ファントム・タスクという秘密結社がある。古から続く結社を再編した組織で、財界、政界はもちろんのことスポーツや文化にまで大きな影響力を持っている。その力は強力で、彼らに抗おうとした米大統領すら暗殺という形で手に掛けた。その存在理由は権力の拡大。己の表現手段である肉体の、更にその延長である力の確保と行使。支配、それこそが彼らの理念である。 その彼らが今から12年前、12歳の少女が発表した一つの基礎理論に興味を示したのは当然の結果と言えるだろう。その理論が実現されれば強力な力となるからだ。世間が無視したことも彼らにとっては追い風となった。篠ノ之束は疑うこと無く、縋るように彼らの申し出を受け入れた。そして少女は持てる全てを費やし2つの騎士を作り上げた。白騎士、赤騎士である。 この2機は自我を持ち、己の意思で活動する力を有していた。もともとIS、インフィニット・ストラトスはパワード・スーツを目指していたのでは無い。人工生命体を表わしていたのである。 彼らは言葉巧みに、休止中の赤騎士に近づき、それを手に入れた。指令コードは“我らに従うこと”赤騎士は異能者たちに叛く存在となった。一方、先に覚醒していた白騎士は、己に課せられた使命に従い、異能者たちを守る楯となった。 追う赤騎士に逃げる白騎士。両者のスペックは同等、いや白騎士の方が高いぐらいであったが、守るべき者という枷を背負った白騎士は分が悪かった。激しい戦闘の末、赤騎士は中破し、ファントムタスクに回収された。白騎士は大破、後に第1世代を生み出すデータとして各国に回収された。 15歳となっていた少女は両騎士の戦闘の際、頭部を負傷し理知を失った。白騎士が大破したときに散ったISコアの破片が彼女の頭部を襲ったのである。黒髪の異能持ちの少女は、己の自由と引き替えに、真の楽園と引き替えに、残った家族の居場所を得た。 そして騎士を生み出した少女は、長い睡眠のあと17歳の時に眼を覚ました。織斑千冬の嘆願を受け、更識家が手を伸ばし、手術を行ったのである。第一回モンドグロッソの表彰台。其処に立つ友人の姿が、絶望となって眼を覚ましたばかりの彼女を襲う。彼女は拒否した、妥協した友人が許せなかった、そうさせてしまった己を認められなかった。天才から天災と呼ばれるようになった彼女は、現実を否定、逃亡した。 もう一度騎士を。 脳に埋め込まれたISコアの破片。それを道として作り出した量子コンピュータと同期、再び騎士を生みださんと寝食を忘れた。だが脳に損傷を負った影響で、生み出せたものは不完全なコア467個。真のコアを作り出せなくなった。彼女は2度と騎士を作れなくなった。 それでもアリスは真の楽園を駆ける日を夢見て眠る。 ◆◆◆ 月面、静かな海の中心に人工物があった。それは巨大な樹木の根の様で、中央に100メートルはあろうかという太いパイプが走っていた。そのパイプからはやはり木の根のように、枝が走っており、その先には幾つもの研究開発の設備施設が設けられていた。人工物の下部末端は何もなかったが、ナノマシンたちの活動により月面資源が止まること無く吸い上げられていた。 月面基地“エンデア” エデンをもじったこの基地は、彼女、篠ノ之束の開発・研究基地である。月面近くの中枢区画、静まりかえった一室で、彼女は光子で創られた球状のインターフェースに手を添えたまま寝ていた。だが眼球は止まること無く動き、脳波は覚醒と睡眠の間を示していた。曰く、天才は眠らない。睡眠という休息の間においても、脳は止まること無く活動していた。 ぴぴぴと電子音。「ふあーーーー」 伸びから戻ると、彼女の意識内に膨大な情報が注がれる。それは無味乾燥な機械的に集められた情報では無く、量子コンピュータ“ラトヴィッジ”によって精査選別されたものだ。そこには各国の経済や内政、軍事と言った情報が含まれている。