小鳥のさえずりが響き、
木漏れ日が気持ちよく差し込み、
暖かい風が頬をなでました。
それはとてもとても気持ちの良い陽気。
歌い出したくなるような素敵な日でした。
しかし。
モンモランシーにはそんな陽気を楽しむ余裕がありません。
なにせ彼女は今とても大変な状況に陥っているのです。
自身が作りだした惚れ薬の解毒剤を作製するためにその材料となる『精霊の涙』を手に入れなくてはいけないのです。
たかが材料集めですが、それは非常に困難なことに思われました。
なにせそれを手に入れるためには水の精霊と会わなくてはいけないのですが、水の精霊はめったに人前に姿をあらわしませんし、あらわしたところで素直に精霊の涙をくれるわけではありません。
更にはとても強いので力ずくで涙を奪うと言うこともできないのです。
こうして精霊の居るラグドリアン湖に向かいながらも、彼女の望む薬の材料が手に入る可能性はさほど高いとは言えないのです。
しかも。
もし材料が手に入らなければ。
それはそのままモンモランシーの死を意味します。
もし期日である3日、いえ、すでに移動に1日使いましたので今日を含めてあと2日。つまりは明日までに解毒剤を作らなければ。テオがモンモランシーを殺すでしょう。
なにせ、テオはその実力も、そしてその理由も、そしてそれが出来る精神をも持ち合わせているのです。
ですから、モンモランシーの気分はとてもとても悪いものでした。
いえ、悪いどころではありません。
はっきりと最悪。それこそ、絶望に近い感情で溢れていました。
そして、さらに彼女の気を重くしている理由が彼女の後方にはありました。
彼女の後に居るエンチラーダ。
テオは3日間待つと言い、その間モンモランシーが何をしようと特に口を出さないと言いました。
言いましたが、しかし。だからといって監視が不要と言うわけではありません。
例えばその3日間の間にモンモランシーが逃亡を図るかもしれませんし、或いはやられる前にやれとばかりにテオに害をなす可能性もあるのです。
ですからモンモランシーの後には監視としてエンチラーダが無言で付き添っていました。
彼女は別にモンモランシーを急かすでも、焦らせる言葉を言うでもありません。
何をするでもなく無言と無表情でモンモランシーの後を付いてくるだけですが、そのエンチラーダの存在はモンモランシーの気分を更に悪くするには十分すぎました。
しかし、まだエンチラーダの存在はマシな方だと言えました。
なにせエンチラーダのさらに後方。
そこには更にモンモランシーの気持ちを重くする存在がいたのです。
それはテオでした。
「なんで付いてきてるの?」
絶望の淵から吐き出すような気弱な声でモンモランシーが言いました。
「ふむ、それにはだな。これから行くラグドリアン湖よりも深い理由が存在しているのだ」
そう言ってテオは鼻を鳴らすと言葉を続けました。
「お前たちがラグドリアン湖に行くと監視としてエンチラーダも行かなくては行けないだろ?…すると吾の身の回りの世話をするものがいなくなる」
「ええ、そうね」
「正直普段であれば別にエンチラーダがおらんでも吾一人でも十分生活が出来る。しかしだ、しかしだな。今の我の状態は…ほれ」
そう言ってテオが自分の後方に視線をやると、そこではルイズがテオにもたれかかるルイズの姿がありました。
しかも。馬を密着させて自分も密着するという普通では出来ないような方法でもたれかかっていました。
最初テオと同じ馬に乗ると言い張ったルイズですが、テオがそれを断固拒否したためにこのような業でもってテオに寄り添っているのです。
こうまでしてテオに寄り添う辺り、ルイズにおける薬の効果は相当なものであることが伺えます。
「孤立無援でこの状況に耐える自信がない。吾がとても困ってしまう。それは嫌だ。だから付いていく」
「…あまり深くなかったわね」
そう言ってモンモランシーはため息をつきました。
「いやあ、ラグドリアン湖かあ、初めて行くなあ、どんなところだろうか?やはり美しいのだろうなあ」
「おいギーシュ、遊びに行くんじゃねえんだぞ?」
気楽な声が、横から聞こえてきました。
ギーシュとサイトです。
二人はそれぞれモンモランシーの手伝いとしてやってきたのですが、しかし、あまりにも頼りないコノ二人はモンモランシーの不安を助長するばかりです。
そんな中。
ルイズはとても上機嫌でした。
なにせテオと寄り添うようにしてこうして旅行に来ているのです。
気持ちのいい陽気、楽しい旅行、傍らには好きな人。
ルイズを上機嫌にするには十分過ぎる材料が揃っていました。
そしてルイズの上機嫌は、少々常軌を逸していたのかもしれません。彼女のテンションは有頂天で留まることを知らないといった様子です。
今にも踊りださんばかりの勢いで、テオに話しかけたり、テオに抱きついたり、テオをつついたり、テオに噛み付いたり。
もう、何がしたいのかよく解らない行動を繰り返しながら、その合間にテオに話しかけるのです。
「テオ?テオって森が好きなの?」
「嫌いではないな」
「あら、綺麗な実、葡萄かしら?テオ、葡萄は好き?」
