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No.31552の一覧
[0] 魔王降臨【モンハン×オリ】[周波数](2017/09/27 20:26)
[1] 一話目 魔王との"遭遇"[周波数](2017/09/27 20:26)
[2] 二話目 不可解な"飛竜"[周波数](2017/09/27 20:26)
[3] 三話目 冒険者の"常識"[周波数](2017/09/27 20:27)
[4] 四話目 暴君への"憧れ"[周波数](2017/09/27 20:27)
[5] 五話目 今できる"対策"[周波数](2017/09/27 20:27)
[6] 六話目 荒れ地の"悪魔"[周波数](2017/09/27 20:22)
[7] 七話目 舞い込む"情報"[周波数](2017/09/27 20:27)
[8] 八話目 激昂する"魔王"[周波数](2017/09/27 20:23)
[9] 九話目 混沌する"状況"[周波数](2017/09/27 20:28)
[10] 十話目 去らない"脅威"[周波数](2017/09/27 20:28)
[11] 十一話目 街道での"謁見"[周波数](2017/09/27 20:28)
[12] 十二話目 超戦略的"撤退"[周波数](2017/09/27 20:24)
[13] 十三話目 統括者の"本音"[周波数](2017/09/27 20:25)
[14] 十四話目 冒険者の"不安"[周波数](2017/09/27 20:29)
[15] 十五話目 逃亡者の"焦り"[周波数](2017/09/27 20:30)
[16] 十六話目 精一杯の"陽動"[周波数](2017/09/27 20:30)
[17] 十七話目 堅城壁の"小傷"[周波数](2017/09/27 20:30)
[18] 十八話目 攻城への"計画"[周波数](2017/09/27 20:31)
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[31552] 十話目 去らない"脅威"
Name: 周波数◆b23ad3ad ID:22b3f711 前を表示する / 次を表示する
Date: 2017/09/27 20:28
 人と龍との間には言葉は通じない。念話が使えるなどの先天的な才能が有る場合はその限りには無いにしろ、人と龍を会話という絆で繋ぐことは基本的には不可能なのだ。しかし意志が通じないという訳では無い。頭の良い龍種は喋れはしないけれども此方の言葉をある程度は理解し、そしてパートナーである人間も彼らの身振りを見て、伝えたいことを悟っていくのだ。
 念話が先天的な才能と言うのならば、龍との意思疎通も立派なセンスの一つであると俺は思っている。彼らの挙動から、意志の疎通を試みる。それが龍使いの基本中の基本だ。

「クルルル!!」

 そして今も、俺は自身のパートナーとの意思疎通を図っていた。龍舎の中で退屈そうにしていた森緑龍のイトは、俺が手を振りながら近づいているのが見えると、すぐに翼をはためかせながら歓迎してくれた。
 イトの面倒をみるにあたっては、街の外れにある竜車を引かせるための地竜や馬を飼育するための小屋である建物の一部を借り受け、目立たない一角に実質イト専用の龍舎として使わせて貰っている。

 本当はこの街には他にも龍使いが少しは居るだろうと思ってシェアする気で借り受けたのだが、予想は外れて未だに自分一人でこの一角を借り受けている。おかげさまで月々の維持費はかなり高く、依頼で得た報酬の多くが龍舎を管理してくれている竜車組合へと流れ出てしまっている。家畜特有の臭いの中で、仲間の龍種もいない状況では彼も当然退屈だったのだろう。俺が近づくと立派な緑色の尻尾をワサワサと揺らし、心なしかにっこりと笑っているかのようにさえも見えた。しかしそんな団欒も長くは続かなかった。

 一緒に来たハンスが物珍しそうな目でイトを観察し始めた時点でイトの翼が垂れ下がっていたから、この時にはもう機嫌は良くなかったのだろう。柱に括り付けてある縄を外しながら、どこかムスッとした態度のイトに無駄話や今回の依頼に対する愚痴を垂れ流すと、それは酷いねと言うかのようにイトは鼻息を深くついた。
 早く外に出たいと鼻先で肩をつつくイトを宥めつつ、首にかけられた手綱を引き、ハンスと共に龍舎の外へと向かった。そしていざハンスと共に彼の上に跨ろうとした時に問題が発生した。

