「いいじゃないか、やってやれ。いや、むしろやれ。」「…!!!」不意に響いた声に、イタチは振り向くそこには、森羅を始めとする久遠寺家の面々が揃っていた「………」しまった、とイタチは思った如何に四代目との会話に熱が入っていたとはいえ、周囲の警戒を怠るとは…しかも、ここまで森羅達が接近するまで…その存在に気付かなかった思わず、イタチは心の中で舌を打つ。聞かれた?今の話を?どこから?どの程度まで?と、イタチは一瞬で思考を展開させるが「盗み聞きなんて、あまり感心できませんよ。」ここで、ミナトは髪をポリポリと掻きながら苦笑するが「…だそうよ、姉さん。」「おいおい、見損なうな。この久遠寺森羅、従者と客人のプライベートの会話を盗み聞きする様な無粋なマネはしない。」未有が困った様に溜息を吐いて森羅が言葉を続ける「お前等が何か訳アリっぽい雰囲気だったからな。さっきのイタチの表情、明らかに普通ではなかったし…さっきから、何やら騒ぎ声も響いていたからな。様子を見ようとここまで来たのだが、タイミングが悪かった様だ…私達は、お前達の「負けた方が勝った方の~」からの下りしか聞いていない。」「……そうですか。」思わず、安堵の息を吐くどうやら核心的な部分は聞かれていなかったようだ「……だが、何やら面白い話になっているようではないか。」そう言って、森羅は愉快気に口の端を吊り上げた「久遠寺家期待の新人・うちはイタチvs鉄一族の神童・鉄ミナト。私としてはこの一戦…実に興味があるな。」「全く、姉さんは……と、言いたい所だけど。実の所、私も興味はあるわね。」「……う~む、確かに……私もお姉ちゃん達と同じ意見だったり。」久遠寺三姉妹が、次々に発言する。どうやら三人は興味深々といった感じだいや、三人だけではない「ミナトとイタチか……本来わしの立場ならあまり歓迎はできんが……うむ、お客様の要望とあれば…全力でお応えするのも使用人の役目。」「…確かに、興味はあるな。」「錬ちゃんが興味あるのなら、私も錬ちゃんに同意ですね~。」「森羅様が見たいのなら、私としては反対する理由なし。」「あわわわわ、何やら大変な事態に!!……でも、ちょっと気になるかも…」「お、落ち着いてハルくん。でも、本当に凄い事になっちゃったね。」使用人の皆も、主達と一緒で賛成の意見は出ても反対の意見は出なかった「ふむ、本来は我が手合わせを所望したいところだが……まあ良い。貴様の様に才に溺れた者との組み手程度、イタチ殿にとっては準備運動の様なものか。」「揚羽様さえよろしければ、この小十郎…反対の意などございません。」主・同僚・客人、全てが満場一致もはや、障害は無くなった「…さて、後はイタチくんの意志だけだね。」「…その様ですね、ほか……ミナトさま。」火影様、と言いかけた所で言い直す。この単語を発すれば、要らぬ疑問を招く事になるだろう。「…それでは、あまり周囲を巻き込む物は無しの方向で。」「もちろん、流石にそれは迷惑が過ぎるからね。」互いに了承するそして、イタチは上着のスーツを脱いでYシャツ姿になる「千春、すまないがコレを持っていてくれ。」「良いですけど、何で上着を脱ぐんですか?」畳まれたスーツを受け取りながら、ハルは尋ねる「汚れたら、洗うのに手間が掛かるだろう。」「……!!」その何気ない言葉その言葉に、そこに居た皆は驚かされた(…我と小十郎、二人掛かりを相手にする時はそんな事を微塵も気にしなかったイタチ殿が…)(…あの鉄ミナトには、そんな心配をするだとおぉぉ!!!…)(…それは、つまり…)(…目の前の相手には、上着を汚されるって事か…)(…なるほど分かり易いな、イタチの評価は…)揚羽と小十郎は顔をやや歪めて大佐と錬と森羅は、静かにイタチの言う事を噛み砕いていた「準備は良い、イタチくん。」