新暦71年4月29日のミッドチルダ北部臨海第八空港火災から、一年と一ヶ月強が過ぎた。
被害者の一人であるスバルは今、同じミッドチルダ北部第四陸士訓練校の始業式に参加していた。
彼女の瞳には怯えや苦しさと言うものが無く、むしろこれから始まる訓練に意気込み、楽しんでいるようにも見えた。
スバルのシャツの下には、チェーンに吊るされた雑誌の切り抜きの白い女神が居た。
(わたしも、なのはさんみたいにかっこよく、そして、皆を守る魔導師になってみせる!)
あの事件以降、彼女は勉強と鍛錬をし始めるようになり、見事訓練校の試験を突破して訓練生へとなることができた。
心に彼女の女神であるなのはのデバイスの名、不屈の心を宿して今日から頑張ろう、そう決めたのだ。
……決めたのだが。
「今日からルームメイトでコンビですね! よろしくお願いします」
「正式な班とコンビ分けまでの仮コンビよ。ティアナ・ランスター、十三歳……よろしく。
部屋に着いたらさっさと着替えてね。準備運動しっかりやりたいから」
「は、はい……」
(ランスターさん年上だぁ……! 何か近寄り難い雰囲気発してるし、綺麗な人なのに、何か……怖いなぁ)
コンビとなるティアナの雰囲気に呑まれ、彼女のわくわく感はあえなく撃墜されることとなったのだった。
エピソードzero 愚直に、正直に ~新暦72年6月~
32号室に割り振られた二人はティアナ、スバルの順で部屋へと入り、こじんまりとした部屋に少しがっかりした。
「……やっぱりパンフレットは見栄えの良いのを使ってるのね」
「……みたいですね」
双方同じことを考えていたようで、お互いの残念そうな顔を見て二人共「ぷっ」と噴出してしまった。
しばらく立ったまま笑い合い、スバルは「この人となら、やっていけそうな気がするよぉ」と胸を撫で下ろした。
そして、もう一度部屋を見回してスバルがあることに気付く。ティアナもまた、同様に気付いたようだった。
「……あれ? コンビの部屋ってベッド二つって言ってましたよね……?」
「ええ……、教官のお言葉が本当ならそう……あ」
ティアナは何かを思い出したように、鞄から先ほど支給された訓練士手帳をぺらぺらと開き始め、寮の部屋のページを開いた。
「……寮の部屋割りは原則二人によって構成されるものとする。しかし、余りが出てしまった場合、例外にし、三人部屋とするってあるわね」
「ってことは、余りが出ちゃったんですかね?」
「タメ口で良いわよ。今年は特殊専攻科も増設されたから……、もしかするとそうかもしれないわね」
スバルやティアナが所属する士科は、陸戦魔導師総合科、今年増設されたのは陸戦魔導師特殊専攻科と言って違う分類の科だ。
後者はとても難易度が高く、最低でも魔導師ランクB以上の者しか入学が認められていない特別コース。エリートと言っても良いだろう。
なので、総合科の寮部屋に三人部屋があると言うことは、特殊専攻科で余りが出たと言うことになる。
一人部屋も可能なのだが、無駄が多いため却下されることが多いので、今回もその処置のせいだろう。
コンコンッとドアがノックされ、顔を出したのはやや身長の低い銀髪のウルフテールの少女。
「えっと……、余っちゃったんでこちらで厄介させてもらいます。ツキフィリア・シュナイデンです。よろしくお願いします」
「え、あ、こ、こちらこそ! スバル・ナカジマです! 歳は十二です」
「……ティアナ・ランスターよ。十三歳」
「あ、二人共年上ですね。私、十一歳です」
「「え?」」
自分よりも年下が、自分よりも高い魔導師ランクを持っている。驚愕に値する出来事だ。
魔導師試験の勉強を必死にしてきたティアナのプライドが砕かれたのは当たり前のことだった。
