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No.34357の一覧
[0] エースコンバット04 シャッタードスカイ[ハンヴィー](2012/09/16 10:31)
[1] 01.張子の基地[ハンヴィー](2012/09/16 10:10)
[2] 02.喉元のやいば[ハンヴィー](2012/08/04 13:58)
[3] 03.北の目の破壊[ハンヴィー](2012/09/16 10:10)
[4] 04.空中回廊の遮断[ハンヴィー](2012/08/06 00:21)
[5] 05.100万バレルの生命線[ハンヴィー](2019/12/21 21:29)
[6] 06.無敵艦隊封殺・前編[ハンヴィー](2019/12/25 08:47)
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[34357] 04.空中回廊の遮断
Name: ハンヴィー◆407173e6 ID:917084fa 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/08/06 00:21
 シェズナ山脈のレーダーサイト群の破壊により、大陸に取り残されていた地上部隊は無事にノースポイントへの撤退を完了した。
 これらの地上部隊は、後々行われる大陸上陸作戦の基幹戦力となるべく、ノースポイントで目下再編の真っ最中だ。
 ISAFの次の一手だが、エルジア軍の動きが確認できていないため、まだ決定していない。
 海空軍のCOMINT機やELINT機が頻繁にエルジア軍の通信や信号を傍受しているが、めぼしい情報は得られていないらしい。
 詰まるところ、こちらから攻勢に出るには程遠い状態で、結局は敵の出方に合わせてその都度対応するという戦術を取らざるを得ないのが実情だ。
 エルジア軍の沈黙は不気味ではあったが、その間にこちらも戦力の整備と増強に努めていた。
 閉鎖されていた機体の生産ラインもようやく復旧し、海空軍ともに新型機の配備が進められていた。
 俺達の空母航空団も例外ではなく、F/A-18Cホーネットの配備が開始された。
 F/A-18は空軍のF-16が高価なF-15を補完する目的で作られたように、F-14を補完しつつA-6やA-7の代替を兼ねる目的で作られた戦闘攻撃機だが、現在では各国海軍で主力戦闘攻撃機として活躍している。
 兵器搭載量の少なさと航続距離の短さが難点だが、F-4やF-8に比べれば性能は格段に上だ。
 といっても、配備されるのは俺の所属するヘイロー隊では無く、レイピア隊とオメガ隊に対してだ。
 この2隊がF/A-18Cの受領を受けたのは理由があり、開戦当初から戦い抜いてきたベテランぞろいの精鋭飛行隊であるということと、両飛行隊共に戦前はF/A-18Cを運用していた飛行隊だったため、機種転換訓練が短期間で済むからだ。
第一、こちらの隊に配備されたとしても、F/A-18Cは単座機なので、後ろのやつが余ってしまう。

「いいなあ、新型。格納庫の機体見たか? ロールアウトしたばっかだぜ。タッチアップ(汚れ)も無かったし」

 モノグラムが溜息交じりにぼやいた。新型が配備されると聞いて真っ先に狂喜乱舞したこの男、配備先がレイピア隊とオメガ隊のみと知り、さっきからずっとこの調子なのだ。いい加減、鬱陶しくなってきた。

「まあまあ。そのうち、こっちにも回ってくるさ」
「そのうちっていつだ?」
「そのうちはそのうちだよ」

 俺達ヘイロー隊にも、新型機が配備される予定らしいが、機種は未定だ。おそらく複座のF/A-18Dあたりが妥当なところだろう。

「けっ。その前に戦死するかもな」
「嫌なこと言うなよ、兄弟」

 ピットが緩い口調でモノグラムを宥める。こんなやり取りを、さっきから何度も繰り返していた。
 ちなみに、俺達3人が今居るのは艦内の自室だ。限られたスペースしかない軍艦内では、少尉のような下級士官に個室なんて贅沢なものは無い。
 俺とモノグラム、ピットは4人部屋を3人で使用しているのだ。
 しかし、俺の相棒ツイキ少尉殿はウェーブ(女性兵士)と言うこともあって個室を使用している。差別だ。
 そうやって下らない会話をつづけていると、不意にドアがノックされた。
 ドアを開けるために席を立つ俺。
だが扉を開こうとした矢先に勝手にドアが開いた。

