補足説明・この話は前回投稿した物と前半部はほぼ同じ内容です。========================================「なあ、『ブローチ』の“十剣“って言う敵いるだろ? 私はどう見てもアレ、ウルシオラが最強に見えてしかたないんだが。」「『スクライト』のクウガ対ムヂョウは、カナメが捕まっていなければクウガは絶対に勝っていたと思っているのは、俺だけじゃない筈。」「最近の『ワンパーク』の面白さは異常よねー。」久遠寺家の中庭にて森羅、錬、朱子が思い思いのトークを行うが…「デニーロ、あそこでイイ感じに現実逃避をしている主従トリオを正気に戻しなさい。」「よおーし、任されよう!」未有が溜息を吐いて、デニーロに指示を出し「コホン。時に美鳩、突然変な事を言うけど……私の頬を思いっきり抓りなさい。」「はえ? どうしてですか?」「……これが、現実だという、確かな実感が欲しいわ。」未有も、いつもと違い疲れ果てた様な表情をその顔に貼り付けて言った。「まあ、ご命令とあれば……テイ!」「…い! いぃ!! いた!! 痛い痛い!! 痛たたたたたあぁ!!! もう十分! もう十分よ美鳩!!」「はーい、了解ですー。」未有の命令で、美鳩は抓っていた頬から手を離すそして、未有は赤くなった頬を擦りながら未有は、これは現実だと…改めて実感した「……流石の私も、これは想定外だわ……。」未有は、噛み締める様に呟くそして、そんな未有の視線の先そこには、自分の家の使用人・うちはイタチが居る別段、その恰好に不自然な点はない強いてあげれば……服が少々ボロボロになっていて、顔に殴られた痕がある程度だだが、何時もと決定的に異なる点が一点それは「……で、美鳩。『何人』くらいだと思う?」「目算で、130人と少しって感じですね。」そんなイタチが、凄まじい人数に増えていた事だった。第十七話「うちはイタチvs鉄ミナト~久遠寺家の常識が崩壊する日~・後編」自分の周囲を完全に包囲し、埋め尽くす圧倒的人波鉄ミナトは、周囲の状況に目をやりながら思考していた(…多重影分身の術…よくもまあ、これだけの大人数を作れたもんだ…)ミナトは視線を回して、その人数を数える(…132、133……135……138ってところか…)多重影分身の術初代火影が禁術と定めた術の一つであり、圧倒的大多数の影分身を作り出す術明確な人数は定められていないが、これほどの人数ならば十分に「多重影分身」の領域に入っているだろう。「……それでは、参ります。」闘気と戦気が収束し、ミナトの五感を刺激する。影分身の、前線部隊が構えを取る「……なるほど、質より量で攻めるって事か。」ミナトは呟く。その瞬間影は弾丸の様に弾けた「……散!!!」イタチの影分身の前線部隊は一斉にミナトに襲い掛かったそれは常人から見れば、暴風すら超える轟風確かに、イタチ程の忍がこれほどの影分身を作り出せばそれだけで、戦局は大きくその流れを変えるであろうしかし「いやいや、これは悪手でしょ…イタチくん。」そして、ミナトはチャクラを再び両腕に集中させて「チャクラ千本!!」「―――!!!」ミナトの掌から放たれる、閃光の弾幕それは、イタチの影分身体を貫き、次々に蹂躙し打ち消したしかし、全てを迎撃できた訳ではないミナトの間合いを犯し、数人の影分身体が接近するが「…し!!」猛打炸裂肉体活性化を駆使したミナトの体術の前に、それらは霧散して消える。しかし、間髪入れず追撃がミナトを襲う一撃放った後の僅かな硬直を狙って、更に十数人のイタチが襲い掛かるが「大・螺旋掌!!」特大の大渦通常の螺旋掌の三倍以上の威力と出力を持った破壊風イタチの影分身を大きく飲み込み、それでも威力は死なずに後方に控えていた影分身を飲み込んだ前方の三人のイタチを取りこぼすが「せい!!」「…く!!」「…む!!」「…ちぃ!!」一蹴肉体活性を施したミナトに、それらは合えなく撃沈する「…やっぱりね。」確認するかの様に呟く。(……今までの感触から、イタチくんのチャクラ量はカカシとほぼ同じ程度…いや、イタチくんは何か体がノリきれていないから…それより、少し劣るレベルか……)影分身は、本来チャクラの量が多い忍向けの術であるその理由は元々チャクラを多めに消費する術である以外にも、影分身を作るとそのチャクラの量は等しく均等されてしまう為あまりに大多数を作ると、その影分身自体が余りにも脆くなり、指揮が難しくなり、自滅する事が多くなるというデメリットもある「…流石のイタチくんも、息が上がってきているね。