「アレはインクベリーだ、嫌いな部類だ」
「テオ、山鳩だわ、鳩。テオは鳩は好き?」
「山鳩…は、まあ。好きだな」
「あ、ウサギよ、野ウサギ。テオはウサギ好き?」
「まあ。それなりにな」
「あ、今茂みが動いた、鹿かしら?テオ、テオは鹿好き?」
「結構好きな部類だ」
「リスも居るのね、テオ、リスって好き?」
「普通だな」
「じゃあ、あそこに居るオオトカゲは?テオはオオトカゲ好き?」
「あれは………まだ食ったことがない」
思いの外、テオはルイズの問いに対して、ひとつひとつ丁寧に答えて居ました。
ルイズの様子に辟易としながらも、彼女の言葉を無視せずにしっかりと受け答えをするのです。
意外ですが、それは別に変なことではありませんでした。
テオは面倒見が良い一面が有るのです。
タバサやキュルケともそれなりに仲良く付き合い、
エルザの面倒もよく見ます。
ザビエラ村やタルブ村でも子供たちの相手をよくしていました。
しかし、いくら面倒見が良いからといって、ルイズの相手をするのはテオにしてもかなりの苦労が伴いました。
「テオ、ほらほら、木の実がこんなにある、ほら、ほら~!!」
「わかった、わかったから、………やめてくれ、もぎ取ったマロニエの実を投げるのはやめろ」
ルイズは笑いながらテオに向かって超至近距離からクリに似た木の実を投げつけました。
「あいた!…マロニエは灰汁が強くて食えないのだ、そんなものを素手で触るとかぶれるぞ…って。ああ、こらこら、山葡萄を無造作に引きちぎるな、そしてそれを吾のポケットに突っ込むな…そして抱きつくなあぁ!葡萄が潰れ…………。
………
…
もう好きにすれば良いさ」
ズボンを葡萄の汁で紫にしながら、テオは泣きそうな顔でうつむきました。
こんなにも困り果てたテオはエンチラーダにしても見たことが無いほどでした。
その様子は悲壮感あふれる様子は、現状に絶望しているモンモランシーから見ても可哀想だと思ってしまうほどでした。
「あの…その…テオ?正直、悪いことをしたとは思うわ、結果として貴方に迷惑をかけているのは確かだし。その…ごめんなさい」
「謝るな」
顔を下に向けたままテオがそう言いました。
「え?」
「謝ると言う行為は時に美徳だと思われているがそうではない」
「??」
「謝るという行為は解決に結びつかない。何かを壊した時、謝ってもそれは治らない。誰かに損害を与えた時、謝っても損は消えない。人を殺したとして、謝ればそれが生き返るわけでもない。謝るという行為はいわば解決が絶望的であると相手に伝える言葉だ」
「吾が貴様を許すとしたら、それは事態が解決した時だ。それまでは貴様がどんな言葉を吐こうと吾は貴様を許しはしない」
顔色を変えずにテオはそう言いました。
それは怒りに任せて語っているというよりは、ただ事務的なことを淡々と述べているという風でした。
「貴様も貴族であれば、軽々しく謝罪などするべきではない」
謝らない。
我々の感覚では謝るということは当然のことであり、何か悪いことをすれば謝る必要があります。
しかし、それはあくまで我々の感覚にすぎないのです。
謝罪とはいわば自分の非を認める行為です。大半の社会において自分が間違っていると認める事は自分の立場を悪くすることでもあるのです。
良くも悪くも世界は弱肉強食です。弱気な人間は恫喝され、弱い人間は蹂躙され、搾り取られる。そういう世界なのです。
謝ってそれで事が済むなんてことはまずありえません。損害賠償や迷惑料、違約金等をとられたり、その後たかられたらたり、カモにされ続けたり。謝るという行為から身が破滅することもありえるのです。
ですから、なあなあで許すという曖昧な文化があったり。他者を許せるもので溢れた優しい社会でも無い限り人は中々自分の非を認めようとしないのです。
ましてや貴族であれば、謝るという行為は全くのご法度とも言えました。
領民や部下は、絶対的な領主を求めています。人を従える領民の上に立つべき人間が、弱々しく自身の非を認めて、どうして下が付いてくるでしょう。
ですから貴族は滅多なことでは謝りません。謝れないのです。
「そもそも謝るくらいならばやるべきではない。やったからには胸をはれ。胸を張れない行動ならば初めからしてはいかん。それは、別に難しいことではないだろう?」
モンモランシーはとても嫌な気持ちになりました。
許してくれるとは思っていませんでした。
しかし許してくれずとも怒ってくれればまだマシでした。
ですがテオは許すでも、怒るでも無く、モンモランシーの行動を否定しました。
まるで大人が子供を叱るように、モンモランシーの行動を否定したのです。
だからモンモランシーは、まるで子供が叱られた時のような、恥ずかしいという気持ちになってしまいました。
或いは。この時になって、モンモランシーは初めて惚れ薬を作ったことを後悔したのかもしれません。
勿論後悔はテオの怒りを買ったその瞬間からしていたのですが、それはあくまでルイズを巻き込み、テオの逆鱗に触れたことに対してでした。