「……そうですね。」二人は軽く会話をしながら、準備運動を行うそして互いに向き合い…「それでは、相手をしましょう。」静かに、イタチは呟くその言葉に、ミナトは軽く微笑んだ後――その場は、異界と化した――『……!!!?……』まるで異空間全てが違和感全てが異物その世界は、似て非なるものなん、ダ?コノ、くう、キは?そこに居る、誰かがそう思う時間にして、それは一秒にも満たない僅かな数瞬そこに居る人間は、一瞬の間に呼吸を忘れ、思考を忘れ我を取り戻した、次の瞬間ピシリ、とナニかが、ナった。第十六話「うちはイタチvs鉄ミナト~久遠寺家の常識が崩壊する日~・前編」二つの風が駆け出したのはほぼ同時だった閃光が弧を描いて互いの獲物に襲い掛かった「……っつ!!」「……っふ!!」風の交差は一瞬交えた攻防の数は十と八互いに、ダメージは無し地面に闘争の痕跡を残しながら、二人は距離を取るしかし、二人は体勢を即座に立て直して大地を蹴り踏み込み一気に、チャクラを練り上げた――瞬身の術!!!――爆発的加速それは疾風すら超える超高速片や神速、片や超速閃光が、弾けて交じり合う手の甲で相手の拳を捌く掌で肘鉄を受け止める蹴りを蹴りで跳ね返す一撃で一撃を相殺する拳打乱打打撃蹴撃空気が弾け、互いが互いに喰らい合い、衝撃が爆散する「…は!!」「…っふ!!」互いが交差するその瞬間、四肢に何十もの衝撃が走る肉が歪み、骨が軋み、血が猛る破壊的な連続音を撒き散らし、四肢は狂気に餓えたかの様に咆哮を上げて相手に食い掛かる「は!! 貰った!!」「そうは…させん!」拳が交わる蹴が弾きあう疾風怒濤猛烈苛烈そんな言葉すら陳腐に感じる程の、圧倒的攻防激突に次ぐ激突爆発にも似た衝撃を振り撒いて二つの暴力は唸りを上げる四度の交差交えた攻防は既に三桁互いの一撃が衝突したのを機に、互いに後ろに跳んだ「……大佐、今の見えました?」「……最初の攻防は目では追えた、だが二度目以降は殆ど目で追い切れなかったな。」大佐と南斗星が、淡々と語るしかし、その顔には確かな驚愕に埋め尽くされている「……驚いたな、あのイタチと互角に渡り合っているぞ。あの年で大したものだ。あの鉄ミナト、どうやら才能だけの成り上がりとは違う様だな。」「……二人が凄い速さで何かをしてた。とりあえずその事だけは理解できたわ。」「…は…はは、人間って、消えるんだね。」既に森羅達は驚きが入った呆れの表情もはや、目の前の出来事を現実として受けいれているのかどうかすら怪しい「…小十郎、お前…今の、見えた?」「…錬、分かっていて聞いていないか?」錬と小十郎も、驚愕に頭を支配されながらも今見たものを必死で受け止める「……これが、イタチ殿の……実力。」揚羽が、ポツリと呟くその言葉に、驚き以外の感情は感じない今ここで、揚羽を見れば誰もがその違和感に気付いただろう「……そして、鉄ミナトの実力……」なぜなら、今の揚羽の顔からは、いつもの覇気は……全く感じられなかったのだから今まで揚羽は、イタチに最高の評価をつけていたつもりだっただが、その評価も……今日のこの瞬間、脆くも崩れた強い次元うんぬんの問題ではないこの二人の強さは…「存在」というその根底から、自分達の物とは異なる物その事実を、揚羽は噛み締めていた。粗方の攻防を終えて、二人は向き合う(……迅い。写輪眼の洞察眼を持ってしても互角が精々……サスケ以上のスピードだ。一瞬でも判断を誤れば、そこで終わる……)(……何とかスピードで押さえこんだけど…隙の突き方が上手い、いや巧い。しかも想像以上に強い。