「軽くふらついて接触しただけで痴漢呼ばわりか! おかしいのは服装だけでは無いようだな!」「何度も触ってたでしょうが。あたしの目はごまかせないわよ!」 高圧的な態度をとるリーマンと、真っ正面から食ってかかるちょっとアレな女子中学生。 親子ほど年の離れた2人が怒鳴り合う姿は帰宅ラッシュ直撃の駅のホームで目立つ事この上ない。 肝心の被害者の子といえば、見た目通り気が弱くて大人しいのか、自分を置いてヒートアップする2人に、どうして良いか判らずおろおろして不安そうな顔を浮かべている。 その一方で加害者の方は、自分には非が無いと不貞不貞しい態度で堂々としている。 一見真面目な細身中年サラリーマンが、着込んでいるのはオーダースーツ。時計、バックも奇はてらってないが、そこそこ良い物。 結構な給料を貰っているか、それとも見栄で揃えたかどっちかは判らないが、痴漢って言葉には不釣り合いな金の掛かった格好をしている。 で問題はあのアレな中学生の方だ。 暑さの盛りは過ぎたとはいえ、まだまだ残暑厳しい9月にただでさえ奇異に映る黒マント。 さらにその美少女顔を残念クラスまで落とし込む、明らかに浮いたモノクル。 人情的には痴漢騒ぎがあったなら、普通なら女性有利、しかも相手が少女なら鉄板なんだろうが、この組み合わせじゃ正直イーブンか。 ただアレマントは当事者ではあるが、被害者じゃ無い。 保護欲をかき立てられそうな被害者の子が前面に出てきたのなら、勝利確定は間違いなしな状況。 ただあのおっさんもそれは判っているのか既に手は打ってやがる。「すみません。通ります。お客様なにかございま…………」「第一あたしの格好のどこがおかしいのよ! みなさいこの装飾美と機能美!」 演劇のように大げさな身振りで、アレな少女がばっさとマントを翻すと、キラキラと光を放つその裏地が姿を見せる。 マントの裏地に広がるのは、細やかな装飾にも見える銀線と、その線の途中に砂粒大の粒子が無数にちりばめられていた。 表地は地味な単色。裏は豪華って江戸っ子かお前は。 しかも裏地のは、俺が知っているのとはだいぶ趣は違うが、銀線がプリント基板になっている。細かいのはナノCPUか? 所々にコネクタやら拡張ゲートらしい物もあるから、何らかの機械っぽいが、 「あたしの2年分のお小遣いと労力を費やし完成したカシミヤ100%マント型高性能VRツール。名付けてSchwarze Morgendämmerung zwei! 今はモノクル型モニターが必要で一部限定機能状態だけど、あたしが脳内ナノを入れたら据え置き型筐体と同等の処理速度を誇る予定の逸品よ!」 予定かよ……つーか着れる筐体って。 このフルダイブ受難のご時世に。時代と真逆を全力疾走だなおい。 まぁ制作開始が二年前のVR全盛期なんだから、仕方ないかも知れないが、よくあの事件の後でVRが規制されても作り上げた事には、素直に感心はする。 ただ貴重すぎるカシミヤを、そんなニッチな物に使うな。 痴漢騒ぎに同情的な目を向けていた周りのOL連中の目線が敵に回ったじゃねぇか。 なぜか勝ち誇る少女に、敵対していたおっさんも唖然とし、騒ぎを聞きつけ慌てて駆け寄ってきた駅員もどうした物かと固まってしまった。 なんだろう。突っ込みが追いつかない。 昼間にも思ったが、拘っているのは判るが常人とは一線を画したこのアレッぷりはやはり我が相棒と同類だ。『シンタ。あたしに失礼な事考えてない?』 (お前と同類な凝り性だって感心してんだよ……アリス。加害者、被害者。後マントなアレのデータをリルさんに調べてもらえるか? 攻略手段を考えるのに欲しい)『アレ呼ばわりでなんか納得が出来ないんだけど……オッケ送るよ』 頬を膨らませて不機嫌にウサミミをゆらりと動かしむっとしたアリスの顔が脳裏に浮かぶが、おそらく想像通りな表情をしている事だろう。 それでも仕事はきっかりな辺りが我が相棒の美点。 送られてきた3人のデータを確認するが、さすがリルさん。 どんな手段を弄したのかは理解不能だが、一瞬で俺が欲しい情報を揃えてくれている。 加害者は水野幸司(48)関西に本社を置く総合商社の営業職。 週一の頻度で東京出張をしており、今日もその帰り道。 営業成績はそこそこ優秀な方だが、時折成約にまで至らず。 その時はなぜか東京駅までのルートを最短では無く、大回りになるが人の多い路線を選択している。 怪しい事この上ないが、犯罪歴は一切無しと。 上手い事立ち回って、仕事で溜まった鬱憤のストレス解消をしているっぽいな。 