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No.31086の一覧
[0] 【完結】リリカル錬金(なのは×武装錬金)[えなりん](2012/05/26 20:06)
[1] 第二話 痛いわ怖いわで最悪の夢[えなりん](2012/03/07 20:55)
[2] 第三話 お前は妹の傍にいてやれ[えなりん](2012/01/16 23:41)
[3] 第四話 俺も一緒に守る[えなりん](2012/01/16 23:40)
[4] 第五話 これが俺の騎士甲冑だ[えなりん](2012/01/21 19:29)
[5] 第六話 私が戦う意味って、あるのかな……[えなりん](2012/01/21 19:21)
[6] 第七話 何故ここにいる[えなりん](2012/01/25 20:18)
[7] 第八話 会った事が、ない?[えなりん](2012/01/28 19:45)
[8] 第九話 私を助けれくれた貴方がどうして[えなりん](2012/02/01 20:01)
[9] 第十話 お願い、間に合って![えなりん](2012/02/04 20:01)
[10] 第十一話 お前はまた少し強くなった[えなりん](2012/02/08 20:09)
[11] 第十二話 私はこんな事を望んでない![えなりん](2012/02/11 19:40)
[12] 第十三話 一番嫌いな性格だ[えなりん](2012/02/15 19:47)
[13] 第十四話 私だって魔導師です[えなりん](2012/02/18 19:52)
[14] 第十五話 これが人間の味か[えなりん](2012/02/22 19:35)
[15] 第十六話 謝るなよ偽善者[えなりん](2012/02/25 20:16)
[16] 第十七話 頑張ったんだ、でも偽善者なのかな[えなりん](2012/02/29 21:07)
[17] 第十八話 私達の本当の戦いは、まだ始まったばかりだ[えなりん](2012/03/03 20:42)
[18] 第十九話 何時か私を殺しに来て[えなりん](2012/03/07 20:54)
[19] 第二十話 俺の心が羽ばたけない[えなりん](2012/03/10 20:07)
[20] 第二十一話 それで本当にあの子は笑えるのか[えなりん](2012/03/14 20:45)
[21] 第二十二話 もう誰も、泣かせたりなんかしない[えなりん](2012/03/17 23:26)
[22] 第二十三話 私達は本当に正しいのか[えなりん](2012/03/21 21:16)
[23] 第二十四話 守りたいものが同じなら[えなりん](2012/03/24 19:42)
[24] 第二十五話 君は誰だ?[えなりん](2012/03/28 21:27)
[25] 第二十六話 ロストロギアに関わる者は全て殺す[えなりん](2012/03/31 19:47)
[26] 第二十七話 お前がお前である事をやめないでくれ[えなりん](2012/04/04 22:59)
[27] 第二十八話 そうか、これが敗北……ひさしぶりに味わった苦い味だ[えなりん](2012/04/07 22:16)
[28] 第二十九話 もう元の人間には戻れない[えなりん](2012/04/11 20:30)
[29] 第三十話 感謝して敬え[えなりん](2012/04/14 19:48)
[30] 第三十一話 そこで僕はジュエルシードを手に入れた[えなりん](2012/04/18 23:38)
[31] 第三十二話 二度と追う気を起こさないようにする[えなりん](2012/04/21 19:51)
[32] 第三十三話 簡単に死ぬなんて言わないで[えなりん](2012/04/25 21:48)
[33] 第三十四話 俺はブラボーに戦って、勝つ![えなりん](2012/04/28 20:07)
[34] 第三十五話 ヴィクターを殺す前の軽い運動だ[えなりん](2012/05/02 22:00)
[35] 第三十六話 例えどんな結果が待ち受けていても[えなりん](2012/05/05 20:17)
[36] 第三十七話 ロストロギアがそんな簡単に、皆を幸せにすると思う?[えなりん](2012/05/09 22:28)
[37] 第三十八話 俺が皆を守るから[えなりん](2012/05/12 19:54)
[38] 第三十九話 本当に、ゴメン[えなりん](2012/05/16 21:59)
[39] 第四十話 何故、私はここでこうして生きている?[えなりん](2012/05/19 19:40)
[40] 第四十一話 絶望が希望にかなうはずなどないのだ[えなりん](2012/05/23 21:16)
[41] 第四十二話 シグナムさんの為なら何時でも俺は戦うよ[えなりん](2012/05/26 20:06)
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[31086] 第三話 お前は妹の傍にいてやれ
Name: えなりん◆e5937168 ID:1238ef7e 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/01/16 23:41
第三話 お前は妹の傍にいてやれ

 目が届く所にと、自分の部屋のベッドにまひろを寝かせ、体が冷えないようにしっかりとシーツを被せる。
 ぽんぽんとシーツの上からあやすように叩くと、にへっとまひろに笑顔が浮かぶ。
 そのまひろの寝息はとても穏やかで、少し前に大変な目にあったようにはとても見えない。
 外傷も特には見当たらず、一先ず一安心といった所か。
 ほっと胸を撫で下ろしたところで、忘れていた痛みが体に襲いかかり始めた。
 自覚した途端に脳の許容量を超た痛みに、膝を付いて疼くまるしかなかった。
 しかも全身が軋みような痛みに震えていると、それがより痛みを誘発させてしまう。

「痛い、いたたた」
「じっとしていろ」

 そう言われ、背中越しに蛍光灯の光とは違う光に照らされる。
 ぼんやりとした紫色の光。
 それがかざされた部分から、徐々にだが痛みが引いていく。
 一体何故と振り返った先、女性の足元には三角形を基本とした幾何学模様が浮かんでいた。

