*もはや恒例ですが、今回も一部激しくネタに走っています。========================================その「気」が現れたのは突然だったその気は小さく儚い、何も変哲がない最初は、ただの一般人のものかと思った。だが、その考えは直ぐに却下した。それは小さいのではなく、抑えていた儚いと思っていたそれは、隠していた更に注意深くその気を探るそして気づく。恐ろしく澄んだ気でありながら、それはとても深い不気味な揺らぎを持っていながら、それは真剣の様に研磨されている…ふむ、こいつは少々面白いかもな…そう思って私は鍛錬の手を止めて、その気の出所を探った。発信源はここから離れた決闘様の武道場さっき、ジジイ目当てに挑戦者が集まっていた場所だ。挑戦者の一人か…なるほど、面白いこの気の持ち主は、明らかに他の連中とは異なる言ってしまえば、一線を画しているこいつがジジイへの挑戦者なら、私とも闘う事になるだろう見ておいて、恐らく損はないだろう。メインディッシュの前は、オードブルと相場は決まっているまあ、時間までの暇つぶしにはなるだろうそう思って、私は武道場に足を運んだ。「驚いたな、圧倒的じゃないか」私は今、武道場に居るそして私は、この上無い程に愉快な気分だった面白い、実に面白いここ数年、これ程愉快な気分になったのは何時以来だろうか?ダメだ、緩んだ口元を締める事が出来ない其れ程までに、私は愉快な気分になっていた。私の視線の先には、一人の男一見、それは唯のスーツ姿の優男そして、その足元には倒れ伏す九人の人間一連の動きを見たが、コイツ等も決して弱くはない最後の銀髪の女に至っては、四天王に近い実力を持っていたただ、こいつの強さがあまりに圧倒的だっただけだやはり私の勘は間違っていなかったああ、駄目だまた口元がだらしなく緩んでしまった今日は本当に良い日だ久々に、全力で暴れられそうだ「失礼だが、川神院の人間か?」「おっと、これは失礼。先ずは名乗るのが先だったな。」気分を落ち着ける意味も込めて、私は一呼吸の間を置く僅かに興奮を抑えて私はその男に名乗った「川神百代、そう言えば分かるかな?」「川神、百代?」男は呟くそして男は僅かに考える様な仕草をして私に向かい合い、そしてこう言った。「スマン、全く分からないのだが。」特別編・第四話「火影とファミリー、そして執事と少女」川神市・金柳街・路地裏和風の商店が立ち並ぶその商店街の一角にて、彼等は向き合っていた。「うっす。皆さん、どうかなさいましたか!?」金髪の青年、鉄ミナトが楽しげな笑みを浮べて言葉を放つそして、その視線の先には六人の男女自分を遠目から監視していた者達と対峙していた「…何か用ですか?」「…それはコッチの台詞ですよ。さっきからずっと俺たちの事を見てたでしょ? 気づかれていないつもりだったかもしれないけど結構バレバレでしたよ。他人の観察なんてあまり良い趣味とは言えないですよ?」「ハハハ、確かにそうですね。失礼しました。」平静を装いながら、少年達の一人、どことなくニヒルな感じの少年が薄い笑みを浮べながらミナトに言ってミナトもまた笑みを浮べて言葉を返す友好的な親愛の笑みこの種の笑顔は、人に不快な思いを与えない社交的なものだそして、その状況でその少年・直江大和は考える。バレた?なんで? どうして?この二人は遠目から見ていても、周囲から注目を浴びていた筈だこの男達を見ていた人間は、自分達以外にも多数存在していた筈だったでは、なぜ、自分達なのだろう?なぜ、この青年は自分達だけに接触してきたのだろう?そして、その時自分達ファミリーのリーダーである男の言葉を思い出した。『目の前で、それもいきなりだぜ! たぶんアレは映画や漫画で見る『空間跳躍』ってヤツだ!どうだ、スゲーだろ!!流石の俺も驚いたぜ、あれは恐らく超能力者…いや、未知の能力を使う異世界人という事も有り得る!』