ゾロから逃げつつふらふらとバラティエの裏側に入っていくと窓からいまだ食事中のウソップとナミさんを発見、ゾロ1人だけ食い終わったのか。
あ、店の近くっていうか上にカラスの刃九郎連れていけないのであの子は船の上でお留守番、ゾロの手によって焼き鳥にされていないことを祈ろう。
いや多分返り討ちだろうけどね…主要メンバーすら返り討ちにしてしまうってやばいな、今考えると。
あんまり適当なことすると即物語狂って主要メンバーが弱くなる可能性があるからなー。
かといってここを抜けるとやることがない…なければ作ればいいんだけどさ、夢とか。
でもここにきた以上物語にはからんでいきたいし…ワンピースの世界きて物語関係なく死んでいきましたってのはちょっと…。
あーでも一味抜けつつ物語の裏で暗躍するってのはちょっと格好いいかもしれない。
難しいもんだな、まぁそんなこと関係なく自分の楽しいことやっていけばいいんだろうけどさ。
とりあえず船長への借り返しておきたい…あれでも食糧難乗りきらせたってのは借り返したうちに入らないかな?
いかんいかん何で俺一味抜ける前提で話持っていってるんだ?からみたいっていったじゃん。
あーくそ頭痛い、こういう考え事するのは俺の性に合わないのか?ていうか最近変頭痛ひどいな。
「アヤ?そんなとこで何やってんだ?」
「うぇ?ああ、船長ですか…いえ少し考え事を」
船長…かー、何か適当についていくって決めたんだよなー。
自由に生きられそうだから、だっけ?海賊ってのは基本自由なもんだし面白そうだから…。
思えばあの時から自由になりたいとか言ってたんだよな…別に何かにとらわれてる訳じゃないのに。
自由か…自由って何だろうな。
あぁ今日は特別頭痛がひどい。
「で、船長はでっかい袋二つ持って何やってるんですか?」
「雑用」
「さいですか」
ゴミ捨てでもやってたのか、いややってるのか現在進行形で。
なんていうかこの人は…この人こそが自由って感じだよなー。
好き勝手に海を冒険して仲間作って…。
それに比べて俺は何やってるんだろうな、原作こわさないように気を配って仲間の成長に気をつかって…。
「船長」
「ん?」
「私、あなたの船降りさせてもらいます」
不意に自分の口からそんな言葉が滑り落ちた。
ついつい勢いに任せて言ってしまっただけだ、本当にそんなこと思ってるはずが…。
否定する材料を頭の中で探してもどこにも見つからない、ナニガシタイんだろう俺は。
自分でも意味が分からない、気でも狂ったか?
「…なんでだ?」
「少し、整理する時間が欲しいのです」
はは、口に出してみると馬鹿馬鹿しいな。
ルフィからすると何言ってるか分かんないだろこれじゃ、何考えてるんだ俺は。
でも、ルフィなら止めてくれるかね?俺が強くてアレでも受け止めてくれるかな?
「そっか」
…結構意外な反応だな、こう熱く止めてくれるのかと思ってた。
それこそ俺のおごりか、やることなくただボーッとしてるだけで働かない奴を止めておく義理なんてないしね。
夢もなく目指すものもなくただその時その時に気をつけて、ははずいぶん馬鹿らしい生き方だこと。
自分でも笑っちまうくらいに酷いわ。
勢いで突っ走ってぶつかったときにする行動は甘えってか、はは。
なんだろう、途端に自分がおかしくてたまらない。
まるでこの一味を抜けたくてたまらないみたいな自分と何すればいいかわからない自分がいる気がする。
ぬけたくてたまらないじぶんがじぶんをワラッテルきがする。
あーなんかあれだな、考えなおすと自分が阿呆みたいに見えてくる。
いや実際そうなのかな、俺何のためにこの世界に着たんだろうか。
そう考えてると今の自分が惨めで恥ずかしくて今すぐ海に飛んでいきたくなる。
ルフィはどう思ってるんだろう?勢いで入って勢いで抜けてく軽いやつだと思ってるかな?
いやそもそももう仲間とも思ってないかな、まぁ当然だよな。
「少しだけですが、貴方の仲間になれて楽しかったです」
「いや、それは違うぞ」
…そっか、こんな軽い奴仲間でも何でもなかったんだな。
ははは、何を自惚れてたんだ俺は馬鹿みたいじゃないか全部全部。
いいや、もう行こう自分がここにいる必要はもうないって叫んでるから。
「船降りてもお前はおれの仲間だ、帰りたくなったら帰ってこい」
「…ありがとうございます、ルフィ船長」
もう、いこう。
何をしたいのか考えよう、そして帰ってこよう。
仲間…仲間か、はは、は。
鴉は海に を馳せる
第十六話 自分の思考がジブンのしこうがじぶ んが
メリー号に降り刃九郎を呼ぶ、呼ばれた刃九郎はすぐに俺の肩に乗った。
『アヤ様、どうなされました?』
「この船を降りるわ、行くわよ」
『…この船の者たちは仲間じゃなかったので?』
「仲間よ?大事な 大事な」
さぁ、行こう刃九郎。
あまり俺にものを考えさせる事をいわないでくれ、頭が 痛いから。
ただ飛んだ、グランドラインまでまっすぐ。
グランドラインまでの方向は分かっている。
大丈夫だ、『あの人たち』とはすぐ会える、そんなに悲観することでもない。
何をそんなにあせっているんだ俺は、もっとゆっくりいかないと刃九郎が。
近くの孤島にそっと着地する、刃九郎を待たないと。
そんなことを考えた矢先、ぐるりと世界が回った。
空が真正面に着て、地が背中につく。
あ、そういえば昼寝の時間だ。
刃九郎がくるまで ゆっくり寝よう。
いつもいつも夢を見るんだ、男二人が争う夢。
いつもは霧がかかって全然見えない夢、ノイズがかかって聞こえない夢。
昼寝をしても夜普通に寝ても二度寝してもいつもいつもいつも同じ夢を見るんだ。
いつもはボンヤリと影しか見えないのが、今日は少しだけよく見えた。
灰色の服を着た男が白衣を着た男の胸ぐらをつかんでいた。
ここは、病院?白い壁が周り一面を囲って白い花瓶に白い花が咲いていた。
よく見ると灰色の男は白いベッドに横になり上体を起こした状態で白の男に怒鳴りかかっている。
怒鳴っている声は相変わらずノイズばかりを吐いていて全然聞き取れない。
『――――――――――――!!!』
うるさい、でかい声を出すな頭が痛い。
『――――――――――――ま!!』
うるさい、静かにしてくれ。
『こんにちわ、調子はどうですか?』
夢の世界に声が響いた、耳障りは良くない、頭が痛い。
『良くはないようですね、どうしたのです?せっかく自由になれたのに』
自由って、なんだ?どういうことだ?あんた誰だ?
『さぁ、自分の脳で考えてみては?もっともその頭痛のひどい脳では考えられませんか?』
うるさい、だまれ。
『おやおやこわいこわい、与えられた自由は満足できませんか?』
自由に?そう思うのならここから出してくれ。
もう白いのを見るのも嫌なんだ、霧がかかって前が見えない。
『…どうやら頭がこんがらがっているようで、何を言ってるのか分かりませんよ?』
うるさい、頭痛を止めてくれ、手足の震えを止めてくれ。
もういやだ、助けてくれ。
『…貴方の従者が呼んでいます、そろそろよい子はお目覚めの時間ですよ』
『アヤ様!どうなされました!?』
うるさい、静かにしてくれ…あん?ここどこだ?
メリー号は?皆は?
俺は一体、何してたんだ?