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No.34561の一覧
[0] (IS)インフィニット・イクサス 狂人が夢見た漆黒の無限[九束](2012/10/21 21:40)
[1] 1.混ざる[九束](2012/08/13 01:06)
[2] 2.侵食[九束](2012/08/18 20:54)
[3] 3.残業[九束](2012/08/13 01:04)
[4] 4.ブリュンヒルデとドイツの冷氷[九束](2012/09/10 22:42)
[5] 5.敵意と[九束](2012/08/15 13:56)
[6] 6.困惑と[九束](2012/08/19 12:38)
[7] 7.そして好意[九束](2012/08/19 12:46)
[8] 8.グスコーブドリ[九束](2012/08/25 21:18)
[9] 9.勧誘[九束](2012/09/09 12:54)
[10] 10.門戸と襲撃[九束](2012/09/22 19:42)
[11] 11.入獄または入学[九束](2012/10/12 22:07)
[12] 12.デュノア時々たらし後シャルル[九束](2012/10/21 14:18)
[13] 13.シャルロット・デユノアという女[九束](2012/10/21 21:51)
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[34561] 3.残業
Name: 九束◆a9ba9ff2 ID:7f3fcfb8 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/08/13 01:04
【コスモノーツ】
・再び動き出した「宇宙への夢」
中型旅客機に匹敵する積載量を持つスペースプレーン「アークバード」の商用第一便が人工衛星15基を載せて離陸した。同機は中軌道で搭載衛星を起動投入した後、オーベルト1に寄港、高純度ヘリウム3を満載してパラオ宇宙港に帰還する。
先月16日に採掘が稼働した月面のヘリウム採掘施設「オーベルト1」に続き宇宙の商用利用が再び動き出した。
半世紀を経て再び動き出した宇宙開発の今後に迫る!

・天才「織斑博士」に迫る
飛行機のライト兄弟、人類を宇宙に登らせたフォン・ブラウンとコロリョフ、神の火を生み出したオッペンハイマー。20世紀にはたくさんの天才が世界を、人類を飛躍させた。
21世紀も半ばになった今、天才といってすぐ上がるのはISを作った篠ノ之束と核融合を実用化まで引き上げた織斑一夏の二人だろう。
残念ながら篠ノ之束博士は失踪中なので取材はできなかったがこの度当誌は織斑一夏博士の取材に成功した。彼は何を思い何を目指しているのか?初めて明らかになる織斑一夏という人物とは!




「あー終わった終わった」
パラオ国際宇宙港で式典と取材と公演を終えてホテルに戻る車内でつぶやく。
そして、窓から見えるパラオ国際宇宙港を眺める。
半年前はのどかな南洋の観光地だったパラオ。
今は広大なジオフロートの上に宇宙港が建設され、更には各種希少資源コンビナートが建設されようとしている。
ラジオからはアークバードの商用第一便というニュースが流れている。試験飛行を兼ねたミッションではすでに数百回以上のフライトをしているが、まあ商用は第一号だな。間違っては居ない。
ついでにいうと、採掘基地建設のための資材は8割がアークバードは搬送したものだ。
めぼしのつけていた企業…記憶の世界でオーベルト社やテクノーラ社、ベガ社の前身になった企業群に売り込みに行こうとしたところ、オーベルト社の前身になった企業群が食いついてきた。
そして半年後でこれ。

予想よりもはるかに事の進みが早い。

オレの本来の予想だと、早くても宇宙資源の地球への輸送は5年、核融合発電の商用化は3年はかかると思っていた。
それが今現在、核融合発電所は世界中で23基1863万kwがすでに稼働しており、今後1年で更に100基超が稼働を開始する。
宇宙資源の輸送もご覧の有様だ。すでにオーベルトLLCはオーベルト社に組織変更をし、ボーイング社主幹によりアークバード型大気圏輸送機の量産体制に入っている。

