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No.34561の一覧
[0] (IS)インフィニット・イクサス 狂人が夢見た漆黒の無限[九束](2012/10/21 21:40)
[1] 1.混ざる[九束](2012/08/13 01:06)
[2] 2.侵食[九束](2012/08/18 20:54)
[3] 3.残業[九束](2012/08/13 01:04)
[4] 4.ブリュンヒルデとドイツの冷氷[九束](2012/09/10 22:42)
[5] 5.敵意と[九束](2012/08/15 13:56)
[6] 6.困惑と[九束](2012/08/19 12:38)
[7] 7.そして好意[九束](2012/08/19 12:46)
[8] 8.グスコーブドリ[九束](2012/08/25 21:18)
[9] 9.勧誘[九束](2012/09/09 12:54)
[10] 10.門戸と襲撃[九束](2012/09/22 19:42)
[11] 11.入獄または入学[九束](2012/10/12 22:07)
[12] 12.デュノア時々たらし後シャルル[九束](2012/10/21 14:18)
[13] 13.シャルロット・デユノアという女[九束](2012/10/21 21:51)
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[34561] 5.敵意と
Name: 九束◆a9ba9ff2 ID:7f3fcfb8 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/08/15 13:56
「せっかく宿題終わったと思ったらおかわりを食らった一夏君inドイツですがみなさんお元気でしょうか。俺は心が折れそうです」
後ろ向きたくないので壁に向かって体育座りをしながら話すお昼前。
お腹が減りました。
「おい一夏。何馬鹿なことをやっている」
そう言って声とともに強制的に俺の向きを180度回転させる千冬姉マジ歪みない。
「今回お前たちの計測試験に参加する織斑一夏博士だ」
俺の紹介をする千冬姉。
「織斑…」
「…一夏?」
目の前には眼帯をした10代前半から20代初めくらいの女性が6人ほど軍服(20代っぽい女性と10代前半ぽい女の子)と軍服っぽい服(10代半ばくらいの女の子)を着て整列していた。
彼女たちの左腕には刺繍の入った腕章。
たしかアレは黒ウサギ隊の腕章だ。

…すごく、関わりたくないです。

「――磁気流体力学の権威で、ISコアのエネルギー効率化でも独特の価値観を持っている。名前で気づいたものもいるだろうが、私の弟だ」
千冬姉の説明を聞いてビリーの言葉が脳内で再生される。

――午後にこの研究施設で黒ウサギ隊が機体のデータを取るらしいぞ――

どう見てもその件です。次はどんな失態をしたんだ日本政府。
怒るけど正直に言って下さい。
オレはお前らの失態をチャラにする免罪符じゃないんだけど。
クソッ束さんみたいに自力で全てできるんなら失踪してやるのに!
本当に死んでください日本政府。
心のなかで山ほどの罵倒をレンタル延長させた知らない相手に投げつけながら彼女たちを見る。
その中の軍服を着てるちっちゃい方がバリバリ殺気を放ちながらこちらを睨んでいた。
うん。
よし。
「はじめまして皆さん。そしてさようなら」

ダッ(出口にダッシュ)

ガシッ(襟を掴まれる)