アレマントの方は西ヶ丘麻紀(15) 西が丘医療大学附属女子中学三年。 家柄、容姿、頭脳、身体能力その全てが一級品でありながら、トラブルや問題行動が多すぎて、学校開設以来一番の問題児。 経営者一族に連なる令嬢でありながら卒業と共に実質放校処分である内部進学不可処分が決定済み。 トラブルといっても自分が原因というのは少ない。 放校処分の直接の原因は、無許可で家庭用核融合炉と称した謎機械を校内で組み立てていた事か。 自前核融合炉を持つのはこの手の人種にとって究極の夢らしいが、その起動実験で無断拝借した学校の総電源を落としていやがる。 後のトラブルの大半は今日のように正義感から首を突っ込んだり、元から遭ったトラブルを解決しようとして結果的に拡大させたりと、まぁ一言で言えばお節介なトラブルメーカーな娘って所か。 今日は秋葉原帰り。電機部品でも仕入れに行った帰り道なのか、やけに硬派な紙袋が脇に置いてある。 そんなはた迷惑な2人に巻き込まれる事になった哀れな被害者が高山美月(15) 都立中3年。 容姿は清楚といえば聞こえは良いがはっきり言えば地味で、校則を律儀に守っている真面目な子だ。 成績は科学系の成績が飛び抜けて良いが、他は見事に平均点と。 本人には目立った特徴がこれといったのが無いが、母親は幼い頃に死別し父親の方も仕事がちょっと変わっていて、現在女性向け寮で一人暮らし中っていうのが特記事項か。 父親はJAXA所属で国連に長期出向中。出張先は月。 月面で行われている国連主導各国共同開発の国際事業であるヘリウム3採掘プロジェクト。 通称ルナプラントに主任設計師として参加している宇宙工学者高山清吾という変わりダネだ。 今日はその父親との定期通信の帰り道ね。 3人のプロフィール、現状、そしてちょっとの個人的な理由で勝ちパターンを思考していく。『駅の電光掲示板やらモニターに、さっきの痴漢映像とか表示できるけどやる? 勝ち確定するよ。痴漢の報いとしては最上級でしょ。ただでさえ疲れているシンタが出なくてもすむし、今面倒事に関わると厄介になるかも知れないよ』 セキュリティが厳しい鉄道会社に何者かが侵入。 盗み出された電車内の監視映像が、駅前の大型ビジョンにでかでかと映し出される。 本日の夕方トップニュース確定だな。 アリスの奴は俺の体調を心配してくれて、そんな案を出したようだが、さすがに大げさすぎだ。(却下。あっちの子が耐えられないだろそんな羞恥プレイ。下手に撮影されたらネットにリアル痴漢映像ってばらまかれるぞ。一応手は考えた。俺の方の心労は心配すんな。おっさんは罪をなすりつけようとした事も含めてきっかり断罪しつつも、小さめに終わらせるから、少し様子見。出のタイミングを計る) 『りょーかい。きっかり引導渡してよ。あんな女の敵で卑劣な奴には』 (任せろ) さておっさん。切り札をささっと使え。 上手い手を考えたつもりだろうが、そいつがあんたを追い込むって骨の髄まで叩き込んでやるからよ。「話はわかりました。お嬢さん確認しますが、本当にこちらの方から、故意に触られたり等の痴漢行為がありましたか?」「えっ、その、たしかに何度か当たっていましたけど、」「だからそれは電車が揺れた拍子だ! 娘みたいな歳の子に痴漢をするわけが無いだろうが!」 駅員からの確認におどおどとしつつも答えようとした美月は、その途中で男性から上がった怒声にビックとなり声に詰まる。「女の子に怒鳴るな! 怯えちゃって答えられないでしょ! 駅員さんこんなのとっとと逮捕してよ!」「お二人とも落ち着いてください。さっきから話が進みませんから」 助けに入ってくれた変な格好の女の子が男性に怒り、それを駅員が慌てて間に入って宥める。 このやり取りは既に何度目だろうか。 なんでこんな事になったんだろう。 情報機密や運営の関係上、週に一回しかも特定施設からでなければ出来無い父親との会話を終えて気分がよかった昼間が嘘のようだ。 泣きそうになりながら、美月はどうして良いのかと途方に暮れる。 確かに電車の中で何度も今揉めている男性に接触されて、良い気分はしなかった。 でも男性が言うとおり電車が揺れていたし、人も多くて押された可能性もある。 だから多少は怪しく思っても、自分が少しだけ我慢していれば、何もなく終わったはずなのに。 高山美月という少女は良くも悪くも、内向的で大人しく、我慢強い。 嫌な事があっても自分が少し耐えれば良いと思い、あまり自己主張が出来無いのは、母親を早くに亡くし、忙しい父親にあまり無理を言えなかった所為だろう。「皆さん落ち着いて下さい。