もちろんIS学園も同様だ。特に学園は特級の調査対象として分類されている。「やあ先生、おはようさん。今日の具合はどうだい? 新情報有り? ほほう……世界的な軍事再編が進んでいる? ISと旧世代兵器の連携? あー福音戦の時のあれか。ISと戦闘機、ミサイルの連携が効果的だって奴だろ? くっだらないことしてくれるねえ。ISはISであるべきさ、旧来兵器との協力なんて無粋だよ無粋。 そもそもISは本来私たちを守る楯……わかってるよ先生。第2世代が第3世代のセカンドシフト機と張り合った事実は無視出来ないって先生は言いたいんだろ? 確かに予想以上の効果を見せた。ISがいれば一般兵器でも通用するからね。でもあれは不確定要素が多すぎだよ、なによりあの坊やが関わっているんだからさ……ああ、みやのコアを見てみたいねえ。あの坊やに最も近いIS。考えただけで身震いしてくるねえ。他には何かあるかい? フランスのお嬢ちゃんが帰国した? どうでも良いよそんなこと。ああそうだ。あの坊やの動向を教えておくれよ。最近は静か? ふーん、察するにあの金髪の女狐にたらし込まれたか。まったく不愉快だねえ。あの声、あの顔、あの匂い、何から何まで腹立たしい。あの女さえ居なければ……って、なんだい先生。言いたいことははっきり言いなよ。 え、なに? 坊や坊やって失礼だろって? 年上かもしれないって? 良いじゃないかそんな事。もと何歳か知らないけれど今は16歳なんだからさ。てゆーか、先生、やけにあの坊やの肩を持つね。流石の先生も気になるのかい? まああの坊やは先生たちの上位者だからね、気になるのも分かるけど、先生はこの篠ノ之束の相棒なんだから妙なことをするのは止めておくれよ。ああ、うん。分かってるなら良いさ。こんなところかね、さあ今日も探すよゲート・ストーン。 どこかなどこかなーゲート・ストーン。ぱぱっとみつけて、ちゃちゃっと正す。そしてちーちゃんと箒ちゃんと一緒。それが目標だよ……って、なんだい先生このメールは。世界中のサーバーを宛先無く行き来してる? ふーんまるで誰かに読んで欲しいって言わんばかりだね。 ああ、分かってるよ先生、ゲート・ストーンに関するメールだ。はてさてどうするか。結構頑丈に暗号化されてるな、それだけ重要って事かだと思うけど……ふふ、ふふふのふのふのふふふのふ。いいだろ! この挑戦受けた! どんな暗号か知らないけれど、この束さんに掛ればお茶の子さいさい、東方不敗、あというまに解読さ、ほら出来た。ってこれはゲート・ストーンの調査報告書じゃないか。X線回折による結晶構造の判別、原子顕微鏡による原子構造の調査……どこの誰だいこんな事してるのは……げえ! ファントム・タスクの連中か! うっきゃーーー あの連中だよ! あーもう、忌々しい! くっそー この束さんがおもわず“げえ”なんて言っちゃったじゃないか! なんだいなんだい! せっかく忘れてたのに! 先生、ちゃちゃっとメールを消去しておくれ! 見なくていいのかって?! どうせパクリものしか使えない連中さ! ゲート・ストーンの解析なんて出来やしないよ! 先生ごちゃごちゃいわずに早く消去しとくれ! え? 最後を見ろ? ……これは」 報告書の最後に書かれたメッセージ。束は拒否反応に苛まれながらも目を逸らすことが出来なかった。 ◆◆◆ そこは煉瓦仕立てのカフェだった。壁にはくすんだ赤や黄土色の煉瓦が敷き詰められ、多少は重苦しい雰囲気があった。だがストリートに面する壁は、大きな窓硝子が取り付けられ、大きく開かれ、紅茶を楽しむものは道行く人々と笑顔を交わす事が出来た。店内に置かれているチェアとテーブルは木製で堅みを帯びていたが暖かみの方が大きかった。 世界屈指の大都市、ロンドン。テムズ川に面するあるカフェの一店で束は然も不機嫌だと言わんばかりに腰掛けていた。 