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No.32015の一覧
[0] STRANGE Vanguard (カードファイト!! ヴァンガード)[カイバーマン](2012/04/07 18:00)
[1] #1 PRESENT[カイバーマン](2012/04/21 21:38)
[2] #2 MOBILE[カイバーマン](2012/03/16 12:54)
[3] #3 MOVIE[カイバーマン](2012/03/26 22:14)
[4] #4 SISTER[カイバーマン](2012/03/29 22:12)
[5] #5 TACTICS[カイバーマン](2012/04/03 22:40)
[6] #6 UNCLE[カイバーマン](2012/04/07 18:00)
[7] #7 FRIEND[カイバーマン](2012/04/11 20:49)
[8] #8 RAIDER[カイバーマン](2012/04/14 18:13)
[9] #9 SEEK REINFORCEMENTS[カイバーマン](2012/04/20 22:51)
[10] #10 WAR COUNCIL[カイバーマン](2012/04/25 14:42)
[11] #11 A PRESENT OF ONE ANOTHER[カイバーマン](2012/04/28 20:26)
[12] #12 DECISVE ACTION[カイバーマン](2012/05/05 20:27)
[13] #13 HOME VISIT [カイバーマン](2012/05/16 21:04)
[14] #14 MISUNDERSTOOD[カイバーマン](2012/06/05 06:26)
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[32015] #9 SEEK REINFORCEMENTS
Name: カイバーマン◆7917c7e5 ID:56da04f8 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/04/20 22:51
「アイチ~。アイチの服持って来たよ」
「ああ、ありがとうエミ」

とある休日、晩食を終えてからずっと部屋に籠っている先導アイチの下に妹の先導エミが丁寧に畳まれた彼の服を持ってガチャリとドアを開けてやってきた。

「もう、自分の服ぐらい自分で取りにきてよねー。下から何回も呼んだのに全然返事しないんだもん」
「ご、ごめん、今ちょっとデッキの調整してて……集中し過ぎてエミの声聞こえなかったんだきっと」

机の上に置かれた自分の崩してあるデッキを見せてきた彼にエミは呆れた様子でため息を突くと、持ってきた彼の服をベッドの床下近くに置く。

「全くこれだからアイチは、全国大会で優勝してもちっとも変わってないじゃん」
「ははは……」
「少しはミサキさんぐらいもっと頼りがいのある……あれ?」
「どうしたのエミ?」

話してる途中でふとエミはある事に気づく。床に置いてあったアイチの服がいつの間にか忽然となくなっているのだ。椅子に座って大分距離のあるアイチが手に取れる訳ないし……。
不審に思った彼女はしゃがみ込んでふと置いた場所に近かったベッドの下を覗き始めた。

「……」
「なにしてるのエミ?」
「……」
「言っとくけど僕はベッドの下にやましい物なんて隠してないからね」
「……アイチ」
「ん?」

ベッドの下を覗くのを止めて立ちあがったエミにはいつもの活気が失っていた。
妹の様子にアイチが首を傾げていると彼女はおもむろに彼に話しかける。

「……お母さんがアイス買ってきてたから一緒に下で食べよう」
「ああごめんエミ、晩御飯食べた後だからお腹一杯で当分なにも食べれないよ」
「いいから!」
「うわ!」

やんわりと断ろうとするアイチだがエミは強引に彼の手を引っ張って椅子から下ろす。そのまま彼と一緒に部屋の外へと出ると、アイチの部屋のドアをバタン!と思いきりよく閉める。
そのまま彼の手を掴んだまま階段を勢いよく駆け降りる。

「はぁ……はぁ……」
「……どうしたのエミ? なんか様子おかしいよ?」
「アイチ……」

階段を降り切ると顔面蒼白にして呼吸を整えているエミを、心配そうにアイチが顔を窺ってくると彼女はバッと彼の方へと振り返って

「あの部屋でコーリンさんがベッドの下で私が持ってきたアイチの服を握りしめて、恍惚とした表情を浮かべて荒い息を吐いてたの!!」
「えええええ!!」

エミの口から放たれた事実を突きつけられてアイチは










「じゃあ挨拶してこなきゃね、せっかく部屋に遊びに来てくれたんだから」
「アイチー!」

ケロッとした表情でまた自分の部屋に戻ろうとした。






















「てことが三日前あったんです……」
「そ、そうなんだ……大変だね……」

戸倉ミサキは学校から店に帰る途中、同じく学校終わった後のエミに捕まり最寄りの喫茶店でそんな話をされていた。
アイチの時と同様コーヒー片手に彼女の話を聞きながらどう答えればいいのか迷っている。

