D・G教団殲滅作戦発動、そして終結から3時間後。
各遊撃士たちが事件処理をしている真夜中の深夜2時。
リベール王国ロレント地方、カシウス・ブライト邸にて事件の被害者の子供が目を覚ました。
「…………ここ……は」
紫色の髪が特徴のその子は女の子であり、愛らしい笑顔の容姿の少女がベッドの上で目を覚ました。
温かな木の天井が真っ先に飛び込んできて、柔らかな明かりを発するライトが部屋を照らしていた。
ふかふかのベッド。なんだかお日様の香りがする。
室内を見回すと生活感漂う雑貨や本が置かれていて、僅かに食事の香りがする。
少女はボーッとする視線を窓際へ向けると、そこには一人の見たことがない女性が座っていて本を読んでいた。
女性の手元や周囲には医薬品が散乱し、少し女性は疲れているように思えた。
少女がジッとその女性を見ていると、その視線に気がついたのか、女性は本を置いて穏やかな頬笑みを浮かべて話しかけてきた。
「あら、気がついたかしら?」
「…………ええ」
少女は周囲を忙しなく見渡し、ここが『さっきまで』いた場所じゃない事に気が付いた。
「ここは……どこ?」
「ここはね、リベール王国ロレント地方ロレント郊外にある、遊撃士カシウス・ブライトの自宅よ」
「リベール…………」
少女はその言葉に一瞬唖然とし、何か考え込むように沈黙した。
今までずっと看病していた女性・レナは水に濡れたおしぼりを交換し、少女の額に置く。
「貴方の名前を教えてもらってもいいかしら? ああ、私はレナ・ブライトっていうの。よろしくね
「…………レン」
「そう。良い名前ね。なんだか私の名前と似てるわ」
「…………」
「何か聞きたいこと、あるかしら?」
「私を……どうやってここに? あそこから連れだせるとは思えないわ」
レンの言葉に、レナは答えるべきかどうか逡巡し、小さく目を瞑って答えた。
「詳しい事は分からないわ。ただ、貴方は突然この家に現れたの……いえ、送られてきたわ」
「…………」
レナの言葉にレンは、正気? とでも言わんばかりの視線を向ける。
だがレナは知っている。
あの現象、あり得ない技術、証拠となった血文字の布。
それを行ったのは誰なのか、知っている。
なぜなら過去に、自分も同じ体験をしているのだから。
「貴方は確かに送られてきた…………怪我をしていたから、手当をさせてもらったわ」
「!!」
レナは確かにボカしたつもりだった。
レンの気がしっかりすれば、嫌でも自分の身体に巻かれた包帯に気がつく。だから自分から告げる。
そうすれば、自分の誠意を見せれるし、信頼も得れると判断したからだ。
レナの判断は誰もが同意するものだった。
まずレンが送られてきた当初。
レンの身体は無数の傷が身体に刻まれており、血だらけであった。そしてその上に夥しい程の返り血が浴びていた。
レナはレンの身体についた血を清潔な水で洗い流し、無数の傷を消毒して包帯を巻いた。
だがその過程で気がついた。
太股の付け根から腰回り、臀部付近にこびり付く男性の体液。それに気がついたレナは唇を血が出る程噛みしめ、涙を流し申し訳ないと思いながら洗い流した。
文字通り指で全て掻きだして、レンを手当てした。
その行為も、レナを大きく傷つけた。
当たり前だ。誰だって7歳の少女の暴行された姿を見たい筈がない。
だがレンはそんなレナの気遣いを余所に、完璧に自分に起こった事態を把握してしまった。
「はぁ……っ! はぁっ! はぁっ!」
「っ! 大丈夫よ! もう大丈夫だから!」
がばっと身体を起こして腕で身体を抱きしめるように抱えてガクガクと震え始めたのだ。
目を大きく見開き、半ばパニック状態といってもいい。
