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No.34526の一覧
[0] 【オリ主】蟲神少女リリカルアヤメ【魔法少女リリカルなのは×クトゥルフネタ】[USK](2012/08/27 18:47)
[1] 蟲神少女リリカルアヤメ 第2話[USK](2012/08/25 15:38)
[2] 蟲神少女リリカルアヤメ 第3話[USK](2012/08/25 15:40)
[3] 蟲神少女リリカルアヤメ 第4話[USK](2012/08/27 09:42)
[4] 蟲神少女リリカルアヤメ 第5話[USK](2012/09/15 21:14)
[5] 蟲神少女リリカルアヤメ 第6話[USK](2012/09/08 23:51)
[6] 蟲神少女リリカルアヤメ 第7話[USK](2012/09/15 21:16)
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[34526] 【オリ主】蟲神少女リリカルアヤメ【魔法少女リリカルなのは×クトゥルフネタ】
Name: USK◆195bfacf ID:76f110cd 次を表示する
Date: 2012/08/27 18:47
“それ”は、遥か昔、人知の知れぬほど昔に、その地に飛来した。
“それ”は、ヒトを遥かに超える栄華を誇り、しかし、ある日を境に、地上から完全に姿を消したとされる。
しかし、その叡智は、一冊の書物に纏められ、今もどこかに在るという。

同時に、飛来した“それ”を、滅ぼそうとした存在があった。その存在は、冒涜的なまでの力で“それ”を蹂躙したが、しかし結局滅ぼせず、逆に封印されたという。
しかし、その存在は、封印され、大地の深くに眠る今も、今か今かと、再び地上に現れ出で、大地を蹂躙し、海を枯らし、空を割る日を待ち侘びているのだという。


「じゃ、アヤメ~。掃除、あんただけでやっといてね」
そう言って、モップを一人の少女に投げつけた少女達が、教室を出ていく。
「…」
アヤメと呼ばれた少女は、ただ黙って、それを見送っていた。
―――わかっていた、こうなることは。だって、いつものことだから。
第185管理世界『アーケイン』。その学校のひとつ、聖王教会の経営するこのSt(ザンクト).クーラティア魔法女学院小等部は、他の学校よりも魔法教育に力をいれていた。というのも、このアーケインでは非常に魔力資質の高い者が多く、その結果そうなったのだという。
―――だが、当然、魔法教育に力をいれる、ということは、つまりは数少ない魔力資質の低い者が、余計に、しかも悪い意味で目立ってしまうということだった。そこに、自分の場合は身体能力の低さもプラスされる。それと、頭の出来も。
そのこともあり、彼女―――アヤメ・コモンは、同級生からいじめを受けていた。基本的には軽度の物だが、ときには重度の物を。
今日もまた、魔法の試験で盛大に失敗し、魔法を暴走させた。それでも、周囲には一切被害がいかず、ただ自分にダメージを受けただけだったが。
それは、学園に『怪異』がはびこる今も変わらなかった。
生徒の失踪をはじめ、幻想生物の目撃、奇妙な張り紙――――。
近々管理局の局員が派遣されてくることにはなっていたが、今の所有効な対策は無く、かといって休校にする気もないようだ。
そんな状態でも、いじめを行おうとする精神には、まったくもって感服する。もしかしたら、その神経の図太さが魔法のコツなのかもしれない。
一人で、さほど広くはない教室の机をすべて後ろに持っていく。さほど広くはないと言ったが、10歳の少女には、かなりの重労働だった。
水を張ったバケツにモップを浸し、床を拭こうとしたとき、声を掛けられた。
「あ、あの、アヤメちゃん…て、手伝うよ!」
声の主は、最近この学院に転入してきた、ヨランダ・アルフィディーだった。
短い金髪を窓から差し込む夕日で照らし上げるその少女は、今の所―――友達と言えるかもしれない、唯一の少女だった。
自分にも分け隔てなく―――いや、むしろ自分に対し積極的に関わってくれる少女は、しかし別のクラスであるため、自分をなかなか助けることができなくてやきもきする、とよくこぼしていた。
「う、ん。ありが、と…」
「いいよ。悪いのは、さぼって帰った子だ」
そう言って微笑み、ロッカーからもう一つモップを出しながら、
「今日、試験で失敗しちゃったんだって?怪我はない?」
と尋ねてきた。
それに対し、精一杯の笑顔で―――口端が若干上がっただけだったが―――うん、と答えた。

