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No.32612の一覧
[0] コードギアス 黒百合の姫 【第一部完】[電源式](2016/12/05 00:48)
[1] 第1話[電源式](2012/04/02 11:32)
[2] 第2話[電源式](2012/04/06 11:41)
[3] 第3話[電源式](2012/04/06 11:42)
[4] 第4話[電源式](2012/04/06 11:43)
[5] 第5話[電源式](2012/04/17 13:59)
[6] 第6話[電源式](2012/04/17 13:58)
[7] 第7話[電源式](2012/04/29 10:38)
[8] 第8話[電源式](2012/04/19 10:12)
[9] 第9話[電源式](2012/04/17 14:06)
[10] 第10話[電源式](2012/04/26 09:51)
[11] 第11話[電源式](2012/04/26 09:53)
[12] 第12話[電源式](2012/04/26 09:54)
[13] 第13話[電源式](2012/04/26 11:11)
[14] 第14話[電源式](2012/04/29 10:39)
[15] 第15話[電源式](2012/05/10 09:49)
[16] 第16話[電源式](2012/05/10 09:21)
[17] 第17話[電源式](2012/05/10 10:14)
[18] 第18話[電源式](2012/05/21 10:38)
[19] 第19話[電源式](2012/05/25 09:53)
[20] 第20話[電源式](2012/05/25 10:13)
[21] 第21話[電源式](2012/05/25 09:54)
[22] 第22話 オレンジデイズ[電源式](2012/06/01 11:46)
[23] 第23話[電源式](2012/10/29 00:59)
[24] 第24話[電源式](2012/06/11 10:30)
[25] 第25話[電源式](2012/06/01 12:20)
[26] 第26話[電源式](2012/10/29 01:04)
[27] 第27話[電源式](2012/06/11 11:12)
[28] 第28話 あの日の夜[電源式](2012/07/04 16:44)
[29] 第29話 目覚めた私と妖精さん[電源式](2012/06/12 10:45)
[30] 第30話[電源式](2012/06/12 10:46)
[31] 第31話 旅立ち の 日[電源式](2012/07/04 16:42)
[32] 第32話[電源式](2012/08/11 22:46)
[33] 第33話 狸 と 子狸[電源式](2012/09/14 10:36)
[34] 第34話[電源式](2012/10/29 01:08)
[35] 第35話[電源式](2012/12/18 15:15)
[36] 第36話 あの夏の日に聞いた蝉の声を僕達は忘れない(前編)[電源式](2012/12/31 01:07)
[37] 第37話 あの夏の日に聞いた蝉の声を僕達は忘れない(後編)[電源式](2014/02/05 02:20)
[38] 幕間 鳥籠の楽園[電源式](2017/01/29 00:47)
[39] STAGE 0.025 とある戦場の神  ※2017/1/29 おまけ部分追加[電源式](2017/01/29 00:58)
[40] STAGE 1.000A 必然 ノ 邂逅[電源式](2016/12/05 00:08)
[41] STAGE 1.000B 困惑 ノ 邂逅[電源式](2017/01/29 01:02)
[42] STAGE 1.000C 絶望 ノ 邂逅[電源式](2017/02/09 00:43)
[43] STAGE 1.500 邂逅 ノ 果テ[電源式](2017/04/18 01:07)
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[32612] 第23話
Name: 電源式◆6176b633 ID:c371b823 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/10/29 00:59



 季節は巡り、俺がリリーシャとして覚醒してから最初の春を迎えた。
 吹き抜ける穏やかな風。
 心地良い暖かな陽だまり。
 寒暖の差も小さく、最も過ごしやすい季節。
 窓の外に望む庭園の花壇には色とりどりの花々が咲き誇り、誘われた蝶が舞い踊る。まさに生命の息吹を感じる光景を見ることが出来た。

 だがそんな季候とは裏腹に、俺の中では刻一刻と緊張感が増していた。
 そう、間もなく運命の日が訪れる。
 ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアの身に起こった最初にして、俺のその後の人生を決定づけた幼少期最大の事件=第五后妃マリアンヌ暗殺事件が。

 運命を決定づける最初のターニングポイントであり、介入の結果如何では大きく歴史を変え、延いては世界を変えられる可能性がある。
 いや、可能性で終わらせはしない。
 変えてみせる。違う、変えなければならない。
 でなければ俺がこの世界、そしてこの時期に存在している意味がないのだから。

