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No.33815の一覧
[0] 0組の使い魔 (ゼロの使い魔 × ファイナルファンタジー零式)[朱ノトリ](2012/08/18 03:39)
[1] プロローグ[朱ノトリ](2012/07/07 03:48)
[2] 第一章 0組、彼の地で目覚める その1[朱ノトリ](2012/07/08 02:48)
[3] 第一章 0組、彼の地で目覚める その2[朱ノトリ](2012/07/09 02:38)
[4] 第一章 0組、彼の地で目覚める その3[朱ノトリ](2012/07/14 06:32)
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[33815] 第一章 0組、彼の地で目覚める その2
Name: 朱ノトリ◆01245b45 ID:a1a580d1 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/07/09 02:38
再び闇の中。

闇というものはやはり暗く、冷たく、寂しい。
仲間が側にいるのだと分かっていても、それは変わらなかった。


「……………………!!」


ふと、誰かの声がエースの耳に入って来た。
誰の声なのか、どんなことを言ったのかは分からない。
だが、何となく聞き覚えがあるような声であった。

(……誰……だ?)

エースは心の中で問い掛ける。
返答は無い。

「……………………!!」

再び誰かの声。
その声の主はエースへ、いや0組の皆へと向けて何かを言っているようであった。

「……………………!!」

新たに声が聞こえる。
今度は先程の誰かとは別の声であった。

「……………………!!」
「……………………!!」

声は重なり合い、増幅される。
だが、言葉の内容はやはり聞き取れない。

何となくだが、二つの声は0組のことを呼んでいるように思える。

(誰……なん……だ……?)

誰かは分からぬ声。
だが、何故か懐かしさを強く感じる。

きっと、知っている人間の声なのだろう。
だけど思い出せない。
ということは、死んでしまったのであろうか。

エースたちは、クリスタルの加護により死者の記憶を失う。
先程から呼び続ける声は、エースたちの記憶から消えてしまった者たちなのだろうか。

(いや……違う!)

(この声は……)

(そう、この声は……!!)




………………………





「…………………」

次にエースが見たのは、白い光であった。
正確には部屋の天井の色である。

「……ここ、は?」

エースが呟いた。
先程まで何か夢を見ていた気もするが、その内容をあまり思い出せない。
だが、眠る前に何処かへ運ばれるというような会話を聞いたことはおぼろげながら覚えていた。
身の回りを確かめると、どうやら簡単なベッドらしきものの上にいるようである。
体にシーツが一枚だけかけられている。

「ようやく起きましたね」

そうエースへ声を掛けたのはデュースであった。
彼女だけでなく、エース以外の0組は皆目を覚まし、体を起こしている。

「エースはこんな時もお寝坊さんなんだね~」

シンクがそうエースをからかった。
そんなやり取りさえ、何だか懐かしいように感じる。

「皆……無事か?」

誰のことも忘れてはいないから、全員生きているのだということは分かっていた。
しかし、一応エースは尋ねる。
すると、ジャックがいつものようにニコニコしながら答えた。

「ぜ~んぜん!体のあちこちから悲鳴が聞こえてくるよ~『たすけてー』ってさあ。アハハハ!」
「……だが、それで死ぬということはないみたいだ」

エイトが付け加えるように言った。
エースも含めて彼らの肉体は傷付いたままで、相変わらず満足に動けないでいる。
しかし、怪我は致命傷にまでは達しておらず、取り敢えず今のところ命に別状はないようであった。
それを確認して一先ず安心すると、次に自分たちの現状が気になる。

「僕らに一体……何が起きたんだ?そもそも、ここは何処なんだ?」

先程のことを思い返してみる。
息を吹き返し、意識を取り戻した時、エースたちは多数の人間に囲まれていた。
殆どが同年代かエースたちより若干幼いくらいの少年少女で、その中に一人だけ中年の男がいた。

人物以外で僅かに見えた風景を思い出すと、魔導院と似たような建物があったような気がする。
ということは、自分たちは朱雀領の何処かへと何らかの力が働いて飛ばされて来てしまったのだろうか。
だが、そんなことは有り得ない。
エースたちのいた朱雀領……いや、オリエンス大陸全体が、フィニスの刻により、ほぼ壊滅しかけていた。
ルルサスの騎士たちの蹂躙により、世界は血のような赤に染められていた。

