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No.3303の一覧
[0] コードギアス 反逆のお家再興記[0](2010/01/26 23:47)
[1] お家再興記 2話[0](2008/07/07 16:04)
[2] お家再興記 3話[0](2008/07/07 16:04)
[3] お家再興記 4話[0](2010/01/26 23:48)
[4] お家再興記 番外編 [0](2008/07/07 16:07)
[5] お家再興記 5話[0](2008/07/07 16:07)
[6] お家再興記 6話[0](2008/07/07 16:18)
[7] お家再興記 7話[0](2008/07/10 17:57)
[8] お家再興記 8話[0](2008/07/28 07:22)
[9] お家再興記 9話[0](2011/07/12 23:36)
[10] お家再興記 10話[0](2008/08/08 03:36)
[11] お家再興記 11話[0](2008/08/12 10:02)
[12] お家再興記 12話[0](2008/09/06 21:44)
[13] お家再興記 13話[0](2008/09/06 22:26)
[14] お家再興記 番外編 2上[0](2008/09/28 23:34)
[15] お家再興記 番外編 2中[0](2008/09/28 23:34)
[16] お家再興記 番外編 2後[0](2010/01/23 21:25)
[17] お家再興記 番外編 2完結[0](2010/01/23 21:24)
[18] お家再興記 14話[0](2010/01/26 23:50)
[19] お家再興記 15話[0](2013/01/28 19:16)
[20] お家再興記 16話[0](2013/01/28 19:20)
[21] お家再興記 17話[0](2013/12/06 02:00)
[22] お知らせ[0](2015/12/25 02:52)
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[3303] お家再興記 5話
Name: 0◆ea80a416 ID:a87cd7a7 前を表示する / 次を表示する
Date: 2008/07/07 16:07
超大国神聖ブリタニア帝国の首都、ペンドラゴンに存在するブリタニア王宮。

世界の中心の国の、そのまた中心と言っても過言ではない場所。

今僕はその王宮の廊下を羽織った水色のマントを翻しながら歩いている。
両隣には僕と色違いの、緑色と桃色のマントを羽織った、ジノとアーニャが歩いている。
歩く僕たちに向けられる視線は、妬み。嫉妬。そして羨望。


ナイトオブラウンズ。

軍事超大国神聖ブリタニア帝国における、軍人としての地位の最高峰の一つ。
12人の最強のKMFライダーのみ所属する、皇帝直属の騎士達。

その12席の中で、第7席の称号を持つ―――ナイトオブセブン。

それが今の僕の立場だ。

しかし、こんな僕に妬みや羨望の視線を向ける人たちには申し訳ないが。

早く辞めたい。

これが僕の偽りなき思いだ。












「やれやれ。
俺達が担当してるE.U.の、制圧があらかた終わったら、いきなり本土に戻ってこいなんて、皇帝も人使いが荒いなぁ」

謁見の間へと歩く僕に隣を歩いている、ジノがボヤクように声を出す。

「仕方が無いだろう。
僕たちは皇帝直属。
上司の命令には従わないとね」

「ま、そりゃそうだな。
しかし俺たちに何の用事なんだかね…
E.U.侵攻も、シュナイゼル殿下を中心として、順調に進んでいる。
何かの特命か?」

そう。
僕達三人は、つい先日まで、E.U.の最前線にて矛を振るっていたのである。

運命の日。
僕がついに、軍人を辞められると、思っていたのに、ありがたくない大逆転にて軍の頂点の一角。
ナイトオブラウンズのメンバーに加入してから随分と時が経った。

ナイトオブラウンズは皇帝直属の最強のKMF部隊。

その実力故に、僕達ラウンズが派遣される戦地は、常に最前線。
マジに最前線。嫌になる位最前線。ノイローゼになる位最前線。


ラウンズになって一年。
あちらこちらの最前線を駆け巡りまくった僕は本当に、よく生き残れたものだ。


昨日まで、僕たちが担当していたE.U.との戦闘地区の制圧がほぼ完了して、ようやくひと段落できると思った矢先に、皇帝からの本国へ帰って来いとの呼び出し。
その呼び出しの為に、E.U.から急遽、本国へと戻ってきて、皇帝が待つ、謁見の間へと向っている最中なのだ。
ハローワークに通報してやりたい、職場環境だ。

何故、こんな事になってしまったのだろうか?

