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No.35488の一覧
[0] 【ワンピース・TS転生】鴉は海に夢を馳せる【東方project】[きな粉餅](2012/10/13 22:52)
[1] 第一話 テンプレじゃなくって王道って言った方がなんかカッコイイ[きな粉餅](2012/11/23 15:25)
[2] 第二話 海上ぶらり二人旅~序盤は緊張感ないね~[きな粉餅](2012/11/23 17:13)
[3] 第三話 二人の夢、一人の生き様[きな粉餅](2012/11/23 23:40)
[4] 第四話 三人揃えば文殊の知恵って言うけど馬鹿三人集まってもうるさいだけ[きな粉餅](2012/10/14 15:08)
[5] 第五話 別れと新たな島、あと本気で航海の心配[きな粉餅](2012/10/17 07:34)
[6] 第六話 自由なのと常識にとらわれないことは紙一重[きな粉餅](2012/10/28 15:02)
[7] 第七話 暴走(意味深)と航海士、まぁまだ重要じゃないけどね[きな粉餅](2012/10/17 07:36)
[8] 第八話 さくせん>気楽に行こうぜ[きな粉餅](2012/10/24 06:42)
[9] 第九話 ちょっと目覚めてきたかもしれない[きな粉餅](2012/10/24 06:41)
[10] 第十話 誇りと夢と自由と、いるかもしれない神様と[きな粉餅](2012/10/24 06:40)
[11] 第十一話 活躍が欲しい…俺今メインキャラなのに表舞台に立てないって…[きな粉餅](2012/10/27 00:07)
[12] 第十二話 本当に眠いと首って持ち上がらないよね[きな粉餅](2012/10/31 15:54)
[13] 第十三話 海の半分を渡る船と『三人目』の仲間[きな粉餅](2012/10/28 13:19)
[14] 第十四話 やりたかっただけなんだ、すまない。仏の(ry[きな粉餅](2012/10/31 15:49)
[15] 第十五話 カラスって近くで見ると可愛いんだね、初めて知った[きな粉餅](2012/10/31 16:44)
[16] 番外part1 刃九郎と我が仲間[きな粉餅](2012/11/04 10:24)
[17] 第十六話 自分の思考がジブンのしこうがじぶ んが[きな粉餅](2012/11/04 11:00)
[18] 第十七話 一匹鴉[きな粉餅](2012/11/04 15:25)
[19] 第十八話 世界はさ…厳しいよな、俺に[きな粉餅](2012/11/05 22:39)
[20] 第十九話 私怨と名上げと召喚…いやなんでもない[きな粉餅](2012/11/13 20:33)
[21] 第二十話 俺TUEEは無いと言ったな、アレは嘘だ[きな粉餅](2012/11/24 15:19)
[22] 第二十一話 その男の名はニック[きな粉餅](2012/11/22 18:20)
[23] 第二十二話 念願の船奪還大作戦![きな粉餅](2012/11/23 20:28)
[24] 第二十三話 道に迷うとなんか一周回って楽しくなってくる[きな粉餅](2012/11/24 15:59)
[26] 第二十四話 さぁ真の海賊団の結成だ[きな粉餅](2012/11/30 05:40)
[27] 第二十五話 幼女と少女の違いとアウトとセーフの境界を誰か教えてください[きな粉餅](2012/12/15 14:45)
[28] 第二十六話 『気に入らない』[きな粉餅](2012/12/30 10:28)
[29] 第二十七話 男子三日会わざれば刮目して一ヶ月くらい会わないと「お前だれ?」ってなる[きな粉餅](2013/01/20 17:34)
[30] 第二十八話 遠くを目指す前に中継地点を決めとかないと大体やる気が無くなる[きな粉餅](2013/03/26 22:25)