随分辛そうに見えるけど?」「………」そして何より、あまりにも多大なチャクラを消費すれば…それだけでも術者を戦闘不能に陥るケースも多い。だが、イタチの影分身の猛攻は終わらない物量に任せたゴリ押し前後の挟撃左右の包囲空と土からの上下同時奇襲四肢を駆使した圧倒的手数多彩なる攻め、影を影で補う重厚な厚みを持つ暴力の荒波しかし「指揮は十分だけど、明らかに脆い。」質が、格段に落ちているミナトは自分に襲いかかる影分身を迎撃しながら、そう考える(…確かに、通常の戦闘なら影分身に物量を言わせた戦術…例えば360度包囲の火遁、水遁、風遁…忍術を駆使した大規模の攻め、それらの事が出来たけど……)今は、状況が違う自分達は、事前に「周囲への巻き込みは極力避ける」と明言しているそして、自分もイタチもこれに同意している現に今までの戦闘が、それを物語っている前方からの奇襲に、チャクラ千本で応対する間髪入れず足首が地面に捕まれるが、チャクラ刀を地面に突き刺してそのエネルギーを流し込む。(……これだけの影分身を作れば、出来る術は限られてくる。体術に関しても同じ……これだけ人数が居ても、一斉に飛びかかれるのは数人から十数人……)千本の雨から逃れた数人が、自分の眼前にまで辿り着くが…「その程度なら、何の問題ない!!」――螺旋掌!!―――零距離から思いっきり叩き込むこれは元々近接戦様の術自分に襲い掛かった数体も、風船の様に破裂して消えたイタチの影分身体は、尚も自分に襲い掛かるが「…はあ!!!」右のチャクラ千本左の螺旋掌己の形態変化を、その両腕を持って存分に振るうもう、既に70近くは影分身を撃破しただろうミナトは次々とイタチの影分身を迎撃、撃墜していきそれに気付いた。「……む。」気が付けば辺りには、影分身との戦闘と迎撃した際に発生した土煙それらが、自分を包み込んでいた「…目くらましか? だけどこの程度じゃ……」しかし、言葉は続かなかったなぜなら次の瞬間「…い!!?」煙を貫いて、凄まじい数のチャクラの槍が伸びてきたからだ。(……多重影分身の狙いはコレか!! 影分身の霧散したチャクラをコントロールして煙幕を作り、周囲を覆った所を形態変化で一斉に撃つ!!……)通常の目くらましを使えば策に勘付かれるしかし、少数の影分身では煙幕を張れる程の期待は薄い(……なるほど良く考えてる!! これじゃあ瞬身でも逃げるのは不可! やれば即座に串刺しの刑だ!!……)その槍の数はおよそ60しかもチャクラ千本と違い、迎撃も防御も難しいしかも360度の上方・前後左右の全方位からの襲撃と来ている速度は十分威力は高い退路は無し逃げ場はない「だが……詰めが甘い!!」『こういう』事態に備えて、既に対策は出来ているそして、既に仕込みは終わっている――飛雷神の術!!――瞬間、ミナトの姿が包囲から消え去るそれは、速度を超えた空間跳躍その目的地、目指すは一点「……!!」「中々良い闘いだったよ、イタチくん!!」改めて、二人は対面するミナトの眼前には、驚愕の表情を浮べるイタチこれが、ミナトの最大にして最強の切り札・「飛雷神の術」かの大戦において波風ミナトが「木の葉の黄色い閃光」の異名の元となった時空間忍術己のマーキングを刻んだ場所なら、例え百里離れた場所でも一瞬で駆けつける事が出来る瞬間移動如何に影分身とはいえ、ミナトのマーキングを刻まれたイタチは、本体を誤魔化すことは不可能「……ちぃ!!」「逃がさないよ!!」瞬身の術を発動させるイタチを、即座に捉えるその胸倉を思いっきり掴み上げて瞬時にチャクラを練り上げて、右手に集中させる可視化レベルまでに凝縮された、圧倒的チャクラの一撃千鳥がチャクラの矛とするならば、これは言わばチャクラの槌「終わりだ!!」その槌をミナトはイタチの鳩尾に全力で叩き付けた「がはあぁぁっ!!!」豪腕破砕拳から、一気に肩までその反動は響く背骨を貫き、突き上げる衝撃筋肉がめり込んで、一気に肺にまで蹂躙する暴虐の一撃「……か、ぁ…は……」ミナトの拳に体を預けて、イタチは倒れるそして、イタチの影分身は次々とその姿を消した「……ふう、終わりかな。」