お久しぶりです……生きてます……「いやあ、実はな?今日これから本局に行くんやけど、よかったらティアナも一緒に来とくかって相談や」 訓練を終え通常業務に就こうとしていたティアナを呼び出したはやてが笑みを浮かべながら提案する「あ、はい」 困惑しつつも返事を返すティアナ「今日、会う人はフェイト隊長のお兄さん。クロノ・ハラオウン提督なんよ?」「はい」 意味が理解できてなさそうな彼女に苦笑しつつ説明するはやて「執務官資格持ちの艦船艦長さん、将来の為にもそういうえらい人の前に出る経験とかしといたほうがええかなって」「ありがとうございます。同行させて頂きます」 やっと意味を理解したティアナは嬉しそうに返答するのであった 一方その頃スバルはというと「あれ?ティアナは?」 一人コンソールの前で仕事しているスバルに疑問を投げかけるなのは「八神部隊長と同行だそうです。本局行きとか」 そんな彼女に対して、返答するスバル「そっか」 そう返事すると自分の席に腰掛ける「なのはさんも今日はオフィスですか?」「そうだよ。ライトニングは今日も現場調査だし、ヴィータちゃんは自由待機だし、シグナムさんとあのバカは外勤だから」「外勤?ですか?しかもシグナム副隊長と?」 千早が外勤なのを疑問に思うスバル、本来の予定であれば彼も今日は内勤であったはず、急な変更に何か事件でもと聞くと「なんでも前の部隊から呼び出されたんだって、えーと確か、201部隊?」「201ですか!?」「わっ!びっくりした。急にどうしたの?大きな声だして」 大きな声で乗り出してくるスバルに驚くなのは「あ、す、すみません……で、でもまさか最上隊長が201部隊出身だったなんて」「あーなんか聞いたら負けな気がするけど、その201部隊って?」 心底嫌な表情で質問するなのはに苦笑しながら「いやーなんていうか、あそこは陸上警備部隊の『陵心』と呼ばれてまして……」「陵心?良心じゃなくて?」「はい、あたしが元いた部隊でも有名でした。『絶対に目を合わせるな』って」「えーと、一応管理局員なんだよね?」「一応は……でも、なんとなくその部隊だったってわかる気がします」「?」 妙に納得した表情で頷くスバルに首をかしげるなのは「えーと、あの部隊の部隊長その見た目が……」「あーなんとなく理解したよ。うん、聞かなかった事にするよ」「あ、あはは……じゃあ、呼び出したのは……」「多分、その部隊長さんじゃないかな?はやてちゃんも渋い顔してたし……」「父さんから聞いた話じゃ、かなりやり手だそうですよ」「まあ、あの千早君の手綱を引くくらいだから……」「そ、そうですね……」「うん、考えるのやめ!とにかく今日は前線メンバー私とスバルの二人だけだから、頑張ろう!」 ごまかすように話題をかえるなのはに苦笑しながら「あ、あはは……何も起きない事を祈ります」 と答えるスバルであった…… フェイト、キャロ、エリオのライトニングのメンバーは、先日の事件の現場調査にヘリで向かっていた「地上本部にテロ行為?ですか?」「あくまで可能性の話だけどね」「確かに、管理局の魔法防御を破るのは難しいと思いますけど、ガジェットなら」「そう、対処しづらいと思う。魔法がダメなら質量兵器だけど、それは使用はもちろん保有も禁止だからね」「質量兵器?」 フェイトとエリオの会話を黙って聞いていたキャロが聞きなれない言葉に対し質問する「質量兵器は、簡単にいえば魔力を使わないで爆発させたりして攻撃する兵器のことだよ」「それって」 何か気づいたような表情をする「そう、魔力が必要ない分、誰にでも扱えてしまうものもある。中には子供でも」「そんな……」「だから、管理局はロストロギアとともに規制し続けてきた。だから今はまだ大丈夫だよ」「よかった」 優しい笑みで頷くフェイトに安心した表情で答えるキャロ、そんなキャロに対してミッドチルダと管理局の歴史を教えていくエリオ。