ジェファソン博士は、万人が口を揃える程の痩せ過ぎで、骨格が浮き出ており、骸骨と言い表すのが最適である
ロベルトマリンには、何万分の一かの割合でこういう人間が居た。筆舌に尽くしがたい環境汚染が原因であるらしいが、ジェファソン博士ほどはっきりと肉体的特徴に現れるのは稀であった
ジェファソンは今、記録用カメラと体調管理の為の医療機器に囲まれながら、頭を抱えている。“異世界への扉”を一般公開し、少なからず彼の周辺が騒がしくなったとき、一悶着あった。それが原因で、ジェファソンは今体調を崩している
はっきりと言ってしまえば、食事に毒物を混入されたのだった
腕組み足組みしながら、マクシミリアンはジェファソンをからかう
「大分、顔色が戻ってきたな。とは言っても、石灰色が土気色になっただけで、死体のような有様なのは変わらんが」
「子供の頃からこれだ。もう改善する事はないだろう」
マクシミリアンは笑っていた。すると、目をぎょろぎょろさせていたジェファソンも、つられて笑う。かと思えば、淹れたばかりの紅茶の香りを嫌がって、ジェファソンは顔を背けた
「スモーカー、まだ食えんか」
スモーカーとは、ジェファソンの愛称である。ジェファソンは過去、メイア3を創り上げるまで、異常な程の喫煙愛好者だった。スモーカーの愛称は其処から来ている
ジェファソン自身は、喫煙愛好者としての過去を悔いていた。だから特に親しい者以外に、スモーカーなどと呼ばせたりはしない。からかい混じりに呼べるの者は、そう多くなかった
「飲料も無理だ。……肉体の事も確かにあるが、メンタルの問題の方が大きいようだ」
「……情け無い事を言うな。潜水艇で、ロベルトマリンの海に潜っても、眉一つ動かさなかったお前が」
ジェファソンは俯いた。俯いて、記録用カメラに少しだけ視線を移す
記録用カメラは、今に限って言えばただの置物である。マクシミリアンがその気になれば、カメラの二、三台程度、“故障中”と言うことにしておくぐらい、訳は無い
「…………辛いんだ、どうしても考えてしまう。メアリーの事が、頭から離れない。……胸が締め付けられるようで」
「スモーカー、悩むな。信頼できる男の所から、飛び切りのソルジャーを一人差し向けている。こちらからもルークを派遣した。どんな困難な状況下にあろうと、メアリーの事は見つけ出す」
「マックス、……済まない。私は、いざこんな事態に陥ってしまうと、こうも情けない。お前はずっと、こんな思いに耐えてきたと言うのに……」
マクシミリアンは、眉を顰めて頬を撫ぜた。頬の、蚯蚓がのたくったような傷跡を撫でるマクシミリアンの眼光は、異常なほど鋭かった
扉の方から物音がする。余人の気配にマクシミリアンは顔を上げた。ノックの音が鳴る前に、マクシミリアンは誰何した
「誰だ?」
「……カルテンです、遅くなってしまい、申し訳ありません」
「少し待て」
ジェファソンは、既に居住まいを正していた。骸骨ジェファソンの挙動は、先程までと違ってしっかりしていた
「もう大丈夫だ」
「……良いぞ、入れ」
扉を開けて早足で入ってきたカルテンは、開口一番世辞を言った
「カルテンと申します。ジェファソン博士に御会いできるとは、本当に光栄です。博士の御息女の件につきましては、心中お察し……」
カルテンの口上を、ジェファソンは容赦なく切り捨てる
「メアリーの事に関して、君に気を使ってもらう事は何一つとしてない。アレは優秀だ。その上でマックスが捜索すると言うなら、私に不安は無い」
「……これは失礼しました。それでは早速ですが、博士に質問があってお邪魔しました」
カルテンは気分を害した様子も無く、白衣のポケットからフレッシュリンクと呼ばれる掌大の端末を取り出し、起動させる。何も無い空間に緑色のウィンドウが広がった所で、マクシミリアンは椅子を立った
「私は先に戻る。カルテン、程々にしろよ。スモーカーはまだ不調から脱していない」
「はい」
「マックス、私の心配なら不要だ」
「……さてな」
マクシミリアンはロングコートを翻して、部屋を出る。灰色の廊下は、電灯以外には花も、置物も無い。窓すらない。無味乾燥とし過ぎている
細長い鉄の箱の中を歩いているようだった。部屋を出て、四つ目の曲がり角に差し掛かったとき、マクシミリアンはふと視線を持ち上げて、耳を澄ます
「ん?」
廊下を曲がった先から、何かが高速で飛来し、壁にぶつかって床に落ちる。マクシミリアンが曲がり角を覗き込もうとしたその瞬間の出来事である
グレネードだった
――
