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No.32444の一覧
[0] 乳列伝 【完結】[abtya](2015/11/22 19:20)
[1] 0[abtya](2012/04/02 17:21)
[2] 1[abtya](2012/04/21 10:01)
[3] [abtya](2012/04/28 10:05)
[4] [abtya](2012/04/04 17:31)
[5] [abtya](2012/04/28 08:42)
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[7] [abtya](2012/04/12 17:03)
[8] 7[abtya](2012/04/21 09:59)
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[10] [abtya](2012/05/01 23:39)
[11] 10[abtya](2012/06/03 21:29)
[12] 11 + なかがき[abtya](2012/07/07 01:46)
[13] 12[abtya](2013/01/10 01:12)
[14] 13 乳列伝[abtya](2013/01/12 01:21)
[15] 14[abtya](2013/03/17 00:25)
[16] 15[abtya](2013/05/19 16:18)
[17] 16[abtya](2013/06/06 01:22)
[18] 17[abtya](2013/06/23 23:40)
[19] 18[abtya](2013/07/14 00:39)
[20] 19[abtya](2013/07/21 12:50)
[21] 20[abtya](2013/09/29 12:05)
[22] 21[abtya](2015/11/08 22:29)
[23] 22(完)+あとがき[abtya](2015/11/22 19:19)
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[32444] 乳列伝 【完結】
Name: abtya◆0e058c75 ID:4bca1874 次を表示する
Date: 2015/11/22 19:20
撞土市北東部、八雲町。ニュータウン計画が予算不足で頓挫したその街の郊外には、今もまだ開発されずに残る森がある。
その森の暗闇の中で、二つの影が交錯していた。
双方ともに淡い光の粒子に包まれながら、一方の影は武者鎧のような意匠の無骨な甲冑に身を包み、もう一方は筋骨隆々の強靭な肉体をあらわにして、それぞれ刃と拳を振るう。
二つが激突するたびに光の粒子が飛び散り、大気は振るえ、木々はざわめき、大地が揺れる。
衝突に次ぐ衝突。だが両者共に一歩も退くことはない、膠着状態。
一進一退の攻防の中で、先に口を開いたのは鎧武者のほうだった。

「無手にて我が攻撃を凌ぐか」

荒々しい見た目に反した涼やかな声。明らかに男性のそれではなかった。

「それにこちらの動きを先読みしているかのようなその動き、一体如何なるからくりか」

鈴の音のような声を荒げ武者は問う。
『武器』も持たぬ相手に対し攻めきれない苛立ちが、その口調からは明確に読み取れることができた。
くつくつと笑いながら、もう一方の影は答える。こちらは明らかに男性と分かる、野太い声だった。

「胸だ、貴様の胸が全てを教えてくれる」
「貴様、相手の胸中が読めるのか!?」

女武者の問いに男は首を振るう。

「いいや違う。俺は相手の心中など読めん。俺が読むのは……」

男はゆらりと女武者の胸部を指差す。ただし二本指で、である。

「お前のおっぱいムーブメントだ」
「おい」
「我が拳術の流派は、肉の基点を読み相手の動きを完璧に予測する。お前の攻撃は斬撃、基点は胸部、すなわちおっぱいだ!!
鍛え抜かれた俺の内見力(インサイト)の前では貴様の甲冑などスケェールトゥン!!」
「ば、馬鹿かお前!?変態か!!」

女武者は思わず胸を押さえる。女性ならば当然の反応である。なにせこの男の言っていることは要するに、「俺の目にはお前マッパ同然だぜ」といっているようなものなのだから。

「変態ではない、拳術家だっ!
さぁ、貴様のその豊乳の揺れが!俺が次にすべきことを教えてくれるぞ!!」
「やめろっ、む、胸を見るな馬鹿者!!」
「行くぞ!いざ尋常に勝負也!!」

淡い光の粒子を放ちながら男が突っ込む。その視線は揺らぐことなく一途に真っ直ぐに、女武者の胸部に固定されている。
背中を駆ける悪寒。女武者は、今度は男を受け止めることなく、ただ大きく後ろへ飛びずさった。

「逃げる気か」

僅かながらに怒気をはらんだ男の問い。武者はすぐさまそれを否定する。

「しょ、勝負は預ける!」

逃げるわけではない。戦略的撤退である。というか、乳を見られて混乱している今の精神状態では、まともに戦うこともままならない。ここまで読んで自らの手の内を晒すようなまねをしたというのならば、この男たいした曲者である。
多分違うだろうが。

「だが覚えていろ、いずれ必ず『鍵』は貰い受けるぞ!!」

その言葉を最後に、武者の姿は闇に溶けて消えた。
男はそれを追うことなく、ただ静かに見守る。気配が去るのを確認すると、パンと一つ柏手を打った。


「……ごちそうさまです」



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