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No.33975の一覧
[0] IS インフィニット・ストラトス Another Story [こ~すけ](2012/07/08 21:14)
[1] IS インフィニット・ストラトス Another Story  プロローグ[こ~すけ](2012/07/09 13:28)
[2] IS インフィニット・ストラトス Another Story 第一章 金色のIS 一話[こ~すけ](2012/07/08 21:12)
[3] IS インフィニット・ストラトス Another Story 第一章 金色のIS 二話[こ~すけ](2012/07/08 21:22)
[4] IS インフィニット・ストラトス Another Story 第一章 金色のIS 三話[こ~すけ](2012/07/08 21:29)
[5] IS インフィニット・ストラトス Another Story 第一章 金色のIS 四話[こ~すけ](2012/07/09 13:57)
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[33975] IS インフィニット・ストラトス Another Story 第一章 金色のIS 四話
Name: こ~すけ◆40d250da ID:043ed5ce 前を表示する
Date: 2012/07/09 13:57
昼休み、四時間目の実習が終了し、いつものメンバーは学食で昼食をとっていた。しかし箸がいっこうに進まない。その理由は明らかだ。
先ほどの授業の内容であるISの空中制動、まさにIS操縦の初歩の初歩であるこの授業を、こともあろうに専用機持ち全員が見学という憂き目にあったからだ。一般の学生たちが代わる代わる空を飛び訓練する中、各国の代表候補生たちが地面に張り付いてお手伝いに奔走していたのだから泣けてくるのもうなずける。
ひとしきり沈黙が続いた後、一夏がぽつりと呟く。

「強かったな…」

その一言を境に全員が先ほどの戦いの感想を述べていく。

「なんなのよ!あいつ!あたしの龍砲が当たったと思ったのに!どうやってあれだけの爆発をいきなり起こしたのよ!」

我慢の限界だとばかりに鈴が口を開いた。

「あれは私も不思議だった。やつの機体にはミサイルなどの実弾系の装備はないように思えた。いったいどうやって…」

「ラウラさんでも分からないんですの?…しかしあの機動性も異常でしたわ!わたくしの華麗なる狙撃をいとも簡単に外されましたもの…」

「確かにすごかったね!僕もあれだけ避けられたのは記憶にないよ」

「…私は遠目から見ていただけだったが、機体性能だけでなく操縦者の腕もかなりのものだったと思う」

一人は喋りだすと歯止めが利かなくなるは十代の男女問わず至極当たり前のことで、答えのでない会話が続く。
そこで一夏が大きな声を出した。

「いいことを思いついた。なぁみんな!今日の夜、俺の部屋で雄介の歓迎会をやらないか?さっき千冬姉に聞いたんだけど雄介も俺と同じ部屋みたいだからさ。うまくいけばあいつのISのこととか今日の戦闘のこととかいろいろ教えてくれるかもしれないぜ!」

これこそ最高の結論だとばかりに一夏が目を輝かす。
 しかし、みんなの反応は鈍かった。

「いや、でも…」

「それは~さすがに…」

「気まずいというか…」

「そもそも私は戦ってもいないし…」

鈴、セシリア、シャルロット、箒の順番で次々と弱音が出てくる。…ただ一人を除いては、

「いいだろう。私も軍人としてあいつに興味を持った。今日の戦いについては一度やつと語りたかったのだ。それに…」

そこまで強気で言ったあと、ラウラはいきなり声を小さくして上目づかいで一夏を見る。その頬はほんのり赤みがさしていた。

「そ、それに私の嫁がせっかく部屋に招待してくれたのだ!応じなければ失礼だろう!」

椅子から立ち上がりビシッと一夏を指さし言ってのける。

「あ、ありがとな。ラウラ」

突然暴走気味の発言をしだしたラウラに狼狽しながら一夏が答える。

「当然だ。分かればよいのだ、分かれば」

ラウラは満足気に椅子に座りなおす。
しかし、この時他の四人には銃弾を撃ち込まれたような衝撃が走っていた。

(しっ、しまった!せっかくの一夏の提案を!)

(これではラウラさんに先を越されてしまいますわ!)

(僕のバカ、僕のバカ、僕のバカ~)

(戦ってないからこそ積極的に行くべきだったのに!)

