<このWebサイトはアフィリエイト広告を使用しています。> SS投稿掲示板

SS投稿掲示板


[広告]


No.34561の一覧
[0] (IS)インフィニット・イクサス 狂人が夢見た漆黒の無限[九束](2012/10/21 21:40)
[1] 1.混ざる[九束](2012/08/13 01:06)
[2] 2.侵食[九束](2012/08/18 20:54)
[3] 3.残業[九束](2012/08/13 01:04)
[4] 4.ブリュンヒルデとドイツの冷氷[九束](2012/09/10 22:42)
[5] 5.敵意と[九束](2012/08/15 13:56)
[6] 6.困惑と[九束](2012/08/19 12:38)
[7] 7.そして好意[九束](2012/08/19 12:46)
[8] 8.グスコーブドリ[九束](2012/08/25 21:18)
[9] 9.勧誘[九束](2012/09/09 12:54)
[10] 10.門戸と襲撃[九束](2012/09/22 19:42)
[11] 11.入獄または入学[九束](2012/10/12 22:07)
[12] 12.デュノア時々たらし後シャルル[九束](2012/10/21 14:18)
[13] 13.シャルロット・デユノアという女[九束](2012/10/21 21:51)
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[34561] 11.入獄または入学
Name: 九束◆a9ba9ff2 ID:fe08207f 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/10/12 22:07
【ISニュース】IS学園入学式――男子生徒6名入学
IS学園の第○回入学式が5日、学園内総合体育館で行われ女子308名男子6名の計314名が入学した。男性が入学したのは今年が初めてであり4名は複座機操縦科、2名は操縦科への入学となる。操縦科に入学した2名は初めて単体でISを動かした男性となり、新しく門戸が開かれた複座機操縦科の第一期生とともに注目が集まっている。

【藍越学園広報】
藍越学園は20XX年度よりIS学園と宇宙開発省と合同でIS学園特区学園特別調整区画に専用研究施設を建設し、核融合と宇宙開発の複合研究施設を解説します。それに伴い、来年度より藍越学園は藍越学園中学・高等学校、藍越幼年学校・幼稚園、藍越美術大学を除きIS学園と統合することになります。