「クルルル?」

 言葉にするならば「え? コイツ乗せんの?」といったところだろうか。ハンスが背中に乗ろうと鞍に足をかけたところ、イトが困惑したかのような声で鳴いた。そういえば、いくら龍使いの保有する龍とは言えども主人以外が乗ろうとすると嫌がる個体も居るという話を聞いたことが有る。いくら人間に慣れているとは言えども流石に赤の他人には背中を許したくないのだろう。イトも同様なのだろうか。首を傾けながらイトを見ている内に、彼は背中に跨ろうとするハンスをふさふさな翼でどうにか阻止しようと妨害をし始めた。

「このバカを早く説得してくれ!! ったく緊急時なのによ、ウグッ!? この野郎、口の中に羽毛を突っ込むんじゃねェ!!」
「クルルルルルル!!」

 一瞬の攻防だった。無駄に軽やかな動きで鞍の足場を蹴り、手綱の一端を握りしめて強引に背中に飛び乗ろうとするハンスの顔面に羽毛たっぷりな翼をぶつけることで寸での所で阻止するイト。ハンスは無様に空中に投げ出されたが、空中で手綱を引き寄せて瞬時に体勢を整え、鮮やかな動きで地面に着地した。そしてどこか勝ち誇ったかのようにフンと鼻息を鳴らすイトを睨めつけ、俺に大股で詰め寄った。

「なんであんなに強引なんだよ!! ペッ、口ン中が毛だらけだ。お前が説得しないとこれじゃあ埒が明かん」
「コイツが抵抗することなんて滅多に無かったが、今まで俺以外に人を乗せたことが無いからかな……まあ、頼み込んでみるか」

 理由ははっきりはしないが、ともかくイトはハンスを乗せるのは嫌なのだろう。しかし非常時なだけあって、彼には言う事を聞いてもらうしか無い。フンスと鼻を鳴らし勝ち誇るイトの前に立ち、手を伸ばして鼻先を撫でると、イトは気持ちよさそうに鳴き声を上げた。不機嫌だった彼も俺に対してはいつも通りの反応だ。
一通り撫で終えて、イトと向かい合う。彼の目をじっと見つめ、決して離さない。此方の意志の固さを知らせるためのコミニケーションの取り方だ。

「イト、気に入らないのはまあ分かる。だが今は非常時なんだ。俺の言うとおりにしてくれ」

 決して頭は下げない。頼み込んでいるのではなく、こういう言い方をするのは嫌だが命令しているのだから。イトも中々逸らさずに俺を見つめている。龍と言う種族は聡明だ。彼らは言葉を発する事は出来ないものの、人に慣れた彼らは言葉を理解することが可能なほどの知性を持っているからだ。
 かれこれ5年以上俺のパートナーで有り続けたイトだから、流石に俺の言わんとする事が分かったのだろう。時折ハンスの方をチラリと見ながら俺を見つめて来た。両者とも顔を縦に振らずしばし沈黙が訪れたが、その中で俺は状況を打破すると確信できる一言を放った。

「……サーディン5尾でどうだ?」

 この街から更に西へと行った先には少々大きな港町が有り、サーディンはその港で取れる魚の中ではごく一般的な物だ。保存の効く油漬けもよくそこらへんで売ってるが、鮮魚はそうはいかない。その港町から離れた砂漠が近くにあるこの街において、加工をしていない鮮魚と言うのは魔法で冷凍でもしない限り手に入る物ではなく、市場でも手ごろな価格では手に入らないのだ。イトにとっては中々食べることのできない御馳走。量も含めて交渉材料としては十分だろう。

