しばらくTSが続きます……「すみません、シグナムさん。車出してもらっちゃって……」「なに、車はテスタロッサからの借り物だし、向こうにはシスターシャッハがいらっしゃる。私が仲介したほうがいいだろう?」「はい」 助手席でも申し訳なさそうに返事をするなのは、現在彼女らは聖王医療院へとシグナムの運転で車を走らせている「しかし、検査の結果、何かしらの白黒がついたとしてあの娘はどうなるのだろうな?」「当面は、六課か教会で預かるしかないでしょうね。受け入れ先を探すにしても、長期の安全確認がとれてからでないと……」 車内に不安な空気が漂う。これから先、あの娘はどうなるのだろうか?そんな言い知れぬ不安が…… そんな折『騎士シグナム、聖王教会、シャッハ・ヌエラです』 不意に通信が入る「どうされました?」『すみません、こちらの不手際がありまして、検査の合間にあの娘が逃げてしまいました……』 不安が的中したようである。急いで現場へと車を走らせるシグナムであった…… …… ……… …………「申し訳ありませんっ!」 二人が到着すると駆け足で近づき謝罪するシャッハ「状況はどうなっていますか?」 そんな彼女に対し冷静に今の現状を確認するなのは「はい、特別病棟とその周辺の封鎖と避難は済んでいます。今のところ飛行や転移、侵入者の反応は見つかっていません」「外には出られないはずですよね?」「ええ……」「では、手分けして探しましょう。シグナム副隊長」「はい」 現状の説明を確認すると、行動に移すなのは。緊張が走る中少女の捜索が開始されるのであった「検査では一応危険反応は無かったのですよね?」「ええ」 院内の捜索をするシグナムがシャッハにそう質問する「魔力量はそれなりに高い数値でしたが、それも普通の子供の範疇でした」「しかし、それでも……」「悲しいことですが、人造生命体であることは間違いないです。どんな潜在的危険を持っているかは……」 難しい顔で室内を調査しながら語るシャッハ、最悪の場合を想定しながら捜索をする二人。空気が完全に重たくなっていた…… 外を捜索するなのはが中庭の方へと移動していた 中庭へと到着すると周りを慎重に見回すなのは、すると不意に物音がした。その方角へと視線をうつすと、その少女はいた。彼女の瞳は右が翡翠色、左が紅色のオッドアイで、異質な瞳が不安そうになのはを見上げていた。ふと、視線を下にすると、彼女が買ってきたであろううさぎを胸に抱いていた。「こんなところにいたの?」「……」 なのはを警戒する少女「心配したんだよ?こっちにおいで?」 そんな少女をあやすように、ゆっくり近づいていくなのは「あれは!?」 その光景を窓から見かけたシャッハが「逆巻け、ヴィンデルシャフト!」 そう叫ぶとバリアジャケットを展開し、なのはと少女の間へと移動しデバイスを前に構えながら威圧する「あ、あ、う……」 余りの恐怖にその場に震えながら後ろへとへたり込みそうになった、その瞬間「……まったく、これだから年増は嫌よね?若さを妬み、そうやって威圧する」「!?」 少女を後ろから支え撫でながら静かに文句を言うと「うええええん!」 安心したのか泣き出してしまう少女「あらあら、よっぽど怖かったのかしら?ちょっと貴方向こうに行ってもらえるかしら?」「え?は?それより!貴方は誰なんですか!」「私?私はロリコン。幼女を守る者よ」 少女を撫でながら、静かに語る彼女、銀色の髪に白い肌が陽光に照らされ輝き、まるで母親のよう少女を包み込んでいた「は?ロリコン?何を言って……」「……シスターシャッハ。少し下がっていてもらえますか?」 