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[35488] 第二十八話 遠くを目指す前に中継地点を決めとかないと大体やる気が無くなる
Name: きな粉餅◆264e7e68 ID:5217d150 前を表示する
Date: 2013/03/26 22:25
人が本当に落ち着けるのは寝る時と食事の時だ、というのが俺の考えだったりする、まぁ時と場合によって変わるけど。
スモーカーをK.O.して現在は夕食中、本当の落ち着きの内一つを消失した俺にとっては至高の時間とも言える。
ちなみに今俺達がいる食事所withキッチンは甲板の上に建っている建物の一階、つまり甲板と直通の部屋にある。
甲板で修行して時間になったら即メシ、甲板で宴している時も料理が追加しやすい、というなかなか便利な間取りだと思う。
まぁそれは文句の言いようが無いが……この船どこもかしこも大人数での冒険を想定してるからとにかくスペースとかがでかいし余計なものが多すぎるんだよね。
必死にこの船造ってくれたニックの地元の漁師さん達には悪いけれど、俺船長なのにまだこの船内で回ってない部分が多々あるし。
それどころかまだ知らない部屋とかが突拍子も無く飛び出してきても不思議じゃない。
暇を持て余す時間があるなら船の中を探索しろって? 方向音痴飛び越して方向感覚喪失してる俺は一本道だって迷っちまうぜHAHAHA。
現にこうして今航海しているのもニックやエリーちゃんの航海術に全てを任している訳であって、正にルフィ状態、船長の威厳もヘッタクレも無いね。
……まぁそれはさて置きこの食事所withキッチンはキッチンを除いてもスペースが滅茶苦茶余る。
数あるテーブルのど真ん中の一つのテーブルで三人と一羽がぽつんと座って食事を食ってる絵はそれはもう寂しい。
更に刃九郎がほとんど業務会話しかしない事と、エリーちゃんが俺をまだ微妙に恐がってる所為で話すのがほとんど俺とニックだけなのでこの至高の時間すら俺に落ち着きは無い。
海賊団としてこれは流石にどうなのとか思うんだけど、何とかしないと本気でこの船内部壊滅の危機かもしれない、それと俺の胃がヤバイ。
何とかニックが俺が恐くないってのをエリーちゃんに教えようとしてくれてるのが逆に辛い。
しかもそのニックは俺の優しい所を教えようとして言葉を詰まらせるんじゃありません! 俺に優しさが無いみたいじゃん!
……俺、そんなに恐いかな? エリーちゃん頭良いからニックみたいに頭すっからかんじゃないし、未知の物に対する危機管理能力高いのかもしれない。
そもそも海賊であるって事が原因なんだけどね、それはもうどうしようもないし、手配付いちゃってるから止めようもないし。
あーもう酒飲まなきゃやってられねぇという建前を付けて、俺の席にだけ透明のグラスが二つほど置いてある、一つはすでに飲み終えて空だ。
ニックも飲むのに誘ったが、修行で限界すぎて酒飲んで酔っ払ったらそのまま吐きそうだから止めておくらしい、そこまで過酷だったか……頑張れ。
ごめんニック、刃九郎も俺もいきなり強くなったクチだからその苦労は分からないんだ……そもそも俺戦闘の技能だけならニック以下かもだし。
まぁなんだかんだで本人も一日の終わりに嬉々として自分の修行報告を俺にしてくるからそこまで精神的には苦ではないっぽいけど。
現在の席割は俺の隣にニックと刃九郎、俺の正面にエリーちゃんといった感じだ、エリーちゃんが俺の隣といわず膝の上とかに来てくれる日は来るのだろうか。
ていうかエリーちゃん刃九郎も意外と平気なんだよね……修行終わった後に羽撫でてたりしてたの見たし、俺だけぼっち、船長とは一体……うごご。
そろそろ本気でエリーちゃんとのパーフェクトなコミュニケーションを考えよう……まぁ今日はもう遅いから明日からでいいかななんてのは浅ましい考えでしょうか。
いかんいかん、食事を楽しむんだ俺、モノを食べる時は誰にも邪魔されずなんていうかこう救われてなきゃあ駄目なんだ……何一つ救われてないけど。

