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No.34887の一覧
[0] ゴースト・アビリティ 1話 Part1 訂正版[Zero erquiem](2012/09/02 19:49)
[1] ゴースト・アビリティ 1話 Part2 訂正版[Zero erquiem](2012/09/01 21:50)
[2] ゴースト・アビリティ 2話 Part1 訂正版[Zero erquiem](2012/09/02 16:14)
[3] ゴースト・アビリティ 2話 Part2 訂正版[Zero erquiem](2012/09/02 20:21)
[4] キャラクター紹介 Part1[Zero erquiem](2012/09/01 14:06)
[6] ゴースト・アビリティ 3話 Part1[Zero erquiem](2012/09/03 00:25)
[7] ゴースト・アビリティ 3話 Part2[Zero erquiem](2012/09/03 00:51)
[8] ゴースト・アビリティ 4話 Part1[Zero erquiem](2012/09/11 21:44)
[10] ゴースト・アビリティ 4話 Part2[Zero erquiem](2012/09/11 21:45)
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[34887] ゴースト・アビリティ 1話 Part1 訂正版
Name: Zero erquiem◆37eeef16 ID:bccc0999 次を表示する
Date: 2012/09/02 19:49
1話 Part1

俺は、いつもの様に、スズメの鳴き声で目を覚ます。
重い瞼をゆっくり開けて、辺りを見渡す。
いつもの家具にいつもの寝室――
背を伸ばして俺、鴉森 海斗(からすもり かいと)は意識をハッキリさせた。
その重い体を起き上がらせ、カーテンを開け、そのまま窓を開ける。
電柱には、スズメが2匹遊んでいるかのように飛び回っている。
空を眺めれば、眩い太陽がかざしこむ。
雲がなく、風もない・・・・・・まさしく、快晴状態だった。
だが、まぁ・・・その快晴が俺にとっては重い一日になるであろう

「暑い・・・」

7月が終わり、8月の上旬だ。
学校も夏休みに入り、この一ヶ月はゆっくり出来る――・・・って、わけにはいかんよなぁー・・・
通常は、夏休みに入り暑い日にプールや虫取り、花火っと言った夏らしい行事があるが、俺はその行事のほとんどが補習だ。
ただ、学力は悪いっと言うわけじゃない・・・・・・
この“体”が悪いんだ。
この街では『霊能力(ディープ)』と言う、個人の守護霊を使った特殊な能力が最低1人1霊は宿しており、大半は三つの能力がある。
1つはその守護霊を体に纏い身体能力を上げる≪肉体強化(boy strengten)能力≫又の名を、≪BS能力≫
2つ目は守護霊自体を銃や刀にして使う≪武装変態(Armed metamorphosis)能力≫又は、≪AM能力≫
そして、3つ目が攻撃魔術を宿す≪霊魂魔術(Soul magic)能力≫又の名を、≪SM能力≫とも呼ぶ。
とは言え・・・・・・必ずしもこの都市全員ではない。
東南部の自然に囲まれた人口自然は能力者を宿していない一般人だ。
だが――俺はそんな田舎者とは違い正真正銘、この街で生まれ生きているにもかかわらずその守護霊の能力はないのだ。
何故だか、分からないがそう言う体質らしい・・・・・・まぁ、別に気にしているわけではない。
そんな感じで、俺には『守護霊』を宿していない霊力が足りないので補習っということだ。
別に宿していて特なんてあるの?っと考える人もいるだろうが、得はある。
さっきも言ったように、この街には特殊な能力者がいる。
この街を出て行った霊能力者が他の街で暴走、又は犯罪を犯したときにその力と妥当な力の持ち主が必要だからだ。
勿論、この街以外での法則はこの街より厳重である。
なので、他の街にはあんまり俺達みたいな能力者はいないのだ。
それ以外でも、必要とされる人はいる。
特に、身体能力を上げる能力である≪BS能力≫は他の街に出て荷物運びなどの手助けをする人も少なくはないからだ。