 もちろん来るべき日を知っている以上、準備を怠るような愚は犯していない。
 努力を続けた結果、母マリアンヌによる訓練は一つの節目を迎えた。
 そう、最後まで完全に意識を手放すことなく耐え抜くことに成功したのだ!
 思えばどれだけ辛く険しい道程だっただろう。
 それでも俺はやり遂げ、その達成感を噛み締めた…………のだが、次の訓練では第二形態──もちろん主観的な想像だが──となった母マリアンヌによって瞬殺され、再び振り出しならぬベッド覚醒へと戻った。
 狡いとか卑怯とか汚いとか、そんな次元の話じゃない。真正面から他者を圧倒できる重圧。無理だ、勝機を想像することすら出来ない。全盛期は疾うに過ぎているはずだが、一体どれ程の力を有しているというのだろうか?
 あれこそ本当のチートでありバグだ。
 まあ母マリアンヌに勝つ云々は別として、子供ながらに高い戦闘能力を手にする事が出来た事実を喜ぼう。尤もギアスという超常の力に相対するには分が悪い現実に変わりないが……。

 そしてロイドの次世代KMF開発をアドバイザー兼シミュレーターのテストパイロットとして手伝う対価に、冷凍睡眠コールドスリープ装置とは名ばかりの超強力瞬間冷凍庫の制作を依頼。物が物だけに不審に思われることは理解していた。もし依頼理由を聞かれれば説明に困っていただろう。例え相手がロイドでも不死者対策などと本当のことを告げるわけにはいかず、水産業に手を出すという言い訳も苦しすぎる。
 ただ拍子抜けすることに仕様を確認する以外、ロイドが深く追求してくる事はなかった。有り難いことなんだが何とも……。
 やはり共犯者というだけあり、ロイドとリリーシャの信頼関係は想像以上に強かったのだろう。
 それともリリーシャを手放さないために、多少の我が儘は無条件で受け入れるつもりなのか?
 軽く探りを入れた結果、返ってきた答えは「まあ殿下だから」の一言。さすがはリリーシャ、憧れも痺れもしないが。
 これはリリーシャの普段からの異常性に感謝するべきだろうか?

 また皇族という立場と閃光のマリアンヌの威光を利用した働きかけにより、アッシュフォード家からガニメデを借り受ける許可を得ることにも成功した。欲を言えばより性能が高いグラスゴーを用意したかったのだが、さすがに軍の機密施設=円卓から拝借する事は不可能だ。
 かつて孫娘のミレイ・アッシュフォードを俺の婚約者とする事で、皇族との繋がりを確固たるものにしようと画策した現当主=ルーベン・アッシュフォードなら、リリーシャを無碍に扱う事はないと踏んだのだが、その考えは間違っていなかったようだ。
 事前に何度か研究施設に赴き、KMF開発に興味を抱いている姿勢を見せていたこと。そしてここでもロイドとの繋がりが役に立った。
 いくら皇族であり、異常性を持つリリーシャと言えど所詮は子供。二つ返事で承諾することは難しいだろう。
 故に──KMF開発に初期段階から参加している実績を持ち──次世代機械工学の分野で頭角を現わすロイドというカードが効果を発揮する。
 残念ながらアッシュフォードのKMF開発は頭打ちだ。それは歴史が証明している。母マリアンヌ暗殺の影響により開発が頓挫した事が主要因ではあるが、現状でもガニメデの後継機がグラスゴーとの設計開発競争コンペティションを勝ち抜けるとは思えない。
 元々専門分野が違う──アッシュフォード側は福祉利用の面からアプローチを支援していた──ため仕方のない事だが、それこそ小型化を始めとする根本的な技術革新ブレイクスルーが必要だ。尤もそれは当事者であるアッシュフォード側が一番理解している事だろう。
 ならば後はロイド側からの技術提供を匂わせてやればいい。
 実際に提供するかどうかはまた別に話だが、今後を見据えて恩を売っておくのも悪くはないと思っている。外部への情報管理を徹底する必要があるのは面倒だが。

 ただ、ギネヴィアとの最初の会談で知る事となったリリーシャの──俺が持つ未来知識や情報・技術を使用した──暗躍。
 それにより一体どこまで歴史改変が進み、また変化が起こっていくのか予測できず不安だった。
 最悪の場合、もう未来知識が通用しなくなる可能性を考えた。
 しかし俺の杞憂に反して、世界は何も変わらない。
 いや、何もというには語弊がある。俺が体験した過去には存在しないリリーシャ・ヴィ・ブリタニアと、彼女に内包されたもう一人のルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが存在し、なおかつ双方が意志を持って動いていた以上、その結果多々差異が生じる事は当然だった。
 ここ数ヶ月に起こった出来事を、いくつか簡単に挙げるとすれば────