彼女はライトベージュのカットソーに膝上に掛る程度の黒のフレアミニを纏っていた。もちろんそれだけでは11月のロンドンでは厳しいので黒のケープジャケットを羽織っていた。見える足にはブラックドットのストッキング。全体的にゆったりとした印象でかわいらしさを醸し出していたが、メイクを施しアダルトな雰囲気だった。 長く腰まで掛るブルネットの髪がさらりと揺れる。大きな胸も相まって道行く男性が彼女の美貌に惹かれ、見とれていた。 彼女は世界中から追われる身。大都市ロンドンの様な人目のつく場所で、何時もの奇抜なうさ耳メイド仕立ての服は避けたららしいが、別の意味で目立っていることに気づいていない。(おそい!) こつこつと、パンプスが苛立たしい音を奏でる。彼女は一向に現れない待ち人にしびれを切らしていた。段々と音が大きくなる、テーブルに置かれた紅茶に波が打つ。数名の客が気にしだす。店員が注意しようと、一歩進めたその時だ。店内がざわついた。カランと扉のベルが鳴る。 そこに、誰もが見とれてしまうほどの美女が立っていた。鮮やかな金髪は、美しい曲線を描き、嫋やかに流れていた。深紅の瞳はルビーのように透き通っていた。黒のファーコートにロングブーツ。彼女は周囲の視線を気にせずに、それどころか賞賛を浴びて当然だと言わんばかりに堂々と束に歩み寄った。「あんたがそうかい?」 束は不躾に睨み上げた。「ええそうです。スコールとお呼び下さい」 スコールは店員にカフェ・オレを頼むとゆったりと腰掛けた。足を組む。スコールの仕草一つ一つに反応し、束の頬が引きつった。「名前を知ることに意味があるとは思えないけどねえ」「今後お付き合いする上で、おい、あんたでは寂しいでしょう」「それはありえないね。あんたとは今日ここでこれっきりさ。言っておくけれど私は金髪の女が大っ嫌いなんだ」「未来など誰にも分かりませんわ、人間関係など特にそうでしょう」「まどろっこしいのは嫌いだよ。私がここに来た理由は1つだけさ、さっさと話してくれないかい」「急いては事をし損じると、日本の言葉にありましたね」「善は急げとも言うね」 ウェイターが恐る恐るカフェ・オレを持ってきた。2人の雰囲気に押されたのである。スコールは一つ礼を言い受け取った。褐色色のそれを口に運ぶ。束の我慢が限界に達した時だ。スコールはこう切り出した。「話は単純。私たちはあるモノを手に入れたい、それに協力して頂きたい」「その見返りがゲート・ストーンの在処と言う訳かい」「話が早くて助かります」「あんたは古株かい? 自分が誰に何を言っているのか理解しているのかな」「いえ、私は新参者ですよ。博士と我々の間に、過去、いざこざがあった事は知っています。ですが過去は過去、お互い協力しませんか」「いやなこった。あんたらと馴れ合うなんて御免被りだね」「ゲート・ストーンは必要ないと?」「脳から直接情報を取り出す方法ぐらい簡単さ」 束が右手を腰に添える。銃を抜く仕草。指先に光子の文様が浮かび上がった。彼女は僅かにズレた空間に多量の道具を持っている。この場でスコールを拘束することなど訳は無かった。殺気に近い攻撃性の意思、スコールは少しも慌てること無くカフェ・オレを口にした。「博士は勘違いしておられるようだ……私が在処を知っているとでも?」 彼女の手が止まる。束は不愉快そうにこう言った。「……はん、敢えて知らずに来たって事か。気に入らないねお見通しって訳かい」「希代の大天才篠ノ之束と取引をしようと言うのです、相応の準備はいたします」 束はココアを飲んだ。口にカカオの風味が広がる。彼女の意識に、2人を監視する数名の人間の位置が浮かんだ、そしてIS(サイレント・ゼルフィス)の反応もあった。怪しい挙動を示せば狙撃されるだろう。