またしても鈴、セシリア、シャルロット、箒の順番である。
焦る四人の心境に一夏はまったく気づかず、

「結局来るのはラウラだけか~。三人だけどまぁしかたないよな」

その一言が出た瞬間、

「私も行こう!」

「わたくしも参りますわ!」

「あたしも行く!」

「ぼ、僕も行くよ!」

と四人同時に答える。

「どうしたんだ?四人とも。無理しなくていいんだぞ?」

「「「「無理じゃない!」」」」

またしても同時だった。

「そ、そうか。まぁみんな来る気になってよかったよ!なぁラウラ?」

「ちっ!」

ラウラはすごく嫌そうな顔をする。

「今あんた舌打ちしたわね!」

ラウラの舌打ちに鈴が食ってかかる。

「当たり前だ!…せっかく一夏を独占するチャンスを」

ラウラの言葉の最後の方は聞き取れなかったがなにやら険悪になりそうな雰囲気を感じた一夏が止めに入る。

「まぁまぁ、とにかく今日の九時に俺の部屋な!」

提示された時間を聞き、五人は各々返事をする。
…だがこの時、一夏はこの提案の致命的な欠点に気付いていなかった。


  ◇


「…嫌だ」

「なんで!?」

五時間目開始直前、つまり昼休み終了間際、一夏の提案は雄介に五秒で断られていた。

「なんで俺がわざわざISの性能まで丁寧に教えてやらないとダメなんだ?」

「そう言うなよ。みんな雄介の歓迎会をしたいって言ってくれてるんだから」

「当の本人がいらないと言っているんだが」

「う…」

そう、致命的な欠点とはまったく雄介の意志を反映せずに話を進めまくってしまったことである。

(このままじゃ部屋に箒たちが来るだけでかなり気まずい雰囲気になってしまう…)

それはまずいともう一度交渉をしようとした一夏だったが、それは授業開始のチャイムと千冬の登場によって阻まれる。

「織斑、なにを突っ立っている。早く席に着け」

「は、はい!」

雄介の了解を得られないまま、五時間目が始まってしまった。


  ◇


五時間目も残りわずかとなった。例の問題を抱えたまま授業に突入してしまったおかげでまったく集中できず、千冬に三回ほど出席簿をくらうことになった。

(とりあえずこの後のSHRが終わった瞬間もう一度交渉開始だ!なんとしても歓迎会を開催してみせる!自分の身の安全のためにも!)

一夏は雄介の了解を得られないまま箒たちが来た時の光景を思い浮かべて身震いする。
しかし実際のところは歓迎会がなくても一夏の部屋に行けるので箒たちからすれば問題はないのだが。
そんな一夏の状況を救ってくれたのは思わぬ人物だった。
五時間目終了のチャイムが鳴る。いつも通りの手順で終了のあいさつを行った直後、千冬が言う。

「一年生の専用機持ちはSHRが終了後、第三アリーナに集合だ。…あと篠ノ之、お前もだ。分かったな?よし、このままSHRを始めるぞ」

それだけ言うと、千冬は一夏たちの返事も待たずにSHRを開始する。

(思惑は崩れたけど専用機持ちで集まるならまだ勝機はある。絶対了解を得るぞ。…ところで専用機持ちの集会ってなんだろうな?)

一夏は頭の中で少し思案したがその答えは分からなかった。


  ◇


放課後、第三アリーナのコントロールルームに専用機持ち+箒が集合していた。
全員の集合を確認し千冬が言葉を発する。

「全員そろったな。今日、お前たちに集まってもらったのは以前よりこのIS学園の運営側より要望があった新制度の適用に目途が立ったからだ」

「新制度の適用?いったいどんな制度ですの?」

「それを今から説明する。まずこの映像を見てくれ」

千冬が手元のパネルを操作すると大型のモニターに映像が映し出される。一つの画面を分割し、それぞれ異なる映像が流れている。

「これは!」

「右の画面の方ってクラス対抗戦の時に乱入してきた無人のISをあたしと一夏で倒した時の映像じゃない!」

「鈴さん!その時はわたくしもいましたわよ!…まぁいいですわ。それでそちらの左の映像は…」

「僕と一夏が映ってる。これこの前の学年別トーナメントの時だよ!それにあれは…」

「VTシステム!」

「でも、これがなんだってんだ?」

当然の疑問を一夏が問いかける。

「本当は重要機密事項なんだがな。新制度の実施によって関係者への一部情報の開示が決定された。…これが新制度が実施される大きな要因だ」

千冬はそこで一度言葉を切り、全員の顔を見回す。

「今年の新入生は例年とは大きくことなる点が二つある。一つ目が、専用機持ちの集中だ。現在、他学年の専用機持ちの数は三年生が一人、二年生に二人だ。だが、一年生にはすでに六人もの専用機持ちが存在している。例年から考えると異常な集中具合だ。それに所属国家を持たないやつもいることだしな」