 まず何を置いても外せないのが、ナナリーとの関係の改善だ。
 なんと顔を合わせた際、逃げずに自分から挨拶してくれるところまで関係回復に漕ぎ着けた。その身に触れることは未だ許してはくれないが……。
 言いたいことは分かる。改善と言って良いのかは微妙だし、未だスタートラインに立てたのかすら怪しいが、何を馬鹿なことをとは言わないでくれ。
 かつての俺にとっては小さすぎる──というかむしろ後ろ向きの──一歩かも知れないが、今の俺にとっては人類の躍進に匹敵する一歩なのだから。
 一方でルルーシュとの関係改善は微塵も進んではいなかった。本当に二人の間に何があったというのだろうか? 原因を知る術もなく改善のきっかけもない事から、現在に至っても残念ながらルルーシュがリリーシャに向ける敵意に変化はない。
 それ程までに根深い問題なのだろう。時間が解決してくれる問題なのかは分からないが、今は待つほかないのかも知れない。


 次にユフィについてだが……はぁ、自称婚約者のままだ。もちろん何とかして考えを改めさせようとしたが「大丈夫です。リリーシャの本当の想いはちゃんと伝わっていますから」と自己完結していて受け入れてはもらえなかった。それどころか、普段から行動を共にしているアーニャに嫉妬し、事ある毎にべったりとくっついてくる。むしろ悪化していると言って良い……はぁ。
 そんなユフィは勉学に励み、どんな英才教育を受けているのか、想像を遙かに超えた勢いで学力を身に付け、また知識を蓄えている。果たして近くに居るリリーシャという例外の影響か、はたまた彼女本来の潜在能力が開花したのか。
 最近では政治経済だけでなく軍事関連、特にKMFに興味を持ち、軍に見学へ行きたいとコーネリアを困らせているらしい。予期せぬユフィの成長にコーネリアを始め、リ家は頭を痛めていることだろう。


 そしてユフィに対抗心を燃やし、俺の騎士になると公言したアーニャは、有言実行とばかりにジェレミアとの早朝訓練を含む自主訓練に参加し、共に汗を流していた。
 さすがは──現状雲行きは怪しいが──未来のラウンズ候補。まるで乾いた大地が水を吸い込むかの如くメキメキと力を付けている。
 ただその一方、彼女もまた思わぬ方向へ進化しているのではないかと思う。
 何がそう思わせるのかと言えば、彼女の姿を見れば一目瞭然だった。
 裾の長い黒のワンピースに、フリルで装飾された白いエプロンを組み合わせたエプロンドレス、頭部にもエプロン同様にフリルで装飾されたカチューシャ=ホワイトプリムが載せられている。ヴィクトリア朝の侍女服。そう、俗に言うメイド服を身につけている。
 何故だとは問わない。普段から侍女の真似事を続けていたアーニャに対し、母マリアンヌが悪ノリした結果だ。どうせ、俺が喜ぶとかリリーシャはメイド萌えだとでも吹き込んだのだろう。本当に止めて欲しい。
 しかも思考を毒された本人が妙に気に入ってしまったため四六時中、それこそ訓練にまでメイド服着用で参加する始末。
 アーニャ曰く「戦闘メイドは正義」らしい……。
 似合っているのだから最早何も言わないと諦めた。


 ギネヴィアとの関係も依然続いている。
 一度蛇の巣穴に飛び込んでしまった以上、さすがに簡単には逃がしてくれそうもない。下手に手を切ろうとしたら、文字通りの意味で俺の首が切られてしまうだろう。
 故に不正情報リストの中でも下位の使い道が少なく、情勢に対して影響力の低い連中を貢物というか生贄に捧げ、お茶を濁し続けている。
 その成果もあって関係は良好……とは楽観できない。利用価値がなくなれば、もしくは邪魔になればいつでも切り捨てる冷酷な蛇が相手なのだから。
 はぁ、会う度に胃が痛くなる。胃薬の買い置き、まだあったかな?