しかし、先程見た風景を思い出すと、そんな様子は微塵も感じられない。
世界は赤くないし、今いるこの建物も古くはあるが、何処も破壊されてはおらず、無事である。
これらのことから、今いる場所が朱雀領……いや、そもそもオリエンス大陸ですらないということは、ほぼ間違いないだろう。

「ふむ……」

トレイが口元に手を当てて考え込む。

「……恐らくここは先程見えた魔導院のような建物の中なのでしょう。そして私たちを囲んでいた彼らは、そこの訓練生……といったところでしょうか?」

トレイがそう自分の考えを皆へ告げると、ケイトが一番に反応した。

「……ってことは、ここはオリエンス大陸の何処かってワケ?……アタシの記憶が正しければ、オリエンス大陸は何処もかしこも滅茶苦茶になってたと思うんだケド」
「ええ……。もしかするとここは未知の大陸なのかも知れません」
「未知の……大陸?」

セブンが聞き返すと、トレイは頷く。

「……私としては、自分の理解が及ばないことをすぐに未知のものとしてしまうことには抵抗があります。しかし、あまりにも我々の知る状況と今が違い過ぎるのを目の当たりにしてしまった以上は、そう考えるのが至極普通の思考だと思います」
「ったく、イチイチ回りくどいねえ。分からなきゃ分からないって言えばいいだろ?まどろっこしい」

そう苦言を呈したのはサイスであった。
元々イラつきやすい性格ではあるが、今イラついているのは自分たちの置かれた状況が理解しづらいというのもあるのだろう。
サイスに限らず、トレイも他の皆も多かれ少なかれ不安を感じているようである。

「……そんなことより、もっと考えるべきことがあるだろう」

そんな中、キングが口を開いた。

「俺たちは、何故『生きて』いる?」

誰もが思いながらも口にしなかったその疑問をキングは敢えて尋ねた。

「……それこそ、未知ですね。悔しいですが、理由の見当もつきません」

と、残念そうにトレイは首を振った。

「あ~、きっと私たちが死にたくない死にたくないって願ったから、神様が助けてくれたんだよ~」

そう言ったのはシンクであった。

「神様……ね。今はあまり神とかそういうのはパスしたい心境」

ケイトがうんざりしたような顔で言った。
0組……いや、世界全体がその『神様』の運命とやらによって未曾有の危機へ追いやられてしまったのだ。
ケイトの表情も当然のことであった。

「神様の計らいかどうかというのはともかく、パスしたいというのは賛成だな。私たちが何故生きているのか……その疑問の答えはあまりにも出しようが無さ過ぎる」

セブンがそう言うと、ジャックも同意する。

「そうそう。難しいことはともかく、皆生きているんだから結果オーライ!ってことで今はいいんじゃないかな?」
「でも、いずれは知らなければならないと私は思います。私たちが何故生きているのか、何の為に生かされているのかを」

クイーンはそう言いながら、メガネをカチャリと鳴らした。
そのままこの話題は、ここで一旦終わることとなった。

「……ん~?」

と、シンクが小首を傾げて唸っていた。

「どうしたんだ、シンク?」

何事かと思ったエースが尋ねると、シンクは小首を傾げたまま答えた。

「……そう言えば~、マキナんとレムっちは~?」
「!!」

エースはハッとなる。

その名前。

0組で共に戦った二人。


マキナ・クナギリ
レム・トキミヤ


(……そうだ。あの闇の中から呼び掛けてきた声。あれはマキナとレムじゃないか)

エースは急に先ほどの夢の内容を思い出していた。

二人のことを覚えている。
ということは、二人は生きているという証。
だが、それならば今の今まで思い出せなかったのは何故なのだろうか。


と、その時、扉の開く音が聞こえた。

0組の皆は即座に身構え、視線を扉の方へ向けた。
肉体はボロボロでも、朱雀最強の戦士として身に染みこんでいたものが反応したのである。
扉の方には、中年の男と少女が立っていた。