『そして、俺がここで寝ていたという事は…恐らく、その二人は目撃者の俺を口封じしようと襲い掛かったが俺を気絶させた時に皆がここに来る気配を感じ取り、即座にここから逃げたに違いない!!』思い出す、キャップの言葉をそして考えるキャップの言葉が、何一つ偽りのない事実だった可能性を…異能者口封じいつもなら平然と笑い飛ばす様な考えだが、今は違う事実、今ここで上手く表情を誤魔化せているのは自分だけ皆がそれぞれ疑惑と困惑の表情と視線を、目の前の青年に見せているこれでは、自分達に何か裏がありますと言っている様な物だだが、自分と同じ対応を皆に求めるのは酷なものだ事実、自分だって薄皮一枚の仮面の下では困惑と動揺で溢れているメンバーの中での参謀役の自分がこれでは、皆の反応もある意味当然のものそこまで考えて、少年は考え直す。落ち着けそこまでマイナス思考になるのはまだ早いただの勘違いという事だってあるここで自分が狼狽してボロを出す様な事はしない大和は考える自分達が見ていた事はバレただが、自分達の真意はこの青年は知らない筈だならば、いくらでも誤魔化しは利く筈「見ていた事は謝ります、すいません。貴方のお連れ様がここら辺では見ない執事服を着ていたのでつい珍しく思ってしまい、目が行ってしまいました…ですがそれで不快な思いをさせてしまった様で、重ねて謝罪します。どうもすみませんでした。」物腰は低く柔らかく相手に自分の真意を気づかれない様に、礼儀と礼節を尽くしながら接する幸いな事に、自分以外の人間は余計な言葉を発していないいつもならワン子やガクトの言動が墓穴や裏目にでるが、今回は動揺そのものが大きい為二人は動いていない正に不幸中の幸いだろう京やモロは元々感情やテンションに流されにくい、常時冷静を保ち理性で行動するタイプだから心配は無用そして、何よりキャップ自分と同じ風間ファミリー創設メンバーで最古参の一人普段は風の様に奔放で先読みできない男だが、家族と呼べる程にこの男との付き合いは長いそんなキャップが、自分の意図に気づかない訳がないさっきから自分達のやり取りに口を挟んでこないのがその証拠であり、それはキャップの信頼の表れだ。いざと言う時には本当に頼れ、自分たちを信頼し支えてくれる自分達のリーダー・キャップそんな彼の信頼を、自分は決して無駄にはしないだから、後は自分が口先で相手を丸め込むのに集中すれば良い……と、大和が思った所で「やいやいやい!! ここで会ったが百年目!! ついに見つけたぞ超能力者め!!!」彼の思考と信頼を、思いっきりブチ壊す言葉が響いた「……は? 超能力者? 俺が?」突然の言葉に、ミナトは思わず唖然とするしかし言葉を放った張本人・キャップと呼ばれた青年は更に興奮しながら言葉を続けた「とぼけた振りをしても無駄だ! 何せ俺はこの目で確かに見たからな、お前がこのまま尻尾を出すのを待つつもりだったがここまで来たら話は別だ! 洗い浚い吐いてもらうぜ!!」「ちょっと待て、キャップ…」「うん、何だよ大和?」キャップの言葉を切って、大和が声を上げる突然会話の腰を折られたキャップが不服そうに声を上げるが「何でキャップの方がいきなり洗い浚い色々な事をブチ撒けてるんだよ!! さっきあんだけ問い詰める事が無駄かって、説明したばかりだろ!! なに人の苦労を無駄にしてんだよ!!」「何だとー!! って言うかさっきから大和だけズルイぞー!!! こんな美味しい状況で自分だけ接触を求めるなんて!! 普通こういうのはキャップである俺がするべきだろ!! どう見たって大和の独り占めはズルいぞー!!!」そう言って、二人は口々に言い合うミナトは目の前で繰り広げられるやり取りを見ながら、この状況について考えていた。(…あー、やっぱり飛雷神の術を見た彼か……まさかとは思ったけど、本当にあれが現実だと受け止めて俺達を追跡してくるなんて…ちょっと見誤っていたかな?