「がっ!は!!!」首筋に衝撃が走り、百代は呻き声を上げたあれほど警戒していた筈の、首への一撃しかしその警戒は、今は完全に怠っていた理由は、驚愕自分の奥義とも言える技を、一目で完全に見切られた事による驚愕だったそれは、百代の心に出来た僅かな隙間絶対の切り札の弱点を知られた事による、動揺と驚愕だから、その隙間を埋めるために…百代はその対策に出た今まで首より上にしかしていない警戒を、自分の腹部…更に言うなら鳩尾にも向けたその、僅かな一瞬首から鳩尾へ、警戒の網を伸ばす為の僅かな隙を狙われた首筋に、衝撃が走る膝が折れる体が落ちる意識が揺らぐ倒れる負けるそんな思考が、百代の脳裏を過ぎる(…私が、負ける?…)今まで、負けた事は無かった今まで闘った中でも、苦戦した事は何回かあったヤバイと思った事も、何回かあった好敵手とも呼べる人間と、心行くまで死闘を繰り広げた事もあっただがそれでも、百代は一度も負けたことは無かった……嫌、だ……薄れ行く意識の中で、百代はそう思う……負けるのは、嫌だ……今までのやり取りで、十分に分かったこのイタチという男の強さは、今の自分を遥かに上回っている恐らくこの男は、実力の半分も出していない現時点での自分の勝率は、ほぼ0に等しいそれでも……負けたく、ない……だからこそ百代は心の底から思った負けたくない勝ちたいそれは渇望勝利への渇望圧倒的な強者との出会い、そして天地の差ほどもある実力それらによって生み出された、心の底からの勝利への執念「……ま、るか……」切れ掛けの意識を、必死に繋ぎとめる意識の消失を防いで、両の足で地面に立つ「…負けたく、ない…!!」「……なに?」僅かに、驚愕の声が響くだが、それは百代には届かない揺れる意識、回る視界、崩れる世界――瞬間回復!!!――それらを、全て正常に戻す百代の眼に、再び光が宿った「負けて、たまるかああああああぁぁぁぁぁ!!!!」特別編・第五話「VS」「はあああああああぁぁぁぁぁ!!!!」拳の弾幕百代は己のスピードをトップギアにまで上げて百代は全力の攻撃を繰り出すそれは正に吹き荒れる暴風意志を持った暴力の嵐しかし、それらをイタチは悉く避ける「そこだ!!!」「甘い。」一撃と一撃の間を縫って、イタチは百代の鳩尾へ掌打を放つ「が!!」横隔膜に衝撃が走り、百代から酸素を奪うがそれでも、百代は構わず前進した「…む。」「狙いが分かっていれば、耐えられる!!!」攻撃は最大の防御腹部の激痛に顔を歪めるが即座に瞬間回復で呼吸機能を取り戻し、イタチとの距離を詰めるそして、百代の一撃が繰り出される「川神流奥義・蠍撃ち!!!」鳩尾への一撃しかし、イタチはその一撃を滑る様に回避しながら百代との距離を詰めて「狙いは良いが、防御が拙い。」裏拳手の甲で、百代の顎を掠める様にして打つ顎から脳に衝撃が伝わり、再び百代の平衡感覚が狂うが「そんなものは効かん!!!」即座に瞬間回復で立て直す「ウオオオオオオオオォォォォ!!!!」咆哮を上げながら、百代は更に攻撃を繰り出すここに来て、百代のスピードは更に跳ね上がったイタチに追いつく為に練り上げた、四肢のオーラトップスピードを維持したままでの超速の攻防この闘いで、百代は己のレベルが上がった事に気づくのはこの数日後である今の百代の思考絶対に、倒れないこれは百代の、最後の境界線だった恐らく、一度でも倒れれば、膝を着けば自分の心は、折れる自分の心は、敗北を認める百代はその事を、心のどこかで感じていたそして、百代が倒れたくない理由はそれだけではない。「ふ、ふは! ふははははは!!! ふはははははあああぁぁー!! 強い! 本当に強いな貴方は!!!」それは喜び圧倒的なまでの歓喜勝利への渇望以上に百代の心の中に存在する、強者との戦いによる圧倒的歓喜、狂喜「随分楽しそうだな?」