レナはそんな彼女を抱きしめ、必死に呼びかけた。
「私じゃない……私じゃない……」
「大丈夫よ。ここにいれば、何もされないわ」
背中を摩り、自分の温もりを相手に与えるように。
その温もりは、確かにレンに伝わったのだろう。
時間をかけてゆっくりとパニックが収まる。
レンはゆっくりと空気を吸い込む。太陽の香りとでもいうべきか、落ちつく香りがレナからした。
「…………あり……がと」
レナに抱きしめながら、再びレンは眠りについた。
『レン』として、穏やかな眠りにつけたのは、とても久しぶりのことだった。
◆ ◆ ◆
翌日、レンはスズメの鳴き声と共に入って来た朝日で目を覚ました。
少しの間だけ呆けていたレンだが、すぐに何があったかを思い出し、ゆっくりとベッドから降りる。
木目の床がひんやりと冷たく、少し驚く。
次に襲ってきた身体中の切り傷から来る痛みに顔を顰め、そして気がついた。
「……いい匂い」
目玉焼きの匂いだろうか。ベーコンもありそうだ。
こんがりとした香りと卵のなんともいえない旨そうな香りが漂ってきて、思わずお腹が鳴ってしまう。
思えば、こんな香りを嗅ぐのも久しぶりだ。
楽園にいた時はもちろんの事、その前にいた親戚の家でも嗅いだことなどなかった。
その家は確かに一般家庭に違いなかったが、どこか空気がギスギスしていたし、自分に対する暴行等の扱いからどうでもよかった。
そう、この香りは両親が自分の手を握ってくれていた頃の—————。
「…………」
堪らなくなり、レンは扉を開け放った。
そこにいたのは、エプロンを付けたレナと、テーブルで美味しそうにご飯を食べている自分よりも年上の女の子がいた。
レナはレンに気が付くと、「あら、起きた?」と笑顔で言いながらレンに近寄ってくる。
なにやら奥の女の子が目を輝かせながらこちらを見ているが……レンはスルーした。
「おはよう、レナ」
「おはよう、レンちゃん」
ちょっとおしゃまな口調のレンに、レナは不快感など微塵も見せずに笑って頭を撫でた。
すると、ドドドと激しい足音と共に2人の間に何かが飛び込んできた。
「お母さん! この子だよね!?」
「ええ、そうよ」
「うわぁ〜〜〜〜〜!」
「……え? え?」
レンの脳裏に暴走列車という単語が一瞬浮かんだ。
飛び込んできたのは先ほどの目を輝かせていた女の子。頬を紅潮させてレンの手を握り、ぶんぶん上下に振る。
「あたし、エステル。よろしくね!」
「レンちゃん。この子は私の娘よ。仲良くしてね?」
「……ええ。よろしくね、エステル」
「む〜〜〜、あたしの方が年上なんだけど」
微妙な顔をするエステルに、レンはクスッと微笑む。
おちょくられていると感じたエステルは唸ったが、すぐに「ま、いっか」と言って気にしなくなり、レンの手をひっぱり洗面所へ連れて行く。
「ここで顔を洗うの。やり方は分かる?」
「当然でしょ。私を馬鹿にしてる?」
なんだかお姉さん風を吹かせ始めたエステルに、レンはジト目を向けた。
うっと唸るエステルだが、それも仕方ない。
レンはエステルから見れば体格も非常に小柄であり、年下の存在だ。
そして何より。
年下の、妹や弟が欲しかったのだ。
「はい。この箸使ってね」
テーブルに着くと朝食が用意されていて、レンはエステルから箸を受け取る。
白米を摘み、口に運ぶ。
スープを取り、一口飲む。
「美味しい…………」
「でしょ! お母さんのご飯は世界一なんだから!」
「あらあら」
フフーンと得意気に胸を張るエステルに、テレたように笑うレナ。
「口に合うかしら?」
「ええ。とっても美味しいわ」
「そう、よかったわ」
レナはそう答えて、一番気になっていたことを尋ねる決意をする。
それは———。