……)自分の読みが外れた事を確信するミナトそれが今の事態を引き起こしている事を確信した(……なるほど、超能力者ね…まあ、あながち間違ってはいないね。思考能力、判断力、そして実行力…なるほどなるほど、あのバンダナの彼は結構イイセンス持ってるね。それと俺と会話していた彼…この年であんな腹芸が出来る人間がこっちの世界にも居たとは……うん、なるほど、面白い……)この人間達は面白いそしてミナトは結論付ける好し、どうせならもっと面白くしようミナトの顔は楽しげに歪んだ「フフフ、なるほど…どうやら記憶操作が不完全だった様ですね。」クククとニヒルな笑みを浮べながら、悪役のオーラを振り撒いてミナトは言う。「!!!…記憶操作、だとぉ!!」ミナトの言葉に、キャップが反応するそしてその言葉に、そこに居た六人全てが驚愕の表情を浮べた「…ま、まさか…本当に…」「おいおい…まさか、マジもんの超能力者かよ!!」「超能力者……本当に居たんだ。」「…しょーもない、と言いたい所だけど…事実を受け入れようとしている自分が居る事にビックリ。」モロとガクトも続いて言葉を放ち、ワン子は唖然としながら呟き京も驚きを隠しきれない表情で言葉を零すそして、大和は意を決してミナトに向かい合った「…あんた、本当に超能力者なのか?」もうここまでくれば下手な会話や誘導尋問は不要大和はそう判断して、ストレートに聞く事にしたそして大和の質問に、ミナトはニヤリと笑って「違いますよ、俺は宇宙人です。」そう答えた。「「「なにいいいいいいぃぃぃぃ!!!」」」「「「ナンダッテー」」」クククと含み笑いをしながらミナトは質問に答えてキャップとガクト、そしてワン子は驚愕の声を上げ大和とモロと京の三人は如何にも胡散臭い目でミナトを見ていたそしてミナトの答えを聞いたキャップは、その瞬間に興奮がピークに達した。「ウチュウジン、宇宙人だとおぉ!!?」「ええ、その通り。自分は地球から八百光年ほど離れた惑星ベジータという星から空間跳躍を用いてここにやってきました。」「ぬぅ、やはり俺が見たのは空間跳躍か! これでやっと点と点が繋がったぜ! それじゃあ異星人であるお前が地球に来た目的は何だ!?」興奮しながらも、納得が行ったかの様にキャップは言って更にミナトに尋ねるそしてそのキャップの質問に、ミナトも答えた。「目的は仕事です。そして自分は惑星ベジータを統べる最高機関・「ⅩⅢ機関」の一つ「時空管理局」の機動六課よりこの地球の調査の為に派遣された捜査員のホカゲ・ゴルベーザと言う者です。」「ぬおぉ!! 一惑星の最高機関からの派遣だとぉ!! こいつは想像以上だ! 面白そうな匂いがプンプンしてきやがるぜ!!」心の底から楽しそうにキャップは言い、次々と質問の手が上がった「じゃあ俺様も質問だ。一緒に居たあの兄ちゃんも、異星人か?」「ええ、その通りです。彼はⅩⅢ機関の一つ「エスパーダ」から派遣されたクチキ・ルビカンテ・ビャクヤという捜査員です。」「はいはーい、私も質問! 他にもそのⅩⅢ機関って所から捜査員は派遣されているの?」「ええ、居ますよ。俺の知っている限りでは「型月」のエミヤとアルトリア、「LXE」のパピヨン、「ギアス」のルルとシーツー「禁書目録」のカミジョーとミサカ、「リトルバスターズ」のナツメ・ブラザーズ、「傭兵部隊ミスリル」のサガラとテッサとまあ、こんな所ですかね? 彼らの部下も合わせると、その数は相当なものでしょうね。」「はい、僕も質問。何で地球の言葉が喋れるの?」「事前調査して現地言語を調べて、その分析の結果を元にウチの研究者の青狸が開発した「翻訳コニャック」という道具で喋れているのさ。」「…はい、私も質問。調査に来たというけれど、どうやって調べているの? そしてどんな事を調べているの?」「自分は主にこの外見を利用して、昼間は学校に通って色々と。