「……話題に出してないけど海軍の船追い払ったんだよね?」

「強敵でしたとさ」

「随分軽いね、まぁ船長らしいけど……」

「褒めてます?」

「どっちかと言うとそうなるのかなぁ」

「どっちかと言うと褒められました」

あんまり嬉しくないね、どうせならしっかり褒めてもいいのよ?

「そういえば船長……それ、何?」

「んぐ?」

まぁいろいろ考えつつ林檎酒と俺が試行錯誤した末生み出したシチューもどきのあったか温野菜のミルクスープ煮もどきを楽しんでたらニックに指を指された。
人の事指差すなよ……とか思ったんだが、どうやらその人差し指は俺自身じゃなく俺の背中に引っ掛けてある(というかスカートのベルトに挟むようにしてる)物を指してるらしい。
スモーカーからサポシで奪い取った十手でした、あまりにも軽いんで存在を忘れてましたごめんスモーカー君折角借りたのに。
この十手見た目俺より長いくせに超軽い、先っぽが海楼石って言ってたけど他の刃(?)の部分なんで出来てるんだ? 触り心地は石だがなんとなくプラスティックみたいでもある。
まぁその存在を思い出すやいなや椅子と背中で十手を挟んでいたんで十手の出っ張りの所為で背中がヒリヒリしたりと妙に鬱陶しい、忘れたままなら良かったのに。
あ、存在と一緒にコレの言い訳考えるのも忘れてた。
なんて説明したら良いだろう海軍本部大佐に勝利して強奪しましたテヘペロなんて言っちゃった日にはエリーちゃんは更に俺を恐がるだろうし。
やっと話しかけて挨拶してくれるようになったんだ(距離を開けて)、海賊の横暴(俺的には軽いお茶目)をしてると知れたら……。
天敵から身を隠す小動物のようにもう顔すら見せてくれないんじゃあないだろうか、ありありとその光景が浮かぶ。
それは本気で避けたい、なんとしてでも避けたい、これ以上仲間に恐がられると俺の胃がオープンしてしまう!
テスト終了五分前の受験生並に必死に頭を回してニックの質問に無難に無難な回答を出す、よしスモーカー君、君は今日から私のファンだ。

「ほらあれです、さっきの海軍船の一番偉い人が私の追っかけ見たいな人でね、快く野菜と一緒に譲ってくれたんですよ」

「……海軍が海賊追っかけるのは当然なんじゃないかな」

「ベクトルが違うんですよあれはもうストーカーです、あの人私のこと大好きなんです、いや困った困った、海賊は嫌われてなんぼですのに」

「それはそれで問題があると思うんだけどさ……俺時々船長の事がすごく恐いんだけど」

はっはっは、こんな可愛らしくて優しくてまるで天使のようなレディーになんてことを言うんだこのヒモ男、ぶちころがすぞ。 
チラリと正面にいるエリーちゃんに目線を投げかけたけど、本人は俺の作ったサラダを食べていて特に気にしていない様子、それはそうと可愛い。
ありがとうスモーカー君、君のおかげで内部崩壊を免れたよこの恩はアラバスタあたりまでは覚えてると良いな。
スモーカーのおかげでシチューもどきが美味い、とろみもコクの付け方も奇跡並みに美味くできた、チーズを少量だけ入れたのは正解だったね。
こりゃあ自分の中でもトップクラスの出来だ、まぁ結局のところ人が作った飯が一番美味しいってのは世界の真理だけど。
その他にはサラダと牛肉のステーキがそれぞれ大皿に、輪切りにしたパンとマーガリン&ジャムが各自の前に小皿で置いてある。
いろいろあって疲れたのでメニューは微妙に手抜きだったりする、仕方ないね。
……今更だけどなんか西洋風、東洋風が変な風に混ざっちゃって奇妙珍妙な食卓が出来上がっちゃってるけど、まぁ美味しかったら問題ないよねっ。
ちなみに刃九郎だけそこら辺で襲ってきた海王類の肉を食べている、あいつら肉食の癖に妙に脂が乗ってて旨いんだよね、不思議。

