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No.32444の一覧
[0] 乳列伝 【完結】[abtya](2015/11/22 19:20)
[1] 0[abtya](2012/04/02 17:21)
[2] 1[abtya](2012/04/21 10:01)
[3] [abtya](2012/04/28 10:05)
[4] [abtya](2012/04/04 17:31)
[5] [abtya](2012/04/28 08:42)
[6] [abtya](2012/04/20 23:26)
[7] [abtya](2012/04/12 17:03)
[8] 7[abtya](2012/04/21 09:59)
[9] [abtya](2012/04/27 08:43)
[10] [abtya](2012/05/01 23:39)
[11] 10[abtya](2012/06/03 21:29)
[12] 11 + なかがき[abtya](2012/07/07 01:46)
[13] 12[abtya](2013/01/10 01:12)
[14] 13 乳列伝[abtya](2013/01/12 01:21)
[15] 14[abtya](2013/03/17 00:25)
[16] 15[abtya](2013/05/19 16:18)
[17] 16[abtya](2013/06/06 01:22)
[18] 17[abtya](2013/06/23 23:40)
[19] 18[abtya](2013/07/14 00:39)
[20] 19[abtya](2013/07/21 12:50)
[21] 20[abtya](2013/09/29 12:05)
[22] 21[abtya](2015/11/08 22:29)
[23] 22(完)+あとがき[abtya](2015/11/22 19:19)
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[32444]
Name: abtya◆0e058c75 ID:d092c0e5 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/04/20 23:26
目の前の光景に最早ついていけない沙耶は、普段と違う朝にざわめくクラスメート達をよそに、ぐったりと机につっぷしていた。

転入生とか、正直色々とありえないだろう。

まず時期が変だ。始業式が終わってしばらくしたこの時期に、こんな田舎の高校に転入してくるなど明らかにおかしい。
次に人数。別に一学年一クラスしかないわけでもないのに、同じ学年の同じクラスだけに同時に4人も転校生が編入するなど、言うまでもなく異常だ。学校側の正気を疑うレベルである。
そして極めつけはその面子、巨乳とヘタレ臭と貧乳と、そして髭。百歩譲って前の三人は良しとしよう。だが髭面を転入生と言うのは確実に無理がある。なにせ見た目は四十路のおっさん、老け顔とか言うレベルではない。明白な年齢詐称だ。一体どうやって学校に潜り込んだのか、沙耶には不思議でならない。

だがクラスメートはそこに疑問を抱く様子はないようだった。拳剛や『尻派』番町を筆頭に、奇人変人の多い八雲第一高校の生徒達にとっては、その程度のことは気にするまでもないということらしい。沙耶は思わず頭を抱えた。

「じゃ、端から自己紹介していってくれ!」

苦悩する沙耶と沸き立つクラスメート達をよそに、爽やかイケメンだが空気を読まないことに定評のある担任は、早速4人の転校生に自己紹介をさせていた。

「太刀川 怜です。」

シンプルな自己紹介の後、竹刀袋を肩にかけた受身マスターがぺこりとお辞儀をする。たわわに実った二つの膨らみがたゆんと揺れると、教室の半分がざわめいた。
いつの間にか目を覚ましていた拳剛も、鋭い目で太刀川を見つめている。
しばらく凝視していたあと、拳剛はカッと目を見開いた。「―――――F、だと!?」
お前は一体何を見ている。


「薄井 エイジだ、よろしく。」

噛ませ臭と言うかヘタレ臭というか。イケメンではあるが、どこか小物臭い雰囲気を纏った金髪の少年が、続いて軽く頭を下げる。今度は女子が騒ぐ番だった。近くの友人と共に、この辺りでは見ない垢抜けた感じの転入生を、思い思いに批評する。
もっとも、沙耶としては常識人であればどうでもよかったが。


「風見 クレアといいます。仲良くしてくださいね」

次に控えめな胸の牛乳姉さんがあいさつする。金髪に白い肌、そして青い目と、こちらもこのあたりではあまり見ない容姿である。名前から推測するに、おそらく白人とのハーフらしい。
男子が再び沸き立つ。拳剛は腕を組んでクレアをじっと見つめている。しばしの観察のあと、拳剛はうむむと唸った。「ふむ、小ぶりだが見事な型だ」
だからお前は何を見ている。


