時空管理局 次元航行部隊 L級巡航船 アースラ 現在航行中の船の中、ミーティングルームに集まるメンバー達、はやてが来るまで時間があるので雑談に華を咲かす。「アルトさんとルキノさんが」「うん、アルトは療養中のヴァイス君に代わってヘリパイロット」「ルキノはアースラの操舵手」 ティアナの質問に答えるなのはとフェイト。「アルトさんヘリのライセンスなんてお持ちだったんですね」「うん、元々ヘリは好きだったしヴァイス陸曹にも色々教えてもらってね」「で、ルキノさんも」「この船、私の前の職場なんだ。艦船操舵手になりたくてね、ここで事務員として研修しながら操舵ライセンスをとったんだ。」 キャロの質問に笑みで答えるアルトと操舵中の為通信パネルで同じく話をするルキノ。ある程度盛り上がった頃に扉が開かれる。「ああ、みんなおそろいやな」「失礼します」 扉から室内に入るはやてとグリフィス。「ちょうどよかった。今、機動六課の方針と行動が決まった所や」 中央の奥の椅子に腰掛け皆に今後の方針を説明する。その傍らに立つグリフィスより今までの経過が語られる。「地上本部による事件への対策は、残念ながら後手に回っています。地上本部だけでの事件調査の継続を、強行に主張し本局の介入を固く拒んでいます。よって、本局からの戦力投入はまだ行われません。同様に本局所属である機動六課にも、捜査状況は公開されません」 グリフィスの説明を静かに聴くメンバー達。ここまでされて未だに面子を重視する体制に呆れざるを得ない。「そやけどな、私達が追うのはテロ事件でもその主犯格のジェイル・スカリエッティでもない。ロストロギア、リリック、その捜査線上にスカリエッティとその一味がおるだけ、そういう方向や。で、その過程において誘拐されたギンガ・ナカジマ陸曹となのは隊長とフェイト隊長と千早隊長の保護児童……って千早隊長はどうしたん?」 ここまで話をしていたはやてが、千早がいないことに気づく。「はやて、今気づいたの?」「私、てっきり千早君のこといない者として話を進めていたと思ってた」 はやての言葉に苦笑しながら答える。というかフェイトは別としてなのはの答えが余りにも酷いので思わず苦笑してしまう。「で? あの馬鹿は何してるん? 何か聞いてるなのはちゃん、フェイトちゃん」 先ほどまでの重苦しい空気が一転、緩やかな空気がミーティングルームを支配する。「えっと、確か決戦に向けて戦力向上を目的とした修行を行うって……」「そうそう、なんだろう? 何かたった一日で一年修行できるとかなんとかって……」「あの馬鹿は異次元空間かなにかで修行しとるんか……」 ものすごくアバウトな説明を聞いて項垂れるはやて。「ま、まあ、千早君だから……」「そうだね。あの千早なら異次元でも亜空間でも生きていけると思う」「お二人共、微妙に褒めてませんよね? ここに来る前にお会いしましたけどかなり疲労している様子でした」「どんな様子やった?」「そうですね。久しぶりに女性の姿で、ものすごく疲れているというかげっそりしていました」「え? それ本当に? ティアナ」 ティアナの説明に身を乗り出すフェイト。その様子を苦笑しながらなのはが、「あはは、そういえば千早君って変身魔法を使用して自分に制限をかけてるって言ってたよね」「はい、なんでも自分の嫌いな物に自ら変身することで魔力負荷をかけてる、とおっしゃっておられました」「うん、それ聞いた事ある。例えるなら数倍の重力で生活するようなものだって言ってた」「相変わらず訳のわからん理屈で生きているなあ。まあええわ、それで話の続きやけど……誘拐されたギンガ・ナカジマ陸曹と三人の保護児童ヴィヴィオを救出する」 とりあえず、千早の事は放っておいて話を進めるはやて。「とりあえず、そういう線で動いていく。両隊長意見があれば」 これまでの経緯とこれからの行動指針を説明したはやてが二人に意見を促す。「理想の状況だけど、また無茶してない?」「大丈夫?」 アースラの確保、地上より睨まれている六課のこれから行おうとしていることに対しはやてが無理や無茶をしているのではないかと心配そうな表情の二人。そんな二人に笑みを浮かべながら、「後見人の皆さんの黙認と協力はちゃんと固めてあるよ、大丈夫。何より、こんな時の為の機動六課やここで動けな部隊を起こした意味が無い」 補足説明するはやて。「了解」「なら、方針に異存はありません」 後は行動を起こすだけそう決意を固めると全員頷く。そうして皆思い思いミーティングルームを後にするのだった。 その頃、我らがオリ主こと、最上千早は……「むむむむ……」<マスターこれ以上は危険です>「大丈夫だ……まだやれる。いや、やらねばならんのだ……」<しかし、これ以上の負担は……>「いいか、私は騎士ゼストに完敗した。あの時は奴を足止めすればいいと思っていた、しかし、結果はこれだ。ボロボロにされた者もそうだが……何より、ヴィヴィオを奪われた。これ以上の失態は無い」<しかし、あの時はこうするしか……>「それは言い訳に過ぎん。いいか幼女を守れんで何がロリコンだ。私は今ここで強くならねばならんのだ」<マスター>「お前にはいつも負担をかける。