「・・・・・・・・・」

コレを宿していない俺が言っても何か説得力がない気が――

「あ゛ぁー・・・」

とにかく、俺はこの暑い日光から避けるべく窓を閉め、リビングへと向かった。
リビングに通じるスライド式扉を開けると、机の上から美味しそうな匂いが漂ってくる。
そこに置かれてあったのは、漬物にサラダ、麻婆豆腐が出来ておりお茶碗とコップが逆さまにおいてあった。
さらに、その近くに紙切れが書いてあり、その内容を見ると――

『食べたら、自分で皿を洗って置いてねー 冴枝(さえ)より』

シンプルだ。
そう思いつつ、俺はラップをしてある器を剥がし、御椀に御飯を盛り、お茶碗に氷が入った麦茶を注ぐ。

「いただきます」

手を合わせ、そのまま食事にする。
食事を用意してくれたのは、間違えなく彼女だ。
如月 冴枝(きさらぎ さえ)
俺よりも1歳年上の姉的存在だ。
とてつもなく世話好きで、彼女の近所付き合いでは『紗枝母さん』などと仮名が挙げられるほどだ。
そんなこんなで紗枝は毎朝、俺の家に勝手に入り込んでは朝食を作り、何も言わずに家を出てしまう。
理由は単純だ。
昔からの友達だから、だそうだ。
ありがたいっちゃありがたいからいいけどな・・・・・・などと、内心感謝しつつ自然と頬が和らぐ。

食事を終えた後、食器を流し台に流し俺は再び自室に戻り、仕度をし始める。
通常の学生服とは違い、俺達が向かう『帝領学園』は漆黒に包まれた半そでの下着に黒い軍服を着る変わった制服だ。
ズボンは普通の学生とは変わらず黒色のズボンだ。
一見からみれば、カッコいいが欠点がある。
この服は厚い故に、守護霊能力者の学園に入学した証だ。
ま、俺にはそんな守護霊なんていないが、その学校に来ていると言うのは間違いでもない。

なので、俺もこのような服を着ているっと言うわけだ。
とは言えど、絶対っと言うわけではない。
真夏であるこの時期はちゃんと下着だけで登校は可能だ。
手持ちバックの中に必要な水分等を中に入れ、バックを肩に掛けて自室を後にし、そのまま再びリビングへと戻る。
冷蔵庫を開け、家を出る前に一度、水分補給をしそのまま玄関へと向かい家を出た。

「暑い・・・・・・」

本日2度目の発言だ。
8月入ってばかりだが、正直に暑い
因みに、現に俺は黒の制服と夏用のズボンだ。
夏場まで先ほどの軍服を着て登校をしたら熱中症になるのも無理はない。
とは言え、半そでにしたから涼しいっと言うわけでもない
体全身から汗だらけだ。
横断歩道で、信号が赤に変わり車が一斉に走り出す、手で風を送りながら俺は早く青にならないかなぁ、と思い気長に信号待ちをしている時だった。

「うぃーっす」

その曲がり角から聞き覚えのある声が聞こえた。
反射的に振り向いたが、誰が俺の名を呼んだかすぐに判断出来た。

「よう、お前も補習か? 吉良」
「いやいや、俺は先生に用事があってな」

左耳にイヤホーンを付け、朝食であろう握飯を食べている様だ。
その陽気な態度を見せるのは、俺と同じクラスメイト 吉良 勝(きら すぐる)だ。

「先生に用事って?」

吉良は、元々成績は悪い方ではないが、だからと言って良い方でもない。
その中間地点並みの成績で赤点や補習が必要とするほどの成績ではないので、現に吉良がこんな夏場で制服姿を見るのは極めて珍しかった。

「あぁ、最近な・・・・・・ちょっと物騒な殺人が起きててな・・・・・・その書類を今日、提出しなきゃいけねぇんだ」

「物騒な殺人?」

信号が変わり、俺と吉良は会話しつつ再び歩み始める。

「そうだ、自身の能力を発動最中に『守護霊』が暴走をして、能力者自身を逆に乗っ取られる事件だ」
「それは・・・・・・≪ブラット・デュープ≫のことか?」

≪ブラット・デュープ≫―――正式名は『自独霊』と呼ぶ。
『守護霊』も能力者本人の体を借り『守護霊』自身が行動をすることも出来る。
だが、リスクもそれでいて高い。
そのためには、その集中力、忍耐力、精神力を大幅に使わなければならない欠点があるのだ。

