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No.35333の一覧
[0] STS世界で転生者は無印の方が良かったと嘆いていました。(不定期更新、駄文、オリ主)[獅子座](2019/04/19 23:18)
[1] STS世界で転生者は無印の方が良かったと嘆いていました 第一話[獅子座](2014/12/17 23:57)
[2] STS世界で転生者は無印の方が良かったと嘆いていました 第二話[獅子座](2014/12/17 23:58)
[3] STS世界で転生者は無印の方が良かったと嘆いていました 第三話[獅子座](2014/12/17 23:58)
[4] STS世界で転生者は無印の方が良かったと嘆いていました 第四話[獅子座](2014/12/17 23:59)
[5] STS世界で転生者は無印の方が良かったと嘆いていました 第4.5話[獅子座](2014/12/18 00:00)
[6] STS世界で転生者は無印の方が良かったと嘆いていました 第五話[獅子座](2014/12/18 00:01)
[7] STS世界で転生者は無印の方が良かったと嘆いていました 第六話[獅子座](2014/12/18 00:01)
[8] STS世界で転生者は無印の方が良かったと嘆いていました 第七話[獅子座](2014/12/18 00:02)
[9] STS世界で転生者は無印の方が良かったと嘆いていました 第八話[獅子座](2014/12/18 00:02)
[10] STS世界で転生者は無印の方が良かったと嘆いていました 第九話[獅子座](2014/12/18 00:03)
[11] STS世界で転生者は無印の方が良かったと嘆いていました 第拾話[獅子座](2014/12/18 00:04)
[12] STS世界で転生者は無印の方が良かったと嘆いていました 第拾壱話[獅子座](2014/12/18 00:04)
[13] STS世界で転生者は無印の方が良かったと嘆いていました 第拾弐話[獅子座](2014/12/18 00:05)
[14] STS世界で転生者は無印の方が良かったと嘆いていました 第12.5話[獅子座](2014/12/18 00:05)
[15] STS世界で転生者は無印の方が良かったと嘆いていました 第拾参話[獅子座](2014/12/18 00:05)
[16] STS世界で転生者は無印の方が良かったと嘆いていました 第拾四話[獅子座](2014/12/18 00:06)
[17] STS世界で転生者は無印の方が良かったと嘆いていました 第拾伍話[獅子座](2014/12/18 00:06)
[18] STS世界で転生者は無印の方が良かったと嘆いていました 第拾六話[獅子座](2014/12/18 00:07)
[19] STS世界で転生者は無印の方が良かったと嘆いていました 第拾七話[獅子座](2014/12/18 00:07)
[20] STS世界で転生者は無印の方が良かったと嘆いていました おまけその①『デバイス達の集い』[獅子座](2014/12/18 00:08)
[21] STS世界で転生者は無印の方が良かったと嘆いていました 第拾八話[獅子座](2014/12/18 00:08)
[22] STS世界で転生者は無印の方が良かったと嘆いていました 第拾九話[獅子座](2014/12/18 00:08)
[23] STS世界で転生者は無印の方が良かったと嘆いていました 第弐拾話[獅子座](2014/12/18 00:09)
[24] STS世界で転生者は無印の方が良かったと嘆いていました 第弐拾壱話[獅子座](2014/12/18 00:09)
[25] STS世界で転生者は無印の方が良かったと嘆いていました 第弐拾弐話[獅子座](2014/12/18 00:09)
[26] STS世界で転生者は無印の方が良かったと嘆いていました 第弐拾参話[獅子座](2014/12/18 00:10)
[27] STS世界で転生者は無印の方が良かったと嘆いていました 第弐拾四話[獅子座](2014/12/18 00:10)
[28] STS世界で転生者は無印の方が良かったと嘆いていました 第弐拾伍話[獅子座](2014/12/18 00:11)
[30] STS世界で転生者は無印の方が良かったと嘆いていました 第弐拾六話[獅子座](2014/12/18 00:11)
[31] STS世界で転生者は無印の方が良かったと嘆いていました 第弐拾七話[獅子座](2014/12/18 00:12)
[32] STS世界で転生者は無印の方が良かったと嘆いていました 第弐拾八話[獅子座](2014/12/17 00:58)
[33] STS世界で転生者は無印の方が良かったと嘆いていました 第弐拾九話[獅子座](2015/04/07 21:25)
[34] STS世界で転生者は無印の方が良かったと嘆いていました 第参拾話[獅子座](2015/07/22 00:16)
[35] STS世界で転生者は無印の方が良かったと嘆いていました 第参拾壱話[獅子座](2016/12/11 03:55)
[36] STS世界で転生者は無印の方が良かったと嘆いていました 第参拾弐話[獅子座](2016/12/15 00:44)
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[35333] STS世界で転生者は無印の方が良かったと嘆いていました 第一話
Name: 獅子座◆cff0ab9c ID:3ddd5703 前を表示する / 次を表示する
Date: 2014/12/17 23:57
「はあ……」


