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No.32422の一覧
[0] 【後日談完結】スタンドバイ/スタンドアローン (オリ主・再構成・復讐もの)[上光](2020/10/18 20:30)
[1] プロローグ 当世の魔法使い[上光](2016/02/27 14:37)
[2] 第1話(前編) 異世界出張[上光](2013/06/18 05:25)
[3] 第1話(後編) [上光](2013/06/18 05:25)
[4] 第2話 少年少女の事情 [上光](2012/10/28 00:01)
[5] 第3話 黒来たる[上光](2012/07/16 00:50)
[6] 第4話(前編) 袋小路[上光](2012/08/16 22:41)
[7] 第4話(後編)[上光](2012/07/09 23:13)
[8] 第5話(前編) 戦う運命[上光](2012/07/05 03:03)
[9] 第5話(後編)[上光](2014/07/26 23:37)
[10] 第6話(前編) 海鳴の長い午後 [上光](2012/07/07 00:03)
[11] 第6話(後編) [上光](2012/07/07 00:55)
[12] 第7話(前編) 子供と大人の思惑 [上光](2012/07/09 03:44)
[13] 第7話(中編)[上光](2012/07/09 03:44)
[14] 第7話(後編)[上光](2012/07/16 00:50)
[15] 第8話(前編) 愛は運命[上光](2012/07/15 23:59)
[16] 第8話(中編)[上光](2012/07/11 03:13)
[17] 第8話(後編)[上光](2012/07/11 03:40)
[18] 第9話(前編) 後始末[上光](2014/01/08 21:15)
[19] 第9話(後編)[上光](2012/10/10 04:31)
[20] エピローグ 準備完了[上光](2012/07/15 23:57)
[21] 閑話1 ツアークラナガン [上光](2012/07/16 00:18)
[22] 閑話2 ディアマイファーザー [上光](2012/07/16 00:50)
[23] 閑話3 ブルーローズ[上光](2012/07/16 00:50)
[24] プロローグ 成長~グロウナップ~[上光](2012/10/15 07:42)
[25] 第1話 予兆~オーメンレッド~ [上光](2012/08/07 18:24)
[26] 第2話(前編) 日常~エブリデイマジック~ [上光](2012/08/07 18:29)
[27] 第2話(後編)[上光](2012/08/15 15:27)
[28] 第3話(前編) 開幕~ラクリモサ~ [上光](2012/08/15 15:24)
[29] 第3話(後編)[上光](2012/08/15 15:27)
[30] 第4話(前編) 邂逅~クロスロード~ [上光](2015/12/09 00:22)
[31] 第4話(後編) [上光](2012/08/29 02:37)
[32] 第5話(前編) 激突~バトルオン~[上光](2012/09/28 00:52)
[33] 第5話(後編) [上光](2012/09/08 21:55)
[34] 第6話(前編) 舞台裏~マグニフィコ~ [上光](2020/08/26 22:43)
[35] 第6話(後編)[上光](2020/08/26 22:42)
[36] 第7話(前編) 漸近~コンタクト~[上光](2016/11/16 01:10)
[37] 第7話(後編)[上光](2014/03/05 18:54)
[38] 第8話(前編) 致命~フェイタルエラー~[上光](2015/10/05 22:52)
[39] 第8話(中編)[上光](2016/02/26 23:47)
[40] 第8話(後編)[上光](2016/11/16 01:10)
[41] 第9話(前編) 夜天~リインフォース~[上光](2016/02/27 23:18)
[42] 第9話(後編)[上光](2016/11/16 01:09)
[43] 第10話(前編) 決着~リベンジャーズウィル~[上光](2016/12/05 00:51)
[44] 第10話(後編)[上光](2016/12/31 21:37)
[45] 第1話 業[上光](2020/08/20 02:08)
[46] 第2話 冷めた料理[上光](2020/08/20 22:26)
[47] 第3話 諦めない[上光](2020/08/21 22:23)
[48] 第4話 傷つけられない強さ[上光](2020/08/22 21:51)
[49] 第5話 救済の刃[上光](2020/08/23 20:00)
[50] 第6話 さよなら[上光](2020/08/24 20:00)
[51] 第7話 永遠の炎[上光](2020/08/25 22:52)
[52] エピローグ[上光](2020/08/26 22:45)
[53] はやてED 八神家にようこそ[上光](2020/09/13 23:13)
[54] IF 墓標 ゆりかご(前編)[上光](2020/10/03 18:08)
[55] IF 墓標 ゆりかご(後編)[上光](2020/10/05 00:33)
[56] シグナムED 恩威並行[上光](2020/10/12 00:39)
[57] クアットロED 世界が彩られた日[上光](2020/10/18 20:29)
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[32422] 第8話(前編) 愛は運命
Name: 上光◆2b0d4104 ID:495c16aa 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/07/15 23:59

