管理局内、待機部屋にて「む、んん……はあ……」 照明に照らされた一室にて苦悶の表情に歪む女性がいた「なんだ?もう降参か?」 そんな彼女に、満面の笑顔で語りかける男性「なんだと?うっ……ん、んん……」 彼の執拗な攻めに対し、必死に抵抗を試みるも「なら、これでっ」 あまり効果はなく、彼の右手が静かに前へと置かれる「なっ!?ああっ……そこは……駄目だ……」「ほれほれ、どうした?」 いやらしいく、手をワキワキさせながら更に左からも責められる「やめろ……あぁ……そんな……」 とうとう彼女を絶望という名の敗北が襲いかかる「ふっふっふ……」「……やめろ……そっちはっ……」「烈火の騎士も、こうなっては型なしだな」 静かに俯く彼女に対し、見下すような視線と下卑た笑顔を浮かべながら言う「言わないでくれ……」「さて、どうしよっかな~」「ちょっ……待ってくれ……」「無理、俺はもう待てない」 両手を前へと突き出し、待ってもらおうと懇願するも許してもらえず「お前は……最低だな。ロリコンの癖に……」「誰がロリコンだ。まあいい、そのロリコンにいいようにやられてる癖に?」「……もう、好きにしろ……」 最後には、全てを諦め、なすがままとなるシグナム「潔い、では……」 そうして、彼女が不安げに見つめる中、千早の手が最後の一手を決める……「王手!」「くっ!不覚……」 千早の持つ駒が、シグナムの目の前で王将の目前に置く……「これで俺の三連勝だな~シグナム」「変態の癖に……」「俺、ゲームは得意だかんね。前は子供たちと色々遊んだもんだ。懐かしい。後、変態関係無え」 本日は待機任務の二人がいた。なのはやヴィータは新人達の訓練を見ているため、事務仕事をしようとしていた千早である。そうして、仕事も終え何しようかと考えていた所に外勤から帰ってきたシグナムに遭遇してしまい、「む、お前もこれから暇か、なら」とそのまま手合わせとなりそうになったので、「いや、今日は無理。代わりにこれで勝負しようか」と相成ったわけで、つまりは将棋である。何を言っているか意味不明なのはわかっている……「しかしだな、俺はいいとして。お前は訓練を見ないでいいんかい?」 未だに、納得いかないのか、盤を睨んでいるシグナムに向かい聞くと「ああ、私は古いタイプの騎士だからな……」 盤から目を話すと、少し遠くを見つめるような視線で静かに呟く「ああ、古いな、このメンツの中で一番年増ぽいし」「……そういう意味の古いではない」 微妙に食い違う意見を言う千早に対し、真顔でデバイスを展開すると切っ先を鼻先に向ける「そこで、レヴァ剣構えるな」「貴様は一度、脳を叩き割ってから作り直す必要がある」「やめい。俺が死んだら全国数百万以上の幼女達が悲しむ」「喜ぶの間違いだろ」 そういうとそのまま天井へと切っ先を向けると、振り下ろす。「おまっ!?今絶対当てようとしただろう?」「当てねば意味がないだろうが」 そうして、しばらくシグナムに斬りかかられ続けるハメになるのである。「はあ、はあ、はあ……」「ふう、ふう……OK、話しあおう。このままではせっかくの待機が台無しになってしまう」 しばらく、斬りかかっていたが、流石に疲れたのか息が荒いシグナムに対し、休戦を申し込む「お前が言うな。お前が」 大きなため息をつき、息を整える。流石というか、既に呼吸は整っていた「でも最近思うんだ」「何がだ?」「俺ってロリコンなんだろうか?って」「今更そこか!?」 こいつは何を言っている?目の前で真剣に悩む男に、唾を吐きかける勢いで突っ込む「いや、基本小さい子が好きなんだけどな。じゃあ、キャロとエリオどっちを選べって言われると……」「いや、そもそもその選択肢はどこからきた?」「無論、どちらも愛しているのだけれども」「だから、人の話を聞け」「なんか、ほんの少し、少しだけキャロへ好意が偏るんだよな。変だと思わないか?」「先程からお前の言動全てが変だと思うのだが」「そうなんだよな~たしかに、俺は小さいものが好きだけど、最近幼女の方へと……」「だから、お前は人の話しを聞けと……」「だから、真面目な話。どっちかしかお風呂に入れないとしたら、俺は間違いなくキャロを選ぶんだろうなって」「どこが真面目な話だ。