「ああ、楽しいさ!!! これ以上無い程になああぁぁ!!!」乱打を繰り出しながらイタチの問いに、百代は間髪入れず答える。「初対面の貴方にこんな愚痴を言うのもなんだが、これも何かの縁だ!! まあ聞いてくれ!!!私は心の何処かで、いつも思っていた! どいつもこいつも弱い弱い! 中には強い人も居たがそれでもいつも勝負すると勝つのは私だった!! 橘天衣! 鉄乙女! 揚羽さん!! 武道四天王と言われ私と同格と言われていた人間ですらも、私には勝てなかった!!」しかし、百代の攻撃の全ては空を切って風を鳴らすそれはイタチに被弾どころか、掠りもしなかったそれでも百代は笑って言葉を続ける「勿論、私以上の実力者は居るさ!! 師範のジジイ!! ルー師範代!! 川神院から去った釈迦堂さん!!だがな、それだけだ!! それだけなんだよ!! 私の周りで私に勝ち得るのはたったそれだけの人間なんだよ!!私の身近に居るたった数人でしか、私に勝てそうな人間はいないんだよ!! でもその人たちとは立場上では勝負できない!!私に挑んで来るのは格下ばかり! 徒党を組まなきゃ満足に喧嘩も出来ないチンピラばかり!! 欲求不満はつもるばかりだ!!!」百代の一撃をイタチは回避して、足払いをして体勢を崩す即座に首筋に一撃を放つしかし、百代は倒れない更に苛烈を増したラッシュを繰り出して、イタチに襲い掛かる。「だから、私は常々思っていた! 本当に、世界はこんなに狭いのか!? 小さいのか!? ジジイに頼んで海外の達人とも勝負をした!! それでも勝つのは私だった!! もう何人と勝負したかな!! 何時の頃からか私は如何に相手に勝つのではなく、如何に闘いを楽しむのかに変わっていたよ!!!そうでもしなきゃあ、闘いで自分を満たす事は出来なかったからだ!!!」顔面を襲う拳打を回避して、イタチは百代の懐に潜り込んで鳩尾へ掌打次いで耳を平手で打って、三半規管を攻撃するが瞬間回復百代の攻撃は、休むこと無く続いた「私は仲間との遊びや交流で、心の渇きを満たしていたよ!! 実際に楽しいし! 私はそれで満たされていたよ!!!だがな、違うんだよ!! 私は戦いでも自分を満たしたいんだよ!! 眠いからと言って腹一杯の食事をすれば眠気は消えるか!? 違うだろ!? 消えないだろう!! それと同じだ、私は闘いたい! 全力の闘いで自分を満たしたいんだあぁ!!!」それは渇き今まで自分と対等な者が居なかった百代の渇き「だがな! 今はもうそんな事はどうでもいい!!! 何故なら今の私は最高の気分だからだああぁぁ!!!」心の底からの喜びの言葉と、子供の様な無邪気な笑みを浮べて百代は叫ぶ「イタチさん! 貴方は最高だ! 今まで出会った誰よりも最高の人だよ、貴方はああぁ!!! もう何度貴方に攻撃を貰ったかな!!? 私に瞬間回復がなければ、もう二十回は敗北しているなぁ!!!」百代の一撃を回避して、イタチはバックステップで距離を取るがそれを追いかけて疾走する、百代の一撃「川神流奥義・大蠍打ちいいぃぃ!!!」その一撃を、イタチは伸ばした百代の腕を滑るようにして回避して百代の死角に移動する「楽しいなー!! 本当に楽しいなぁ!!! イタチさん、執事をしていると言ったがそれを辞めて川神院に来ないか!!? 貴方程の人なら直ぐにでも師範代になれるぞ!! 様々なオマケ付でそこそこ贅沢できる程度の給料は出るぞ!!」「誘いは嬉しいが、それは断る。俺は今の所あの職場から離れるつもりはないからな。」「ふははははは!!! それは残念だ! 貴方がここに来てくれれば、ずっと私は満たされると思ったのだがなあぁ!!!」百代がそう叫ぶと、イタチは溜息を吐いて「……一つ言っておく。誤解を招く様な発言は控えた方がいいぞ。」「ははははは!! 