「いやーやっぱり船長の料理は美味いね、特にこの肉なんてさ」

「まー肉なんて味付けさえ知ってれば誰でも焼けるんですけどね」

「いやいや、この味付けも焼き加減も完璧に俺の好みのど真ん中だって」

「いいからあんたはサラダも食べなさい、エリーちゃんも美味しい?」

「は、はい、美味しいです」

さりげなくコミュニケーション作戦撃沈、いや焦るな俺……ゆっくりゆっくりだ。
ニックは肉ばっか食ってるしエリーちゃんのフォークはサラダに偏ってるし……君達は三角食べというモノをご存知だろうか?
二人とも嫌いって訳じゃないらしいんだけど、やっぱ自然と好きな方にフォークが向いちゃうらしいんだよ、まぁ気持ちは分かるけどね肉旨いよね野菜も美味いね。
今度からはロールキャベツとか肉詰めピーマンとか野菜と肉を一緒に食べれるものを作ろうかな……。

『私も機会があるならば……食べてみたいですね』

「刃九郎も? うーん……海王類でも料理してみようか、やったことないけど……」

刃九郎もそういう料理に興味があるんだ……いや普段刃九郎っていざメシ食うかって時に自分で海王類の肉引っ張り出してくるからさ、料理食わないかと思ってた。
どうしようかな、牛とか豚じゃなくって海王類を食材に豪快な料理を作ってみるかな……あーでもエリーちゃんにも食べれるようにしないとな。
刃九郎の好みとかも全然分からないけど……まぁ期待されてるんなら頑張ってみようか、ファイトだ俺。
主に海王類の体を捌く方法の研究を。


































鴉は海に夢を馳せる
第二十八話 遠くを目指す前に中継地点を決めとかないと大体やる気が無くなる









○月○日、今日も――は何時もと変わらない。
俺の――はこの――は見たことも聞いたこともないという、つくづく無能な奴だ。
お前が分からないなら他の奴を連れて来い、ああまた――――の時間がやってくる。
アイツに会いたい、今日もアイツは来てくれなかった、アイツも忙しいんだって事位は自分でも分かってるつもりだ。
ああ、手が震える、ノートパソコンのスイッチが上手く押すことが出来ない。
今日は―――――――――――しよう、ああ、次にアイツがここに来るのはいつだろうか。
白い壁が恨めしい、白い天井が恨めしい、ここの臭いはいつまで経ってもなれない。
体に染み付いてしまいそうだ、―――――にまで染み付いてしまった日には俺は―――しまうだろう。
アイツに会いたい。




