「ダニエルぅぅ……こんなにいい天気だってぇのに、何で俺は手前のバカ面をジッと見つめてなきゃいけねぇんだ……?」
「それはねぇ、ファルコンくぅん、鳥小屋臭ぇ手前に、我が物顔で歩き回られちゃ、困るお方達が沢山居やがるからだよぉ……?」
「下水臭ぇ亀野郎、手前の頭ン中にゃ、脳味噌の変わりに溶けたチョコレートでも詰まってんのか? もう一度、言ってみろ。誰が、鳥小屋、臭ぇだって?」
「駄菓子のおまけになってそうな間抜け面が、何粋がってんだ? お前の、その小汚いスーツから、鳥の糞の臭いがして、堪らねぇって、言ってんだクソッタレ」
本日も、ロベルトマリンは、冴え渡るような曇天であった。ナヴィーグチェイス広場には人がひしめき、上空は報道ヘリと警察の個人航空部隊で賑やかである
軍の式典であった。先のエイリアン迎撃戦を完璧に遂行したアーハス・デュンベルが壇上に立ち、演説を行う予定であった。だからファルコンは、ファン心理から多少心躍らせて、此処に来たのである
しかし、ナヴィーグチェイス広場の警備に配属された、一人の男が問題だった
ジャック・ダニエル。筋骨隆々の異常な巨漢で、ファルコンの倍ほども背丈がある。フライキャットチームと言う航空警察隊を指揮している癖に、本人は、空にも猫にもまるで関連が無い、亀の亜人であった
退役軍人で、RM国統合軍在籍中は、ファルコンと特に親しかった。しかしそれから約二十年、今では犬猿の仲である
過去、ロベルトマリンで大きな軍縮があった。当時は景気がどん底で、退役を余儀なくされた殆の者は再就職の宛ても無く、またロベルトマリン自体にもそのような者達を支援するだけの体力が無かった
その中でダニエルは、ロベルトマリン警察に食い扶持を得た稀有な例である。ファルコンのように犯罪に手を染める者達が続出する中で、しかしダニエルは安定した収入を得た
過去の戦友達の妬みは、生半ではなかった。ロベルトマリンの薄暗い場所には、ダニエルを嫌う者達が沢山居た
「この阿呆、俺の部下を二人もボロ雑巾みてぇにしてくれやがって。手前の脳天に鉛弾ぶち込んじゃいけねぇ理由を教えてくれよ、そうすりゃここから摘み出すだけにしといてやるぜ」
「問答無用でレーザーライフル撃ってきた、あの躾の悪い若造どもこそ、鉛弾ぶち込んじゃいけねぇ理由がねぇだろ? 少しはこの寛大なファルコン様に感謝しようって気は起こらねぇのか?」
「ぶち殺すぞ鳥野郎」
「警察官が理由も無く市民を殺れるのかよ」
「知らねぇのか? 最近のドッグファイターはな、殺して良いかどうかは、殺してから考えるんだぜ? 軍の偉いさんから横槍入れられちゃ困るからな」
“この前みてぇによ”
ダニエルはファルコンの胸倉を掴み上げながら、特注のボディーアーマーの腰部を開き、レーザーピストルを抜き出す。ファルコンの米神に押し当て、度を越した示威行為を行った
ファルコンも負けてはいない。翼をゆらゆらさせながら、ダニエルの目の前を行ったり来たりさせる。ファルコンが少し力を入れれば、一枚一枚重なる羽の隙間からナイフが飛び出し、ダニエルの頭蓋を割るだろう
「ローストチキンがぁ……!」
「タートルヘッドがぁ……!」
今にも式典が始まろうかと言う頃合だったが、ファルコンとダニエルは人波の外側で、飽きもせず睨み合っている
ふと、周囲の視線が集まっているのにファルコンは気付いた。一触即発の空気を放っていれば、注目されて当然、等と言う常識は、ロベルトマリンでは通用しない
ファルコン及びダニエルとは、全く別の理由で視線が集まっている。ファルコンとダニエルは、揃って横を向く
青い肌をした鮫の亜人が居た。長髪を無理にオールバックに仕立てた髪型は、『青い鬣』と呼ばれる由縁である。鬣の尾は腰まで届き、ゆらゆらと、ともすれば生きているかのように揺れている
青褪めたようにも見える豊かな唇が、弧を描いている。アーハス・デュンベルだった。正にこれから壇上に立ち、スピーチを行う筈の人物が、其処に居た
「少々、時と場所を弁えるが良かろう。特にエアウィング、そなたの言動はとても警察組織の者の態度とは言い難い。恥を知るが良い。鳥型のそなたも、そこまで公僕を侮辱するならば、穏便には済ませられんぞ」
ファルコンとダニエルは再び顔を見合わせた。ファルコンは翼を器用に尖らせ、ダニエルに目潰しを食らわせる
「ぐぉぉぉぉぉ……!」
「これは、アーハス・デュンベル閣下。全く見苦しい、紳士的でない態度を取っちまった。俺に大きな非があるだろう。全面的に謝罪し、言動を慎みたいと思う」