それから、二人で掃除を終え、帰路についた。
交わすのは、途切れ途切れで、稚拙な、他愛のない会話。それでも、私にとっては、この日常で数少ない充実した時間だった。
「―――あっ」
ふと、ヨランダが声を上げる。
どうしたの、と尋ねると、アヤメの教室に忘れ物をしちゃった、と答えた。
「取って来るから、アヤメちゃんは先に帰ってて」
「え、でも…今、学校、何が起こるからわからないから、あんまり遅くまでいちゃいけないって…」
「大丈夫だよ、アヤメちゃん」
言っても聞かないので、仕方がなく、私も付いていくことになった。

「あ、あったあった」
そう言って、教室の片隅に置かれた手提げ袋に、ヨランダが駆け寄る。
もう沈みかけの夕陽に照らされた、いい思い出の無い教室を見渡す。
「あ、れ…?」
ふと、自分の机―――いたずらにより、ボロボロになった―――が目についた。
その上に、一冊の本が置かれている。掃除のときは、こんなものなかった。
近づいて、その本を手に取る。
「まどう、しょ…?」
表紙に描かれた、タイトルを見る。

-Eltdown Shards-


「ユーノくん、こっちの資料は?」
無限書庫内で、なのはが纏まって漂っている数冊の本を指さして、少し離れた場所で検索魔法を使っているユーノに問いかけた。
現在、高町なのは16歳は、余暇を利用して、無限書庫の司書となったユーノの手伝いをしていた。
「ああ、それは―――」
ユーノの指示に従って、指定された場所にその本を納める。
「ごめんねなのは、わざわざ手伝ってもらって…」
申し訳なさそうに言うユーノに、
「いいよ、私も暇だったから」
と軽く答えた。
そして、また別の資料をとろうとした時―――一冊の本が、なのはの目の前を通り過ぎた。
その漆黒の装丁の本を手に取る。
(タイトルが、書いてない…)
表紙を良く見てみる。
「ブラック・スートラ…?」
よくよく見てみれば、その黒い表紙に、同じく黒でタイトルが書かれていた。読みづらい事この上ない。
どのような本なのか気になって、つい開いてしまった。
―――刹那、脳裏にいくつもの情景が閃いた。
ミッドチルダではない、どこかの世界の情景。
大地に蔓延る/蠢く、吐き気を催すような異形。
それを蹂躙する/冒涜する、身も魂も凍るような異形。
異形/に次ぐ異形/に次ぐ異形。
口から、絶叫が迸る。
「なのはっ!?」
ユーノがそれに気づき、慌ててなのはの手からその本を払いのける。
しかし、脳裏に映るその光景は消えず、そのまま、意識が、暗闇に堕ちていった…。


