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No.3501の一覧
[0] Muv-Luv Idea that doesn't intersect (完)[ぷり](2008/08/07 21:56)
[1] そのいち[ぷり](2008/07/18 02:23)
[2] そのに[ぷり](2008/07/18 02:25)
[3] そのさん[ぷり](2008/07/23 20:52)
[4] そのよん[ぷり](2008/07/19 01:52)
[5] そのご[ぷり](2008/07/28 10:48)
[6] そのろく[ぷり](2008/07/20 05:45)
[7] そのなな[ぷり](2008/08/02 04:43)
[8] そのはち[ぷり](2008/07/20 05:41)
[9] そのきゅう[ぷり](2008/07/19 03:04)
[10] そのじゅう[ぷり](2008/07/20 12:25)
[11] そのじゅういち[ぷり](2008/07/20 09:37)
[12] そのじゅうに[ぷり](2008/07/20 11:18)
[13] そのじゅうさん[ぷり](2008/07/20 14:43)
[14] そのじゅうよん[ぷり](2008/07/22 04:09)
[15] そのじゅうご[ぷり](2008/07/21 16:10)
[16] そのじゅうろく[ぷり](2008/08/02 04:43)
[17] そのじゅうなな[ぷり](2008/07/22 13:53)
[18] そのじゅうはち[ぷり](2008/07/23 05:01)
[19] そのじゅうきゅう[ぷり](2008/07/24 09:23)
[20] そのにじゅう[ぷり](2008/07/24 09:25)
[21] そのにじゅういち[ぷり](2008/07/24 18:26)
[22] そのにじゅうに[ぷり](2008/07/25 13:14)
[23] そのにじゅうさん[ぷり](2008/07/25 20:35)
[24] そのにじゅうよん[ぷり](2008/07/26 12:19)
[25] そのにじゅうご[ぷり](2008/07/26 19:06)
[26] そのにじゅうろく[ぷり](2008/07/28 10:49)
[27] そのにじゅうなな[ぷり](2008/07/28 10:51)
[28] そのにじゅうはち[ぷり](2008/07/29 15:56)
[29] そのにじゅうきゅう[ぷり](2008/07/28 18:56)
[30] そのさんじゅう[ぷり](2008/07/29 15:55)
[31] そのさんじゅういち[ぷり](2008/08/02 04:44)
[32] そのさんじゅうに[ぷり](2008/07/29 19:06)
[33] そのさんじゅうさん[ぷり](2008/07/30 11:35)
[34] そのさんじゅうよん[ぷり](2008/07/30 11:34)
[35] そのさんじゅうご[ぷり](2008/07/31 11:08)
[36] そのさんじゅうろく[ぷり](2008/08/02 04:45)
[37] そのさんじゅうなな[ぷり](2008/08/02 04:44)
[38] そのさんじゅうはち[ぷり](2008/08/01 03:58)
[39] そのさんじゅうきゅう[ぷり](2008/08/01 18:23)
[40] そのよんじゅう[ぷり](2008/08/02 04:46)
[41] そのよんじゅういち[ぷり](2008/08/02 21:15)
[42] そのよんじゅうに[ぷり](2008/08/02 21:18)
[43] そのよんじゅうさん[ぷり](2008/08/03 21:42)
[44] そのよんじゅうよん[ぷり](2008/08/03 02:14)
[45] そのよんじゅうご[ぷり](2008/08/03 21:45)
[46] そのよんじゅうろく[ぷり](2008/08/04 06:44)
[47] そのよんじゅうなな[ぷり](2008/08/05 00:45)
[48] そのよんじゅうはち[ぷり](2008/08/05 00:41)
[49] そのよんじゅうきゅう[ぷり](2008/08/05 19:59)
[50] そのごじゅう[ぷり](2008/08/05 19:52)
[51] そのごじゅういち[ぷり](2008/08/06 01:32)
[52] そのごじゅうに[ぷり](2008/08/06 01:20)
[53] そのごじゅうさん[ぷり](2008/08/06 21:22)
[54] そのごじゅうよん[ぷり](2008/08/07 08:01)
[55] 後日談?[ぷり](2008/08/07 21:55)
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[3501] そのにじゅうご
Name: ぷり◆ab1796e5 ID:b12c9580 前を表示する / 次を表示する
Date: 2008/07/26 19:06
2000年3月26日 帝都 個人経営の小さな病院内

――― Masato Side ―――

 左肩が疼く、何故だ?