「……フ、そなた、SBファルコンと言うのだろう? マクシミリアン元帥から聞いている」
深々と頭を下げたファルコンに、アーハスはギザギザの鋭い歯を、ほんの少しだけ覗かせて、朗らかに笑った
「……どんな内容を?」
「食えない奴、と、元帥閣下は言っていた。全くその通りのようだと私も感じた」
「誉め言葉として受け取るぜ……。おいダニエルゥ、俺にはマクシミリアン・ブラックバレー氏からの紹介状がある。これ以上舐めたこと抜かすなら、明日からは大事な大事なフライキャットリーダーのキャップを被れねぇと思え」
「……ケ、このファッキンチキンが。近いうちに焼き鳥にしてやるから、楽しみにしてろよ」
ダニエルは肩を竦めると、レーザーピストルをくるくる回転させて腰元の内蔵ホルスターに戻す。背を向けて去るダニエルに舌打ちし、ファルコンは忌々しげに唾を吐いた
「そなた、下品な奴だな」
「それは仕方ない。……お前さんたちの大嫌いな、ロベルトマリンのダニに、何を期待することがある」
「あまり自分の事を卑下する物ではない。そなたが本心から言っているのか、それともどうでも良いのかは知らないが、誇りのない者は相応の仕事しか出来ない物だ」
クックック、とファルコンは笑い出す
「オイオイ、勘弁してくれ、デュンベルさん。俺に説教するより先に、すべき事があるだろう? 俺よりスピーチ、あのハゲのダニエルよりスピーチだ。俺はアンタのスピーチを聞きに来たんだぜ」
「そうだな。……SBファルコン、そなたと話したい。式典が終わっても、ここで待っていてくれ」
「うん? …………良いだろう、今日はオフの心算だったが、たまには休日返上で仕事熱心に過ごす日があっても悪くない」
ファルコンは懐から葉巻を取り出すと、先端を食い千切る。ファルコンの返答に満足したようで、アーハスは壇上に向かって一直線に歩いていく。人波が割れて、アーハスの道を作っていた
ちょっとしたサプライズだろう。アーハスの青い鬣が、わさわさと風に揺れていた
――
アーハスのスピーチは、驚異的な速さで終了した。三十秒あったか、無かったか、兎も角常識外の速度であった
その後アーハスは式典を放り出し、今はファルコンと二人、自動運転のエアカーの中に居る。大型で、十分なスペースがあるエアカーの中で小銃を整備し、アーマーを装備し始めたアーハスに、ファルコンは若干引いていた
「ファルコン、そなた、ロベルトマリンの海運に通じているらしいな」
「…………まぁな、チャチな仕事だが、密貿易をやった事がある。オーギー港のはねっかえりどもに大分貸しがあるから、それなりに顔が利くぜ」
「ロベルトマリンの首都に、海路で密入国した者を一人残らず調べ上げて貰いたい」
「穏やかじゃぁ、ねぇな」
ロベルトマリンは度を越して後ろ暗い国なので、入出国審査も、矢張り度を越してしっかりしている。入るのも出るのも難しい国で、貿易の際の手間を省く為に、出島が設置されたこともある程だった
隙があるとすれば、海路。空は軍がガチガチに固めているが、海は違った。数え上げるのが馬鹿馬鹿しくなるほど数多の汚染物質で黒く染まったロベルトマリンの海には、突然変異体がわんさかいる。危険で、旨味の無い海まで、政府は抑えようとしなかったのだ
「自分達は絶対にヘマしないってか?」
「ロベルトマリンの監視レーダーは、国境線と領海、両方の全領域をカバーしている。対外的にはレーダー施設は未配備、と言う事になっているのだがな。空の目を掻い潜るのは、現実的ではない」
「…………ふん、まぁ、首都に限るなら、そんなに難しい話でもねぇぜ。…………オーギー港のまとめ役、リンダってんだが、そいつが困った事があると言っていた。二十歳になったばかりの若造が、どうにも胡散臭くて怪しいクソッタレどもを、大人数船で運んだってな。当然、リンダは関知してない話だ。…………解るな? そいつらが何なのかは知らんが、オーギー港の商会にまでお咎めが行かないよう配慮してくれるなら、十二時間以内にその若造をとっ捕まえて、出航地、経路、人員、全部調べてあんたの目の前に積み上げてやる」
ジャカ、とアーハスはレーザーライフルにカートリッジを差し込む。コンバットヘルメットのバイザーの奥で、アーハスはファルコンを睨みつけていた
「マクシミリアン元帥閣下から、そなたになら話してよいと言われている」
「……何をだ?」
「今、ザーニキッド刑務所跡地には、ジェファソン博士が保護されている。当然だがコレは機密だ。洩らすなよ」