束にとってそれは大きな脅威では無かったが、ファントム・タスクに決別を知られれば、ゲート・ストーンの在処を知る事は期待出来ない。彼女は今までの調査に掛けた労力とこれからのそれを天秤に掛けた。一つ息を吐く。「まずそちらに要求を聞こうじゃないか。欲しいモノとはなんだい」 束の言葉にスコールは満足そうに頷いた。「蒼月真、ご存じですね? 我々は彼が欲しい」「おやおや意外だね。あのいけ好かない坊やにご執心とは、子供が趣味かい」「最高の人材を求めるのは組織の正しい姿です」(いっくんに興味を示さないと言う事は……そうか。狙いはあれか。マシン・マスタリー、こいつらも気づいている? いや、まだ確証は無い筈だ。そもそも、こいつらがあの坊やを手に入れてどうする? 世界一のコンピュータでも創ってハッキングする? それとも最強のISか? だがあの能力には時間が掛る、みやの状態を見れば一目瞭然だ……) 束は一つ肝心なこと、赤騎士の事を見落とした。真であれば修復することができるのだ。彼女は気づくべきだったのである。だがそれは彼女にとって、心の傷、トラウマとして忌むべきモノだった。それ故に気づかなかったのである。「ISを動かせると言うだけなら2番目じゃないか。どうしていっくんじゃないんだい」「確かに織斑一夏も魅力的です。彼の身体能力は目を見張る物があります。だが彼はまだ子供です、蒼月真の目的を遂行する力、私どもはそこに注目しています」 それだけではないだろう、束は敢えて言わなかった。「それで私に何を望む。人さらいは私の専門じゃないよ」「それは契約して頂けると言う事で宜しいのですね」「2度は言わないよ」「結構。蒼月真を学園の外にあぶり出したい。そうして頂ければ後は我々で対応します」「学園の外? 頼む相手が間違っていないかい?」「いえ、博士にしか出来ない事です。そしてそこに博士の求める物もある」「ゲート・ストーンが学園にある? そんな事は初耳だね、本当なのかい?」「もともと篠ノ之神社のご神体として祭られていたのです。それを更識家が極秘裏に移設した。人の口に戸は立てられぬとは良く言ったものですね。博士、灯台もと暗しといった心境でしょうが、郷土や歴史と言ったものに、もう少し眼を向けられることをお薦めします」「余計なお世話だよ、それで私はどうすればいい?」「場所を変えましょうか。良いレストランを予約しています、どうぞこちらへ」 2人は席を立った。束はあれほど毛嫌いしていたファントム・タスクと手を組んだのは取引のためだと自分を納得させる事にした。それが彼女自身を大きく変える転換点だと言う事も気づくことも無く。 ◆◆◆ シャルロットが帰国して数日が経った頃である。真は第3アリーナのフィールド上に立っていた。ふあと大きな欠伸をする。何時もと同じように彼は、職場に出て、何時もと同じように学園の少女たちを指導していた。 夕刻。本日は、本音や静寐らで構成されるサークル“ベルベット・ガーデン”の顧問として、授業後の指導に当たっていた。見上げれば静寐が乗るリヴァイヴと清香が乗る打鉄が、戦火を散らしている。 彼がいるのはフィールド上のセーフ・ゾーンだ。不可視の防性力場が地上2mで展開されていて、流れ弾が飛んで来ても危険は無い。遠くに見れば、残りのメンバーが声援を送っている。何時もと変わらない風景、何時もと変わらない日常、温和な日常と言う名の平和な一時。真はもう一度大あくびをした。「んあ~」 伸びる背筋が、筋雲走る初冬の空に掛る。11月1週目、そろそろセシリアの誕生日プレゼントを用意しなくては、イヤリングだとブルー・ティアーズと被る、ネックレスか? 日常的に付けて貰うには少々邪魔か。ならば指輪か、指輪は少々大袈裟じゃ無かろうか、とその様な事を考えていた。「だらけていますわね」 ISスーツ姿のセシリアが歩み寄る。彼女は自主練でアリーナに来ていた。