その光景を見て、ミナトは安堵の息を吐き気を緩めたその瞬間だった「ええ、終わりです。」声が、静かに響く。「……え?」気が付けばミナトの首元には、チャクラ刀背後にはイタチが立っていた。「……マジ?」「の、つもりですが。」次の瞬間、ミナトに体を預けていたイタチは消える影分身だそして、イタチは宣言する。「俺の勝ち、それで良いですか?」「………。」ミナトは自分の状況を確認する首元には、ピッタリとチャクラ刀が突きつけられているそして、イタチは自分の背後を取って構えているしかも、イタチは既に飛雷神の術の「仕込み」に気付いている影分身体が消えた場所には、イタチのシャツの胸ポケットの部分が千切られて、落ちていた。多重影分身の、真の狙いは……コレだったのだ。自分に大多数の影分身を迎撃させて、自然と煙幕を作って視界を塞ぐその隙に、本体は自分がマーキングしたイタチの服の一部分を千切り、分身体に持たせるそして、自分に「飛雷神の術」を使わざるを得ない状況を作り出しそこを、狙い撃つ。「……凄まじいね、本当に。」素直な気持ちで、ミナトは呟く恐らく囮の影分身には、さっき自分が使った形態変化「チャクラの鎧」を仕込んでおいたのであろう影分身体の表面をチャクラで固めておけば本体と変わらない手応え、そしてダメージが浸透して影分身が消えるまでのタイムラグを利用して、自分を騙せるミナトは結論づける「うん、詰みだね。俺の負けだ。」「…了解。」両手を上げて、ミナトは宣言しそして、イタチもチャクラ刀を消した。(……しかし、本当に強い……)このうちはイタチは、自分が闘った相手の中でも間違いなく最強クラスの忍だ自分の実戦離れを抜きにしても、この男を相手に勝つのは骨が折れるだろう。流石に、この状況からの逆転は少々無理があった多少の無茶と無理を通せば、逆転は可能だったかもしれないが……(……流石に、少しキツいなもんなー……)改めて、ミナトは考える瞬身の速度は自分が上だが、この状況では、確実に自分の初動はイタチの半歩……いや、一歩分は遅れる幻術、忍術……印を組めばその瞬間、自分の首が飛ぶ。(……鉄心さん以来かな? ココまで見事に負けたのは……)思い出すのは、もう何年も前の古い記憶「……ちなみに、イタチくんから見た俺の敗因って何だと思う?」「油断しすぎ、遊びすぎが原因かと。」「……やっぱり?」イタチに指摘されて、ミナトも思う所はあった例えば、最初に「飛雷神の術」を使った時体術ではなく、先のイタチの様に形態変化を行使して戦闘不能状態にすれば確実に自分は勝っていたしチャクラの鎧でダメージを軽減した自分とは違い獅子連弾でイタチをダウンさせた後、いくらでも自分はイタチを追撃できた筈今思えば、勝てるチャンスを自分は悉く見逃していた。(……やっぱり、かなり勘が鈍ってるな。……あの時と違って、今は体も術も研磨されて現役時代に近い実力なのに………流石に、ちょっとヘコむなー……)自分の敗因を十分に噛み締めて、今後は改善していこうとミナトは決め「ま、でも良い勉強になったよ。今度は何の制限もない状態でやってみたいかな。」「……そうですね。あまり派手なものは遠慮したいですが。」ミナトの申し出に、イタチも僅かに考えて了承する。強かった、本当にこの人は強かっただが自分と違って、この人は十数年もこっちの世界にいたあちらと比べて比較的平和・平穏のこっちの世界では、上忍クラス以上の実力者との戦闘は難しいであろう自分も、かなり体調は回復してきている今回の戦闘で、その程度がより正確に分かったつまり正直な話、このままでは近い内に自分もこの人と同じ状態になるかもしれないという事如何に揚羽と小十郎に素質と才能があると言っても、その開花にはまだまだ時間が掛かるだから、イタチにとってもミナトの申し出はありがたかった。「じゃあ、その時はその時で。」そう言って互いに了承した。そして、二人は体の力を抜いた思い切り体を動かしたからであろうかお互い気持ちは、どこか晴れやかなものだった。「よし。それじゃあ次はお姉さん達と楽しいお話をしようじゃないか、二人とも?」しかし不意に二人は背後から肩を掴まれた。