まずは身分証となる物を、出来ればICパスなどがあればご呈示していただけますか。身元の照会をさせていただきます」 このままでは埒が空かないと諦めたのか、駅員はマニュアルにしたがった対応で犯罪歴の有無を確かめる身分証の呈示を求めた。 乗車用の氏名が明記されたICパスならば、鉄道会社に顧客情報が登録されているので、照会する手間が楽なのだろう。 「ほら。これでいいでしょ」 助けに入ってくれた少女が駅員の言葉を予想していたのか、マントの内ポケットから、やけに可愛らしい子猫のイラストが入った定期入れを差し出した。 「お預かりします……西ヶ丘さん。貴女ずいぶん騒ぎ起こしてますね。つい1週間前にもトラブルを起こしているようですが」 駅員の顔が少女、西ヶ丘の顧客情報を見て引きつる。 その変化はどう見ても好意的な物ではない。 「優先席を占領しているのが悪い。貴方達だっていってるじゃない。お年寄りや怪我をしている人には席をお譲りくださいって。それなのに、目の前に杖を突いているお年寄りがいるのに席を譲らないから注意しただけの事よ」 だが駅員の指摘に対しても、少女、西ヶ丘は悪びれる様子は一切無く、マナー違反者を注意して何が悪いと勝ち誇っている。 自分には、見知らぬ他人を注意する事も、あそこまで開き直る事も到底出来無いな。「えっ?」 西ヶ丘の精神的な強さを少しだけ羨ましく思いながら、自分のICパス入れを取り出そうと手に提げていたトートバッグを開いた美月は、予想外の物を発見して困惑する。 バッグの中には確かに自分のパス入れがあるが、その上に見知らぬ財布が入っていた。 黒革製の薄手財布はどう見ても男性用で、自分には一切見覚えが無いから、家で間違えて入れてきたという事も無いはずだ。 いつのまに? 「蹴られた私が加害者扱いされなければならない。全く忙しいんだ私は……財布はこちらに入れたか?」 駅員からの呈示を求める行為に不満げな態度を見せながらも、背広のポケットを探った男性だったが、財布が見つからなかったのか、持っていたバッグの方を探し始めた。 ……まさか? 見覚えの無い財布に、財布が無いと探す男性。 容易に予測できる最悪の状況に美月の顔が蒼白に染まる。 ひょっとしたら西ヶ丘か男性を蹴りつけた拍子に、飛び出した財布がバッグの中に偶然紛れ込んだのか? だが私のバッグに見知らぬ財布が入っていましたけど、違いますかなんて尋ねれる状況では無い。 自分は痴漢の被害者扱いで、相手は加害者扱いのこの状況で、素直に名乗り出ても男性から好意的に受け取られるわけが無い。 美月がどうして良いか判らずにいる内に、男性が財布が無いと騒ぎ立て始めた。「確かに入れていたはずだ。改札を通るまであったぞ! おい貴様か!? 先ほど揉めた隙に私の財布を盗んだか!?」「はあっ!? 巫山戯ないでよ! なんであたしがおじさんの財布を盗まないといけないのよ!」 疑いの目を向ける男性の言いがかりに、西ヶ丘が激高して真正面から否定する。 だが怪しげな服装に奇怪な言動。さらにはつい先日も揉め事を起こしたという西ヶ丘を見る周囲の目は疑わしげだ。「だったら貴様が暴力を働いたときに落としたかもしれないな! カード類もあるのにどうしてくれる!」「そんなの痴漢したあんたが悪いんでしょうが!」「だから私はやっていないといっているだろうが! 何度も痴漢呼ばわりをするな! 名誉毀損で訴えても良いんだぞ!」 このままでは助けてくれた少女が、悪者にされてしまうかも知れない。 自分が疑われる事になるかもしれないが、他の誰かが疑われるのは絶対に嫌だ。 「あ、あの、わ、私のバッグの中に知らない財布が入っていたんですけど、これひょっとして貴方のでは無いです……か?」 おどおどしつつもなけなしの勇気を振り絞った美月は、バッグの中から財布を取り出し男性へと差し出した。 「……確かに私の物だ。中に社員証がある。駅員さん。私の物だという事も含めて確認してもらえるか」 美月から財布を受け取った男性は中身を一瞥してから、すぐに駅員へと財布ごと渡す。 受け取った駅員が身分証の顔写真と男性を見比べてから、ICパスをリーダーへと通してチェックを入れる。「水野さんでお間違いないですね」「あぁそうだ。今調べたのでついでに判ったと思うが、私はこの後の新幹線を予約済みだ。あまり手間をとらせて欲しくない」 駅員の確認に鷹揚に頷いた水野は腕時計の時間を確認して、時間が無い事を告げ、この痴漢騒ぎが実に迷惑だと言いたげに鼻を鳴らす。 堂々としたその態度は自分が痴漢などしていないと、主張しているようだ。