今日は嫌な夢を見て目が覚めた、ここ最近同じような夢をずっと見てしまう、よく覚えてないけれど多分同じ夢。
もしかしたらいい夢なのかもしれないけれど、こうして目覚めてイライラが取れないって事は悪い夢なんだろう、知らんけど。
現在時間は時計で確認したら午前二時だった、どうせ布団に包まってても暇なだけだろうしここの部屋(俺の寝室、船長室横)には何も無いのでとりあえず甲板に出る。
そしたら冬島気候のど真ん中に入ってたのか昨日とかと比べ物にならない位雪が降ってた、下駄を履いても下駄の棒の部分が埋まるんじゃねコレってくらい。
しかも甲板の広さもあって見渡す限りの白銀世界、すっげー積雪量的にここで雪祭りが開催できるよなにこれぱないの。
俺が結構暖かいほうの育ちって事もあってか雪が降ってるのは見るけどこんなに積もってるのは生涯で一度も見たことない、現在一人で年甲斐も無く大歓喜中。
ああでも寒っ、今俺がパジャマ代わりに使ってる黒いワンピース(半袖)でだとここに立っているだけで苦行に近い、ていうか肌が痛い。
仕方が無いので船の船長室近くにある服置き場にて置いてあった男物の赤いジャージと手袋とマフラーとフカフカブーツを引っ張り出してきた、オラぬくぬくすっぞ。
このジャージニックのかな、勝手に借りちゃったけど……まぁいいか、明日借りたよーって感じで軽く報告しとけば大丈夫でしょ。
さて、雪で遊ぶといったらまぁ雪合戦が基本だけど、残念ながら遊ぶ相手がいないので一人で雪だるまでも作ろうかね。
べ、別にこれっぽっちも寂しくなんてないんだからねっ、この震えは寒いだけなんだからっ! 全然寂しくないから勘違いしないでよねっ! グスン。
しっかし何度も思うけどこの甲板広すぎる、二十五メートルプールも余裕ではいるだろコレ、ここで一人で遊んでると寂しくて仕方ないんだけど。
外側をぐるりと軽く回っただけで直径約二メートル大の雪球が完成しちゃった、圧縮して更に不恰好な部分削りとって直径二メートルだよ、すごいね。
次は適当に転がしながら体と頭が4:3になるように頭を作っていきます、これが雪だるまの黄金比ってなんか本で読んだことがあるんだよな、なんだっけ。
おお、風で転がすと楽で良いな、傍目から見ると転がしてる雪以外の雪が舞い上がって大変なことになってるけど。
これ冬島気候抜け出したら甲板溶けた水でやばいことになってるんじゃあなかろうか、まぁそん時の事はそん時の俺に任せることにしようか。
さてこの約百五十センチメートル位だと思われる雪玉をあらかじめ作っておいた雪玉の上に乗っけて雪だるまの完成、わーパチパチいえーい。
……さてこの後どうしようか、三十分も経ってないんだけど、ああそうだ折角だから顔作ろう顔、というわけでキッチンにGO。
んーと使う食材は定番の人参と……食べるつもりでキッチンに出しっぱなしだったミカンと適当に目に付いたアスパラでいいか。
人参を鼻、ミカンを目、アスパラを口……アスパラ短くて顔のバランス悪いけどまぁいっか、この使った食材は明日自分で食べることにしよう。
明日の献立は人参のステーキ(アスパラを添えて)&デザートに冷やしミカンで決定、人参ステーキなら二人とも喜んで食べてくれるかな。
うん十分が経過しました、朝皆が起きるまで五時間程度ありますね(現在時刻十二時、ニックの修行開始時間が五時半で起床時間五時)。
しばらくは自作の『きゅーきょくさるのEX』を眺めつつ風の刃で形を整えつつ写真を撮りつつと暇を潰してたけど、一時間もしたら急激にやる気が萎えてくる。
むしろよくも一時間も時間を潰せたもんだ、誰か褒めてくれ、ついでに暇を潰せる道具をくれ、ゲーム○ーイと真・女神○生でいいから。
ふぅ、俺は何をやってるんだ……あー暇だ、かといって明日朝早くから修行のニックを起こすのは気が引けるし、エリーちゃん起こすなんてもってのほかだ。
刃九郎……は最初は俺に付き合ってくれていたんだが、目を羽で擦りながら賢明に起きようとしてくれているのを見るのが辛かったので最近は十二時からの睡眠命令を出している。
まぁ、要するにこの孤独感は自業自得な訳だけど、いやでも眠れないのは俺の所為じゃないし、睡眠薬はもうちょいエリーちゃんと仲良くなってから頼みたいし……。
あ、やっぱり完全に俺の自業自得じゃん……いやもういいや、なんか考えるのがだるいし自虐も面倒くさい、思考停止。
とりあえず甲板の上の出っ張ってる建物の様な所の一番上まで飛んでごろんと横になると、バスッて体が全部雪に埋もれた、上から降る雪の挟み撃ちで俺が雪だるまになりそう。
こうしていると、あまりの静かさに耳が痛い、なんかの漫画で呼んだことあるなぁ雪が音の振動を吸い取って静寂を作り出すっての。
静寂の中に一人、二人くらいだったらロマンティック(笑)なんだろうけど一人だとぼっちの時にやーいぼっちって言われてる気分になるね。
止めて欲しいねぇ一人っきりで寂しいってのにそれに拍車をかけるような事するの、擬人化スキル無い俺が雪に言っても仕方ないけど。

「……船長?」

一時間くらいかな、孤独に暇をもてあましてたら何故かニックがここに上がってくる用のハッチから首だけを出してこっちを見ていた。
何時からいた……いや今来たところか、話しかけずにずっと俺の事を見てたってんなら相当の変態だし、ていうかそれだったら俺も気付くだろうし。
ていうか今何時か知らんけどなんでこんな時間に起きてるんかね、いやまぁ俺が言えたこっちゃ無いけどさ?
とりあえず横になったまま体を転がして肩を地面につけつつ首だけをニックの方に向け……む、むけゲホッ、雪が邪魔でニックが見えない!
雪に埋もれてて忘れてたわこんだけ積もってるっての、でも起きるのはだるい、アザラシになりたい。
とりあえず手で雪を掻いて目の前の視界だけは確保したぜ、で? 何の話だっけ、ああ目の前のヒモ男はなんで起きてるんだっけ?