惚れ薬を作るという行為に対しては特に罪悪感を抱いては居なかったのです。
しかし、テオに言われて自分が惚れ薬を作ったことに胸をはれるのか。彼女はそう自問しました。
答えは当然「否」。
惚れ薬で人を振り向かせる行為に胸を張るなんて、モンモランシーは出来ません。
どんなに言い訳をしようと、どんなに理由をつけようと。どんなに自分を正当化しようと。自分は胸をはれない行動をしたのだと、モンモランシーは自覚しました。
とても暗い雰囲気が一同を包みました。
俯いたテオに俯いたモンモランシー。そして無言のエンチラーダ。
如何に陽気なギーシュとサイトとはいえ、その雰囲気でおどける事は出来ません。
一体どうすればその暗い雰囲気を払拭できるだろうと、サイトが思い悩んだところで、
ルイズが動きました。
「ほ~らテオ!ラグドリアン湖まで競争よ私を捕まえて~」
そう言ってルイズは森の中に消えていったのです。
競争とは言っていましたが、ルイズの消えていった方向には道はありませんでしたので、このまま行けば十中八九彼女は迷ってしまうでしょう。
「…」
「…」
「…」
「…」
「…行っちゃったね」
「……うむ」
「…」
「…」
「…ちょっと待て、これ吾が追いかけるのか!?」
「他に誰が行くんだよ」
「オマエいけよ!使い魔だろ!?」
「今のルイズじゃあダメだよ。俺が追いかけたらマジ逃げするもん。本格的に遭難しちゃうだろ」
「………クソ!先に湖に言っていろ。後で追いつく」
「ああ、まあ、その…気をつけてな?」
そう言ってテオはルイズを追いかけて森の中へと消えて行きました。
「ルイズ…幼児退行がひどいわね」
「私を捕まえてって言ってたけど…あの速さ、捕まえてってレベルじゃねえぞ?」
「僕はもう、彼女が一体何をしたかったのか理解できないよ」
「御主人様…」
突然のことに皆困惑していましたが、その困惑が暗い雰囲気を払拭していました。
サイトは一瞬、そのためにルイズがあんな行動に出たのかと思いましたが、さすがにそれは無いかと次の瞬間には自分の考えを否定していました。
だって今のルイズにはそんなことをする理由も、そしてそんな判断が出来るような冷静さも無いはずなのですから。
◆◇◆◇◆
森の奥はとても暗く。そこはまるで夜のようでした。
エルザであればとても喜びそうなその場所も、テオに取ってはただ暗いだけの気味の悪い森でした。
そんな森の中をテオは一人で進んでいました。
「全く、何が楽しくてこんな真っ暗な森の中に来なくてはいけないのだ。如何にも陰鬱でまるで幽霊でも出そ……………」
そこまで言って、テオは何かに気がついたように固まりました。
「…怖がってはいないぞ?」
誰に言うでも無く、テオはそう言いました。
「…」
しんと静まった森は、一切の音をたてず、テオの言葉は森の中に染みこむように消えてしまいました。
「………………ふ、ふーん♪
ふん、ふーん♪ふーん♪
…
……
オバケなんていなーい♪」
テオは歌うようにそう言いました。
口からは軽快な調子が出ていましたが、彼の表情はなぜか焦りのような物があり、視線はキョロキョロと辺りを見回していました。
そしてそんなテオの後方から
「わ!!!」
ルイズの大きな声が響きました。
「ぎゃああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」
森にテオの叫び声が木霊しました。
「て…テオ?どうしたの?」
「……ル…ルイーズか…。いや、どうもしない。どうもしていないぞ?ただアレだ。大自然の中で叫びたくなっただけだ。突然な。それだけだ。それ以外に無いだろ?な?な?」
「え?ええ、そうね…」
「そ…そんなことより、貴様は何を考えているんだ?ラグドリアン湖の場所も知らないくせに森の中を勝手に突っ込みおって。追いかける方の身になってみろ!」
テオは苛立った形相でルイズにそう言いますが、ルイズはその様子をニヤニヤと見るばかりでした。
「これだけ吾が言っても、梨の礫とは。もう、アレだぞ?温厚であること山の如しでお馴染みの吾でさえ、さすがのさすがに怒るぞ?アレだぞ?吾が怒ると大変だぞ?ものすごい大変だぞ?」
そう言ってテオは凄んで見せましたが、やはりルイズの表情は変わりません。
いえ、むしろその笑を深め、とても楽しそうにこう言いました。
「テオって優しいのね」
「それは何かの冗談か?笑いどころが良く判らんぞ?」
「何言ってるのよ、言葉通りの意味よ」
「…吾は確かに慈愛の精神を持っている。それは貴族であれば当然の心だ。しかし、それが向けられるのは身内に対してであって、貴様に向けたことはない」
「でも追いかけてきてくれたじゃない」
「…」
そう言われてテオは押し黙りました。
そして、自分でも疑問を覚えました。
なぜ自分はルイズを追いかけてきたのだろうか。
あそこでルイズを見捨てることは出来たはずです。
そもそも、嘗てテオはルイズがロングビルに人質とされた時、容赦なく彼女を見捨てようとしました。
ルイズが死んでしまっても、別に構わないと心の底から思っていたからです。
しかし、今の自分はどうだ?