「また病院か……」

 確かマスク狩りに遭遇して……ぷっちんしちゃんだよな。
今思い出すと恐ろしい事をしてしまった、素直にマスクを渡せばよかった。
あの時も暴れずに外し方を教えればよかったのだ……激しく後悔している、そして

「生きてるんだ」 

 笑いがこみ上げてくるの抑える。

「ぷっくっ、痛ッ」

 失敗した上に傷に響く……痛みが生きている事を実感させてくれた。
そして多少は理性が戻った…あれ?

「マスクがついたまま?」

 何故かわからないがマスクが外されていない。
病院の人達は取るのを諦めたのだろうか?もう少し取りやすい様に改良せねば……




「失礼しま……」

 看護婦さんだ……前回のように堕天使では無く、天使の方がやってきた。

「失礼島?」

 そんな島知りません。なんてどうでもいい事を考えていると、看護婦さんが走って行った。

「病院内は走らない方が……」

 こちらの呟きは聞こえていないようだ。




「目覚めたか、具合はどうじゃ?」

 疲れていると思われる正治さんと、微妙な表情の月詠さんがいる。

「左肩が疼く以外は特には」

 何故医者ではなくこの二名が来るのだろうか……疑問を口に出せる空気ではない。

「すまんかった、今回の一件、わしが分家を抑えきれんが故に……主には辛い思いをさせてしもうた」

 はて?分家とな……マスク狩りを行う分家、当主に成れと言われた俺はマスク男……

「マスクが原因ですか?」

 出来れば違うと言って欲しい。

「それが原因の一つでもある……じゃがお主の責では無い。断言する」

 つまり崇宰家は……マスクが重要なのか?なるほど……香月博士はこうしたいが為に俺にマスクを……
恨むべきは分家で無く、香月博士なのではないだろうか、大本の原因は香月博士の策略だと思う。
崇宰はマスクが重要、つまりマスク好きの一家。確かに権力を手に入れるには有効かもしれないのだが、

「わかりました」

 惨すぎませんか?

「今回の一件でお主は崇宰の当主に正式に任命された……」

 マスクを死守したのを認められても嬉しくは無い……

「初の仕事がこうなってしまったのは申し訳ないのだが……お主を襲った4人の処分だ」

 マスクを奪い取れなかったからか。

「それは、何時ですか?」

「明日ここへ連れて来る」

「わかりました」

 どう処分すればいいのだ……




 正治さんが出て行った後に残ったのは月詠さん、何か御用がおありなのでしょうか。

「将登様、御着任おめでとう御座います」

 背中に悪寒が走った、様付けは止めて欲しい。

「……」

 無言の抗議を送ってみる。

「此度の失態、誠に申し訳ありませんでした」

 ん?

「何の事ですか?」

 意味がわからない。

「お守りできず……」

「気にしてませんよ」

 今だから正直に言える、ぷっちんしたのが恥ずかしい。
香月博士の陰謀に完全に乗らされてしまったのだ、悪い意味合いで……
そう言えば被害者は自分だけではなかった……あの自分を殺そうとした人達もある意味被害者。

「ですが……」

「月詠さん、家に置いてあるマスクを4個、明日までに急ぎで届けて貰えませんか」

「はッ」

 こちらは考え事に集中したいのだ、取り敢えず会話を断ち切る。
直接殺されかけたのは許せない、だが香月博士の企みとなると話が変わってくる。
あの人は意味の無い事をしている様で全てに意味がある、だから俺は今も軍に身を置いている。
そして襲ってきた4人を処分してしまうと、香月博士を認めない事になってしまう。
香月博士は俺に取っては諸悪の根源とも言える、だが香月博士の考え方は間違っていない。
ある種の崇拝に近い部分もある、故に未来を見ている香月博士を、俺には否定できない。
つまり、処分を行うと言う事は……自身の未来、生きる事の否定に繋がりかねない。


 月詠さんが退出したのを確認し自嘲気味に呟いてみる。

「諸君等のマスクへの情熱に私は感動した、故に今回の件は不問とし更にマスクをくれてやろう」

 香月博士……出来ればこんな事二度と嫌です。クーデターの主導者になったほうが精神的に楽です。


――― Masato Side End ―――



 月詠 真那の心境は複雑な物であった。
正治に連れられ、病室に入った時見た将登の顔は青かった。
原因は自分にある、紅蓮に命じられ、正治に頭を下げてまで懇願され斯衛として誓った。
なのに、なのに、なのに将登は傷ついた。