「あの人遂にそこまでやっちゃってるんだ……」
「ちょっと前なんかも部屋でアイチに抱きついて襲いかかってたんですよ?」
「ぶ! お、襲いかかった!?」
「アイチはただ抱きつかれただけだから何もされてないって言ってましたけど……」

襲われたとは随分おだやかではない事態だ。思わずコーヒーを少し噴き出してしまう。

「よくもまあそんな頻繁に他人の家に上がり込めるね……」
「これってやっぱり犯罪ですよね?」
「不法侵入かな、その分じゃ余罪はもっとあるっぽいけど……警察に届ければ対処してくれると思うよ」

そう言ってくれるミサキにエミははぁ~と深いため息を突く。

「それがアイチは警察を呼ぶ必要なんかないって言うんです」
「どうして?」
「アイチったら自分が狙われてるってことにまだ気づいてないみたいで……」
「え~……」

それを聞いてさすがにミサキも頬を引きつらせる。現在進行形で屈折したアプローチを受けているにも関わらずさすがにそれは……

「アイチの部屋って家族以外の人が来る事無いんです」
「ああやっぱりそうなんだ」
「だから初めて家族以外の人が部屋に来てくれたのが嬉しいみたいで……ヴァンガードやる前は友達とかいなかったら」
「いやそれはどうなんだろうか……」

難しそうに頭を抱えてミサキはジト目でエミを見つめる。

「さすがに勝手に部屋に上がり込んでくる人に対して嬉しいと思うのはどうかな……」
「そうですよね! 絶対アイチの方がおかしいですよね!」
「でもあの人に対して警戒心が無いからそういう感情があるんだろうね。アイツにはあの人が初めて部屋に来てくれた人なんだし。エミちゃんにとっては犯罪者でもアイツにとっては大切な人なんだよきっと」

彼女なりにアイチの事を考えた意見だが、エミは「う~ん」と納得してない様子で首を傾げる。

「じゃあミサキさんはコーリンさんが勝手に部屋に入ってきたらどうしますか?」
「無言で窓から突き落とす」
「さすがミサキさん!」

冷静にポツリと物騒な答えを述べるミサキにエミは頼もしそうに歓声を上げるが、すぐにうなだれてシュンとする。

「ミサキさんがアイチの傍にいれば私も安心できるのに……」
「またそういう……ていうかあの人はアタシじゃなくてアイツ目当てだからね?」
「だからミサキさんがあの人からアイチを護ってくれれば嬉しいなって」
「アタシがアイツを護らなきゃいけない理由なんてないから……」
「アイチを護ってくれたらお母さんも喜ぶだろうしいいアピールになると思いますよ?」
「アピールってなに? なんの?」

朗らかに笑いながらおかしなことを言う彼女にミサキはツッコむがエミはお構いなしに話を続ける。

「最近お母さんあの人の事に関してはホント敏感になってて、家の前でアイチと会うならまだ許してたんですけど、あの人が部屋に上がり込んでアイチを襲った時からもうホントに」
「そ、そういうもんなの母親って……? お母さんはあの人の事が嫌いなのかな……?」
「「嫌い」とかじゃなくて「刺したい」って言ってました、包丁握りしめながら笑って」
「嫌悪を通り越して殺意!?」

色の濃い兄妹を生んだだけやはり母親もどこかぶっ飛んでいる。ミサキは人類の遺伝子の恐ろしさをしかと感じた。

「よっぽどアイツにそういう輩が近づいて欲しくないんだろうね……アイツ結婚出来るのかな……」
「ミサキさんなら大丈夫ですよきっと」
「いやいやいや……アタシはアイツと結婚する気ないよ」