何だかんだで教育機関って言うのは得られる情報が多いですから。調査対象は、地球人の技術と危険度の調査ですね。地球人は争いが生き甲斐みたいな物騒な歴史を持っていますから。」粗方の質問にミナトが答えると、キャップは興味深い笑みを浮べていた。「なるほど、しかしこうして宇宙人と会話出来る日が来るとは…よし、今度オヤジに自慢してやろう!!!」「あ、それは勘弁ですね。これ一応内密の調査なんで、正体がバレると給料が減るんで。」「なにいぃ! それじゃあ俺はアンタの給料の為に口封じされそうになったのかぁ!?」「すいません。自分、どうしても新しいPS3が欲しいので。」疲れた様にミナトが肩を竦めて呟くと、更にキャップは嬉しそうに笑うそして、そんな彼等を見てミナトは(……ヤバイ…これ、面白すぎる……)必死に笑いを噛み殺しながら、彼等と向かい合っていた。愉快痛快そんな快楽がミナトの脳内に広がり、ひたすら愉快な気分に浸っていたしかし、そんなキャップとは逆に疑惑の視線を向ける人間が居た軍師・大和だ「……証拠は?」「証拠、ですか?」「そうだ、もしあんたの言っている事が事実なら…何か分かり易い証拠を見せてくれ。俺達はキャップと違って、あんたの超能力を見た訳じゃないからな。」相手を値踏みする課の様な視線を放って、ミナトを射抜く大和は、未だ目の前の男に対して疑惑を抱いていた何故なら、自分達の身近にも超能力者と言ってもいい非常識な存在が居るからだ。仮に目の前の相手が本当にそんな非常識な能力を持っていたとしても、相手が言う宇宙人がどうのこうのの話は、大和は信じられなかった。その視線を受けたミナトは「ふむ」と考えて「そうですね。それでは証拠として今から皆さんに、俺がこの星の調査で知り得たとても凄い事を教えて上げましょう。」大和の視線と質問を不敵な笑みと共に返して、ミナトは言うそんなミナトの答えを聞いて、大和は疑惑の視線を強くする「凄い事? そんな事じゃなくて、もっと分かり易い証拠…」「人間はしゃっくりを百回しても死にません。」「「「マジでええぇぇ!!!」」」大和の言葉を遮って放ったミナトの言葉に、そこに居た三人の人間キャップとガクトとワン子が驚愕の声を上げた「ぬうぅぅ!!! 大和、やはりこいつは本物だ! やっぱりこいつの言っている事は全部本当だ!!!」「ここまでの事を言われたら、流石の俺様も受け入れるしかないぜ…!!」「…ほ、本物よ!!…この人、本物のウチュウジンよ大和!!!」これ以上にない驚愕の表情と感情を露わにしながら、三人は口々にそう言い他の三人は別の意味で驚愕していた「…京、大和…僕たち、もう来年は受験だよね?」「…言うなモロ、こっちが悲しくなってくる…」「…しょーもない。」そこはかとなく、諦めの色を帯びて三人はそう言う何故だろう、彼等は無性に悲しい気分に襲われた「…あれ? そこの三人は驚かないね?」ミナトが不思議そうな顔をして言うそれに対して、大和は心外だと言わんばかりに視線をやった「それが本心からの言葉なら、名誉毀損レベルだぞ?」「おやおや、これは手厳しい。それではもう一つのカードを切る事にしよう。」再びミナトが不敵な笑みを浮べるしかし大和は鼻で笑った「ふん、さっきみたいな子供騙しレベルの戯言は…悪いが俺たちには通じな…」「ちなみに俺はジャンプが金曜に売っている店を知っています。」「「「「「凄ええええええぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」」」」」五人の驚きの声が一斉に響いた「……本当に、しょーもない。」そして少女の疲れた様な言葉が、小さく響き(……あれ?…なんか、俺…大事な事を忘れている様な?……まぁ良いか、楽しいし。)とある火影は、一つ大事な用件を忘れていた。●「…スマン。全く分からないのだが?」「…は?」