 宇宙を海と言うことがあるように、次元空間も海と呼ばれることがある。アースラのように世界をまたにかける管理局の部隊が、海と呼ばれる所以だ。
 次元空間が海なら、各世界は広大な海に浮かぶ浮き島で、世界を揺るがす次元震は嵐、嵐に揺られている時の庭園はさしずめ波に弄ばれる船。

 時の庭園は上下両方向に棘が生えている。もちろん装飾ではなく、遠景では塔が棘のように見えているだけだ。ひときわ大きな塔を中心として、その周りに時の庭園の名の通りに庭園が存在し、その外側に小型の塔(棘)が存在する。庭園部は、次元震のせいで建物内部の観測がほぼ不可能になった現在、唯一アースラから観測できる場所だが、モニターに映る庭園の光景を見たアースラのブリッジスタッフは眉をしかめた。
 枯れた植物。砕けた彫像。くすんだ柱に刻まれたレリーフは、からみつく枯茶色のつたで大半が隠されており、何を表しているのかまるでわからない。放置された結果ではなく、作為的に廃墟の趣をだそうとしたのだと堂々と言われれば、納得してしまうほどに薄気味悪い。

 その場所に勇敢にも浸入する者たちがいる。
 彼らは庭園部の上空に順番に転送されると、後続の邪魔にならないように素早く地上に下りて周囲の警戒をおこなう。そうして現れた三十人弱の人々。その半数はアースラの武装隊。その中にはウィルもいる。率いるのはクロノ。彼らに守られるようにして、緊急に編成された医療班。
 その集団から少し離れて、なのはとユーノ、アルフがいる。

 クロノは、結局四人とも連れてくるはめになったことにため息をつく。突入してしまった以上、もうアースラに返すことはできない。そもそも、次元震のせいでアースラと連絡をとるどころか、クロノやユーノでさえ数十メートル離れた相手には念話が届けることができない環境になっている。
 クロノはなのはたち三人の方を向く。

「きみたちとは、ここで別れることになる」

 クロノたちが目指す玉座の間は、中心の大きな塔にある。そこは在りし日には貴人のための住居――城として使われていたらしい。そして、なのはたちが向かうのは、その他の小型の塔。ここは貴人に仕える者――使用人の住居として使われていたそうだ。
 これらの間を行き来するには地上の庭園部を通る以外に道はない。

「僕たちはとり残された負傷者の治療をおこなうために、医療班を護衛しながら玉座の間に向かう。その後、僕はそのままプレシアの捜索を続けるが、負傷者が動かせる程度に回復すれば、彼らと医療班を武装隊に護衛をさせてこの庭園部に戻すつもりだ。治療が必要なようなら、きみたちもここに戻って来ると良い。しかし、僕たちが戻れない状況も考えられる。なるべく怪我はしないように。一応、きみたちにつける護衛だが――」
「はいはいっ! 私に任せてください!」

 元気よく手を上げる女性隊員がいる。しかし、彼女はまだ武装隊に来て日が浅かったので、彼女の指導役となっている男性隊員を追加する。この二人がなのはたちの護衛。

「それでは二人とも、彼女たちを頼む」
「任せてください!」 「わかりました。お気をつけて」

 クロノは彼らに背を向け城へ向かう。それでも、少し進んでからやはり気になって、後ろを振り向く。なのはたちの姿はすでに遠くなっている。
 この状況では、危険に陥っても助けることはできない。あの二人の武装隊員が精一杯の助け。
 やはり、あの時止めるべきだったかという逡巡する。しかし、ああも立て続けに予想外のことが起こってしまっては、断ることはできなかった。思い返せば、最後の方などはまともに思考回路が働いていたかも怪しい。それもこれも、あいつのせいだ。

「まったく、世界はこんなはずじゃなかったことばっかりだ」
「いや、まったくだな」

 思わずこぼれたつぶやきに、いつの間にか横まで来ていたウィルがほがらかに同意する。その言葉に堪忍袋の緒が切れる。

「誰のせいだと思ってるんだ!」


  *


「わたしも連れて行ってください!」

 ブリッジに現れて時の庭園への突入に参加表明したのは、なのはだった。その後ろにユーノとアルフもいる。おかげでウィルの参加表明はかき消されてしまった。
 クロノは呆気にとられた顔をしていた。クロノだけではない。ブリッジにいる全員が予想外の出来事にぽかんとしている。いち早く我に返ったクロノは、他のクルーに仕事に戻るように指示すると、なのはたちの前のもとへ近づく。

「きみたち、聞いていたのか……いや、そもそも、そろいもそろって何を言っているんだ」

 うまいタイミングだ、とウィルは感心する。なのはは、クロノの指示が一通り終わり、彼の張りつめた気がゆるんだ瞬間に発言していた。もう少し早ければ指示途中のクロノに邪魔をするなと怒られていてだろう。
 クロノは冷静に、諭すようになのはたちに語りかける。