あの時Aを殺しておけばよかった。
今オレは、本気で殺意というものを覚えた。
全ての元凶はあの研究員だ。
アイツを殺しておけばオレはただの最初のIS複座機操縦者でしかなかった。
ここにいることなどなかった。
オレはオレの本懐を最もふさわしい場所で邁進できた。
少なくともこんな…四方を女に囲まれて凝視されるという状況にはなかったはずだ。
「…超ヘヴィー」
「ねえ、大丈夫かい?」
心配そうに俺を覗きこんでくる俺と同じ服装の『男子生徒』。
隣に男子が居るのが唯一の救いか。
ちなみに、この入学式に男は俺と彼の二人しか居ない。
なんでか?
それは複座機操縦科と操縦科はそもそも根本的に違うからだ。
何が違うか?乗り込み人数?そうじゃない。
複座機操縦科の必須条件にIS適性はないが操縦科にはIS適性がいる。
そして俺がここにいる理由は、『チープコアを搭載していないIS』を動かしてしまったからだ。
ヤバイ時でも人の話は聞くべきだね。いっくんまた一つ賢くなったわー。
もっと早く気づいてたらAの口を封じることができたのに残念だわー。
「鬱だ…」
「は、ははは…」
俺の言葉に隣の男子が乾いた声を上げる。
同じ気持ちなのだろう。
お前が居なかったら俺の心は1日くらい折れてたよ、結婚してくれ。
まず間違い無くホモ扱いされそうな言動を脳内で考えるあたり、俺は相当やばい状態だと思う。
「…」
「―――!?」
なんか男子の反対にいる奴―――ラウラから殺気が流れてきた。
な、なんだ?もしかして声に漏れてたか?結婚してくれとか。
ラウラ実はホモが嫌いな人か?
お前の副官大好きだぞホモ。
お盆に日本で開かれるというホモ好きの女が集まるお祭りに参加するくらいにホモが好きらしいぞ。
日本の何処でやってるかとか、どんな祭だとかは怖くて聞けなかったけど。
ちなみにラウラは何故か俺と一緒に入学することになっている。
ドイツ政府アフターサービスは万全だなオイ。どんだけ怖がられてるんだ俺。
一応言っておくが俺はホモじゃない。
だって周りに座ってる女子生徒は割とストライクゾーン多数だ。
朝全裸でラウラが潜り込んできた時に俺のパッションレジスタンス抑えるのにどれだけ苦労したか。
とにかく、あとでラウラの誤解を解く必要がある。
ちなみに、複座機操縦科の人間は今日の午後に入学式が開かれる。
分けた奴は死ねばいいと思う。
…。
まあ妥当ではあるが。
…そこ――複座機操縦科――の入学式には大勢のマスコミや政府関係者が入る。
今、IS学園の入学式はさほど重要なニュースではなくなっている。
いや、初の男性IS入学者も、当事者以外にはどうでも良い話題となっている。
なぜか?
束さんがチープコアという新機能で男性にもISを操縦できるようにしてしまったからだ。
男性にもISを操縦できる『かもしれない』ということよりも『ISに男性への門戸がひらかれた』という方が圧倒的に重要なのだ。
だが、それでも俺達への視線が軽くなるという実感はない。
圧倒的にチープコアのほうがビッグニュースなだけで、俺や彼の存在も十分に衝撃的なニュースなのだから。
それだけ『異例』なのだから。
数年程度しか無い歴史の中でそれほどまでに固定観念が定まってしまっていた。
「みんなーしねばいいのにー」
小さく呟く。
みんな敵だ。そんな気分に陥る。
正確には味方…俺にかけているものはいくらかいるが。
藍越学園がそのひとつだ。
藍越は俺がIS学園に強制入学になった途端、IS学園特別区に土地を確保し、半ばIS学園に併合される形で後を追ってきた。
設備は大規模研究用実験炉をはじめとした移転前の大学設備をほぼ再現している。
研究棟はLLC化され、IS学園が4割、藍越学園が6割を握っている。
その資金はIS関連企業やオーベルト社から出ているだろうが、あそこが学園単位でオレにかけているのはこれで明確になった。
それほどまでにオレの知識は明確に有用になってきている。
だからこそ、こんなところに居る訳にはいかないのに。
「死ねばいいのに」
本当に嫌になる。
隣に目をやる。
少しつかれた風の男子生徒。
たしか…シャルル・デュノアって言ってたような気がする。
デュノア社の関係者…というか社長の息子だったはず…。
話してた内容はだうーんな気分で半分ほど飛んでるからうろ覚えだけど。
…。
デュノア社の御曹司か。
デュノア社といえばIS開発第二位の巨大コングロマリットだな。
たしか、第三世代の開発に難儀してるってどこかで聞いたな。
コイツも大変だな、そんな立場でIS操縦者になんてなっちまって。
色々期待や重圧があるだろう。
ま、コイツが大変だろうがオレには関係ないが。
だがまあとりあえず、味方にすることに越したことはないな。
弱みとか持ってないかなー。
言うこときかせられる程度の。
後々利益にはなるようにはするし、そういうのがあればいいのになー。
そんなに現実は甘くないか。
…とりあえず仲良くしておこう。





ようやく入学式も終わり、マスコミに適当な対応をしてアリーナを出る。
マスコミはあんまりしつこくなかった。
このあとは複座機操縦科の入学式が待っている。
下手に俺を問い詰めて何の収穫もなく印象を悪くするより、より有望な複座機操縦科の取材を優先するのは理にかなっている好意だ。
何人かのマスコミはこちらに的を絞ってアタックしてきたが全員を相手するよりかははるかにマシな状態だった。
そして現在、適当に無視してなんとか構内に逃げ込み、教室にテクテクと歩いているわけだ。