「俺も、最初はそうだと思ってた・・・・・・だが、"違った"んだ」
「違った、とは?」
「被害者曰く、『守護霊』が勝手に被害者の体を使い、暴走状態に陥ったんだ・・・・・・コレが、実際の写真だ」

そう言って、吉良が中ポケットから一枚の写真を俺に渡した。
その写真を眺めれば――

「・・・・・・うわぁ」

そこにいたのは、右腕が吹き飛ばされ大量出血をしている者や腹を抉り胃がはみ出ている重傷者の写真だった。
どうやら、コレは守護霊の仕業だと分かる。

「あんまり、見せたくはないが・・・・・・お前も、警備役なんだから見せた方がいいと思ってな」
「・・・・・・なぁ、コレが?」
「そうだ、『守護霊』の仕業だ」
「・・・・・・」

あまりの悲惨さに、目を背けてしまうほど酷い。

「ありがとう」

そう言って、写真を吉良の方に渡す。
写真を受け取り、そのまま中ポケット内に入れた。

「それで、被害者は?」
「それがな、行方不明なんだ」
「え? どうして? 確保は出来なかったのか?」
「俺が聞いた限りだと、数人の確保及び殺害になったらしい・・・多分だが、脱走だと思ってもいいと思う」
「そうか・・・・・・糞っ、また面倒臭いことになりそうだな」
「お互いさまだろ?」
「あはは、まぁな」

お互い空笑いしつつも、その空気は重いままだった。

やがて、目的地である『帝領学園』に到着した。
『帝領学園』は、東京タワー丸々3個入る超巨大な学園だ。
それもそうだ、何故ならこの学園は小中高学年の生徒が通うのだから。
なので、この『帝領学園』の在籍数は他の学校と比べモノにならないほどの人数がこの『帝領学園』を通っているのだ。
これも、全て政府が管理しており、国内唯一の能力者でも入学可能な学園だ。
そのこともあり、日本の大半は知られている言わば、有名な学校だ。
その中でも、俺たちは既に高校3年の夏のこともあり――
学校に来て、蹴活をしている人も少なくはない。
とは言え、この学園を卒業する大半は警備役の方へと足を歩む生徒だ。
警備役の他にも色んな役がある。
検察役は、証拠の提示や犯人などの痕跡など追跡部隊なもの
能力開発役は、能力に関するデータ及び、今後の進化についてを調べる役。
そして、警備役が犯人の取調べ、確保などの命に関わる仕事役だ。
俺と吉良は既に警備役としたは『合格』をしたので入部している。
玄関に入り、靴から学園特性の靴を履く。

「っと、俺はあっちだから」

吉良は教室とはまた違う方角を指で示す。

「そか、じゃあまた」
「おうよ!」

再び、1人となり俺は鞄を肩に掛けつつ教室へと向かった。

東南エリアの校舎3階まで歩き、教室の前にまで来た。
扉を開け、そのまま何も言わずに机に向かう。
俺の机は教卓から一番離れて東側の風通しが良い所だ。
鞄を、机に引っ掛けてそのまま座り、腕の中で頭を疼かせる。
すると、音だけだが何やら足音が聞こえる。

「・・・・・・ん?」

視線だけをそっちに向けると、そこにいたのは彼女だった。

「やっほ!海斗ぉ!!」

唐突、その怪しからん胸を俺の顔面に向けて抱きついてきた。

「―――っ!?」

胸の谷間に顔を蹲って息が出来ない。
しかも、タイミングが悪く此方を向くときは息を吐いた直後――
つまりは酸素を吸っていない状態で息が出来なくなる。
とにかく、手足を動かしつつも彼女は力を緩めない。
それどころか、強くなる一方だ。

「元気にしてたぁ?」

今、現に、アンタに殺されそうだわっ!