最後の一言に全員が一夏に視線を向ける。

「ちょ、俺のことはいいから。それで二つ目っていうのは?」

「二つ目はこれだ」

千冬は後ろ手にモニターを指さす。

「これまでのIS学園では、このような外部からの干渉は当然だがなかった。それに、このどちらも一歩間違えば死人が出ていた」

死人という単語に幾人かの顔がこわばる。

「さらに問題になったのがこのどちらにも深く関わったのが一年の専用機持ちだったということだ。…各国からすれば優秀な人材と保有ISを失うこととなっていたかもしれない事態だ。これは、大きく見れば世界規模の損失にもなりかねない。だからこそ、要望として有事の際の自己防衛手段の向上が必須だという決定が下された。それが新制度の成立の過程だ」

映像と新制度との関連の謎が解け、うなずく専用機持ちの面々。
千冬はさらに言葉をつなげる。

「さて、新制度の内容であるが簡単に言う。一年生の専用機持ちで一つの部隊を設立することだ」

「…え?」

さらりと発せられた一言に一夏たちの動きが止まる。

「部隊の設立?」
「そうだ。予期できない敵に対して個人単位で戦うより部隊単位で戦った方が全員の生存率が上がるのは必然だ。よって、一年生の専用機持ちのみを集めた私設特別部隊の設立が決定した。各国代表の許可も得ている。問題はない」