「どうかしましたか? こんな時間に、眠れないとか?」

「いやどっちかっていうとこっちの台詞だけどさ」

「先に言ったんだからこっちの台詞です」

「……まぁ喉渇いたから起きただけだけどさ」

「へぇー」

「聞いたの船長だよね……?」

「いや平凡すぎてどうでも良いなと」

両者要領を得ない中身の無い言葉の応酬って、なんとなくふわふわした感じが安心するよね。
上半身だけ体を起こすと、髪の毛やジャージに積もってた雪が一斉にドサドサ下に落ちた、まだ微妙についている所為か体中に変な違和感がある。
うわジャージにへばりついてる雪が大変な事になってる、払っても取れないし、あー面倒臭いなぁもういっかほっとけばそのうち溶けるかな。

「……プフッ」

それを見たニックが後ろ向いて手を押さえて口から息をもらしやがった、何笑ってやがりますかこのヒモ野郎は。

「おいなんか口から息が漏れましたよニックちゃーん?」

「い、いや船長もなんか女の子っぽい所というか可愛らしいとこがあるなって」

うわぁい二つの意味で全然嬉しくないしプラチナムカつくんだけど、その緩い口永遠に開けないよう綺麗に固定してやろうかメーン?
俺今の見た目十代の少女だけど中身二十代も折り返し過ぎたおっさんだからね、本格的に加齢臭と体脂肪が気になり始める頃だからね。
うん言ってて悲しくなってきたけどまぁそれは置いとこう、ていうか心の隅のゴミ箱フォルダから闇の彼方に葬ろう。
違う違う話が逸れた、このヒモ田ヒモ男君はただ起きてきただけと、だったら水飲んで早く寝とかないと明日が辛いぜ?

「もう寝たらどうです? 明日朝起きるのが辛いって言っても叩き起こしますよ」

「あー……いや、目ェ覚めちゃったよ、船長は寝ないの?」

「寝ない、ってよりも寝れないが正しいですねぇ」

「そ、そうなんだ……あ、そうだ喉が渇いたんだ、どう? 一杯だけ、さ」

「明日の修行に響くからって言ったのは何処の誰でしたっけ~?」

「い、一杯だけなら大丈夫だようん、それに寝付くには少し必要かな~と」

「さいですか、まぁどーせ持て余すのに忙しかった時間です、偶の洒落込み位付き合ってあげましょうかね」

「はいよ」と言ってニックが建物の屋根に積もった雪を足で払いのけて木で出来たハッチの蓋を空けて梯子を音を立てながら降りていく。
ハッチの梯子を降りてすぐそこの階段を下りたらキッチンは直ぐだから、ニックがこの場所に戻ってくるのに三分と経たなかった。
手に持ってるのは……ビール瓶かな? なかなかグッドなチョイスじゃあないか、酒盛りするにしても寝付く為の薬にするにしてもパーフェクトだ、ウォルター。
とりあえず屋根の縁から足をぶら下げて腰掛けて隣にニックを座らせる、なんで雪と一緒に落ちそうになってるんだこの男。
後コップは持ってきてないのね、あの泡味わって飲むのがまた良いのに……まぁいいか、今日はビールの喉越しオンリーで楽しもうかね。

「んじゃあ、えーと、この良き旅路に乾杯」

「あ、乾杯」

早速ニックが持ってたビールを一つ拝借し、その瓶の蓋を親指でコイントスみたいに弾き飛ばして一気に呷る、妖怪の力ってこういう所便利。
あ~この喉にくる炭酸がたまらんねコレ、一方ニックは栓抜きを持ってきてなかったようで自分の能力で空けようと頑張ってる模様。
必死に鋼のヒモ作って引っ張ってるのはいいんだけど、手に付く雪と汗の所為で瓶に水分が付き、それが凍って尚滑ってる模様。
しゃーないので俺の瓶同様親指で蓋を弾き飛ばしてあげた、滑らないのかって? んなもん力尽くですよ。

