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No.34561の一覧
[0] (IS)インフィニット・イクサス 狂人が夢見た漆黒の無限[九束](2012/10/21 21:40)
[1] 1.混ざる[九束](2012/08/13 01:06)
[2] 2.侵食[九束](2012/08/18 20:54)
[3] 3.残業[九束](2012/08/13 01:04)
[4] 4.ブリュンヒルデとドイツの冷氷[九束](2012/09/10 22:42)
[5] 5.敵意と[九束](2012/08/15 13:56)
[6] 6.困惑と[九束](2012/08/19 12:38)
[7] 7.そして好意[九束](2012/08/19 12:46)
[8] 8.グスコーブドリ[九束](2012/08/25 21:18)
[9] 9.勧誘[九束](2012/09/09 12:54)
[10] 10.門戸と襲撃[九束](2012/09/22 19:42)
[11] 11.入獄または入学[九束](2012/10/12 22:07)
[12] 12.デュノア時々たらし後シャルル[九束](2012/10/21 14:18)
[13] 13.シャルロット・デユノアという女[九束](2012/10/21 21:51)
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[34561] 10.門戸と襲撃
Name: 九束◆a9ba9ff2 ID:4ff45d12 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/09/22 19:42
【IS通信】
国際IS委員会は3月8日未明、臨時協議を国連本部ビルにて行った。
委員会は公式には今後の宇宙開発に伴うアラスカ条約諸項目の協議としているが、情報筋によると同委員会にはオブサーバーとしてIS発明者である篠ノ之束博士が出席しており、新規に488個のコアを提供したほか、サモア他ミクロネシア諸国が連名でアラスカ条約を破棄する旨を伝えたとされる。
委員会はこの件について沈黙を続けている。
また、ニューヨーク国連本部には常任理事国大使ほか、主要各国の国連大使が続々と入っており、周辺は物々しい厳戒態勢となっている。



『―――国連本部の周辺は厳戒態勢がしかれて物々しい雰囲気が漂っています。現在――――』
『―――の映像をご覧ください。そこには臨時に使用された安全保障理事会議場の中央に篠ノ之博士がはっきりと写っています。残念ながら音声は入手できませんでしたが、唇読したところ――――――』
『―――ジル、インド等の非常任理事国は今協議が終了するまで自国委員の護衛として合わせて5機のISを派遣すると表明し、現在インド軍のIS機がカリフォルニア州上空を通―――――』
『―――産党央委員会は先ほどIS部隊を臨戦態勢にすることを決定し、全ての部隊を招集―――』
『――情報筋によりますと、現段階でワルシャワ条約機構宇宙基地『ミール3』には5発の核兵器が搭載されていると見られ、仮に使用した場合、IS部隊が迎撃したとしてもEMPにより環太平洋全域において―――』
どの局を見ても話題は一色。
他国の放送も似たようなもののようだ。
ネット放送ではほぼ世界の主要な放送局はこの事態を放送している。
「博士…いや、束さんは本気みたいだなあ」
テレビのニュースを見ながらのんびりと紅茶を飲みつぶやく。
世界は今、大戦前夜のような様相を呈している。
キューバ危機ってこんな感じだったのだろうか?
数戦発の核ミサイルを1機で全て撃墜できる兵器、それを持った人類。
その兵器の保有数こそが国力であり、軍事力。
そしてそれをようやく割り当て終わった。
そこに数百個の新たなソレ。
揉めないはずがない。
その国も、その確保に国家存亡がかかっている。
一つでも確保しそこねた国は滅ぶ。
一つでも確保できた国は隆盛する。
今、ISはそういう存在だ。
「さて、石と棍棒でも用意しておくかな」
「石と棍棒?」
オレのベットで寝転がるラウラが聞いてくる。
何故コイツは毎朝当然のごとく入り込んでくるのだろう?
…もう突っ込む気にもなれない。
考えないことにして、ラウラの疑問の答えを言う。
「まあ『今』は役に立たないね。だけど、次の大戦が終われば役に立つ」
アインシュタインも言っていた。間違いない。
ラウラは絶句していた。
「…一夏」
「冗談だよラウラ。さて、今日も研究をしようじゃないか」
起き上がり、白衣を着てそのまま部屋を出る。
「あ!待て!私はまだシャワーを浴びていない!」
知らんがな。浴びてから来ればいいことじゃないか。
ラウラを無視してそのまま研究室に足を向ける。
しかし、世界の危機、ねえ。
アナウンサーの言葉がリフレイン。
ま、関係ないか。
そう、世界の危機なんてオレには関係ない。
束さんが起こしてると知っているなら尚更。
あの人は難しいようで至極明確な理由で動いている。
彼も、彼女も。

