Sheep / PORNO GRAFFITI
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《織斑家の家族会議 そのいち》
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二人で生活するには些か広過ぎるきらいのある我が家・織斑亭にて、そこの長女である千冬と長男であるイッピーことわたくし一夏は仲良く休日を送っておりました。
そう、仲良く。久しぶりに長期休暇を取得しドイツから帰国した千冬姉は昼までダラダラしており、昼食がてら一緒に買い物行って、帰宅して俺が夕食を作って食べさせて、ソファで肩を並べて映画を観て、俺がお風呂に入って、さあ後は千冬姉が風呂入って今日は寝るだけ、と言った今に至るまでは。
お風呂から上がり、リビングに居る姉に一声かけようとしたついさっきまで。
「一夏、座れ」
なにやら剣呑な不陰気(←なぜか変換できる)を大っぴらにしつつ、リビングのテーブルで対面へ座れと指示する姉に逆らうことなく従う。
はてさて、なんでっしゃろうか。湯冷めする前にお部屋へ帰りたいのですが。
「『コレ』はなんだ」
俺が座ると、間を置かずに卓上に投げられた。
ソレは、『Peace』とラベリングされた四角い箱。
「姉さん、アンタ俺の部屋を勝手に漁ったのかよ!」
「謝る。すまなかった。お前が望むなら罰も受けよう。家族だとしてもプライバシーは大事にすべきだし、信頼を裏切る真似をしたのは自覚している。この件に関しては全面的に私が悪い。
しかし、私はお前の姉だから見過ごせない事もある。だから、―――座れ」
「アッハイ」
歯を剥き怒りのままに立ち上がった筈の俺は、姉の静かな激怒を感じ取り本能的に着席した。
思考時間0秒の軍隊的反射行動だった。
叱らない育児が席巻している現代とは真逆の躾の為せる反応だった。
「一夏、私は悪い事をするなとは言わん。人に大怪我でもさせない限り、頭を下げれば大体カタがつく。
保護者として、お前の為なら幾らでも頭を下げる覚悟はある。それは私の責務だ、喜んでやってやるさ。
だが、―――体に悪い事を許した覚えはないぞ?」
なぜでしょうか。ただただ会話しているだけなのに壁まで吹っ飛びそうな圧力を感じるのは。
こういうの体験しちゃうから物怖じしない子に俺が育っちゃったんだぜ姉のバーカバーカ。
「マイセンやセッター辺りなら誰かの影響かとも思ったが、……ショートピースか。
中学生特有の悪ぶってみたい症候群なら見逃せるが、コレは駄目だろう」
まるで親の敵みたくタバコの箱を睨みつける俺の保護者。
あ、あかんやつや。静かだから分かり辛かったけど、実は本気で怒ってるよチッピー。
つーかなんでそう青少年のタバコ事情に詳しいのさ。
「金は自分で稼いだ金だし、健康に響くほど吸ってない。バレるような場所じゃ吸わないし、迷惑かけるつもりはない。
そりゃコソコソ黙って吸ってたのは悪かったけど、酒は許してタバコは許さないってのはおかしいんじゃねーの?」
「一夏、そうじゃない。そうじゃないんだよ。金の出所だとか喫煙が学校にバレようが私はどうでもいいんだ。
私が気にしてるのは、お前の健康だよ。
酒は許すさ。病気になる前に自制できるし、私と同じ体質のお前がそもそも、やすやすとアルコールに負けることもあるまい。
しかし、煙草は癌になる。量が少なくても慢性的であれば発癌の可能性は飛躍的に上がるんだ」
一息ついて、姉は卓上で両手の指を絡ませた。
暴風域みたく暴れる怒りを抑え、探る様につぶやかれた一言は、
「オマエさ、―――私より先に死ぬ気か?」
圧力を伴わない、きっと彼女の本質。
その一言にどんな意味が込められていたのか、俺には分からない。
だけど、その一言にどれだけの感情が込められたのかだけは伝わった。
「絶対に赦さないぞ。オマエが私より先に死ぬなんて、何があっても」
その真剣さに恐くなるぐらい、真剣に。
「私はオマエと、オマエの妻と、オマエの子供に看取られて幸せに逝くと決めているんだから」
「そういうのは自分のダンナと自分の子供でやってくれませんかねぇ!」
しんみりさせたいのかがっかりさせたいのかどっちだよアンタは!