「でも、貴方のお母さんの味には敵わないでしょうけど、ね?」
その言葉で、レンは硬直した。
(やっぱり……この子は……)
そもそも初めからおかしかった。
この子は命の恩人であるルシアと同様に、恐ろしい程に賢く聡明な子だ。
自分がどういう目に遭ったのか、理解している筈だ。
だがそれと同様に“ルシアは違う”が、この子は年齢通りの幼い精神面も有していると見受けた。
だから辛い目に遭い、安全な所へ、しかし見知らぬ他人に囲まれれば誰だって心細くなる。
しかし目の前の子は『両親』の話題すら出さず、求めなかった。
どちらかと言えば、両親を避けている節すらある。
が。
両親を心底毛嫌いしている訳ではなさそうだ。
そうでなければ、そこまで傷ついた表情はしない。
あまりにも一瞬すぎて、とても気付き難いけれど。
「…………そうかもしれないわね」
自分を嘲笑するかのような笑みを浮かべて言うレン。
幼い子供が自分を傷つける素振りを出来てしまい、またそうせざるを得ない状況に育たざるを得なかった状況に憤りを覚えるレナ。
レナはレンの隣に座ると、彼女を膝の上に抱え上げた。
レンは不思議そうに顔を見上げた。
「体調が治ったら……」
「?」
「会いにいきましょう」
「っ!?」
レンは驚愕の表情を浮かべる。
エステルは「折角妹ができたと思ったのになぁ。でもレンちゃんの為だもんね」と言っている。
そうね、とエステルに返し、レナはぎゅっと怯えるレンを抱きしめる。
「大丈夫よ。だって、こんなに可愛い、いい子なんだもの」
「でも、パパとママはレンの事を……」
「焦っちゃダメ。レンちゃんは“その事”を確認したのかしら?」
「……してないけど……でも、分かるんだもん」
「その通りなのかもしれない。でもね」
「?」
「私はレンちゃんを娘に欲しい程なのよ? だからきっと大丈夫」
「……ふふ」
その笑いは、少しだけ自嘲を含んだ声。
「あら、ホントよ?」
「ふふ……気遣いありがとう、レナ」
「もう」
むぅ、と拗ねるレナの腕にそっと自分の手を重ねた。
◆ ◆ ◆
結局、その日はレンとエステルはゆっくりと過ごした。
レンの怪我が治ってない事もあり、家の中でゆっくりとお絵描きなどをして過ごした。
事あるごとにエステルがお姉さんとして振舞い、逆にレンに年下扱いされていた。
それでもどこか息の合う2人は、すぐに仲良くなった。
レナはそんな2人を見守りつつ、未だ帰宅せぬ夫と愛する義息子を待っていた。
空が夕日で真っ赤に染まりカラスが鳴いている午後6時。
ついに帰って来た。
「今帰った」
「おかえりなさ〜い!」
「!!」
(レナの夫が帰って来たのかしら? 確か遊撃士のはずよね)
レンが玄関を見ると、そこには20代後半から30代前半と思しき男性がいた。
レナが優しく声をかけエステルが駆け寄り、男性はエステルを抱え上げて優しく微笑んでいる。
「あなた……お疲れさまでした」
「ああ……ありがとう」
その光景を、レンはジッと見ていた。
レナが何かを話したのか、男性はこちらを見てニンマリと笑顔を浮かべて近寄ってきた。
「こんばんわ、お嬢さん」
「どうも初めまして。今回、レンの事を助けてくれてくれてとても感謝してるわ」
「ふむ……それは私じゃないんだがな」
「…………」
「君は、ソレを知ってるんじゃないか?」
ほんの数秒の沈黙。
その後に、レンが小さく頷いた。
本当は覚えていた。
誰がレンを助けてくれたのか。
同じ場所にいて、同じ苦しみを味わって。
自分が真の絶望を味わい、心が死に絶える瞬間だった。
光景事態は逆さまに見えた、青い閃光と飛び散る血飛沫と肉塊。
生まれて初めて見る凄惨な光景な筈なのに、その光景に見惚れた。