僕の夢は毎日、ニートな生活をして、毎日ゴロゴロすることだった。
しかし、僕の祖父。
くそったれなルーベン爺の魔の手によって、ブリタニア士官学校へと、入学されてから、僕の人生設計は180度変わってしまった。爺殴る。
入学した士官学校で尻を狙われながらも、鉄壁のガードで尻を死守する事を成功するが、卒業したら、E.U.という最前線に送られてしまう。校長蹴る。
戦地のE.U.侵攻地で、絶体絶命の危機をカミカゼアタックで、何とか乗り切って、やっとこさ、恩賞をくれるかと思っていたら、毎日カミカゼアタックをする日々。上司撃つ。
そして、麗しの顎を持つ、シュナイゼル殿下から、やっとのこさ恩賞をくれると言うことで、軍を退役できると、はしゃいだのも束の間。
何故か知らんが、ナイトオブラウンズに加入されると言う、異例のスピード出世をしてしまった。殿下へりくだる。

物凄い勢いで、ニートからかけ離れて行ってしまってる。
何故だろう?

僕がナイツオブラウンズになったお陰で、アッシュフォード家はかつての栄光までとは行かないが、没落の危機から免れ、ある程度の地位を取り戻すことができた。
つまりもう、いつでも辞めて、家に帰れる状況なのだが。
僕が辞めるには困難すぎる壁があるのである。

「着いた」

歩きながら、携帯をいじっていた、アーニャの言葉に、うつむいていた顔を上げて見ると、そこは既に謁見の間の扉の直ぐ前。
考え事をしている間に、何時の間にか目的地に着いたようだ。
…なにやらデジャブを感じる。気のせいだろうか?

門の前に立つ衛兵に、許可を得て、門が開かれ中に入ると。

其処にはブリタニア帝国の―――否、世界の王が待っていた。





「ナイトオブ3。
ジノ・ヴァインベルグ。
お呼びにより只今参上致しました」

「ナイトオブ6。
アーニャ・アールストレイム。
参上しました」

「同じくナイトオブ7。
アクア・アッシュフォード。
参上致しました」

「良くぞ来たな。
お前たち」

僕たちの挨拶に、皇帝は一つ、手を一つ上げながら、返答をする。
その態度、姿、眼光、皇帝の全てには威厳に満ち溢れている。
ただ対峙しているだけだというのに、凄まじい威圧感だ。
回れ右して帰りたい。

この人物こそは僕たちの直属の上司にてブリタニア皇帝。
シャルル・ジ・ブリタニア皇帝だ。

世界の三分の一を治める、神聖ブリタニア帝国の皇帝として相応しい、実力や威厳。カリスマ性。
長いブリタニア帝国の歴史の中でも、此処までの傑物はいない。とまで謳われる、怪物である。

そして、この皇帝こそが、僕が軍を辞めるための、障壁なのだ。

想像して欲しい。

仕事と言うのは、退職するには、上司に報告するものだ。
平社員なら、上司の係長に。
係長なら、上司の課長に。
課長なら、上司の部長に。
部長ならば、上司の社長に。

そしてそれはナイツオブラウンズである僕とて例外では無い。
僕がラウンズを辞めるためには、上司に報告しなくてはいけない。

此処で考えて欲しい。

ナイツオブラウンズは皇帝直属の騎士団。
そこに所属する僕も皇帝直属の者だ。
つまりは僕の上司は皇帝。


この皇帝に。


ラウンズ辞めたいんですけどー。許してくださーい!テヘ☆


……言える訳がねえ!

