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No.35635の一覧
[0] 女の尻ってなんであんなにええんやろうな(異世界トリップ物)[kitayuki](2012/10/31 08:55)
[1] 神社と剣[kitayuki](2012/10/26 12:12)
[2] 僕の名前[kitayuki](2012/10/26 12:21)
[3] カタベルの街[kitayuki](2012/10/26 12:41)
[4] 剣を売り続けるだけの簡単なお仕事。[kitayuki](2012/10/28 10:18)
[5] 聖剣伝説[kitayuki](2012/11/02 11:43)
[6] 呪いの剣[kitayuki](2012/10/31 08:24)
[7] ラヴ・レター[kitayuki](2012/11/02 12:48)
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[35635] 女の尻ってなんであんなにええんやろうな(異世界トリップ物)
Name: kitayuki◆f7cbe567 ID:ad9b20a3 次を表示する
Date: 2012/10/31 08:55
「女の尻ってなんであんなにええんやろうな」

 先輩は言った。僕もその通りだと思った。


 切欠は日野屋というやっすいチェーンの中華料理屋で食事をしながら僕が先輩に人生相談をしていたことだったのだが。

 僕の人生は今まで本当に酷すぎて、もういやだって思っていたのだ。
 それこそ死んでしまいたいって程に。

 まず僕の名前なのだが九蘇森紅葉太郎と書いて、くそもりもみじたろうと言う。
 この酷い苗字と名前のせいで圧倒的にモテなかったのだ。
 その結果齢二十にして未だ童貞である。
 色々な人にそれほど顔は悪く無いと言われるのだが、どういう訳か彼女の一人もできたことがない。
 理由としては、僕の女縁がないということもあるかもしれないけれど、それよりも僕自身恋愛って物に対して臆病になってしまっているからかもしれない。
 さらに言えば怖いのだ。女の子の無神経さと。そしてなにより、好きな女の子に傷つけられることが。


 中学の時、僕は恋をした。
 相手はクラスの中でも一番ではないもののかなり可愛い顔をした娘で、性格が明るくて誰にでも優しい女の子だった。
 その時名前のせいで少し虐められかけたり、あだ名がクソになったことでグレかけたのだが。
 なんか不良はモテないと聞いたからグレるのをやめる程度にはその子に対して真剣だった。

 まあでもそんなことはどうでもよく。僕は段々と彼女とお近づきになって、それなりに仲良くなって、そして、夕暮れの教室で……。


「好きです。僕と付き合ってください」


 告白したのだが。


「クソくん名前がくさそうだからやだ」


 フラレた。



 僕はその一件以来どうも女の子が苦手になってイマイチ積極的になれないでいる。と言うか女の子がちょっと怖い。
 でもエッチなことはしたいし、彼女だって欲しい。でも今のままじゃ永遠に出来ることはないんじゃないかなって気もする。
 そんなこんなで大学三年の二十になってまでも僕は未だにうじうじとして毎日を過ごしているのだ。
 ああ、もうこんな人生、うんざりだよ!

 おまけに今日は通学中にドブにハマって服を着替えるために家戻ったら授業遅刻してそれでギリギリだった出席が足りなくなり単位を落として泣きながら帰って。
 その帰り道の途中で通りかかったチワワに足を何故か噛まれた。その後泣きながら歩いてたら前が見えなくて電柱にぶつかって、近所のクソガキに指差して笑われた。
 おお、もう、こんなについていない人間がいるだろうか! いやいまい!


「そうやなー、確かに酷いとは思うで。でも自分留年とか浪人とかしとらんのやろ? なら言うほど不幸ちゃうんちゃう?」

 そんなんやったら俺の方が不幸にかもなーと。
 先輩はタンメンをじゅるじゅると汚い音を立ててすすりながら、いつもながらの怪しげな関西弁? らしきものでそんなことを言った。
 ちなみに先輩は二留していて既に二四歳である。しかも名前は留太郎とかいてりゅーたろーである。出来すぎだ。
 先輩の容姿はと言うと、小太りで汚らしく伸びた髪と無精髭とダボダボの服でいつもかなり浮浪者チックな容姿をしているのだが、何故か金回りがいい。
 今日の飯も先輩の奢りなのである。その点は先輩に感謝しているが……。

「先輩が留年ばっかりしてるのは競馬とか賭け事ばっかりしてて授業出てないからじゃないですか! それに先輩美人の彼女いるじゃないですか! 僕はね、彼女のいる人間の言う幸福じゃないって言葉は信用しないことにしてるんです!」