「―――っ!!?」

口にしたいものの、それも叶わない。
く、くそっ! とにかく、一刻も早く離れろォォォォ!!


はな、れ・・・ろぅ・・・・・・

「・・・・・・・・・・・・・・・」
「ちょっとちょっと!? 鴉森くんが――っ!!」

他の同級生らしい女の子が俺の異変に気づき、彼女はその状況を今一度、確認をするため俺の様子を見る。

「ん? 海斗がどうかしたの――」

ょ、ようやく・・・・・・開放が――



「ギャアァァァァァァァァァァ!! 人の胸に何蹲ってるのよォォォォォ!!!!」

そのまま、俺の顔面に向けて鉄拳を喰らわせられる。

「「「「「「「((((((((え゛え゛え゛ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっっっっっっ!!?!?!?)))))))))」」」」」」」」

俺を含め、同級生全員が予想外の展開に驚愕をした。
そのまま、俺は鼻血付き顔面ノックアウトとなり、地面に倒れこんだ。
り、理不尽だ・・・・・・
その後、俺はすぐに意識を取り戻し彼女は全て自分のせいだと思い出し、俺に向かって謝罪をした。

補習が始まり、俺の他 6名程がこの教室で勉強をしている。
その隣には、先程の胸を俺の顔に押し付けて窒息死させようとした殺人女―――とは、言い過ぎだな。
いつも、朝食を作ってくれる人に向ける言葉じゃないな。
そう、彼女は俺の幼馴染である如月 冴枝である。
何故、彼女が俺と同じクラスにいるのか、最初は疑問に思ったんだが、どうやら同じ科目が赤点だったらしく偶々同じ教室だったと言うことだけだ。
『守護霊能力者について』と見開きページに書いてあるタイトルである。

「――えぇ、つまり 守護霊の能力を扱うためにはその守護霊と同じ気持ちになることが大切。守護霊と能力者の気持ちが1つになることで本当の能力が発動するのです」

若い男性教師がそのページを読んでいた。

「では、実際に私がやって見ましょう」

そういうと、教師は教科書を閉じ、そのまま教師の瞼のゆっくりと閉じる。


「『水の守備霊 フロント=ガルーダ』」

言うと、教師の背中から武者らしき人物が半透明の状態で出現した。
鉄で作られているよな鋼の仮面を被り素顔を隠しているが、身長が高く体系的に男性だと分かる。
その光景を見ていた俺や冴枝意外のクラスもその守護霊であるフロント=ガルーダの姿に見惚れてしまった。

「守護霊の出現条件は、全神経を脳内に送り込ませその神経を使って守護霊の名を呼ぶと出現は可能だが――能力を発動する時はその神経と集中力が必要となる」

そのまま、教師は神経を維持したまま腕に集中をさせる。
すると、守護霊の姿が水色に光出し、集中させていた腕の周りに薄く青く纏わった。

「これが、『守護霊』の能力を纏わす≪能力開放(ゲート・オープン)≫と呼びます。なお、この≪能力開放≫は基本ではこの街のみ使用可能です――だが、時と場合によってはこの街意外でも使用は可能になる」

守護霊の能力で発動していた纏っていた腕は元に戻り、「ま、慣れたらすぐに発動が可能だ。」と付け足すかのように言い、教師は後ろの黒板に体を向ける。
白色のチョークを持ち、『霊能力の法律』と書く。

「君達は、『霊能力の法律』について何処まで知っている?」

教師は近くにいる生徒に質問をし掛けた。

「ぇ、えっと・・・確か、第1条~22条まである――『霊能力原則』のことですか?」
「うん。その8条である『町外では、最大限の能力発動を禁ずる』というものだ。能力自体を硬く禁じるのではなく、能力を使ってもいいがちゃんと通常の人間に合わせるくらいの能力は使ってもいいんだ」