 ため息をつきながら、とある一室へと向かう男が一人。銀色の髪に中性的な顔、細い身体。一見すると女性と間違えてしまうほどに彼は美人であった。道すがらすれ違う局員達から熱い視線を送られる。

 彼の名前は最上千早、今年で19になる。とある事情により時空管理局に務める事となった


「はあ……やっぱりSTSの世界だよなぁ……」


 などとブツブツ言いながら歩く姿、普通なら歩きながら一人ボソボソと喋る奴なんて気味が悪いが、彼の容姿の御陰かそれすらも美しく見える


「なんで無印じゃない……ASでもよかった……」


 目的地にたどり着くと、ドアの前で呟く



≪コンコン≫



『は~い』


 ドアをノックすると、向うからおっとりとした声が聞こえてくる。それを確認するとドアを開け


「なんで……なんで……」

「ごめんな、急に呼び出して、知ってると思うけど……」

「なんでお前は19歳なんだぁああ!!!!」

「入って来て、早々訳わからんこと言うなぁああ!!!」


 入室そうそう殴られた、グウで……



 ……

 ………

 …………



 最上千早 19歳。彼は現実からの転生者、彼が今いる世界は『魔法少女リリカルなのはStrikerS』の世界であった……

 彼は数年前にこの世界に転移してきた。とある辺境地にて、かなりの魔力を感じとった時空管理局では人員を派遣する。選ばれたメンバーがはやて、ヴィータ、シグナムの三人。彼女らが向かった先には一人の男性が眠っていた。周囲の大地が削られクレーターがそこにあり、その中心で安らかな寝息をたてる彼を保護すると、そのまま連れ帰ったのである。

 その後が大変であった。いきなり知らない場所に連れてこられてかなり混乱し、狼狽える少年。しかし、その場に小さな局員がいることに気づくと大人しくなった。急に大人しくなった彼は、妙な事にこちらの発言に対し素直に答えるようになったのである。そうして質問していくうちに、「なんだそういうパターンか」「大丈夫、この手のパターンは読み尽くした」などと意味の解らない事を言い出す少年に、精神汚染の疑いがあるという事ですぐさま検査を行ったのであった。

 そうして、その検査中に小さな医務官が立ち会うと、急激に魔力が増大するという事があった。それを見つけた管理局の職員達は、彼を適正検査へと回す。当初、拒絶されるであろうと予想していた彼らは、少年が即答したことには驚いていた。そうして、そのまま試験場へと連れて行かれた際、小さな教導官が監修する試験を受けることになった少年は、職員達の予想を上回る結果を残し、合格を果たしたのであった。そうして訓練校へと入り、教育を受け続けた結果、今の地位に至るわけである……



「会っていきなり暴力をふるう。これだから年増は……」


 殴られた頬を摩りながら、悪態をつく


「誰が年増や!私はまだ19や!」

「ぶげらっ!」


 今度は腰を落とし、溜めた右からのアッパーを顎に受け天井に吹っ飛ぶ千早。そうして落ちてくるのを確認すると彼女は、両手を腰にあて、仁王立ちで怒る。彼女と悪態をつく男性を見ながら中にいたもう一人の女性が苦笑しながら