「すまないが、後は僕たちに任せてくれないか。今の時の庭園では何がおこるかわからない。そんな危険な場所に民間人を連れていくわけにはいかない」
「その理屈は通りませんよ。その民間人が危険な目にあっても、傍観していたじゃないですか」

 すかさずユーノが海上での管理局の行動――自分となのはが海上に現れても、管理局が一切動かなかったこと――を引き合いに出して反論する。

「そのことはすまないと思っている。しかし、きみたち二人は月村邸でこれ以上首をつっこまないと約束したはずだ。それを僕たちに連絡もなく一方的にやぶって、勝手にあの嵐に飛びこんで来たのはきみたち自身の意思だ。自分から危険な場所に行って、助けるのが当然と言うのは勝手すぎるとは思わないか」

 クロノの反論に、ユーノがひるむ。
 しかし、すぐにクロノは売り言葉に買い言葉で発言した内容に後悔する。クロノの反論は間違ってはいない。しかし、彼女たちからアースラに連絡をとる方法はなかったことは考慮にいれるべきであり、何より自らの発言は、民間人を危険にさらしたことを開き直っているようにしか思えなかったから。

「すまない。失言だった。だが、そうでなくとも今のきみたちは消耗している。戦力にならない者を連れていく余裕はない」

 先ほどより、いくぶん勢いをなくしたクロノに、再びなのはが、そしてアルフが話しかける。

「あの、わたしたちは戦いに行くわけじゃありません」
「フェイトを部屋に寝かせてきたままなんだ。あのままだと、目が覚めたらまたプレシアのいいなりになってしまうよ。だから、あたしたちで保護したいんだ」

 フェイトを保護することにメリットはあるが、その優先順位は低い。保護したとしても、プレシアを捕えてこの次元震を抑えなければアースラに連れて帰ることもできず、逆にプレシアを捕えてしまえば、フェイトが敵対してもさして恐れることはない。
 それでも、必要な行動にカウントしておいた方が良いと思い、クロノは答える。

「わかった。フェイト・テスタロッサの保護も、こちらの目的に加えておく。だからきみたちは大人しく待っていてくれ」
「それこそ信用できません」
「なに?」

 再びクロノに反論するのはユーノだ。

「たしかに、海上でのことは僕たちに否がありました。でも、管理局がそれを傍観していたのも事実です。その理由は傍観した方が有利だからという“損得”を優先させたかでしょう? その決断をしたあなたたちが、もう一度フェイトを見捨てることがないなんて、どうやって信用しろって言うんですか!」

 再びクロノが押され、すかさずなのはが発言する。

「わたしたちは放っておいてもらって構いません。邪魔にならないように、自分たちだけでフェイトちゃんを助けに行きます。ただ、わたしたちをあそこへ転送してくれるだけで良いですから」
「きみたちは良くても、僕たちは良くない。戦力にならない者を、護衛もなしに戦場に送りこめるわけがないだろ。そのフェイトの部屋までの途中に、罠や敵がいないなんて保証はないんだ。だから、きみたちを行かせるとなれば、こちらも最低限護衛をつけなければならない。しかし、この状況で戦力はなるべく割きたくない」

 クロノは真面目で正しく、そして優しい。だからこそ、クロノを説得するには完全な理屈――もしくはその真逆の完全な情を用いなければならない。それとも、その判断ができないくらい追い込むか。
 なのはとユーノは黙りこむ。すると、今度はアルフが提案する。

「だったら、あたしたちに割く護衛以上の見返りをあげるよ。あたしはあそこで何年も暮らしてきた。時の庭園の構造は、最深部以外はほとんど把握してるんだよ。あたしたちを行かせてくれるなら、知っている限りの情報をあんたたちに教える。それでどうだい?」

 アルフの提案にクロノの心は揺れる。条件は魅力的。地図の有無は作戦の成功に大きく関わる。詳細であればなおさらだ。
 それでもなのはたちを行かせて良いものなのか。クロノにとっては、海上での封印を傍観する――あれが精一杯の妥協だった。あれはまだ、危険になれば武装隊が救出に向かうことができた。本人たちにとっては命がけでもが、クロノたちから見れば、彼女たちの安全は保障されていたと言っても良い。
 しかし、今回はわけが違う。時の庭園に何があるのかはわからない。危なくなったからと言って、アースラに戻ることもできない。そんな死地に行かせて良いものか。

「ちょっといいかな」

 その迷いを狙って、これまで静観していたウィルが、ようやく発言する。
 ウィルが最初に話しかけた相手は、クロノではなかった。

「アルフ。今はこれ以上時間を使うわけにはいかない。エイミィ――って言ってもわからないよな。あそこの茶髪でくせ毛のお姉さんのところに行って、時の庭園の情報を教えてあげてくれないか」
「それはそこの黒いのが許可してから――」
「クロノはおれが説得する」
「……わかったよ。できなかったらひどいからね!」