「………」「………」二人は、ゆっくりと後ろを向くそこには、とても素敵な笑顔を浮べる森羅の姿その表情は語る“こんなとんでもビックリショー、きちんと説明するまで逃がさねえぞコラ”「とりあえず、まずは軽くお掃除ですかね~?」ズイ、と美鳩は笑顔を浮かべ、二人に接近する。気がつけば、自分達の周囲は荒れに荒れた中庭ギャラリーや花壇、植木には極力被害が行かない様にはしていたがぶっちゃけ、それだけだった。「…イタチくん。」「…ええ、とりあえず一仕事ですね。」疲れた様に呟き……さて、どうやって説明するか?……二人は虚空を仰ぎ見ながら考えた。=======================================「さて、まあ二人共。ゆっくり寛いでくれ。」森羅がミナトとイタチに着席を促す。「それじゃあ、お言葉に甘えて。」「……失礼します。」久遠寺家・リビングそこには久遠寺家の面々とその他の全員が揃っていた(……さて、どうするか……)イタチは自分の周囲の状況を見回して考えるミナトとの手合わせで白熱していたが、こうして冷静になってみると確かに自分はハシャぎすぎた(……やはり、多重影分身はやりすぎだったか……)今更ながらにそう思うせめてアレ以外なら幾らでも口先のみで誤魔化す事が出来たのだが……「…さて、まあ単刀直入に言わせてもらおう。先程の戦闘、実に素晴らしい…いや、これはおこがましいな。私は実際殆ど目で追う事が出来なかったからな、凄まじい勝負…こう言わせて貰おう。いや流石だ、鉄ミナト。戦乱の世から続く日本有数の武家の一つ、鉄一族において「神童」と言われた事はある。」「お褒めの言葉、ありがとうございます。」「ミナトに関してはそれで良い。私達が気になるのはお前だ、イタチ。」そう言って、森羅の疑問の矛先はミナトからイタチに向いた。「………」「先に言っておこう。イタチ、私はお前の事を別にどうこうするつもりはない。 もしそうならば、元からお前をこの屋敷で働かせなんかしない。 さっき、お前達二人が部屋から出て行った後…お前の話になってな、お前の事で少し皆と話合ったんだ………それで、分かったんだ」「何がですか?」イタチが尋ねると森羅はゆっくりと息を吐いて「私達は、何もお前の事を知らないんだな……って。」僅かに顔に影を帯びて、森羅はゆっくりと呟いた。「まあ、お前は自分の事を話した事は無かったし、だからと言って何か問題があった訳じゃない。実際に、お前はこの屋敷で良くやってくれている。最初はお前を働かせるのに当たって多かった反対意見だってこの数週間で、殆ど無くなった……これは純粋にお前の功績だそして私達とお前の間にある距離は、それなりに縮まったと考えている。」「………」「だが、それなのに私達はお前の事を何も知らないんだ。 そして、そこに鉄ミナトが来た……隠す必要なんてないだろうから聞くが、旧知の仲なんだろう?先程の手合わせ、自覚はしてなかったかもしれんが……お前、凄く表情が生き生きとしていたんだぞ?お前は私達が知らないお前を知る相手に、私達が知らない表情を見せていたんだぞ…」そして、森羅は改めてイタチと向かい合い「何か、そんなのは寂しいじゃないか……。」そう言い放った。しかし、直ぐに森羅はにこやかな表情に変えて…「とまあシリアス風に語ったが、要はあんな人間ビックリショーな技を身に付けた経緯を面白く可笑しく私達に教えろ、と私は言っている訳だ。」「いや、いきなり砕けすぎだから姉さん。」「何を言っているミューたん。あんな漫画やアニメでしか見られない現象を、リアルでお目に掛かる事が出来たんだぞ? ジャンプ黄金世代を知っている身なら気になるのは当然だろう。」「いや、意味が分からないし。」クスリと、森羅は砕けた様に笑いながら言ってそれに未有が合いの手を入れたそしてそれに伴って、部屋の空気はどこか軽くなった恐らく、これは森羅なりの気遣いだろう自分の気持ちを伝えた上で、こうした砕けたやり取りにして、場の空気を過度に重くさせず、事をあまり大きくしない様にしているのだろうそこから汲み取れる、森羅の真意(……話したくなければ、話さなくて良い…と言った所か……)イタチは皆に視線を移すそこには、程度は違えど皆森羅の意見に同意している事が汲み取れた。