「……おや?起きていたのかい?」

そう言ったのは、中年の男の方であった。
先程、0組を医務室へ運ぶように指示した男である。

「それならばちょうどいい。実は君たちに会わせなければならない者がいてね。……ミス・ヴァリエールだ」

男がそう言って隣の少女を案内すると、彼女が部屋の中へ入って来る。
ミス・ヴァリエールと呼ばれたその少女を見て、エースは気付いた。

(あの子は……確か)

少女はエースが目を覚まして初めて目にしたあの少女であった。
桃色髪に小柄な体格の少女。

「……いや、しかし君たち全員を運ぶのには骨が折れたよ。最初は医務室に運ぼうかとも思っていたけれど、色々あってね。こんなところに押し込める形になって申し訳ない」

男はそう言って0組の皆へと詫びた。
どうやら、今彼らがいるこの部屋は正式な医務室ではないらしい。

「室内に医者の姿を見かけなかったのはそういうことだったのか」

キングはそう言って、納得する。
しかし、その顔は少し不満げであった。
確かに、見るからに深い傷を負っている彼らを医務室ではない部屋へ運び込んだことは疑問に思われる。
既に医務室が満員であるなどの事情でもあるのだろうか、とエースは思った。

「……こちらには聞きたいことが山ほどある。その子の紹介の前にまずはそれに答えては貰えないだろうか?」

セブンが口を開き、男へそう尋ねた。
男は0組の皆へ会わせたいと少女を連れてきたが、今は彼女よりも現状把握の方が先決である。
セブンも含め、0組の皆はそう考えていた。
すると、男は少女の方をチラリと見ながら答えた。

「……まずは彼女を紹介させてはくれないかね?」
「何故だ?まずは私たちに今何が起きているのかを説明するのが先だろう?」
「それらを説明する為にも、だよ」
「……その子を紹介することが私達に起きたことを説明することになるならば、こちらとしては異論を挟む余地はないな」

セブンはクールな表情の中に少し納得のいっていないといったものを見せていたが、取り敢えずは男の意見に妥協するようであった。

「それは良かった」

その様子を見て、男は安心したようにコクリと頷くと、そのまま話を続ける。

「……そう言えば自己紹介がまだだったね。私はジャン・コルベール。ここトリステイン魔法学院で教師をやっている」

(トリステイン?魔法学院?)

全く聞き覚えのない言葉と多少は聞き覚えのある言葉がコルベールという男の口から彼らの耳に入る。
すぐに問い質したい気持ちはあったが、取り敢えずはコルベールの話を最後まで聞こうと、誰も口を開こうとはしなかった。

「そして彼女は……」
「コルベール先生!自分の名前は自分の口で告げます」

コルベールの言葉を制して、少女はようやく口を開いた。
一歩前へ出ると、0組の皆の方を向き直る。

「……私の名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールよ」

やや間を空けてから少女はそう自身の名前を名乗った。
不機嫌な様子を隠そうともせず、腕を組み胸を反らす。
彼女は少し睨み付けるような目で0組の皆を見回していた。

「オイコラァ!何ガンつけてやがんだチビ?あぁ?」

彼女の態度を見て、直情型のナインが早速反応する。
ナインの歯に衣着せぬ物言いに、ルイズも興奮で顔を紅潮させた。

「何よっ!?」

甘ったるく甲高い声が室内へと響き渡る。

「こっちだってアンタたちみたいな平民なんか、召喚したくなかったんだから!」

不満が爆発した、という感じでルイズは喚き散らした。
売り言葉に買い言葉……といった感じで、ナインもすぐに応戦する。

「んだ、コラァチビ!平民とかワケ分かんねえこと言ってんじゃねえぞコラァ!」
「何よ何よ!平民の癖に!」
「ナイン!」「ミス・ヴァリエール!」

クイーンとコルベールが同時に呼び掛け、言い争う二人を止めた。
呼ばれた二人はそのまま口ごもる。

「ナイン!気持ちは分かりますが感情的に動いていても、何も始まりませんよ」

窘めるようにクイーンは言った。

「でもよぉ……、ったく、わぁーったよ!」

ナインは渋々そう言うと、まるでふてくされた子供のように、そのままベッドへふんぞり返った。

「……ミス・ヴァリエール。君のその苛立ちはよく分かる。だが、ここは一先ず我慢しては貰えないだろうか?」

一方、コルベールも諭すようにルイズの肩へ手を置き、優しい口調で語り掛けている。
ルイズは流石に先程の失言を恥じたのか、少し俯き気味であった。
双方、刀を鞘に納めたところで、コルベールが一つ咳払いをした。