「ま、まあまあ、はやて落ち着いて……」


 傍により、宥める。それでも彼女の怒りは収まらないようで鼻息が荒い


「……えと、初めまして、私はフェイト・T・ハラオウン。時空管理局本局執務官を務めています」


 とりあえず、はやてが落ち着くまで話が進まないので、顎ををさすりながら起き上がろうとする千早に手を貸しながら自己紹介をする


「失礼しました。思わず取り乱しまして。最上千早二等陸尉です……」


 彼女の自己紹介に真顔で返事をする彼を見て、思わず見とれるフェイト。スラリと長い睫毛、手入れが行き届いている綺麗な銀色の髪、そして嫌味の無い笑顔。どれをとっても男性には見えない。そしてその健やかな顔の持ち主が、先程はやてにボコボコにされていたのと同一人物には見えない


「しかし、フェイト執務官、残念です。できれば10年前にお会いしたかった……」


 はい?と首を傾げる。どういう意味なんだろうと考えていると


「10年前の貴方は実に素晴らしい。無口で悲壮感漂う貴方を愛でる事が出来ないなんて……」


 何故だか知らないが、10年前に出会わなくてよかったと思うフェイト。多分この人変だ……


「はあ、相変わらずやね。その性癖」

「は?性癖?」


 ため息をつきながらやれやれと言った感じで両手を左右に振るはやて、それに対して彼女と千早の顔を交互に見るフェイト


「そ、性癖、彼重度のロリコンなんよ」

「ロリコンって、そんな犯罪予備軍みたいな人が管理局にいてもいいの!?」


 もっともである。個人の趣味で仕事が決まる訳ではないが、余りいいイメージではない。しかし、犯罪予備軍って酷い言われようである


「八神二佐、フェイト執務官。それは間違っています!」


 動揺する彼女を他所に真面目な顔で真っ向から否定する千早、その表情は凛々しく、プライドを傷つけられたことに怒っているように見える


「そ、そうよね……いくらなんでもロリコンなんてね……」


 そう、そんなはず無い。いくら彼の言動がおかしいからってロリコンなはずが……


「そうです!私は小さい子が好きなだけです!小さい子が安全に遊んで暮らせる世界を守り、遠くから愛でるだけです。父親になりたいだけです。ただ、一緒にお風呂に入りたいだけです!!」


 うん、何が違うのか、さっぱり解らないけど。とりあえずこの人気持ち悪い……


「いいですか?そもそもですね……」


 それから暫くは彼の演説を聞く羽目になる二人、今日も彼は絶好調である。やれ『幼女とは遠くから愛でるものであって摘んではならない』だの、『愚かな一部の暴走者により我々の尊厳は軽蔑へと変わっていた』とか、『ロリコンと小さいもの好きは違う』といった御高説が延々と1時間に渡って続く。止まらない演説にはやては資料の確認作業をしながら耳を傾けつつ流し、慣れていないフェイトは『え、ええ、そうね』と相槌をうつことしかできない


「という訳です。分かって頂けましたか?お二人とも」


 最後にコホンと咳払いをすると、締めくくる千早


「あ~わかった、わかったから、で今日呼び出した件なんやけど」


 彼の事には慣れているはやては、うっとおしそうに手をふりながら話を続ける。ちなみに、我らがフェイト氏は


「……え、ええ」


 盛大に引いており、最初の印象はどこへやら、青白い顔をして彼からかなり離れている。その距離は凡人であれば落ち込むくらい……

 自分の影に隠れる彼女を見て苦笑しながら、千早の前までいきコホンと咳払いをすると

「実はな私、新しい部署を立ち上げる事になったんや。それでな」

「お断りします」

「まだ、何も言うとらへんやん」

「嫌な予感がしますので……」

「ヴィータちゃんもおるで」

「解りました。で、いつ出向すればいいんですか?」


 勧誘時間僅か数秒、たった一言で彼の配属先が決まった。彼がこれから所属するは、八神はやてが新設した古代遺物管理部 機動六課、通称六課。ロストロギア関連の危険な任務を扱う実働部隊でありレリックの回収が先任となっている。そんな危険な仕事をするのは基本大嫌いな彼であるが、はやての巧みな交渉術により、六課への転属が決まったのである