「お前ら、まだ部屋にいたのか」

 ノックの主はツイキだった。

「どうかしたのか?」

 俺が尋ねると、ツイキは眉根を寄せた。

「さっきの艦内放送を聞いていなかったのか。すぐにブリーフィングルームに集合だ」





「全員そろったようだな。それではブリーフィングを始める」

 俺達がブリーフィングルームに入室した直後、CAGが一同を見渡し言った。
 どうやら俺達が最後だったらしい。ツイキとCAGの咎めるような視線が痛い。

「エルジア軍の動きが判明した」

 CAGが端末を操作すると、正面のスクリーンにユージア大陸東部の地図が表示された。青と赤に色分けされており、青はISAFの支配地域、赤はエルジアの支配地域となっている。

「我が軍の電子偵察機の得た情報を統合した結果、エルジア軍はコンベース港に停泊中のエイギル艦隊の出港準備を進めている事が明らかになった」

 エルジア海軍の中でも最精鋭と謳われるエイギル艦隊は、戦艦タナガーを旗艦とし、空母ジオフォンをはじめ、イージス艦を含む多数のミサイル駆逐艦、攻撃型原子力潜水艦、その他補助艦艇を擁する機動打撃艦隊だ。開戦当初からISAF海軍を圧倒し、こちらの艦艇を多数漁礁に変えてきた。その結果ついた名前が無敵艦隊だ。
 CAGの概要説明によると、エルジア軍は、エイギル艦隊の出航準備のため大量の戦略物資と緊急展開部隊の大規模な空輸作戦を行うというのだ。
 もしこれを見過ごしてしまえば、補給の完了したエイギル艦隊が出撃することとなり、海上戦力で劣るISAFの敗北は決定的なものとなってしまう。

「諸君の今回の任務は、この輸送機部隊を捕捉・撃滅し、我々が如何に容易にこれらを撃墜できるかを連中に教育してやることだ」

 スクリーンに表示されたエルジア空軍の輸送機飛行予想ルートは、エイギル艦隊が停泊するコンベース港北西空域となっており、現在ISAFが制空圏を確保している地域とは比較的近接している。
 本来であれば内陸部の安全な空域を飛行させるはずなのだが、余程切羽詰まっているのか、それともこちらが手を出すことなど無いと高をくくっているのか。是非とも後者であって欲しいところなのだが。
 
「なお、敵もリスクは十分に承知しているようで、電子戦機を随伴させているようだ」

 CAGが端末を操作すると、そこには1機の航空機の映像が現れた。
 Su-24フェンサー戦闘攻撃機の電子戦型Su-24MPだった。

「ECMによる電波妨害が予想される。これらの電子戦機を優先的に排除し、作戦を有利に進めてほしい」
「こちらの電子戦機は使えないんですか?」

 オメガ隊の隊員が声を発した。あれは確か、オメガ11だったか。

「EA-6Bプラウラー電子戦機を装備する飛行隊がロンディワルに配属される予定だったが、機材の調整に手間取っており、残念ながら、本作戦には間に合わない」

 ブリーフィングルームに落胆の声が広がっていく。敵の眼つぶしに対抗する手段が無いのだからそれも当然だ。

「空軍の電子戦機EF-111Aレイブンが随伴することになっているが、これも機数が足りず、あくまで空軍のサポート主体となるので、こちらへの支援は期待できない」
「ということは、今回の作戦は空軍がメインということで、我々は空軍のサポートに徹すれば良いのでしょうか」

 今度の質問は、俺の隣に座っているツイキからのものだった。

「うむ……実はだな……」

 CAGが珍しく言葉を濁した。

「今回は前回同様、表向きは空軍との共同作戦となっているんだが、どちらも独立した指揮系統で作戦に当たることになっているのだ」

 歯切れの悪いCAGの言葉に、ツイキは僅かに眉根を寄せた。

「それはつまり、我々海軍は海軍、空軍は空軍で勝手にやる、ということなんでしょうか?」
「結論からいえばそう言うことになる」

 CAGは苦虫を噛み潰したような表情でうなずいた。またしても上層部でいざこざがあったのだろう。これではまるっきり寄せ集め軍隊でしかない。
 ISAFがエルジア軍相手に敗北を重ね、こんな窮状に追い込まれているのも、意思決定や命令系統が統一されていなかったことが原因だということを上層部の連中は未だに理解できていないのだろうか。