その原理に当てはめると今回の動きは
『織斑一夏に対してのあの言葉が本気というサイン』

『人類を地球というベットからたたき出す起爆剤』
だ。

ソレ以外の意味なんて蛇足でしか無い。
「…さて」

オレも自分の仕事をしよう。



■藍越工科大学

今やこの大学の研究施設は世界で最先端の研究施設の一つに数えられている。
代表的なのはオレが関わった核融合研究だが、地味にISにも強い。
はじめに藍越工科大学のことを聞いたときはあぁ就職率のいい藍越学園の関連学校かー程度にしか考えていなかったが、その評価はIS関連の研究成果によるものらしい。
オレがこの研究施設で研究することになってから強みが加わったとさっき学長につかまって礼を言われた。
「んなことどーでもいいんだけどなあ」
オレに関係のない話なんてしないでほしい。就職率とか別に俺就職困ってないし。
「貴重な時間が無駄に消費されて微妙な気分だ」

文句を言いながらオレにあてがわれた研究室に入る。
研究室の中には物々しい雰囲気を放つある機械。
その機械は篠ノ之束謹製のIS『赤椿』。
あの日、束さんが俺に渡してきたプレゼント。
最新のIS工学技術によりシールドエネルギーを増幅させる特殊機体。
これに構想段階だがつい先日実験を終えた半量しか核融合炉を搭載すれば額面上のシールドエネルギー搭載可能量は現行ISの十数倍にもなる。
とどめとばかりに機体性能や兵装、その設計思考においても全てが現行機を上回っている。
燃料残量的なことだけを考えれば臨戦状態でも数十時間はシールドエネルギーを維持できる。
この機体を一言で言い表せば…いわば航空要塞だ。
世界がやっと第三世代型機体の試験飛行を行う段階にあって、この赤椿は第四世代の思想を元に完成されている。
「性能だけでもバケモノだな…」
言いながらその機体を見上げる。
だが、この機体のほんとうの意味での脅威は、そこではない。
この機体は既存の現行ISとはそもそもの設計思考が異なる。


この機体は複座機としての運用を前提として作られているのだ。


IS操縦者と人類を上回る性能を持つ人工知能『チープコア』が航行と操縦を分担する初の複座機、それが『赤椿』。
半自動化機と思うかもしれないが、ソレは間違いだ。
2人目の乗員である人工知能チープコアは、すでに人工生命といえるレベルまで達している。
人と変わらないような思考をし人と同様に進化する。
まだ拙く、創造性こそ少ないものの、そこには確かに知性というものがあった。
単純な計算能力や判断速度は圧倒的に人を上回る。
はじめに見たときは束さんの最新作かとおもいきや、技術そのものは数十年前の物を基礎とする使い古されたものというから驚きだ。
なんと、人類は数十年前にすでに人類は人間並みの知能を持つ存在を作り出すことに成功していたということだ!
そしてその存在はただ時が立つのを眺めていたのではなく、ごく少数の人間によって高められ続けていた。
その集大成が、チープコア。
人を超える存在であるにもかかわらずチープ。
人がまるで安物のようにいうその名前。
いいね。
そういうものだ。人ってのは『安い』。
人間だから『高い』んだ。