千冬の説明に一夏がうなずく。

「確かに考えてみればそれって当然だよな。自分たちの身を守るのにみんなで協力するのはさ」

そう言って周りのメンバーを見渡す。

「そうですわね。実際、以前の事件でもわたくしと一夏さんの連携で勝てたようなものですし」

「こらあ!あたしを無視すんな!あんた目がついてないんじゃないの!?」

セシリアと鈴がにらみ合って、威嚇しあう。
それを流してラウラが千冬に尋ねる。

「部隊の設立というのは興味深いですが、指揮権等は誰が掌握するのですか?」

「事件発生時、全体の指揮を執るのは私が行う」

「部隊単位では?」

続けてラウラが聞く。

「部隊単位での指揮…つまり部隊長だが、山神に任せる。いいな?山神」

「…俺、ですか?」

「今日の模擬戦の動きを見せてもらった。この中では間違いなくエースだ。他のみんなも異論はないだろう」

専用機持ちのメンバーはその言葉に全員うなずく。
それを見た雄介はため息を一つついた後、

「あの模擬戦の意図はこのためにあったんですね。おかしいと思っていましたが…。分かりました、隊長を引き受けます。…断っても無駄でしょうから」

「よく分かっているじゃないか」

千冬はニヤリと笑う。

「だいたい分かりますよ。…それよりこの部隊の部隊名は?名無しの部隊(ロストネームズ)でも構いませんが」

「いや、名はある。部隊名はホープだ」

千冬が出した名前を聞き、雄介は微笑む。

「『希望(ホープ)』ですか。…いい名前ですね。たしかに代表候補生は国家の希望ではある」

「それだけではない。お前たちは世界の希望でもある」

そう言った千冬が雄介たちに普段は見せない優しい表情を向ける。

「ホープ隊か!いい名前だよな。だけどちょっと照れるな」

「僕も気に入ったよ!これから頑張ろうね一夏!」

いつの間にか一夏の隣に移動したシャルロットが一夏と親しげに会話する。

「ちょっとシャルロット!抜け駆けは許さないわよ!」

「そうですわ!シャルロットさん!」

先ほどまでいがみ合っていた二人が今度は同盟し、一夏とシャルロットの間に割って入る。その様子を見ていた一夏の腕を反対側からラウラが引っ張る。

「一夏、これからは私の嫁として恥ずかしくないように部隊連携をみっちり叩き込んでやるからな。ありがたく思え」

「あぁ、よろしく頼むよ。ラウラ」

「うむ、任せろ」

一夏の素直な返事を聞きラウラは少し顔を赤らめる。

「ちょっとラウラ!あんたも抜け駆けすんな!」

「違うな、抜け駆けではない。夫婦のコミュニケーションを取っていたのだ」

「…夫婦ですって!どの口が言ってんのよ!どの口が!」

「織斑先生!質問があります!」

一夏を巡って再び荒れてきた場に混ざらず、ずっと沈黙を貫いてきた箒が言葉を発する。

「なぜ私は呼ばれたのでしょうか?私は専用機を持っていない。この場にはふさわしくないはずです」

「箒…お前」

一人話の中に入れず、悔しそうな表情を浮かべた箒を見て一夏たちも我に返る。

「…理由を言ってください」

「理由はお前が篠ノ之束の妹だからだ。行方不明の天才科学者の肉親だ。言い様によっては最も重要な保護対象でもある」

「…それだけですか?ただ姉さんの妹だからというだけ?私は守られるだけですか!?」

箒は声を荒げて千冬にくってかかる。そんな箒を一夏が止めに入る。

「よせ箒!千冬姉もちょっと言葉を選べよ!こいつが束さんのことどう思ってるか知ってるだろ」

「離せ一夏!離せ!」

掴まれた腕を振り切ろうと箒は体を激しくよじる。

「学園では織斑先生と呼べ。…それと篠ノ之、私に怒るのは勝手だが今は本当にそれしか理由がないのだ。昼間も言ったがお前の次第で状況はどうにでもなる」

その言葉を聞き、暴れていた箒がおとなしくなる。そして少しの逡巡の後、

「…分かりました。私は守られるだけでいたくない」

なにかを決意した表情で千冬に言う。

「…よし、とりあえず篠ノ之は仮隊員として扱う。それでいいな?」

その質問に箒がうなずく。

「さて、今日の要件はここまでだ。山神、隊のことは基本的には任せる。ただ方針が決まったら連絡しろ」

「分かりました」

「では解散」

そう言って千冬はコントロールルームから出ていく。残された雄介たちの間に微妙な空気が流れる。その原因は箒の一件だというのは明白だった。

「あんまり気にするなよ箒、あれは千冬姉の言い方が悪かっただけだ」

「大丈夫だよ一夏。私は大丈夫だ」

落ち込む箒に釣られてみんなの雰囲気も低下していく。それを見た雄介がため息をつき、

「一夏、今日の九時だったな?」

「は?」

突然の雄介の質問に一夏は反応できない。

「だから。俺の歓迎会だとかいうやつだ。九時からだったな?」

「その予定だったけど当の本人が嫌だって言ってるしな」

「…その当の本人がやろうと言ってるんだが?」

「…え。えぇ!本当か?いいのか?」

やっと言葉の意味が理解できた一夏が大声をあげる。

「状況が変わったからな。やる代わりに同時に第一回の部隊ミーティングも兼ねさせてもらう」

「いいぜ!そっちの方がよっぽどいい!部隊の懇親会もしよう」

「そういうことだ。よって隊員は全員参加だ。…もちろん仮隊員もだ」

そう言って雄介は箒に視線を向ける。

「あ…」

一夏はその一言で雄介の意図に気付く。

「楽しくやろう。これからは俺たちは同じチームなんだからな」

優しく笑いかけてくる雄介に箒の顔は赤くなる。一夏以外からあまり向けられたことのない異性からの笑顔を見せられ、答え方が分からず返事ができない。

「そういうことだ。俺は先に戻るよ。一夏、後の段取りは頼む」

「分かった。任せといてくれ」

雄介は軽く手を挙げて出て行ってしまう。箒は最後まで言葉が発せず、モヤモヤした気持ちのまま九時までの時間を過ごすこととなってしまった。



あとがき

こんにちは、こ~すけです。
まず初めに、よっきゅんさん、ほにゃさん、文章量に関するご指摘ありがとうございます。非常に助かりました。今後は気を付けます。
また、本文で指摘のあった誤字も修正いたしました。

今後も感想、評価等よろしくお願いします。
では、また次回。


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