あの皇帝だぜ!?

弱肉強食がもっとーで、武士雄真実みたいな 豚は死ね!とかって台詞を素面で言うような皇帝だぜ!?
こんな皇帝にラウンズ辞めたいなんていった矢先には、どんな仕打ちが待ってるか想像するだけで恐ろしい!
この皇帝なら、超能力を持っていると言われても納得してしまう!
言った瞬間に何らかの超常現象でひき肉にされてしまっても可笑しくないわ!
こう、なんか目からビーム!みたいな感じで!もしくは目からミサイル!みたいな感じで!もしかしたら目から皇帝が出てくるみたいな感じでェェ!

上司が皇帝じゃなかったら、即効で辞めているのに!スピード出世しすぎだよ!僕!

「アッシュフォード。
どうした?」


脳内で皇帝の超人ぶりをシャウトしていたら、当の皇帝が、不振そうな声で僕に尋ねてきた。
探るような視線を僕に向けてくる。
そして何故か知らんが光る眼光。

ヒィ!皇帝が出てきそうで怖い!

「いえ。
何でもありません」

その眼光にビビりながらも、表面上平然と言葉を返した僕は中々にカッコいい。


「お前達。
此度のE.U.地方での制圧ご苦労であった」

僕の言葉を受け、その恐ろしすぎる眼光を僕から外してくれた皇帝は、改めて僕たちに言葉を紡いだ。
その言葉に僕達は一斉に頭を下げる。

「此度の働きによって、E.U.侵攻に対する重要な拠点を奪い取る事が出来た。
この度呼んだのは他でもない。
制圧が終わって、暇であるお前たちに、新たな任務をやろうと思ってな」

物凄くハローマークに通報してやりたい。
この皇帝の一言で、人が死ぬ思いをしてやっと手に入れた、安息の時間が潰れるのが確定したよ!

なにが『暇であるお前たちに、新たな任務をやろうと思ってな』だ!
こちとら毎日戦場を駆け巡ってようやく得た安息の日々を暇と抜かしたか!
萌えっ子とラブコメしたいのに、戦場のむさ苦しい兵士たちとデスコメしてる僕に向って!
手前みたいに妻が100人以上居て、子供も100人以上いる手前がそれをいうかァ!この種馬野郎が!

なんだ!?お前はサンデーブイレンスか!?サンデーブイレンスなのか!?

羨ましすぎる!
土下座するから僕と立場変わってください!
ハーレムがしたいです!分西先生!

「…だからどうした?
アッシュフォード」

脳内で皇帝の羨ましぶりをシャウトしていたら、また皇帝に探りの視線を向けられた。
そして何故か光る眼光。

怖いけど…う、羨ましい…。

「いえ。
何でもありません」

その眼光に嫉妬しながらビビリ、表面上平然と言葉を返した僕は本当にカッコいい。
惚れるなよ?

「…まあいい。
ヴァインベルグ。
そしてアールストレイム。
お前たちはこのまま本国に残り、専用KMFの開発の協力をするといい。
技術者達が、お前達の意見を聞きたいと言っていたからな」

前に皇帝は自らの直属の騎士団、ナイトオブラウンズの専用KMFの開発を許可したのだ。
それにより僕達ラウンズには専属のKMF開発チームが付くことになった。
しかし、僕達三人の専用KMFはまだ開発中であるのだ。

おー。
特命っていうから、どんな危険な任務かと思ったら、KMFの開発かぁ。
こいつはいいぜ。
専用KMFが出来れば、それだけ生存率が高くなる。
GJ!皇帝GJですよ!

…って、あれ?
ヴァインベルグとアールストレイムって…。

僕は??

