皆さんは知っているだろうか?。
人間の住む、この地球を多くの悪の魔の手が狙ったことを。
それは宇宙人、地底人、異次元の怪物、秘密結社など悪の軍団がこの青く美しい地球を我が物にしようと企んだのである。
だが地球には勇敢な戦士たちが存在した。
オートバイで大地を颯爽と駆ける戦士、カラフルな強化服に身を包んだ戦士、屈強な金属製のアーマーを持つ戦士、不思議な力を与えられた戦士など数えればキリがない。
彼ら戦士たちは悪が蔓延る度に人々の笑顔を守るために何度でも立ち上がった。
しかしそんなヒーローたちもかつてない危機に瀕していた。
大都会に突如として巨大な欧州の古城を思わせる城が出現したのだ。
そして黒の魔王と呼ばれる謎の男が古城より顔を出し、かつてヒーローたちと壮絶な戦いを繰り広げた敵たちを復活させ操り、人類に宣戦布告したのである。
仮面ライダー1号、アカレンジャー、宇宙刑事ギャバン、キカイダーの四人が中心となりヒーローたちは黒の魔王を迎え撃ったものの、圧倒的な戦力差の前に多くの戦士たちが散っていった。
もはや地球は黒の魔王の手に堕ちたも同然だった。
ヒーローたちは敗戦を重ね、生き残った戦士たちは数えるほどになってしまったのだ。
地球が死の星と化したとは露知らず、地球を目指している六人の若者たちがいた。
「久しぶりに俺たちの第二の故郷ってやつに帰ってみるか」
船長のキャプテン・マーベラスがそう言うと、残りの五人が歓喜の声をあげた。
彼らもまた海賊戦隊ゴーカイジャーとして宇宙帝国ザンギャックから地球を救った戦士たちなのである。
ザンギャックを倒し、地球を救った彼らは新たなお宝を求めて、ザンギャック星へ旅立った。
その後、ザンギャック帝国を制圧し、見事お宝を手に入れたのである。
そんな彼らは数年ぶりに地球を楽しむつもりだった。
地球に帰って何を食べようかなどと気分は高鳴った。
しかし彼らの希望は無残にも打ち砕かれた。
建物は破壊され、炎は燃え盛り、人々は逃げ惑う。
六人とも唖然とするだけで言葉が出てこなかった。
特に地球人である伊狩鎧は膝から崩れ落ちた。
何故、地球はこんな死の星になってしまったんだ。
ゴーカイジャーの拠点である宇宙船ガレオンの中にいる誰もが同じ事を心に思っていたに違いない。
地球に降り立ち、辺りを探索する。
これがあの地球なのか。
「いったい誰がこんな事を!……」
マーべラスは近くにあった電柱に拳を打ちつけた。
ゴーカイジャーの全員が怒りに心を振るわせる中、ゴーカイジャーの前に現れたのはマゼンダ色とバーコード思わせるライダー。
世界の破壊者ディケイドだ。
その隣にはディエンドもいる。
「おい!俺たちがいない間に何が起こった?!分かるように説明しやがれ!」
「大都市に突如として古城が現れた……城の主は黒の魔王。俺たちヒーローが倒してきた敵を操り、さすがの俺たちもお手上げって訳だ」
「てめぇらがいながら何て有様だ!」
今にもディケイドに掴み掛かりそうなマーベラスをハカセとアイム。
自分たちは何の為にレンジャーキーを返却したのか。
こういう時の為ではないのか。
それがマーベラスは許せなかった。
「この世界の未来はお前らに係っている。電ライナーという時の列車にヒーローが再び集う時、この世界は変わる。だからお前らをここで死なせる訳にはいかない」
「意味不明な事ばっかり言いやがって、ふざけんな!俺たちは海賊だ。やりたいようにやらせてもらう!」
「予想通りの答えだな、マーベラス。後は海東頼んだ」
「あぁ……分かってるよ」
ディエンドは銃口をゴーカイジャーの面々に向けた。
だがゴーカイジャーに危害を加えるつもりは無い。
ディエンドはインビジブルを使ったのだ。
インビジブルとはワープ移動をさせてくれる便利な能力を持っているのだ。
「お前たちが最後の希望だ。ヒーローは必ず復活する!それを覚えておけ!」
ゴーカイジャーたちの耳に聞こえたディケイドの声はそれが最後。
あっという間に光線のようなものに包まれ、気が付くと見知らぬ電車の中にいた。
「君たちがゴーカイジャーだね?」
「そういう君は誰?それにここは何処?」
弱々しい声、細い身体……お世辞にも強そうとは言えない。
「僕の名前は野上良太郎。仮面ライダー電王」
「おい!ここからとっとと降ろしやがれ!早く黒の魔王とかいう奴を倒さねぇといけねぇんだよ!」
「落ち着いてよ!今からその魔王を倒しに行くんだよ……過去にね」
「何ぃ?!」
「残念ながらモモタロスたちを失った僕だけじゃ何もできないからね」
その時、電ライナーに非常警報が鳴り響く。
その警報は侵入者を意味した。
「ちょっと!電車大丈夫なの?」
ハカセの情けない声に良太郎は走り出した。
侵入者を捕らえるためだ。
マーベラスたちは良太郎を追った。
もし侵入者を発見してもあんな軟弱な男では捕まえれるかどうか怪しいからだ。
だがそれどころでなかった。
電車には既に火の手が回り始めていた。
これではオーナーのいる操縦室へも行けそうにない。
「飛び降りるしか生き残る道はなさそうだね……時の狭間に落ちるように祈って」
「その時の狭間とやらに落ちなければどうなる?」
「ずっとこの異空間を彷徨い続ける」
どちらにしろここから飛び降りなければ生きていられない。
「行くしかねぇな!」
マーベラスが豪快に飛び降りると続いてジョー、ルカ、ハカセ、アイム、鎧の順に飛び降りていく。
「みんな……必ず助けるからね!」
良太郎も電ライナーから飛び降りた。
彼らの運命は?!……次回へ続く!