「私の名は黒瀧 黒典だ。よろしく頼む」

最後に髭面が自己紹介する。痩身長躯、日本人でありながら西洋人のように顔の彫りは深い。あごひげの素敵な、オトナの雰囲気漂うナイスミドル。
学ランを着ていて台無しだが。


沙耶は再び頭を抱えた。

「うぅー、もうやだ」
「あれ、テンション低いね沙耶」

沙耶の前の席に座る女生徒が、唸る沙耶の顔を心配そうに覗き込む。
だが沙耶がそうなるのも無理は無かった。なにせ頭痛の種が3つまとめて現れたのだから。
沙耶の変人キャパシティは拳剛一人でもう満杯である。

「さて、自己紹介は終わったな。皆仲良くしろよ!じゃあお前達の席はっと……」

担任が出席簿に張られた座席表を確認する。

「鈴木と田中の両隣が空いてるんだったな、じゃあそこに、」
「あの、すいません先生」

担任が四人に席を指示するのをさえぎって、クレアが手を上げた。

「うん?どうした風見」
「私はあの人の隣が良いのですけど」

そう言ってクレアは指を差す。差されているのが自分であると気づくのに、沙耶は少しばかり時間がかかった。

「東城か、知り合い?」
「ええ、迷ってるところを助けていただきました」
「お、そうか。じゃお前は東城の横な」
「え!?いやちょっ、先生!?」

さらっと決める担任を、沙耶は咄嗟に制止する。
クレアは悪い人ではなさそうだが、どこからともなくキンキンに冷えた牛乳を取り出す女性とは、正直沙耶としてはあんまり関わりたくない。

「っていうか!わ、私の隣は空いてないですよ!」

それは咄嗟に口から出た言葉だったが、確かにその通りだった。沙耶の席は教室のど真ん中で、周りは人で埋まっている。
隣どころか前後左右全てに、これ以上は入りようがない。

「むー、それもそうだな」

考え込む担任を見て、沙耶は小さくガッツポーズをする。
空気を読まないことに定評のあるこの若手教師であっても、さすがにこの状況を覆せはしないだろう。
しばらく考え込んだ後、担任はぽんと手を打った。

「じゃあ東城の隣の奴に移動してもらおう。遠藤、お前後ろの席行ってくれ」
「うーす」

担任固有スキル・空気読まないが発動!
爽やかスマイルで沙耶の横に貧乳を強制召喚、毎ターン沙耶の精神に100のダメージ!

「よろしくね、東城さん。あ、これお近づきの印に」

沙耶の隣人だった遠藤君は教室の後方へ飛ばされ、その代わりに隣の席に着いたクレアは、再び沙耶に牛乳を差し出した。やっぱり冷えている。
どこまでも不思議ちゃんである。

「よ、よろしく」

冷や汗を垂らしつつ沙耶は牛乳受け取る。
担任のせいで思わぬ展開になったが、だが考えようによっては良かったかもしれなかった。無理やり隣に一人入れたのだから、これ以上転校生が沙耶の周囲に来ることはないはずだからだ。巨乳ちゃんやイケメン君はともかく、髭男のように濃いのが隣に来るのは、絶対に避けたかった。
まぁとはいえ、残りの三人がそろって沙耶の隣に来たがるなど、そもそもありえないことだろうが

「……ならば私も同様に」
「じゃあ俺は彼女の前がいいね」
「ならば私は後ろを希望しよう」

巨乳と、イケメンと、そして髭が。口をそろえて言った。

「はっはっは、東城モテモテだな。ちゃんと面倒見てやれよ。」

――――――期待とは往々にして裏切られるものである。

瞬く間に築かれた転校生包囲網を見て、沙耶はそんなことを考えていた。

「よろしくお願いします」
「東城っていうの?よろしくね」
「よろしくたのむよ」

髭と巨乳追加召喚で、沙耶に更に毎ターン200のダメージ!イケメンはどうでもいい!転校生包囲網が完成!
いちげきひっさつ!さや は めのまえが まっくらになった!!

「り、リセット、リセットボタン……!」

無論、そんなものは無い。





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