思ったよりTOX2にどっぷりです。シリアスいいな。という訳でいつの間にかの10話目です。「変身魔法?」 首を傾げながら聞き返すヴィータ「そう、変身」「無いことも無えけど、どうすんだ?そんなもの覚えて」「どうやら残念な事に俺はロリコンらしいからな。という訳で最近皆が少女達に会わせてくれない」 彼女の頭を撫でながらため息をつく千早。その手をうっとおしそうに振り払うと「いや、前からそうだった気がするのはあたしだけか?」「ふむ、もう一つどうだ?」 怪訝な表情をする彼女に、アイスを渡すと「ちっ……しゃーねえな」 面倒くさいって感じで返答するヴィータ「それで、可能なんだろうか?」「……ああ、対した事じゃねえけど性別から容姿を変換する魔法ならある」「ほう、それは?」「……めんどくせえから、今からやってみせてやる」 そう言うと、彼女の周りが光り輝き足元に魔法陣が現れる「…………っと、こんな感じだ」「?変化が見えないのだが?」「当たり前だ。容姿は変えてねえからな。単純に性別を変更しただけだから」「つまり、今目の前にいるヴィータちゃんには、おち……」「それ以上言うと、アイゼンの染みにするぜ」 鼻先にグラーフアイゼンを突き付けられる千早「たくっ……てかなんでこんなん覚えようと思ったんだ?」「ん、色々と禁止事項が多くなってきたんでな。前までは撫でるまではOKだったんだが、最近では接触どころか、近づく事すらままならん。私はただ愛でていたいだけなのに、それがわからんようだ」「いや、分かりたくもねえし……つか、それ、原因はお前の性癖にあることに気づいているのか?」「うん?性癖とかよく解からんが、フェイトなんかは俺と目があっただけでどこかへ去ってしまう。私は12歳以上には興味が無いというのに」 いや、そういう意味で避けてるわけではないだろう?しかし、フェイトはまだこいつに慣れていないのかと、苦笑しながらため息をつくヴィータ「それで?なんで変身なんだ?」「なに、簡単なことだよ。フェイトもそうだが、一部の女性は男性に嫌悪感を抱いている。つまり、そういった者達から見れば私は危険分子と認識されているようだ」 一部じゃなくて、全員だけどなと心のなかで突っ込んでおこう「由々しき事だ。私はただ愛でていたいだけなのに、一部の偏見や差別に晒されているということになる。悲しいな……」「ああ、悲しいな……お前の頭の中が」「そうだ、悲しい事だ。だから俺は覚悟を決めた」「シグナムから聞いてたけど、お前はほんっと人の話をまったく聞かねえな」「ん?なんのことだ。まあ、いい。そういうことなんで変身魔法なんだ」「悪い。まったく意味がわかんねえ」「ふむ、簡単に説明するとだな」 何を言っているのかさっぱり理解できない様子のヴィータを前に、組んでいた腕をほどきながら説明をする「女性ならば、ロリコンにならない」「は?」「ふむ、俺は色々と考えた。はやてやなのは達が私を危険視するのは、俺が男性であるからだと。つまりだ、女性になれば問題が無いということだ」「悪い、もう一度説明してくれ」「うむ、女性なら危険じゃない」「同じ事だろうが」「いや、まったく違うぞ?考えても見てくれ。今、俺はヴィータちゃんと個室で二人きりである。これを第三者が見たらどう思う?」「……よく考えたらめっちゃ危険じゃねえか」 今更であるが、身の危険を感じアイゼンを構えながら三歩下がる「そうだ。大多数の人間ならそのような反応を示す。何故なら俺はロリコンだからだ」「……とりあえずぶっ飛ばしていいか?」 大きく鉄槌を振りかぶりながら、警戒するヴィータに苦笑しながら「君にぶっ飛ばされるのは寧ろ歓迎したいのだが、今は自重しよう」 すまないと謝罪すると、またアイスを差し出す千早。それを警戒しながら受け取ると「……で?つまり男だと問題があるから女になりてえと、それはそれで問題だぞ?」「どうかな?男である俺が少女と二人きりだと危険であるが、女である俺が少女と二人きりだと問題は無いだろう?」「なんか腑に落ちねえけど、まあ、悪用しねえならいいが……まさかとは思うけどお前、女風呂とか入りてえとか思ってねえだろうな?」「何を言う。そのような外道な行為、俺がするわけがないだろう。というより、何が悲しくて同年代や年増と一緒に入浴などしなければならない」「……じゃあ、あたしだったら?」「なんだ、一緒に入りたいのか?」「なっ!?そんなんじゃねえ!例えばの話だよ!あたしやキャロだったらどうすんだよ?」「何、その辺りは心得ている。入りたいと言うのならそれ相応の準備をしているのでな」 胸を張って言うと懐から水着を何枚か差し出す。「このように、紺、白、黒、赤と取り揃えている。もちろん私も水着着用だ。無意味に肌を晒す事無く安全だ」「……今更だけど、お前すげえ気持ち悪いな……」 盛大に項垂れる彼女を他所に「何、紳士の嗜みだ。ヴィータちゃんなら、この辺りが良く似合うと思うのだが、どうだ?」 紅い水着を指さしながら、満面の笑みで言う「ああ、着ねえから、てかまず一緒に入るとかありえねえし」「そうか、残念だ」「それはそうとして、本当にいいんだな?