とりあえずそうなったら全力でお前を斬るからな」「いや、これが結構真剣、ほら、やっぱりお互い裸はまずいわけで」「いや、それ以前に、色々と問題がある事に気づかないのか?」「ん?やっぱり水着着用の方がいいよな。裸は流石に問題だよな。やっぱ」「いや、だから水着以前の問題であって……」「ところで……」 しばらく咬み合わない会話を繰り返していたが、少し間を開け……「スクール水着って何歳までだと思う?」 …… ……… ………… …………… ……………… …………………「知るかぁぁあああ!!!」 思いっきり殴られた、グウで……「おまっ!拳で直接打撃って痛いじゃないか」「知らん!お前がさっきから訳のわからんことを聞いてくるのが悪い!」「訳がわからんことはない。スク水はいくつまでか?って聞いているんだ!」「それが訳がわからんと言っている!!」「なんだと!?お前はスク水着ないのか!」「そもそも、そんなもの着る必要がどこにある!!」「だから!風呂入る時に決まっているだろうがぁあ!!」「私は入浴の際、何も着ない!!」「そんなの当たり前だろうがぁあ!!誰がお前のスク水見たいって言った!!年増がぁあ!!」「誰が、そんなもの見せると言った!!この変態ロリコンがぁああ!!」 顔面を擦り付けん勢いで言い合う二人、その声は室内だけでなくドアを隔てた外へと漏れていた…… …… …………「え、えっと……」「ちょっと出掛ける事、言っとこうと思うたけど、やめといた方がええね」「そ、そうみたいだね……」 廊下で、二人頷き合い苦笑する。片方は引き笑いであるが……「しかし、いつの間にあんな仲ようなったんやろうな?あの二人」「そ、そうだね。そっとしておいてあげようか」「そうやな。下手に関わってこっちに飛び火されてもかなわんし」「それがいいと思うよ。はやて、さ、行こう」「ちょう、腕引っ張らんといて」 そのまま、脱兎の如くはやての腕を引っ張ると去っていくフェイト、その様子に苦笑しながらついて行く。背中の方では、未だ大きな声で言い合いをする声が廊下まで木霊していた…… 機動六課は今日も平和である……「まったく……これだから年増は……」 文字通り肉体言語で話し合った後、シグナムと別れた千早はブツブツと文句をたれながら歩いていく<まったくです。マスターそもそもスク水は8歳までが限界だと私は思います>「ふむ、なるほど。だが、私は12歳までならいいと感じるが」<それは何故ですか?>「確かに、あの紺色の表面は水平線が良く似合う。だが!そこに控えめなまさに大陸と呼べる膨らみがあるのも、また良い」<確かに、それは良いかもしれません。しかし、やはり水平線を超えた先にある、腹部の膨らみもまた良いものですよ?>「なるほど、少し考えをまとめる必要があるかも知れんな」<そうですね。しかし、私はこうも思うのです>「ほう、なんだ?」<キャロちゃん、ヴィータ女史は似合うのは当たり前だと思うのですが>「ふむ、当たり前だな」<では、エリオ君は?>「……なんだと!?」<そう!あえて幼女にしか似合わないとされるスク水を少年に着せる。なだらかな水平線にそびえ立つ小さな小山……それを恥ずかしそうに前かがみになって頬を染める少年……ああ、私がデバイスでなければ……>「ガングニール貴様!」<はい、マスター>「……よくぞ……よくぞっ!そこまで!確かに私は常識に囚われすぎて発想が貧困になっていた……確かに、いい!活発なエリオ君にはスク水は似合う。そこに気づくとは……私もまだまだだな」<これも、マスターの日頃の教えの賜物です>「ふむ、良いデバイスに育ったな……よし、今日はスク水記念ということで一杯やるか?」<いいですね。私も飲みたい気分です……あ、といっても私飲めないんですけど>「わははは!よし、行くぞ!」<YES MY MASTER> 爽やかな笑い声を木霊させながら歩き去っていく変態達?その光景を、温かい目で見守る女性職員、その視線に対し、同情的な視線を送る男性職員。しかし、一部の職員の中には羨望の眼差しで彼を見つめる職員も結構いた……大丈夫か?機動六課。だが、そんな平和を打ち砕くようなアラートが局内に鳴り響いた……奇しくも、彼の機嫌が最高潮の時であった…… 話は淡々と進む……旅?うん、ちょっと出かけたよ?