「実質的には空軍がメインとなる作戦だ。ツイキ少尉の言うとおり、我々は空軍のサポートととして、戦況を見て臨機に対応することになるだろう」

 やはり、行き当たりばったりということらしい。サポートをするにしても、端から連携などは考えられていないということなのだ。作戦も何もあったものではない。もっとも、それはCAGに言っても仕方のないことではあるが。
 あまり実りがあるとは思えないブリーフィングが終わり、俺たちは出撃の準備に取り掛かる。搭乗する機体は、もちろん今まで通りF-4SファントムⅡだ。
 完全な空対空任務のため、装備は機体真下のガロンタンク1本とAIM-7Fスパロー4本+AIM9Lサイドワインダー4本の空対空ミサイルフル装備形態だ。
 空軍がどのように行動するかで変わってくるが、大まかな戦術としては、F/A-18Cに更新されたレイピア・オメガの2隊が制空任務を担当し、ヴァイパー隊と俺たちヘイロー隊が鈍重な輸送機撃墜を担当することとなる。
 発艦した俺たちは、いくつかのウェイポイントを通過し、空中給油機との会合ポイントで、空軍飛行隊と合流した。
 生産ラインの復旧は空軍のほうが早かったらしく、F-4やJ35のような旧式機は姿を消し、F-16やミラージュ2000などに置き換わっているようだった。

「畜生。エアボーイ共は景気がいいな。妬ましい。妬ましいわ」
「ヘイロー3、私語を慎め!」

 まだ言っているのか、こいつは。しかも、なんでオカマ口調なんだよ。気持ち悪い。

「ん、あれは……」

 遠方に特徴的な航空機が見えた。旅客機の背中に、円形のばかでかいロートレドームを背負った機体だ。

「空軍のE-767か……」
「AWACSまで引っ張り出してきたか」

 重要な作戦ではあるが、それだけに空軍の本気度を窺い知ることが出来た。

「どうせ、空軍機の管制しかしないんだろ」
「おそらくな。AWACSが作戦に参加すること自体、聞いていないしな」

 機内通話でツイキとそんな話をしていると、ハードラックより通信が入った。

「ハードラックより全機へ。空軍のAWACSコールサイン『スカイアイ』から通信が入った」

 その通信におしゃべりを止め、内容に耳を傾ける。

「あくまで空軍機が優先だが、敵機の位置情報をハードラックを通してこちらのデータリンクに転送する、とのことだ」

 ヒュー、と誰かが口笛を吹いたのが、通信機越しに聞こえた。

「へえ。エアボーイどもも粋なことをするじゃないか」
「もうひとつ。空軍のEF-111Aを1機こちらに回すそうだ。敵のECMに対するECCM(対電子妨害)に従事するため、満足な支援は出来んだろうが、有効に活用してくれ。以上だ」
「そいつは助かる。礼を言っておいてくれ」

 レイピア1が上機嫌で応じた。
 もしかしたら、空軍の連中も、上層部のイザコザに辟易しているのかもしれない。

「ハードラックより各機。スカイアイからのデータリンク転送を開始する」

 空軍のAWACSスカイアイの捕捉したエルジア空軍輸送機編隊の位置情報が、こちらの戦術ディスプレイに表示される。護衛機は輸送機編隊を囲むようにして護衛にあたっているようだ。

「エルジア軍もAWACSか、それに類する早期警戒機を随伴させているようだな」

 ツイキの言葉に戦術ディスプレイを注視すると、敵護衛機の編隊がこちらを阻止するような動きをしている事に気付いた。よほど積み荷が重要なのだろう。念入りな事だ。そのおかげで、奇襲が不可能となったわけだから、状況はイーブンとなったわけだ。
 敵護衛機の動きに対し、空軍機が迎え撃つように展開する。