苦笑して否定すると一気にコーヒーを飲み干す。

「アイツとはただの友達程度だし、アイツと恋愛関係に発展するとしたらやっぱり屈折してるけど好意持ってくれているコーリンさんとか……」
「そんなの絶対ダメです……ミサキさん」
「え、どうしたの?」
「ミサキさんにお願いがあるんです」
(……なんか嫌な予感)

急に真顔になってそんな事言う彼女にミサキの表情が強張る。兄と同様エミのお願いも中々難易度が高いのだ。そして案の定……

「アイチを護るためにウチに泊まりに来てくれませんか?」
「……え?」
「だってコーリンさんが家に入りこんでるじゃないかと、私夜も眠れないんです」
「あ~……」
「もしかしたらミサキさんがアイチに付きっきりで傍にいれば、あの人もアイチの事諦めてどっか行っちゃうかもしれませんし」
「そ、それはちょっと……」

怯えている少女を前にしてミサキは彼女の無茶な提案に承諾しかねる反応を見せた。
正直アイチが誰とどんな関係に発展しようがどうでもいいしそれに……

「他人の家に泊まりに行く経験なんて無いから迷惑かけるかもしれないし……」
「大丈夫ですよ、ミサキさんってアイチと友達なんですよね?」
「友達だけど……異性だからアイツとアタシは」
「アイチの事を男として見てくれているんですね」
「そりゃ一応……ね。見た目女の子っぽいけど」

あくまで男して見ているだけで恋愛対象としては考えてもいないのだが……。
しかしエミは両手を合わせてそんな自分に向かって目を輝かせている。
どうすればわかってくれるのだろうか? ミサキは期待の眼差しを向けてくる彼女から目を逸らしてそう思った。

(恋愛する柄でもないし、ていうかアイツとそんな関係になるとか考えられない……アイツ苛めてくるし)
「寝る部屋は私の部屋でいいですか? それともやっぱりアイチの部屋ですか?」
「いや勝手に進めないで……アタシまだ行くって言ってないし、どっちかというと無理なんだ……ごめんね」
「そんなぁ……あ」

さっきまで嬉しそうだったのに申し訳なさそうに断るミサキに対して落ち込んだ様子を見せるエミ、だが店の廊下からスッと一人の男が通りかがった事に彼女はふと気付いた

「アイチが懐いてる人」
「アイチ妹か……またこんな所でなにをしている」
「またコイツか……」

颯爽と現れたのはエミとミサキ同様制服姿の櫂トシキ、どうやら彼も家に帰る前にここに立ち寄りに来たらしい。

「毎度の事はといえ、アンタも結構ヒマなんだね」
「……」
「なんだよ、なに見てんだい」

悪態を突くと急にジーっと視線を向けて来た櫂に負けじとミサキも睨み返すと彼はぼそりと……

「……驚いたな」
「え?」
「……まだこの星に生息してたのかお前」
「人を絶滅危惧種みたいに言うな!」

冷めた表情でこちらを見下ろしてくる彼にミサキが怒鳴って負けじと睨み返していると。
さっきから櫂を見つめていたエミが恐る恐る彼に向って口を開く。

「あの、ちょっとお願いがあるんですけど……」
「なんだ、手短に話せ」
「あ、そうだ。コイツならヒマだしアイチの所泊まれるよきっと」
「勝手に話に加わろうとするな戸倉、話しかける相手が欲しいならそのマグカップと会話してろ」
「おいやるか? そろそろやるか?」

エミに助言しただけなのになぜか噛みついてきた櫂にミサキは持ってたマグカップをカタカタと小刻みに震わせながら戦闘態勢に入ろうとしていると、お構いなしにエミが話を続けた。

