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No.31548の一覧
[0] ユーノ・スクライアと秘密の書【A’s編】[ゴメス](2012/11/24 21:46)
[1] 第1話 「奪われた未来」[ゴメス](2012/11/24 21:29)
[2] 第2話 「トリッパーたち」[ゴメス](2012/11/24 21:31)
[3] 第3話 「新生」[ゴメス](2012/11/24 21:32)
[4] 第4話 「再会と真実」[ゴメス](2012/11/24 21:34)
[5] 第5話 「誰が為に魔法はある」[ゴメス](2012/11/24 21:35)
[6] 第6話 「開戦」[ゴメス](2012/11/24 21:36)
[7] 第7話 「元凶の登場」[ゴメス](2012/11/24 21:37)
[8] 第8話 「突入、悪い魔法使いの城」[ゴメス](2012/11/24 21:10)
[9] 第9話 「仮面の騎士」[ゴメス](2012/11/24 21:11)
[10] 第10話 「本体の所有者」[ゴメス](2012/12/23 10:55)
[11] 第11話 「虹天の王」[ゴメス](2012/12/23 11:16)
[12] 第12話 「決着」[ゴメス](2012/12/23 11:15)
[13] 第13話 「壊れた未来」[ゴメス](2012/11/24 21:18)
[14] エピローグ[ゴメス](2012/06/20 22:36)
[15] SETTEI[ゴメス](2012/10/17 21:35)
[16] プロローグ[ゴメス](2012/06/18 23:50)
[17] A’s第1話 「割り込んだイレギュラー」[ゴメス](2012/11/24 21:21)
[18] A’s第2話 「異なる世界」[ゴメス](2012/12/23 11:38)
[19] A’s第3話 「夜天と虹天」[ゴメス](2012/11/24 21:25)
[20] A’s第4話 「その手の魔法で撃ち抜くモノ」[ゴメス](2012/11/24 21:52)
[21] A’s第5話 「出会わなければ良かった」[ゴメス](2012/12/23 11:50)
[22] A’s第6話 「宣戦布告」[ゴメス](2012/12/23 10:40)
[24] Sts序章[ゴメス](2012/10/23 20:34)
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[31548] ユーノ・スクライアと秘密の書【A’s編】
Name: ゴメス◆ccc9b51a ID:7c70e43d 次を表示する
Date: 2012/11/24 21:46
※転生者、オリキャラ複数、オリ主的要素有り。

◇◇◇


 
 精神はここにある。

 精神だけはここにある。

 自分が肉体を失い、ただそれだけの存在になったことを自覚するまで、多くの時間は要さなかった。

 ――死んだのか、僕は。

 自分でも驚くほど、その事実を冷静に受け止めることが出来たと思う。そこにあるのは真っ白に広がる不可思議な空間だけ。
 ここは天国なのか、地獄なのか。
 生前は九歳にしてリアリストの思考を持っていた彼は、死後の世界など信じていなかった。しかし、信じてこそいなかったが、あっても不思議ではないと考えていた。
 現実の世界は、彼が思っていた以上の理不尽に溢れていた。彼の死因がそうであったように、死後の世界の一つや二つあっても不思議ではない。

『ユーノ・スクライア』

 不意に、どこからともなく男の声が聞こえてきた。轟雷のような重く響く声色には、どこか厳格さが醸し出されている。

『哀れな犠牲者よ……』

 そんな声とは似合わず、声の主は同情の入った調子で語りかけてきた。

 ……同情される死に方じゃない。僕の自業自得だ。それに、あの子の盾になって死ねたのだ。まだまともな死に方だったと思う。

 ――そういえば、あの子は大丈夫かな?

 生前の記憶を振り返り、彼はいくつか気にかかったことがある。
 事件に巻き込んでしまった一人の少女、高町なのは。彼女は大丈夫だろうか? 怪我はしていないだろうか?
 時空管理局はプレシア・テスタロッサを止められただろうか? フェイトって子は、母親と話し合えただろうか。

 だが既に死んでいる彼に、それらを確認する術はない――と、思っていた。

『高町なのはは無事だ。しかしプレシア・テスタロッサの説得には失敗した。結果的に彼女は自ら開けた虚数空間に消え、その命を失った』

 親切にも、声が教えてくれた。きっとこの声の主は神様か何かで、僕達のことをずっと見守っていたのだろう。根拠はないが、彼にはそんな気がした。

『ユーノ・スクライア』

 再び、名を呼ばれる。
 意識の覚醒を促すような、強い響きを持っていた。

『この世に未練はあるか?』

 未練は――ある。
 まだ僕は若い。いや、十分に幼いと言われる年齢だ。これからやりたいことも、やりたいことをやれる時間もたくさんあった。
 命が惜しくないなんて言えるほど、狂った人生は送っていない。

 ――僕を、生き返らせてくれるの?

 声の物言いに意図を悟り、彼はダメ元で問い返す。返答は早かった。

『汝が望むならば』

 しかしその語尾に「だが」と付け加える。

『しばらくこの「世界の外れ」から見ていくと良い。汝が見てきた世界の、真の姿を……』

 意味深な言葉を言い残し、声は途絶える。その後彼が呼び掛けても、返事はなかった。

 すると辺り一面真っ白だったその世界に、何色もの景色が浮かび上がってきた。

 野に山に海に川に……街が。

 彼の未練の対象となる世界が、そこにあった。


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