原因は…はやりISらしい。
ISに関わる分野については記憶の世界よりも進んでいるものがいくつもある。
その一つが建築技術の進歩だ。量子化技術の応用により20世紀の初頭に比べて同じ建造物でも工期が10分の1にまでなっている。
まあ、コストの問題で大型建築物にしか使われてないらしいが。
ちなみにISのせいISのせい郵便ポストが赤いのも政府によって半軟禁状態にあるのもISのせいと、だいたい全部の理不尽な出来事はISのせいにしていたが、冷静になって考えるとそうでもない。
ISが生まれたのが7年前。そして7年前の時点で記憶の世界に比べて核融合研究も宇宙開発も明らかに遅れていた。
つまり、別にISがあろうがなかろうが記憶の世界より遅れていたのだ。
ISのリソースの恩恵を受けた様々な分野においてはISのお陰でブーストが掛かったとも言える。
ごめんIS。何でもかんでもお前のせいにして。

だが束さん。あんたは死ね。
あ、駄目だ。死んだら箒が悲しむ。
じゃあ足の小指を机にぶつけて肉離れしろ!

あの人のせいで俺は24時間政府からの監視つきの上に秒単位でスケジュールを監視されるわ1週間7日の内2日をIS研究に駆り出されるわで最悪だ。
おまけにスクラムジェットエンジンと核融合技術を吹く有させるために5つの研究機関と20の企業群の顧問もやってるから割と最近俺自信の時間がない。
まだ俺は14歳なのだ。
遊びたいざかりだ。
最後に友だちと遊んだのとかいつだ?
1ヶ月前に弾の家で30分くらいじゃないか?
あぁあと2ヶ月前に実験のオブサーバーとして中国行ったついでに抜け出して中国に引っ越した鈴と1時間くらい街を散策したくらいか?
…ほとんどねえじゃん、友だちと遊んだ時間。
なんで研究と社交と会議で毎日を忙殺されなきゃならないんだ。
顧問はオレがオレの目的のためにやってるからいいけど、IS研究とか24時間監視つきとかどう見ても束さんが失踪した事が原因だ。
あの人がいればオレまでIS研究に駆り出されることはなかっただろう。
オレに監視がついてるのも束さんが失踪した二の舞を踏まないためだ。

「博士。織斑博士」
「ん…ぁー…なに?」
運転手の声で思考の海から引き戻される。
「基地につきました。博士が搭乗し次第離陸するそうです」
博士が乗る機体はあちらですと続ける運転手。
さした先にはどう見ても戦闘機なシルエット。
いや、次は日本に戻るって聞いてたけどさ。
ここ最近は移動に各国の軍を使ってたりしてるけどさ。
「アレ戦闘機じゃん」
「えぇ、そうですね」
「アレに乗るの?」
「えぇ、今日は少し時間に余裕が無いようでして…」
「いやいやいやいやいや」
戦闘機って訓練してない奴がそんなタクシーがわりに乗れるもんじゃないでしょ?
「Gに押しつぶされて死ぬわ!しななくても到着後に仕事できなくなるわ!」
運転手に抗議の声を上げると、後ろから声。
振り向くと空軍の制服を着た軍人。
「どちらさん?」
「タクシーの運転手です」
そう言って戦闘機を指す。
「アレ操縦するの?その格好で?」
対Gスーツとかは?
「えぇ、新型機でして。GをIS工学を応用した技術で相殺できる新鋭機ですよ!ISに比べれば無力だから配備はほとんどされませんがね!!」
そう言いながら涙目になってるパイロット。
「あ、そう」
ISの被害者がここにも。
「というわけでGの心配はないので乗って下さい。旅客機に比べると快適じゃあないですが、3分の1の時間でつきましので」
「もうどうにでもして」

戦闘機通勤(笑)が始まりました。







「今日で缶詰1週間目の織斑一夏ですが皆さんお元気でしょうか?」
今日三回目の壁に向かってのナレーションです。
「博士、ちゃんと試験を見て下さい」
横から女性研究員(名前は覚えていない)に注意されるが知ったものか。
もう1週間も核融合研究も各企業関係者との会談もせずにずっとずっとずっとずっとISコアの出力研究なんかをしているんだ。いい加減にしてくれ。
「やだよ。オレISキライなんだよ」
女性研究員に投げやりに反論する。
だって一々オレの邪魔してくるんだもんIS。
今もそうだ。