「エルトダウン・シャーズ…?」
その手に取った魔導書のタイトルを読み上げる。
「ね、え、ヨランダ…こ、れ…」
振り返り、ヨランダの方を見る。だけれども、いない。
「あ、れ…?」
教室中を見渡しても、何処にもヨランダの姿がない。
「え、ヨ、ヨランダ、ど、こ…?
隠れて、るの…?」
そう言っても、何処からも声が上がらない。彼女は時たまこういう事をして私をからかうが、私が不安がった時には、すぐに姿を現していた。
「よ、ヨランダ…。ど、どこにいるの…?」
もう一度言っても、彼女は出てこない。
―――まさか、私を置いて、帰ってしまった?
彼女が? 私を?
―――わからない。
だけれども。私は今、とても危ない状況にいるという事は分かった。
既に陽は沈み、教室の影が濃くなってきている。
この怪異蔓延る校舎内に、一人きり。それは、とても危険なことだ。
ガタッ!
背後で、机が鳴る。
(よか、った…ヨランダ、いたんだ…)
安心して振り向き―――綻びかけた表情が、恐怖に染まる。
そこには。
地面に引きずるほど長い腕と、右脚だけ逆関節になっている脚部と、尻尾をもった、紺色に光る、異形が。
ずるずると。その腕を引きずって。
がたがたと。その通り道に在る机を倒しながら。
私の方へ近づいてくる、異形の姿が。
「き、きゃぁあああああああ!!」
その異形から逃げる為、駆け出そうとする。しかし、躓いて転んでしまった。
「こ、こない、で…来ない、で!!」
そう言って。持っていた物を。その魔導書を。
そうとは忘れて。投げつける。いや。投げつけようとする。
その、時―――
『使用権限保有者を確認。
機能を、開始します』
その魔導書から、放たれる。言葉と、光が。
気付くと私は、本から発せられた、私の魔力光と同じ色の、灰色の光に包まれた場所にいた。この感覚を、私は知っている。デバイスのマスター認証だ。
では、あの魔導書が?
その疑問の通り、目の前にあの魔導書が、エルトダウン・シャーズが浮かび上がった。
『使用権限保有者を確認。
保有者名、アヤメ・コモン。
契約意思を確認―――』
私を完全に無視して、デバイスの音声が発せられる。
「あ、あの…」
『契約の意思、認められず。
―――然し、危機的状況を確認、強制契約プロセスを開始―――』
―――強制契約!?
マスターの意思を完全に無視してマスター認証を行うデバイスなど、聞いたことがない。もしあるとしたら―――それは、まともなものではないはずだ。
エルトダウン・シャーズが、静かにそのページを開いた。
そのページから溢れ出てくる光の筋が、私を包んでいく。
そして―――。
光が解ける。状況は先程と変わらず、しかし私は、あの異形を前に、立っていた。
頭上には、エルトダウン・シャーズ。そして、私は、バリアジャケットを纏っている。
バリアジャケットは、基本色にどす黒い血の様な赤。そこに、同じく暗い色の青があしらわれている。
『使用者の最適兵装を選択。完了。
戦闘システム、イース・ザ・グレートを生成します』
そうエルトダウン・シャーズが言うと、私の手に光が生まれた。
それは、徐々に形を作っていき、そして、その姿を現す。
「―――ひっ」
―――それは、おぞましい姿をしていた。持ち手は、普通の杖。長杖だ。
だが、その先端。そこにある、3つの黄金色の球体は、いい。だが、問題はその周囲―――蠢く、八本の触手だ。機械的な光沢がありながら生物的に躍動してる。
「や、やぁっ!!」
気持ち悪くなって、手を放そうとする。けど、離れない。
こんな気持ち悪いもので、どうしろっていうの…!?
しかし、異形はなおも近づいてくる。きっともう、逃げられない。
(私、ここで死んじゃうのかな…)
諦めて、やけくそで、そのイース・ザ・グレートと呼ばれたデバイスを異形に向けて構える。
すると、足元に、魔方陣が浮かんだ。無数の、見たこともない文字が描かれた帯が、幾重にも連なった円形の魔方陣。
脳内で、魔法を放つための演算を開始する。―――だが、それも何故か、自分が習っているミッド式の物ではなく、未知のものとなっていた。
術式選択。敵の戦力が不明。まずは最低限の魔法で。
またたく間に、式が完成する。
そして、その式を受けて、魔力が杖の先端の球体へと集う。
―――何、これ!?
集まった魔力は、尋常なものではなかった。本当に初歩的で小規模の攻撃魔法だというのに、凄まじいほどの魔力が集中していく。
そして―――
「ブリッツシューター…シュート!!」
放たれた3つの魔力弾は、1つは跳躍した異形に回避され、1つはその長い腕により、掻き消され―――ようとした。でも、掻き消せない。消えたのは、異形の腕の方。
そして、最後の1つが異形の頭部に命中し、弾け、そして―――吹き飛ばした。
頭部を失った異形が、徐々に薄れていき、そして消失する。
「うそ、なに、この、威力…」
とんでもない威力だ。そもそも、私は元の魔法自体、滅多に成功しないというのに。
バリアジャケットが解除され、イース・ザ・グレートもエルトダウンシャーズの中へと戻る。
「なん、だったんだろう…」
降りてきた魔導書を抱きかかえる。
―――ふと、暗くなった教室が、『砕けた』。
代わりに、まだ夕陽の差し込む、教室に。
そして―――
「アヤメ、どうしたの?」
傍らで、私を覗き込む、ヨランダも。
「え、どう、して…」
「どうしても何も、アヤメ、その本を手に取ってから、急に止まっちゃって。
―――その本、なに?」
―――どういうことだろう。今のは、夢?もしそうなのだとしたら、酷い夢だ。
でも―――夢じゃない、気がした。


「うう、ん…」
「なのは!?良かった、気が付いた―――」
「フェイト、ちゃん…?」
当たりを見回す。ここは―――医務室?
「よかった、なのはちゃん…無事に意識が戻ったみたいね」
「シャマルさん…?」
―――どうして、私はここにいるんだろう。
「なのはが、急に意識を失ったってユーノから聞いて、慌てて…。
本当に、よかった…」
そう言って、フェイトちゃんが抱き着いてくる。
―――少し、恥ずかしい。
(そもそも、どうして気を失ったんだっけ…?)
確か、ユーノくんの手伝いをしてて、本を拾って―――
「―――!!」
また、脳裏にあの光景が蘇る。
叫びそうになるが、何とか抑える。
(何。何!?あの光景(ヴィジョン)は!?)
―――ひとつだけ、解ったことがあった。
あの地の名前。アーケイン。そこに、きっと―――何かが、ある。


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