素直にそこは感動させろよ! がっかりだよ!
「金はいいさ。お前が稼いだのなら好きに使え。但し健康に関しては黙認できない。
私はお前の保護者であり、お前は扶養者、言い方は悪いが、私のモノだ。
私のモノが使用期間を短くされている、言い換えれば私は損害を受けている立場だ。看過出切る訳がない。
お前の喫煙行為、健康損害に対して補填を受け取ろうと思う」
いやアンタのモノじゃねーよ。俺は俺のモノだ間違えんな。
なんて否定は怖くて引っ込みました。
イッピー知ってるよ、茶々入れていい場面とそうじゃない場面があるって、イッピー大人だから知ってるよ!
「煙草の金額をそのまま健康に適用するのはおかしな話だが、一箱220円だったな?」
「はい、そうです」
違うけど突っ込めねーよ。イッピーびびりじゃねーよ大人だよ。
「ふむ……。そういえば、『おっぱいパブ』なる風俗施設が40分で8000円という話を聞いた事がある」
「この女アタマ沸いてんじゃねえの?」
俺は実の姉にいきなりおっぱぶの話題を出され、思わず罵倒が口に出てしまった。
イッピー知ってるよ、茶々入れていい場面じゃないけどそれでも人は口を挟む。分かっていても、だ。イッピー大人だから知ってるよ!
「そこでは客にアルコールが出され、席に着いた女性の乳房と、『唇』を時間内自由にしていいらしい。
つまり。……ピース一箱につき私はお前の唇を一分間自由にする権利がある」
「サーセンッしたぁぁぁぁぁッ! もう二度と吸いません勘弁してくださいなんでもしますから!」
必殺のノーシンキングダイレクトヘッドダウン。
俺はテーブルを割らんばかりの卓上土下座を繰り出し、姉の野獣の眼光を静めるのであった。
おい実姉アンタいったい実の弟に対しどんな欲を持て余してんだよモウヤダこの人。
織斑一夏十五歳、織斑千冬二十三歳。
六月半ばの、平凡な家族会議でした。
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《金と銀》
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「……ナイスショット。見事な腕だ。卒業したら黒兎隊(ウチ)に来ないか?」
「あんまり褒めないでよ。そういうの慣れてないんだから」
「いや、素直に胸を張れ。ウチの奴等でもこれ程の長距離射撃を成功させるのは難しいだろう」
隣で双眼鏡を手にする兎さんはひどくご機嫌な様子だ。
肉体に埋め込まれた疑似ハイパーセンサーを専用の双眼鏡にて補助し、生身にしてISと同等の視覚距離を保有する彼女は、何度も頷きつつ僕の射撃を褒めてくれる。
観測手の腕がいいと謙遜したが、正直この手の技能(スキル)で競うならば、まず同年代の少女に負けることはないだろう。
元々、まともに第三世代機を生産出来ていない現状を踏まえ、どの様なISでも乗りこなせるようにと広く深く、多種多様なスキルを取得させられたのが僕だ。
にしても、将来かあ。
「んー。まだ決めてないんだよね。どうしよっかなぁ……」
狙撃銃を量子化し、息を吐きながら背筋を伸ばした。
本来、高速機動を常とするISにおいて、狙撃姿勢を取ることはまずない。
まして長時間その姿勢をキープする場面など、ISに通ずる者であれば想像すらしないだろう。
「本国よりマトモな対応を約束しよう。どうだ? 『嫁』も恐らく私の国に来るだろうし、悪い話ではあるまい?」
嫁、という単語に少しだけ反応してしまった。
嫁。お嫁さん。結婚。主婦。
ウエディングドレスを着る僕と、そんな僕を抱えるタキシードを着た―――。
「どうした、シャルロット」
ハッとする。いけないいけない。
ISを使用してISの探知外から超長距離狙撃をして欲しいなんてお願いしてきたオトコノコ。
彼との『将来』をちょっとだけ想像して、その暖かい夢をふりはらった。
もし僕が彼と結ばれるとすれば、それは僕が『デュノア』を棄てた時だけだ。