現在、俺はドイツの研究所に缶詰状態である。
いわゆるレンタル一夏くんである。
なんか日本政府が失態をしたりするたびに日単位でオレが駆り出されるわけだ。
まあその分の対価はもらっているが、中途半端な金なんざいらんからオレの時間を返して欲しい。
予定よりもずっとうまく宇宙が近づいているとはいえわざわざその歩みが遅れるのに耐えられるほど、オレはできた人間じゃあない。
「別にオレじゃなくていいじゃん。IS研究なんれ研究者いっぱいなんだからオレじゃなくていいじゃん…」
マジ帰りたい。
「そんなことはありません!貴方ほどコア内部からのエネルギー反応を操作できる人は居ないですよ。まるで見通してるような感じじゃないですか!」
女性研究員(めんどくさいからAとでも呼ぼう)が言う。
そうなんだよなぁ…。
ISコアから変換機構へ受け渡される信号やエネルギーの動きは前の世界で僕が研究していた核融合における磁気流体力学によく似ており、割りと研究してて楽しいし、楽なものなのだ。
ちなみに今日の研究はシールドエネルギーの効率的な運用システムの開発である。

ISの最もすごいところの一つに、エネルギー蓄積がある。
電力エネルギーにして数万世帯が消費する1日分のエネルギーをわずか数十センチのスペースに蓄積でき、それのエネルギーを一瞬で、安全に効率よく放出できる。
そして、その莫大なエネルギーをコアから抽出する部分が、流体金属を用いた変換機構だ。
『この信号をコアに撃ちこめば、これくらいのエネルギーが放出される』
『この命令で、ISが放ったエネルギーで、重力場がこう変化する』
『すぐに反応しなければいけない場合は、コアを経由せずに、変換機構に蓄積しているエネルギーで即応する』
人間で言えば脊髄のような部分だ。
その変換機構のシステム・ハード両面での効率化。それが今回の『宿題』。
「うん。1週間で出来る内容じゃないね」
上は何考えてるんだ?研究なめてんのか?
楽しい研究分野といっても核融合研究やエンジン開発のほうがオレの目標に必須な分野だけあった万倍有意義だしやりがいもある。
が、なんでISの研究なんぞしないといけないんだ。アレは敵だ。
「超帰りたい」
「君は今日で帰れるからいいじゃねえか。俺は君が帰ってからもシステム組みだぜぇ。あ、そこのおっぱいネエちゃんハンバーガー買ってきて。ドムドムハンバーガーね」
隣のデスクで足でキーボード打ちながらピザ食ってる爺さんが横槍を入れてきた。
この爺さん、飄々としたなりをしてるが半世紀以上世界を騒がせたクラッカーらしい。
ビリー・Gって名前もハンドルネームで本名は不明。
世間一般ではコイツが白騎士事件の前座である全世界の防衛システムジャックをやらかしたとされている。
ちなみに顔は今は亡きスティーヴ・ブシェミみたいな顔をしている。
「ドムドムハンバーガーってなんですかビリーさん!?っていうか何ですかその呼び方!セクハラで訴えますよ!」
「うるせえやれるもんならやってみろ!スト起こすぞスト!今更刑期が数年延びようが知ったもんか!すでに懲役1000年なんだぞ俺はバーカ!いいから買ってこいって今なら銀タコでも許してやるから」
「どこで売ってるんですかそれ!?と、というか、そんなの横のメイドさんに買ってきてもらえばいいじゃないですか!」
指差すA。
指さした先にはアキバファッションなメイド服を着たメイドさん。
「お前馬鹿なの?コイツはアンドロイドな上に試験機だから俺から半径20キロ以上離れられないって俺がここに来た時言ったじゃん?」
「20キロより遠くに売ってるんですかその二つ!?この研究所一応市街地のど真ん中にあるんですけど!?」