「オホン!……色々と戸惑いがあるのも当然だと思うが、まずは落ち着いて聞いて欲しい。……実は、君たちは召喚されてここへ来たんだ。ここにいるミス・ヴァリエールの手によって」
「しょ、召喚だって!?」

ケイトを始め、何人かが思わず口を開いた。
それ以外の者たちも、声にこそ出さなかったが、皆同じような衝撃を受けていた。
彼らの世界における召喚とは、主に軍神召喚のことであり、その代償は著しく大きい。
軍神召喚は術者の命を奪うのである。
マザーが実験していた術者の命を奪わずに召喚出来る特殊軍神など、例外は確かにあるものの、基本的にはそれが彼らの常識であった。
0組だけはマザーの加護により、召喚を行って戦線を離脱しても復帰は可能であったが、だからといってそう易々と使えるものではない。
故に目の前の少女が召喚した、という事実もそうだが、こうして目の前に健在しているということの方が衝撃としては大きかった。

「おい、マジかよ。そこのチビが俺たちを召喚しやがったのか?」

ナインも思わず飛び起きていた。

「あはは、じゃあわたしたち、シヴァやイフリートと同じだね」
「いや、違うだろ……というか、そう思いたいね」

シンクの冗談混じりの言葉にサイスが若干弱気なツッコミを入れる。
普段強気なサイスでも、流石にこの状況には戸惑いを見せているようであった。
それはサイスだけでなく、他の0組の仲間も同様であったことであろう。

「……君たちが動揺するのは当然だ。何せ、我々も予想だにしなかったことだからね」

意味合いこそ違うものの、0組の動揺は想定済みといった感じでコルベールは続ける。

「本来、召喚されるのは一人につき一体、それも君たちのように平民……いや、人間が喚ばれるということはないのだ」
「つまり、そちら側でも私たちが召喚されたのは想定外。ということなんでしょうか?」

そうデュースが尋ねると、コルベールは頷いた。

「人間が召喚されたこともそうだが、それが複数人ともなると余計にね」
「……仮にオレたちがそこの子に召喚されたとして、その子は一体何の為にオレたちを召喚したんだ?」

エイトがルイズの顔をチラッと見て言った。
もっともな質問である。
大体の場合、一つの行動には何かしらの理由が存在するものなのだから。
彼らの常識の中だと、召喚は主に戦いにおいて使用するものである。
となれば、召喚された理由は少なくともその範囲内である可能性が高い。
0組のメンバーは、皆そう考えていた。

「この度の召喚は試験の一環でね。パートナーとなる使い魔を召喚するという儀式だったんだ。ミス・ヴァリエールは……」
「ちょっ、オイ待てハゲコラ!」

コルベールの説明の途中に、思わずナインが口を挟んだ。
普段ならば、クイーン辺りが注意するのだが、誰もナインを止めはしなかった。
そのくらい、コルベールの一言を聞き捨てならないものだと思っていたのである。

「ハゲ……。……一体何ですかな?」
「オイ、ハゲ。試験って、テストのことか?んなことのために俺らを喚んだのかコラ?」
「え、ええ?」
「それと使い魔って、どういう意味だコラ?使い魔ってアレか?そこのチビのってことかぁ?あぁ!?」

ナインはルイズを指差しながら、チンピラのようにコルベール恫喝した。
その後ろで、人差し指をこめかみに当てたシンクが口を開く。

「使い魔ってことはぁ、つまりぃ、わたしたちがもぐりんみたいになる……ってことなのかなぁ?」
「……モーグリならばまだいい。下手すれば、俺たちは軍用クァールと同じかそれ以下ということかも知れん」