「ザーニキッド? そんな所に……。で、それがどうしたんだ。まさか、オーギー港の若造が運んだ連中が、ジェファソンを狙ってるってぇのか」
「そのまさか、どころか、事態は一歩先だ。ザーニキッド刑務所跡地は、今所属不明部隊の襲撃を受けている。しかも悪い事に、ザーニキッドには今、ジェファソン博士だけではない」
続く台詞に、ファルコンは溜息をつき、米神を翼で撫で擦った
「ザーニキッドには、マクシミリアン元帥もいらっしゃる。私としては、許しがたい状況だ。半日も掛けるな、八時間で結果が出ないようなら、オーギー港に関する権益について、保証できないとリンダなる人物に伝えて欲しい」
「…………マクシミリアンは無事なんだろう? 軍がその気になれば、十分以内に部隊を派遣して俺がランチを済ませる前に敵を皆殺しに出来る筈だ」
「ジェファソン博士に関する事は元帥閣下の管轄だ。今回の事が大袈裟になれば、閣下の政敵に格好の攻撃材料を与える事になる。コレは、我々だけで迅速に処理する」
あーあ、そりゃ難儀な事で。言いながらファルコンは、携帯電話を取り出した
「あ、そうだ。アーハスさん、良ければ今度一緒にランチでもどうだ?」
アーハスが苦笑いする。ファルコンに初めて見せる、曖昧な表情だった
――
ザーニキッド刑務所跡地は、ジェファソンの入る前と後では、多少違う。抜け道や隠し部屋等が増設されており、そこの辺りマクシミリアンは抜け目が無かった
敵の襲撃を受けて、まずマクシミリアンが行ったのは、ジェファソンを初めとする非戦闘員を隠れさせることだった。隠し部屋は巧妙に隠蔽されている上、隠し部屋や隠し通路を含めて記された見取り図は存在しない。増設に携わった人員と接触でもしていない限り、看破は困難である
時間を稼ぐこと自体は、容易だった
「ジェット、止まれ」
マクシミリアンの囁くような声に、背後のジェットが身体を固める。壁に張り付きながら覗き込んだ通路の先には、武装した亜人と思しき者達が、四人居た
T字路の反対側をマクシミリアンが手で示せば、ジェットは鼻をふごふごとさせ、タイミングを見計らう
そして身を翻し、グル、と回転しながら、マクシミリアンとは反対側のカバーポジションを確保した。左右から通路の奥を窺う二人からは、異様な殺気が漏れ出している
「クソ、なんでスワロウ1はこんな役立たずを連れてきたんだ」
「弟なんだってよ。まぁ、子守を任される身としちゃ迷惑だがな」
「…………すいません、ご迷惑をお掛けします」
「……チ」
マクシミリアンは最初に敵と遭遇した時、二人返り討ちにしていた。その時奪ったアサルトライフルの感触を確かめながら、飽くまで余裕たっぷりに待ち構える
マクシミリアンとジェットの目標地点は、たむろする四人の兵士達を越えた先にある。ジェットを脱出させ、アーハスの所まで逃走させるのが、マクシミリアンの目論見であった
「(迂回しまっか?)」
「(かなり遠回りになる。その間、別の部隊に遭遇する可能性は高い)」
「(やり過ごす?)」
「(……いや、奴ら程度の練度であれば。……ジェット、ここで待機だ。直ぐに片付ける)」
兵士達は幸運にもマクシミリアン達の居る方向とは逆を向いて通信機を使っていた。マクシミリアンは匍匐前進で通路をずりずりと進む。スーツが汚れるのは考え物だが、そうも言っていられない
ザーニキッド刑務所跡地は、ジェファソンの保護されていた箇所とその周辺こそ綺麗に整備されていた物の、その他の場所に関しては全く手付かずだ。通路や看守部屋に物が散乱し、重くて硬い鉄製の机が倒れているなど、珍しくもなかった
マクシミリアンは通路に横倒しになっていたベッドまで到達し、其処に身を隠す。ベッドを乗り越えて直ぐ右手には、ドアが破壊された小さな部屋がある。それを確認したマクシミリアンは、立ち上がってライフルを構えた
銃声五発。油断からか、無防備な姿を晒していた四人の内、最も手前の一人に、銃弾は襲い掛かる。初弾は胸に、そこからマクシミリアンは、少しずつ銃口を上に反らしていったため、最後の一発は米神に。血と肉がぐぱ、と飛び散る。薄汚れた壁と床に凄惨な化粧をして、頭を失った死体は崩れ落ちた
「う、うわああ!!」
「身を隠せ! 馬鹿野郎、頭を下げろ新入り!」
銃声が鳴った直後、残る兵士達は素早く体制を低くし、物陰に身を隠す
マクシミリアンは鼻を鳴らし、横倒しのベッドを飛び越えると、右手側の部屋に身を投げた。直後、激しい発砲音と共に、銃弾が壁と床を抉る
壁に背をつけ、何度も、何度も深呼吸した。目を閉じて息を吸い込み、吐き出す度に、精神が研ぎ澄まされていく