その二人の姿を見つめながらフェイトは協会での事を思い出していた …… ………「情報源が不確定ということもありますが、管理局崩壊ということ自体が現状ではありえない話ですから」「そもそも、地上本部がテロやクーデターにあったとして、それがきっかけとして本局までも崩壊、いうんは考えづらいしなぁ」 難しい表情でため息を吐くはやて「いや、ありえない話じゃないわよ?例えば、そのテロやクーデターの首謀者と管理局の内部が繋がっていたら?もしくはトップとか」「……」 少しおかしそうに言う千早に、無言になる皆「また、そういう突拍子もない事を……」「例えばの話よ?まあ、本気にしないで」「言われんでも本気にしとらんがな……」「でも、もし、そうなら怖いですね……」「ま、まあ、本局でも警戒強化はしているんだがな」「地上本部の対応を考えると、笑って否定できないのです」「確かにそうともとれるが……ただ、単純にゲイズ中将は、予言そのものを信用しておられないだけかも知れない。どちらにせよ、特別な対策はとらないそうだ」「異なる組織同士が協力しあうのは難しいことです」「お互い嫌ってるものね」「ちょっと、あんたは黙っとこうか?」「はいはい」「まあ、好き嫌いは別として、こちらがいくら協力の申請しても、内政干渉や強制介入という言葉に言い換えられれば即座に諍いの種になる」「ただでさえ、ミッド地上本部の武力や発言力は問題視されとるしな」「だから、表立っての主力投入はできない……と」「すまないな。政治的な話は現場には関係なしとしたいんだが」「裏技気味でも地上で自由に動ける部隊が必要やったレリック事件だけで事が済めばよし。大きな事態につながっていくようやったら最前線で事態の推移を見守って」「地上本部が本腰を入れはじめるか、本局と教会の主力投入まで前線で頑張ると」「それが六課の意義や」「「「……」」」 その言葉を深く噛み締めるフェイトとなのは。そんな二人に対して申し訳なさそうな表情をするカリム「もちろん、皆さんに任務外のご迷惑をお掛けしません」「ああ、それは大丈夫です」「部隊員達への配慮は八神二佐から確約を頂いていますし」 謝罪するカリムに対して、静かに答える二人「そうね。私もロリトピア建国という大義名分をもらっ……あいたっ!」「ん、ちょっと黙ろうかな?も最・上・二・尉?」 二人に続いて真剣な表情で答えた千早にハリセンで突っ込むはやて、少し空気がやわらかくなったようだ「むぅ……わかったわよ」「ええと、まあ、大丈夫やから」「はい」「改めて、聖王教会教会騎士団騎士カリム・グラシアがお願い致します。華々しくも無く、危険を伴う任務ですが……協力をして頂けますか?」「非才の身ですが、全力にて」「承ります」「了解」(地上と海の平和と安全この子達も含めた部隊の皆の安全と将来、はやての立場となのはが飛ぶ空。全部守るのは大変だけど、私がしっかりしなきゃ……) 一人機内で決意するフェイト、そうして間もなく現場に到着するのであった…… …… ……… …………「それで?なんで貴方も一緒なのかしら?」「ああ、主の命令で貴様と同行するよう言われたのでな。貴様は誰かが監視しておかないと何をしでかすかわからんからな」 シグナムが運転する車の助手席で愚痴る千早、それに対し真面目に答えるシグナム、少し機嫌が悪そうだ「監視って、私が何かするような人間に見える?」「ああ、とりあえず鏡見ろ。何かしそうな物騒な変態が見えるから」「まったく、相変わらずね。私はただ小さいものが好きなだけよ?」「ああ、わかった、わかったから。ついでにその気色の悪い姿をなんとかしろ」 ちなみに彼女の今の格好は陸士隊の女子が着る制服を着ている。どこで手に入れたかは知れないが……まあ、協力者が誰かは解っている、フェイトである。最近はフェイトの協力もあってか、下着に困る事も無くむしろ、逆の意味で周りが困るくらい衣装が増えている。ワンピースにミニスカに果てはドレスまで、普段物静かな彼女が、恍悦とした表情で鬼のように試着させる姿を目撃したなのはに相談された時、頭が痛くなった。