「それでは失礼します」


 ……

 …………



「彼を引き抜いてよかったの?はやて」


 細かな手続きと、説明を終わらせ、千早が立ち去った執務室で不安げなフェイトがはやてに質問する


「ああ、問題ない。彼はあー見えて紳士的やし」


 どこをどうとったら紳士的なのか、先程ボッコボッコにしておいてどの口が言うのかと不審な目で見る


「まあ、特殊な癖はあるけどな、腕は中々のもんやで?」

「そうなの?」

「模擬戦でなのはちゃんと互角に渡りおうたくらいやし」


 その一言に驚くフェイト、高町なのは、彼女の実力を知らない者はいない。その強さを誰よりも知っている彼女は信じられないと言った感じではやてを見る


「ただし……ある条件が整ったらやけどな……」


 窓の外を眺めながら呟く……


「条件?」

「12歳未満の女の子が見ている前だけは互角、それ以外は惨敗……」

「そ、そう……」





「私は12歳以上の女性には手加減しない……年増よ」

「……少し頭冷やそっか?」



 HAHAHA笑えないよ?さあ、始めましょうか?OHANASHIをね?とりあえず、非殺傷設定は解除しちゃおうっか?


 などと言ったやり取りがあったかどうかは知りません……



 現在模擬戦の真っただ中、空と地上には二つの影、一つは純白のバリアジャケットを着た栗色の髪の女性、もう一つは銀色のバリアジャケット。その二つの影が先程からぶつかりあっては距離を取るが、それを見越していたのか、ピンク色の誘導弾が彼の周りを取り囲む

 その光景を見ていた誰もが、あ、アイツ終わった……誰もが思ったが、しかし


「ふ、私にも敵が見える……」


 上下左右360度誘導弾に囲まれていた銀髪の局員の動きが変わる。無数の魔力の弾丸を紙一重で避けながら飛び回る。目標から外れた弾丸はビルや地上に着弾すると爆ぜる


「凄い凄い!!なら次は!?」


 少し驚いた様子で語りかけると、空宙で静止する。そうしてゆっくりと彼女の相棒『レイジングハート・エクセリオン』を彼に向ける。その様子を見ている誰もが、アイツ死んだなと思った。しかし、彼は動じる様子も無くその光景を見つめていた。極大の桃色の光がデバイスの先に集まり収縮されると、ぎゅいんぎゅいんと物騒な音を立てる


「ディバイン……バスタァアア!!」


 迫る桃色の閃光。回避は絶対に不可能、彼はこれで終わった。誰もがそう思った。普段の彼ならそうだろう。しかし、今日は違う


「見えた!見えたぞ!水のひとしずくぅう!!」


 閃光をひらりと交わすと、魔導弾を放つ。見学に来ていた人間全てが驚愕していた

 今日の彼は言うならば、水を得た魚。何故彼がここまで強いか、それは……


「すごいですぅ!なのはさんのディバインバスターを見事にかわしていますぅ!」


 30cmくらいしかない小さな身体で飛び跳ねながら、驚きを表現する髪の長い少女が一人。そんな彼女の姿に苦笑しながら


「そうやね」


 疲れたようにごちるはやてがいた。彼女は気づいていた。彼がことあるごとに自分達の方へ視線を向けている事に。否、違う。彼の視線に写るのは


「資料で見た時はそんなこと無かったのに、彼は実戦で伸びるタイプなんですかねぇ」


 可愛い顔で首を捻りながら、飛び交う二人を見ながら考察する彼女を見て、ため息をつく


「ああ、違うと思う」

「では、なんででしょう?」


 それは簡単な理由……


「ふ、小さいは正義!リインフォースよ私を導いてくれ……白い年増、否、魔法熟女よ!」

「と、年……ってまた言ったぁ!違うよ!まだ19だもん!それにさらっと熟女って!?」

「14歳以上は熟女なのだよ!!その年で少女だと?エース・オブ・エース(本気?)と呼ばれて恥ずかしくないのか!」

「ロリコン・オブ・ロリコン(引き)って呼ばれてる人に言われたくなぁ~いぃ!!後、うしろの括弧ムカツクの!!」

「俺はロリコンじゃない!小さい子が好きなだけだぁああ!!小さい子の頭を洗いたいだけだぁあ!!それが分らんとは、これだから年増(笑)は!!」

「それをロリコンって言うの!!また年増って言ったぁ!しかも(笑)をつけないでぇ!?」


 妙なやり取りをしながら模擬戦を繰り広げる二人。模擬戦としての内容はものすごく濃いものであるのだが、二人の会話が緊張感というものを全て蔑ろにしてしまっている。見ているほとんどの人がモニターの音声をOFFにしている。そうして決着は結局つかないまま終了するのであった……