 ギネヴィア繋がりで言えば、彼女を介してカリーヌ・ネ・ブリタニアと茶飲み友達となった。
 そう言えば前の世界でも何故かカリーヌはギネヴィアに懐き、二人が一緒にいる場面を度々目撃していた。幼いカリーヌにはギネヴィアの本質が理解できないのだろう。逆にギネヴィアはカリーヌに対して利用価値を見出していたに違いない。
 ただこの時期のカリーヌにはまだ傲慢さがなく、好戦的な性格でもなく、素直に俺の事をリリーねぇたまと呼んで慕ってくれる無邪気な幼女。満面の笑みを浮かべてクッキーをもきゅもきゅ食べる姿は、妹成分が欠乏している今の俺にとっては目の毒だった。ナナリーには及ばないが、それでも可愛い妹だ。出来ればこのまま成長して欲しいと切に願う。


 ああ、妹と言えばジェレミアの妹、もう一人のリリーシャことリリーシャ・ゴットバルトと、予てより約束していた茶会の席で出会った。約束を反故にするような皇族に民はついてこないからな。
 だが何というか、その出会いは彼女に対する苦手意識を植え付けた。
 初見のイメージはお淑やかな気品ある貴族令嬢だったのだが……。
 いきなり跪かれて足の指を舐められた。
 恥も外聞もなく悲鳴を上げてしまった俺は悪くないと思う。
 ゴットバルト辺境伯家直伝の最上級の忠誠の示し方らしいが、絶対に間違っているとしか言えない。大丈夫か、ゴットバルト家?
 あ、当然嘘だった。
 自慢の妹だと紹介したジェレミアが本気で怒った姿を初めて見た。というか怒りながら泣いていたのかも知れない。
 当の本人に反省の色はなく、興奮した様子で「至高の御御脚ですわ♪」等と平然と口にしていたが。
 アーニャといい、前の世界のミレイ会長といい、どうして俺の出会う貴族令嬢(笑)はこうも微妙な方向にアクティブなのだろうか。



 列挙すれば切りがなく、詳しくはまたいずれ語る機会があるかも知れない。
 だが大きな視点で見れば、歴史を揺るがすような変化は俺の周囲でも、世界情勢を見ても起きていない。
 自然災害などの発生場所や日時も俺の記憶と符合する。ただそれによって生じた犠牲者を救う手立てがなかったのかと問われれば正直答えに困る。救えたかも知れない命があったことは素直に認めよう。見殺しにしたと批判されるなら、それも受け入れる。だけど俺は万人を救える全知全能の神ではない。俺が出来るのは精々心根の優しい子供を演じ、外交に携わるシュナイゼル辺りに国際援助の強化を働き掛け、罪悪感を薄めることぐらいだった。

 世界は変わらない。
 だとすれば間違いなくあの日は訪れる。
 そう、間もなく訪れ……。





「────────────────────ニア様、御入来」





 両開きの巨大な扉が音を立てて開き、その音に釣られて思考の海を抜ける。

 密やかに交わされる周囲の囁きが耳に残り、酷く不快だった。

 ヤメロ。

 静かなざわめきの中、強い想いを込め、毅然とした足取りで赤絨毯を踏む足音が止まる。

 ソンナハズハナイ。

 上げた視線の先、かつての自分と同じ容姿の少年が告げる。

「皇帝陛下」

 ウソダ……。ダッテマダ……。

「母が身罷りました」

 アア、ナニモキコエナイ。

 目の前にノイズが走り、意識が遠退いていく。



 世界は俺の決意を嘲笑う。
 これが俗に言う世界の修正力とでもいうのか?
 っ、ふざけるな。

 リリーシャが何か対策を施しているのではないか?
 そんな甘い考えが脳裏を過ぎり、安易な妄想に縋ろうとする自分の愚かさに殺意が湧いた。

 世界は甘くない。
 そんな事は昔から嫌というほど知っていたはずなのに、現状に戸惑いながらも、未来知識という力に溺れ、また自分は特別な存在だと自惚れて居たのだろう。

 最大のアドバンテージである未来情報が通用しない可能性に気付いていたはずだ。
 それこそ俺がリリーシャとなる前から、この世界は俺が生きていた世界とは別の道を歩んでいた。
 似て非なる世界である以上、未来知識が通用するという大前提から間違っていたのかも知れない。

 だが何れにしろ現実は変わらない。
 世界は変わらない。


 冷たい雨が降った。
 アリエスの離宮に銃弾という名の雨が……。



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