 そうなのだ。先輩の場合留年は自業自得だし何故か女にはモテるしいつも酒飲んでワハハワハハ笑ってて幸せそうだし。
 とにかくそんな先輩が僕より不幸だなんて僕はとても認められないと、先輩のおごりの餃子をおごりのウーロンハイで流し込みながら思った。

「あぁ、もうやんなっちゃう。お金もないし運も無い。単位は落とすわ彼女は出来ないわ景気は悪いわ円高は止まらないわ餃子はフニャフニャだわ! あーもーやだやだやだやだ。死んでしまいたい!」
「あんなぁ、人の奢りの餃子バクバク食いながら自分よくそんなこと言えんな。それに口だけでも死んでしまいたいとかあんま言うもんやないで?」
「でもしょうがないじゃないですか! こうも人生真っ暗だとボヤきたくもなりますよ! いっそやり直せるもんならやり直したい!」
「アホか。人生ってのはな、やり直せんからこそ素晴らしいんや! だから競馬も楽しい。そんなお前にはな、俺もこう言いたくなるわ!」
「なんなんですか! うっわ、このウーロンハイ滅茶苦茶うっす! まずー」
「おどりゃクソ森! ええかよく聞けや! あそこにおる女を見てみ!」

 先輩がそう言いながら指を指す先には、女性が一人。
 こんなしょぼいチェーンの中華料理屋で飯を食うとなるとちょっと似合わないような上品そうな女性が勘定をしようとレジのところに立っている後ろ姿がみえた。

「あの人がどうしたんです先輩?」
「ああ、あそこにな、言っちゃあなんだが味と量はそれなりでもボロくて安いチェーンの中華料理屋にはおよそ不釣り合いな美人がおるやろ?」
「そうですかね? まあ綺麗っぽい感じですけど。でも後ろ姿だけじゃ何とも言えないですし。後ろ姿詐欺ってよくありますよ」
「パーたれクソ森! あんなぁ、俺はさっきあの人がニラレバ炒め食っとるところも見とったんや。まあちょっちトウが立っとるのは否めんがかなりの美人さんやったで?」
「へー」
「そんでな、後ろから見てもこう髪を束ねとるせいで見えるうなじのところなんて薫って来るような色気があるし、腰んとこはきゅーっとしまっとってええ女やろ?」
「はぁ。そうっすか。あ、この野菜炒めは結構旨いかも」

 むしゃむしゃ。

「クソ森おいこらクソ森!」
「なんですかうるさいなもぅ! それからあんまりクソ森言わないでくださいよ! 僕は自分の苗字嫌いなんですから!」
「なんやけったいなこと気にしとんのなワレ! なら名前で読んだるわ。えーっとたしかもみじたろうやっけ?」
「そうですよ」
「クッソ長くて呼びにくいなそれ! モミモミン読んだるわ。おいモミモミン!」
「あんま短くなってないですよそれ。ハァ。で、なんだって言うんですか?」
「とにかくなぁ。あんな女性を見てると、こう、フリフリと揺れる尻なんかがこう、なんともええやろ?」
「ハァ、そうっすね」
「女の尻ってなんであんなにええんやろうな」

 そう言いながらハァとため息を付く先輩。
 先輩の視線を追うと先ほど勘定をしていた女性がちょうど店を出て行くところだった。
 フリフリと揺れるその尻を見てるとまあ確かに先輩の言わんとすることもわからなくもない。
 言うこと自体は全くその通りだ。ただ……。

「先輩?」
「んぁ?」
「それが俺に言いたいことですか?」
「そうやで」
「でも先輩言いましたよね。人生はやり直せないからこそ素晴らしいって。そっからどう話がつながったんですか?」
「あー、それはな。つまりこういうこっちゃ!」

 そう言ってグビリとビールを飲む先輩。

「つまり人生は素晴らしいと。何故ならやり直せないからや」
「はい」
「それで街を歩いてるとええ女がおるやろ? それで尻を見るわけや」
「はぁ」
「いい尻しとるなーって思うやん」
「そうっすね」
「だからや」

 ?
 