問いかける僕の視線を受け、皇帝は一つ頷いてから僕の視線に答えた。

「アッシュフォード。
お前はエリア11に向うのだ
そしてコーネリアの指揮下に入れ」

エリア11。
日本に?
ていうか僕一人で?

「それは私一人で…ですか?」

僕とジノとアーニャは常に三人で行動している。
『ブリタニアの三連星』という僕達の異名とおりに、トリオを組んでいるからだ。
故に、どんな任務でも僕達は一緒の場所に配置されていた。
それ故に皇帝が告げた、僕達の配属場所が別の事に疑問を抱いたのだ。

「そうだ。
アッシュフォード。
お前一人でだ」

まじっすか。

「エリア11は、今我らブリタニアに対して様々な反逆の種を持っている。
それを払うために、ナイトオブラウンズの一人であるお前を向わせるのだ。
コーネリアならばお前を扱って見せれるだろう。
もっとも、お前という手駒を持ってしても、反逆の種が払われなければ、コーネリアの才覚も高が知れている。
あ奴が死んだ時はクロヴィスの様にブリタニアの進化の証明となるだけだ」

とても親の台詞とは思えない言葉を吐きながら僕の事を射抜くような視線で貫いてくる。
まるで僕の死もブリタニアの進化の証と言わんばかりに。

「ある程度の裁可はお前に預ける。
自由に動くがいい。アッシュフォード。
そして切り開いてみせい。
己の運命をな…」

王者の視線に晒された僕は唯頭を垂れ、この言葉を吐くしかできなかった。

イエス・ユア・マジェスティ…と。


ハローワークに駆け込みたい。






「たく…。
俺達三連星をバラバラにするなんて、皇帝は何考えてんだか。」

「…僕達は軍人。
上司の言うことは絶対命令だろ?
そんな事言って誰かに聞かれでもしたらやばいよ?」

「壁に耳あり障子に目あり」

「難しい言葉知ってるね…。
アーニャは」

謁見の間を離れた僕達は、ジノの執務室に集まり、談笑をしていた。
もっともジノは先ほどの謁見が気に入らないようで愚痴を言っているような感じであったが。

しかし軍人になってから初めて二人と離れる事になったが、これはこれでいいかもしれない。
僕の萌えの貯蔵庫であるアーニャタンと離れるのはかなり痛いが、ジノと離れられるのだ。

ジノは本当にいい奴だ。

名門の生まれを気取らない、爽やかで気さくな性格。
王子さまルックスの容姿。
ジノは友人としては本当にいい奴だ。

だが悲しいかな。
ジノはホモなのだ。ガチホモと言ってもいいレベルのホモなのだ。
そして僕はジノに尻を狙われる憐れなノンケな男。
時々自殺したくなる現実なのだ。

天は人に二物を与えずとはよく言ったものだ。
ジノがホモで無かったら、本当にいい友人なのに。

「まあ、そりゃそうだけどよ…
にしれも初めてじゃないか。俺達が別々の場所に移動するなんて。
あーぁ。お前と絡むのは暫く我慢だな」

そう言うと、ジノは僕の肩を抱いてきた。
それを成すがままに受ける僕。

以前ならばこのような行為をされた瞬間に拒絶反応が起き、サブいぼが僕の全身を元気よく駆け上ったものだ。

しかし今はそれは無い。

僕は悟ったのだ。
ジノは真性のホモだ。
その真性ホモのジノにこの様な行為を止めてくれと言っても、聞いてはくれないだろう。
ならばこの様なちゃちな事で一々反応を返していたのでは、僕の体と精神が先に滅入ってしまう。
この程度のことはスキンシップと思うことにしたのだ。
そう思えたら、あら不思議。
ある程度のジノの行動が許せるようになってきたのだ。
肩を抱いてくるのもスキンシップ。
耳元に口を近づけられるのも…スキン…シップ。
共同風呂に一緒に入るのも……スキ…ン…シップ?
そんなこんなで僕は現実から少しだけ逃避することによって、安息の日々を手に入れたのだ。

そしてジノが僕を本気で求めてきたら…その時は僕の貞操かジノの命が失われるときだろう。

僕の意思は固い!ダイヤモンドのように硬い!