(……さて、これはどうするか……)イタチは、改めて考える。正直な話、このまま口を閉ざしたままこの場を打ち切るのは容易い適当に虚実を入り混ぜて、そこそこ信憑性のある作り話をでっちあげて皆を誤魔化すのはもっと容易い。だがなぜかイタチは、それらをするのは躊躇った。(……俺も、なんだかんだで…久遠寺家に染まっている…のか?……)嘗ての自分を思い出して、イタチは少し自分の変化を自覚した。(……どうする? 何なら俺が適当に話を濁そうか?……)(……いえ、それには及びません……)ミナトが小声で言うが、イタチは断る。もう、自分なりに答えは出ているイタチは森羅達に向き合って「俺とこの鉄ミナトは、いわゆる同郷の仲です。」イタチは自分達の核心的な部分を上手く触れる事無く、森羅達に事情を説明した。「それじゃあ、お前等はミナトが鉄家に引き取られる前からの知り合いで……結構最近まで近況報告をしていたと?」「ええ、それで合っています。最近は俺の事情で報告は怠っていましたが。」「まあ、そんな感じですね。と言っても俺が一方的にイタチくんの状況を知っていただけですが。それでもお互いの事は結構知っている間柄って感じですかね?」「……む? 少し引っ掛る物言いだな。」「それにミナト、お前が鉄家に引き取られたのは…お前が二歳か三歳くらいの話であろう?それ以前の知り合いと言うのは……。」森羅と大佐が、同時に疑問を投げ掛けるが「まあ、それはあまり人様には言えない事情があったりするので、その辺は察してくれると助かります。それとイタチくんに関してですが、三年位前にひょんな事からお互いに顔合わせして、それから俺がイタチ君の事を思い出していったって感じですかね。」森羅の質問に、ミナトは淀みなく答えて、核心的な質問も上手く誤魔化した嘘は言わず、真実をぼかして話すイタチだけでは無理があったかもしれないが、このミナトの助力で話はスムーズに進んだ。実際に、ミナトの手際の良さにはイタチも感心する場面も多かった。「む、そうか。分かった。」「ふむ、なるほど。」そして、森羅達もイタチとミナトの空気と雰囲気を読んで、話せない事情を持っている事に関しては深く問い詰める真似はしなかった元々、この久遠寺家には訳ありの人間が多い森羅達曰く、そう言った連中の相手は慣れているらしい。「さて、まあ正直に言ってこれが私の本題なんだが……イタチ、お前のあの摩訶不思議な技。……あれはいわゆる「分身の術」で間違いないのか?」「……まあ、その様な見解で間違いないかと。」「イタチ殿、あの戦いを見た所あの分身体は目の錯覚や残像を利用するものとは違い、全てに実体があった様に見えたが?」「まあ、一目瞭然だな。」あれだけ影分身で暴れていれば、どんなに鈍い人間でも察しがつく実際その通りだったし、ここである程度の事情や情報を喋っておけば今後の余計な追随も抑えられる。だから、イタチも特に否定はしなかった。「…全部実体って、お前……もはや何でもありだな。」「本当に漫画の世界ですね…。」唖然と、森羅と朱子は呟きしかし、イタチとミナトは表情を変えずに「まあ、確かにあまり常識的ではないですね。」「言っちゃあ何ですけど、俺の知り合いにはもっと非常識な人が居ますよ。ドッジボールで学校のグラウンドを破壊した某乙女さんとか、声で地震を起こすご老人とか。」イタチとミナトは軽く返して、ミナトの言葉に森羅は軽く笑う「ははは、確かにそれは非常識だな。」しかし大佐、揚羽、小十郎の三人は…(((……ああ、確かに居たな。そんな奴等……)))などと考えていた。「それでは、次に我が質問したい。イタチ殿は父君に武術を習ったのであるか?」間を持って、揚羽がイタチに尋ねる。「ああ…夢様達には話したが、俺の武術は父から授かったものだ。そして俺の扱う武術は、俺の一族が既存の体術に独自のアレンジを加えて強化したものだ。」「……ふむ、なるほど。イタチ殿の父君か、是非会ってみたいものだ。」「それは無理だな、父とは既に死別している。」「…む、そうであるか。知らなかったとはいえ、失礼した。」「気にするな、もう何年も前の事だ。」バツの悪そうな表情をする揚羽に、イタチはフォローを入れる。「俺からも質問がある。」