教科書に視線をやると、右端っこの方に確かにそう書いてあった。

「まぁ、理由は簡単だ・・・・・・この街から脱走し、町外での違反や犯罪などに手を染めた能力者を対抗させるためだ」教師が喋っている最中に、授業終了のチャイムが鳴る。

「―――と、ここまでだな 号令を頼む」
「起立、礼」
「「「「「「ありがとう御座いました」」」」」」

俺は、そのまま席に着き鞄から水筒を手にする。
と、俺の前に来た先ほどの教師が立っていた。

「海斗くん」
「あ、はい なんでしょう?」
「君にコレを渡したくてね」

そういうと、教師はある封筒を直接俺に渡した。
その封筒は誰からだろう思いつつ裏返すと―――

「警備副長の敷島 玲菜(しきしま れいな)さんから、か・・・」

今日、午後1時に『警備会議室』へ集合っと書かれてある。
もしかしたら、今日言っていた吉良のあの話なのかも知れない・・・そう、思いつつ俺はその封筒をファイルに挟み、教師にお礼を言った。
教師はそのまま教室を出て、姿を消した。
そこで、隣にいた如月は俺に近づいた。

「何貰ったの?」
「あぁ、警備役についてだ」
「ふぅーん・・・・・・」

何やら、興味半分で俺の顔を見る。
何をしたいのか、分からず思わず如月に問い掛けた。

「どうかしたのか?」
「え? あぁ、うん・・・・・・もしかしたら、例の“事件”かな、と思って」
「例の“事件”?」
「そう 今日のニュースでやってたでしょ?」

そもそも、俺の家はあんまりテレビを使わないのでよくは分からないのだ。
実際は、新聞で読めば分かるが、この頃は警備役やらで忙しく読む時間がなかった。
なので、最近のニュースについてはあんまり分からないのだ。

「いや、最近 忙しくってな・・・・・・あんまりニュースを見ていないんだ」
「そうなの?」

何も言わず、俺は黙って首を縦に頷く。

「そう―――実はね、最近 『守護霊』が暴走しているって言うニュースが相次いでいるの」

その事件の内容は、今日一緒に登校した吉良と同じだった。

「それって、吉良も言っていたが――今、話題になっているのか?」
「話題もなにもないよ・・・だって、この事件は海斗くんの両親が働いている研究所の付近ら辺で起こっているもの」
「―――っ!?」

それは、紛れもなく初耳だった。

「その反応、どうやら本当に初耳らしいね」
「・・・だから、吉良も――」あんなにも、焦っていたのか
「海斗?」
「いや、なんでもない」

約束の時間となり、俺はそのまま軍服を着用して『警備会議室』に入る。
扉のノックをする。
すると、扉の向こうから『どうぞ』と声が聞こえた。
そのまま、ドアノブに手を掛け、「失礼します」と合図を送るとドア越しから「どうぞ」との声が聞こえ、俺は『警備会議室』へと入室する。
中は、学校によくある職員の会議室みたいになっており、見かけない顔の人もいれば、吉良みたいに友達の顔もいる。
そんな俺は、ゆっくり一礼をし吉良の隣の席に向かう。
この会議は所謂、今現在の重大事件がある時のみこの会議室が使われる。
多分、話の内容は吉良と如月が言っていた『自独霊』に関してだろう。

「――では、全員揃ったところで会議を始める」

この会議室で最初に口が開いたのは、この警備役などの指揮者である小浜 総讀(こばま そうどく)である。

「さて、今回の事件――・・・『連続守護霊自独事件』との名が出てしまうほどの厄介な事件となってしまった。そこで、その名をこれ以上、事態が暗転しないようにするためにこの会議を開いた――そこで、事前に第Ⅳ部警備役の所長である『高浪 祐平(たかなみ ゆうへい)』が調べてくれた・・・高波、頼む」

高浪 祐平
俺や吉良の所長だ。
この警備役にも、少し特徴がある。
警備役には、第ⅠからⅥ班警備役があり、各部によっては少々異なっている。
第Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ班までは、町外での警備役であり、その残りがこの街での警備だ。
俺は、その中でのⅣ班なので街内での警備役だ。
高浪所長は、この会議室の教卓の近くにあるホワイトボードの前に来た。
そこには、数十枚程の紙切れと写真付き、でだ。