 最上千早 転生者 相変わらず幼女と小さい物が好きである。人は彼の事をこう呼ぶ。『ロリコン・オブ・ロリコン』と……






「まずは、今日はみんな、集まってくれてありがとう」


 壇上に立つと、集まった隊員達を一望すると一言全員に向かい頭を下げる。古代遺失物管理部隊機動六課の設立式、管理局の若きホープ八神はやてが総部隊長を務めるという事で話題を呼ぶ、試験的な運用新部隊である。それは良くも悪くもかなり有名となり、その理由の一つとして、人材の質であろう。各分部隊長を務めるは、管理局の「エース・オブ・エース」と評される高町なのは、まず彼女を航空戦技教導隊から引き抜いた事。もう一つは本局から出向した執務官のフェイト・Tハラオウン。そしてヴォルケンリッターと……。その他、各方面から優秀な人材から期待の新人まで幅広く引き抜いており、かなりの底上げになっていた。隊長格は皆全員オーバーSクラス、副隊長もそれぞれS-とAAA+と、エースクラスが揃っており、他の部隊に比べても戦力の保有量は申し分ない。それ故に妬む所もあるのだが……


「我々、機動六課が設立されたのには……」


 彼女の説明が始まる。皆真剣な表情で聞く。ロストロギア、災害、レリック回収。様々な単語を用いて真剣に、時には悲しそうな表情で語る彼女に誰もが神妙な顔をしていた。同じく真剣な顔で彼女の横に直立不動で並ぶ隊長、副隊長格のメンバー。そんな中で一際目立つ者がいる


(ねえ、ティア?ティアってば)

(うっさい、スバル。今は私語は慎みなさい)

(うん、ごめん)

(もう、何よ?つまらない事だったら怒るわよ)

(いや、なんかさ。あの銀色の髪の人、さっきからこっちを見てない?)

(もう、気づいてるわよ。だから無視してたのに、多分私達の事を見定めているのよ)

(ええ~じゃあ、私達目をつけられたのかなぁ?)

(さあ、わからないわよ。それにあの人かなり凄いらしいし……)

(そうなの?)

(噂では、なのはさんと互角に渡りあったそうよ)

(あちゃあ、怖い人だったら嫌だな)

(大丈夫、いつも通りにしていれば問題無いわ)


 先程より、新人である彼女ら四人を時折見つめる千早、その視線に気付き盛大に緊張する二人。なのはやフェイトと共に並んでいるということは、隊長格であろうと想像し、自分たちの実力を見定めようとしていると勘違いしていた


 実際は……


(ふむ、キャロちゃんか……ここに来てよかった。まさかヴィータちゃんとリインちゃんの他に天使がいたとは……)


 StrikerSを見たこと無い彼はキャロ・ル・ルシエを見て衝撃を受けたのである。

(そうだったここは魔法少女が活躍する世界、当然といえば当然。とはいえ実際目の当たりにしなければ信用していなかった。六課に配属となった日に、私はいち早く新人達の資料を見て君たちの事は知っているのだ。右から順番にティアナ・ランスター16歳、スバル・ナカジマ15歳、君たちとはもう少し早く会いたかったよ。エリオ・モンディアル10歳、キャロ・ル・ルシエ10歳、10歳!(大事な事なので二回言いました)なんだこの儚そうな表情は、守ってくれと言わんばかりのオーラ!うん、君達に決めた)

 彼の脳内は二人の事しかない。しかし、そうとは知らない新人らは


(なんて厳しくも穏やかな表情なんだろう)