カカシとナルトが闘ったあの分身体、あの分身体の倍は強い……)先刻のやり取りで得た情報を、脳内で反芻するそして、改めて相手を見る(相手はあの四代目、チャクラに不安がある今では術の無駄撃ちは出来ない……速度は相手が上、なら隙を作り……そこを突く。)(相手はあの写輪眼を持つうちは一族。数手以上の印を組む忍術、幻術で対処をするのは自殺行為……それなら……)刹那の思考と演算次の先手を、今度はミナトが取る(……よし!!)(…!?……何か仕掛けてくるな…)次の瞬間、ミナトは両手を組み合わせてチャクラを練るその圧倒的チャクラの奔流を、イタチも感じ取る(…術? いや違う、体中にチャクラを…肉体活性化か?…)その流れを、イタチは即座にその流れを読み取り(……まずい!!……)その瞬間、イタチはその危険を感じ取る己の目に映るのは、可視化レベルに到達せん程に凝縮された圧倒的チャクラそれを宿すのは、ミナトの両腕(……そうだ!この人は四代目火影!!…あの「螺旋丸」を生み出した……)「はああああぁぁぁぁっ!!!」(……「形態変化」を極めた天才!!!……)その腕の一振りが、唸りと咆哮を上げた――チャクラ千本!!!――貫きの弾幕嘗てサスケも使った形態変化の「千鳥千本」とほぼ同種の術(…回避! いや、左右の回避は逃げ切れん、上は追撃される!!……防御、いや蜂の巣だ!!……)火を噴く様な連射その速度・威力・弾幕範囲を見極めて結論づけるが「……だが!!」イタチも即座にその対処に出る既にチャクラは練り上げてある、千鳥の要領でその形態変化を作り出す――チャクラ刀・飛燕!!――次の瞬間、イタチの両手は二振りの刀を形成するそして、それを持って荒れ狂う脅威を迎撃する「……っシ!!」鼓膜を劈く連続音両腕を振るい、糸状の閃光がイタチの前で壁を作る暴風と言っても過言でないその千本を一つ一つ打ち落としながらイタチが前に出た「…!!…そのスピードでお構いなしか!!!」範囲を絞り、機関銃の様に高速連射で千本を繰り出すがその全てをイタチは斬り落とし、撃ち落すチャクラ千本ではイタチは止まらない即座に判断して、ミナトは更なる形態変化をイタチに撃つ「…じゃあ、これはどうかな!!!」――チャクラ鋭槍!!!――弾幕を放つ片掌に、もう一つの掌を合わせて一筋の閃光が奔った「……!!!?」ダメだ、これは撃ち落せないイタチは一瞬で判断して、身を捻って閃光をやり過ごす「だが甘い!!」「……な!!?」思わず、イタチが驚愕の声を上げるやり過ごした筈の閃光は、周囲を平行する千本と解け合い、融合しそれは大網を形成して、イタチの体を包み込んだ「…ぬ、ぐ!!!」「貰ったああぁぁぁ!!!」ミナトが吼えながら絡め取った獲物を、一気に引き寄せるしかし「……え?」その瞬間、体中に杭が突き刺さっていた何で?一体、いつ?どうやって?有り得ない…「…ぐ!」体中を襲う激痛に、思わず混乱するしかし混乱したのは刹那の間直ぐに対処をしようとして…「……まさか、しまっ!!」その正体に気付いたが、既に遅かった体中の杭が消えて自由を取り戻すが、言葉は続かなかったなぜなら、既にイタチは己の呪縛から解き放たれていたのだから。「……驚いたよ、まさかあの一瞬で俺に幻術を掛けるなんて……。」「……それはこちらの台詞です。まさか一瞬で俺の幻術を破るとは…。」互いに驚愕を表わして、二人はまた距離を取るイタチがミナトの手から逃れられた理由それは、チャクラの網に拘束されるまでのその一瞬で幻術を発動させたからだ魔幻・枷杭の術嘗てはあの大蛇丸ですら破る事が出来なかった幻術「月読」を抜かせば、イタチの扱う幻術の中でも最高ランクのものである(……この幻術すら効かないとなると、俺の幻術はほぼ全てが無効と判断した方がいいな……)(……流石に形態変化だけで対処するのはキツイな、だけど術を使った所で写輪眼には無駄撃ちも良い所…さて、どうする……)僅かな思考互いが「見」に徹し、相手の出方を探るが今度は、イタチが先を取った(……!!?