「さて――、今回担当となります第Ⅳ班警備役3代目所長、高浪 祐平です。今回は、よろしくお願いいたします」

挨拶をし、それを返す拍手が鳴り響く。

「――では、まずこの資料を皆さんの机の上に配布した筈です・・・・・・その資料の2ページを見てください」

資料の題名は、今回付けられた事件の名だった。
表紙を開き、2ページを眺めればそこに書かれてあったのは、自独霊に殺された名簿の一覧だった。

「第一街出身 仲神 直志女、第六街出身 北川 直紀そして、第七街出身 木田 之締 その他の被害者3名がありましたが――共通点が見つかりました。能力名が全ての被害者の能力は、霊魂魔術能力者による者だと一致しました」
「っと、言う事はなんだね? これは、霊魂魔術者の守護霊が自独霊となり能力者に被害を受けたと?」

俺の隣に座っている中年の男性がやむを得ずそのまま口にした。

「確かに、私もそう思いましたが、ね」
「どういうことだ?」
「言いましたよね? 最初に、『連続守護霊自独“事件”』だと」
「―――っ」

中年の男はその発言の意味に気づき、その場を静まる。
俺は、そのまま手を挙げる。

「どうしたんだ? 海斗?」
「祐平さんが言っていたその『事件』についてですが、これはどうして言い切れるのですか?」
「それを、今から説明するさ・・・・・・実は、その理由は次のページに書かれてあります」

そのまま、俺は資料の1ページを開くとそこには二枚の写真がプリントアウトされたのがあった。

「この写真は別人の人だが、両写真とも銃弾らしきものの跡が残っています」

一枚は首に、もう一枚には横腹に撃たれたであろう跡が残っているがそれだけだ。
出血をしているだけで、特に変なところはない。

「そして、もう1つあります・・・その被害者(守護霊)についてですが――以下の被害リスト全てがある組織の一員であることも分かりました。『霊能力特殊霊魂機密組織』であります」

『霊能力特殊霊魂機密組織』、長ったらしいから俺達は別名『特霊組織』とも呼んでいる。
その組織は、霊魂の能力者――つまりは、霊魂魔術者の魔術について調査している機密組織だ。
だが、この名を知っているのは俺達、警備役などの検察役等やその街の警察隊、本部の警察のみが知る。
その組織を知り、悪用を使ってくる人も多いから別名では、『霊魂病』と呼ばれる霊魂魔術能力者専用の病院として活用されている。
だが――まぁ、薄々は怪しかったのは事実だ。
そして、なによりも場所だ。
その『霊魂病院』は、どの研究所よりも近い場所で被害者が出ているのだ。
俺たちが、住まう小さな都市は海に囲まれ日本列島とは少し離れた位置にある。
日本列島に繋がる橋はあるが検問がとても厳しいのでまずはない、船はなく飛行機等もない。
なので、本土などの人たちが日本列島に行く人はこっちから来る。

「―――であるので、今後の聞き込みでは『霊能力特殊霊魂機密組織』を調査して行く次第です 以上ですが、何か質問はありますか?」

話が区切ったところで祐平さんはこの警備役の方々に問い掛けた。
そこで手が挙がったのは、俺達と一緒の乍魅 締盟(ながらみ ていめい)と呼ぶ女性だ。

「なんだ?」
「すいませんが、私達は今後どうすれば宜しいのでしょうか?」
「その件についてだが、俺達 第Ⅳ班の警備役のみ行こうと思っている 詳しい話はまだだが、近日中には連絡をしよう」
「了解っ」
「他には? ないのでしたら今日はこの辺で――次回も会議をやろうと思いますので今後の連絡次第でお願いします」


会議が終了した後、俺と吉良そして、乍魅は『第Ⅳ支部 警備室』と表札が書かれてあり、そのドアノブを回し入室した。
そこには、冷房が入っておりこの夏には最高の場所だ。
その中には、俺達3人の他にも3人ほどの警備役が仕事や他愛もない話をしているなどと人によっては様々だ。