イタチがそう言うと、百代は呆気に取られた何故なら自分も武の世界においては、祖父の川神鉄心に並ぶ程に名は売れていて自分に挑戦する為に態々海外からこの川神院に挑戦に来る人間だって、決して少なくないからだだから、川神院への挑戦者の中で自分の名を知らない人間が居る事に、百代は驚いていた。「…全く、か?」「はい、全く。」「これっぽちもか?」「名前からして川神鉄心の縁の者。年から考えて鉄心殿の孫に当たる人間くらいは考えている。」「…要は、知らないって事か。」ふう、と百代は寂しげに溜息を吐くここに来る者に自分の名を出せば、大抵何かしらの反応が帰って来たからだある者は驚愕をある者は尊敬をある者は親愛をある者は挑戦をある者は恐怖を何かしらの、自分に対する反応が帰って来たそれは、その者達全員が川神百代の名と、その実力を耳にしていたからだ今回も、そうなると思っただが違った自分のことをこれっぽちも知らない人間に、自分は得意げに名を語ったそして百代は、その事を思い出して(……うわあぁ…恥ずかしい……これは、とんでもなく恥ずかしいぞ私……)顔を赤くして、羞恥心に身を悶えさせていた(……こんなに恥ずかしいのは、小学生の時に間違えて担任の事を「お母さん」と呼んでしまった時以来かもしれん……)「どうした、顔が赤いぞ?」「いや、何でもない。これでも少しは名が通っているからな、さっきの答えが少し寂しかっただけだ。」「…ああ、なるほど。」そう言って、イタチも先程までのやり取りを思い出すなるほど、確かにこの少女は少々常人とは違う恐らく、武術を嗜んでいるのだろう揚羽や小十郎とどことなく同じ匂いをイタチは感じた「すまないな、やはり名前に聞き覚えはない。俺は隣の七浜に住んでいるから、川神の情報には疎いんだ。」その言葉を聞いて、百代は金ダライが頭に落ちてきた様な衝撃を感じた「どうした?」「…いや、何でもない…だが、そうか…フフフ、川神に住んでいないから知らない、か… そこそこ名は売れていると思ったが、そうでも無かった様だ。」海を越える程に名前は売れても、地元には響かずその様が少し滑稽だと、百代は思った。だがまあ、考えてみればそんな事はどうでも良いと、百代は気づいた「さて、それじゃあ貴方に一つ尋ねるが……貴方はジジイ、川神鉄心に用があるんだろ?」「ああ、その通りだ。鉄心殿にお目通りは出来るか?」「ああ、勿論。」イタチの言葉を聞いて百代は不敵に笑った「ただし、私に勝つ事が出来たからな。」眼光一閃闘気と殺気を孕んだ眼光でイタチを射抜くその眼光、視線に、イタチは少し眉を顰めた「…差し支えがなければ、理由を聞いてもいいか?」先程と同じパターンだが状況が違う為に、イタチは百代の真意を尋ねた「なに、ジジイはアレで多忙の身だからな。態々一つ一つの挑戦に対応している程時間がないのさだから、ジジイに挑戦しに来た人間は私がふるいに掛けるのが、ここの暗黙のルールだ。私に勝てないヤツが、ジジイに勝てる筈が無いからな。」「ふむ、なるほど…」イタチは納得した様に呟く確か聞いた話では川神鉄心は川神院以外にも、学校の理事長をやっていると聞いていた。確かに二つの組織のトップを兼任するのは、骨が折れるだろうこういう篩いも、確かに言われて見れば当然だとイタチは思った。場所が違えばルールも違う恐らく、これがここのルールなのだろう(……あの人が言っていた、面倒くさい事とはこの事かもしれんな……)ミナトの言葉を思い出して、イタチは結論づける確かいつか、誰かが自分達に言った…「郷に入っては郷に従え」と「なるほど分かった、それでは場所を変えよう。ここでは何かと不都合だろう?」「そうだな、どうせやるなら思いっきりが良いからな。 村田さん、悪いがここを任せても良いか?」「あ、はい。分かりました!」百代はそこにいた修行僧の一人に指示を出して、二人は隣の道場に向かうそして道場に入り、互いに向き合う「では、改めて名乗ろう。