「私のことはツキって呼んで貰って構いません。今日からよろしくお願いします、ティアナさん、スバルさん」
「うん、よろしくねツキちゃん!」
「…………」
ティアナはツキを上から下へと幾度も見返すが、自分が劣っている点が見当たらない。
むしろ、なぜ彼女が自分よりも上であるのかが分からなかった。
『ランスター家の誇り』を胸にやっと受かった訓練校だと言うのに、彼女は悠々と入ったのだろうと想像して堪らなくなった。
そんなティアナを察したのか、ツキはにっこりと笑顔で言った。
「いやー、お二人とも凄いですね。誰かを救うようなお仕事の方へ就くなんて、私には恐れ多くてできませんよ」
「……何? 嫌味?」
「ちょ、ランスターさん!?」
「いいえ、事実を言っただけですよ。私は誰かを救うことなんてできないですから」
ティアナは悲しそうなツキの眼を見て戸惑った。何故、この少女はこんなにも悲しい顔で笑みを浮かべるんだろう、と。
ツキはふっと笑みを作り直して、ダブルベットでは無くシングルベッドの方へ荷物を置いた。
「ティアナさん、スバルさん、頑張ってくださいね。誰かを救うってことは簡単じゃないんです。助けただけじゃ、人は救えないんです」
――心までは救えないんです。ツキは鞄から教材などをベッドの枕の横に置いて、悲しげに言った。
ティアナはバツの悪そうな顔で、先ほどの自分の態度が嫉妬から来たものだと冷静になってようやく気付いた。
馬鹿なことをしたなぁ、とティアナは謝罪の言葉を述べようとした。
「……あの」
「それじゃ、私はもう行きますね。訓練頑張ってください」
だが、ツキはティアナの言葉を遮って笑顔で部屋から出て行った。「待って」と言えずにティアナは行き所を無くした謝罪の言葉を飲み込んだ。
スバルはぽりぽりと気まずそうにティアナに言った。
「戻って来てから言ったらいいんじゃないかな? これから一緒に生活するんだし、チャンスはたくさんある……たぶん!」
「……くすっ、それもそうね」
ティアナは苦い顔でスバルの提案を受け入れ、訓練服の入った袋を担いだ。
その後、二人は訓練準備室で訓練服へと着替え、柔軟などをしつつ教官の指示を待った。
「では1番から順番に訓練用デバイスを選択しろ。見た通り、ミッド式は片手杖か長杖、ベルカ式はボールスピアだ。
また、自作デバイスの持ち込みは許可する。自分にあったデバイスを受け取るように」
「スバルだっけ、デバイスは?」
「わたしのはベルカ式なんだけど、変則なんだ。だから持ち込みの自前。ほら、これ」
スバルは手にした鞄からやけに重そうなローラーブーツとリボルバーのついたナックルを取り出した。
「ローラーブーツは自分で組んだ奴。リボルバーナックルはお母さんの形見なんだ。こんな感じ!」
右手にリボルバーナックルを装着し、ローラーブーツを手慣れた様子で履いたスバルに「へぇ」とティアナは感心する。
見た目からして相当な重量だと言うのに慣れた手つきで装着を行っていると言うことは、それだけの練習を積んでいると言うことに相違無い。
だから、ティアナは素直に彼女の努力に関心したのだった。
「変則同士で組まされたみたいね」
ティアナは鞄からアンカーガンを取り出した。それを見て「銃型だ!」とスバルは嬉しそうな声をあげる。
その声にちょっと満足感を感じたティアナはくるくるとアンカーガンを回転させてから、カウボーイのようにストンっと脇下のホルスターへ入れて見せる。
「すごーい!」
「ミッド式で、カートリッジシステムを組み込んだ自作よ。……っと、そろそろ行くわよ」
「うん!」
陸戦訓練場に出た二人はパンフレットに乗っていた写真よりも広い訓練場を見て感嘆の声を漏らした。
「デバイスを受け取ったコンビは整列!」