マクシミリアンは、戦いで後れを取った事が無い。士官学校時代、尉官時代、佐官時代、将官時代、そして今、色んな条件で色んな戦いをしたが、その気になれば必ず勝った
純粋人類の驚異的な、しかも高次元でバランスの取れた身体能力に加え、他者の及びつかない集中力があった。そしてマクシミリアンはどれ程集中しても、視野を狭める愚か者ではなかった
マクシミリアンが本気を出せば、世界は止まる。止まって見えるのである
息を止め、マクシミリアンは部屋から身を乗り出す。敵集団との距離は12から15メートル
目が、爛々と輝いていた。曲がり角から身を乗り出して、今にも射撃を開始しようと言う一人に銃口を向けて、引き金に触れる
射撃の反動を完全に押さえ込む、かつて悪鬼の如く自分をしごいた教官の、教え通りの体制だ。発射されたライフルの弾丸は兵士の頭蓋を割り、先程と全く同じように人間の残骸を撒き散らし、その身体を沈めさせた
「ドゥ! 馬鹿な!」
クソッタレが、と悪態を吐く兵士は、再び物陰に身を隠している。マクシミリアンは退かない。ライフルは敵を探し彷徨う
「おあぁぁーッ!!」
「あかん!! グレッネィー!」
マクシミリアンの後方から覗いていたジェットが、大声を上げた
恐怖を振り払うかのように、兵士は雄叫びを上げて、間を置かず通路に右半身を覗かせた。グレネードを振り被る右手に、マクシミリアンはライフルを向ける
引き金を刺激する指使いは、極めて繊細で、優雅で、優しかった。発射された弾丸は二発。それは全く射手の狙い通りに、敵の手と、それが握り締めるグレネードを打ち抜いた
爆発が起きた。周囲の物を吹き飛ばし、巨大な音を立て、投擲しようとしていた兵士の身体を、半分ほどミンチにした
勝敗は運では決まらない物。一対四でありながらも勝利した要因は、幾らでも述べられる。しかしその中で、最大の物が何かと論じれば、これはもう一つしかない
マクシミリアンには、世界が止まって見えていた
「ふ……」
マクシミリアンは銃口を下げ、ゆっくりと歩く。瓦礫を避けて通路を進み、曲がり角へ
最後の生き残りが居た。グレネードの爆発に巻き込まれた、半死半生の新兵が、涙を流しながら恐怖に震えていた。傍らにはショットガンが転がっていたが、最早それを握る力も意志も無い
何も解らないままグレネードの爆発に巻き込まれ、戦う事も出来ず死んでいく
実年齢は解らないが、外見は極めて若い、幼いといっても良いような少年である。動きも、経験を積んだそれには見えない。だがマクシミリアンは、平然と銃口を突きつけた
「最後の言葉を聞いてやる。偉大な祖国に命を捧げろ」
「……あ……、アナライア、ば、万歳……! 我等の王に栄光……グヴェッ!」
最後まで言わせず、マクシミリアンは引き金を引いた。弾丸の撃ち込み方は、念入りだった。粉砕されてぐしゃぐしゃになった頭部に目もくれず、ライフルの弾装を交換する
「ジェット、行くぞ! ……アナライアか、まぁ、妥当な所だが、裏を取らねば……」
「うひょー、ぐちゃぐちゃやぁ! マクシミリアンさん、ジェット、ファンになってまいそうですわ」
「周囲を警戒しろ」
マクシミリアンは、死体と瓦礫を踏み越えて先を目指す。目標地点へは、直ぐに到着した
刑務所の裏口だった。ジェットがここから全力で走れば、敵方に気付かれずに脱出できる公算は高い
ジェットが敬礼の真似をする。眉を顰めたくなるほど崩れた礼であった
「ほな、アーハスの姐さんとこまで走りますわ」
「あぁ。ディスクの中身を覗こう等と考えるなよ。一応、機密だからな」
「そんな恐ろしい事しまへん。…………マクシミリアンさん、ご無事で」
ジェットは掌大のサイズの青いデータカードをひょいと放った。落下するそれをしなやかな尾でキャッチして、ふごふご笑う
運び屋に相応しい仕事だった。戦場だろうが何だろうが、自分ならば運びきる。ジェットの仕事にはプライドがある
――
刑務所の通路を引き返していた時、マクシミリアンは微かな音を感じた
足音や、アーマーの擦れあう音ではない。ノイズ交じりの声である
つい先程、四人纏めて始末した場所だ。マクシミリアンに頭蓋を割られた死体の通信機が、五月蝿くがなり立てていた
『スワロウ4! 応答しろ、スワロウ4! …………お願いよ、ディン、応えて……!』
通信機を爪先に引っ掛けて蹴り上げる。危なげなくそれをキャッチして、マクシミリアンは平然と応答した。仮にも交戦ポイントだったが、敵の調査の手など、まるで恐れていなかった