私は川神百代、川神鉄心の孫娘にして武道四天王の一人だ。」「それでは、礼儀として自分も名乗ろう。俺の名はうちはイタチ、現在は七浜にて執事見習いをしている。」互いに名乗り、百代は構えて気を練り上げる圧倒的な威圧感超人的なオーラそれに対して、イタチも闘気と戦気で答える研磨された気と練磨された気がぶつかり合い、互いに喰らい合う互いが互いの動きに注視して、動く機を見計らうそして、その瞬間は訪れた「それでは……始めようかああぁぁぁ!!!」床が軋んで爆音を上げ、一陣の風が吹いた先に動いたのは百代床を砕かんばかりに踏み込んで、イタチとの距離を詰める。「川神流・無双正拳突き!!!」気を溢れんばかりに込めた右の中段突きそれはイタチの鳩尾を目掛けて疾走する。それに対して、相手は未だ動かない必殺の間合い、必殺のタイミング防御も回避も不可能な必殺の一撃。…入る!!!…百代がそう確信した、次の瞬間だったイタチの姿は百代の眼前から消えた。「……!!!」その一撃が、空虚の手応えを掴み取るそして姿を消したイタチは百代の背後に立っていた。終わりだイタチはそう心の中で呟く首筋を目掛けて、勝敗を決する一撃を放つ。「初見では見切れなかったが」しかし、そのイタチの一撃は空を切ったイタチの目が僅かに見開く。百代は、僅かに頭を下げて背後からの一撃を、完全に回避したのだ。「九度も見れば、目は慣れる!!!」その刹那、一撃が奔った体ごと回転させて相手を巻き込む様にして打つ左のフック「…っ!!!」イタチのボディーを狙ったその旋風の如き一撃を、バックステップで避けるしかし、それはその場しのぎにしかならない即座に百代は体制を立て直して、イタチとの距離を詰める両の拳を駆使した、機関銃の様な連打しかし、それは全て空を切る首を捻り、ステップを刻んで一撃一撃を見切って、イタチはその弾幕の連撃を全て回避する。「ふはははははああぁー!!! ここまで避け切るか、面白い! 実に面白いぞおおおぉぉぉ!!!」心の底から楽しそうな声を上げて、百代はイタチにラッシュを繰り出す左のジャブを威嚇で放って、体制を崩して右のストレートで動きの少ないボディーを狙う。「……」イタチは体を斜に向きを変えて、その一撃を避ける。更に上方からの一撃「川神流奥義・天の槌!!!」鉞の様な激烈の一撃イタチはそれをサイドステップで回避するが「川神流奥義・地の剣!!!」下段の一撃が唸りを上げるが、これをバックステップで退けるイタチはここに来ても、冷静に百代の動きを分析していた。(……闘いのスタイルは揚羽よりも南斗星に近いな、スピードと戦闘本能がズバ抜けて高いタイプだが…一撃一撃が重いな、多分単純なパワーは揚羽よりも上だな……)一撃一撃は鋭く速く、そして重い恐らく、身体能力のみならばこちらの人間の中では最強の部類武道四天王、その実力は確かに他と一線を画すものだろう。「だが、技術では揚羽に遥かに劣る。」顔面に迫る一撃を回避してイタチはスピードを一つ上げた。「……んな!!」今度こそ、その動きは見えなかっただろう百代は驚愕の声を上げて、イタチは再び百代の背後に立つ。「今度は、外さん」その一撃が、百代の首に放たれた「が…!!!」必殺の手応えその手応えをイタチは感じ取り、百代の体はグラリと傾くそれを見て、イタチは己の勝ちを確信するしかし次にイタチの目に映ったは、百代の拳だった。「……!!?」「九度もその動きを見た……そう言った筈だあぁ!!!」そこに在るのは、嬉々とした表情を浮べる百代閃光の一撃その閃光を身を捻って回避する更に迫る追撃を回避して、サイドステップで距離を取るが何かが、ポトンと床に落ちた「ちぃ、掠っただけか…今のは惜しかったな。」「………」惜しむ様に、百代は呟く。イタチは視線を床に移す床に落ちたのは、一つのボタンそして、自分のスーツに視線を移すそこには、僅かに肌けた自分のスーツその一撃は届かなかったが、掠ったその事に、イタチは驚いていた。