「「は、はい!」」
教官の前には二つの列があり、右側が特殊専攻科のコンビ、左側に総合科のコンビが並んでいた。
よく見ればその中に一人だけで居る銀髪のツキが見えた。たった一人で、並んでいた。
「あの子……」
ティアナがツキのことを見つけ「辛いだろうに」と同情した。スバルも気付いているが、今は何もできないと分かっているため何も言わない。
「今日の訓練は特別に特殊専攻科と総合科の混同訓練だ。迅速にペアを組むように。
ラン&シフト、垂直飛越、フラッグ奪取の訓練を行う。ペアを組んだコンビから並べ! 以上!」
『はい!』
わらわらと訓練生達が「ペアを組まないか」と話す中、ティアナとスバルは一目散にツキの下へと向かった。
「一緒にやらない?」
「……え?」
声が掛けられたことに驚いた様子で振り返ったツキは微笑んでいる二人の顔を見て「ああ、そう言えば」と微笑み返した。
ツキはどうせ自分には誰にも話しかけてこないだろうから、一人でこなしてしまおうと思っていたのだ。
「……随分と仲が良くなったようですね? 先ほどと雰囲気が違いますよ」
「……さっきはごめん、言い過ぎた」
「……別に、構いませんよ。私、貴方達のことが好きになりました。これからよろしくお願いしますね」
「ええ」
握手を交わしたティアナとツキは笑みを見せ、スバルを連れて列へと並んだ。
「そう言えば、ツキのデバイスは?」
「あ、失念してました。このバトルグローブです」
「あ、ツキちゃんも前衛なんだ!」
「お揃いだね!」とスバルがリボルバーナックルを見せて燥ぐ。「そうですね」と答えたツキの顔は楽しそうだった。
「私は中衛よ、二人のフォローに回るわ」
アンカーガンを見せ、ティアナも自然に微笑んだ。スバルはその顔を見てまた「綺麗だなぁ」と思った。
雑談をしているうちに列が進んでいき、ようやくツキ達の順番になった。
「次! Bルートでラン&シフト!」
『はい!』
「障害突破してフラッグの位置で陣形展開、ツキとスバルは先行して場所の確保。私はフォローに回るから」
「了解」
「わかった!」
「GO!」
教官の指示と同時にクラウチングスタートから凄まじい速度で飛び出したスバル。
それを横で見て「ちょ!?」と、彼女の起こした土煙に巻き込まれた二人は尻もちをついてしまった。
「フラッグポイント確保ッ!!」
「――ッ」
舌打ちしたティアナを見て、やれやれとツキがフォロー。
「ティアナさん! 舌噛まないで!」
「へ?」
教官が笛を吹こうとする前に、中腰になったツキがティアナを抱えて、凄まじい速度で翔けた。
ダンッ、ダンッ、ダンッ! と、ティアナを抱えてルートを超高速で進むツキに教官は唖然とした顔で立っており、笛を吹くのも忘れていた。
「フラッグポイント奪取ッ! 陣形確保後、リスタート!」
ツキのその声にハッとしてティアナがスバルに「やり過ぎよ馬鹿ッ!」と囁く。
「スリーカウント、リスタート。スリー、ツー、GO!」
息を合わせるためにカウントしたツキがティアナを抱えたまま飛び出す。
先ほどとはやや遅めで、スバルのローラーブーツの速度に合わせた速度で進む。
それを見てやっと自分が出過ぎたことを悟ってスバルが慌ててそれに続いた。
教官は苦い顔で先のそれを見逃すことにして、次のグループの指示へと戻った。
「スバルさん! 魔法障害壁をナックルでブレイク! ティアナさんはこのまま私を脚にして、周りのフォローをお願いします!」
「「了解!」」
急ごしらえとは思えないチームワークでBコースを走破したツキ達は、ゴール地点でほっと胸を撫で下ろした。
次の列に並んでいる最中にティアナがコツンとスバルの頭を小突いた。
