天地創造》の発動である。
この魔法には派生というかバリエーションがあり、例えば天地改変などは使い方も分かりやすい。
エリア全体の地形エフェクトを変更する天地改変は、火山地帯の熱気を押さえたり氷結地帯の冷気を押さえたりといった利用方法である。

それではモモンガさんが今使用した天地創造とはなにか。
答えは俺達の足元にある。

「だ、大地が、盛り上がって……! いけない、モモンガ様!」

今も揺れ動いている足元に驚きつつ、モモンガさんの安全を確保しようと走り出すアルベド。
咄嗟にその手を掴んで引き止めたデミウルゴスが、慌てるアルベドを嗜める。

「モモンガ様の詠唱中に飛び込むのはお邪魔になると思うがね」
「それにしてもモモンガ様のお力が、まさか世界を創造するほどとは……」

唖然として呟くように言葉を漏らすセバス。
感嘆の溜息をついて体をゾクゾクと震わせながら、デミウルゴスは同意を求めるように2人の同僚へ呼びかける。

「本当に素晴らしい! モモンガ様に仕えることが出来る幸運に、私は感謝の念しか湧かないようだよ」
「ええ、ええ! 流石は至高の方々の最高責任者であらせられるわ。この感動はとても言葉に出来ないわね」
「無論のこと、私もお2人に同意です」

そんな3人の様子を確認した俺は、腕を組んで考え込んだ。
一応思惑の範囲内ではあるのだけれども、言っていることがどうも大げさ過ぎる。
プレイヤーにしか使えない魔法を見せればモモンガさんの力にびっくりするだろうとは思っていたが、それでもたかが超位魔法くらいでこの反応はありえない。

あれこれと悩んでいるうちに、俺達の足元は今や山頂と化していた。
そう、これこそがぷにっと萌え式48の必殺戦術の1つ『今です! 多数の敵には無理やりゲリラ戦術』である。
つまり天地創造とは、主としてPvPの時に使うための地形改変魔法なのだ。

数だけはやたらと多い2ch連合と戦った時にエリア全体を山に変えて各個撃破していった戦術なのだが、地形が変わってしまえばきっと帝国軍だって攻めにくくなるだろう。
仮に他方へ回り込んで侵略するとしても、城塞都市エ・ランテルだけは間違いなく今より安全になる。
モモンガさんは別に王国を守ると約束したわけじゃないので、この作戦はかなり有効だと思われる。

本当は数日掛けて超位魔法を使いカッツェ平野を小規模な山脈にする予定だったが、平野自体が1つのエリアの認識されているのか予想より遥かに高い山になってしまった。
だが大は小を兼ねるという格言もあることだし結果オーライである。

問題は効果時間なのだが、ブーストなしで普通に使った時でもギルド戦が終わるまで地形はそのままだった。
今回のモモンガさんは最強装備かつアイテム等でバフを掛けた上に課金アイテムまで使用しての魔法であるため、永久に近い効果が期待出来ると思う。
総仕上げとしてこれまた課金で手に入る魔法効果100倍持続の消費アイテムを使ったモモンガさんが、デミウルゴス達と会話をしている。

「以前に聞いたお前達の私に対する評価、それは今も変わりないか?」
「もちろんでございます、モモンガ様。いえ、むしろ今はそれ以上の気持ちでございます」
「モモンガ様の偉大なお力の一端をこの目に見せて頂いたのですから、それも当然のことです」
「実際に見ることの出来なかったナザリックの留守を預かる者達にも、是非とも語り聞かせてやりたいのですがお許し頂けますでしょうか?」
「うむ、よきに計らうように」

彼等の言葉に嬉しそうに頷いたモモンガさんが、こちらへ歩み寄って小声で話す。

「大成功です、ヘロヘロさん。忠誠度が上がっていますよ」
「これで帝国の侵略も防げると思いますし、バッチリですね」
「ふっふっふ、後は私が冒険者として偉業を成し遂げれば……」
「くっくっく、どうせなら英雄と呼ばれちゃうくらいの偉業をお願いしますよ」

新たに誕生したカッツェ山の頂上に、怪しく笑う男達の声が響き渡るのであった。






――カッツェ平野が突如として山になった変事は、後に神の偉業として大陸中に知れ渡ることになる。


前を表示する / 次を表示する
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.02191686630249