「どうした呆けて? もう少し、真面目に自分の相手をしてくれないか?こんなに楽しい闘いは久ぶりなんだ、ならば心行くまで堪能しなければ損だろう?」不敵な笑みと共に、百代は呟くその自身に溢れた表情、その表情を見て…イタチの頭の中に、とある可能性が浮かんだ。「……高速回復、それが先の一撃を耐え切った秘密か?」「……ほう。」そのイタチの一言に、百代は興味深い笑みを浮べたそしてその反応を見て、イタチは自分の仮説が的中したのを確信する「……何で気づいた?」「先の一撃、あれは首を支点に脳を揺さぶるタイプのものだ。脳は肉体と違い、衝撃や揺さぶりに弱い仮に俺の一撃を予め予想して失神は防げたとしても、脳を揺さぶられた事には変わりはない。人間なら平衡感覚が狂い、足腰が立たず、反撃するどころかまともに立つ事もままらなん。仮に立てたままだとしても、平衡感覚が狂った状態ではあの様な気の入った一撃を放つ事など不可能。」先程の過程と結果を照らし合わせて、イタチは一つ一つ順序を立てて説明する。「ならば考えられる可能性は大きく二つ。お前の脳が並外れて衝撃に強いのか、若しくは、なんらかのダメージを受けても直ぐに回復する術をお前が持っているかのどちらか…似た様な術に心当たりはあるからな、恐らくこちらだと思っただけだ。」「…イタチさんって言いましたっけ? 本当に面白い人ですね、貴方は…。」クスリと、百代は嬉しさを隠し切れない様に笑みを浮べた。「瞬間回復、私はこの技をそう呼んでいる。貴方が最初から首への一撃を狙っている事は明白でしたから…とりあえず、気を内部で練って首に意識を集中させて、一瞬での気絶は防いで、平衡感覚の狂いはこの技で回復させるそれが、先の一撃の真相です。まさかジジイにも見せた事のないこの技を、使う羽目になるとは思いませんでしたよ。」「…なるほど、それで…何故急に敬語になったんだ?」突然タメ口から敬語になった百代の変化を見て、イタチはそう尋ねるすると百代はさも当然な表情をして「尊敬に値する人間に対して、敬語で話すのは当たり前の事でしょう? 私は少なくとも、今までのやり取りで貴方は十分に敬意を向けるに値する相手だと感じました。」「……なるほど。」「まあ、それと勝負は別物ですけどね。確かに貴方は迅いが、私にはこの瞬間回復がある。 大抵の骨折や内臓損傷、常人には大ダメージになる物も私にとっては無意味… …貴方もまだ全力を出していない様にお見受けするが、全く手がない訳じゃない。」そして、百代は不敵な笑みを浮べながらイタチを見る「貴方のスピードにも、ようやく目が慣れてきた。悪いがこの勝負、私が勝たせて貰う。」ハッキリと、百代はイタチに宣言するその言葉が、イタチに対してどう響いたのだろうか?イタチは、ゆっくりと溜息を吐いた「俺に勝つか……無理だな、その程度の実力では。」「……ほう、言ってくれるじゃないですか。」「だが、こちらも随分お前の事を見誤っていた様だ……その事については、こちらも謝罪しよう。」そう言って、イタチは僅かに頭を下げて自分の非礼を詫びるそして顔を上げて、百代と向き合った。「ここからは、俺も武人として…お前の相手をしよう。」「…そうこなくては。」イタチの言葉を聞いて、百代は構えを取る相手の雰囲気は明らかに先程までとは違う戦気と闘気、そして殺気その全てが入り混じった必殺の気合緊迫感と緊張感が場を支配して、気を真剣の様に研ぎ澄まして百代は相手に向かい合う集中力が、グングンと高まっていくのが分かる最高潮に達する精神力、そして戦闘本能そして久しく忘れていた、全力の闘い真の強者との闘いでしか味わえないこの快楽それら全てが要因となって、川神百代の気をこれ以上無い程に研磨していた。「行くぞ、第二ラウンドだ!!!」百代がそう言って、一歩を踏み出すその瞬間だった一筋の閃光が奔り「……な…に…!!?」