…話がそれた。

チープコアを2人目の乗員とした事によりこの機体には複座機としてのメリットが生まれた。
そしてチープコアはISと違って命令者を選り好みをしない。
もちろん相性はあるが、全く操縦できないということがないのだ。
コレが最大のメリット。
チープコアを乗員とするIS機は性別という適性制限がない。
何故ならば操縦者の命令はチープコアを経由してコアに伝わる。
これはチープコアの余剰能力容量で行われる。
つまり、コアを動かすのはあくまでチープコアで、そのチープコアを命令する操縦者はだれでもいいのだ。
それはISへの門戸が男性に開かれたことを意味する。
もちろんデメリットもある。チープコアという高度な機能はひどくエネルギーを食う。
そのエネルギーを食う機能によってシールドエネルギーの何割かはチープコアの稼働維持に割かれる。
そのため、最大シールドエネルギーあたりの戦闘力は単座機ISに大きく劣る。
だが、ISへの門戸が男性にも開かれたことは揺るがない。

そして、俺にこれを今束さんがプレゼントしてきたのは…。
「俺を害そうとしてる輩から俺を守るため、か」
男性へ開かれるISの門戸。
急激なスピードで迫り来るエネルギー危機。
そして高まる宇宙への需要。
その激動の流れの中心にいるのは…束さんと、オレだ。
ラウラというISを持った護衛をもってしてもオレに害が及ぶと束さんは考えている。
故に、箒にも渡さなかったISを今オレに渡している。
箒は国によって守られている。ソレで十分安全だと判断したのだろう。
もし、国による保護が十分でなければ、束さんはきっと箒にもISを渡していたにちがいない。
束さんは今の俺の現状を安全ではないと思っている。
故に赤椿を俺に渡したのだろう。

赤椿に近寄りその機体に触れる。
シャン、と小さく鈴のなるような音が聞こえたと思うと、淡く赤椿が光る。
その光は俺をなんだか、穏やかな気分にさせる。
「お前はいい子だな…」
呟きながら機体を撫でる。
いい子だ。
本当にいい子だ。
お前は好き嫌いをしない。
好き嫌いの激しい悪い子のせいでどれだけ世界が混乱したか。
悪い子がお前のようないい子なら、人間はもっと幸せだったはずだ。
道具は好き嫌いをしない。
石も。
火も。
鉄も。
火薬も。
蒸気も。
電気も。
神の火だって。
道具は人を選り好みしなかった。

「もし、ISが人を選り好みしなかったら…きっと―――きっと俺が俺じゃなくなったあとに見た景色はきっと違ったのでは――――」


ズバンッ!!


「博士!!やっと赤椿用チープコアのセットアップが終わりましたよ!いやーさすがにAI系のセとアップは時間がかかりますねー!まあ普通のISもファーストシフト完了は時間がかかりますしね!とにかく研究棟総出で仕上げましたよ!!この子いい子ですよ!やー私もいい出来だと思います!少なくともあのクソジジイにパシられるよりかはずっと充じつ…か、ん…が…?」


独り言の最中にノックもなしに研究室に入ってきた誰か。
誰かに聞かれた、その事実に急に恥ずかしくなりバっと振り向く。
振り向くとそこにはドイツから移籍したAがわきにナニカを抱えて絶句中だった。
わきに抱えているのは…俺の記憶が正しければチープコアモジュールだ。
「どうしたんだ?赤椿のチープコアに何か問題でもあったのか?」
明らかに独り言を聞いたというレベルではないレベルの動揺を見て言い訳も忘れてAに尋ねる。
尋ねた途端、Aの手からモジュールが落ち、その手はこちらをワナワナとしながら指さしてきた。
…なんだろう?嫌な予感がする。
「な…?」
ナックル?俺は別に持ってないよ?
「な、なななな、なんでチープコアを搭載してないISが動いてるんで―――――」


ドゴオオオオオオオオオオン!!!!!!!!!


エフェクト、二回目。
Aのセリフが遮られる。
今日は賑やかな陽だなあ。
そう思いながら、身体をISの操縦席に。

なんでかって?