「こちらダイナマイトボディリーダー。スワロウ4は安らかに眠った」
『スワロ……! 誰だ! ディンをどうした!』
「どうした、だと……? 散弾銃を持って襲ってくる敵を丁重に持て成すほど、ロベルトマリンは友愛の心に満ちていない」
『貴様、ディンを殺ったなァ!!』
女の声だ。烈火の如き怒りに満ちた、激しい怒声である
二流め、と口の中で呟くマクシミリアンは、無表情を崩さない
「自己紹介をしておく。こちらダイナマイトディリーダー、マクシミリアン・ブラックバレーだ。私の事を知っているか?」
『マク……、なに、あのマクシミリアン……?』
「間もなく私の部隊が到着し、お前達を徹底的に叩き潰す。私はお前達無能から得られるような、精度の低い、大した価値も無い情報を必要としない。従って捕虜は取らないし、取引もしない。また、お前達の出身などどうでも良いし、現在の国籍、所属も同様だ。この通信は、お前達への手向けだ。せめて安らかに死ね」
『……舐めた事を。お前の思う通りにはならない。絶対にだ』
「…………ワンダフルボディリーダー、通信を終了する」
マクシミリアンは通信機を床に放ると、踵を振り下ろした。マクシミリアンに似つかわしくない、荒っぽい処理であった
ヘリのローター音が聞こえる。通路の、元々曇りガラスなのか、それとも年月を経てどうしようもなく傷つき汚れたのか解らない強化窓ガラスを、半ば無理やりこじ開ける
ヘリは丁度マクシミリアンから見て真正面から飛んできた。ザニッキード刑務所跡地の正門で、ぐるりと機体を回転させる。機体の横腹に鈍く輝く、小船を大顎で噛み砕く鮫のエンブレム
「アーハス、自ら来たのか。小うるさい連中の相手をして欲しかったんだが」
アーハスがやってくれなければ、実は少しだけ面倒になる事柄があった。マクシミリアンの政敵への対処だ。無駄な仕事が増えるのは、間違いない
送り出したジェットは全くの無駄になってしまったな、と、マクシミリアンは息を吐いた
――
広いロベルトマリンをだなぁ、彼は、一歩一歩征服していくような有様だったよ
元々野心家と言うか、上昇志向が強い性質ではあったが、養父上殿が亡くなられ、御婦人が行方不明になられてからは、さらに拍車が掛かったな
心の内は判らない。だが……、彼の養父上殿は、常々ロベルトマリンの国際的地位と国益について説いておられたが……。彼の心根にあるものが、その二つに向かっているとは思えないなぁ
――
アーハスは怜悧な面持ちで、上を向いた。他を寄せ付けない癖に、視線を引き寄せる、強烈な異物感がある
異物感だ。規格外、他とは違う何か。ポジティヴな物なのか、ネガティヴな物なのか誰にも判らなかったが、その存在感は圧倒的である
「閣下は完璧で恐ろしく、そして危険な方だ。我らが支える必要がある」
ふう、と溜息でも吐き出したそうにしながら、アーハスは言う。ヘリの中、真正面で装備を整えている部下は、は、と短く応答する
これといった特徴の無い男である、部下は。ただ、何処にでも居そうな(とは言っても多種多様な外見である亜人が入り混じるロベルトマリンで、何処にでも居そうな人物など居はしないが)外見とは裏腹に、これ程の人材はRM国軍をくまなく探してもそうは居ない筈である、とアーハスは確信している
「何か言いたそうだな」
「何故我々が今更出向く必要があるので?」
「?」
優秀な部下、である筈の男、ブラヴォーの言葉に、アーハスは首を傾げた。作戦の内容は既に伝えた筈で、その上で「何故」と問われるなど、全く在り得ないことだった
ブラヴォーを観察してみれば、彼の普段と変わらない無表情のままで、冗談を言っているようには感じられない。それが余計に気になる。そして気になると言えば、ブラヴォーは階級こそアーハスよりも大分下だが、マクシミリアンとの付き合いはアーハスよりずっと長い。そのブラヴォーがマクシミリアンを全く心配しない様子こそ、気になる要因であった
「護衛の隊は殲滅されたにせよ、閣下がいらっしゃるんでしょう」
「そうだ。説明したとおりだ。そなた、何が言いたい?」
「なら必要なのは、ロベルトマリンに押し入ってきたクソッタレども用の死体袋と、清掃員だと愚考します。閣下の競争相手の牽制に回ったほうが効率的なのでは?」
「……そなたが何を考えているかは知らんが、クソッタレどもは大多数まだ生きているぞ。警護の隊の死体保護幕なら必要だろうがな」
ほぉ、とブラヴォーは言った。何時もの無表情が崩れて、ほんの少しの驚きを露にしていた