来るならかかって来い!ジノ!
…やっぱりかかってこないで!ジノ!
貞操は生涯に一個しかもてないんだから!

「でもKMFの開発かぁ
ジノはどういうの作るんだっけ?
高機動型?」

「おう!あったりまえよ!
もうバリバリの高機動な奴でだなぁ!
こうガシャーン!って感じのすげえ奴を作ってるぜ!」

話の流れを変えるために、KMFの話をジノに振ると、ジノはよく聞いてくれました!と、言わんばかりに、身を乗り出しながら言葉を発してきた。
ていうかガシャーンって何だよ?
変形でもするのかよ。

「アーニャのは?」

「…砲撃。
すごいの付ける。
楽しみ」

相変わらず携帯を弄くっているアーニャタンに話を振ると、携帯を弄くる手を止めずにアーニャは答えて来た。
しかしこれでは意味が解らないだろう。
アーニャタンの毎度の言葉足らずの言葉を訳すとだ。



『私はねぇ♪
砲撃戦が得意だからぁ☆砲撃に特化した凄っっい兵器を付けたKMFを開発させてるのぉ★
もぉ~早くできないかぁ♪アーニャ待ち遠しくて、胸がドキドキして張り裂けそうで、もう夜も眠れないよぉー☆
あとぉ…アクアだ~いすき!』



ホンニャクこんにゃくも驚愕の翻訳だ。

萌え萌えっていうか、既に萌えの3乗です。
このアーニャタンの言葉で、僕は今日も生きて行けます。
本当にありがとうございます。


脳内で翻訳されたアーニャタンのあまりの萌えっぷりに僕はメロメロだ。
一部僕の脳内願望が混じってしまったかもしれないが、それは気のせいだ。
気のせいと言う事にしておこう。
その方が幸せだ。そして萌える。
そして僕は常に自由と萌えを追い求めるボヘミアンだ。
故に問題無し!
アーニャタン萌え!
鼻血が出るくらいに萌えェェ!

「で?アクア。
お前の方はどうなんだよ?
確お前のKMFは、シュナイゼル殿下のチームの奴らと合同に製作してるんだろ?」

アーニャタンの萌えっぷりに鼻血が出る勢いの僕にジノは問いかける。

「僕のKMFは試作機と行った感じが強いからね
製作者達に全てお任せ状態だよ」

皇帝直属のナイツオブラウンズは己専用のKMFを持つことが許されている。
そんな僕達ラウンズは専属のKMF開発チームが付いている。
僕達三人にも開発チームが付いているのだが、まだKMFが完成しておらず、僕達三人はグロースターに乗っている状態である。

ちなみに僕の機体となるKMFはジノの言った通りに、シュナイゼル殿下の部下の開発チームと合同で製作しているのである。
故に、試作機と言った具合が強いKMFに成る様だが、なんでも上手く出来れば一機で戦場を支配できるような、中二病全開の機体を作っているようだ。
素晴らしい。生還率が格段にアップするではないか。
是非とも早くそんな中二病全開の機体を作り上げて僕の元へ送ってほしいものである。


頑張れ!僕の開発チーム!
頑張れ!殿下の開発チーム!
そして僕専用KMFが出来るまで生き残るんだ!僕!
一番頑張んなくちゃいけねえよ!僕!