シャルロット・デュノアの父であるダヴィッド・デュノアはデュノア社の代表取締役で、その立場からすると世界唯一の男性IS操縦者は喉から手が出るほど欲しい。
しかし、彼は社会や会社といった大きな存在に帰属することを極端に嫌う。
だから、もし。
もし僕と彼が結ばれる未来があるとすれば、僕がデュノアを棄てるか、彼が『彼』を棄てるか。
そして、彼が『彼』を棄てるのであれば、僕も彼を捨てるだろう。
『彼』でない織斑一夏など、僕は求めていない。
だから、もし。
もし僕が彼と結ばれるなら、きっと。
僕が『デュノア』を、心が通じた父を棄てた時だけだ。
「ラウラはIS学園を卒業したあと、どうするの?」
「嫁に付いて行こうと思う。私は一応、軍務の一環として学生をしていてな。使うことができない休暇が大量に溜まっているのだ。
卒業後、一年は長期休暇という名目で上にはもう通してある」
実際は護衛として嫁と行動する事を上層部が推奨しているだけだがな、とラウラは付け加えた。
そっか、一夏が卒業した後世界一周するって言ってたのに乗っかるんだ。
それはとても、楽しそうだなあ。
イギリスみたいなちょっと高めのとんがった家が並ぶ街並みを迷惑をかけながら走る一夏と。
その走る一夏を追って更に迷惑をかけて去っていくラウラと。
二人が通って迷惑をかけた一軒一軒を謝罪して回る僕と。
あれ?
これ、僕のひとり損だーっ!
「まあ、ゆっくり考えるといい。お前の時間は沢山残されているのだから」
それでも、その夢は。
とても魅力的に感じてしまうのだから、我ながら困ったものだった。
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《織斑家の家族会議 そのに》
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二人で生活するには些か広過ぎるきらいのある我が家・織斑亭にて、保護者千冬と被保護者イッピーは仲良く暮らしておりました。
そう、仲良く。とある諸事情よりIS学園への入学が決定してしまい、ドタバタしたまま中学の卒業式すら出られず、自宅で早めの春休みを満喫しつつ高校で必要となるであろう事前学習に勤しむ俺と、IS学園の教師であり第一回並びに第二回モンドグロッソの優勝者である姉が世界唯一のIS操縦者となった弟の護衛として自宅待機となっている。
現役時代はトップランナーであり今では教師な千冬姉から一カ月ミッチリマンツーマンレッスンだった成果もあり、ISに関する知識はそれなりに頭に叩き込めた。
千冬姉が云うには『だいたい入学してから半年程度』の予習に相当するので、このアドバンテージをどう活かしていくかが今後の課題である。
物心ついた時分から姉は家を空ける期間が長く、実はこれ程長期間一緒に過ごしたことはあんまりない。姉弟水入らずを満喫しつつ、もうちょいしたら寝ようかな思った矢先のことだ。
「一夏、座れ」
なにやら剣呑な雰囲気の様な気がするけれど、たぶん前回の件があるだけの被害妄想的なあれでしょう。
煙草はあれから吸ってない健全少年イッピーは、リビングのテーブルで対面へ座れと指示する姉に逆らうことなく従う。
はてさて、なんでっしゃろうか。蘭と相川さんにメール返したいから手短だとよろしいのですが。
「およそ一カ月、保護者として詫びるべきだろうが久しぶりにお前の生活をじっくりと観ることが出来た。
感想としては、申し分ない。人として守るべき規律を守り、おのれの責務をこなし、その上で人生を愉しんでいる」
誰より(よそいきでは)凛とした姉が、普段以上に居住まい正し、俺と向き合う。
「家の事なんかは私が及ばない程しっかりしてくれている。改めて礼を云う、ありがとう」
俺はどんな間抜け面をしていたのか、なんて顔してるんだと姉は笑った。
いや、だってさ。
こう手放しで褒められることってあんまり、むしろほとんどなかったから。
褒めるは褒めるんだけど、俺がそこで満足しない様にいつも釘を刺してたじゃん。