「ドムドムも銀タコも日本にしか売ってねーよこの乳白衣。わかったら5分で買ってこいオッパイ」
「そうですこの雌豚。乳がでかいからって図に乗るんじゃないです丸焼きにしますよこの駄肉」
煽る爺&メイド。
ていうかメイド毒舌!
「うわーん何で天才ってこんな人格破綻者ばっかりなのよチクショー!」
煽りに折れて泣きながら走って研究室を出ていくA。
「アイツどーやって5分でドムドム買ってくるんだろうな?」
「無理じゃないですか?きっと掛け算もできないほどのオバカななんですよマスター。栄養全部乳にいってるんじゃないですか?」
「おいそこの爺とメイド。周りの研究員がドン引きしてるぞ」
周りを見ると、こちらに視線を合わせないようにしながら実験を続けている研究員。
「別にいいじゃねえか。それで俺の仕事が滞るわけじゃねえし」
「有象無象は居ない方がむしろマスターの仕事ははかどります」
一匹狼なやつだなあ。
ある程度めどが立ったら仕事ぶん投げる俺とは大違いだ。
今回の仕事もなんとか取っ掛かりはつけたから期限切れたらそのままぶん投げて帰るし。
あの研究員Aに。
「あぁそうそうワンサマー」
そんなことを思っていると爺が別の話題をふってくる。
ワンサマーって…。俺のことか?一=ワン、夏=サマーでワンサマーか?
「なんというネーミングセンス。素晴らしい。俺のハンドルネームそれに変えるわ」
「気に入ってくれた何より。でだ、今日の午後にこの研究施設で黒ウサギ隊が機体のデータを取るらしいぞ。お前参加すんの?」
「いんや?別にデータ取りだけなら俺がいる必要ないだろ?なんでIS関係で残業なんてしなきゃいけないんだよ。お断りだね・ていうか今日の午前でレンタルおしまいだし俺」
「いや、そうじゃなくて。お前の姉ちゃんその黒ウサギ隊の教官をしてるんだろ?会いに行かなくていいのか?」
「………あー…」
そういえば千冬姉がドイツに行く時にそんな名前の部隊に所属するとか何とか言ってた気がする。
「そういえば千冬姉今ドイツ軍に居たのか」
「今まで忘れてたのかよ」
「どっか行ったくらいにしか思ってなかったわ」
それよりあの時からはソラに完全に魅了されてるし。
そっちに回すリソースとかなかったわ。
「結構お前も淡白な奴なんだな」
いや、別にどうでもいいとかそういう訳じゃなくて、ちゃんと家族として大切ではあるけど。
「いいのか?半年ぶりなんだろ?」
「大丈夫さ、どっちも大人…俺は年齢的に大人じゃないけど、千冬姉だって仕事の都合があるだろう。お互いに無理して時間を作ることはないさ」
「そうか。なら…」
キーンコーンカーンコーン
昼休みのチャイムが鳴る。
「今回は個々でお別れだな。ワンサマー?」
「あー…そうだな。すぐに迎えが来るだろうから、そのまま出て空港でくつろぐさ」
第二世代型の核融合炉はヘリウムの消費量的にちょっとまだ難しいし、まずはスクラムジェットエンジン用の次になる多目的タンデムミラー核融合エンジンの方かな。
「さーて、次はどの論文を進めようか―――――」
「残念だが、その予定は変更だ。一夏」
「ぁ―?」
ようやく俺の目的のための道に戻れるのにどう言おうことだ?
「また政府がレンタル一夏くんパート2でもするのか?俺そろそろ切れちゃ――――」
Aを詰め寄るノリで途中まで行って言葉か本能的に止まる。
「元気そうで何よりだな一夏」
目の前には唯一の肉親である姉、織斑千冬。
「えーと、久しぶり?千冬姉」


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