シンクの問い掛けにキングがそう答えた。
彼女の言った”もぐりん”とキングの言った”モーグリ”とは同じものを指し、
それは”Military Operation Organization Guidance/Logistics Expert”の略称である”MOOGLE”のことである。
"Military Operation Guidance"の略で"MOG"と呼ぶ者もいる。
召喚獣の一種で、0組のサポートを主に担当しており、時には本部からの指示を伝えたりもしていた。
0組はその”もぐりん”とは基本的に仲良くやってはいたが、そこはやはり人と召喚獣という関係である。
自分たちが”もぐりん”と同じか、それ以下であるようなことを言われたことで、0組は全員が一瞬で不機嫌になった。

「君たちは何か勘違いをしているようだが、使い魔と一言で言っても、ペットとかそういうことではなく、生涯を共にする唯一無二のパートナーであってだね……」

不穏な空気を察したコルベールがそう言って説明すると、今度はサイスが突っかかった。

「生涯を共にってことは、つまり一生そのルイズって子と一緒にいろってことかい?……随分と無茶苦茶なことを言うねえ。流石のあたしも怒るより先に呆れちまうよ」

そう言ってサイスは肩をすくめた。
コルベールは場を一旦リセットする意味も含めて、少し声の大きい咳払いをする。

「オホン!……余計な誤解を招くといけないので要点だけ伝えよう。君たちは使い魔として召喚されたのだ。そこのミス・ヴァリエールの手によってね」
「…………………………」

改めてコルベールの口からそう説明されたことで、0組の皆は逆に静まり返る。
それぞれに様々な意図はあったが、好ましい空気でないことは共通していた。
コルベールはそれを肌で感じながらも、更に続ける。

「そして君たちには、ミス・ヴァリエールと使い魔の契約を交わして欲しい」

コルベールのその発言に対し、いの一番にナインが反発する。

「んだとコラ!何で俺らがんな……ッツツ!」

ナインはまだ開いたままの傷口の痛みに顔をしかめながらもコルベールとルイズを交互に睨み付けた。
ナインだけでなく、他の0組の皆も大なり小なり同じ考えであるようで、口に出さずともその表情は否定の色を醸し出している。

「……その、改めて召喚し直すということは出来ないのでしょうか?」

0組の中で一番温和なデュースが、困惑した表情でコルベールにそう提案する。
すると、コルベールよりも先にルイズが口を開いた。

「……それが出来るならとっくにしてるわよ」
「じゃあ……」
「残念だが、それは出来ない」

コルベールはデュースの言葉を遮り、首を横に振った。

「召喚の儀式は神聖なものだ。やり直すことは許可出来ない」
「何それ?そういうのってアンタが決めることなワケ?」

ケイトが反論する。
しかし、コルベールは頑なに首を横に振るだけであった。

「……何と言われようとも、召喚の儀式をやり直すことは出来ない」
「そっちの都合ばっかじゃない!こっちの意思は無視ってこと!?」

ケイトが不快感をあらわに声を荒げる。

「……だから君たちに聞いている。こういうことを言いたくは無いのだが、君たちが眠っている間に無理矢理使い魔の契約を交わすことも可能だったのだ。それをしなかったということを分かって欲しい」

コルベールはそう言うと、目を伏せた。

「……あんた、コルベールと言ったか?」

嫌な空気が漂う中、エイトがやや落ち着いた口調でコルベールの名を呼んだ。

「……確かにあんたの言う通りだ。実力行使をされていれば、眠っていたオレたちにそれを阻むことは出来なかっただろう。あんたたちにそれをしないだけの良心があったのは認める。だが、それを誠意だと言ってあんたらの要求を俺たちに押し付けるのであれば、それはただの傲慢だ」

エイトはそう言うと、拳をグッと握り締める。
コルベールはエイトの言葉に対して、何も反論はしなかった。

そのまま場は沈黙する。
先ほどからの嫌な空気が更に濃くなったように感じられた。

「……何、でよ」

そんな中、ルイズがぽつりと呟く。
皆の視線が彼女へ注がれた。
と、ルイズは急に激昂した。

「どうしてよ!!何で……何でなのよ!!何でアンタたちが来たのよ!!」


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