…来る!!!……)ミナトは迎撃の構えを取るイタチは再び、その手に「飛燕」を形成して印を結ぶ「……木の葉流……」(……印? 何だ、忍術…いや幻術か?……)ミナトも、再びチャクラを練って両手に集中させる次の瞬間、イタチは瞬身の速度を持って「三日月の舞!!!」三方向から斬りかかった「っ!!!」ミナトが目を見開くその目に映るのは、チャクラ刀をその手に持って自分に斬りかかる三人のイタチ(……三日月の舞!! Aランクの超高等忍術!こんな術まで扱えるのか!!……)木の葉流・三日月の舞実体・分身体を含めた三方向同時に相手に襲撃する木の葉の剣技であり忍術。(……左右から二人、上から一人…本体は一人、いや…影分身なら三体全てが実体!!!…)この術の優れている点は、「影分身」と「瞬身」の二つを併用した陽動も兼ねている事忍が使う影分身の術は、その本体を見極めるのは困難しかも高速で動くとなれば、それが例えただの分身でも見極めは困難を極める(…見極め、無理!…回避、無理!!…防御は…もっと無理!!…)思考は刹那「だったら迎撃あるのみ!!」ミナトはそう判断し、掌のチャクラに意識を集中させる集中回転それは掌の中で渦を巻き、猛って唸る幾重にも幾重にも回転に回転が重なり合って、その形を作り上げる――螺旋掌!!!――チャクラの大渦轟音と暴風を撒き散らしその巨大な力は、一瞬で自分に斬りかかる三人のイタチを飲み込んでその全てが消えた「……!!!?」全部、影分身!!そうミナトが思った瞬間ミナトの顎は跳ね上がった「…がはっ!!!?」顎に衝撃と激痛が走り、目には虚空が映りこんでいた(……そうか、三日月の舞に俺の意識を集中させて…土遁で下から攻めたのか!!……)しかし、気付いた所でもう遅い顎への一撃は致命的だった脳が揺さぶられて、意識が揺れる更に、イタチの攻撃は続く(……マズい!……)「もう、遅い。」イタチが呟く打ち下ろしの一撃、ミナトの頬に叩き込む下がった顎に掌打を叩き込んで、再び跳ね上げるガラ空きの鳩尾に蹴撃を叩き込む「…が! ぐ!!」鈍い衝撃音と共に、ミナトの体は後方に弾き飛ばされるしかし、瞬身の術を発動させてミナトに追いつき裏拳を打ち下ろし、膝蹴りを腹部に叩き込んで宙に浮かし中段回し蹴り「ぶはぁ!!!」再びミナトの体は弾かれるが、イタチはそれに追いつく踵落とし、更にそこからサッカーボールの様にミナトを蹴り上げて舞い上がったミナトの腹部に、渾身の右の打ち下ろしを放って「……うちは流体術……」撃墜されるミナトその鳩尾に、空中からの回し蹴りを叩き込んだ「無双疾風陣!!!」それは轟音と衝撃を振り撒いて、ミナトの体に炸裂するミナトの体は地面に僅かなくの字でめり込み、ピクリとも動かなかった。「ちょ!ちょちょちょちょっとおおおぉぉぉ!!! イタチぃ! アンタやり過ぎよおおおぉぉ!!!」「朱子さんの言うとおりですよー!! ちょっと、これ…まさか…死……」「クルックー、まさかこの久遠寺家で、火曜サスペンスの様な展開があるなんてー。……っていうか、一瞬イタチさん…三人になりませんでした?」朱子とハルが動揺しながら叫び、美鳩もなにやら際どい発言を口にするが…イタチは、そんな可能性を微塵も考えていなかった「……っつぅ…!!」