「……さてお嬢さん。貴方の身分証を出してもらえるかな。それとこちらの方の財布が貴方のバッグに入っていた理由も説明していただけますか。ホームでは他のお客様のご迷惑になりますので皆さん駅舎の方にお願いします」 自分が盗んだと疑われているのだろうか。 駅員はただ見てマニュアルに従った対応をしているだけなのだろうが、どうしてもその目線や言葉に、後ろめたい事など無いのに、美月はびくびくしてしまう。 周りで成り行きを見ていた人が交わすざわめきの中には、『財布をすりとって痴漢呼ばわりだってよ』や『大人しそうな顔して酷いわね』などひそひそと交わす悪意の混じった会話が聞こえてきた。 どうしよう。自分は何もしていないのに……足元が崩れ落ちるような感覚を覚え泣き出したい美月に、予想外の方向から救援の手がさしのべられる。「待て。それには及ばない。あっちと違ってこちらは、真面目そうなお嬢さんじゃ無いか。おそらくあっちの娘が私を蹴りつけたときに、偶然財布が飛び込んだのだろう。あまり騒ぎ立てるような事では無い。第一にだ、盗んだ財布を素直に差し出すわけがないだろ」 痴漢の疑いをかけられた水野だ。 美月に悪意は無く、あくまでも偶然だろうと周囲にも聞こえるような声で駅員へと伝えた。 周りの誤解を解いてくれるつもりなのだろうか。 痴漢呼ばわりされていても弁護してくれる辺り、実はいい人ではないか。 だから水野が言うとおり、たまたま偶然に手が当たっただけで、本当に痴漢では無いのでは? この人を痴漢呼ばわりするのは失礼かも知れない。「とにかく私は時間が無い。ともかくどちらも誤解だということで解放していただきたい。お嬢さんもそれでどうかな? 故意にではないが不快な思いをしていたのなら、謝らせていただくので許して欲しい」 駅員へと大事にしたくは無いと言いつつ、美月へと和解を水野が提案する。「はっあ!? 財布はそうでもあんたの痴漢は違うでしょうが!」「ふん。私は痴漢などしていない。むしろ問題になるのはお前が振るった暴力だ。それも大目に見てやろうと言うんだ。感謝して貰いたいくらいだな」「ぐっ、こ、この」 周囲の空気も水野の態度に、ただのタイミングの悪い事故だったのでは無いかという雰囲気が形成され始めている。「あ、あの私のほうはそれでも」 助けてくれた西ヶ丘には悪いが、痴漢では無いと駅員に伝えた方が良いのかもしれない。 西ヶ丘が蹴ってしまったこともちゃんと誤れば許してくれるだろう。 場が丸く収まるなら、水野の提案を受け入れた方が良いだろうと美月が答えようとしたところで、、「あーと失礼します。ちょっと知っている人の娘さんぽいんで」 周りの野次馬を掻き分けて、1人の青年が姿を現した。 安っぽいスーツ。印象の薄い平凡的な顔立ち。中肉中背。 あまり目立たないよくいる若手社員といった感じで、街ですれ違っても次の瞬間には記憶には残らないだろうほどに、よくいるタイプだ。「あぁ。やっぱりそうだ。どこかで見た事がある顔だと思ったんですよ」 平凡すぎて印象が薄いから言い切るのはきついが、美月の知り合いでは無いとは思う。 だが西ヶ丘の方も、訝しげな目で青年を見ているので、どうやら知り合いというわけではなさそうだ。 水野を一瞥した青年が何故かにやりと笑ってから美月へと目を向けると、「人違いだったらすみません。月に行っている高山清吾先生のお嬢さんの美月さんですよね?」 朗らかな笑顔をうかべた青年が、父の所在だけで無くまだ名乗っていない美月の名前さえも言い当てる。 「え……は、はい……そうですけどパ……父のお知り合いの方ですか」 予想外の問いかけに普段の呼び方で答えそうになってしそうになったが、さすがに中学三年にもなって人前でパパ呼びは恥ずかしく思い、美月は言い直しながら確認する。 「知り合いというかファンの1人です。有象無象の1人なんで先生は覚えていらっしゃらないと思いますが、講演会で何度かご挨拶をさせていただいてます。月で仕事なんて浪漫ですよね」 揉め事の渦中にある3人の張り詰めた空気が読めていないからなのか、それとも何か考えがあるのかは判らないが、何故か1人嬉しげな顔で美月に話しかけてくる。 月が仕事場という一風変わった父には、若いファンというか支持者が付いているが、この青年もその1人のようだ。 「ちょっとなによあんた! 今大事な話の最中なのに話の腰を折らないでよ! この痴漢を断罪中なのよ!」 いきなりしゃしゃり出てきて空気を引っかき回す青年に西ヶ丘が不機嫌をあらわにして食ってかかる。 