「そういえばシュナイゼル殿下の部下の開発スタッフって言えば…。
殿下の部下の開発スタッフが、第七世代KMFを作ったって知ってるか?」

「ああ。
確かランスロットとかって言ったよね?」

ジノが出した話題に一つ頷きながら答えを返す。

KMFは世代毎にコンセプトが違う。
現在のブリタニア軍では第四世代を代表するグラスゴー。
第五世代のサザーランドや、一部主力に回されているグロースターが主な主力となっている。
第六世代は新技術を投入した画期的なKMFを作る予定だったそうだが、具体的な成果を上げられず、企画倒れで終わってしまったので現存するKMFは皆無。
そんな理由で実質的には第五世代が最新のKMFという実情なのだが、シュナイゼル殿下の開発チームは新たなコンセプトのKMF―――第七世代を試作機として作り上げたのだ。
その機体の名前がランスロットという事だ。

「ああ。
なんでもすげえ機体みたいだぜ。
詳しいスペックは解らないけど、聞いた話だと単純な運動性能はサザーランドの1.6倍だってよ」

「1.6倍!それは凄い!」

「機体性能やランスロットの戦果を聞いたノネットさんが興味を持ってるって話だぜ」

「ノネットさんが…」

ランスロットのパイロットも可哀想に…。
もしノネットさんが日本に行ったら絶対ぼこられるな…。

ノネット。ノネット・エニアグラム。

ナイトオブラウンズにおける第九席の称号を持つナイトオブナイン。
人柄もよく、豪放で男前なお姉さまなのだが、彼女は困った気質を持っているのだ。
それはKMFでの戦闘が大好きという大の戦闘狂なのだ。
しかも強い者たちと戦いたいと言う、どこぞの戦闘民族の血を引いているんじゃないか?といった感じなのだ。
おかげで彼女と出会ったラウンズは必ず彼女と一戦しなくてはいけない、奇妙な暗黙の掟があるのだ。
僕も何度かやったことがあるのだが、ラウンズの相手は本当に疲れる。
しかも彼女は自身が勝っても負けてもとても嬉しそうな顔で、もう一度!もう一度!とせがんで来るのだ。
これが男女の閨の戦いであるのならば、喜んで勝負するのだが、現実は悲しいことに、KMFの模擬戦である。凄く遠慮したい。
しかし彼女のその笑顔を見ると、僕の口はホイホイと勝手に再戦を了解してしまっているのだ。
なんと憎たらしい口だ。
そして僕の返答を見て、100万ドルを超えた笑顔で喜ぶノネットさん。
そんな笑顔に萌えます。ホイホイと了承する僕の口。ちょいとGJ。

「今エリア11にランスロットがあるみたいだからな。
機会があったら、見てみたらどうだ?」

「ああ。
そうさせてもらうよ」

それから僕達三人は他愛無い話を続ける。
普段会話にあまり参加してこないアーニャもいつもより多く会話に参加してきた。
思えば、ジノとは士官学校からの、そしてアーニャタンとは正規兵になってからずっと付き合いがあった。
その僕達が、任務とはいえ離れるのは初めて。
感慨深いものがあるね。

「…まあ、日本に行って勝手にやられるんじゃないぞ。
ブリタニアの三連星を勝手に二連星にするんじゃないぞ?」

「…ああ」

ジノの言葉には友情の念がたっぷりと含まれていた。
だから僕は素直な気持ちで頷くことが出来た。
ちょっと愛情の念も感じた気もするが、きっと気のせいだ。
僕は自由と萌えを追い求めるボヘミアンだ。
ホモは求めてなどいない。
故に問題なし!
ホモは駄目!絶対駄目!

「お土産。
東京バナナ。
よろしく」

そしてやはり言葉足らずなアーニャタンの言葉。
これを僕の脳内翻訳機で訳すとだ。

『日本に行っても頑張ってね!お土産は東京バナナをよろしく☆
でもアクアと離れるなんてアーニャ寂しいよぉ(ノД`)
私寂しさに耐え切れなくて、シクシク泣いちゃうかもぉ(泣)
大好きだよぉ!アクア★必ず帰ってきてね♪』


…かいしんのいちげき!
こうかはばつぐんだ!






そんなやりとりをしてブリタニア本国を出発しました。


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