一瞬心を見透かされたのではないかと、内心冷や汗を掻く真だった。「そ、そんな事は無い」「挙動不審ですわよ、また碌でもないことを考えていたのでは無くて?」「失敬な。もっと真剣なことを考えていた。だらけているのもちゃんとした理由がある、シャルの長電話に付き合ったら夜遅くなったんだ。ふあ……」「シャルロットさんと?」「そう、昨日さ電話が掛ってきてどうして電話してくれないのかって、延々説教が、」「察するにメールだけで済まそうとしたのでしょう」「いやだって、時差もあるしさそうおいそれと電話って訳にも行かないだろ。そもそも一夏の役目だろこれは」「その様子ですとシャルロットさんに変わりは無い様ですわね」「変わりは無いんだけれど、」「なんですの?」「少し神経質というか、情緒不安定になったかな。最後は泣きながら怒ってたし」「思い人と離れるのは辛いものですもの、当然ですわ」「でもこればっかりはな」「そうですわね、最近のシャルロットさんは凛々しいと言うよりは可憐と言う言葉がお似合いでしたし」「……」「なんですの?」「シャルが女の子だって何時気づいた?」「確信を持ったのは最近です。とても男性には見えなかった上に、急な引退、自明の理ですわ」 オルコット家はイギリス本国の情報網にアクセスできるため、シャルの素性を掴んでいたが敢えて言わなかった。真は呆れを交えて「相変わらず鋭い」といった。そのとき清香からのコール。電子音と共に真の意識内に彼女の姿が映る。『真、お邪魔して悪いけれどしつもーん』『そう思うなら察してくれ、久しぶりなんだぞ』『あはは、でも今日はサークルの日だからね』『分かってるさ』 真はみやを展開、背に一対の多方向推進翼を持った漆黒の鎧が現れる。「セシリア済まない、ちょっと行ってくる」「はい、がんばりなさいな」 真が滑るように空中を飛空すると、その先に5名の少女が立っていた。静寐、本音、ティナ、清香、癒子である。彼女らは己の技量向上の為、自主的にサークルを作り訓練に励んでいるのだった。真は清香に言った。「質問というのは?」 真が彼女らの顧問を務めるようになって分かったことがある。静寐は銃器の扱いは並だが局地的戦術的な判断に優れること。本音は相手の意表を突くのに優れるトリッカー。ティナはチームのリーダーで銃器の扱いに長ける。清香は狙撃、朗らかな性格に反し堅実な攻撃を好む。癒子はオールラウンダー、決め手に欠けるが何でも卒無くこなす。三者三様ならず五者五様と言ったところだ。 清香が言う。「銃ってさ、どうしても右側に向けて撃ちにくいじゃない? 位置取りに制限がでてくるから何とかならないかーと」「そりゃ銃の性質上そうなるって。銃は両手でグリップを持って銃床を脇で抱える様に固定する。反動があるからどうしても銃口が利き手と反対側を向く。それが気に入らないなら、反動の小さい銃にするかプリセット(初期装備)にするしかないだろ。プリセットなら容量も大きい分、反動もキャンセル出来るから」「うーん、プリセットってイマイチなんだよね。大きさの割に威力が無いというか、使い勝手が悪いというか」 ティナが割り込んで言う。「清香、兵士が銃を選ぶのではありません。銃が兵士を選ぶのです。M-16A2さあこれを使ってみるのです」「え、えー私は、H&KG36の方が」「なにをいうのです清香! ライフルはアメリカ製こそ至高! ライフルマンの誓いを10回暗唱しなさい!」「ひい!」 またやってるよあの2人、飽きないね、そう皆が笑った時である。緊急通信が真の元に届いた。彼の意識に浮かび上がる白銀の少女、冷静沈着なその表情に驚愕と僅かばかりの恐れが混じっていた。尋常で無い事を悟った彼は努めて冷静にこう言った。『ラウラか? どうした』『真、職員室に急行してくれ、今すぐだ』『何かあったのか?』『コアの製造方法が公開された!』 ◆◆◆