 まずはアルフを動かす。アルフが情報を教えても、それを地図の形にするには時間がかかる。なら、クロノを説得してからでは時間のロスが大きいと判断した結果だ。
 アルフがエイミィのもとへ向かったのを確認すると、クロノに向き直る。立て続けに予想外の問題がおこることに、うんざりしたような顔になっているクロノと目が合う。

「きみまでこの状況で場をかき乱すようなことを言うつもりなのか」
「いやさ、実はおれも突入部隊の一員に加えてほしくてね」

 自分の予測できる範囲だったウィルの言葉に、クロノの肩の力が抜けるのがわかった。

「彼女たちと同じ内容か。きみは管理局の局員な分だけ彼女たちよりはまともな提案だが……あまり出したくはない。もしきみに何かあったら――」
「もちろん、おれが死んだらアースラに迷惑がかかるってわかっているさ。でも、ここでクロノを手伝わなかったら……おれの心に瑕(きず)ができる。なぁ、クロノ。おれの父さんはクロノの父親――クライドさんと一緒にエスティアに残って死んだ。それは知っているだろ」
「もちろんだ。だが、今はそのことは……」

 クロノの顔にあきらかな動揺がうかぶ。その話題は、二人にとってある意味鬼門だ。
 十年前、ロストロギアの輸送をおこなっていた管理局の艦船『エスティア』が消滅した。その時の死傷者は二名。艦長であるクライド・ハラオウンと、武装隊の隊長にして彼の友人であったヒュー・カルマン。
 クライドは自分以外の全乗員に退艦命令を出し、自分一人を残した。しかし、それに従わなかった乗員が一人。それが、ヒュー・カルマンだった。何があったのかは誰も知らない。ただ、彼ら二人は船と共にこの世から完全に消滅した。
 クロノとウィルの人生に影を落とし、そして進む道を決定付けた大きな事件。彼らの人生の原点と言うべき事柄に言及されては、クロノも動揺を隠しきれない。

「なんで、おれの父さんは残ったんだろうな。他の乗員と一緒に脱出すれば良かったのに。クライドさんはともかく、父さんは無駄死になんじゃないか?」
「それは……わからない」
「そう、わからない。死人に口なし。父さんが何を考えていたのかなんてわからない。帰って来なかったんだから。でも一つ、事実が語っていることがある。こんな可愛い息子がいるっていうのに、父さんは生きているおれじゃなくて、死に往く友人と運命を共にしたってことだ。おれにはそれが――」

 いつの間にか、ブリッジの乗員ほぼ全てがウィルの語りに耳を傾けていた。もちろん作業の手を休めてはいないが、それでも注目しないでいられる話題ではない。
 ウィルは寂しさと誇らしさが混じった顔で、呟くように語る。

「それが、すごくかっこいいことに思えるんだ。……クロノだってクライドさんを尊敬しているんだ。なんとなくわかってくれるだろ? それで、だ。もしここで、死地に行く友人を安全な場所から見送るなんて、かっこいい父さんと真逆のことをしたら、これからずっとこの決断に苦しむと思う。無事にクロノが戻って来ても、クロノと顔を合わせるたびに今日の決断を思い出して後悔する――つまり、心に瑕ができる。頼むよ。おれに、かっこつけさせてくれないか」

 クロノは、寂しいとも悲しいとも、それとも怒っているようにもとれる表情を浮かべ、答える。

「僕はきみのそういうところが嫌いだ。いつだって情や正論を盾にして、自分のやりたいことを通そうとする。あまりにも身勝手だよ、きみは」
「いつもごめん」

 クロノは大きくため息を吐き出し、諦めたかのような笑みを浮かべた。

「一番タチが悪いのは、こっちが断れないところをついてくるところだ。まったく…………そんな風に言われたら断われるわけないだろ。許可するよ」
「ありがとう! やっぱりクロノは良いやつだ――それじゃあ、なのはちゃんも許可してくれるよな?」
「はあ!? それとこれとは全く別問題じゃないか!」

 クロノの意識はなのはたちからそれていた。そして、自分の父親も大きく関わっているウィルの心境を聞き、それに関係する嘆願を受け止めたことで、クロノは全てが片付いかのように安心してしまう。そこで再び揺さぶりをかける。夏休みの最終日に、宿題がようやく終わって達成感に包まれた子供に、明日からは学校に通って夕方までお勉強する生活が始まるんだよと囁くような悪逆非道。
 クロノの肩をがしりと掴んで、逃がさないようにする。そして、たたみかける。