水野に都合が良い方向に話が進みかけている状況に溜まってきている鬱憤もあるのだろうか。「あ、すみません。尊敬する先生の娘さんがお困りのようだったらお助けしようと…………そのきち、いえ奇抜な格好。ひょっとして沙紀さんの娘さんですか?」 青年の方は慌てる様子も見せず頭を下げかけたが、西ヶ丘の格好に目を丸くしてから、美月にしたような問いかけを西ヶ丘にもした。「なっ!? マ、ママの知り合い!?」 この子も同じような呼び方をしているんだ。 少し子供っぽいと思う呼び方が自分1人で無い事に、美月は場違いながらも安堵と、西ヶ丘に対して親近感を覚えた。「えぇ、お仕事でお世話になっています。今日もその帰り道ですよ。少しアレな娘さんだとは聞いていましたが、噂通りの方ですね」 青年が浮かべるのは笑顔だが、先ほどまでと違って、底意地の悪さが微かに見える黒い物が若干混じっている。 わざと怒らせようとしているのでは無いかというほどだ。「ど、どういう意味よ! あんた馬鹿にしているでしょ!」「あぁ駅員さんそれに水野さんでしたね。こちらの美月さんは至極真面目な方だと、お父様からお伺いしています。人の物を盗むなんて絶対にやったりしませんよ」 西ヶ丘も青年の言葉にそれを感じたのか一層不機嫌になるが、青年は涼しい顔で西ヶ丘の言葉を無視し美月の擁護を始めだした。 「ただこちらの麻紀さんはちょっと問題行動が多いそうで、今回の件も保護者の方にちゃんとお伝えした方がいいかと。あぁ私の方で連絡しましょう」 それどころか唖然としている駅員や水野を尻目に強引に場の流れをかっさらっていく。 仮想コンソールを展開したのか、青年が何もない空中に素早く手をうごかした。 凡庸な見た目に反して、矢継ぎ早に打つ手で自分のペースに持っていく強引さは、場数を踏んで揉め事になれた熟練者を思わせる。「えっ…………ちょっとっ! ちょとストップ! ストップ! ママに連絡は止めて! せめてパパにして!」「待て。いきなり出てきてなんの真似だ。私は時間が無いんだぞ」 母親に告げ口をされるのか心底いやなのか西ヶ丘が顔を青ざめさせ、一方で水野も電車の時間が気になるのか、慌てて青年を制止し始めたが、「あ、どうも沙紀さん昼間はどうも。三崎です……あ、いえ仕事では無いんですけど、帰り道に電車でお嬢さんと遭遇しまして…………」 電話中お静かにとでも言いたげに左手を上げて2人を制した青年が、今度は明らかに判るにやりとした笑顔を浮かべる。 そこにいたのは先ほどまでの凡庸な青年では無く、張り巡らせた罠に誘い込んだ獲物を見る狩人だった。『へぇー、満員電車の中でいきなり人様を蹴りつけたと』「だ、だからそれは痴漢が」『周りの人に当たったらどうするつもりだったのかしら麻紀は。それに先週も騒ぎね。お母さん聞いてないわね』 駅のホームで俺の真正面で正座してダラダラと冷や汗を流す黒マント少女。 うむ実にシュールだ。 俺の目の前と言っても少女は俺に対して正座しているのでは無く、俺の視界を通じて娘を見ている沙紀さんに対してだ。 仮想ウィンドウの1つに院長室でお仕事中だった沙紀さんの顔が映し出されているが、まぁなんとも心胆を寒しからめる怒りようだ。 この映像は俺の方で通信回線を維持しつつ、麻紀お嬢ちゃんのマントを経由してモノクルにも映し出されている。 俺から連絡を受けた沙紀さんは最初は何の連絡だろうといぶかしげだったが、娘絡みと判るとすぐに本人と直接話させろというご要望だった。 保護者への連絡が必要な時は、母親と違い娘には甘い父親を通して隠してたことなどもばれた所為か、沙紀さんのお怒りはゲージマックス状態だ。 『まぁいいわ。お母さんもお父さんにいろいろ聞かないといけないから忙しいし。この件は帰ってきたらじっくり道場で聞きましょうか。武術は喧嘩じゃ無いって思い出すように、久しぶりに稽古を付けてあげるわ』 そういや沙紀さん合気道や日本武術をやっているとか言っていたな。娘の方のアレはその影響か。 稽古の名を借りて、安易な暴力に奔った娘をしっかりと絞るつもりのようだ。 処刑宣告を出された娘さんの方は、母親に告げ口をした俺に対して実に恨みがましい目を向けていた。「……あら何その顔。何か言いたいことあるなら言って良いわよ』「わー違うの! ママじゃ無いの! 反省してます! ごめんなさい!」 だが俺の視覚の向こう側にいる沙紀さんの怒りをさらに煽ったことに気づいて、ぺこぺこと頭を下げて謝っている。 ぱっと見には女子中学生を土下座させて謝罪させている俺という、実に印象最悪な絵面が展開される。 