誰が行ったか、そんなの簡単だ。
自分はそれを見ていたのだから。
それを口にしようとして、
「だが、今はご飯にしよう」
「……?」
「怪我した身体にはご飯を食べて、ゆっくりと寝て、英気を養う。これは大事なことさ」
なんともダンディーにウインクをするカシウスに、レンは小さく笑った。
深夜。
エステルがレンを引き連れて自分のベッドに引きずり込み、レンがブーブー文句を言いながらも2人が安らかに眠りについた頃。
そんな2人のやり取りを微笑ましく見ていたレナが寝付いたのを見届けて、部屋の電気を消してリビングへと戻りカシウスの前へと座った。
「本当に仲良い2人だわ」
「ああ、本当にな。昨日今日会って会話したと思えん仲だな」
「ええ。面白いんだけど、エステルったらお姉さんのようにう振る舞うのよ」
「……だが、レン君の方がお姉さんみたい、だろ?」
「そうなのよ!」
アハハハ、と笑う。
快活で明るい、真っすぐな自慢の娘だと胸を張って言えるが……如何せん『子供』っぽい子供なのだ。
それに比べてなんてレンは落ち着いているのだろうか。
もちろん今回の事件からという理由もあるだろう。
だがそれだけではない。なんとなく生来のもの、という方が強い気がした。
「でも今回はエステルに感謝ね。本当に」
「ああ。まったくだな」
「あの子のおかげで、レンちゃんも辛いことをあまり考えずに済んでるみたいだし」
「ああ。だが……」
もちろんそれもあるだろうが、きっと耐えられる強さを持ってしまっていたんだろう、悲しいことにな、と。
ええ、とレナは小さく肯いた。
もちろんエステルの影響も大きい。それは認める。あの子のおかげでレンは呆れたり、構われて鬱陶しそうにしたり、騒いだり、喚いたりしていた。それはきっと、レンにとって良い事。
「だけど本当にあの子の心が癒されるのは……」
「ああ。ずっとずっと、先だろう」
お互いに小さく溜息を吐き、
「そして、今回の生き延びた子供たちもまた、な」
「そうですね……何名か聴いてもいい?」
「名前は教える事はできないが、人数くらいならな」
カシウスはそう言って答えた。
「全12ヶ所を叩いた結果、生き残りは……8名だ」
「————8っ!?」
その少なさに、レナは絶句と共に涙を浮かべた。
聞いていた限りだと、誘拐された子供たちは100名は軽く超えていたはずだ。
それが、たったの8人。
分かっていた。分かっていた筈だが、それでも憤りと絶句しかない。
それしか生き残れなかったというべきか、そんなに助かってよかったというべきか。それは誰にも分からない。
けれど、大勢の子供が亡くなったことに、変わりはない。
「皆、それぞれの出身地方へ回され病院に収容された。しばらくの間は遊撃士、準遊撃士が護衛に着くことを遊撃士協会本部が決定したんだが……ようやく事態は収束、というところか」
そうは言いつつも、目を伏せるあたりはカシウスも遣り切れないようだ。
そのタイミングでシーンと居間に沈黙が漂い、家の周りの虫たちが夜の中で合唱を奏でる音だけが響いていた。
レナはそこでずっと聞きたかった事を尋ねる。
「えっと……」
「…………」
「あの……あなた?」
「…………彼のことだろ?」
「! ええ」
ついに来たか、と声なき声で呟く。
カシウスは口元を覆い、小さく溜息を吐く。
その態度を見てレナは嫌でも悟ってしまう。伊達に夫婦をやってない。
「……保護、できなかったんですね」
「…………ああ」
「亡くなっては、ないんですね」
「少なくても遺体は確認できなかった」
ぐっと、拳を握りしめた。ぎゅーっと力を込めすぎた所為で、爪が手の平に食い込み血が出てしまう。