求愛の言葉にでも聞こえるかな!? だが残念! 私の操は安くないんだ!! だが貴方が川神院に来てくれるなら、少しは私も考えてしまうかもしれないぞ!!?」「……とりあえず、碌に知らない人間にその様な言葉は言わない方が良いぞ?」「何だ何だ! こんな美少女の誘いを蹴るのか! つれないなー! 少し京の気分が分かってしまったぞー!!?」面白そうに、楽しそうに笑いながら百代は叫ぶそして、イタチに向けて更なる攻撃を繰り出す「川神流奥義・顎!!!」両腕を用いた上下の高速コンビネーション本来これは薙刀を用いた上下の斬り返しだが、百代はこれを両の拳で代用した岩をも砕く、竜の顎の連撃だが、イタチはそれをサイドステップで回避するそして技の硬直を狙って、再び百代へ一撃を放つ首筋を狙った疾風の一撃「それは分かっている!!!」それを、百代は床に転がる様にして避ける攻撃の勢いを利用した、受身に近い回避それにより百代はイタチの攻撃よりも半呼吸早く動けた為に、なんとかその一撃を回避するそして、両者の間に距離が出来るだが、それをイタチは追撃する相手は床に転がって隙だらけの状態、格好の獲物即座に床を蹴って、百代との距離を詰めるが「川神流奥義・雪達磨!!!」その瞬間、床が凍りつく百代が床に付けた掌から、瞬間的に床の表面は凍っていき一種のトラップを作り上げる百代を中心に、床を侵食する氷結それは一瞬にして、イタチの足場までに侵食するが「生憎だが、それは無駄だ。」しかし、イタチは氷の上を構わず疾走するチャクラの吸着力足の裏にチャクラを集中させて、吸着力を高める凍った床で足を滑らせる事も、体勢を崩す事も無く、イタチは構わず百代との距離を詰めるしかし、それを見て百代は笑った「それも予測済みだ!!」百代の対の掌が、焔色の唸りを上げる「川神流奥義・炙り肉!!!」その一撃を、百代は凍った床に叩き付ける次の瞬間、高熱の水蒸気がイタチに襲い掛かった「…っ!!?」「流石の貴方も、蒸気までは避けきれない様だな!!!?」高熱の蒸気を浴びて、イタチの動きは一瞬の躊躇いを見せた百代は凍らせた床に超高熱の一撃を叩き込む事によって、氷を即座に融解し水にして、水を蒸発させて高熱の水蒸気を作り上げたのだ。しかしそれには何の威力も、破壊力もない100℃に満たない、極少量の水蒸気それは銭湯のサウナにすら劣る熱量でしかないだが、それは威嚇としては十分な働きを示した思わぬ反撃異常察知能力に長けたイタチは、その予想外の事態に反射的に追撃から防御へ体勢を変えてその足は、一瞬止まった「貰ったああぁ!!! 川神流・無双正拳突き!!!」イタチの顔面を狙って唸りを上げる猛威の剛拳勝敗を決する、必殺の一撃しかし「その技は既に見た。」次の瞬間、鈍い音が道場に木霊した「…ぐ!!っぁ!!」ミシリと、音が響いた右拳から、腕を砕かんばかりの激痛が奔るその激痛に、百代はたまらず顔を歪める百代の放った、右の正拳突きその正拳突きは、イタチの肘鉄に減り込んでその侵攻を止めていた「…エルボー・ブロック…だとぉ!!!」百代はそこで、事態を把握する必殺の一撃は、そのまま致命的なカウンターとなって百代に跳ね返ってきた右拳の骨が、手首まで砕けていくのが分かった折れた手の甲の骨が、赤い血と共に皮と肉を突き破って出てきた「……っぁ! ぐ、ぅあ…!!」灼熱にも見た痛み骨をも砕く大ダメージ今の状態では瞬間回復は使えない肘に拳が減り込んだ状態で回復しても、減り込んだ肘が骨の再生を邪魔するからだ今のままでは、攻撃は不可百代は拳の骨を再生…回復するしかないそして、拳を回復させるには拳を引くしかない「……この私を……」イタチがそう思った、その瞬間だった「川神百代を舐めるなあああああああぁぁぁぁぁ!!!!!!!」あろう事か百代はそのまま、砕けた拳を突き進めた「……!!?」