「クルルルル」

 しかし彼は首を横に振った。どうやら彼にとっては命令を飲むには相応しくない条件らしい。どうしたものかと首を捻っていると、イトは俺に見えるように大袈裟に首を縦に振った。その回数は10回。これが何を意味するのかは明白だ。

「二倍の10尾か……値が張るんだけどな、まあ良い。それでハンスも乗せてくれるんだな?」
「クルル!」
「今すぐに依頼で赴かなくてはならないんだぞ?」
「クルルル!」
「ちなみに行先はあの"竜"の出没地点の近くだがな」
「クルルル……ググルッ!?」

 順調に頷いていたイトにも流石に動揺が走ったようだ。こちらを見ながら急に落ち着きなく彼は震えだした。コイツも"竜"の恐ろしさを分かっているのだろう。何なら、一応同族にあたる火炎龍が目の前で殺される瞬間を目の当たりにしているのだ。だからこそ退避する事を選んだ時になんの文句も無く俺の意見に従ってくれたのだろうし、現に今も出発するということ自体に乗り気という訳ではなさそうだ。

「……確かに俺はあの"竜"と向き合いたいとは思っているがな、だが別に今から戦いを挑もうって訳じゃあない。今はただの緊急依頼。"竜"と鉢合わせている可能性のある要人救助だ。此方から突かなきゃ、命に関わるような依頼じゃないんだ」
「クルルル……」

 なんとなく分かったそうな雰囲気を醸し出すも、イトは渋るように嘶いた。確かにいくらその"竜"と戦う訳では無いとは言えども、その近くに赴くことには変わらない。そんな状況に、絶対の安全なんてものは存在しないのだ。そもそもそんなものが有ればこの依頼は出されちゃあいない。だが、それでもイトを安心させようと説得を続ける。

「そうだ、お前も分かるだろう? なんの準備も無しで死地に赴くほど俺は愚かじゃない。今は決して"竜"に手を出さないと約束するさ」
「ググ……クルル!!」

 最後までイトの目を見続け、下手な手出しはしないと念を押すと、彼もようやく納得してくれたようだ。強く此方を見据え、フンスと意気込みを入れるかのように鼻息を鳴らしている。コイツは聡明な龍だ。俺の言いたいことをきちんと把握してくれているし、彼自身が納得するまではいくら使い主の俺の命令でさえ簡単には頷かない。俺と自身の双方の安全を踏まえて、彼も色々と考えてくれているのだ。

「へぇ……随分と頭の良い奴だな、コイツ。体格はしっかりしているが、見た感じではまだ成龍じゃないんだろ? それでもここまで主人と意思疎通が出来る物なんだな」

 ハンスはイトの様子を見て、珍しく真面目な顔をして頷いていた。彼も少しは龍について嗜んでいるのだろう。成人男性よりも余程大きいコイツを初見で幼龍と見抜ける人は中々居ないのが、ハンスはすぐに見抜いていたようだ。彼は一通り感心した後、再度イトの首にかけられた手綱を手に取り、鞍に足をかけた。少々イトは不満げにしているが、先ほどとは違い振り落とそうとするような素振りは見せていない。流石に龍種に乗った経験は無いのだろうか、ややぎこちない様子でハンスは彼の背中に跨り、そしてニヤリと笑顔を浮かべた。

「おお、初めて龍ってのに乗ったがそんなに悪くはねェな!! ふーむ、馬とはまた違って背中が広いから跨るのは難しいと思ってたけど、意外とそうでもないんだな」
「慣れるまではきつい筈なんだがな。へえ、すぐ適応出来ているじゃないか」

 昔、故郷に手て龍使いになることを志していた頃の話だ。己が初めて龍種の背中に乗った時は、その背中の広さから自身の体を固定することが難しく、慣れるまで中々時間がかかった物だ。それに比べれば、ハンスはもともとの身のこなしの軽さというのもあるのだろうが、一見すれば慣れたものに見える。
 ハンスが足場に両足を固定出来ているのを確認した後俺も鞍に足をかけ、イトの深緑色の鱗と羽毛で覆われた背中に跨った。ふかふかの羽毛のおかげで、乗り心地は悪いどころか俺にとってはそこらの馬よりもよほど快適に思える。