「そりゃよおござんした。保護者の教育が良かったんじゃねーかな?」
「子の失態は親の責任だが、成功は子供自身の努力の結果だ。
まして私は保護者でありながら、十全にその役目を果たしていない。
お前の成長は、お前自らの成果だよ。私はそれを誇るだけだ」
外行きの毅然とした姉ではなく、家の中での案外だらしない姉でもなく。
年相応の柔らかさをのぞかせる姉は、どこまでも俺を付け上がらせる。
「ありがとう、一夏。お前は自慢の弟だよ」
「こちらこそ、ありがとう」
千冬姉にそう言って貰えて嬉しいよ、とか。
姉さんの弟だから当然だよ、とか。
アンタには勿体ない弟だろ、とか。
千冬姉が俺の姉で良かった、とか。
色々言おうとして、一番伝えたい言葉だけ口にした。
感謝と謝罪は、何より真っ先に伝えろ。
俺は、俺の姉からそう教わったから。
「お前はもう立派に大人だよ。姉として、今日はどうしても感謝を述べたくてな」
ふいに、何かが霞んだ。
いつも通りのリビングで、いつも通りの俺と、いつも通りの、誰だ。
「お前も十五歳、立派に物事を自分で判断できる大人だ。そうなるのを、ずっと待ってた」
霞んでいたのは高速で動いた誰かの指先で、その指先は金属片らしきものを部屋の隅に跳ばし甲高い音を立てる。
それは、何かの終わりを始める合図だった。
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「わたしは、織斑一夏を愛している」
「俺もだよ、千冬姉」
確認するつもりで呼んだ名前は、まるで耳に入らぬとばかりに無視された。
いや、なんだコレ。
違う。
『誰』だ、コレ?
千冬姉が、弟の言葉をこうも自然と聞き逃すか?
15年の生活を共にしたこの人の事は、この俺が最も理解しているつもりだ。
なのに俺は、どうやったって俺の姉である筈の目の前の女性が、どう見たって俺の姉である女性が誰だか分からなかった。
「そうだな、何処から話そうか。」
緊張してらっしゃるこの方の発言を遮らず先を促す。
「『わたし』はな、物心ついた時からこんな感じだったらしい。可愛げのない子供で、両親からも疎まれていた」
両親、という単語に自然と眉が上がった。それは姉が避けていた話題だ。
しつこく聞いても教えてくれなかった、俺の父と母のこと。
「形だけの家庭だったよ。正直、苦痛でしかなった。離婚も秒読みだっただろう。だけど、お前が産まれた。
あの見えだけの男と、自己保身だけの女から産まれたお前は、壊れそうな家庭の鎹(かすがい)となった。
居場所のなかった『わたし』も、お前の姉として必要とされた」
お前の産声も、お前の泣き顔も、お前を抱いた温もりも、お前から初めて握られた指の感触も、私は今でも覚えているよ。
まるで天使でも見たかの様な口ぶりに、まあ俺って今でも天使みたいなもんだし、と納得した。
「その後数年はそれなり平和だったよ。しかし、私は思ったのだ。この家庭にお前は必要だが、お前にこの家庭が必要なのか、と。
外面だけの感情的な男と、怯えるだけの卑屈な女。そんなものが、お前に必要なのかとな」
覚えていない父と母、その二人を口にするこの女性は、何を思うのか。
「ある日、私は不要だと判断した。あいつらを力尽くで追い出した。喜べ一夏、お前の両親は生きている。
会おうと思えば少々手間だが会えるぞ? 要人保護プログラムの対象者とは言え肉親には違いない。
お前が望めば数日中に面会も叶うだろう」
想像しようとして、辞めた。
分からないことを理解する努力は大切だが、分からないことを理解したつもりになるのはよろしくない。
俺は、俺の姉からそう教わったから。
「別にいーや、別に保護者には不自由してねーから。向こうがどうしてもって言ってきたら教えてよ」
「うむ、承知した」
コイツ本当にハタチそこそこの女かよ。
なんだよ承知って。武士かよ。
もっとキャピキャピしろよ。
「話を戻そう。わたしはお前の両親を追い出した責任として、わたしに出来得る限りの教育をしてきたつもりだ。