「グエ!」

未来へ疾走しようとした途端、何故か頸動脈がきゅっと閉まって一瞬意識が遠のく。
「帰るな馬鹿者」
ゴチン。
そして頭に衝撃。
「~~~~~~~~~っっっっ!!!!!」
のた打ち回る俺。
涙目になりながら千冬姉の方を見るとバインダーを持って呆れ顔。
「ひ、ひでえよ千冬姉!俺の頭は今左右に割れたよ!?」
「そうか良かったな。これからは左右で交互に考え事が出来るな」
その発想はなかったわ。
「あと一夏。ここで私のことは織斑教官と呼べ」
「んじゃあ織斑教官。俺のことも織斑博士と呼んでくださいね」
じゃないとどうしても公私の区別がつけづらい。
実際、予定を急に変更した上にこの扱いとか千冬姉以外なら即刻今後の協力拒否をしてるところだ。
まあ後でやるけど。もういい加減堪忍袋の限界です。
日本政府が文句をいうなら適当な国に亡命してやる。
「で、織斑教官。今回の仕事はどれ位時間がかかる予定なんだ?」
「っ!」
頭を切り替えて『織斑教官』にいうと、何故か少し千冬姉の顔が曇る。
「…?織斑教官?」
「――――で、いい」
「はい?」
「呼び方は千冬姉でいいと言ったのだ『一夏』」
「いや、だってさっき――」
千冬姉が織斑教官と呼べといったんじゃん。今さっき。
「い・い・な?」
「イェスマム」
なんというジャイアニズム。
事故以来の懐かしさだ。
「で、内容と期間はどれくらいなんだ?千冬姉」
話を元に戻す。
「あぁ、大体半月ほどだ」
「実家に帰らせてもらいます」
「お前の実家は今改築中だ」
「マジで!?」
いつの間に!そりゃあ確かにここんとこ飛び回ってて半年くらい家に帰ってなかったけど!
「あぁ、今回のドイツへの赴任でまとまった金が手に入ってな。せっかくだから最新設備とかを片っ端から盛り込んでみた。色々と割引もしてもらえたしな。役得というやつだ」
家が完成した暁にはそのハウスメーカーで千冬姉を使って全力CMだろうなあ。
「まあ、家が今ないのはわかったけど、さすがにもう1週間もIS研究以外のことに全く手を付けてないのに、後半月とかちょっと無理なんだけど」
「安心しろ試験は3日で終る」
それでも長いなあ…。
まあそれより。
「残りの半月マイナス3日は何すんのさ」
「うむ。日本政府IS担当大臣からの伝言だ『そろそろ織斑博士がブチ切れそうだからボーナスです。ドイツ軍と交渉して特殊部隊を君の研究にアサインしてもらったよ!期間は彼女たちの試験を含めて半月です』とのことだ。ただし施設はドイツの研究所を使うこと。それが条件だがな」
千冬姉のセリフの向こうにドヤ顔のIS大臣が見える。
なんかいかにも俺に対するご褒美みたいなことを言っているが…それって『とりあえずコイツに本職の研究させておけばある程度不満はかわせるだろう』ってことじゃん。
まあ確かに特に縛りがない分顧問やってる企業との会議とかオブサーバーとして参加してる実験にも参加する時間は作れるけど、この成果ってドイツと折半だよな。
普通だったらキレるぞ。
そろそろ中欧のテコ入れしなきゃって思ってたけど。オーベルトLLC作るときにハブってたし。
やっぱり日本政府ちょっとオレを舐めすぎじゃないかな。
…。
ま、今はいっか。
どっちにしても『今回は』オレに損じゃないし。
「了解。報酬は倍プッシュって大臣に伝えといて」
「大丈夫だ。十倍と伝えてある」
さすが千冬姉。ナイス!
「じゃ、早速試験をちゃっちゃと終わらせてしまいましょうかね」
そういって彼女たちを素通りして制御室に向かう。
なんか敵視の視線が増えた上に一人はそのまま襲いかかってきそうなくらいのさっきに変化してるけど、まあいいや。
個人の感情なんて気にしてたら研究なんざできないしね。







気に入らない。
「いやー…すごいねこりゃあ。もしかしてこの部隊、ドイツの精鋭?」
目の前でひょうひょうとした声を上げるこの男が気に入らない。
今ま想像の中でしかなかった悪い男。
数時間前に私達黒ウサギ隊の試験に参加してからはっきりと確信した。
目の前で接して更に悪くなった。

こいつは、コイツはそっくりだ。
私を数字の識別番号でしか呼ばなかったあいつらに。
暗闇で私を使い捨てのモノとしか扱わなかった研究者に。
厳しくとも私を初めてヒトとして扱ってくれた織斑教官とは正反対の人間だ。
何故このような人間が織斑教官の弟なのかが理解できない。
そんな私の気持ちを知らないコイツは飄々とした表情のまま椅子を回してこちらを向く。
「あぁ、えーと君は…C0037か」
奴がその言葉を口にした途端。
「っ!!」
頭に一気に血が上るのが分かった。
パンッ!
気がついた時には手が出ていた。
「…痛いな」
右頬を抑えながら奴が抗議する。
「私をそんなただの番号で呼ぶな!わかったな!!」
「分かったよ。で、だ。そこのちっこいの」
「お前、死にたいのか」
更に頭に血が上って小銃を部分展開させて突きつける。
「民間人に兵装を向けないでよ。実験で死ぬのは構わないけど、こんなアホなことで死ぬのはゴメンだね」
コイツ!
引き金に力が入る。
「ちょ!何やってるんですか隊長!おいお前らも隊長を止めろ!」
「隊長!確かにコイツはゲスですけど殺しちゃダメです!」
「こんなクズのために人生を棒に振るとか無いですよ隊長!落ち着いて!」
四肢をクラリッサたちががっしり掴んで制止する。
「えぇい!離せ!アイツには、アイツには一発打ち込まないと気が済まない!!」
「やるならちゃんと夜の人通りが少ないスラム街とかでやりましょう?ね?ね?」
「ねえ何で君たちオレを亡き者にすることそのものは止めないの?」
隊員の誰かが言ったその言葉に奴が声を上げる。
「黙れ!いいから隊長を抑えることができてるうちに失せろ!」
そしてそれをすぐに黙殺するクラリッサ。
「そうよこのクズ!」
「女の敵!」
「死ねばいいのに」
「もげろバーカ!」
それに続くようにほかの隊員が罵声を浴びせる。
今、部隊の心がひとつになった気がする。
「強制的に宿題おかわりなのにこの仕打…ちょっと心が折れそうなんだけど俺」
そのまま心が折れてしまえばいいのに。
恐らく隊員全員がそう思ったに違いない。
「…はぁ…まあ、いいや。面倒だから今ここで説明するぞ。えーと…」
言っていいよどむそいつ。
「…なんだ」
「いや、なんて呼べばいいんだ? お前の呼び方を俺は知らん」
「…」
「C―」
「ラウラ…ラウラ・ボーデヴィッヒだ」
「そうか。ラウラか。いい名前だな」
私の名前を聞いたそいつはそう言って微笑んだ。
その微笑に私の心臓は少し跳ねる。
教官の笑みにそっくりだったのだ。
たった一度、見せてくれた…私がはじめて試験をクリアした時のあの優しい笑顔に。
「そうか。じゃあラウラ。ちょっとお前の試験結果に気になる点があった」
そんな動揺を気にしないというような仕草で奴は淡々と説明を続けてきた。
今のは見間違い…だろうか?
…見間違いに違いない。
「おい、聞いてるかラウラ」
「聞いている。あと、私を名前で呼ぶな。お前とはそんなに親しいわけではない」
「ゴメン。俺日本語で6文字以上の名前とか覚えられないんだ。………面倒だから」
こ・い・つは…。
怒りに肩が震える。
だが、まだ部下が四肢を抑えていてコイツを屠る事ができない。
だから思い切り睨む。
そんな私の感情を無視するように奴は続ける。
「でだ、ラウラ。お前のISコアへの信号出入力反応を見たところ、不可解な反応があった」
「不可解な反応だと?」
「あぁ、入力時は事前の資料相応の反応率だったが、実際にISに入力された電気反応ががおかしい」
「どういうことだ?」
「出力時の電気反応がな。千冬姉のソレと全く同じ電気流動だったんだよ。更に言うならば、お前のナノマシンの中にIS用の自動化補助モジュールプログラムが入ってた。オレはこの基礎プログラムを作った奴を知っててな。名前はVTシステムというそうだ。旧東ドイツで開発されていたものだ」