死んでも構わないはずのルイズを心配して、わざわざ真っ暗な森の中までやってきている。
なぜ?
なぜ?
何故?
「吾は…君のことが嫌いだ」
テオはそう言いました。
それは半ば自分に言い聞かせる言葉でした。
自分はルイズなど好きではないと、自分自身に再認識させようとしたのです。
テオはこの言葉を発しながら、彼女が壮絶な反応をするであろうと思いました。
少なくとも先日テオがルイズの「自分のことが嫌いか」と言う質問に、「わりと嫌い」と答えた際には、ルイズは大声で泣き出しました。
今回も彼女は大声で泣くか、下手すれば暴れまわる可能性も考えていました。
それでも、いえ、むしろそれだからこそ。テオはその言葉を口にしました。
自分がルイズのことが嫌いだと、ルイズに解らせ。
うろたえるそのルイズの姿を見て、彼女の嫌さ加減を実感したかったのです。
しかし。
そのテオの言葉に、ルイズは泣きませんでした。
暴れませんでしたし、怒鳴りもしませんでした。
ただ。
ただ、悲しそうに微笑を浮かべました。
「そうね、そうよね」
「…?」
「私が嫌われているのは解ってるの。
だって、私テオに嫌われるようなこといっぱいしてきたし。
それに。私の性格ってテオの嫌いそうなものだもの。
知ってるの。
そして、此処で私がバカみたいにそれを受け入れずに泣き叫んだって、その事実はかわらないわよね?」
テオは驚きました。
ルイズは冷静にテオの事を見ています。ルイズはテオの心情をまさしく言い当てています。
そして疑問を覚えました。
目の前のそのルイズの様子が。テオの知る惚れ薬の症状とは大きくかけ離れていたのです。
テオは実の所、惚れ薬について詳しいわけではありません。
嫌いな薬について詳しく知りたいと思うほどには彼は変人でありませんでした。
ですから、テオは惚れ薬の詳細な効果を。それがもたらす心情的変化の詳細を知っていたわけではありません。
しかしテオは薬を飲んだ後のルイズの様子を知っていました。
知っているはずでした。
彼の知識の中では、ルイズは惚れ薬を飲み、そしてその使い魔であるサイトに恋をします。
その際の彼女の様子は理性的とは正反対、感情的でまるで幼児のような様子だったはずです。
使い魔に近づく全ての女に対して嫉妬をして、使い魔に対して直接的な接触を求め、感情のままに言葉を発し、そしてそれを実行していたはずです。
はずなのですが。どうにも今のルイズはテオの知識にあるルイズの様子とは違います。
今のルイズはとても理性的なのです。
「だから私考えたの。昨日いっぱいいっぱい考えて、そして、わかったの」
「何を?」
「テオが私のことを好きじゃないならば、私が私じゃなくなれば良いのよ」
「…?」
テオはルイズの言っている意味が解らずに首を捻りました。
「私はルイズを辞めるわ」
「…ハア??」
「だから今日から私はルイズじゃないの、そうね、そうだわ私は今日から『ルイーズ』になる。テオはいつも私のことをそう呼ぶし、この際それを私の名前にしちゃいましょう。そしてそうすれば、今日この瞬間で私たちは初めましてよね、テオと私の関係はこれから素晴らしい可能性を秘めているの」
テオは先程までしていたルイズに対する『理性的』と言う評価を取り下げました。
今のルイズは十分過ぎるほどにエキセントリックです。
「だってそうでしょ?今の私は薬で変わってしまった別ルイズなのよ?前の私とは違う。別人と言えるでしょう?」
「!!」
「何驚いてるの?アレだけ大声で惚れ薬といっていたのだもの、バカでない限り気づくわよ」
そう言ってルイズはケタケタと笑いました。
テオは明確におかしいと思いました。
これは完全な差異なのです。
テオの知識の中の惚れ薬。
その症状と妙に違うのです。
サイトがルイズのその気持ちは惚れ薬によるものだと指摘した際にはルイズはそれを否定していたはずです。
自分は惚れ薬などの影響を受けていないと。この感情は自前のものだと。まるで子供が駄々をこねるようにそう言っていたはずです。
惚れ薬とはそういうものだとテオは思っていました。
自身の気持ちを本当のソレだと思い込む、そういう効果も有るのだと。
しかし、しかし。
なぜか、今、目の前のルイズは惚れ薬の事を理解し、そして今の自分の状態がそれによるものだときっぱりと口にしています。
おかしい。
おかしい。
おかしい。
テオは理解ができず、口をぽかんと開けながら、只々ルイズ、いえ、自称ルイーズを見るばかりでした。
