魔人ブウとの戦いから数ヶ月の時が経った。
孫悟空はいつもの胴着ではなく、セルゲームの前に着ていたシャツにジャケットにパンツというラフな格好(きちんとクリーニングされていた)で
ドラゴンレーダーを片手に空を飛んでいた。
魔人ブウの恐怖の記憶を世間から消してしまうためである。
いつもの胴着は洗濯中なのでこの服装だ。
「えっと、次は…。海の方か?亀仙人のじっちゃんの家からはそんなに遠くねぇな?」
海の真っただ中、そこに海から生えたような岩の塊にドラゴンボールが引っ掛かっていた。
「あったあった。三星球か」
悟空はボールをリュックに仕舞うと辺りを見渡す。
と、
「ん?人魚?」
ピンク色のTシャツを着た若い人魚の女の子がいた。
すると、その人魚は悟空を指差し
「あああああっ!!!アンタあの時の!?」
と叫んだ。
「ん?おめぇオラと会ったっけ?」
「…あの時アンタ子どもだったから覚えていないのも無理ないわね…。
あのスケベなおじいさんにオッパイ揉ませてくれって言われて…」
「あーーーーーっ!!!?あん時の!?」
悟空も合点がいったようだ。
亀仙人に弟子入りする時の授業料として、ピチピチギャルを連れて来いと言われた時のことだ。
「いや、なつかしいなぁ!」
「あのおじいさんは…さすがにもう」
「いや、まだ生きてっぞ?」
「うそっ!?」
亀仙人の健在に驚く人魚。
「あん時のオラは『パンチィ』の事を拳だと思ってたからなぁ。後で聞いたらよ、パンツのことだったんだな」
「…だからアンタ達は【穿いてる】とか【穿いてない】とか言ってたのね…」
人魚は頭に青筋をうかべて言う。
(そういや、じっちゃんの界王神さまに女のオッパイやシリ触らせる約束してたんだよなぁ。
でも亀仙人のじっちゃんみたいに半殺しにされるだろうなぁ…)
亀仙人は『パイパイをつまませてくれ』とか言って人魚の鉄拳をもらってしまった。
その後、『強い武道家になるには打たれづよくなくてはいかん。パンチをもらって鍛えるんじゃ』と言う事を当時の悟空は真に受けていたのだ。
(あ、でもウーロンを身代わりにするって手もあるな)
フライパン山の火事を消す見返りとしてブルマの胸を触らせろという要求だったが、ウーロンがブルマに化けて解決した。
…最も、ウーロンの暴走があったが。
「じゃ、オラ用事あっから」
「あ!ちょっと」
悟空は舞空術で飛んで行ってしまった。
「えっと次は…あった六星球!」
悟空はスムーズにドラゴンボールが見つかり上機嫌だ。
「き、キミは孫君かね?」
振り返ってみれば、随分と年老いた老人がいた。
「あ!自動車学校のじっちゃんか!?」
「ホッホッホッ!覚えておったか」
老人は阿阿阿と、笑った。
「奥さんやピッコロくんは元気かね?」
「おう!元気だぞ」
そう言えばピッコロも免許取りに来たことあったっけと懐かしがる悟空。
「あん時のお主はハンドルを壊すわ、ピッコロくんと暴走するわでさんざんだったの」
「ハハハ…すまなかったな」
「ハックシュン!!」
「ピッコロさん?風邪ですか?」
「いや、そうじゃないが…何故か噂をされている気がする」
「魔人ブウを倒したのはお主なんじゃろ?」
「え?しってんのけ?」
「ミスター・サタンが倒したとはとても思えんよ。バビディの魔法でお主の事も見ておったわい」
「ああ、トランクスにレーダー取りに行かせた時か」
「あの時の『すーぱーさいやじん』というのを見たときにも確信したわい。セルゲームの時、セルと戦ったのもお主じゃろ?」
「やっぱわかるか?じっちゃん」
悟空は苦笑いだが
「この年になると、不思議と受け入れられるもんじゃ。ピッコロくんとバスの転落を防いだ時からお主らはタダものじゃないと思ってたわい」
「ははは」
「ところで、今は何をしておったんじゃ?」
悟空は良い子宣言をした魔人ブウを生活させるためにドラゴンボールを集めている事を話した。
「ホッホッホ。お主らなら悪い様にはせんじゃろ」
「サンキュ!じっちゃん。じゃ、オラもう行くから」
「達者での。気が向いたら遊びに来いよ」
「おう!じっちゃんも元気でな!!」
悟空は次のボールを探しに飛び立った。
「次のボールは…ん?」
悟空が突如そこそこ強い気を感じたので、様子を見てみる事に。
すると、瓦割をしている初老の男性がいた。
その横にはいい青年がいる。
2人とも胴着姿だ。
「すげぇな親父!!瓦50枚全部割ったよ!!」
「はっはっは!!せがれよ!!お前もこれくらいできるようにならんとな!!」
初老の男性、物凄いムキムキだ。
しかし、どこかで見覚えがある様な…。
「これなら、マジュニアって奴も倒せるかな?」
「いや、まだまだだな」
マジュニアと聞いて悟空はピンと来た。
「あ、前の神様が取りついてたおっちゃんか!!?」
第23回天下一武道会にて、神様が「シェン」という偽名を使って人間に取りついてたあの男だ。
あの時の神様が憑依から離れた姿を悟空も見たが、世間知らずな悟空でもしがないヒョロヒョロ会社員くらいに思っていた。
「か、変われば変わるもんだなぁ?」
悟空は懐かしさを噛みしめると、次なるボールを求めて飛び立った。
そして、ドラゴンボールは集まったのである。
ちなみにその内の1つは物凄く臭い、ハエが飛ぶほどのパンツの中(なんとなく嗅ぎ覚えのある匂いだった)で、
悟空の目と鼻が暫く使い物にならなくなったのは御愛嬌。
~あとがき~
長編小説のモチベーションを維持できねぇ…。
このSSは完全に妄想ネタです。
(さっき間違えてエヴァに投稿してしまった)