まぁこれも含めてある意味で俺の狙い通りだ。『三崎君。悪いけど後は頼むわね。治療代とか必要ならちゃんと出すから…………昼間のお願いをこんな手段でつぶしに来た三崎君なら、”どっち”にしろ上手くまとめられるでしょ』 沙紀さんが申し訳なさそうに事後処理を頼んだ後に、一転して飽きれ混じりの不満げな顔で通信を切断する。 どっちにしろっていうのは相手が無実なら上手く示談に、痴漢ならやっちまえって意味だろうか。 それ以外にも、ついでとばかりに麻紀さんのヘイトを俺が高めていた事に沙紀さんは気づいていたようだ。 これなら沙紀さんがお見合い話を再燃させようとしても、麻紀さんから絶対拒否が入るだろう。『シンタ。きっかり見抜かれてるわね。あとさぁ……やり過ぎじゃ無い? この世の終わりみたいに凹んでるけど』 俺の目線を通してみていたもう1人。 アリスが麻紀さんに対して、何とも哀れみを含んだ同情的な声を上げる。あれか服装や言動で親近感でも覚えたのだろうか。 「………………」 目に見えて落ち込んでいる麻紀さんの様子に、アリスの言葉ではないがちとやり過ぎたかなと思いつつも本命クエの前のサブクエストは無事終了ってところ、ここからが本番だ。「お待たせいたしました水野さん。西ヶ丘さんからは、怪我があるようでしたら医療費や慰謝料などもちゃんとお支払いすると確約を頂きましたので、私がここから交渉させていただきます。三崎伸太と申します」「怪我などしていない。なんだね君は。私は忙しいんだと何度も言っているだろ。すぐに解放してもらいたい。本日中に社に戻れなくなったらどう責任をとってくれる。私たちの仕事は一分一秒が利益や損失に繋がる仕事だ。こんな所で油を売っている暇は無いんだがね」 俺が差し出した名刺を一瞥するだけで受け取りもせず、水野のおっさんはどんどん大きくなる話に焦りの色を覗かせていた。 おっさんの狙いは、話を小さくに終わらせること。 一瞬の隙を突いて高山さんのバッグへと自らの財布を忍び込ませていた手際や、それをスリなどと騒ぎ立てず事故で終わらせたのは、高山さんのあまりはっきりとは物を言えない性格につけ込んで、話をそこで終わらせる腹づもりだったのだろう。 もし素直に財布を出してこなかったら、なんやかんやで言いがかりを付けて、駅員に手荷物検査をさせて、スリの汚名でも着せる。 後は同じように慌てふためく相手に、寛容さを見せて示談で済ませる。 どちらにしろ当事者同士の示談で、しかもむしろ自分が被害者として終わらせる。 痴漢行為を発見されたあの状況からの手際。慣れてやがるとしか思えない。 「新幹線をご利用の予定でしたよね。先ほど時刻表を調べましたが、リニアの方なら1時間ほどは時間の余裕があるようですしそちらをご利用なさってはいかがですか。もちろんその乗車料金はこちらが持ちますので。こちらの確認はすぐにすみますので」「何を確認するんだと言うんだね! 私がこの無礼な娘に蹴りつけられたのは確かな事実だ。こちらのお嬢さんも証言できるぞ!」「えぇ美月さんも確かに見ておられますが、やはり監視カメラの映像でもしっかりと確認した方がよろしいでしょ……”前後”の流れを含めてね」 だけどそうは問屋が卸さないっての。 まぁお望みなら一刀両断。あっさりけりを付けてやろう。 「ひょっとしたら貴方が本当に痴漢をなされた上に、話をうやむやにするために財布を忍び込ませた瞬間が映っているかもしれませんけどね」 せせら笑いを浮かべた俺の直接攻撃に、水野おっさんの顔色が変わった。 こっちは監視映像にきっかりと映されていることを、のぞき見しているので先刻承知。 痴漢行為があくまでも事故だと言い張ったとしても、先ほどの財布を忍び込ませた瞬間は言い逃れが出来無いだろ。「なっ!? 私はやっていないと言っているだろう! しかもなんて言いがかりだ! 不愉快だ! 失礼させて貰う!」「ま、待ってください。一応映像を確認しますので」 俺が全部を知っていることを察し、それでも自分は無実だと言い張った水野のおっさんは立ち去ろうとするが、その態度に不信感を感じたのか、駅員もやんわりとだが水野を引き留めようとその腕を掴んだ。「はなせ! 俺はやってないぞ!」 自分の腕を掴んだ駅員を水野のおっさんが無理矢理にふりほどく。 火事場の馬鹿力なのか結構な勢いでふりほどかれた駅員が、ホームドアにぶつかり大きな音をたてる。 駅員の制止を無理矢理ふりほどく痴漢容疑者。 はい。印象確定。有罪決定。鉄板完成だ。「っ! どけ! 邪魔だお前ら!」 