「あなたねぇ……、ツキがフォローしてなかったら確実にペナルティよ、あれ」
「ごめんなさい……」
「まぁまぁ、教官が見逃してくれたのが大きいですから。スバルさんは自分の限界値を見直した方がいいかもしれませんね。
ティアナさんとコンビをやるなら、まず両方で力を合わせないと上手く機能しませんよ」
「……そうね。ありがとう、ツキ。助かったわ」
「いえいえ。こうして私がちょっかい出せるのもこういう場だけですから」
――私は元々ワンマンアーミーですし。ツキはそうにっこりと笑みを浮かべながら言った。
その言葉を聞いてティアナは「もしかして、この子自分から一人になった?」と憶測を立てたが、列が進んだために話題は流れることになった。
「次は……垂直飛越ですね。私が下をやりますから、お二人が先に上がってください」
「え? でも、わたしが下の方が良いんじゃない?」
体格差的に、三人の中で一番軽くて身長の低いツキよりも、力のあるスバルの方が良いと考えたのだろう。
しかし、ツキは先ほどの出過ぎた件でスバルが自分の力の制御ができていないことを見抜いていた。
そのため、自分が下になると言ったのだ。
「……本来であれば、それが最良です。しかし、スバルさんは未だに自分の力を使いこなせてません。
だから、スバルさんを下にすると私達は人間砲弾よろしく投げ飛ばされるのが目に見えてますので、ティアナさんの代わりに私を引き上げてくれれば結構です」
「……ふふっ、それもそうね」
ティアナがその愉快な光景を思い浮かべて笑い、同意した。それに、とツキが言葉を続けた。
「あれくらいなら私、飛び越えられますし。やってみせましょうか?」
「「…………………………え?」」
「次! 垂直飛越、Aコース!」
教官の指示が飛び、慌ててスバルとティアナがAコースの壁へとついた。
一人ずつ綺麗に壁の上に上げたツキは、先ほど言った通り、脚力のみでスバルとティアナの間に着地した。
「わぁお」
「……嘘ぉ!?」
「お先に失礼します♪」
してやったりと言った顔でツキが壁を下りた。「わたしも!」とスバルが続いて降りた。
「え、あ、ちょ!? 私はどうやって降りるのよ!」
本来なら、スバルが壁の上に残りティアナを吊り下げる形で下ろさなくてはいけないのだが、調子に乗ったスバルは先に降りてしまった。
結局、「あちゃー」と言った様子で顔を手で押さえたツキが、ひょいっと壁の上に戻り、ティアナを抱えて降りた。
そのせいで教官に怒られて腕立てを二十回させられた三人は何とも楽しそうに愚痴り、愚痴られるのだった。
「ラストはフラッグ奪取でしたね。確か……」
フラッグ奪取は、ラン&シフトで使われたコースのゴール地点にフラッグを置き、それを如何に早く奪取するかを問われる訓練だ。
「フラッグ奪取にはオートスフィアを設置してあるため、妨害がある。飛行魔法以外の魔法の使用を許可する!」
「へぇ……、オートスフィアも使うんですね。と、なるとまた私がティアナさんを担ぎますか」
「……いや、スバルに運んで貰うわ。ツキが先行して遊撃、私がスフィアを破壊するわ」
「え? 私がランスターさんを!?」
「ええ、だってツキの方が速いもの。攪乱するにはそちらの方が良いし、それにあんた近距離戦オンリーなんでしょう?」
「い、一応砲撃魔法も……あります!」
「……それに、年長者が最年少に乗ってるのってかなり辛いのよ?」
そのティアナの一言に「あぁ……」とスバルは納得した。確かに、身長の低いツキよりもスバルが担いだ方が見栄えが良いに決まっている。
むしろ「小さい子になんてことを!?」と言われかねない残念な見栄えである。
「次! フラッグ奪取、Bコース!」
『はい!』