「……船長のその力は能力なの? それとも自分の力?」

「両方」

「俺は今両方に自信を失くしたよ」

「多分修行してれば恐らくそのうちきっと何とかなると思いますよ」

「ものすごく曖昧なフォローをありがとう、更に不安になってきた」

「だーいじょうぶ大丈夫、やれば出来る成せば成る」

そのうちニックも覇気でドン! とかやらないかなぁ、うーんニックがやるとなんかギャグっぽいかな……え? ルフィでも? それ以上いけない。
まぁニックもそのうち強くなるでしょ、ウソップでさえそこそこ強くなったしニックはなかなか使い勝手のいい悪魔の実の能力者だしね。
今度ちょっとニックと練習試合でもしてみようかな、どれだけ自分もニックも能力を掌握できてるか見てみたいし。
あぁ、酒が回ったのかちょっといい気分になってきた、雪見酒に月見酒……うーんそういうのはビールには合わないかなぁ。
やっぱそういうのは日本酒だよね、日本酒……あーでも月見ならワインも捨てがたいなぁ。
いやビールもいいよ、特になにか話をかけようとして必死にタイミングを探している隣の仲間に話を聞くのには丁度いいかもね。

「それで、一体何の話なんです?」

「……何の話って?」

「貴方は喉渇いて起きただけでこんな所来るんですか? どーせ私の事探してたんでしょう」

「……敵わないね、船長には」

うんどちらかと言うと君が隠し事をするのが不得意すぎていると言うのが原因なんだ、別段凄い人じゃなくてもそれくらいは察せると思う。
そりゃあ隣でチラチラ なにかをはなしたそうに こちらをみている! ▼ みたいな事やってたらね、誰でもわかるわ。

「えーと、話したい事は……二つあって」

「はいはい」

「一つは、そのジャージなんだけど」

「物置から勝手に拝借しました」

「あーなるほど……次からは事前に言ってくれたらもっと綺麗にして貸すよ」

「いえ、勝手に借りた物にそこまで望みませんけど……」

いやー……そんな事を気にしてたのか、勝手に借りてた物を怒らずに次はもっと綺麗にって、いやー……真面目だなぁうん。
ちょっとなんか自分の適当さとニックの溢れる善意が俺の胸にダイレクトアタックしてきたね、あー胸が痛い。
やめてそんな照れくさそうでいて優しい笑みで俺を見ないで! 溶ける! さながら気を叩き込まれたカラクリの様に溶けるっ!
いかん……いかん! 危ない危ない危ない……危うく浄化されてしまう所だった、なんでコイツ海賊やってんのホント。
落ち着いた、すごく落ち着いた、やめやめこの話は早くも終了ですね! 次の話に行こうか!

「そ、それで? 二つ目ってのは?」

「えっと……その……」

「ん? なんか言いにくい事なの?」

「え、エリーちゃんの事なんだけど」

エリーちゃんの事? あんまり懐いてくれなくて困ってるとか? それだったらむしろこっちが相談に乗ってほしいけどね。
それとももしかして……ほ、惚れたとか? そ、それはいかんよニック君! 相手は見た目小学生の穢れを知らぬ少女だよ!?
こ、この言いにくそうな感じ……ヤバイ! 俺の憶測が確信に近づいてきている! 止めるんだニック! 殺されるぞ! ア○ネスに!
どどどどどうするよ俺!? 船長として正してやるのか!? しかし人の恋路を邪魔するわけには……!
あァ! どうすりゃあいいンだァ! ちくしょう来いよア○ネス! 仲間の為に戦ってやンよォかかってこ

「あの子、仲間にするの……?」

「……へ?」

仲間に……? ん? これはどういう質問だ? 仲間同士の恋愛は海賊としてまずいんじゃあないですかって事か?
いやいやそれだったら年齢の事を最初に気にするべきだろうし、え、君はもしかして小学生なら当然結婚できるだろJKみたいに考えているのかな? かな?