少し動揺しているシャッハの肩に手を置くと彼女に下がるようにお願いをするなのは「え、あ、はあ……しかし危険では?」「ある意味危険ですが、大丈夫です。誠に遺憾ながらあれは身内です……」「え?」 驚いた表情のシャッハを他所に、二人の前まで近づくと「……で?何をしているのかな?千早君?」 ものすごく恐ろしい笑顔で、千早に迫るなのは「何よ?私も今来た所よ?そしたら、そこの年増がこの子を虐めようとしてたから助けただけ」「うん、そういうことじゃなくって……なんで、女の子になっているのか?それからいつの間にここに来たのかって聞いているの」「ふ、知れた事。そこに幼女がいる。ならそこに私がいる。ただそれだけよ」 この変態は幼女のことになると、周りが全く見えなくなるのか?と眉間に皺をよせ考えこんでしまうなのは、今までの緊張感がまったく台無しになっていた「……」 そんな二人を不思議そうに見上げている少女、その視線に気づいたのかバツの悪そうな笑顔で「ごめんね?びっくりしたよね?大丈夫?」「……うん」 少女が落としたぬいぐるみの泥を叩き、渡しながら「はじめまして、高町なのはって言います。お名前、言える?」「ヴィ、ヴィヴィオ……」「ヴィヴィオ、可愛い名前ね。私は千早、最上千早、唯のロリコンよ」「……ロリコン?」「え、えっと!この人の言うことは聞かなくていいからね?」「え?」「あ、そういうこと言うんだ?ヴィヴィオ知ってる?この人は魔王、怖い人よ?」「怖い人?」「そう、いつも私を虐めるのよ?私は唯ヴィヴィオみたいな可愛い子と仲良くしたいだけなのに、酷いわね?」「うん、酷い……」「変なこと教えこまないで!ていうか、何、自然に仲良くなってるの?」「え?」「そこで不思議そうな表情しない!」「当たり前じゃない、だって私はロリコンよ?」「なんでもロリコンで片付けるな」「あ、あの……お二人とも、その辺で……」 会話内容があさっての方向へ進みそうな二人を窘めるシャッハ、その言葉にコホンと一息ついて「ヴィヴィオはどこか行きたかったのかな?」 満面の笑みでヴィヴィオに向かい質問する「ママ、いないの……パパも……」 その言葉にはっとなる。悲しそうに俯きながら語る少女に何も言えなくなる「そう、大変よね?じゃあ、私達が一緒に探してあげるわ、ね?」「……うん」 …… ………「機動六課に臨時査察?」「うん、地上にそんな動きがあるらしんよ」「地上本部の査察はかなり厳しいんだよね?」「そう、ただでさえうちは突っ込みどころ満載なのに……」 ロリコンに、ショタコンとか、女装するとか、女になるとか、露出するとか、マゾヒストだとか……「あれ?なんか一人消したら問題解決しそうな気がしてきた」「はやて、多分もう手遅れだと思うよ?」「フェイトちゃんがそれ言う?あんだけ染まったフェイトちゃんが」「染まった?なんのことかな?」「自覚が無いってことは無実やないんやで?」「なんのことかわからないけど、とりあえず大丈夫?」「ああ、大丈夫や。なんなら査察にあいつをぶつけたるし……」 悪代官のような笑みを浮かべながらとんでもない事を口走り出すはやて「はやて、自暴自棄になるのは早いよ?」「冗談やて、まああながち冗談でもないんやけどなぁ」「どういうこと?」「あの変態、結構顔が広いから、なんとかなるかなって」「そういえば、前もそんなこと言ってたっけ?私はてっきり冗談だと思ってたんだけど」「ん?あ、そっかフェイトちゃんは知らないんやったっけ、あの変態、結構有名人やよ?」「そうなんだ」 どのような組織にも派閥というものは存在する。それは魔法世界であるここミッドチルダも同様で、権力や思想などで裏で争っている。