「閣下も随分と丸くなられたようですな。まさか生かしておくとは。まぁ、生きている相手からなら、多少なりとも情報が取れます。好都合と言うもんでしょう」
「さっきからそなた、何か勘違いしているのではないか。まだ戦闘は継続中だ」
「は? 戦闘継続中? またまたご冗談を」
「現場を見てから同じ事を言うがいい」
アーハスとブラヴォー、そして他の戦闘員が乗ったヘリは、ザーニキッド刑務所跡地の上空で旋回する。その時、ヘリの通信システムに、割り込みが掛かった
『こちらマクシミリアン・ブラックバレー。アーハスか? 少し近い。ヘリをザーニキッドから離れさせろ』
「閣下?」
『カウントを開始する。10、9、8』
ざわ、とアーハスの背中に冷たいものが走った。アーハスはザーニキッドから距離をとるように、操縦士に短く命令する
『3、2、1、……ignition.』
ザーニキッド刑務所跡地が、轟音と熱風を放つ。流石のアーハスも唖然とする他無い。暴風と衝撃が収まった後など、確認するまでもなかった
大爆発だ。マクシミリアンが、刑務所跡地改修の際に、爆薬を仕込んでいたに違いなかった
「……………………………隠蔽が、手間だな」
「丸くなられたなんて、ぬか喜びも良い所だったか」
米神を押えるアーハスの右隣から、ラベリングロープを握り締めたブラヴォーとその部下達が飛び出していった
――
ザーニキッドは地上に一階、二階、地下に一階、二階と、四層ある。地上一階部分の大半と、二階部分の全てを容赦なく吹き飛ばしたマクシミリアンの爆薬は、敵勢力にとって予想外の物だったに違いない
己の身に雪崩れてきた瓦礫を吹き飛ばし、優雅に埃を払ったマクシミリアンは、「少し計算違いがあったようだ」とスーツについた傷を見ながら呟いた
「さて、今ので何人死んだか」
マクシミリアンの表情は、見るものが見れば、そう、ファルコン辺りが見れば、とても嬉しそうなのが判っただろう
敵が制圧拠点にするだろう箇所は、検討が着いていた。地下一階にある、現役刑務所時代に監視システムを一手に統括していたセキュリティルーム。もしくは地上一階にある、マクシミリアンが改修した際に設置した新規セキュリティルームだ
可能性としては、旧セキュリティルームの方が高い。新規セキュリティルームは、既存のどの見取り図にも記されていないからだ。もし発見されていたとしても、その重要性に気付かず放置されているだろう
仮に新規セキュリティルームに敵が居座っていたとしたら、今の爆発でまとめて消し炭の筈だ。世界は、そう都合よく運ぶ物ではないと、マクシミリアンは知っていた
「(今の爆発に肝を冷やした敵は)」
マクシミリアンは走りはじめる
「(状況を把握するため、地上部分へと、のこのこ現れる。計算上では、地下に通じるフロアは崩れていない筈だが)」
走り始めて幾許もしない内に、その行く先を瓦礫がふさいだ。盛大に吹き飛ばしたツケに苦笑しつつ、マクシミリアンは迂回路を探し、或いは瓦礫自体を乗り越え、撤去して進む
「(しかし、爆発と同時に閉じられる、地上と地下を遮断する隔壁を開くには、どんなに急いでも五分)」
目的の場所は、当然壁やら何やらが吹き飛ばされて酷い有様だったが、何とか形を保っている。ここまでは計算どおり
そしてここからが計算違い。既に敵は地上に居たのだ。ただ一兵のみ
黒いフルフェイスとアーマー。膝立ちでこちらを狙うスナイパー。マクシミリアンは構わず走り続ける
限界まで腰を落とし、身長の約半分程の高さを維持しつつの疾走だ。この状態で移動する標的を狙い打つには、それなりに熟練している必要がある
マクシミリアンの肩が裂けて、血が噴出した。世の中には、携行には向かないが、掠っただけでその部位を吹き飛ばすようなスナイパーライフルもある。それを思えば幸運だ
死と隣り合わせの生。紙一重の勝敗に、マクシミリアンは高揚した
アサルトライフルの銃口を持ち上げた所で、スナイパーはゴロンと身を投げ、瓦礫の影に隠れた。続けざまにグレネードが転がり出てきて、マクシミリアンは急停止せざるを得なくなった
「ぬッ」
激しい雷光が目を焼く。プラズマグレネードだ。後一歩前に出ていれば丸焼きにされていたというのに、マクシミリアンは嫌らしく笑った
プラズマグレネードは、周囲にあるトラップを無効化してしまう。あのスナイパーには、クレイモア等の備えがないのだ
「スワロゥ! スワロゥチーム! 撤退! 撤退! 作戦続行は不可能!」
「その声、先程の女だな!」
瓦礫に背を付けて周囲を見渡しながら、マクシミリアンは怒鳴りつけた