そうして歩いていると、廊下の先に数人の男子。
「あれは…?」
疑問の言葉をつぶやく。
俺と同じ制服を着ている。
「あれは複座機操縦科の生徒じゃないかな」
「これから会見だ。打ち合わせでもしながら来ているのだろう」
素早くラウラとシャルルが答えてくる。
「ふーん…」
適当に二人のコメントを聞きながら見ていると、男子生徒たちもこちらに気づいたのか視線が合う。
「ん?」
その中に、見覚えのある顔がいた。
「あ!」
そしてそいつも同時に声を上げる。
「おぉ?一夏か!?」
その男子、頭に黒いバンダナをつけた奴…俺の数少ない親友の五反田弾ががこちらに声をかけてきた。
「弾!随分久しぶりだなおい!」
「半年ぶりくらいじゃねえ?」
「あれ?そんなにたってたっけ?」
「たってるんだよ…1ヶ月おきに妹が言ってるから間違いないぜ?お前がウチの食堂に来ないから蘭が機嫌悪くて大変なんだぞ!」
俺の肩を叩きながら言う弾。
「え、蘭が?何で?」
俺蘭になんかしたっけ?
「あ、いやその…」
なんか歯切れが悪くなる弾。
「どうした?弾」
「っていうか日本に戻ってきたならウチに一回来いよ!じゃないとお前が好きなホッケの煮付けがメニューからなくなるぞ」
「マジで!?何で!?」
美味しいじゃんアレ!
なんか露骨に話題を変えられた気がするけど、まあいいや。重要なことじゃないだろ多分。
弾だし。
というか重要なのはホッケだろホッケ!
「どういうことだ!?俺アレお気に入りなんだけど!?」
「いまいちマイナーなメニューだからメジャーなホッケ焼きに変えようという案が親父から出ているんだよ」
なん…だと…。
「よし、今からお前んち行こうすぐ行こうそうしよう」
それをなくすなんてとんでもない!
「おまえ、これから最初のHRだろ。いいのか?」
「バッカおまえ学校のHRと俺の大事な大事なホッケ煮付けちゃんとどっちが重要かなんて言うまでもないだろ」
「お前の担任、千冬さんだぞ」
「なん…だと…(二回目)」
弾からの衝撃発言に俺の頭が衝撃でマッハである。
千冬姉いつの間に教師になってたんだ!?
っていうか教師って…っは!
「ドイツか!?さてはドイツの手回しか!?」
「は?」
弾が間抜けな声を上げたが気にしない。
「つまりだな、俺がこうやって半ば強制的にIS学園に入学するハメになったのもオレがいた研究所が凸られたのも全部ドイツのせいだったんだよ!!」
「な、なんだってー!!」
劇画バリの驚愕表情を浮かべる弾。
あれだろつまりあの俺がハッ倒したエライ人が恨んであの研究所襲ったり千冬姉を俺の担任にしたりして研究の邪魔するんでしょう?
…。
…いやいや、それにしてはあんまりにも証拠残ってないし杜撰すぎるか。
俺の研究ペースが落ちて困るのは原子力を核融合に変えてる真っ最中のドイツが一番顕著だし。
まあ、だけど。
「汚いなさすがドイツきたない」
ネタ的には言わないわけには行かないよなあ。なんとなく。
ドイツウザイのはマジだし。
「うざいわ―ドイツうざいわ―というかドイツ人がうざいわ―」
「一夏一夏」
ラウラが俺の袖を引っ張ってくる。
「何だラウラ俺は今ドイツの汚さにドイツきらいになった中なんだけど?あもりにもひきょう過ぎるでしょう? どいつマジ汚い俺ドイツ人嫌いナビだけ見て芋畑にでもはまってろ」
「私もドイツ人なんだが嫌いか?」
無表情で聞いてくるラウラ。
「別に?ラウラはドイツ人である前にラウラだからな」
むしろ脱出の件でハグ一回分くらいの好意はあるぞ。
「ならいい」
そう言ってそのまま黙るラウラ。
「ちなみに嫌いって言ったらどうしてたんだ?」
俺の言葉に反応して、無言でポケットから小さなカプセルを取り出すラウラ。
「ここに捕虜になたっ時用の自殺用毒薬がある」
「自決!?」
「ドイツ軍人に迷いはない」
「ドイツ軍人関係ないよなそれ!?あぶねえ、一歩間違えたら春の陽気な午前中がお茶の間賑わす午後一昼ドラのような展開になってたのか」
「心配要らない。一夏が私のことを嫌いなどというわけがない」
なら何故聞いたし。
「ちょっと奥さん、俺最近この子のことよくわからないの」
どう反応していいのか分からずに弾に助けを求める。
「早速一人落としてるとか相変わらずお前は相変わらずだなあ」
弾もわけのわからないことを言い出した。
「もういいや…」
この学園に味方はいねえ。