「あら、私の事、もっとバカな女だと思ってた?」
「ああ思っていた」
「ふふ、ええ、それはある意味で正しいかもね。なにせ『ルイズ』と来たら、頭はいいくせにいつも頭じゃなくて感情で行動するんだもの。頭で何か考えるより先に体が動くし、思ったことを直ぐに口にするんだから。もっと冷静に落ち着いて行動すればもっと人生を楽しめるのに。まあしかたがないわよね、そういう性格だったんだもの。
でも女はね、愛する男のためならばどんな者にも変身するの。時に愚か者に、時にワガママに、時に子供っぽく、そして、時に聡明に。
別に自分の気持ちが薬によるものだということを否定しても良かったのだけれども、テオってそういうの嫌いでしょ?」
「…しかし、しかし…君は何をどうしようとルイズだ、それは変わらない、たとえ心が乱されていても、君にはルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールとしての過去があり…そして、何よりルイズとしての記憶がしっかりと有るはずだ」
「あら?私が私で有る条件は何?記憶?違うわ?それだと例えばスキルニルの魔法人形も当人という事になってしまうもの。それに日記帳だって私ということになっちゃうわよ?その人間を人間たらしめるアイデンティティは記憶なんてもので決まるのではないの。その人間の、その性質であり、そしてその心よ?そう思わない?」
「…」
テオは何も言い返せなくなってしまいました。
ルイーズの言っている事は詭弁に近いものでしたが、それに反論ができませんでした。
なぜなら、テオはルイーズのその言葉に、納得をしてしまったからです。
不本意ながら、
テオは今目の前に居る女性。ピンクの髪のニヨニヨと笑うその女性を、ルイズとは違うルイーズとして心のなかで認めてしまったのです。
そこでテオは気が付きました。
自分が知っているのは表面的な出来事にすぎないのだと。
ルイズの愚かしい行動、本能的な行動はたしかに幼稚でした。
しかしテオはその行動を起こすルイズの内面を知っているわけではなかったのです。
あの衝動的なルイズの様子は、テオを戸惑わせるための行動では無いかということに思い至りました。
そう、本能的、ワガママ、そしてヤキモチ焼きなあの様子。それは男を探るための行動だとしたら。
だとしたら、今のルイーズの様子は別に不思議な事ではないのです。
つまり。
つまり。
元々、惚れ薬はルイズの理性を奪ってなどいなかったのです。
嘗てテオはルイズが魔法が使えないのは愚者の振りをして、周りを観察していると評したことがあります。
無論それはあくまで表向きで、彼女が本当に魔法を使えないことはテオは知っていましたが、その時した評価は間違えではなかったのでしょう。
無能のふりをして、周りを観察することは賢者の常套手段の一つです。
彼女はテオという人間を観察していたのです。
テオと言う人間がどんな人間で、どんな人格を好み、どんな理屈が通用し、そしてどんなものを求めているのか。
「もし、今までの私と、これからの私が別の感情を持つというのならば、私はルイズではないの。私はルイーズよ、何の柵もない、ただのルイーズ、貴方はこの全世界の如何なる人間とも恋に落ちるつもりは無いといったけど。全世界の如何なる人間ではない今生まれいでた私ならば、それならばテオは私の愛を受け入れられるでしょう」
「…またその話か。再三言うが、愛なんて…むぶ」
不意にテオの口が閉ざされました。
ルイーズの指がテオの唇を摘んだのです。
「テオ?貴方が愛を信じないならばそれも仕方のないことだわ。貴方の考えだもの。或いはそれは本当の事かもしれない。この世の中には愛なんてなくって、世界中の人間は愛の幻想に踊らされているだけなのかも」
「かも知ひれないへはなく、事実そうなのは」
「だったら、だったら私が最初の『愛』になるわ」
瞬間テオの中を
何か不思議な感覚が駆け巡りました。
それは何処か懐かしく、そして同時に不快極まりない感覚です。
「すべての事柄には必ず始めがあるの、もし今まで愛がなかったのならば。私が。私が最初の愛になる。永遠にして、絶対の愛になる」
テオはその自分の中の感情に戸惑い、摘まれた口でしぼり出すように反論します。
「ひ、ひかし、君のその感情は薬による…」