定位置につき、ティアナがスバルの肩に乗る。下になったスバルは「ツキちゃんはこんな体勢であんなに早く動けたんだ……」と驚いていた。
「征きますッ!」
先ほどの数倍の速度で翔けだしたツキを見て、スバルとティアナは「速ッ!?」と声を漏らした。
慌ててスバルが全速力でツキを追う。目線が高いティアナの瞳には、先行してオートスフィア達を攪乱しているツキの姿が見えていた。
左右に揺れるオートスフィアにアンカーガンを向け、トリガーを引き、射撃魔法を発動させる。
オレンジ色の魔力弾がツキを追っていたオートスフィアを掻っ攫う。
「第二波、二時方向から来ます!」
「了解!」
「第三波、八時方向!」
「第四波、五時方向! ……ティアナさん、大丈夫ですか!?」
「だい、じょーぶよっ!!」
どんどんと現れるオートスフィアの数に焦りながら、ティアナはきっちりと狙って魔力弾を放っていく。
しかし、彼女の許容量を超えたオートスフィアの数に、ティアナのアンカーガンが悲鳴を上げる。
カチンッとアンカーガンから聞こえて、トリガーを引いても魔力弾が撃てなくなった。
「嘘!? ジャムった! ツキ!」
「了解です!」
逃げ回ることを止めたツキは螺旋を描くようにオートスフィアの周りを囲うように走り、誘導して一ヵ所に集めた。
「破砕烈火ッ!」
ツキが拳を振るった瞬間、ズドゥッ! と、腹に響くような轟音を立ててティアナの視界が爆炎で染め上げられた。
勿論、彼女に被害は一切無く、犠牲になったのはオートスフィア達だけ。目の前で爆発が起きただけだ。
しかし、フラッグを奪取するまでオートスフィアの侵攻は続く。
第五、第六波が襲いかかり、それら全てツキの起こした爆発によって粉砕されていった。
パラパラと振ってくる破片をシールドで守りながら、スバルは一刻も早くゴールへ辿り着こうとラストスパートをかける。
そして、それを阻止せんと数十体のオートスフィアが特攻をかける。
「スバルさん! ティアナさん! そのまま!」
「分かった!」
特攻してきたオートスフィアは、侵攻を邪魔するツキへ向かってシューターを放った。
ツキは数十のシューターを裏拳で砕き、バトルグローブのガード部分を叩き付け、巨大な魔法陣を足元に作り上げた。
「炸裂烈火ッ!!」
瞬間、巨大な爆発がオートスフィアを巻き込み、ツキの目の前で弾け飛んだ。
だが、次の瞬間、破片が一ヵ所に凝縮され球体を作り出され、さらさらと球体が塵となって風に流れていく。
厳密には、細かく粉砕されたオートスフィアの成れの果てである。
「フラッグゲット!」
ツキの後ろでは、スバルがガッツポーズを、ティアナがサムズアップをしていた。
振り返り、サムズアップで返したツキを二人は笑顔で迎えた。
その後、教官が彼女達に怪我は無いかと尋ね、彼女達は笑顔で「無傷です」と答えたそうだ。
「まさかエミュレーターの故障で大量のスフィアが吐出されてたなんてね」
「そうね、アンカーガンが不調を起こしたのに合点がいったわ……。多すぎると思ってたのよ」
「ツキちゃんのあの魔法って何? 見たことない魔法だったけど……」
午前の訓練終了後、自室へ戻り休憩を果たした三人はくつろいでいた。
ツキのベッドにスバルとティアナがツキを挟み込む形で、雑談に花を咲かせる。
「ああ、アレですか? あれは凝縮魔法による高密度魔力爆発魔法です。
最後のは、今まで使った魔力を集束魔法を応用して一ヵ所に集めたって言うだけで、ほとんど同じなんですよ。
オリジナルの魔法なんですけど、ようやく実戦仕様に組み上げられました」
「え!? あれ、ツキちゃんが組んだ魔法なの!?」
「……文字通り爆発魔法ね」
三人は部屋で高らかに笑い合い、他のコンビの部屋よりも早く、ルームメイトの絆が生まれたのだった。