というかそういえば。
スルーしてたけど一番の疑問に触れてなかった。
「弾、お前良くIS学園になんて入学できたな。今年の倍率凄まじかったと思うんだけど」
「まあ、がんばったからな!」
俺の疑問に一言で返す弾。
「いや、頑張ってどうにかなるもんか?俺が言うのも何だけど」
たしか記憶してるところだと5000倍弱とかだったとおもうんだけど。宇宙飛行士の選定並の倍率だ。
しかも学力だけじゃなくて身体能力や判断力まで求められる。
馬鹿とまでは行かないが、コイツってそんなに優秀だったっけ?
いや、良くも悪くも普通の中学生だったと思うんだけど。
「まあ事実こうやって入れたんだからなんとかなるもんなんだろ」
「お前、意外に優秀だったんだな」
感心したわ。
疑問は解消できないが、事実は事実なのでスルーすることにした。
別に俺にとってどうでもいいしな、よく考えたら。
「どういう意味だよそれ!」
「そのまんまの意味だよ」
「ひでーやつだなお前も。祝いの言葉の一つもねえのかよ友達甲斐のない奴だな」
たしかに。
「すげえじゃん見なおしたわ。俺の家に来て千冬姉をFUCKしていいぞ」
「俺まだ死にたくないんだけど!?」
お前の中で千冬姉はどういう扱…あ、千冬姉を襲おうとしてたま潰される弾がありありと見えたわゴメン弾。
「冗談はともかく。おめでとう弾」
「ありがとよ。でもまだまだここで満足なんてしねえぜ!ニュースや記事で見た。もう10年もしないうちに宇宙での活動が本格化するんだろ?」
「あぁ、そうだな。惑星間飛行だって遠い未来の話じゃない」
「もうすぐそこだよな」
「あぁ、そうだ。近いうちに火星や木星、土星への有人探査が実行されるだろうよ。今までにない速さでな」
「なら、俺はそこにいく」
真面目な顔で弾がいう。
その目はギラギラとしていた。
意外に身近な人間にも宇宙に囚われた人間が一人増えていた。
いいね。でも。
「それって今回の複座機操縦科の比じゃないぞ?数十万人から数人ってレベルだ」
「行く。絶対にいく」
「…本気で受かると思ってるのか?」
「思ってるぜ。なんでだよ?いっしょーけんめいやっでげきないことでもないだろ?」
今、俺はとても間抜けな顔をしていると思う。
それだけ驚いた。
こいつ、変わったな。
「…そうかもうな」
つい半年には弾はこんな感じではなかった。
もっとのんびりしていた。
それが半年で何かが変わり、数千倍の倍率を超えてコイツはここにいる。
できないことはない、か。
「そうだ。フォン・ブラウンのあとを継ぐ者にできないことなんて何もねぇよ」
自信満々に言う弾。
「――ははっ!そうだな…そうだな!」
フォンブラウンの跡を継ぐ者、か。
そうだ。
フォンブラウンのあとを継ぐものにできないことなんて無い。
絶対にだ。


前を表示する / 次を表示する
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.024904012680054