「貴方もそろそろ慣れたらどうなの?私はもう慣れたわよ。もうこのままでいいかもね」「無理だな。それからさらっと恐ろしいことを言うな」「なんのこと?」「もう、いい。貴様と話していると疲れる。さっさと終わらせて帰るぞ」 そう言うと車を止めるシグナム、大きな駐車場にはテロ鎮圧用の車両が数台止められており、目の前に白い長方形の建物が見える。その入口には『201』の文字「さ~て、懐かしの古巣へご帰還よ」 そう笑みを浮かべながら中へと入って行く千早を見て、眉間のしわが三割増しになるシグナムであった …… ……… コンコン ノックの音が廊下に響き渡る。扉には部隊長室の文字板が目に付く「は~い」 中から可愛らしい声が聞こえてくる「どうぞ~入ってください~」 そう言われ入室する二人「ふふ、久しぶりね……って痛い痛い、何よ?わかったわよ……」 普段通りフランクに挨拶しようとする千早の脇腹をつつく……殴るシグナム、その痛みに堪りかね「コホンッ……機動六課シルバー分隊隊長、最上千早二等陸尉、呼ばれて参りました」「機動六課ライトニング分隊副隊長、シグナム二等空尉です。初めてお目にかかります」 真面目な表情で渋々敬礼する千早と、苦い表情をしながら厳しい表情で敬礼するシグナム。対照的な二人の表情を見ながら「はい、初めまして。陸士201部隊で部隊長を勤めているレイティです。ふふ~堅苦しいのはいいですよ~お二人共」 ふんわりとした笑顔で言うレイティ「なら改めて、お久しぶりレイティ。相変わらず天使のような笑顔ね」「ありがとうございます~ちーちゃんもひさしぶりですねぇ。しばらく見ないうちに女の子みたいに可愛くなりましたねえ」「ええ、そうなのよ。最近は胸の大きさも気にならなくなってきたわ」「そうなんですか~たしかに大きいですね~うちの子達が騒ぐんじゃないかしら~」「あーあんまり思い出したくないわ……まあ、また押し倒すようなら吹き飛ばすけど」「あんまり無茶しないでくださいよ~ただでさえよく思われてないんですから~」「幼女に押し倒されるならまだしも、ガチムチの男に押し倒されもすれば施設の一つや二つ破壊してもおかしくないわね?」「……何故、そこで私の方を見る?」「なんか、押し倒されたことありそうじゃない?」「あるかっ!」「そうなんですか~それは大変でしたね~」「いや、あの……」「そうなのよ?シグナムって実は……」「ほうほう……それは~変態さんですね~」 シグナムの方へと視線を送りながらそっとレイティに耳打ちする千早「きっ貴様ぁあ!」 鞘に手をかけながら千早に対し今にも斬りかからん勢いで怒鳴るシグナムの姿を見て「あら?上官に向かって貴様?」「私斬られちゃうんですか~よよよ……」 ハンカチをあてながら泣き真似をするレイティ、その後ろに隠れて舌を出す千早「ち、違うっ!いや、違います。ですから……ぐぬぬ……」 二人にからかわれ、苛立つも流石にレイティがいる為、斬る事もできず唸るシグナム。この部下にしてこの上官かと思いながらレイティの方を見る。 身長はエリオくらいだろか、執務室の厳つい机に不似合いな小さな手で書類を書きながら千早と語りあう姿はまるで親子に見える。なるほど、あの変態が全幅の信頼を持って接するはずと一人納得する。「はあ、もういいです。で、この変……最上二尉に何か御用があったそうですが?」「ん~確かに用事があったんですけど~」 そう言いながら千早の方を向いた後、申し訳なさそうにシグナムの方へと視線を送る「……解りました。少し席を外します」「ごめんなさい~ここから出て右へ行けば食堂がありますから、そこで休憩でも~」 と言いながら食券を渡すレイティ。最初は遠慮していたシグナムであったが、涙目になりながら上目遣いで責められた為渋々受け取ると退室するのであった …… ……… …………「で?今まで音沙汰も何も無かったのに急になんのようかしら?」 