「よし……そろそろ飛ぶか。ハンス、絶対最初は慣れないと思うから、無理しないで俺の背中にでもつかまっててくれ」

 後ろに乗っているハンスにそう伝え、イトの背中を軽く叩いた。

「んじゃ遠慮無くそうさせて貰う。年甲斐なく緊張してきた。龍の背中もそうだが空なんて飛んだことなんて無いからな」

 イトは龍舎の前から開けた広場の方へと俺達を乗せて歩き出した。今から空へと飛び立つのに、小屋や木などは障害物となるからだ。一歩イトが歩く度に腰から振動が伝わってくる。初めてイトと会ったころは、こうして飛び立つ前でさえ結構怖がっていたものだが、今ではすっかり慣れてしまっている。

「んじゃイト。行こう」

 短くそう言うと同時に、イトは鮮やかな緑色の翼を大きく広げた。頭上からさす太陽の光を微かに通すかというほどに厚い翼膜は、日光によって真夏の新緑を思わせる色を発している。数回大きく翼を震わせた後、彼は強靭な四肢でもって大地を蹴りだし、同時に緩やかに翼をはためかせながらとうとう空中に躍り出た。一度空へと舞いあがったら後は早い。鋭く翼を振りイトは器用に風の流れを掴み、高度を上げていく。

「うおっ、すげェな!! やっぱり龍ってすげェよ!!」

 ハンスが興奮したように背後で騒いでいる。そうだろう、この空に飛びだすという感覚は龍に乗ることに慣れた今になっても興奮する一瞬だ。広場の外れに生えていた巨大な木の高さを優に越し、そして眼下に見える通りが段々と小さくなった辺りで、再びイトの背中を叩いた。この近辺の人々にとっては今や見慣れた光景だろう。眼下で飛び脱俺たちを眺めていた人々は、空高く上がるこちらからだんだんと目を離していった。そんな彼らの視線を引き離すがごとく、イトは稼いだ高度を推進力へと変えるべく、細かく翼を震わせた。それと同時に、彼の背中を小さくたたいた。
 その合図と共にイトは頷くと、翼で羽ばたくのを突如として止めた。しかし真っ逆さまに落ちるなんて事は無く、イトの体は高空での静止から一転し、鋭い速さで空を切って街道が続く方角へと突き進む。

「取りあえず先ずは街道へ出よう。そこから進んでいった場所にお目当ての要人たちは居るようだからね」

 馬なんか比較にならない速さで空を駆けるイト。一分も立たずに、眼下の光景はグラシスの城壁を抜けていた。風を切って進む俺たちの正面には、その城壁からずっと続く街道が見えていた。あれこそが、今回の目的地へとつながる王国の北部主要交通路だ。その街道は小規模の岩山の間へと続いており、その岩山などで遮られた先に王女一行が居るのだろう。
 
 高度からの滑空によって速度を得ながら、時折翼を羽ばたかせてイトは俺達を乗せて街道の先へと向かう。あの"竜"と遭遇なんてしませんようにと心の片隅で祈りながら。


* * *


 ドサリという音が一瞬荒れ地に響くが、すぐ周囲で枯草が燃え盛る音にかき消されるほどに呆気の無い物であった。大地に投げ出された雷龍だった肉塊は、胸を向こう側が見える程までに抉られており、その大穴からはまだ温かい紅い血液が湯水の如く流れ出ている。赤と黄色の炎と、灰色の燃え滓、そして大小の砂色の砂礫が埋め尽くす大地を、鮮血は赤く染め上げていた。
 間違いなく、即死。心臓を貫かれたと言うよりも、心臓を含めた胸部の肉をすべてまとめて抉られたと言った方が正しいと思えるほどだ。それくらいに穿たれた胸の穴は大きく、1か所しか目立つ外傷は無いにも関わらず遺体の損傷も激しかった。

