――――宇宙、それは人の尺度では無限大。神の尺度では有限の領域。
人が暗闇に幽霊を見出したように、多くの者が様々なものを見出してきた。
果たしてそれが実像なのか、想像力の見せる幻想なのかもわからずに我々は生きていくしかないのだ。
それは、ナイトスプリングスでも。
今夜のお話は「月面より」
ダヴィンチ少年はお父さんから買ってもらったばかりの望遠鏡で様々なものを見ることが好きだった。
ある日彼は空を観察してみようと思い立ち、両親には内緒で夜更かしをした。
その夜は美しい満点の夜空だった。
彼は望遠鏡で星屑を観察した。まるでドロップのような輝きに彼は瞳を大きく見開いた。
次に彼は月を見た。高性能な望遠鏡は見事に月面の凹凸を捉えた。
「あっ……なんだろう」
彼は目を見張った。
月の上に何かがうろついているではないか!
彼は望遠鏡の倍率をあげると、それは急速に大きくなった。月の方から地球の方に近寄ってきたのだろうか?
「へんなのー。毛むくじゃらー」
それがくっきりと見えるや否や彼は笑った。
あえて表現するならばスパゲッティをボールに張り付けたような奇妙な物体だったからだ。
彼はそれについて両親に質問してみたが夜更かしについて怒られただけだった。
月の明かりがくまなく照らすも、影が色濃く残る場所。
それがナイトスプリングス。