<このWebサイトはアフィリエイト広告を使用しています。> SS投稿掲示板

SS投稿掲示板


[広告]


No.34536の一覧
[0] ルイズがモヤシを召喚したようです[にゃるらとほてぽ](2012/08/11 23:57)
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[34536] ルイズがモヤシを召喚したようです
Name: にゃるらとほてぽ◆c472b6d1 ID:0c806755
Date: 2012/08/11 23:57




草原に透き通るような少女の祈りが木霊し、張り詰めんばかりに気迫のこもった願いの爆発が詠唱を連ねる。

「――宇宙の果てのどこかにいる私の下僕よ。
 ――神聖で美しく、そして強力な使い魔よ。私は心より訴え、求めるわ。
 ――我が導きに、答えなさい!」

 そして――大爆轟。
 地上に太陽が降りたかのように眩い光球は顕現した。
 其処から解き放たれた閃光が草原一体を貫く様に照らし、耳を劈くような轟然たる爆音が重重しく響き渡り、その残響でさえ皮膚で感じ取れるほどのモノだった。
 痛いほどに吹き荒れる暴風が辺りの草を凪ぎ払うように通り抜け、衝撃の余り大地が確かに三度ほど揺れ動いた。
 その力の奔流はその場に存在する全ての者の魂を貫くかのように、一陣の蒼き魔力の光を放ち、光球はやがて遥か高き蒼穹の彼方まで届かんばかりの茫漠な光の柱となって、仕舞いには蒼い彼方へと吸い込まれて行った。

 そして、辺りには見渡す限りの視界を覆う吹き上げられた土埃のもやだけが残り、風と共に視界が徐々に回復していった。

 ルイズは当然その光景に驚愕していた。しかし異様な程の体力の消耗が全身に広がり、足の腱や筋肉が鉛の様に重くなってしまい、精神に関してはその上を行く疲労困憊が、思考を鈍った鐘の音のように鈍麻させていた。

 ルイズは、視界の隅でコルベールが必死に生徒の無事を確認しているのを捉えながらも、自らの生み出したであろう光景の、その現象の核に位置するであろう己の使い魔の姿を確認する為、息も絶え絶えになりながら朦々と煙るその中心地点へと歩を進めていった。

 そして――ルイズは確かに確認したのだ。それは余りにも明白。間違えようも無い程に見慣れたモノ。

 ルイズはソレを目にした瞬間、顔をクシャっっと歪め、口惜しさのあまりに嗚咽した。

 見開かれた鳶色の瞳を失望の色に染め、ルイズは口惜しさの余りに口を開けたまま、肩を戦慄かせて、糸が切れた人形の様に、力なく膝を地に付けた。

「嘘……でしょ?」

 少女の震える唇から、縋り付く様な、か細い声が漏れた。

「これが、こんなものが……神聖で……美しく……強力な、使い魔?」

 何処までも空疎な虚無の空気が、空しい絶望を形容していた。

「だって……!!こんなのただのモヤシじゃない……!!」

 ルイズは絶叫した。こんな理不尽があっていいわけがない!もやしもやしもやしもやし。
 私の使い魔はもやしぃぃぃぃっぃぃぃいいいいいぃぃぃぃいいいいいいいいいぃぃぃぃいいいいいいいいいい!!!!!
 モヤシに何ができるの?モヤシなんてただ茹でて食べて、ぱきぽき噛み砕いて触感を楽しんでみたり、塩湯でしたものをサラダにして美味しく食べたり、栄養豊富だったりするだけじゃない!

 こんなのが私の使い魔である筈がない!

 こんなのが私の使い魔である意味が解らない!

 それとも、何?

 もやしに使い魔が勤まるっていうの?もやしがドラゴンに勝てるっていうの?もやしが宇宙で一番神聖だっていうの?もやしが豆腐よりも素晴らしいって言うの?もやしを食べて元気出せとでも言うの?

――そうだとも。

 突如、ルイズの脳内に厳粛で典礼な音律が声となって木霊した。

「――っ。誰っ!?」

――私だ、今君の目の前に居るモヤシだ。

「嘘……。そんなの在り得ないわ。だって……」

――私はモヤシだ。君はモヤシが喋る事があり得ないとでも言いたいのだろうが、果たして君は今まで本物のモヤシを見た事が在るのかね?
  そう、これは大事な事だ。故に繰り返そう。君は今までに私ほど神聖で美しくそして強力なモヤシを見た事は在るのかね?