 思い出すのは初めて見た佐渡島の戦場。

 自分は希望を見た。

 思い出すのは訓練風景。

 頭を抱えて訓練内容を考えた。

 思い出すのは何も用事の無い休日。

 彼は食事を作ってくれた。

 思い出すのは病室に居た彼。

 こちらの失態を気にする事無く普通に接してくれた。


「充実していたのですね……」

 認めよう、仮初の主ではあったはずなのに、供に過ごした日々は充実していた。

 認めよう、気高くも普通である人と、人として供に在りたいと思う自分が居る事を……


「覚悟を決めましょう」

 斯衛として長き時を供にある事は出来はしない、既に斯衛としての主がいる。

 人としてならば長き時を、供に歩めるかもしれない。


「一度切りの懇願を……」

 あの御方の邪魔となるので在れば、自分が供に有ることは出来はしない故に。




2000年3月27日 帝都 個人経営の小さな病院内


「ほぅ、全員居るとはな」

 月詠は全員揃っている事に少し驚いた様な仕草を見せる。

「……当たり前です、俺たちは黄色の斯衛、そして崇宰の分家である事に誇り持っています」

 苦々しくも答えた男、今回の騒動に置いて主導者として動いた男。武田は月詠を睨みつける。
自分達崇宰の関係者で無く、他の武家が先に同じ様な行動を取れば崇宰は途絶える。
次期当主を傷付けるつもりは一切無かった、必要だったのは本人かどうかの確認だけだった。

「誇りを持ちながら襲い、挙句に傷を付けたと」

「……」

「よさんか月詠、主らも将登殿の下へ行くぞ」

 月詠の発言を受け黙り込む武田を正治は歩ませる。




「今回の一件は全て、この武田の責任です」

 部屋に入るや否や土下座する武田に一同の視線が集まる。

「貴様」

「当主、非礼は重々承知しております。ですが俺の首でこの3名を不問としてください」

 月詠の静止を無視し、小太刀で自分の首を切ろうとする武田を見て、

「待て!痛ッ」

 止めたのは将登だった。

「将登様」

 近くに寄ろうとする月詠を目で制し、右手で左肩を擦りながら将登は処分を伝える。

「痛いな……今回の一件は全部不問」

『……』

「で、それ置いてあるの一人一個上げる。以上」

 痛さからか自棄に成りつつある将登は、他人が黙っているのを無視し一気に処分を伝える。

「ですが、それでは!」

 『分家が抑えきれない』武田は自分の首を持って、この事態を丸く抑えて終わりだと確信していたのだ。

「ふむ、当主としてそうするのか?」

 正治は今まで、事の成り行きを見守っていたのだが、遂に言葉を発する。

「そうですよ?」

 意味が分かって言っているのか、分かっていないのかはっきりしない答えが返って来る。 

「むぅ……何故じゃ?」

「確かに怪我した事は怒っています、でも自分の信じている者を曲げたくないというか……」

 『うまくは言えないんですけどね』と付け加えて返答する将登を見て、政治は何度も頷く。

「お主は面白いな……最初からお主に任せておれば、こうはならんだったかもしれん」

「それって……褒めてませんよね?」

 何とも言えない、情け無い視線を送ってくる将登を、正治はにやりと笑って無視する。

「処分の伝達は終わった、主らも付いて参れ、これ以上は傷に響く」




――― Masato Side ―――


「痛かった……」

 目の前で自殺を見たい訳が無い、武田と言う人は発想がおかしいのでは無いだろうか。
痛さから適当に不問にし、マスクを押し付け結果的に追い出してしまった。

 視界の隅の方で月詠さんが笑っているのが見える。

「あの……月詠さん?」

「いえ、失礼しました。本日はお願いしたい事があります」

 笑っていた顔が真剣な物に変わる。

「人として、永らくお傍に置いていただけませんでしょうか」

 真剣ではあるが何故か泣きそうに見えるその表情は

「つまり友達になろうと?」

「ぷッ……失礼、そう捉えて頂いても構いません」

 自分の一言で崩壊してしまった。

「色々ご迷惑をお掛けすると思いますが、末永らくよろしくお願いします」

 何故か断る気も起きなかった、右手を差し出す。

「よろしくお願いします、将登さん……私は何れ貴方の隣に行き着きたいのです」

 繋がれた手の先にある月詠さんが、一生忘れられそうに無い程美しく見えた。


――― Masato Side End ―――



 帝都に春が訪れた


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