「なのはちゃんも同じだよ。この子がどれだけフェイトちゃんのことを思っているかはわかるだろ。月村邸での初めて会った時はおれの指示を聞かず、温泉地では勝手に戦闘に乱入し、その後も説得のために単身彼女と戦い、臨海公園でクロノの攻撃を妨害し、さっきはあの嵐の中に飛び込んで行った。これだけフェイトちゃんのために頑張ってきたのに、ここでフェイトちゃんを助けられなかったなんてことになったら、なのはちゃんの小さな胸にどれだけ大きな瑕ができることか! おれの心を守るために許可してくれたクロノなら、同じようになのはちゃんの心を守るために許可してくれるはず――いや、せずにはおれないはずだ! それともやっぱり、おれが友人だから同じ理由でもおれだけ特別に許可してくれたのかな? うれしいなぁ、クロノにそこまで特別扱いしてもらえるっていうのは――」
「わかった! わかったから! 許可するよ、すれば良いんだろう!!」

 クロノが大声で宣言する。しかし、もはや誰の耳にも悲鳴のようにしか聞こえないほど悲痛なものだった。
 その宣言を聞き、慌ててなのはたちもクロノにお礼を言う。しかし、当のクロノは礼に対して、構わないとだけ言うと、その場にしゃがみこんで、またため息をつく。

「どうしてまだ出撃もしていないのに、こんなに疲れるんだ」

 その時、クロノがしゃがんだことで、ウィルはクロノの向こう側にいたリンディと目が合った。彼女の目には、何かを危惧するような色。しかし、それが何かはわからなかった。なのはやウィルが行くことを心配しているという感じではない。もっと、何か別のことを案じているのか。
 そのことを考えようとした時、横からなのはが呼ぶ声が聞こえた。

「ありがとうございます。……それと、ごめんなさい」
「うん? どうしたんだい?」

 礼はともかく謝られる筋合いはない。

「よく考えたら、わたし邪魔ばかりしてたんだなぁって」
「ああ――まあ、その辺はおあいこってことで。おれもいろいろ鼻もちならないことをやってるし」


  **


 クロノたちは城に足を踏み入れる。室内は薄暗く、壁が揺れ動いているせいで、揺れる通路は蠕動する臓器のようにも見える。まるで巨大生物の体内に踏み込んだかのような気持ちの悪さだ。
 入口のホールにすでに、侵入者を迎え撃つための番人たちが待ち構えている。
 武骨な甲冑を着込んだ人間のような“物”たち。それらはどう見ても生物ではない。魔法の力を動力とした機械の兵士――『傀儡兵』と呼ばれる物。
 空を飛ぶ槍兵、人より大きな剣士、さらに大型の斧を持つ重戦士。そのバリエーションは多様だが、共通していることがある。その全てが武器を手にしていること。しかも、ミッド式の魔導師のように魔法で構成した物とは違う、実体を持つ正真正銘の武器。そこには非殺傷などという言葉は存在しない。
 傀儡兵はこちらを視認するとすぐさま向かってくる。それに対し、武装隊の中でも前線維持担当の者たち――フロントアタッカーと呼ばれる――が前に出て迎え撃つ。
 一人の隊員が剣士型の一閃を受け止めようとする。

「うわぁっ!!」

 予想よりもはるかに重い一撃を受け切れず、隊員はそのまま後ろに飛ばされる。この隊員は近接型のBランク魔導師。それを上回るならば、傀儡兵の膂力はAランクの近接型魔導師並だ。

 吹き飛んでくる隊員に、後衛がすぐさま魔法を発動。網状に広がった魔法で、彼を受け止めながら、射撃魔法を傀儡兵に放つ。
 傀儡兵の膂力が並の隊員よりも上。それに加えて、数はこちらの倍以上。質でも量でも負けている相手に、どうやって勝てば良いのか。
 前衛に加わろうとするウィルの肩を、クロノが押さえる。

「きみが行く必要はない」
「でも、ランクの高いおれやクロノが前に出た方が――」

 クロノは首を横に振る。彼の視線の先では、武装隊の隊長が大声で指示を出していた。

「ひるむな! 魔力値が高くとも、所詮はただの機械人形だ! 前衛は目の前の一体だけに集中! 相手の挙動をよく観察しろ! 機械である以上、必ずパターンがあるはずだ! それがつかめれば、こんなやつらは交通整理の棒振り人形と大差ない! 後衛は前衛が一体に集中できるように、それ以外の相手の動きを制限しろ! 前衛が囲まれるような状況にだけは決してするな!」

 武装隊が動き、傀儡兵たちとの交戦が始まる。隊長も鈍色のデバイスの先端に射撃魔法を構築しながら、クロノに向かって声をあげる。

「クロノ執務官! 医療班は任せます!」
「了解した。きみたちは後ろを気にせず、ただ眼前の敵に集中してくれ」

 戦闘が激化する中、クロノは一箇所に固まる医療班の前に陣取り、彼らを守るようにシールドを展開する。

「武装隊だけに任せて良いのか?」
「もちろんだ。彼らは本局武装隊――管理局の精鋭だ。多少スペックが高い程度の機械の戦い方が、血と汗と共に積み重ねられた彼らの経験に通用するわけがない」