「それが何の関係があると言うの?テオ。薬の感情?だから何?テオ。大切なのはそれが何によって引き起こされた感情かではないでしょう?今現在、事実として私がどう考え、どう感じているかよ。私、ルイーズはテオを愛している。それで十分じゃないの。良い?テオ、愛は有るわ、少なくとも私の中に、誰あろう私が決めたの、そう決めたの、貴方がどう否定しようと、私の中には貴方に対する愛があるし、私が信じる限りこれは絶対の事実なのよ」
先導師が人を導くときのようにどうに入った身振りをしながらルイーズは言いました。
まるで屁理屈。しかし、その言葉のひとつひとつが、染み渡るようにテオの心に入ってきます。
まるでルイーズはテオの納得するツボを全て心得ているようでした。
「だから、だから言い切ってあげる。前に貴方が言い切ったのと同じよ。
私が言ってあげる。
この世のすべての人間が、貴方に言わなくても、私だけは断言してあげる」
言ってルイーズが言葉を続けようとした時。
テオは。
その自分の中を駆け回っているその感情がなんで有るかに気が付きました。
いえ、思い出しました。
何時ぞ感じたこと無い。
テオとは無縁であったはずの感情。
それは。
それは恐怖でした。
テオは出来る事ならば叫びだしたいと思いました。
しかし、それは出来ません。
まるで恐怖に縛られるように、体は固まり、テオの口から出るはずの言葉はテオの頭の中に響き渡るばかりです。
やめろ。
言うな。
オマエに。
『今』のオマエがそれを言えば。
それを言えば。
それを言われてしまえば。
自分はきっと。
引き返せなくなる。
しかし。
無常にも、ルイーズはその言葉を発しました。
「愛しているわテオ。私、ルイーズは目の前の男性テオフラストゥスを生涯において愛するとここに誓うわ」
ソレは、テオの心を抉るような、
蠱惑的な言葉。
絶対的な愛の言葉。
それが偽物だと、
そう解っていながら。
心の底から発される真実の言葉でもあるそれに。
テオはルイーズのその言葉を
「生涯において愛する」というその言葉を。
不覚にも。
不覚にも。
嬉しいと思ってしまったのです。
◇◆◇◆
一方その頃。
美しい湖。
ラグドリアン湖。
そのほとりで、今、サイトたち一行は。
愚痴を聞かされていました。
「長年この土地に住むわしらには解ります。水の精霊がやったんでさあ。全く。湖の底が飽きたにちげえねえ。水の上は人間の土地だってのに、でも水の精霊と話が出来るのは貴族様だけ。一体なんだって陸に興味を持つのか全くわかりません」
農夫の口から繰り出される愚痴を辟易とした顔で一同は聞いていました。
なんでも2年ほど前からラグドリアン湖の水位が上がり始めたらしく、付近の農夫たちの生活がとても大変だとのことです。
しばらく言いたいことを言うと、農夫はその場を去って行きました。
「全く、何だったんだ一体」
突然現れては愚痴を言って去っていた農夫に、ギーシュは呆れたように言いました。
「何だったんだって…愚痴だろ?」
「まあ、そんなことより、とっととやってしまいましょ」
そう言いながらモンモランシーは腰に下げた袋から一匹のカエルを取り出しました。
「いいこと?ロビン、貴方の古いお友達と連絡がとりたいの」
そう言ってモンモランシーはポケットから小さな針を取り出すと、その針を自分の指先に突き刺しました。
彼女の指先からはぽたりと血のしずくがカエルの上に落ちました。
「さあ、ロビン、お願いね、古き水の精霊を見つけて、盟約の持ち主の一人が話を従っていると伝えて頂戴。わかった?」
すると、カエルはピョコリと頷きそのまま湖の中へと潜って行きました。
「さて、これで後は待つばかりね」
「しかし、テオ達遅いな」
ふと、森の方を見ながらサイトがそう言いました。
「正直テオがいなくなってくれたことはありがたいわね、交渉中に来なければ良いんだけど」
少し眉をしかめながらモンモランシーがそう言いました
「なんで?うざったいから?」
「いえ…まあそれもあるけど…問題は性格よ」
「性格?テオの性格が歪んでることと水の精霊が関係有るのか?」
サイトが首をひねりながら言いました。
「あのね、水の精霊ってとってもプライドが高いの。機嫌を損ねたら大変よ。実際機嫌を損ねて実家の干拓事業が失敗したわ。そして、相手の機嫌を損ねさせることに関しては・・・」
「テオの右に出る者は居ないな」
「客観的に見てテオの性格は水の精霊と非常に相性が悪いわ、彼が交渉の場にいると纏まる話も纏まらなくなりそう」
なるほどとサイトは納得しました。
果たして水の精霊がどんな性格なのか、未だよくわかりませんが、それでもテオの性格は時に他人を大いに不快にするものであることは確かです。