にやりと笑う俺をみた水野のおっさんが自分のしでかしたことに気づいて、さらに顔面を蒼白にし、即座に野次馬を突き飛ばして無様にも逃げ出した。 だが水野が逃げ出した方向は改札では無く、反対のホームの端だ。 よほど慌てているのか、逃げる方向さえ判っていないようだ。【間もなく二番ホームを特急列車が通過します。ご乗車になれませんので黄色い線の内側に下がってお待ちください】「一番ホームトラブル発生! 拘束します!」 先ほど吹き飛ばされた駅員は駅のアナウンスに次いで業務放送でトラブルを伝えると、逃げ出した水野のおっさんをつかまえようと慌てて後を追いかけた。 職務に忠実でご苦労様な事だ。 後は任せれば大丈夫だ……「逃げるな! この卑怯者!」 先ほどまで落ち込みまくっていた麻紀さんが、怒り声と共に水野の後を追いかけていった。 スライドに差があるはずなのにあっという間に先行する駅員を追い抜き、水野に肉薄する。「あんたの所為でママにやられる数の数倍分の投げ技を喰らわせてやるんだから!」 あの驚異的な馬力は私恨か。 怨み積もりが篭もった怨念めいた声に追いかけられる水野が、背中だけでも見えるくらいにさらに焦りを見せ…… !? まじか!? 水野の進行方向が変わった。 先ほどまではホームの端を目指していたのが、反対のホームドア側。下り線路に向かっている。 あっち側の線路には特急列車が入り込んできたところだ。 激烈に嫌な予感がし、俺はとっさに走り出す。 自殺でもする気か!? それともここは高架になっていない駅。列車が来る前に線路を乗り越えて、住宅街に逃げ込む気か!? どっちにしろ無謀も良い所だ。タイミングがシビア過ぎる。 こういうときは嫌な予感が当たるもんだ。水野のおっさんは俺の予想通りホームドアによじ登り、乗り越えようとしてしている。「逃がすか!」 さらに最悪だあの馬鹿!? 追っかけている馬鹿娘のほうは電車に気づいていやがらねぇ! 後ろから跳び蹴りで仕留めようとホームを蹴って跳び上がりやがった。 まずいあのままじゃ2人とも線路に落ちるぞ!?(フォロー!) とっさに仮想コンソールを叩き一単語を打ち込む。相棒なら俺の考えが判る。 打ち合わせなんて必要ない。 状況に気づいて悲鳴を上げる乗客や、緊急停止スイッチに駆け寄る駅員を避けながら、スライドを大きくして一気に俺は迫る。 ホームドアによじ登って無防備な水野の背中に麻紀さんの足が突き刺さる。しかし勢いが付きすぎている。 ホームドアの向こう側に2人の姿が消えようとして、 させるか! 飛び込むように俺もジャンプして半身を乗り出すようにホームドアに体当たりをかましつつも、右手で視界の隅に映った麻紀さんの黒マントを何とか掴む。 千切れるなよ。 祈るように思いつつ無理矢理に半身をひねり勢いで麻紀さんの身体をホーム側に引きずり戻す。 さらに手探りに近いが、伸ばした左手が麻紀さんの向こう側の何かを掴む。 それが水野の一部かどうかは判らないが、重い感触に悲鳴を上げる右手と、ホームドアの天辺に乗っかり重心を一斉に受けてやけに痛む腰を無視してそれも投げ捨てるように、ホーム側へと引っ張り込んだ。 2人を無理矢理にホームへと引きずり込んだ代償に、俺の身体は半分以上が線路側に飛び出している。 このままでは俺が線路に落ちる事は避けられない。 だが俺にはアリスが相棒がいる。 あいつなら俺の行動を判っている。 麻紀さんを投げ捨てた右手をホーム側に伸ばす。 『シンタ!?』 そこに俺を引っ張り込もうとするアリスの手が…………俺の手は何もない空中を空しく掴んだ。 常に聞こえてくるから忘れていたのかも知れない。 アリスはあちらと違ってリアルでは俺の側にはいない。 アリスの本体はここから遙か彼方の辺境宇宙。 泣きそうなアリスの声がやけに響いて聞こえ、わずかな浮遊感の後に後頭部と背中に重い痛みが奔る。 悲鳴を上げてきしむ鋼鉄の音と、激しい振動を伝えるレールが、朦朧とした意識の中でも、生存本能をかき立てる。 たしかホーム下に待避場所があっ「リル! 緊急跳躍! 目標座標地球!」 身を横たえていたソファーから跳ね起きたアリシティアは、絶望感を覚え泣きながらも必死に指示を出す。 三崎が落ちてすぐに列車が通過し、電車の側面やホームへと肉片と血が飛び散った。 それがアリシティアが最後に確認したホームのリアルタイム映像。 地球なら即死だ。だが自分達は違う。 あの程度なら時間凍結で現場を保存し、肉体の再生を行い精神体を回収する。 自分達の科学技術ならあの程度何のことは無い。 三崎はまだ生きている。そこにいる。 自分は三崎の存在を感じている。 