すまんなガングニール」<いえ、私は常にマスターと共にあります>「そうか、なら行くぞ」<はい!> そうしてひたすらに修行へと没頭していく。何が彼らをそうさせるのか、それは全ては幼女の為にである。そう幼女の為なら例え女性化しても問題無い、そう幼女の為なら……<やOないか?><うほっ……> 画面一杯に流れるガチムチ男達の共演を見ても問題無い。そう全ては幼女の為である……「やばい……吐きそうだ……」<マスター我慢です。では行きますよ? 魔力を集中して下さい> 女性の姿でガチムチの共演を映し出しながら魔力弾を放出しては、自分の身体で受け止める。この繰り返し、そう彼は今限界に挑戦しているのである。 彼の原動力であり魔力の根幹である『小さい可愛い者』それと相反する者を見つめながら、尚且つ魔力消費の激しい変身魔法で女性化した状態で、更に魔力を消費させる。あまつさえそれだけででも、彼にとっては地獄のような苦しみの中での自傷行為。 完全にキOOイ行動である。しかし、彼は真面目にこれをもう24時間行っていた。全ては幼女の為、己を強くする為に…… それぞれの思いが交差する中、ゆるやかに最終局面へと時間が進んでいく。 緊急アラートがアースラ内に鳴り響く。全員が各部署にてモニターにて状況を確認する。「アイヘリエル一号機 二号機 戦闘機人達撤収が始まっています」「前回よりも動きが早い」「早めに叩かんと取り返しがつかんことになるんやけど、嫌な感じに拡散してる。隊長達の投入はし辛いな」 モニターで状況を確認しながらはやてがごちる。その状況は他のメンバー達にも伝わっていた。 別の場所でアコース査察官からの情報と共に、戦闘機人達が地上本部に向っている事などを詳細な状況をモニターで確認するなのは達「ふむ、どうやら動きだしたようだな」「千早君? というかどうしてそんなにボロボロなの? 大丈夫なの?」 遅れて来た千早を見て驚くなのはだったが、「ああ、気にするなボロボロなのは服だけだ。それより、状況はどうなっている?」 今はそれどころではないと、制止し状況の確認をする。「今、アコース査察官よりスカリエッティのアジトが発見されたとの報告が、それと戦闘機人達がアインヘリアルを占拠、その後市街地へと分散して移動しているようです」 千早に状況を説明するアルト。「分散されたか、それに……」 モニターに映し出された人物に驚愕するなのは達、そこには誘拐されたギンガ・ナカジマ陸曹の姿が映し出されていたからだ。そこに映し出された彼女は、他の戦闘機人達と同じ格好でしかも彼女らと一緒に市街地を地上本部に向けて進んでいた。しかし、彼女達を驚かせるものはそれだけでは無かった……≪さあ、いよいよ復活の時だ。私のスポンサー諸氏、そしてこんな世界を創りだした管理局の諸君、偽善の平和を謳う聖王協会の諸君。見えるかい? これこそが君達が忌避しながらも、求めていた絶対の力≫ モニターにはまるで自分に酔ったような雰囲気で演説するスカリエッティ、そうして震動と共に浮かび上がる巨大な物体。≪これが聖王のゆりかごだ。見えるかい? 待ち望んだ主を得て古代の技術と英知の結晶は、今その力を発揮する≫ スカリエッティの言葉と共に流れる映像、そこには涙を流すヴィヴィオの姿が映し出されていた。「……いたいよ……ママ……こわいよ……」「ヴィヴィオ……」 泣き叫ぶヴィヴィオの姿に打ちひしがれるなのは達、もうモニターを直視していられない。「……私は着替えてくる」 画面が切り替わりスカリエッティの姿が映し出された頃、静かに踵を返し自室へと向おうとする千早。「待って下さい!」 そのまま立ち去ろうとする千早に対し呼び止めるティアナ。「貴方は平気なんですか!?」「ティアナ……」 悲痛な声で叫ぶティアナ。しかし、「今は耐えるしかない。今憤っても仕方が無い」 冷静な答え。「どうして……」 その答えに納得できない人物がもう一人いた。「どうしてそんな冷静にいられるんですか!? 貴方はいつも言っていますよね! ロリコンは幼女を守るって! なのに何故! ヴィヴィオがあんな目にあっているのに、貴方にとって幼女とはその程度のものなんですか!?」 その叫びも無視してそのまま歩き去って行く。しかし、なのはだけは気づいていた。彼が今まで一度も見せた事が無い表情をしていた事に、そしてそれをティアナ達に見せないようにと気遣っての行動だということも。「アルト、ティアナ……」 そんな彼の意を汲んで黙っておこうとも思ったなのはだったが、彼がいなくなった後にその事を説明するのであった……「……」<マスター> 誰もいない廊下を静かに歩く。<マスターよく我慢しましたね>「お前もなガングニール」 その拳には血が滲んでいた。<ええ、もう我慢が限界で私もう少しで擬人化しそうでしたから……>「私も久しぶりに……ああ、久しぶりに……なあ?」<ええ、私も初めてですここまで怒りを覚えたのは>「そうか、なら……」<ええ……><「スカリエッティ、お前だけはこの私がじきじきにぶちのめす」> 決意と共に自室へと戻る千早、最終局面に向かい各々が思い思いの準備を整えるのであった。どうもギャグが足りない…… 駆け足駆け足。