「あー大変だねワンサマー。修羅場だね修羅場。若いっていいなあ」
引きづられながら連行していく1週間の仕事仲間を見ながらコメントする。
「マスターじじ臭いです」
「そうかい。あぁそういえばアイツが出てってから、ドアが開けっ放しだ。ドアを閉めてくれ」
管理官室を改造したこの部屋はブラインドを下ろせば完全に外の研究室と隔離される。
部屋に入ろうとする研究員はおらず
「はい、マスター」
ドアを閉めれば完全な密室。
「ここでお前がオレを殺したら迷宮入りの事件になるんだろうな」
言いながらNo.31を見る。
その期待?にそうように
「マスターのご命令とあらば」
言いながら近づいてくる。No.31。
「No.31。冗談はよしてくれ。この年になると心臓に悪い」
「言ったのはマスターではありませんか」
「そうだったか」
「それに…私の名前はNo.31という単純な識別番号ではありません。その抗議でもあります」
若干むっとした表情を見せる『No.31』。
「…サイナ。冗談はやめてくれ」
「はい」
俺がコイツにやった『名前』を言った途端。コイツは素直に言うことを聞く。
最も人に近い生命体。それがコイツだ。
あいつが…神戸ひとしが作ったまがい物じゃない。
本物はコイツだ。
…だが、本物は面倒なものだな。
お前もあの時、そういう思いをしていたのだろうか?
なあ、神戸ひとし。あの世に行ったら教えて欲しいもんだね。
「懐かしいですね、彼女」
懐かしい重いに浸ってたところをサイナが引き戻す。
「なつかしい?なにが?」
「彼女…ラウラ・ボーデヴィッヒの身体に埋め込まれているナノマシン。貴方が開発したものですよ」
「えーと…そんなのあったっけ?」
「あのときは、東ドイツです」
「…あぁ!あれか!ちょっと指名手配されて西ドイツの警察に追われてたときに逃げ込んで宿代替わりに作ったアレか!」
そういえばついさっきワンサマーに渡したは、そのプログラムの動作仕様だったな。
「いやー、懐かしいなぁ」
「あの時、私にも自我が生まれました」
感慨深いような声を出すサイナ。
「…そうか。あの時か…」
「4年5ヶ月前です。マスター」
「あぁ、その日は覚えている」
鮮明に。忘れるものか。
あの日は俺が…アイツに、神戸ひとしに追いついた日なんだから。
数十年かかったがやっと追いついた。
お前はもう進めない。
この世にいないお前は。この世をすすめることなどできない。
お前が残した理論も。物質も。お前の功績じゃない。
すべてお前の理論を利用する生きているものの実績だ。
そして俺は生きている。
お前の理論を利用して生きるのは俺だ。
すすめるのは俺だ。
勝つのは俺だ。
だから…
「お前より俺は優れ―――――」




「ドムドムハンバーガーと銀タコ買って来ましたよっ!!!」




息を切らせながら高々と銀たことドムドムハンバーガーの袋を掲げる研究員A。
「…」
「…銀タコとドムドムを買って来まし、た?」
疑問形になるA。
「とりあえずここに座ろうかA」
そう言って机の上に座布団をひいてポンポンとと叩く。
「あ。うん」
素直に座るA(仮)。
「で?」
「はい」
「何しに来たんだ?篠ノ之」
割と真面目な顔をして問い詰める。
「あちゃーバレてた?なんでー?」


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