 蒼い体からどくどくと鮮血が流れ出る脇で、その骸がまるで小動物かのように思える程に大きな者が、ゆっくりと巨大な頭を振っていた。雷龍の心臓を貫いた、先が折れていない方の角は、付着した血液や肉片で真っ赤に染め上げられている。時折先端から血がポトリと滴り落ちる程までに濡れており、角の根元までに血液は流れ伝っている。
 それが鬱陶しいのか、"竜"は不機嫌そうに頭を振って角から血液を払い落とそうとする。しかしそれでも中途半端に血のりで濡れたままで、所々が血によって黒ずみ始めている。要塞のような体格を持つ体を持ち、片方の角を赤黒と砂色の迷彩の様に染め上げている。そう表現すると酷く恐ろしい、この"竜"には相応しい佇まいと言えよう。しかし折れたほうの角と折れてない方の角とが違う色であることが、どうしても彼には気になったのだろう。

 "竜"は大きく斜め上に巨大な角を生やした頭を振り上げた。遮る物の無い強い日差しが砂色の折れた片角と赤黒く染まった片角の双方を明るく照らしあげる。そして片足に体重をかけて、巨大な剛角を砂色の大地へと向けて、彼は勢い良く荒れ地の地面を抉った。瞬間、穿たれた砂と枯草達はその勢いを示すかのように舞い上がり、まるで地面が破裂したかのように弾け飛んだ。そして勢いを殺せずに天へと突きだされた頭の先には、血糊によって大量に砂が付着した角の姿があった。
 体勢を立て直した"竜"は、今度は軽く頭を振るう。角に付着した余分な砂はふるい落とされ、荒々しく捻じれた角の均整な造形を殺さない程にまで砂が付着している程度となった。その身に似つかわしい砂色に染め上げられた角に満足したのか、"竜"は改めてその大きな頭に聳える双角を殺風景な荒れ地の空へと向けた。


 決して弔いの叫びなどではなく。ただ敵を下したという勝鬨として荒れ地に咆哮は轟く。遮る物の無い開けた大地を流れるようにして伝わり、遠く、王女たちが逃れた岩山まで咆哮の残り香は響き渡った。そして、その岩山の果て。街道が伝わるその先へ"竜"は目を向ける。なわばりの一角を犯した者たちを睨めつけるようにして、時折唸り声を漏らしながら彼は翡翠色の双眼で見つめ続けた。

 王女たちの一行は既にもう岩山の影に隠れて見えない。しかし縄張りに足を踏み入れた次なる標的の影を追うために、"竜"は先ほどと同様にして地面を掘り返し始めた。手慣れた動作で足を角を、そして退化した翼までもを用いて、器用に素早く穴を掘り進めていく。そしてある程度の深さまで穴が達すると、彼は柔らかく解された砂礫の中へ頭から巨体を地中へとねじ込ませていく。掘り返された砂煙が空を舞い、巨体に押しのけられた土砂が辺りへと積もっていく。そして巨大な尻尾までもが埋まり、さながら先ほどの決戦の終着眼前かのような静けさが周囲を支配した。

 強くなってきた熱風が、炎に焼かれた枯草の灰を吹き飛ばし、穴の周囲に積もった砂も一緒に舞う、そんな唯の野火事があっただけかのような風景の中に、雷龍の死骸がポツンと置かれている。そんな不気味な光景が存在している。そして一瞬地響きが辺りに響いたと思うと、埋まりかけている大穴を始点にして、急に砂煙が立ち込めた。まるで意志を持っているかのように、砂煙は地響きと共に一直線上に発生し続ける。

 突き進む砂煙の向かう先は、岩山が乱立する荒れ地の外れ。未だ災厄がこの地を去る気配は無さそうだ。


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