所謂派閥争いというものである「そうやねん。例えばレイティ一佐なんか、千早のこと気に入ってて引きぬくとき色々嫌味言われたしなあ」「レイティ一佐って、確か穏健派で有名だったけ?」「そう、見た目ヴィータちゃんと同じくらいの人。それからエミリアも」「エミリア二佐も!?」「そう、エミリアなんか武闘派やからほんま説得するのん厄介やったんやから」「でも、レイティ一佐はわかるけど、エミリア二佐は……」 そう、レイティ一佐は見た目幼い、故に千早の琴線に触れるだろう。しかしエミリア二佐はバリバリの武闘派らしく「そう、うちでいうとこのシグナムをもう少しごつくした感じやね」「じゃあ」「まあ、あいつの歯に衣を着せぬ物言いを気に入ったらしい」「何を言ったんだろう……」「まあ、ろくな事や無いんわ確かなんやろうけど」 どうせとんでもない事を口走ったんだろうと、二人ため息をつく「ま、まあ、そんなことはどうでもええねん」「そ、そうだね。ね、ねえはやて?」「うん?」「これは査察対策にも関係してくるんだけど、六課設立の真の理由、聞いてもいいかな?」「そうやね、ちょうど今日カリムのとこに報告に行くんよ?クロノ君も来る」「クロノも?」「そん時に全部話すよ。なのはちゃんと、それに千早にも話しておいた方がええか……二人が戻ってきたらついて来てくれるかな?」「うん、なのは達戻ってるかな?」 言いながら、なのはへと通信を繋げる。繋いだ瞬間に聞こえたのは子供の泣き声、それにおろおろと同様するフォワード陣、その中心には困惑するなのはの姿が映っていた『……あの?一体何があったのかな?』『あ、フェイト隊長、実は……』『いっちゃやだっ!』 困惑気味に返事をするなのはに苦笑しながら、ロビーへと向かうのであった その途中「げ……」「あ!」 何やら包を大事そうに抱えながら歩く千早の姿が「ん、あら?」「……ちょう、待ってな。私にも色々とあってな」 その姿を目撃したはやては、少し心を落ち着けるため静かに深呼吸をした「はやて?」 その様子に心配そうに声をかけるフェイトに笑みを浮かべ大きく息を吐いた彼女は「さて、色々と突っ込みたいところやけど、言い分を聞こか?」「?何が言いたいのかわからないのだけれども、とりあえずクッキー」「あ、それ、美味しいよね。駅前の?」「そう」「へえ、千早も甘いものが好きなんだ?」「違うわよ?ほら、ヴィヴィオにあげようかなって」「ヴィヴィオ?もしかして、例の女の子のことかな」「そう、私達になついて可愛いのよ」「へえ」「どうかした?」「ん、なんでもないよ?」「そう?」 と自然に会話する二人にため息をつきながら「あーとりあえずな、フェイトちゃんは黙っとこか?」「?わかったよ。はやて」「何よ?私は忙しいの、今から天使に会いに行くのだから」「ああ、そうやな。天使ならいくらでも会わせたる。天国でな?」 拳をゴキゴキと鳴らしながら静かに笑みを浮かべるはやて「物騒この上ない発言ね。常識を疑うわ?」「アンタに言われとうないわっ!だから気持ち悪い口調やめいっ!」「だから、治らないのよ?もう受け入れるしかないわよ」「止めるという選択肢は無かったんか?」「まあ、私にも色々あるのよ?それからしばらくこの姿でいくから、よろしく」 そう笑顔で言う「はあっ!?」「そうなの?」「ああ、私は母性を極めなくてはならない。しかし、それには性別という大きな壁が立ちはだかっているの」「そうだね」「や、『そうだね』ちゃうから、フェイトちゃん」「だから、まずは性別を殺すことにしたの。そして、私は究極のロリコンとして極みへと昇りつめるわ」「そうなんだ。