部屋に備え付けてあるコーヒーメーカーからコーヒーを二つ取り出すと片方を彼女に渡し、来客用のソファー腰掛ける千早「……そろそろ戻ってきませんか?最上一尉」 先ほどまでのおっとりとした雰囲気が一転して、真面目な表情で千早の方を向くレイティ「あら?今は二尉よ?忘れたのかしら、私が六課に異動する際に降格したのを」「知ってますよ。オーリスさんに暴言を吐いた後でしたよね」「ええ、今思えばシナリオ通りだったのかしらねぇ。六課への異動、査察……」 そう言うと静かにカップに口をつける千早「ふふ~でも全部裏目に出てますしね~誰かさんのおかげで」 ふわりと意地悪な笑みを浮かべるレイティ、そんな彼女に苦笑しながら「なんのことかしら?」「いつも貴方は大切な事だけはとぼけますねぇ。まあ、いいです。それで、そろそろこちらへ戻ってこれませんか?もちろん階級も元にもどしますよ?」「んー」 レイティの提案に少し考える千早、確かにこの上司のもとで働くと退屈はしない。寧ろ合法ロリ……「今何か不快な単語を考えませんでしたか~」「……なんでもないわ」 殺気のこもった笑みで睨まれ真面目に考えることする千早。そうしてしばらく考え込んでいたのであるが「んーやっぱりいいわ」 あっさりと誘いを断ることにしたのである「あら~残念ですね~」 恐らく予想していたのであろう彼女もあっさりと了承するのであった「色々とねえ。あるのよ」「まあ~思わせぶりな態度してても~その姿だと説得力皆無ですね~」「そう?」「そうですよ~まあ、いい機会ですからそれを直してもらっちゃって下さい」「わかって言ってるの?私からそれを取ったら一般人にも劣ることを」「はいはい~そうでしたね~どういう原理か知りませんけどね~」 苦笑しながら答えるレイティ「さて、話も終わったし帰るわ」「もう帰るのですか~」「ええ、あんまり待たすと怒られるわ。それとその件は考えておくわ」「戻る気無い癖に~」「社交辞令よ。それと……」 そのまま窓へと視線を向ける。そうして静かに窓へと移動すると、すばやく窓を開け手を伸ばす<きゃんっ!> 可愛らしい声とともに外から部屋へと引きずり込まれる女性陸士、身体にはハーネスを装備しており右手にはハンディタイプのビデオカメラを持っていた「とりあえずこの怪しい年増はどうするの?」「おおお、お久しぶりですっ!最上さん!相変わらず辛辣で素敵です!」 カメラを後ろ手に隠しながら敬礼する女性、ものすごく挙動が怪しい「相変わらずね?シリカ、それでいいもの撮れたかしら?」「ななな、なんのことですか?」「あら、じゃあその手に持っているのは何?」「こ、こここれはですねっ……そ、そうっ!景色、外の景色を撮っていたのです!」「そうなの?よかったわ。私と彼女がキスしているところなんて撮られていたら大変だったもの」「ふふふ~そうですね~」「え?え、ええ、えええーーー」「最上さんが女装して隊長と……そんな極レアな映像、ずっと撮っていたけど、そんなシーンはな……かっ……た……」「はい、ダウト」「はい~没収ですね~」「うう~騙しましたね」 抵抗していたシリカであるが、二人の気迫に押されて渋々ビデオカメラを手渡す「せっかく高く売れると思ったのに……うぅ」 余り反省していないようである「部隊の長と元上司を盗撮して、あまつさえそれを売ろうなんて~これはお仕置きですねえ」「ええ、年増には興味は無いけども……そうね。とりあえず剥こうかしら?」「え?」「いいですね~偶然にも私~今カメラを持っていまして~」「いや……それ私のカメラ……」「あら?そういえば私も何故か偶然にもハサミを持っているわ」「……今、そこの引き出しから取り出しましたよね?」「そうなんですか~偶然って怖いですねえ」「絶対偶然違うっ!えっと聞いてます?お二人共?」「「ふっふっふ」」「うわー!なんか懐かしいけど、本気の目だっ。経験上この後絶対私脱がされる。お嫁に行けなくなる……」 満面の笑みで近づく二人に対して必死に土下座してやっと許してもらえるのであった