「でもさ、その、精霊の涙って、どうやって手に入れるんだ?精霊に悲しい話をすれば良いのか?俺あんまり哀しい話知らないぞ?泣いちゃった赤い鬼の話ぐらいしか出来ないな」
「別に、涙ってのは文字通りの涙じゃないわよ」
そう言ってモンモランシーは呆れたようにため息を一つ吐きました。
「では『水の精霊の涙』ってのは一体何なんだい?」
ギーシュが言いました。
「水の精霊ってのは、その体を自在に変えるの、そして…」
その時、水の中から何かが這い出ました。
眩く輝いたそれは、まるで意思を持った水でした。
その直ぐ後に湖の中からあのカエルが姿を見せました。
「ありがとう、ちゃんと連れてきてくれたのね」
モンモランシーはそう言ってカエルの頭を撫でると、今度は水の精霊に向かって両手を開いて言いました。
「水の精霊よ、私はモンモランシー・マルガリタ・ラ・フェール・ド・モンモランシ。古き盟約の一員の家系よ。覚えているかしら。覚えていたら、私達にわかる言葉で返事して欲しいのだけど…」
モンモランシーがそう言うと水の精霊はうねうねと蠢き、そしてだんだんとはっきりした形を作っていき。
そして、最後にはモンモランシーのような形になりました。
神秘的でファンタジックな姿に、サイトは感心しましたが、同時になんだか気持ち悪いとも思いました。
そしてモンモランシーとそっくりの形になった水の精霊は口を開き言いました。
「覚えている、単なる物よ。貴様の体を流れる液体を覚えている」
「よかったあの、水の精霊よ、お願いがあるの。貴方の一部を分けて欲しいのよ」
「断る。単なる物よ」
水の精霊はにべもなくそう言いました。
「それもそうよね…さあ、帰ろ…」
モンモランシーはあっさりそう言うと、くるりと後にターンして帰ろうとします。
「おいおいおいおい!どーすんだよ!ルイズとテオはどうなっちゃうんだ?おい、おいおい水の精霊さん!!」
サイトはモンモランシーを押しのけて水の精霊の正面に立ちました。
「ちょっと怒らせたらどうするつもりよ」
「テオはすでに怒り心頭だぞ!」
「う!」
そうなのです、此処で引き下がれば、テオが怒り狂うのは必死。
前門の精霊、後門のテオでした。
「水の精霊さんよう!頼むよ、なんでも言うこと聞くからさあ。精霊の涙を少しだけくれよ。ちょっと。ほんと、先っちょ。先っちょだけで良いから」
水の精霊は沈黙しました。
サイトはさらに言葉を続けます。
「お願いします。俺の大事な人が大変なんです。それに、俺の友達も大変なんだ。あんたにだって大切な物が有るだろう?それとおんなじ位に大切な人が今大変で…貴方の体の一部が必要なんだ。だから頼みます。このとおり」
そう言ってサイトは深々と頭を下げました。
水の精霊はしばらくの間、プルプル震えて姿形を色々に変えました。そして再度モンモランシーの姿になるとサイトに向かってこう言いました。
「良かろう」
「マジで!?」
「ただし条件が有る、貴様何でもすると申したな?」
「はい。もうしました!」
「ならば、我に仇なす貴様らの同胞を退治しろ」
「退治?」
一同は首を捻りました。
「さよう、我は今襲撃者の対処にまで手が回らぬ故、その襲撃者を退治すれば、貴様の望みを叶えてやろう」
こうして。
サイトたちはなぜか水の精霊を襲う連中の退治を引き受けるに至ったのでした。
◇◆◇◆
「面倒な事になったわね」
水の精霊が消えたラグドリアン湖に視線を向けながらモンモランシーがそう言いました。
「なに、襲撃者なんて僕の魔法でイチコロさ」
ギーシュが得意そうにそう言いましたが、ギーシュのダメさ加減を知る皆はそれを無視しました。
「まあ…実際問題、テオが居れば直ぐに解決しそうだけど…ただ、問題は、アイツ協力してくれるかなあ」
「さあ、なんとも言えないわね。切羽詰まってるし、手伝ってくれるかもしれないけど、でも全く手伝わない可能性も相応にしてあるし」
今ひとつテオの性格を掴みきれていない一同には、テオが手伝ってくれるのかわかりません。
ですから手っ取り早く、テオを誰よりも知る人物。つまりはエンチラーダにその質問を投げかけました。
「エンチラーダさんはどう思います?」
サイトがエンチラーダにそういうと、エンチラーダは珍しく言いよどみました。
「さて…それは…それこそ御主人様次第ですね。もし、御主人様が今のルイズ様に心底嫌気が差しているならば、或いは手伝ってくれるかもしれません。しかし、もし、もしも、ご主人ざまが少しでも今の状態に好意的な何かを感じるのならば…きっと御主人様は何もしないでしょう」