 クロノの横顔には、仲間である武装隊への確固とした信頼と、彼らの強さを誇るような輝きがあった。

「それよりウィル。きみは僕と一緒に医療班の護衛を担当してくれ。射撃魔法は僕がシールドで防ぐから、きみは武装隊の間を抜けて来る近接型を頼む」
「了解!」

 ウィルはデバイスを起動させる。右手にはなじみの片刃剣。一時フェイトに壊されたことを感じさせないくらい、スムーズに手に収まった。腕の良いアースラのデバイスマイスターに感謝する。

「久しぶりの戦闘だ。行けるな、F4W」
『Without saying.』

 ウィルは医療班やクロノがいる最後衛に近づこうとする飛行型を切り落とす。しかし、それも最初だけで、次第に動く必要がなくなってきた。武装隊が連携をとり始めると、クロノの発言通り、武装隊は傀儡兵を圧倒し始めた。
 機械の動きは読みやすい。人間にある揺らぎが存在しない。フレキシブルさが足りない。同じように動けば、同じような反応が返ってくる。
 それに加えて、傀儡兵は一体一体がそれぞれ動いているだけ。仲間とのコンビネーションが存在しない。唯一、他の傀儡兵を攻撃しないようにしている程度だ。彼らの動きは、一足す一を二にしているだけ。
 チームワークは一たす一が三にも四にもなるという、数学的常識の外に存在する概念だ。

 この武装隊の奮戦は、プレシアの予想を越えているだろう。
 プレシアは科学者であって、戦士ではない。実戦経験もそれほどあるわけではないだろうし、協力して戦ったことなどさらに少ないだろう。魔導師としての力量が高いからこそ、彼女が戦えば強力な魔法で一蹴。防御も強力なバリア型の防御魔法を展開し続けるだけで十分。一歩も動かずとも、彼女は戦いに勝利できる。
 そこに仲間の介在する余地はない。それ以前に、それは戦いとは言わない。ただ魔法の練習をしている――機械の動きと何の変わりもない。

 なお、武装隊は命がけの戦いだというのに、縮こまっているものが一人もいない。練度が高いのはもちろんだが、全員なぜか異様にテンションが高い。

「おれたちを倒すには、この倍はいるよなあ!」「ヒャッハァ―!」「ダメでしょおおお! クズ鉄がうろうろしちゃあああ!」

 ちょっと上がりすぎて、愚連隊が暴れているようにしか見えない。武装隊もなかなか出撃できなくてストレスがたまっていたのか。海の部隊は行儀が良いという認識がガラガラと崩れ去る。
 ともあれ、数分で勝負は終わった。広間に金属の塊だけを残して、一行は玉座の間へと進軍する。


 途中の別れ道で、クロノは全員に止まるように命令する。通路が右と左にわかれており、どちらを通っても玉座の間に行くことができるようになっているのだが、左の道は隔壁で閉められており、右に行くしかない。

「やはりここも閉まっているか」

 ここだけではない。これまで分岐点があると、かならず隔壁が閉められており、通れる道が限定されていた。
 ウィルは、携帯端末に表示された地図と、これまでの道を見比べて答える。

「傀儡兵も無限じゃない。少しでも多くの傀儡兵と戦わせるために、道を限定しているんだろう。右の道をこのまま進めば、この先にまた広間がある。おそらくそこにも傀儡兵が配置してあるはずだ」

 語るウィルの表情は険しい。先ほどはさほど損害もなく傀儡兵に勝ったが、連戦になると負傷者が出る可能性も上がる。何より戦った分だけ、時間がかかる。時間を浪費すれば、その分を取り返そうと焦りが生まれてしまう。
 しかし、クロノは何も心配することはないと言うような顔をしている。

「それは好都合だ。逆に言えば、閉まっている道には傀儡兵を配置していない可能性が高いということだろ。……だったら、ショートカットするしかないな」

 何をするつもりだとクロノに問おうとして、彼の表情にびくりとする。クロノは愉しそうにニヤリと笑っていた。
 笑みを浮かべながら、クロノは閉じた隔壁に手のひらをつけて、静止する。

「解析完了。ブレイクインパルス」

 隔壁が一瞬で粉々に砕ける。『ブレイクインパルス』――物体の固有振動数を算出し、対応する振動エネルギーを送り込むことで、物体を破壊する魔法だ。
 粉みじんになった隔壁を飛び越え、クロノは全員に呼び掛ける。

