※注意※
一部グロテスクな表現があります。
三部で死亡したDIOがどういうわけか別世界にやってくるトリップものです。
舞台は2001年初夏の日本から始まります。
オリジナルキャラクターが登場します。
小説家になろうのにじファンにも投稿しています。
まだジョジョキャラをかける画力はありませんが主人公の挿絵なども置いてありますのでもし興味のある方は探してみてください。
序章
眠気の取れない頭が『それ』を認識した時、私は歓喜のあまりに手にしていた鉈を取り落とした。
リビングの床に鉈の先が突き刺さる重たい音が足元に響いた途端に、血生臭い臭いが一気にひき、懐かしい『我が家』の香りがもどってきた。
「………」
『それ』はどうやら怪我をしているようだった。
私はひどく冷たく重い体をひきずり、使う者の居なくなった寝室へ運んだ。
たかだか数週間のうちに随分埃っぽくなってしまった部屋で申し訳ないが、巨体すぎる体を二階まで持ち上げる根性は私には存在しなかった。
軽く埃を掃いた畳にカビ臭い布団を敷いて『それ』を転がし、傷の部分を消毒して包帯を巻いた。
正直救急車を読んでもおかしくない傷の度合いだったが、『それ』は突然居間に現れた明らかに異常な『何か』なのだ。
そうそう公共機関に預けていいものとも思えないし。なにより今ここにいるものが現実なのか夢なのかの区別が私にはつかなかったのだ。
「おまえ…は…」
ざあざあと雨が降る、酷く湿度の高い朝。
『それ』は目を覚ました。
「はじめまして。傷の具合はどうですか」
想像以上にスムーズに言葉が出たのは、現実味を帯びないこの状況と麻痺した脳みそのおかげだろう。
警戒もせず、むしろ林檎を剥くための果物ナイフを持っているこっちが畏怖するほどに『それ』は凄まじい迫力を出していた。
「…わたしは、敗れたのではなかったのか…?ここはどこだ?」
「日本ですよ。信じがたいでしょうけど、貴方はここに突然現れたんですよ」
「日本…だと…?」
何が起きているのかわからない、というかんじに視線を自分の拳に向け、夢か現かを確かめているようだ。
「……私にも状況がわからないんですが…えーっと、部屋も家も別に、好きに使っていいですから。」
「……」
『それ』は何かを考えているらしい。返事はなかった。
「もしよければ、百科事典とか新聞とか置いておきますから読んでください」
「まて、お前…名は?」
「山井、よるといいます。あなたは…」
「…わたしはDIO。ディオ・ブランドーだ」
『それ』ことDIOは、無表情且つ値踏みするような、冷たい目でこちらを見つめた。
この時からもう、私は彼の奇妙な運命の糸に絡まれてしまっていたのだろう。
いや、あるいは彼が私の糸にかかってしまったのかもしれない。
とにもかくにも、ここから私の『奇妙な人生』が始まった。