今、研究所にある核融合炉は構造的に暴走しないものだ。
つまり、コレは事故ではなく故意。襲撃の可能性だってある。
いずれにしろ、ろくでもない事態なのは確かだ。
そう判断した俺は、脱出するためのシステムを立ち上げ、画面をチェックする。
「…!チープコアが作動していない…!?…操縦システムは!?…正常だ!」
AI部分が死んでいるか発生している可能性がある。
厄介だな。
この状態で、初めての操縦でここを出なければいけない。もしかしたら襲撃者とのアクロバットをしながら。
「初めて自動車に乗ってマニュアル操作でカーチェイスをするような状態だな。やれたら俺はスタントマンの才能があるな!」
…冗談を言っている場合じゃない。
さっさと脱出を――――
「な、なななんですか今の爆発!?事故!?」
悲鳴じみたAの声によって一瞬思考が中断される。
声がした方向を見ると、Aがチープコアユニットを抱えながらへたり込んでいた。
爆発の直前、こいつはチープコアのセットアップがどうのとか言っていたな。
…エラーが起こったユニットの代わりに直したものを持ってきたのだろう。
「確か飛行中にユニット交換ってできたよな仕様上では。アンパンマンの顔交換みたいに」
うろ覚えだったのでAに聞く。
「あ、はい。ユニット緊急交換機能ですね?仕様には確かに―――きゃっ!」
途中まで聞いたオレはそのままAを抱え上げて絶対防御内に入れると、全速力で研究所を脱出することにした。
Aをかばうようにして窓に突入。

ガシャーン!

シールド防御がされていたのか予想よりも大きな音を鳴らして研究室を脱出した。







システムからマップを出す。
たしかオレの研究室は西に面してたはずだ。
このまま真っすぐ行けばIS学園特別区にいけるはず。
地図と照らし合わせる。オレの認識は正しい。
速度計を見ると時速500km。プロペラ機程度の速度しか出ていないが、初飛行としては上出来だろう。
もし、あの爆発音がただの爆弾とかならばオレはもう安全だ。
だが、襲撃であれば…勝負はこれからだ。
最低でも音速は超えないとヤバイ。特に襲撃者がISだった場合、その戦闘はこちらが逃げている前提ならば音速でなければ太刀打ちができない。
ソレを確かめる意味でも研究の方向を見る。
オレの研究室があった場所に小さな影そしてこちらに向かってくるものが1機。
なんとか速度を早くしようとしつつ、識別システム立ち上げる。
研究室に有るのは…Unknown、登録されていない。
こちらに向かっているのは、コードSR――シュヴァルツェア・レーゲン。
「ラウラか!!」
なんとか武装を相手機に向けつつ言葉が漏れる。
アイツがもし味方ならばオレの生存確率は上がる。
アイツが欲しいと思ったのはコレが初めてだ。
今、オレの中でラウラの魅力が暴騰中である。
頼むぜ―!ラウラさんよぉ!
毎朝オレのベットに潜り込んできたのは暗殺じゃなくて警備の都合だってオレは信じてるぞ!
ありえないがいっその事惚れててくれたって構わない!その場合はハグしてやる!
祈りながら(祈っても意味の無いことは分かっている)速度を何とか上げてラウラを待つ。
…もしラウラが敵だった場合は?
赤椿の兵装は、エースパイロットを粉砕できるだろうか?
できなくとも、複座機の交換ができるだろうか?
オレは逃げおおせることが出来るだろうか?
味方が合流する状況とは思えない緊張がオレの中で高まる。
オレはこんなに猜疑心が強かったのだろうか?
…オレは。
俺はラウラを信頼したい、と思っている。
オレと共に夢を目指して欲しいと思う。
あの娘は有能だ。
奇行が目立つものの、彼女の能力そのものは間違い無く一流だ。
そして…なんとなく、なんとなくではあるが、ラウラはオレの夢をラウラ自身の夢と見ているような気がしている。
人間は美しい。彼女もそう思っていたのであれば嬉しい。
祈るような気持ちだ。
「…ち…!…ちか…!!こちらシュヴァルツェアハーゼ!応答せよ!」
細切れに声が聞こえてきたのは原始的なアナログ無線。
それは高精度帯域が封鎖されていることを示している。
「こちらナゲット1。現在IS学園空域へ進路をとっている。護衛をお願いしたい」
無線に答える。
途端、ラウラ機の速度が上がった。
短距離用に無線を切り替える。
「一夏!無事か!!」
必死な表情と必死な声。
ラウラの声。
演技かどうかはわからない。
だけど少し嬉しい。
「兵装は?」
ラウラが俺に背を向けて聞いてくる。
「ほぼ稼働していない」
嘘をつく。
まあほぼ嘘ではないが、一部だけならば、稼働する。
「そうか、なら、私がお前を守る」
言って、私の手を引っ張り、牽引するようにして速度を上げる。
「ちょ!?落ち!!」
Aが悲鳴を上げる。
ラウラはAの事はガン無視。
保護対象とはみなしていないらしい。
まあ落とすことはないだろうから大丈夫だろう。
そう納得してオレはなんとか速度をあげようとする。