メキメキと骨が不吉な音を立てながら、百代は拳を振り抜いた赤い血を撒き散らしながら、脳髄に叩き込まれる激痛に顔を歪める百代肘からの予想外の衝撃で、僅かに弾き飛ばされて後退するイタチの体イタチは、信じられない表情で百代を見てそれを見て、百代は満足気に笑った「……ふ、ふふ…ふはははは…」「…どうした?」何がおかしいと、イタチは尋ねるその問いに、百代は笑みを浮べながら答えた「……一撃、入れてやったぞ……!!」その言葉に、イタチは驚いた「…!!!」確かに、今の一撃で自分の体は僅かに弾き飛ばされた直接的なダメージはこちらは皆無だが、今の一撃で自分は後退した確かに、結果として見れば百代はイタチに一撃いれた事になるしかし、イタチが驚いたのはその事ではない例え瞬間回復という肉体治癒があっても、痛覚は常人と同じ筈骨をも砕く激痛に耐え、尚且つ砕けた拳で全力の一撃を振り抜くそれはもはや、激痛という言葉ですら生温い…地獄の痛苦だった筈しかしこの川神百代は、それを実行した。(……大した娘だ……)イタチは心の底からそう思う実力、才能、そして根性強くなる為の三要素を兼ね揃えている(……あと二~三年もすれば、俺も危ういかもな……)百代を見て、イタチはそう結論付けるそして百代の血塗れの拳は、見る見る内にその怪我を治していった「……はー、滅茶苦茶痛かった。二度とやりたくないな、この攻撃…。」完治した拳を軽く握りながら、百代は言う。未だにイタチ優勢の勝負だが、流れは徐々に百代が掴みかけている体中を心地よい昂揚感が包み込み、確かな充実感が百代の中に広がるそして再び構えを取り、次の攻撃の姿勢を作る正にその時だった「……そろそろか。」イタチがそう呟いた瞬間百代の膝は、ガクリと折れた「……え?」突然の事態に、百代は思わず声を上げる必死で折れた膝に力を入れて、体勢を保つが「……なん、で?…力が、入ら、ない?」足に力が入らず、そのままプルプルと体が震えるそして次に襲う体の脱力感「まだ気が付かないのか?」「…何が、ですか?」「あれだけ景気良く、瞬間回復やら川神流奥義とやらを使っていたんだ…」イタチは百代に視線を置いて、ゆっくりと答えた「エネルギー切れになっても、何もおかしくないだろう?」「!!!?」その言葉に、百代の瞳は再び驚愕の色を宿した。「え、エネルギー、切れ…だと!!?」「元々、人間と言うのは小さな傷でも長い時間を掛けて少しずつゆっくり傷を治していくものだ。だが、お前の瞬間回復はその自己治癒能力の働きを爆発的に早めて傷を癒すもの。分かり易く言えば、ゆっくり歩いている馬に鞭を打って全力疾走させる様なものだ。それに加えて、お前は自分の流派の奥義を連発し、休む暇も無く攻撃を繰り返した」納得が行かない表情をする百代に、イタチは告げる「ならば、体力、精神力、エネルギーの消耗も桁外れに多い。さっきお前はこの技を見せるのは俺が初めてと言ったな? ならば、こうなっても別段不思議ではない。」「…なん、ですって?」イタチはそのまま百代を見て「何故なら、お前は実戦で瞬間回復を使うのは初めてだからだ。」「…!!!?」その言葉に、百代の目は見開かれたそして次の瞬間、その表情は納得が行ったかの様な表情をした「…ふ、ふふ…なるほど、実戦において瞬間回復を使う事による肉体の負荷…それを考えずに瞬間回復を乱発した私のミスか…確かに、これは私の落ち度だな……以後、気を付ける事にしますよ。」「更に言うなら、使用そのものも控えろ。切り札を心の拠り所にするのは分かるが、その所為でお前の防御は攻撃に比べてお粗末すぎる。」今までの戦闘を思い出して、イタチは更に進言する。「瞬間回復があるから、ある程度なら攻撃を受けても大丈夫…心のどこかでそう思っているから、お前の防御は拙いんだ。