その激痛、イタチは思わず顔を歪めるそして、その発信源の両拳に目を向けた「……」拳は赤く腫れ、皮も破けて血が滲んでいたその事を確認していると、その声は響いた「……やっぱり凄いね。流石に今のは死ぬほど効いたよ。」上体を起こしてミナトは、ムクリと立ち上がった「…あれ、ビックリしないね。」「貴方に最初の一撃を叩き込んだ時、手応えが異状に硬かったですから。」そう言って、イタチはミナトに向き合う「……恐らく全身装甲型のチャクラの形態変化、それで俺の攻撃に耐えたんですね。」「そ、形態変化は得意だからね。三日月の舞のフェイクに気付いた時、咄嗟に服の下から仕込んだんだよ。……ああー!! でも本当に効いたー!! 普通だったらアバラ粉砕コースだよコレっ!!」そう言って、ミナトは腹部を擦るそして、数回深呼吸を行い…呼吸を整えて「……でも礼を言うよ、おかげでようやく勘が戻ってきた。」にっこりと、不敵な笑みを浮かべて呟く「…ハッタリ、ではないようですね。」「勿論!!! フフフ、テンション上がってきたー!!」軽く背筋を伸ばしながら、ミナトは叫ぶその既視感あれ? またこの人、人格崩壊してないか?と思った所で「今までのやり取りで、俺は一つ自分の絶対的なアドバンテージを確信した。 悪いけど、今からはそれを活用させて貰う。」「ご遠慮なく、むしろ自分としてはそうでなくては意味がない。」「ふふふ、言うね。」ミナトは軽く微笑んで、即座に表情を引き締める収束するプレッシャーその集中の一点が、ミナトに定まったところでミナトは素早く印を組み合わせ「……飛雷神の術……」その言葉が、イタチの耳に響いたのと同時だったイタチの頬に何かがめり込んだのは。(……え、な……?)気付けば、自分は横殴りに吹き飛んでいたその一瞬後、何かの音が響いた(……まさか、殴られた…のか?……)この思考を行うだけでも、五回は視界が変わった「……が!! く、は!」そこで、ようやく現実に戻る乱れる平衡感覚を制御して、流れる体を両足で必死に踏ん張るがここで、ようやく自分の体が痛みを認識した「…っ!!!?」その瞬間、自分の世界が閃光を捉える黄色い閃光その閃光は流星となって自分を追撃する「君が何発も攻撃している間に、俺が何もしなかったと思ったかい?」声に反応して、闇雲にガードをする偶然にも顔面への一撃は防げたが、鳩尾に一撃が入り、酸素を吐き出しながら弾き飛んだ。そしてイタチは気付く自分の服から感じる、ミナトのチャクラに(……迅い、迅すぎる!! まさか、写輪眼を持ってしても捉えきれないだと!?…………これが…噂に名高い四代目の最大の切り札、「飛雷神の術」か!!!……)「気がついたみたいだけど、もう遅い。」追撃の拳打が胸に突き刺さり、顎を蹴り上げられ体が宙を舞い背後から声が響いた「ここから先は、君の弟さんの術だ。」「……!!?」右の回し蹴り咄嗟にガードをするが、腕ごと足が腹部にめり込むそして、反対側からも追撃が走る「…ぐ!!?」残る片腕でそれも止めるが、もう自分を守るものは無くなった体勢を立て直したミナトの拳が腹に突き刺さり、再び激痛が走り「ラストオオオオォォォォオ!!!!」その咆哮と共に、その一撃は繰り出された「獅子連弾!!!」必殺の手応え撃墜と同時の、振り下ろしの回し蹴り大地を背にし、その衝撃は一切逃げることなく自分の体を蹂躙した。「……やり過ぎちゃったかな?」グッタリと、大の字になったままのイタチを眺めてポリポリと、頬を掻きながらミナトは不安げに呟くイタチが立ち上がり気配はなかった。(……うわやっば、久遠寺の皆…引いてる…っていうか、唖然としてる……やっぱり手加減するべきだったかな……いやいやいや!! 手加減なんかしてたら、俺が逆の目に遭ってたし! つうか未だに体中はズキズキ痛いし!!!