そして、小十郎が質問する「何だ小十郎?」「あの分身術は全て実体という話だが、それはどの様に体得したのだ? 自分としては、まず何よりもそこに興味がある。」しかしイタチは、「……それは無理だな、教えられん。」「…む?」「お前が俺の立場だったら、自分の技の秘密……特に体得条件等をベラベラと喋るか?」「…そうか、分かった。」そう言われては、小十郎も諦めざるを得なかった言ってしまえば、自分とこの男は赤の他人だ既に知られている情報なら兎も角、赤の他人に重大な秘密を喋ったりはしないだろう。また未有はイタチの言葉を聞いて(…は!! あのイタチの全てが実体なら…それぞれに私が厳選した半ズボンを履かせれば……)そして、その光景を思わず想像して「Oh…」「未有、顔がニヤけているぞ。」「…は! 私とした事が、つい妄想…ゲフ、ゲフン、思考の海に溺れてしまったわ。」などと考えていた。=====================================「小十郎よ、今日の事をどう思う?」「うちはイタチと鉄ミナトの事ですか?」「……うむ。」粗方のやり取りを終えてあの場はお開きとなり、小十郎と揚羽は帰路についていた「…そうですね。俺が言えるのは、まず鉄ミナトに関して。」「うむ、どう思った?」「噂では幼少時に武術を止めたと言われていましたが、それは本人が言っていた様に間違いだった様です。」揚羽の言葉に、小十郎はミナトに関しての意見を自分なりに纏めて「あの男は間違いなく武術を、鍛錬を続けていた様ですね。」「うむ、そうでなければあの閃光の様な体術の説明がつかん。」思い出すのは、自分達ですら目で追いきれなかった攻防の数々あれは唯の才能では説明がつかない日々の努力圧倒的鍛錬それらによって得られる、身体能力が絶対に不可欠だからだ。「揚羽様は、今日の二人の戦いを見て……どう思いますか?」「それは難しいな。火星と土星、どちらが遠いかを尋ねている様なものだ。」あまりにも、スケールが違いすぎるそう言って、揚羽は重く息を吐く。「あの二人の実力、どんなに低く見積もっても川神院師範代クラス。高く見てしまえば、鉄心殿と同格やもしれん。」揚羽は答える。川神院確かな歴史と格式を持つ寺院で、日本においては間違いなく最高峰の実力を持つ武術寺その寺院において日々修行に励む修行僧の実力は、その最下層でも世間で言う猛者・豪傑クラスそして、そんな彼等の上に立つ師範代……そして、師範毎年、何人もの天才、達人と称された武道家・武術家が川神院・師範代の座を求めてその試練に挑戦するがそれを突破できるのは極一摘みの人間のみ彼等の単純な実力は日本のみでなく、世界的に見ても最強クラス。そして、そんな師範代の更に上に立つ存在……師範その力は「武神」と称され、ありとあらゆる武の世界において正に神の様な存在特に現在の川神院師範・川神鉄心は日本の武の父と言われた程の存在最強無敵超人あらゆる絶対的称号をその身に宿す武人某大国のトップの人物も、「核兵器を所持する国と闘っても、カワカミとは闘うな。」と苦言している程である。今の揚羽と小十郎にとっては、彼等は正に雲の上の存在。そして、それが今の自分達とあの二人の差――「……遠いな。ああ、本当に遠い。」「……揚羽様。」いつもの揚羽とは違い心の底からその事実を噛み締める様に、揚羽は呟くまた、小十郎もその事実を深く噛み締めていた。「……」「……」沈黙と静寂が場を支配する事、数分揚羽は、口を開いた。「……小十郎。」「は、何でしょうか。」小十郎が揚羽に返事をして、揚羽は小十郎に向かい合った。「川神院へ電話しろ、鉄心殿と話がしたい。」続く後書き とりあえず、決着です。以前投稿した物とは別の決着となっています。 次回からは、久しぶりに日常パートに戻る予定です。思ったよりミナト編で話数を使ってしまったので 次回以降はもう少しテンポ良くいきたいと思っています。あと、「まじ恋」に関してもかなり構想と土台は固まってきました。前回の様な事もあったのでこれからじっくりプロットを完成させていこうと思います。 とりあえずコンセプトとしては、「ネタバレ控え目、体験版プレイだけでも安心!」 みたいな感じでプロットを組んでいます。追伸 デニーロ、超久しぶりの本編登場でした。