今以上に強くなりたいのなら、その技に頼るな。あくまで戦略が広がる程度に留めておけ。それにその技は体中の細胞に大きな負担を掛ける、体も出来上がっていない成長期の体で使用すると、早死の原因になるぞ?」「……随分、懇切丁寧に教えてくれるんですね。敵に塩と砂糖に合わせて味噌まで送っていますよ?」「気にするな、性分だ。」そう言って、イタチは疲れた様に息を吐く。元々、イタチはこういう稽古染みた事は嫌いではない昔は弟の修行に付き合い、色々な技術を手解きしたしこちらに来てからも、揚羽と小十郎の手合わせに付き合わされていた(……やはり、大分アイツ等に染まっているな……)少なくとも、今までの自分は身内ならともかく赤の他人にまでこの様な助言をする事はなかった。嘗ての自分と比べての変化をイタチは感じ取り、そっと溜息を吐いただが、瞬間回復についてはイタチはどうしても一言言っておきたかった。イタチが百代に瞬間回復の使用を控える様に進言したのは他でもない百代自身の為だ瞬間回復、これと同種の術を使う忍をイタチは知っている。五代目火影にして木の葉の伝説の三忍の一人、綱手圧倒的な格闘技術と神業とも言える医療忍術を併せ持つ木の葉隠れ一の女傑そして、その綱手が長年の修行と研究の果てに生み出した奥義は、その胸を刃で貫かれても瞬時に再生するとまで言われている。しかし、綱手はその術をいざと言う時にしか使用しない細胞分裂を異常促進させて瞬時に傷を癒すこの術は、術者に大きなリスクを負わせる。簡単に言ってしまえば、命の前払いだ本来人間の寿命までに使われる筈だった細胞分裂を前倒しで使う命を削り、寿命を縮める綱手は医療忍者ゆえに、その危険性を十分に理解して使用を控えていた。今までのイタチの攻撃は、百代の肉体事態には大した損傷を与えてはいないがそれでも、百代の体に負担が掛かった事には変わりは無い。一度や二度ならともかく、今回の様な乱発は寿命を縮める事になる。そうなるには、惜しい才覚の持ち主イタチはそう判断したからこそ、百代に瞬間回復の使用を控える様に言ったのだ。「…なるほど、敵わないですね。」そのイタチの言葉を聞いて、百代は笑うしかし、次の瞬間百代はその足でしっかりと床を踏み締め、構えを取った「…タフだな。」「無論…と、言いたい所ですが…正直今にも倒れそうです。」クスリと苦笑して、百代は言うだが、その眼には真剣な光が宿っている「…だが、私は貴方に勝ちたい。ここまで心の底から勝利を欲したのは、生まれて初めてだ…。」 再び、百代から闘気と殺気が迸る限り無く満身創痍に近い状態でありながら、この鬼神の様な威圧感正に、武神の血を引く者のみが出来る所業だろう「……今から、私の最強の一撃を放ちます。それでも貴方を倒す事が出来なければ、私は己の敗北を認めましょう。」そして、百代は体内の気を一気に練り上げる体に残されたエネルギーを全てを掻き集めて、両の掌を集中させる「ハアアアアアアアアアァァァァァァァ!!!!!」圧倒的なまでのエネルギーの波動、威圧感全てを薙ぎ倒す様な破壊の咆哮(……なるほど、どうやら唯のハッタリではない様だな……)生半可な攻撃で突っ込んでは、その場で返り討ちに遭うだろうイタチはそう判断して、百代を“視た”体中のエネルギーを練り上げながら、百代は考えていた勝ちたいこの男に勝ちたいこの強い男に、私は勝ちたい既に限界以上のエネルギーが、両の掌に集まり猛り狂って唸りを上げている。もはや一度見せた技は、この男には通じない生半可な技ではその場で自分は終わるつまり必要なのは、未だこの男に見せていない最強の一撃「……行くぞ!!……」両の掌が焔色の輝きを宿し、紅蓮のオーラ、破壊の咆哮を上げ、それは完成する全力全開全身全霊川神流奥義の中でも屈指の破壊力を持つ、百代の最大にして最強の一撃「川神流奥義・星殺し!!!!」