「いや……あんな小さな子を海賊の仲間にするなんてのは、えと、この先危ないんじゃないかって……」

……あ、ああうんそういう事ネ? エ? モチロンワカッテマシタトモ、アタリマエジャアナイデスカ、ネェ?
まぁ確かにこの先危険になっていくだろうけどさ……うーん、助ける為とはいえ無理矢理元住んでた場所から引っぺがして船ン中入れたわけだし……。
あ、もしかして俺が恐がられてる理由ってそれなんじゃ……いやよそう俺の勝手な予測で皆を混乱させたくない……。

「まぁしばらくは海軍から引き剥がすためにこの船の中で働いてもらいますけど……うーん」

「えと……それは仲間にするって事なんじゃ……」

「んー、まぁしばらくは?」

そりゃ俺だってエリーちゃんには普通の幸せな暮らしをして欲しいけど、海軍が狙ってるってなると話は別だ。
一番最初に出てくる問題としてどこで暮らさせるんだよって話、何せ海軍なんてこの海のどこにでもいるし。
海軍がいない未開の地にエリーちゃんを置いていくわけにもいかないし、海軍の権力が届かない場所って言っても……。

あるじゃん、そういえば。
あーでもコレをするなら……いや元々の俺の目的に+αするだけだしいいかな。

「ニック、白髭海賊団って知ってます?」

「まぁ、海賊なら誰でも知ってると思うけど」

「その海賊団は強いのもあるんですが、自分らの縄張りと称して魚人の島を保護したりしてるらしいんです」

「へー……やっぱ強い海賊ってすごいんだなぁ」

「いやそうではなくて、分かりません? その縄張りでは海軍の権力は無と化すのですよ」

「……ああ! なるほど!」

「そゆこと、エリーちゃんはそこで保護してもらいます」

幸い、白髭のおっさんはエリーちゃんの力を利用しようと思うほど小者ではない。
なんとか話を通せば(無断で置いていくのもなんなので)無料でとはいかないけどなんとかなるだろう。
酒か労働かあるいは……恩義か、そうするとエースを助けるついでに白髭のおっさんをちょちょいと助ければ……。
いやエースが助かれば白髭のおっさんもかなりの確立で生存するだろう、多分。
よし決定、しばらくの目標は定まった。

「……で、その縄張りってのはどこにあるの?」

「縄張りの発見に白髭との接触、やる事は山積みですね」

「あ、分からないんだ」

「私にだって分からない事くらい……ある」

他にも戦争の参加に人命救助エクセトラエクセトラ、もっと細かく挙げていくと胃が痛くなるからこの辺で。
戦争の参加っていっても白髭勢に短時間でそこまで取り入る事をしなくちゃいけないってのは……きついな。
退屈しなさそうだけど……そこは喜ぶところか否か。

「まぁ今やれる事から始めますかね」

「今やれる事って?」

今やれる事……んー。



「この雪の除去方法の考案と海王類の捌き方の研究ですかね?」




















さくしゃ:まて はなせばわかる

あや:もんどう むよう


――後書きコーナー

アヤ「はい失踪寸前までいきましたこの小説、全部言い訳の仕様が無く作者のせいであります」

アヤ「弁明は見苦しいので省略、言い訳する前に手を動かすべきですね、すみませんこのような作者で」

アヤ「さてさてえー前回からいくつか感想頂き真にありがとうございます、すみませんこのような作者で」

アヤ「えーと……『あの時スモーカー君を無視して船に戻ってたらどうだったの……』」

アヤ「…………そのはっそうはなかった」

アヤ「えーと『台詞と地の文の区別がなく、無駄な行空けがある』……」

アヤ「無駄な空行については今回デストロイしました、地の文と台詞……ええと、えと」

アヤ「もうちょっと三人称小説の勉強が必要ですね……(ラノベを取り出しながら)」

アヤ「さて、今回はこの辺で」

アヤ「随時感想、指導、罵倒など募集しています……作者がですけど」


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