「さあ、時間が惜しい。このまま玉座の間まで突き進むぞ」

 次々に隔壁を破壊して突き進むクロノ。地図を見て、時間の短縮になりそうだと思えば、隔壁ではない普通の壁や床や天井さえも破壊して進む。
 まるでストレスを発散させるように、破壊の限りをつくしていく。少し追い込みすぎたかなと罪悪感を抱きながら、ウィルはその後について行った。


  ***


「クロノと組むのは久しぶりだな。指揮能力は上がったみたいだけど、個人技はどうだ?なまっているようなら、ちょっとゆっくり動こうか」
「きみの動きに合わせるくらい、どうってことはない」
「それじゃあお言葉に甘えて」

 ウィルとクロノは会話をしながら、通路を駆けていた。
 玉座の間に到達した時、そこにプレシアはおらず、負傷した武装隊だけが残っていた。それぞれひどい怪我を負っていたが、医療班の治療のおかげで一命を取り留めた。治療を続けている間に邪魔が入ってはいけないので、武装隊は負傷者にはりついて周囲を警戒していなければならない。しかし、その間じっとしているだけでは時間がかかりすぎる。こうしている間にも、プレシアが何らかの策を考えている可能性もある。
 そこでウィルとクロノは二人でプレシアを捕まえに行くことにした。

 今度は、下へ下へと進む。
 アルフはプレシアの私室や研究施設は時の庭園の下層部にあることは知っていたものの、詳しい場所までは知らなかった。申し訳なさそうに「立入禁止だったからね」と語っていた。
 もちろんプレシアがどこか別のところに隠れていることも考えられるが、ジュエルシードを制御するためには大型の施設が必要だ。プレシアがいなくても、ジュエルシードが回収できれば次元震の発生を抑えることができる。


 前方に五体の傀儡兵を発見しても、二人は立ち止まらなかった。
 通路は広いとはいえ、五体全てが横に並ぶことはできない。前に三体の傀儡兵。その後ろに二体という配置。

 ウィルは弾丸のように飛び出す。
 並んだ三体の傀儡兵――その真中の一体に、一切減速せずに正面から突撃する。
 傀儡兵と正面衝突する直前に、ウィルの体が急停止する。その足には、水色の鎖――クロノのチェーンバインド。
 文字通り足を引っ張られたウィルは、つまずくように前に倒れこむ。そのまま、足を中心に回転し始め、前方への運動エネルギーは下へとベクトルを変える。そのまま、一体目の傀儡兵を頭から胴まで縦に両断した。

 そのままクルリと前方に一回転して、飛行魔法で姿勢を制御する。その時にはすでに、足のバインドは解けている。
 突然自分たちのそばに現れた敵に、右の傀儡兵が剣をふるう。仲間がやられたというのに、まったく動揺せずにやるべきことをやる。こればかりは、機械の長所と言えるだろう。
 が、単調な軌道は読みやすい。攻撃をいなしながら、相手の腕を切り上げた。先ほどのような運動エネルギーをもたずとも、壊しやすい肘の関節部ならば腕の力だけで簡単に破壊できる。傀儡兵の腕が剣ごと空中に舞った。
 突然腕の重量がなくなった傀儡兵はバランスを崩し、姿勢制御のために動きが停止。その頭をクロノのスティンガーレイが貫き、二体目の傀儡兵は動きを止めた。

 もう一方、左側からも傀儡兵がウィルに攻撃をしかけようとしており、右側の傀儡兵に集中していたウィルの背に、その拳を振るう。
 しかし、その直前でクロノのデバイスから伸びるチェーンバインドが傀儡兵の体を縛りあげ、動きを阻害する。
 ウィルが振り向きざまの返す刀で頭をはね、三体目も動作停止。

 敵の前衛の三体を屠ったことで、後方の二体が襲いかかってくる。ウィルが後方に下がると、二体は三体のなきがらを飛び越え追いかけてくる。
 ところで、三体目の傀儡兵は活動を停止しているが、その体に絡まるバインドはまだ解除されていない。ウィルはクロノから伸びるバインドを片手に持つ。魔法によって強化された身体能力をもつウィルが、バインドを思い切り自分の方に向かって引っ張ると、迫りくる二体の傀儡兵の背中に、傀儡兵のなきがらが直撃する。
 走っているところを後ろから押されては、優れたバランサーを搭載していてもさすがに転倒を免れない。二体の傀儡兵は走る勢いのまま転がり、ウィルを越えて後衛のクロノの前でようやく止まった。
 クロノは起き上がろうとする二体をいたわるように、右手と左手をそれぞれの頭部に置いた。

「ブレイクインパルス」

 五体の傀儡兵を十秒もかからずに撃破し、ウィルとクロノは再び走り始めた。


 通路を抜けると、下方に伸びる縦穴に出る。この底が庭園の下層部になっている。
 縦穴には飛行型の傀儡兵が今まで以上にうようよとおり、飛んで降りようものなら囲まれてしまう。穴の外周に下に続く螺旋階段があるので、そこを使って少しずつ進むのが安全策だ。
 しかし、二人は飛行魔法を唱え宙に浮いた。