「空軍がエルジア軍と交戦に入った。レイピア・オメガは輸送機の直掩機を始末しろ。ヘイロー・ヴァイパーは……輸……と電…戦機を……し……」

 雑音とともに、ハードラックからの通信が途切れがちになる。レーダーディスプレイに目を落とすと、無数の光点に埋め尽くされ、使い物にならなくなっていた。エルジア軍のジャミングが始まったようだ。
 すぐさまこちらの電子戦機――EF-111AのECCMにより、途切れがちだがった通信とレーダーの表示が瞬時に回復するが、そこへまたエルジア軍電子戦機によるジャミングが始まる。それに対し、EF-111Aが更にECCMを行うといった形でいたちごっこの様相を呈してしまい、入手できる情報が非常に断片的になってしまっていた。それでも対抗策が全く無い状態に比べれば遥かにマシではあるが。
 俺たちヘイロー隊は、途切れがちになるハードラックからの指示に従い、輸送機編隊または電子戦機の捜索に入った。
 俺たちは隊を二つに割り、ヘイロー1とモノグラム・ピットの操るヘイロー3は輸送機の捜索を、ヘイロー2と俺とツイキのヘイロー4が電子戦機の捜索を開始した。
 EF-111Aは懸命にECCMを行っているが、空軍の分と合わせてもたった2機でそれを行っているのだから、おのずと限界がある。戦闘空域自体も広い。
 結局は俺たち自身の目に頼るしかない。
 なにしろ、こっちには二人乗っているわけだから、目が4つある。この点に関しては単座機に比べて有利だ。

「タリホ―。2オクロック、エンジェル25。フェンサーMP」

 ツイキが抑揚のない声で告げた。言われた方向に目を向けると、高空を飛行する航空機らしきものが目に入った。
 向こうのほうもこちらに気づいたらしく、すぐさま退避行動に移ろうとしていた。時間をかけ過ぎると友軍が引きつけている護衛機が戻ってくるので、早急に始末しなければならない。
 俺達は二手に分かれ、ヘイロー2と挟み込むように機動する。ジャミングの効果と最低射程ギリギリのため、命中するかどうか微妙な所だったが、俺はAIM-7Fスパローを使用すべく、レーダーロックをかけた。

「ヘイロー4、フォックス1!」

 HUD上に表示される円環に敵機を収め、ミサイルの誘導に入った。ジャミングの影響で、発射母機からの指令誘導が途切れがちになり、残念ながら、俺の放ったスパローは、命中しなかった。
 しかし、近接信管が作動したことで、敵に損害を与えたらしく、ジャミングがクリアになった。
 電子機器のみならず、操縦系統もオシャカになったのか、パイロットとECMO(電子妨害士官)が脱出し、パラシュートが開傘するのが見えた。機体はそのまま飛び続けていたが、継戦能力を無くした機体にミサイルを使うのも勿体ない。撃墜数にこだわる趣味は無いので、すぐに次の目標を探すことにした。
 ジャミングの一部がクリアになったことで、レーダーの機能がある程度回復した。これで、空軍の電子戦機の負担も減るだろう。
 友軍――とりわけ、俺たち海軍に先駆けて新型機を受領している空軍の働きは凄まじく、こちらが2機目の電子戦機を始末する頃には、戦闘の趨勢はほぼ決していた。
 何より大きかったのは、エルジア軍輸送機の何機かを捕獲したことだった。護衛機が壊走した後では、こちらの指示に従わざるを得ず、空軍のエスコートにより、エルジア軍輸送機編隊は、リグリー飛行場に引率されていった。
 コンベース港に輸送するはずだった物資は、ISAFで有難く使わせてもらおう。

「任務完了だ。みんな良くやってくれた。全機帰還せよ。ああ、それと」

 帰還のために返信する俺たちに、ハードラックはやや笑みを含んだ声で続けた。

「空軍から入電だ。『敵電子戦機の迅速な排除に感謝する。いずれまた次の戦場で』以上だ」

 お決まりの定型文ではあったが、まあ、悪い気はしなかった。こちらもAWACSのデータリンクを共有させてもらったり、電子戦機をまわしてもらったのだから、お互い様といったところだろう。
 出来れば、次の作戦で協同する際は、上層部のくだらない縄張り争いに足を引っ張られないことを願いたいものだ。


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