 彼の優しい視線に見とれるのであった。最上千早、彼はその容姿によりいつも勘違いされる羨ましい男である


「さて、あんま長い話は嫌われるんで、以上ここまで。そうや、いい機会やし、隊長陣の挨拶でもしようか?結構有名どころを揃えたんやし」


 真剣な表情で演説を終わらせると、先程までとは打って変わって笑顔を浮かべながら隣にいる、フェイトにウインクすると


「それじゃあ、フェイト隊長から順番にしてもらいましょうか。男性諸君?生フェイトちゃんやで」

「な、何言っているの?もう八神隊長!」


 顔を赤らめながら文句を言うフェイトに周りは笑顔を浮かべながら拍手を送る


「フェイト・T・ハラオウンです。機動六課では……」


 彼女の凛とした声が会場に響きわたるとまた、全員真剣な眼差しで見つめるのであった……そうして順番に挨拶が始まる。シグナム、ヴィータ……なのはと順調に挨拶がすみ。皆有名人とあって会場の空気はかなり固くなっていた


「それじゃ。次は最上隊長やね。くれぐれも普通に頼むで」


 最後に釘を差すと、彼にマイクを譲る。それを受け取ると一礼し、真剣な表情で周りを一望する。その凛とした態度、憂いを帯びた眼差しに女性局員から熱い視線、男性局員からは別の意味で同じ視線を浴びながら


「諸君、私は小さい子が好きだ。諸君、私は小さい子が好きだ……」


 ……静まり返る会場、思わぬ展開に目を見開く局員、口を開いたまま唖然とした表情で壇上に立つ彼を見つめる者さえもいる。慣れているはやて達はため息をつき、まだ慣れていないフェイトは局員達と同じような表情で唖然と壇上を見つめる。


「諸君、私は小さい物が大好きだ。少女が好きだ。幼女が好きだ。小動物が好きだ。可愛いものが好きだ。子犬が好きだ。子猫が好きだ。ぬいぐるみが好きだ。妖精が好きだ。微生物が好きだ。」


 周りの空気を完全に無視をしながら、演説を続ける千早。しかし、彼の鬼気迫る演説に皆聴き入っていた。慣れているはずのなのはや、はやてですら、対応が遅れるほどに……


「海で、山で、川で、公園で、草原で、平原で、空中で、学校で、教室で、運動場で、家で、部屋で……この地上で戯れるありとあらゆる小さいものが大好きだ……」

「満面の笑顔で水浴びをしている幼女達を眺めるが好きだ。フリフリしたリボンがついた水着を着用し波打ち際でお城を作っている時など心が踊る。」

「麦わら帽子に、白いワンピース姿で走り回る幼女が好きだ。汗をかきながら楽しそうに山道を登り、満面の笑みで振り返る姿など胸がすくような気持ちだった。」

「歯をそろえた満面の笑みで、母親を呼ぶ姿が好きだ。綺麗な花を見つけては、不器用に冠を作って照れながら母親の頭に被せる様など感動すら覚える。」

「学校で、元気に手を上げてそれでも足りないのか立ち上がる様など、もうたまらない。頑張って手を挙げてアピールしているのに当ててもらえず、頬を膨らませていじける姿も最高だ。」

「哀れな捨て猫が腹を好かせて懐いてきたのを、給食の残りであろう食べ物を与えながら、褒美として撫でさせてもらおうと恐る恐る手を出して、成功した時の笑顔など絶頂すら覚える。」

「母親と戯れ、髪をぐしゃぐしゃに撫でられている笑顔が好きだ。必死に守るはずだった笑顔が蹂躙され、迷子になって顔を涙でぐしゃぐしゃになりながら母親を探す様はとてもとても悲しいものだ。」

「太陽の光に照らされて、外ではしゃぎ回る姿が好きだ。一部の愚かな変質者のおかげで、外に出て遊ばせてあげれないなんて屈辱の極みだ。」

「諸君、私は小さきか弱い者が安心して遊んで暮らせる世の中を望んでいる。諸君、機動六課に配属された諸君。君たちは一体何を望んでいる?」

「幼女が安心して遊べる世界を望むか?少女が笑顔を浮かべる世界を望むか?幼女と一緒にお風呂に入り……「やめんかぁ!!」……ぼげらっ!」


 途中まで呆気にとられていたはやてが、首をブンブンと横にふると頬を手のひらで叩き、気合を込めた右の拳で千早の顎へと一撃を入れる。その様はまるで某格闘家が放つ昇り龍拳のようであった……


