―――時間、それは不可侵にして決して侵されることのない法則。
科学の進歩に伴って人の独力では時間の壁に挑むことはできないと結論付けられたが、それでも人は時間という神秘を変えたがる。
昨日のことですらなかったことにはできないと知りながら。
過去と未来が交錯する町。
ここはナイトスプリングス。
今日のお話は「予言」
アインシュタイン少年はふと気が付くと未来の光景を知ることができるようになっていた。
明日の授業はどんな内容なのか、フットボールの試合の結果は、次期大統領は誰なのか、すべてだ。
ある日彼は夢に法則性を見出した。
自分の興味が向いた事象についてだけ知ることができるのだった。
彼はこの能力を使って様々な素晴らしく楽しい日々を過ごした。
「僕は未来予知できるんだ!」
「うそだー」
「じゃー当ててみろよー」
クラスメイトに自分の能力を暴露した彼だったが、信じてもらえなかった。
どうやら冗談を言っているとさえ受け取られている反応が返ってきたことに少々憤りを感じた彼は、腕を組むとクラスメイトを睨み付けた。
「当ててやるよ! なんだってさ!」
「アインシュタインの寿命!」
アインシュタイン少年は思わず口を半開きにしたが、すぐに予知を待った。
一向に予知はやってこない。その場をなんとか取り繕ったものの一向に能力がやってこない。
嗚呼能力は失われてしまったのか?
そんなことはなかった。アインシュタイン青年はある日予知を見た。
彼は青ざめるとすぐに建物を飛び出したが、車に轢かれて死んでしまった。
彼は最後にこう口にした。
「そんな。僕は建物に押しつぶされるはずじゃ」
理解できることだけが世界のすべてではない。
特にナイトスプリングスでは。