うん、応援するよ」「いや、応援したらあかんから、格好いい事言ってるように聞こえるけど、究極の変態目指してるって宣言してるだけやから」「さて、そうこうしている間に目的地に到着したのだけれども」「すごい泣き声だね」「そうやね……って、あかんなんか一気に疲れたわ。もうどうでもええわ」「「??」」 項垂れるはやてに対して首を傾げる二人、あの真面目なフェイトが段々遠くへと行ってしまった事に、今更ながら千早を引きぬいた事を後悔するはやて。テンションが下がったまま泣き声が響く部屋の扉を開ける。室内へと入ると、抱きついて泣いている少女に対し何もできず苦笑いを浮かべるなのはと、なんとかしようとするも、どうしたらいいのかわからずオロオロするスバルとキャロがいた「エース・オブ・エースにも勝てへん相手もおるもんやね」「そのようね、しかし、納得できないわね。何故か?なのはの事が気に入ったみたいなの」「そうなの?」<あ、あの三人とも?助けて……> その様子を見ながら冷静に語りあう三人に念話で助けを求めるなのは「スバル、キャロ?とりあえず落ち着こか?離れて休め」 二人に離れるようにはやてが指示すると、静かにヴィヴィオに近づいていくフェイトと千早「ただいま~」「こんにちわ~」 そうして、屈みこむと挨拶するフェイトと千早。不意に声をかけられて驚くヴィヴィオ「さて、これな~んだ?」 屈みながら後ろに隠していた包をヴィヴィオに見せると「?」 首を傾げながら包を見つめる「いい匂い……」「ふふ、ああ、なんて可愛いのかしら……今なら私、世界を滅ぼせそうよ」「そうだね。でもそんなことしたら私が千早滅ぼすよ?」「……あ、あのフェイトちゃん?」「ああ、ごめんなのは」「じゃあ、はい、あ~ん」 最早ヴィヴィオしか見えていない千早は袋からクッキーを一つ取り出すと、そのまま彼女の口にもっていく「……おいしい」「はうあっ!もう死んでもいいわ」 笑顔で言うヴィヴィオの姿に悶絶する千早、虫の息である「えっと……」 とりあえず、ヴィヴィオが泣き止んで離れた事に安堵するなのは「相変わらずの変態っぷりやな……」 後ろで呆れた表情で言うはやてに同意するフォワード組「ま、まあ千早君が変態なのは仕方ないよ」「?変態?」「ヴィヴィオはまだ知らなくいいよ」「?」「さて、色々あったけど、こちらフェイトさん、なのはさんの大事なお友達」「はじめまして、ヴィヴィオ」「こんにちわ……」「ヴィヴィオはどうしたのかな?」「……」「なのはさんと離れるのが嫌で泣いてたのかな?」「……うん」「そうなんだ。でもね、なのはさんちょっとお出かけしなくっちゃいけないんだ?」「ぅぅ……」「ヴィヴィオはなのはさんを困らせたい訳じゃないんだよね?」「……うん」「だから、いい子で待ってよ?ね?」「うん」「ありがとね。ヴィヴィオ、ちょっとお出かけしてくるだけだから」「うん」 泣きそうな顔で返事をするヴィヴィオに、ほっとした笑顔で語りかけるなのは「大丈夫よ、二人の留守中は私が全身全霊を持ってヴィヴィオを退屈させないから」 あっちの世界に行っていた千早が二人にそう答えると「何を言ってんねん。あんたもや」 眉間に皺を寄せながら、千早の襟首を掴むはやて「え?私はこれからヴィヴィオと一緒に……て、あれ?」 そうしてそのまま引きづられて行く千早、部屋に残されたフォワード組は苦笑いを浮かべながら見送っていた…… ぼちぼちの更新、陸時代の話、多分あの世界の上官は女性が多いはず?名前は適当だったり……しばらくはほのぼのな話を書ければいいかなって思ってます。とりあえず百合いいよね?奴は男だけど……まあ、変身だし、変態だし……