そんな事も気にせず、レナは何度か口を開こうとし、止まり、口を閉じ、再度開こうとする。
それを何度か繰り返した所で、
「あなた……ありがとうございます」
「すまない……」
席を立って頭を下げ、レナは力なくトボトボと部屋へ戻って行った。
カシウスだって分かっていた。
きっと責めたかったのだ。だから恩人であり訳ありだろう子供を、息子にしたがっている子を真っ先に助けてくれと言ったのに、と。
でも妻は自制心に長けた女性だった。
それが昔は美徳であり、そこにも惚れた要素ではあったが…………今は責めてほしかった。
「すまない」
それは誰に対してだったのだろうか。
カシウスは、小さく呟いた。
その声は。
その声はとても弱々しかった。
◆ ◆ ◆
裏町、という言葉がある。
それはどんな所にでもある、闇であり影。
どんな都会だろうが、どんなに発展した街であろうが、必ず煌びやかな所には暗部がある。
それは治安が悪い所だったり、政務でいえば汚職であったり。
ここ、クロスベル自治州にも、当然ながらそれはあった。
裏通りと呼ばれるクロスベルの区画。
一見、帝国と共和国の中立国でありIBCという巨大グループの本社があるこの街はどこと比べても発展しているが、裏街はその真逆を示すように暗い。
その暗部さは地元住人ですら近寄らない、危険地帯。
地元ギャングやヤクザ、暴力団といった危険な人物たちが出入りする区画。
クロスベル自治州の裏街。
怪しげな建物やビル、商店や飲み屋が集い、怪しげな物が散乱している。
そこの樽や木の箱が散乱している家と家の隙間。
人目もとても付き難い隙間。
そこに、子供が1人、倒れていた。
「…………」
夜空の下、少年は裸であった。
身体中は青く変色し、注射針の痕が多数みられる。
少年の体は不自然に震え、声も出ないようで、うつ伏せで倒れていた。
(ここは……?)
少年がゆっくりと目を覚ました。
動かない身体にしかたなく首だけをゆっくりと動かし、辺りを窺う。
(逃走は上手くいったようですが…………? ここは……クロスベル?)
地面から伝わる地脈の魔素、空気、臭い、辺りの景色に、少年ことルシアは自分がよく知る街に『飛んだ』のだと知った。
(運が良かった……)
訳の解らない場所じゃなくて良かった、そう思う。
これが魔獣の近くとかだと、自分は間違いなくやられていた。
だが未だ安全とはいえない。
助けを求めようにも声がでないのだから、楽観視はできなかった。
そして何よりルシアは知らないが、既にあの事件から丸1日経過しているのだから。
倒れている場所が発見し辛い場所だというのも、ルシアの不運かもしれない。
(身体が…………言う事を…………効かない)
流石に不味い、そう思った時だった。
「? ————っ! 〜〜〜〜!!」
「〜〜〜〜!」
ふと、女性の声がかすかに聞こえた。
もう一人、誰か男の人がいるようで、けれどどちらの顔もよく見えない。
「————! ———!!」
女性らしき主が、こちらへと近寄ってくる。
だんだんと、その姿の輪郭がはっきりと見え始める。
女性はルシアに気がついたようで、血相を変えて駆け寄って来た。
いろいろと自分に声を掛けてくれているようだが、ルシアは答えることができなかった。
血塗れの、いろいろな液体が付着したルシアの身体を気にせずに抱え起こしたその女性を、ルシアはゆっくりと目を開ける事で窺い、再び意識が堕ちていく。
完全に闇に閉ざされる瞬間、確かにこう聞いた。
「もう大丈夫よ。安心して? 私、『イリア・プラティエ』は貴方に危害を加えないわ」
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