この一カ月間、その成果を見た。お前はもう十分に、自分で考え行動できる個人であると判断した」
テーブルの向かいに座る女は平然とした顔の裏側で、空気を静まり返らせる緊張感を放つ。
圧力をかけているのではなく、ただこの女の緊張が伝播してるだけってのが驚き轟きドン引っきーなポイントである。
「お前は、立派な個として成長した。だから、私も『わたし』であろうと思う。
保護者ではなく、『わたし』と云う個であろうと思う。少なくても、今日だけは」
一度だけ、息を吸った。
一瞬だけ、目線が迷った。
一秒だけ、言葉をためらった。
「わたしは、織斑一夏を愛しているのだ。姉としてではなく、一人の女として」
静かな、ただただ静かな告白だった。
「もしお前が手に入るのなら、私は何も要らない。
もしお前が私を選んでくれるのなら、私は何にも負けない。
もしお前が私と歩んでくれるなら、それだけは私は生きていける。
だから、一夏―――」
それは、懇願だ。
愛しているから応えてくれと懇願しているのだ。
答えなんて決まっている。
悩むことなんかない。迷うことなんかない。
こんな素晴らしい女が俺を欲しいと云っているのだ。
求め訴えているのだ。
答えは一ツだ。
愛ってのは、真ん中に心を持つ。
何より自分に取って大事な精神的な心臓、真ん中の心。
きっと一番素直に、恐らく最も貪欲に、人生に密着するものだ。
俺は、『真心(アイ)』を殺した。
「千冬姉さんの事を、愛してる」
それは、これ以上に無い明瞭な拒絶の言葉。
俺は努めて無感情に、言の葉は吐いた。
姉弟の恋愛なんて認められない。
社会に生きる個として、禁忌は冒してはならない。
俺は。
俺の姉から、そう教わったから。
「―――ああ、良かった」
音もなくこぼれた、一滴だけの涙は。
素のこの人が流した、痛みの結晶だ。
感謝の言葉はきっと、常識を優先した弟への感想だったり、自分のこれまでの教育が間違っていなかった満足だったり、社会に反して生きる必要がなくなった安心だったりするんだ。
謝るな。頭を下げるな。
俺は、俺が正しいと思う選択を選んだんだ。
自分が許されたいが為だけに、好意を踏みにじった相手に対して心にない謝罪をする人間になるな。
それは、想ってくれたこの人に対する侮辱だ。
俺は、俺の姉からそう教わったから。
「千冬姉を愛してる。貴女の事を、きっと誰より愛している。愛してる」
「お前は本当に、自慢の弟だよ」
目の前の女性は、とっくに俺の姉に戻っていた。それでも。
俺の一言一言が、きっとこの人の心を切り刻む。それでも。
それでも、きっと俺には伝える義務がある。
真摯な想いには、真摯に答えなければならない。
それが礼儀だと、俺は俺が尊敬する姉に教わったのだから。
「今日は呑もう。呑みたい気分だ。付き合え、一夏」
「うん!」
唐突に始まった酒盛りは朝まで続き、頭を割りそうな二日酔いと共に起床した俺が全裸且つ下着姿の姉と同衾しており真剣に肉体関係を危ぶんだのは、また別のお話し。
イッピー知ってるよ。お酒は怖いとても怖い。イッピー知ってるよ。
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ちょっと諸事情により時間がないので簡単に。
・拙作の三次創作をとある方に書いて頂いております。
気になる方はハーメルン様にて[Inside/SAMURAI]と検索ください。
・ハニトラの作者が一向に更新しないのでぶん殴りたい
・IaIの人が中の人と鈴の中学時代の話書くってよ! 書くってよ!
・ポルノは絶対どっかで使うと思ってミュージックアワーは使いませんでした。
当時勧めてくださった方すみませんでした!
遅くなりましたが、宜しければ今年も読んでやってください。
休日出勤からの食事すら抜いた突貫マゾプレイなう、真下屋でした。
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