「――!!」

 確かに――良く見ればそのモヤシはルイズが今までに見たことのあるどんなモヤシよりも美しかった。

 その身の白さは、白亜の大理石よりも遥かな歴史を詰め込んだかのように、落ち付いた深みを持ちながら、白絹の様に滑らかで思わずルイズも嫉妬してしまいそうなほどに神聖な輝きを放っていた。

 その形状は此の世に存在する生きとし生けしモヤシ達が平伏して神と崇めても可笑しくない程に、欠陥一つない程に整った、まるで工芸品の様に作り物めいた美しさだった。

 そして、このモヤシは未だコントラクト・サーヴァントを果たしていないにも拘らず、人の言語を解すのだ。

 更に付け加えるならば先程の爆発。

 あの自分でも未だ引き起こした事の無い規模での、あの壮麗とも言える程の大爆発は、この使い魔の力が相俟って引き起こされたものなのでは?

――ふっ。どうやら分かってくれたようだ。なかなか利発な御嬢ちゃんで助かるよ。

「いえ。未だ納得がいかないわ。貴方は未だその力を示していない。」

――ならば契約だ。ミス・ヴァリエール……。貴方は我がマスターとして、此の世にモヤシの千年王国を築きあげる事を約束するか?もし約束してくれれば、この身全てを貴方の忠誠の下に捧げ、永遠の騎士<もやし>となろう。そして直ぐにでもこの力をご覧に見せてあげようとも。

「では、屈んで顔を近付けて」

モヤシは茎を屈曲させて発芽した芽をルイズの顔に近付けた。

ルイズの柔かい唇がモヤシの芽に触れる。

「ぐっ!これは厚いな。茹でモヤシになってしまう」

 モヤシは使い魔契約の影響で、維管束の振動によって声を発することが可能となっていた。

 モヤシの茎に使い魔のルーンが刻まれ、何時の間にか近寄っていたコルベールがそれを観察した。

「おや。これは珍しいルーンですね。というより細い茎に刻まれているせいで、重なってしまって良く解りません」

「コルベール先生?貴方はモヤシが使い魔となっていることに疑問を感じないんですか?」

「? ミス・ヴァリエール。何を言っているんだい?」

コルベールは目の奥に異様な熱のこもった視線を埋めかせて、心外とばかりに禿頭を照らせて被りを振った。

「モヤシは水分豊富な立派な植物だ。マンドラゴラを使い魔にする魔法使いだっているんだから、同じ植物のモヤシが召喚されても何もおかしい事はない。モヤシは何よりも美味しいしマンゴラドラよりも強力な使い魔になる筈だよ。
これでも自分は昔もやし燃やしの実験小隊として焼きもやし料理普及の為に各地を回って居てたことがあってね、もやしに関しては」

「わ、わかりましたから。もう良いです。」

「そうかね。少し残念だが……じゃあ、君で使い魔召喚も最後だ。……では、これより解散とする!!」

 コルベールは生徒へ解散の旨を伝えると、学園へ戻って行った。

 と、そこで生徒達がルイズへ罵詈雑言を吐き散らし始めた。

「やーい。もやしのルイズ」「もやしより豆腐は」「もやしなんてルイズにお似合いだぜ」「もやしは味噌汁がいちばんだよな~」「もやしでも食って胸の成長を付けるんだな」「俺は貧乳のルイズが好きだ」「”ゼロ”のルイズの二つ名も返上だな。これからはMOYASIマスタールイズって呼ぼうぜ!」

 ルイズは羞恥に震えながら必死に耐えていた。そこでモヤシから声が掛かる。

「ルイズ。今私の力を見せよう」

 もやしは詠唱を唱え始めた。

――ユウキ・サイバイ・ジャナ・イ-ヨ・カガ・クヒリョ・ウモ・ヤシダ・ヨ・チューゴ・クサーン・ダヨ

 そして現れた光景は――天より降り注ぎし無数の大豆の礫が、大気を切裂く音を立てながら、ハルケギニア全土へ降り注ぐと言ったモノだった。









多分、続かないような気がします。なんか眠いです。


感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.023967027664185