「スワロゥ1はこの場で戦闘続行! お前たちの撤退を支援する!」
「殿か?! 泣かせる責任感だ!」
「早く行け!」
マクシミリアンは、スワロゥ1の発音がどことなく怪しいのに気付いた。それに加え、こちらの言葉が耳に入っていないようである
「スワロゥ4の首無し死体はこの何処かに埋まったままだぞ? 掘り起こしてやらなくていいのか?」
反応は、無かった
「(奴め、先程の爆破で聴覚を失ったか。三半規管はどうもないのか?)」
「マクシミリアァァァァン! 狼は地上最強の生物だ! それを教えてやる!!」
屋根が消えうせたため、曇天が明るい。マクシミリアンは、何かの影に覆われたのに気付いた
上を見上げれば、スワロゥ1が飛んでいた。空中でスナイパーライフルを構えている
マクシミリアンは身を屈めた。たった今まで背を付けていた瓦礫に弾痕が刻まれる。マクシミリアンは、膝を激しく地面に擦り付けながら辛うじて射撃体勢を保持した
スワロゥ1の着地のタイミングに合わせて、射撃。その心算であった。しかしスワロゥ1の第二射が、アサルトライフルに直撃していた
「チッ」
「クッ」
舌打ちと苛立たしげな吐息が重なる
アサルトライフルを投棄したマクシミリアンは、懐から大型拳銃を取り出した。アンソニー社のスタンダートモデルハンドガン。ロベルトマリンでハードボイルドを気取るなら、もっていなければならないと、マクシミリアンは思っている
狙いを付ける前に、スワロゥ1は再び隠れていた。梃子摺らせてくれる物だと、マクシミリアンは苦笑した
その時、地下へと通じる階段の隔壁が動き出した。本来なら、地下から這いずり出てきた者達を奇襲して、徹底的に打ちのめす筈だったのが、嫌なタイミングでの敵増援となってしまった
しかし、増援が現れたのは、敵だけではなかった
「R・M・A!」
「R・M・A! R・M・A!」
凄まじい勢いで怒鳴り上げながら場に乱入してきたのは、ブラヴォー達だった。狙いすましたようなタイミングである
「一人残らず皆殺しだ! ロベルトマリンの麗しい秘密の花園に、奴らはクソ塗れのバイヴを突っ込むような真似をした! 許し難い!」
「Yes sir!」
そこに一呼吸遅れて、アーハス・デュンベルが現れる。アーハスは青い鬣を振り乱し、矢張り怒鳴った
「ロベルトマリンは、舐められた相手をそのままにはしない! これは誇らしい、偉大な伝統である!」
「Yes sir!」
「行くぞ! 勇敢な戦友達の名を呼べ!」
「R・M・A! R・M・A! R・M・A!」
R・M・Aの大合唱とともに、アーハスとブラヴォー達は突撃してくる。マクシミリアンは眉間を揉んだ。もう少し、部下の人選を考えるべきかな、と思っていた
「ちぃぃーッ! マクシミリァァァーンッ!!」
「茶番はここまでだ、スワロゥ1」
聞こえてはいないだろうが。マクシミリアンはアンソニー・スタンダートを愛しげに引き寄せて再び走った。焦って瓦礫から身を晒したスワロゥ1は、何故かスナイパーライフルを持っていない
スワロゥ1のサイドアームは消音機付の拳銃だ。マクシミリアンに向けて、一直線に走りながら連射する。しかし、体を激しく動かし、手が酷く揺れるような状態で、まともに中る筈はない
マクシミリアンはこの状態でも、やはり他とは一線を画す。走りながら、一発撃った。それはスワロゥ1の右の太ももに命中し、大きく体制を崩させる。続いて二射。左の脛にそれを受け、スワロゥ1は堪らず転倒する
悲鳴を上げながらも、腕の力だけで立ち上がろうとするスワロゥ1を、マクシミリアンは蹴り飛ばした。上腹部へと綺麗に吸い込まれた鋭い蹴りに、スワロゥ1は悶絶しながら胃液を撒き散らす
「お前達の関係に興味はないが、あの世でスワロゥ4と仲良くやるが良い」
消音機付拳銃を握り締める右手を踏みつけ、マクシミリアンは冷たく見下ろした。マクシミリアンの言葉が聞こえないスワロゥ1は、恨めしげに言う
「あそこは……お前達みたいな奴らが汚していい場所じゃないんだ……! 美しいあそこを……!」
「ふぅ……」
四発ほど、スワロゥ1の頭部に打ち込む。ピクリと痙攣した後、血溜を作り始めた死体に、その後マクシミリアンは、見向きもしなかった
――
後書
文章量のバランスをもっと考えるべきだったようだだだ
因みに止まって見えても水没はしない。多分
と言う訳で磯野ーー、モンハンやろうぜーー!
何か投稿できなくてえっらい難儀だぜ……とか思っていたら、
文字列入力をマルッと見落としていた……。恥ずかしくて死にたい……
変な事言って申し訳なかったです。