「今から道を作る!」

 クロノは縦穴の中心に飛び込み、デバイスを真下に向けた。当然、三百六十度全方向から傀儡兵が襲いかかるが、クロノはそれらを一顧だにしない。クロノのかわりに、ウィルがそれらを薙ぎ払う。
 そして、クロノのデバイスから放たれた砲撃魔法が、見えぬ縦穴の底に向けて突き進む。

『Blaze cannon』

 ウィルはすぐさまクロノを抱えて、砲撃の後を追う。砲撃は進行方向に存在する傀儡兵を消しとばしながら下へと向かう。そのすぐ後ろについて、ウィルたちも下へと進む。
 このまま一気に底まで。

 底が見えるところまで進んだ時、外壁を破壊して新たに一体の傀儡兵が現れた。巻き起こる煙で姿が見えないが、影から判断できるその大きさは、今までの傀儡兵の比ではない。
 クロノの砲撃が煙を吹き飛ばし傀儡兵に直撃する。しかし、砲撃はその身に纏うバリアに防がれる。
 巨体はこけおどしではなく、それに見合った出力の高さを持っていた。
 巨大な傀儡兵には、人間のように二つの腕があり、また背中から十を超える副腕が生えている。腕の先はどれも漏斗に似た形をしており、先には穴が空いていた。

「こいつ、砲撃型か」

 すぐさま降下を止める。
 次の瞬間、先ほどまで自分たちが通過するはずだった所を、主腕から発射された閃光が通過する。遅れて副腕が次々に魔力弾を放つ。
 ウィルとクロノは一旦体を離して、それらを回避する。
 クロノは主腕の砲撃を回避し、副腕の射撃をシールドで防ぎながら下りようとするが、厚くなる弾幕のせいで下りることはできない。

「ウィル、先に行け。きみなら弾幕をかいくぐって下まで到達できるだろ。先に行ってプレシアを見つけ出してくれ」
「一人で倒せるか?」
「こいつが相手では、きみがいても役にたたない」

 ウィルの攻撃方法は剣だ。高速飛行からの速度を利用した一撃は強力で、この傀儡兵の装甲でも簡単に切り裂ける。が、剣の攻撃範囲はせいぜい一メートルまで。相手がこれほどの巨体であれば、表面の装甲を切ることしかできない。

「と言いつつ、おれを囮にするつもりだろ」

 そう言いながらも、ウィルは言われるがままに急降下した。
 即座に砲撃型がウィルに狙いを定める。主腕の砲撃をバレルロールで回避。さらに副腕の射撃が弾幕となって、ウィルを追い詰める。

『Stinger Snipe』

 傀儡兵がウィルに狙いを定めている隙に、クロノは射撃魔法を構築し、発射。副腕が水色の魔力弾に貫かれ、次々と爆発する。
 ウィルは悠々と下層に降りる。穴の底からクロノに手を振ると、横穴の通路に飛び込んだ。

 ウィルを見失った砲撃型は、再びクロノに照準を合わせる。だが、副腕のほとんどが消滅した今、回避することは造作もない。それでも構わず砲撃を放つ傀儡兵。撃ち続ければいつかはあたると言わんばかりの単純な攻撃。その姿に、これだけのバリアをもたせておけば管理局くらいなんとでもなるだろうという設計者の驕りを感じて、クロノは少し嗜虐的な笑みをうかべる。

「機械に言ってもわからないだろうが、ブレイズキャノンは物質破壊のための砲撃魔法だ。だから、そのバリアでも止めることができた。しかし、その程度なら貫通力にすぐれた魔法でたやすく打ち破れる。このように――」

 クロノがスティンガーレイを放つ。それはバリアを貫通し、砲撃型に傷をつける。

「――簡単に。……威力が低い分、倒すまでに時間がかかるところが難点だが」

 語るクロノの周りに先ほどやり過ごした飛行型が、続々と集まっている。前後左右、そして上下。全周囲が敵。飛行型は一斉にクロノに襲いかかろうとするが

「スナイプショット」

 クロノの呟き(コマンドワード)に呼応して、先ほど放った、そしていつの間にか上空で待機していたスティンガースナイプの魔力弾が、天から降り注ぐ。
 スティンガースナイプは、一度敵を貫いた後、そのまま消滅せずに上昇する。そして、その抜けがらとなった魔力弾は、周囲の魔力素を取り込んで再びその威力を取り戻し、クロノの号令と共に再度敵に襲いかかる――そのようにプログラミングされている。
 飛行型は次々と貫かれ、爆発を起こした。

 煙の中で、クロノは今日何度目かのため息をついた。

「このくらいでは、相手にならないな」



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