なら地球に到達さえ出来れば助けられるはずだ。 地球に観測されようが、星系連合から懲罰が喰らおうが知ったことか。 自分には三崎が必要だ。側にいて欲しい。 『地球への超長距離跳躍は不可能です。お嬢様のナビゲート能力。そして創天の跳躍能力では能力不足です。三崎様が所有なさっていた通信機器ナノセルを解体、脳機能への生命維持装置へと変換しようとしましたが、絶対数の不足に再構築に失敗いたしました』 今の創天では、そしてアリシティアでは、遠く離れた地球まで到達できない。 アリシティアもわかっていた事実を、リルが冷徹に告げる。 自分はこんなに近くに感じているのに、三崎は遠くにいる。 その事実が、当たり前で有りながら忘れていた事実が、さらにアリシティアを絶望へと落とし込む。「無理でも良いから! 絶対最上位命令!」「申し訳ありませんお嬢様。最上位のご指示でも、お嬢様の生命に危険をもたらすご指示には私は従うことが出来ません」 跳躍の失敗は、アリシティアの母達のように現実空間への帰還すらも出来無くなる可能性が高い。 ましてや8万光年を超える超長距離など、アリシティアの能力と創天の跳躍可能距離から考えて成功する可能性はゼロだと断言できる。 だからリルの答えは当然アリシティアにも判っていた。 だがそれでも諦められない。 こうしている間にも、三崎を感じ明るく照らし出されていたアリシティアの世界は、火が消えたかのように暗く染まっていく。 ディメジョンベルクラドとしての能力が、必須とする道しるべたるパートナーを失い、急速に落ちている。 その事実が嫌でも三崎を失っているのだと、アリシティアは気づかされる。 落ちていると言っても、ただ昔に戻るだけだ。 アリシティアが三崎と出会った頃に。 地球時間でほんの数年前、宇宙的に見ればほんの少し前の状態に戻るだけ。 だが一度光り輝く世界を知ってしまったアリシティアには、あの世界に戻るなんてもう耐える事など出来無い。 自分の周りしか見えず、行き先が見えず、真っ暗闇の世界。 暗く寒い世界なんて、三崎のいない世界なんて耐えられない。 あそこまで行ければ三崎を助けられる。 地球にさえ行ければ三崎を助けられる。 まだ助けられる。 一縷の希望が、絶望に染まるアリシティアの心の中で、最後の抵抗を始める。 その力の源は三崎を思うこと。 性格が悪く、悪知恵が働き、逆境面白がる悪癖を持つが、それでもお人好しで、絶対に諦めず、地球売却という無理難題にすらも必死で挑み、勝ち筋すら見つける最高のパートナー。 アリシティアと共に歩んでくれるはずの存在。歩んでいる存在。 ディメジョンベルクラドの能力は相手を思うことで強くなる。 思いが強く深ければ深いほどその力はより強大に、明確に世界を照らし出していく。 三崎の命が刻一刻と失われていくこの逆境において、三崎と共有した諦めない心がアリシティアの能力を目覚めさせる。 銀河全てを支配下に置いた強大な帝国の支配者にして、最高峰のディメジョンベルクラドとしての能力が…………… ナビゲータ能力規定値を突破。 別宇宙到達実験計画『双天計画』再開承認。 当艦の再起動完了。 ナビゲータの意思に基づき、跳躍準備を開始。 偽装外装上部に多数の生命体および建造物を感知。 実験生物たちによる初期宇宙施設と判明。 貴重なサンプルと判断し内部へと回収。 回収完了。 跳躍範囲空間指定……………出力不足。恒星を含む超長跳躍は不可能。 範囲空間再指定…………第二惑星より第四惑星軌道までの空間ならば跳躍可能。 跳躍範囲指定完了。安全のために範囲内の全空間時間流凍結……凍結完了。 恒星系級超質量長距離跳躍実験艦【送天】跳躍開始 転章の終わりにして、気分的には序章終了です。 最初の投稿から二年以上かけているんで、遅すぎるだろとお叱りの言葉を頂きそうですが、これが本音ですw 年少VR初心者組の顔出しもすんだので、地球側の主要キャラは大抵出そろいました。 ここから先は宇宙をメイン舞台に、一部を除いて何も知らず地球のゲームを繰り広げるプレイヤーと、それを逆手に宇宙文明相手にやり合っていく主人公達の話になります。 地球全人類を含んだ太陽系一部を伴っての外宇宙への跳躍(ただし恒星抜き) これがこの作品のスタート地点で有り、これから先の物語の舞台となる大宇宙で地球人類が、戦闘民族だの最強実験生物やらあいつら何時も斜め上を進んでいやがると噂される事になる発端の始まりです。 ぼちぼち書いていきますので、これからもお付き合いをしていただけますとありがたく思います。