「よぉー!お疲れさんっ!」

その近くにあったソファに凭れながら俺に向かって話しかけた。

「あれ? 孝明、どうして此処に? 今日は、休日じゃなかったか?」

スポーツ刈りでアイスの棒を口にしながら俺の方にニカッと笑顔を見せるのは、公義 孝明(きみよし こうめい)だ。
性格は、一言で言えば熱心だな

「わ、わっはっはっは!! 家に居ても何もやることないからなっ!」
「本当は、高浪所長に無断欠席してその反省文を書かせられている為に来ているだけよ」

奥の扉から1人の女性が入ってきた。

「ああぁー・・・・・・なるほど」

説明し忘れてたが、コイツは学園に到着しそこでようやく自分が教科書などの学生鞄を家に忘れるほどの“馬鹿”だ。
そして、その隣にいるのが半田 浪音(はんだ なみね) 俺よりも1つ上の先輩だ。
冷静活、人見知りの故に俺たちとその半田さんのクラスにしか大抵は話すことはない。
俺はそのまま、自分の席に向かい、机に凭れこむ。
この室内が35℃越えの中で会議をしつつその会議の時間がざっと1時間していたので頭がガンガンする。
なので、このエアコンを使っているこの部屋が最適だ。
――っと、机に何か置かれる物音が聞こえた。
顔だけを上げるとそこには、氷入りのカルピスが置かれていた。
誰が用意してくれたのかは大体予想をしたので、顔はそのままにお礼を言い手を振る。

「おぉ! サンキュ 佳苗」
「ううん、いいよいいよ 暑い中頑張ったからね」

彼女は、この『第Ⅳ支部 警備室』のサポート役を務める鑑原 佳苗(かがみはら かなえ)
マイペースで、気ながらに話を掛ける乍魅や半田さんとは真逆の性格だ。

「ぷはぁ・・・・・・うめぇ!!」

俺よりもいち早く飲んでその叫びを露わにしたのは吉良だった。
俺もそれに続いて飲むと喉越しに伝わる冷感と甘味が伝わり、正直気持ちよかった。

「くぅぅぅっ!!」

俺達、第Ⅳ班の全員は皆、仲が良いがある支部だが中には気が合わずに重い空気を充満しているグループもある。
だから、多分この支部にいるのは正解だと思う。

「さて、会議の方はどうだったんだ?」

未だ、アイスの棒を口に咥えたまま俺達に話しかける。

「孝明! 貴方は、口にモノを咥えながら話をしないで下さいっ!」
「別にいいだろ? 減るもんじゃねぇし」
「減る、減らないの問題じゃありませんよ! 常識でしょっ!?」

乍魅はそういうのには厳しいからな・・・・・・スタイルは良いのに性格は――

「何か言った?」
「いえ、何もっ!」

もの凄い睨み顔を俺に向けて一気に気を引き締める。
そう、乍魅はそういうのには敏感なので俺が思っている事をすぐに察知する。

「んで、どうなんだ?」

話を強引に戻すかのように孝明は乍魅に軽く問い掛ける。

「・・・・・・ハァ、そうね とりあえず、今回の騒動が起きている『連続守護霊自独事件』は誰かがそれを“起こしている”という事ね」
「「「っ!」」」

その言葉を聞いた3人全員が意味を知る。

「つまり、なんですか? この事件は単に『自独霊』ではなく――それを、誰かが起こしているっと言うことですか?」
「あぁ、そうだな・・・・・・その証拠に首筋やらに銃弾の跡があったんだ」
「それが、強制な『自独霊』を発揮してしまった、と言うことですか?」
「そこまでは、分からないわ・・・・・・でも、その可能性は高いわね」

そう考えれば、銃的なモノを使ってその『自独霊』を起こしている可能性が高いな

「そして、この事件に関係するのが『霊能力特殊霊魂機密組織』だわ・・・・・・なので、所長には近日中にその調査をするらしいから指図があるまで待機みたいね」

「はいよっ!」 「分かった」 「了解だよぉ!」

鑑原、お前は留守番だぞ、と思う俺でもあった。


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