その圧倒的波動と閃光体中のエネルギーを圧縮した巨大な衝撃波極太のレーザー砲にも見えるその一撃その一撃が、イタチに唸りを上げて襲い掛かった川神流奥義・星殺し大気圏すらも突破し、星をも破壊する威力を持つと言われた川神流奥義まともに喰らって、五体満足でいられる人間など皆無の一撃(……チャクラの形態変化に近いが、威力は高等忍術に匹敵するな……)その一撃を見て、イタチは瞬時に考える自分に迫る一撃は、生半可な威力ではない…まさに必殺を超えた完殺の領域だ(……ふむ、避けるだけなら造作もないが……)もしもこの一撃を避ければ、この一撃は道場の壁を貫いて寺院に直撃する目の前の少女はその事を知ってか知らずか、全力で一撃で放っているもしも自分がこの一撃を避ければ、この一撃による被害は寺院を超えて市街も巻き込むだろう。実際には川神院は今日は海外からの挑戦者と鉄ミナトが来訪する事から、それらによる周囲への被害を抑える為に武道場や周囲の壁には事前に強力な結界が張ってあるのだが、イタチはソレを知らない。避けるのは駄目、防御も不可この結論に至るまで、僅か数瞬「ならば相殺するしかあるまい」イタチの紅い瞳が、唸りを上げた。「……!!!……」まさか、と百代は思った目の前の男は、構えを取って迎撃の姿勢を見せているだが、そこではない百代が驚いたのは、そこではないその男から発せられる圧倒的なまでのエネルギーの波動、威圧感焔色の輝きを宿す両の掌、紅蓮のオーラ、全てを薙ぎ倒す様な破壊の咆哮…それは良く知る自分の技……まさか…そんな、馬鹿な…!出来る筈がない!!!瞬時に頭の中に巡る思考「……川神流奥義……」しかしそんな百代の心情とは裏腹に、「星殺し」イタチはその一撃を作り上げた「……!!?」イタチの掌から放たれる、圧倒的なまでの破壊の衝撃波それは雄々しい咆哮を振り撒きながら百代の星殺しと、衝突した。続く補足説明蠍撃ち……相手の鳩尾を狙う技、武術の基本である突きを極めた奥義大蠍撃ち……蠍撃ちを更に超えた一撃、達人ならはその威力は内臓まで蹂躙し臓器破壊できるほどの威力を持つ。雪達磨……川神流の奥義の一つ、本来は掌で掴んだ相手を凍らせて動きを封じ、重度の凍傷を負わせる技炙り肉……川神流の奥義の一つ、超高熱を宿した掌で相手を掴んでそのまま相手の肉を炙る技。顎……川神流の奥義の一つ、本来は薙刀を用いた奥義だが百代はこれを素手で行う イメージとしては、はじめの○歩に出てくる「ホワイト・ファ○グ」星殺し……川神流の奥義の一つ、文字通り星すらも破壊する威力を持つ圧倒的エネルギーを持つ衝撃波後書き 特別編・第五話を投稿させて頂きました、本当は特別編は今回で終了する筈でしたが思ったよりも百代との戦闘が長引いてしまい、次回まで持ち越しとなりました。 次回で一先ず特別編は終了です。また機会を見て特別の方は書くつもりでいます。 さて、今回は前半は百代の心情的な部分を描かせて貰いました。百代の心の飢えや渇きについて描いていたのですが中々難しかったです。 百代はとあるルートでは暴走する程に鬱憤や欲求不満が溜まっているので、その辺の心情面を描かせていただきました。 あと、一応百代にはイタチに対して恋愛感情は持っていません。あくまで尊敬できる人程度です。 そして、本編の後半。これはまじ恋を本編をプレイした当初から描きたいと思っていたネタ 星殺しを使うイタチを描かせて貰いました!! イタチ無双と同じく一度で良いからやってみたかったんです!!!写輪眼は血継限界や秘術、特殊な道具を用いる術以外は全てコピーできる設定であり星殺しも体術の延長、もしくはチャクラの性質変化、形態変化に近いものだと思ったので写輪眼ならコピー出来ると考えました!!次回でイタチVS百代は決着します!!