「……む、何をする?痛いではないか?」

「『何をする?』は!こっちの台詞や!何を物騒な事語っとんねん!ええかげんにしいや!このロリコン!」

「誰がロリコンだ!俺はロリコンじゃねえ!俺が好きなのは小さいものだ!幼女少女少年達の笑顔を眺めるのが好きなだけだぁ!」

「それを、ロリコンって言うんや!しかもショタまで……あんたが変態じゃなかったらなんやねん!」

「ま、まあまあ、はやて。皆も見てるよ?」


 怒鳴り合う二人の姿に、苦笑いを浮かべながら制止するフェイト。


「まあ、いいんじゃないかな?これで千早君の事を、皆理解したと思うし」


 若干、千早から距離をとってなだめる彼女を苦笑しながらなのはが言う。周りを見回すと、そこにはさっきまでの尊敬の視線から、変な物でも見るような視線を浮かべている職員や新人達がいた。


「……コホン!ま、まあ、悪い奴や無い。少しばかり、いやかなり変な思考なだけで……」

「はやて、それフォローになってないから……」

「そ、そうやね……」


 最早、完全に空気が淀んでおり、収集がつかない状態であった……


「ふむ、邪魔が入ったが、簡単に言えば『小さい物は最高だ』ということだ。それを守ろうではないか諸君。以上」


 最後にそう締めくくるが、既に会場は冷めきった空気。戸惑いながら拍手を送る者もいるが、ほとんどが唖然とした表情で彼を眺めていた……






 ――

 ――――

 ――――――







 設立式も終わり、皆が自分の持ち場へ向かった頃、隊長室に集まる各隊長達


 スターズ分隊隊長 高町なのは

 ライトニング分隊隊長 フェイト・T・ハラオウン

 シルバー分隊隊長 最上千早


「なんか、似合わへんよな。あんたが隊長て」


 笑いながら千早の方を向くはやて、その一言に苦笑しながら同意する他二名


「ま、まあ、彼にピッタリじゃない」

「う、うん。そうだよ」


 取り繕うが笑いが堪えきれずプスプスと息が漏れている


「いや、まあ、いきなり役職に就くのはありがたいんだけど、一人しかいないのに分隊ってどうよ?」

「え?一人なの?」

「そら、そうや。此奴にスバル達を任せられると思う?」

「それは……」

「ふん、あんな年増なんぞ、こっちからお断りだ」

「あ、あはは……あの娘達が年増だったら私達なんて……」

「なのは!?」


 その一言は自分の首を締めることになるからと、フェイトが突っ込もうとするが


「そうだなぁ……ばばあ?」


 遅かった……


「……レイジング・ハート」

≪OK Starlight Breaker≫


 若干レイプ目で、徐ろに相棒を千早へ向けて突きつけるなのは


「ちょ、ちょ!!こんなとこで撃たんといて!落ち着いてって!!なのはちゃん!!」

「は!?私、一体?」

「こんなところでそんなん撃ったら、せっかく新設した隊舎が壊れてまう」

「いや、それどころか、ミッドチルダごと砕きそうだったわよ……」

「スターライト『ブレイカー』だけに」

「元凶がボケるなあ!!誰のせいやと思ってんのよ」

「まあ、そう怒るな。なのはも本気じゃなかったようだし」

「!?う、うん。そ、そうだよ?ちょっと脅かしただけだよ?」

「なのは……」

「違うよ!?フェイトちゃん?あれ?私が悪いのかな?でもでも、それならキャロ達を任せたら……」


 そこまで言ってハッとなるなのは、混乱しすぎて迂闊な一言を言ってしまう。それを聞いたフェイトは穏やかな笑みを浮かべながら


「ええ、そうね。そうなったら……バルディッシュ」

≪Yes Sir≫

「ちょ、ちょ!!フェイトちゃんまで!?もういい加減にして!!」

「そうだよ?冗談だから!ね?」


 今度は静かに怒るフェイトを宥める二人。そんな姿を生暖かい目で眺めている。ああ、やはり女子が集まると姦しいなと……


「あんたが原因やろが!!何涼しい顔で見てんねん!」

「ぼげらっ!」


 場を荒らすだけ荒らしといて素知らぬ顔で、見ていた千早に向かい腰を落とした鮮烈な蹴りを食らわすはやて。その姿は絶対に他の局員には見せられないほど混沌としていた。そうして物語が進んでいく。


 2012年10月10日 誤字修正したはず?


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