……いや、確かに俺にも非はあるけど……そもそもイタチくんが最初から素直に俺の質問に……質問?……)そう考えが至った瞬間、本来の目的を思い出した。「あぁ!!そうだそうだー! これでイタチくんの恋バナゲットー!! 良くやったー流石オレ!!さて、そうと決まれば早速イタチくんを介抱して…」「結構です。」「……あれ?」今度はミナトが驚愕した自分の切り札を持って攻め込んだイタチが、ユラリと立ち上がったからだ。「…タフだね、お互いに…」「……」呆然としながらミナトが呟くが、イタチは答えないだが、見るからにダメージは濃厚だ足元は先程から覚束ないし、体全体がフラフラゆれているしイタチの顔にも、先程までの覇気はない(……でも、やる気は変わらず…みたいだね……)ミナトは、そう結論づけるイタチの顔は傍目にはいつもと同じ無表情に見えるが、その目の奥には、確かな闘志の炎が揺らめいていたからだ。「……やめだ。」「……へ?」ゆっくりと、イタチは呟く。何が?と、ミナトが聞こうとすると……「……もう、ややこしい事を考えるのはやめだ……」どこかおかしい足取りをしながらも、イタチはミナトと向かい合いギラリと、赤い瞳で睨み付けそして、印を組み始めた「……あれ、イタチくん……その印ってまさか…」(…ヤバい、ちょっとキレてる。やっぱりサスケくんの術を使ったのは挑発が過ぎたかな…)つつつと、ミナトは冷たい汗を流した。「…こおおおぉぉぉ…!!」唸るような吐息を吐きながら、イタチはチャクラを練り上げる今のイタチはチャクラを大量に消費する術は、嘗ての様に高速発動はできないゆっくりと丁寧にチャクラを練って、印をコントロールする事によって初めて発動する体の芯からチャクラを抽出して、一気に練り上げて、「こちらも、正真正銘……全力で行かせて貰います。」それらを、細心の注意でコントロールしその術を、発動させた。「多重影分身の術!!!」続く補足説明三日月の舞…原作使用者・月光ハヤテ。影分身を用いて三方向から敵を斬りつける術 脇役の、しかも一回しか出ていない術にも関わらず、かなり人気がある術螺旋掌…原作使用者・波風ミナト&自来也。螺旋丸の一段階前の渦状の術 自来也が初めてナルトの前で見せた螺旋丸もどき魔幻・杭枷の術…原作使用者・うちはイタチ。写輪眼の催眠眼を用いた幻術。 金縛り効果と物理的痛みを伴うために、主に拷問に使われる幻術無双疾風陣…使用者・うちはサスケ。ナルティメットヒーローシリーズのサスケの体術 この術と名前が似ている「無双豪炎陣」という技もヒーロー3で使えるので 勝手に「うちは流体術」と作者が命名チャクラ刀・飛燕…原作使用者・猿飛アスマ。本来はクナイや刀をチャクラで強化して 武器の威力を高め、間合いを伸ばす術。本編のイタチはこれを素手で使用鉄ミナトの形態変化その1・チャクラ千本…使用者・鉄ミナト。「千鳥千本」と同種の形態変化 チャクラを千本状に固めて撃ちだす術、本編オリジナルの術。その2・チャクラ鋭槍…使用者・鉄ミナト。「千鳥鋭槍」と同種の形態変化 チャクラを槍上に固めて相手を貫く術、本編オリジナルの術。その3・チャクラの鎧…使用者・鉄ミナト。「砂の鎧」と同種の形態変化 チャクラを全身に纏って表面で硬質化させる術、本編オリジナルの術後書き 第十六話・イタチvsミナトの前編を更新しました。今回やたら忍術が多く出たのですが、結構調べるのに時間が掛かりました。とりあえず、バトル描写はなれていないので…結構苦労しました。次回は後編、森羅たちの常識が本格的に崩壊れます!!追伸・まじ恋、買いました。 イヤー、オカゲデサイキンネブソクデスヨー。