…無理だ。
コレ以上どうやって加速するのかわからん。
だが、あのアンノウンが敵対勢力だった場合はヤバイ。
「…」
絶対防御内にいるAに目をやる。
変換を行うのは今しかないだろう。
Aに言う。
「そのチープコアと今オレの中にあるチープコアを交換できるか?」
オレの言葉にAが反応する。
「あ!?あ、いえ、その…そもそもその機体にはチープコアが―――」
「出来るのかできあ無いのかだけいえ!時間がない!!」
「組み込みはチェックも必要ですから最低でも5分は…」
「2分でやれ」
「…やれるだけやってみます」
頼むぜ。マジで。
Aが早速赤椿に触りだす。
オレはラウラへの通信回線を開いた。
「ラウラ、今、期待不具合の修理を行う。2分ほど直進程度の単純な動作しかできなくなる!その間もし何かあったときは任せていいか?」
「当たり前だ。嫁を守るのは亭主の義務だからな」
よくわからない返答が返って来たがまあ了承はしてくれたらしい。
あとはあのアンノウンが…ってレーダーを見るとすごい速度でこちらに向かっている!?
「ラウラ!アンノウンがこちらに向かってるぞ!」
「知っている!私はアンノウンと接触するお前はそのまま真っすぐ航路をとれ!さっきの速度ならば10分でIS学園空域に入る!空軍基地へは13分だ!」
言ってラウラはオレの手を放す。
途端に減速してバランスを崩しそうになるが、なんとか持ち直して直進。
時速はマッハ3から急激に下がっている。恐らく500km/hあたりまでは下がるだろう。
チープコアの交換は間に合うか?
…いや、もう後戻りはできない。
「きゃっ!?」
Aを抱きしめるような仰向け体勢で飛行する。
悲鳴が聞こえたがそのまま。
「ごめん、こっちのほうが安全だから我慢してくれ。状況は?」
「は、はい!システム接続はできました!あとはセットアップだけです!1分半あれば何とかなります」
時計を見る。10秒早い。コイツ以外に優秀だな。
ラウラの方は…。
タタタタタタタ…
「!」
小さく発砲音が回線を通じて聞こえてくる。
交戦している!
ズームをしてそこを見ると、アンノウンとラウラが交戦していた。
アンノウンの方はISにしては珍しい蜘蛛のような機体。
思わず休日に見ていたクラッシックアニメの機体を思い出した。
えーと…たしか、タチコマ?

その複数脚で取り付こうとするタチコマ(面倒なのでタチコマということにした)に防戦体勢を取りながらレールガンを浴びせるラウラ。
若干押されてはいるが、圧倒される程ではない。

「セットアップ、あと50秒です!」
Aの声。
ラウラとの距離はもう10キロ以上離れている。
仮にいますぐ倒されてもこちらにタチコマがクルマでにはセットアップが終わる。
そうすれば航行をチープコアに任せて全速離脱すればカタログスペッグ上の最大速度であるマッハ4で相手に追いつかれる前にIS学園空域に入れる。
こちらの識別データはすでに国防軍には通知してある。
レーダーからラウラ…ドイツ機が何らかの勢力と光線状態にあることも把握しているはずだ。
すぐにスクランブル状態になる。

40秒。

30秒。

20秒。

もういいだろう。
今の状態では増援が来たらラウラが撃墜される可能性だってある。
「ラウラ!こちらナゲット!セットアップはまもなく終了する。敵機を無視してでも空域を離脱しろ!」
無線でラウラに連絡する。
「セットアップ終わりました!」
直後、Aの声。
なんとか災難は逃れられそうだ。


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