「ミサキさんが私の家に泊まってくれるように説得してくれませんか?」
「なに……?」
「え? ちょ、ちょっとエミちゃん……」

自分一人で説得しても無理なら第三者を借りる。彼女の強引な手段にミサキもこれには唖然としていると櫂はしばらく黙りこんだ後エミに向かって

「……随分と命知らずな真似をするんだな」
「どうしてですか?」
「こんな奴を家に連れ込んでみろ」

そう言って櫂は彼女の向かいに座っているミサキに指を突きつける。

「家が跡形もなく消し飛ぶぞ」
「お前はアタシをなんだと思ってやがるんだ!」
「凄いミサキさんにそんな力が……!」
「いやないから! 信じなくていいから!」

櫂の言葉を鵜呑みにしてゴクリと生唾を飲み込んでこちらを凝視するエミに、席から立ち上がってテーブルを両手で勢いよく叩いて否定するミサキだが、櫂はそんな彼女に更に追い打ちをかける。

「そもそも礼儀もしきたりもわからんこんな奴を家に誘おうとするな」
「ああ!?」
「こんな奴を家に泊めたら家の者の奴等にいい迷惑だ、止めておけ」
「お前よりマシだ!」
「……」

怒りで肩を震わせてメンチ切ってくる彼女に櫂は両手をポケットに突っこんだまま無表情で睨み返す。

「お前みたいな無作法な奴が人の家に泊まれるのか」
「少なくともアンタよりは礼儀ぐらいわきまえてるよ!」
「俺よりも礼儀が通じると本気で思っているのか」
「当たり前だろ!」
「アイチの家でも出来るのか」
「当たり前だろ!」
「泊まれるのか」
「当たり前だろ!」
「だそうだ」
「……あ」

櫂に踊らされてつい熱くなっていたせいで感情的に思いがけない言葉をポロっと出してしまうミサキ。
我に帰って間抜けな言葉を漏らしてしまう彼女に座っていたエミの顔がほころぶ。

「良かったー泊まってくれるんですね!」
「あ、いや……!」
「じゃあすぐにアイチとお母さんに言っておきますね!」
「あ、待ってエミちゃ……」

確認を取った時の彼女の行動力は早い、ミサキも言葉も聞かずに席から立ち上がって嬉しそうに廊下を走って店から出て行ってしまった……。
残されたミサキは自分の席にへなへなと座りこむ。

「……どうしよう」
「無様だな」
「あんたのせいだからね……」
「知った事か」

冷徹に斬り捨てる櫂の背後から赤髪の男がポンと彼の肩を叩く。

「全くです、それじゃあ僕等は帰りましょうか櫂、帰る先は当然、君の家です」
「……お前は学園都市に帰れ」
(なんか変なのが出て来た!)




























「アイチー!」

一方その頃、速攻で家に帰宅したエミの方は玄関で靴を脱ぐやいなや、ただいまも言わずにドタドタと階段を上って兄であるアイチの部屋をノックもせず開ける。

「さっきミサキさんとお話してたんだけど! ミサキさん……え?」
「おかえりエミ」

ドアを開けるとそこには頬笑みながら迎えてくれるアイチと……

「くー……」
「コーリンさん寝てるから起こさないでね」
「……」

アイチのベッドを占領して布団にくるまって寝息を立てている女性。
エミが最も警戒している人物であるコーリンだ。しかしアイチは驚いて声も出てない彼女を気にも留めずもう一つ言葉を付け加える。

「あと母さん今買い物に行ってるけど、帰ってきたらコーリンさん達の事言わないでくれるかな?」
「コーリンさん……達?」
「ねぇねぇ」
「!」

アイチの言葉にエミが違和感を抱くと共に階段の下から小さな足音が。
コーリンの妹であるレッカが自分の家だと言わんばかりの満喫してる態度で肩にタオルを巻き、棒付きアイスの棒を口に咥えてやってきた。

「冷蔵庫にアイスあったけど食べていいの? ていうかもう食べちゃったけど」
「!!」
「ん?」

部屋の前に突っ立っていたエミと鉢合わせしてしまってレッカは、怯えて肩を震わせているエミに対して棒を口に咥えたまま軽く手を上げて

「お風呂炊けてるから入ってきたら? 私も入ってきた所だし」
(助けてミサキさん……! アイチの周りにどんどん変な人が……!)

ウルトラレアに侵略されつつある我が家にエミは心の中で必死に尊敬するミサキの救助を祈るのであった。







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