いっとくけど、なのはに知られてもあたしは知らねえからな」「構わない。やり遂げる決意が必要だ。何故ならば、俺は小さき者を愛す者。そのためには性別すら壊す男だ」 高らかに宣言する千早に、呆れた表情をしながら「頭が壊れてるの間違いじゃねえか?たくっ!……とにかくコツは」「ふむ……こうか?」「馬鹿か、てめえは。そうじゃねえ。てか、なんで金色に輝く?」「む、ならこうか?」「……無駄に容姿だけはいいな。お前」「ふむ、色々と気を使っているからな。顔はまあ、両親に感謝だ……しかし、俺の母も昔は少女だったと思うと悲しくなる」「その発想は無かった……お前莫迦だな」 しばらく、変身魔法について教わる千早、そうして彼に変身魔法(性転換)機能が備わった。後日、彼の変身に盛大に後悔をするハメになるのだが、今はまだとっておこう…… ―― ―――― ――――――「いやあ、やってますなあ」「初出動がいい刺激になったようだな」 隊舎近海に浮かぶ施設で、早朝訓練を行なっている新人達の様子をモニターで見ながら、シグナムに語りかけるヴァイス「いいっすねえ、若い連中は」「若いだけあって成長も早い、まだしばらくの間は危なっかしいだろうがな」「そうっすね」「シグナム姉さんや旦那は参加しないんで?」 モニターでは、新人達が泥だらけになりながら転げまわっている。その映像を見ながら二人に質問すると「私は古い騎士だからな。スバルやエリオのようにミッド式と混じった近代ベルカ式の使い手とは勝手が違うし、剣を振るうことしかない私が、バックス型のティアナやキャロに教えられるようなこともないしな。まあ、それ以前に私は人にものを教えるという柄ではない。戦法など、届く距離まで近づいて斬れぐらいしかいえん」「ははは、すげえ奥義ではあるんすけど、確かに連中にはちぃ~とばかり早いすね。それで旦那は?」 真剣な表情でモニターを(主にキャロ達の方を)見つめる千早に向かい同じ質問をするヴァイス「ふむ、俺の場合は教えられるようなものが無い。訓練校程度の教導ならできるが、あそこまでの事は教えられん。というよりしばらく近づくなと言われたしな」「は、はは……らしいっすね」 二人の極端な返答に、引きつった笑いを浮かべるヴァイス「お前は人にものを教える前に、己を叩き治す必要があるだろう?主に頭のな」 笑みを浮かべながら挑発するような視線を送るシグナム「脳筋年増に言われたくはない」 挑発に答える千早。この二人本当に仲いいな「ほう、いい機会だ。訓練がてらもう一度私が叩きなおしてやろうか?」 口元は笑っているが、瞳は爛々と輝いていており、まるで猛禽類のような視線で見つめる「ふむ、いいだろう。聖闘士には同じ技は二度と通用しない事を教えてやろう」「性闘士の間違いでは無いのか?変態」 二人のやり取りを見ているヴァイスは、また始まったかとため息をつく。真面目で堅物のシグナム、不真面目でロリコンの千早……絵に描いたような水と油の典型である「というより、前から思っていたんだが、お前は俺になんか恨みでもあるのか?」「恨みは無いが、嫌悪感ならあるぞ」「酷い言われようだ。なら、放っておいてもらいたいものだ。寧ろ無視してくれ」 今にも抜きそうなシグナムに両手を広げながら大袈裟に振るとため息をつく「それは無理だ。気になるのだから仕方が無いだろう」「誰が?」 そう言われ「は?」という表情で聞くと「お前の事が」 眼前に指を刺される「なんで?」「お前は放っておくとすぐに、良からぬ事をしようとするのでな」 指を差した後、腕を組みため息をつくシグナムを見て「何を言う。俺ほど紳士な人間はいないぞ。というわけで放っておいてくれ」 首を振りながら答える千早「いや、信用ならん。お前を一人にするなど気が気ではない」「あの~お二人さん?」 延々と言い合う二人を見て苦笑交じりで、割り込むヴァイス「「なんだ?」」 同時に振り返り答える二人を見て、更に苦笑いを浮かべ、頬を指でこすりながら「その会話だけ聞いてると、まるで恋人同士の会話にしか聞こえないんすけど?」「ん?」「は?」 思わぬ一言に目が点になる二人「ありえん。私がこんな変態となど」「それは俺の台詞だ、誰がこんな年増なんかと」「旦那、前にシグナム姉さんに求婚申し込んだって聞いたっすけど?」「ああ、あれはシグナムなら子供5人だなって思っただけだ。それとも産めないとでも?」「何を言う私も騎士だ。それくらいは産める」 そこ騎士は関係ないんではないのか?と思うが突っ込むと後が怖いので黙っておこうと思うヴァイス「いや、それ普通にOK出してるじゃないっすか?」「何を言っている?」「どうやら疲れているようだな?ヴァイス陸曹」 何か可哀想な目で見られる「は?え?俺がおかしいみたいになってるんすけど?」「まったく不愉快だ。私は先に去らせてもらう」「白けたようだ。同じく、俺も仕事に戻るわ」「えー」 二人、別々に去っていく姿を見ながら項垂れると、ため息をつく……最上千早、彼にはフラグなどまったくの皆無である。 変身に関しては魔法物だからあるであろうと思った次第で、深くは考えてません。最近個人的にマンネリ化しているので何か劇薬を盛りたい……どうしようかな?