 なにをどうやったら「だからや」につながるのかがさっぱり解らないんだが。


「ハァ。しかしどこぞにいい女でも落っこってないもんかのー?」
「タバコの吸殻じゃないんだからそうポイポイ落ちてるものじゃないですって! それに先輩彼女いるじゃないですか?」
「あーアイツな、今実家に帰っとる。ハァ。エロスしたい!」

 そう言うと先輩はまたビールをあおって、そしてフゥとため息をついて僕の方を見た。
 そのまましばらく無言だったのだが、段々と先輩の目がこう、怪しい感じに光りはじめてきた気がする。
 なんこう、人間離れしてるっていうか、鋭いっていうか、獣というか野獣っぽいというか……。

「なぁモミモミン?」
「本気でそのあだ名使うつもりですか。ハァ、まあいいですよ。なんすか?」
「あんな、モミモミン結構可愛い顔しとるな」
「そうですか?」
「そうやで。顔は整っとるしスタイルええし。彼女出来たことない言うの不思議なくらいやで」
「ハァ。そう言うなら可愛い女の子の一人や二人くらい紹介してくださいよ」
「まあそれは考えといたるわ。でな。それはええやんけど、モミモミンの尻をちょっちモミモミンしたいんやがええか?」
「冗談は顔だけにしてください」
「そうか。じゃあ俺の尻をモミモミンしてもええで?」
「じゃあそっちにしときます」
「そうか……」

 そう言いながらまたフゥと一息ついてタンメンの汁をじゅるじゅるとすする先輩。
 まったくなんだって言うんだこの人は……。
 

 うんだラリ~ラ~り~ラ~り~ラ~り~ラ~り~ラ~YO!
 突然響き渡る謎の音。

「なんなんすかこれ?」
「ああすまん。これ俺の着メロや」

 そう言って携帯を開く先輩。

「おおう彼女帰って来たらしいわ。じゃあ俺帰るから」
「さいですか。じゃ、ご馳走様です」
「おう」

 そのまま店を後にする僕たち。
 勘定は全額先輩が払ってくれた。
 そうして夜の街を先輩と二人で歩く。冬が近づいた東京の街は、なんだかそれなりに寒い。
 しかしまぁ、いい人だよなこの人。安い店とは言えこうしてたまに会えば奢ってくれるし、何言ってるかはわからないけれど愚痴も聞いてくれるし。

「あ、そうやモミモミン」
「はい?」
「悩み事言うたら神頼みがええっていうで?」
「ハァ、今度は宗教の勧誘ですか? 壺は買いませんよ?」
「いや、新興宗教の話やのうてな、ホイこれ」

 そう言うと紙切れを僕に渡す先輩。これは……さっきの日野屋のレシート?

「あーちゃうちゃう。裏見てみ?」
「裏?」

 そう言われて裏返すとそこにはなんか関西のものっぽい住所と何かの神社の名前がなぐり書きしてある。

「あ、あかうつくし、りゅう、神社? ……なんですこれ?」
「ああ、それはな。何かな、俺の実家の近くにある神社の住所なんやけどな。なんでもうちの家系は毎回子供が生まれるとその神社に見せに行くそうや」
「じゃあ、先輩も?」
「勿論や。その神社に参るとなんや知らんけど、その人にとって最も幸せな人生を歩めるようになるだとか、願いが叶うだとか色々言い伝えがあるそうやで?」
「ほへー、そりゃすごいっすね。でもまあどこの神社でもそんなもんじゃないっすか?」
「まあそうやとは思うんやけどな。でもまぁうちの親父やらじーさんばーさん辺りはエラいそこの神社のことを信じとってお参りしとるねん」
「ハァ」
「まああんまり思い悩むようなことがあったら行って見たらって思っただけや」
「まぁ、よくわからないですけど面白そうですね。ちょっと時間と金が出来たら行ってみますよ」
「ん。まあどっちでもええけどー」

 そう話してる間に先輩の家の前に来てしまった。

「じゃあ俺、彼女来るの家で待っとくから。またな」
「はい。いや、ご馳走様でした」
「ええってええって、あれくらい安いもんならまた奢ったるわ。じゃあまたな」
「はい」

 そうして先輩と別れた。
 一人になったとたん、ビル風がびゅうと吹いて来た。ううぅ、結構寒い。
 人生全く、ままならないもんですよ。
 なんだかあったかいものが飲みたい。

 そうして自販機を探す。ポケットには小銭が少し。コーヒーくらいは買えるだろう。
 だが金に余裕は全くない。バイト、増やさなきゃなんないかも……。
 ハァ、人生、全くままならないものですな。

 大都会の夜の街を歩きながら一人、そうごちた。













(2012年、10月31日追記)

色々と小説の投稿サイトについて調べていたのですが。
何でも王道の異世界ファンタジーは「小説家になろう」の方が需要が高いらしい。
と言うかサイトの空気に合ってるらしいので。
私の小説もそう言う小説なので、そちらの方にも並行して掲載しようと思います。



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