「なんだ、じゃあ大丈夫じゃないか。あのテオの様子を見れば、俺でもわかる。テオは今心底困ってるね。間違いない」
「そうならばよいのですが…」
「え?」
エンチラーダの意味深な言い回しがサイトは気になりました。
「御主人様は、誰からも愛されていません。それこそとてもとても長い間です。ですから愛を求めています。愛を否定し、偽りの愛を特に憎んでいるのはその裏返しです。ですから、ですから、この状態を、愛を与えられるこの状態を、心の何処かで望んでいるのかもしれません」
「いや、愛されているだろ?そのエンチラーダさんとか、エルザちゃんとか…」
「私が御主人様に向けるのは絶対の崇拝です。それが愛という感情で有るかは疑問が残りますね。エルザが御主人様に向けるのは依存です。子供が保護者に抱く感情ですよ。好意の一種ではありますが、貴方の言う愛とは似て異なるものです」
「じゃあ、なにか?テオは今のルイズの気持ちに応えるかもしれないってこと?」
サイトは低い声でそう言いました。
「いえ、そういうわけではありません。それとこれとは別問題です。ただ、いつものようにこの妙な状況を楽しむかもしれないと言うだけのことです。御主人様がルイズ様の愛に応えることはありえません。ルイズ様がルイズ様である限り絶対です。しかし万が一。億が一。兆が一。御主人様がルイズ様の気持ちに答えるとすれば…………」
「すれば?」
「そうですね、おそらく面倒な事になります」
「面倒なこと?」
「ご主人様は現状に流されるような人間ではありません。何かを得るため、そのためには自ら行動します。欲しいものは自分の力で手に入れ続けてきました。もし、御主人様がルイズ様の愛を受け入れ、彼女を求めるとしたらあのお方は断固としてそれを手に入れようとするでしょう」
「…って。いっても惚れ薬の力は永遠じゃないんだろ?手に入れるって言っても、少しばかりルイズが正気に戻るのが伸びるだけじゃないか」
「…御主人様は今まで惚れ薬の研究をして来ませんでした。それについて知ることすら嫌がるほどに嫌いだったからです。しかし、薬作りにも造詣が深い御主人様が本気で研究したのならば今ある如何なる惚れ薬よりも強力な物が作れるはずです。それこそ恋心を永遠にしてしまうような薬さえも」
そのエンチラーダの言葉にサイトの中を、とある感覚が駆け巡りました。
それは彼が良く経験し、そして同時に不快極まりない感覚です。
そうサイトはテオと全く同じ感情。恐怖を感じていました。
嘘だろう?
テオがルイズを奪う?
それも。
永遠に?
「勿論そうなれば私は御主人様のお手伝いをしなくてはいけませんので。即ち、貴方とは敵同士ということになってしまいますね」
敵?
テオとエンチラーダが敵になる?
勝てるわけ、
勝てるわけないじゃないか。
「まあ、まずありえない話ですがね」
「そ…そうだよな。テオだもん。テオだもんな…ハハ、あり得ないよ、ハハハ」
そう言ってサイトは笑いました。
自分の中に芽生えた恐怖を、笑い声で吹き飛ばすように。
ラグドリアン湖に。
サイトの笑い声が響き渡りました。
◆◆◆用語解説
・インクベリー
別名ヤマゴボウ。毒草、食べた場合死に至ることも有るので注意。ちなみに一般的に食されている『山牛蒡』は大抵はアザミの根でこちらは無害
テオはちょっぴり食べたが、とてつもない不快感と嘔吐に悩まされ、それ以降食べていない。
絶対に真似しないように。
・山鳩・野ウサギ・鹿・リス。
どれも良く食用にされる。リスもアメリカやイギリス等で食べられる。
勿論テオは食べている。
・オオトカゲ
一部のトカゲは食用にされ、養殖されているものもあるが、あまり一般的ではない。
テオは食べたことは無いがいつか食べたいと思っている。
・マロニエ
トチノキのこと。実は食べられるが、アク抜きが必要。
そのままではとてもじゃないが食べることが出来ない。
・ルイーズ
ルイズの亜種。
ルイズに比べ冷静に物事を判断し、聡明である。
相手を観察することに優れ、相手の求める行動や言動をする。
個人的な想像だが、惚れ薬が恋心を助長するにしても原作におけるルイズの幼児退行ぶりはおかしいとおもう。
アレはルイズの演技ではなかったのだろうか?
ルイズはサイトを幼い性格で誘惑したのではないだろうか?
・泣いちゃった赤い鬼の話
紆余曲折あって最後赤鬼が泣く話