イタチの一撃それは衝撃の槍となって、百代の腹部を貫いた「…が!…あ!…ぁ!!」声と共に、空気が漏れ出る肺から口へ、空気が瞬時に流れ出る鳩尾を的確に貫かれ、横隔膜にその衝撃が伝わり、呼吸器官の活動が鈍って肺から空気が流れ出る急激な酸素欠乏で意識が揺れて、倒れ込みそうになるが「…っまだだあぁ!!!」瞬間回復「…はぁ、はあ…はぁ、驚きましたよ…また一つスピードを上げるなんて…」即座に呼吸機能を回復させて、相手と距離を取って荒れた呼吸を整えるしかし、その顔には相変わらずの楽しげな笑み。そんな百代を見て、イタチは淡々と百代に告げる。「思った通りだ、その技はあくまで回復。タメージを負った体を正常な状態に戻す、それだけだ。」「……どういう事ですか?」「体のダメージを消せる事が出来ても、吐き出した酸素までは元には戻らない様だな?」「…!!!?」そのイタチの言葉に、百代の瞳は驚愕で見開かれた。「酸素を吐き出す事は人間としての正常の機能……つまり、その技は肉体が『異常』と判断した物にしか作用しない横隔膜や肺、呼吸機能や平衡感覚のダメージを回復する事は出来ても……流石に酸素までは作れない様だ、それはもはや回復を超えて創造の領域になるからな…そしてその様子を見る限り、締め技も有効そうだな……思ったよりも突ける隙はありそうだ。」己が知りえた情報から、イタチは百代の技を解析する。「瞬間回復…確かに厄介だが、その程度の技なら何の障害にもならん。むしろ体のダメージを気にしなくていいのなら、こちらも存分に攻撃する事が出来る。」「ほう、随分簡単に言ってくれるじゃないです、かぁ!!!」そう言って、今度は百代がイタチに襲い掛かる苛烈を極めた超速の一撃続いての嵐の様な乱打しかし、それらは全てイタチに着弾する事はなく全てが空を切っていたそして、百代の攻撃を回避しながらイタチは言う「確かに、その瞬間回復は大した技だ…俺も驚いた。」その技を、イタチは素直に賛辞するしかし、「だが俺は、お前以上の戦闘能力を持っていて…」……貰うぞ、貴様の心臓を……「心臓を潰されても、平然としている男」……ハハハハハ!!…ジャシン様の裁きが下るぜええぇぇぇ!!!……「首を切り落として肉体を八つ裂きにされても、全くダメージがない男」……痛みを知れ……「そもそもダメージや死の概念があるかどうか疑わしい男」口に出した男達の事を、それぞれの能力を思い返して「そういう出鱈目なヤツ等を知っているのでな……」そして、今度はイタチが駆ける疾風の速度で、百代との距離を詰めて「瞬間回復、確かに優れた技だが……ヤツ等のソレに比べたら」「二度も同じ手は喰わん!!!」百代は迫るイタチの動きを見て、間合いに踏み込みカウンターを放つがそこに既にイタチの姿は無く、一撃は空を切り裂いて「そんなものは、唯の小技だ。」イタチは背後から、無警戒だった百代の首筋に一撃を叩き込んだ。続く後書き えー今回も少々、ミナトはネタに走らせて貰いました!! 読者の皆さんには、どうか寛大な心と、生温い視線で受け流して貰えると助かります!! そして、今回はイタチvs百代を描かせてもらいました。 序盤は百代優勢で描きました、事前にイタチの動きを見ていれば百代はあれ位は出来ると作者は思いましたので。 そして勝負の後半、イタチの瞬間回復に関する攻略法はまじ恋を見ての考察と、昔自分が読んだ漫画から考えました。 まじ恋のマテリアルブックでも、瞬間回復は気で細胞を活性化させて体のダメージを回復する技としてか書いていません つまり、瞬間回復で作用するのは肉体のダメージだけで、酸素までは作り出せないと作者は結論に至りました。 そして、ラストのイタチの言葉を書いていて思った事は 百代も結構なチートですが、暁の面々はそれ以上にチート集団だという事を実感しました! それでは、次回に続きます!!