「応急処置程度だ。明日にでも、一度ちゃんとした医者に見てもらえ」

 呟き、何処か優しげに微笑まれドキリとカズキの胸が跳ねる。
 これまで二度、出会ったのは林の暗がりで、今初めて明かりの下でその姿を見たのだ。
 歳の頃はカズキよりも二つか三つ上だろうか。
 ワイシャツの上にこげ茶色のジャゲットを羽織り、色を合わせたタイトスカート。
 そこからは黒のストッキングに包まれた足が、すらりと伸びている。
 見た事のない桃色の髪は後頭部で結い上げられ、やや釣り上がった眼差しが凛々しい。
 しかもその凛々しさの中に、今はカズキを慈しむような感情が含まれていた。
 カズキの好みを差し引いても、ときめくなと言う方が無理であった。

「どうした、顔が赤いが熱っぽさが抜けないのか? 私は治癒魔法は苦手だからな」
「魔法……全然、大丈夫。もう、何も痛くない!」

 名残惜しくはあったが、シグナムがかざす光から飛びのき目一杯笑う。

「そうか、ならば良い」

 そして高鳴る鼓動を落ち着かせ、改めて問う。

「あの怪物は一体なに? 錬金術とかジュエルシードを寄越せとか言ってたけど」
「錬金術、そうか。アレは魔法のないこの世界独自の、それも表には出ない技術か」

 カズキから聞かされたヒントを得て、少しシグナムも合点がいったようだ。
 この世界に留まる事になってそろそろ一年。
 シグナムもこの世界における常識は一通りそろえていると自負する。
 錬金術、それは遥か昔に途絶えて久しい、夢か幻の学問だ。
 少なくともシグナムはそう認識している。

「一昨日の夜、流星を見たか?」
「え、うん……まひろと一緒に数えたけど、きっちり二十一個。筋だっけ?」
「二十一個か。その流星の正体がジュエルシード、ココとは違う世界で生まれた宝玉で、保有者の願望を叶える代物。善悪に囚われず、時折暴走する事もあるらしい」
「そんな物が俺の左胸に埋まっているのか。心臓を潰された俺が、生きたいと願ったから」

 一度死んだ事から目をそらさず、認めたカズキへとシグナムが頷いて返す。

「だったら、あの大蛇は普通の蛇の願望が叶ってあんな化け物に?」
「いや、恐らくは違う。アレはジュエルシードを狙う何者かの尖兵。恐らくは錬金術とやらで生み出された人工の化け物だ。アレ一匹で終わりというわけではあるまい」
「あんな物がまだ他に……」

 海鳴市の平和を脅かすジュエルシードと、錬金術で生み出された化け物。
 恐怖に慄き震えるより先に、拳を握り締めるカズキを見て頼もしそうにシグナムが笑う。
 カズキの姿は、今は久しく見ていないベルカの騎士そのものであるからだ。
 しかしその決意を許容できるかどうかは、また別問題であった。

「昨晩も先程も、人の事になると危険を全く省みないお前の勇猛果敢さは、私も気に入っている」

 突然の気に入っている発言に、押さえつけたはずの心音の高鳴りが再発する。
 明らかに顔を赤くし、照れているカズキに気付く事もなくシグナムはだがと続けた。
 カズキへと向けていた頼もしげな視線を打ち消し、眼光を鋭く尖らせてまで。

「多少なりとも事情を説明したのは、正しく現状を把握し、これ以上軽率な行動をして欲しくないからだ」

 今まさに俺も戦うと言い出そうとした言葉は、先手を打たれて止められた。

「お前は来るな。既に付け狙われていた先程はともかく、お前は戦うべきではない」
「ちょっと待って。確かにまだ弱いかもしれないけど、俺にも戦う力が」
「力を手に入れる事と、戦う事は全く別物だ。それに私はお前が弱いから、来るなと言っているのではない」

 食い下がるカズキを手の平で押し止め、シグナムはその手の人差し指でカズキの左胸を指した。

「その胸にあるジュエルシード、どうやらそれはお前の戦う意志に呼応して発動するらしい。言ったはずだが、ジュエルシードがどんな物か」
「暴走……」
「一度その暴走を目にした事があるが、心臓の代わりなど奇跡に等しい行為だ。もしも軽々しく扱い、暴走でもするならばその時は」

 シグナムとしては、今すぐにでもそのジュエルシードを奪い取るべきだと考えている。
 そしてその為には、カズキを殺す可能性を考慮しなければならない。
 それは同時に、主である少女との誓いに離反する行為であり、易々とは実行できなかった。
 だがその主に危険が迫るような事態に陥れば、躊躇する理由はない。
 覚悟を決めるように、シグナムは胸元にあった剣型のペンダントに触れる。
 それがなんのペンダントなのか、カズキも一度その目にしていた。
 カズキのあの突撃槍のような、シグナムの武器。

「私がお前を斬る」

 シグナムに向けられた眼光により、今はないはずの心臓が小さく収縮した気がした。
 ぞわりとあの大蛇に襲われた時のような悪寒が過ぎり、息が詰まる。
 だがそれも束の間、ふっと緊張感を解きシグナムが笑みを浮かべて再び一指し指で指す。
 今度はカズキの左胸ではなく、カズキの後ろのベッドで眠るまひろであった。

「よく考えろ、妹はどうする? 見た所、両親は身近にいないようだが、その妹が頼れるのはお前だけ。その子を一人残して、戦いに赴くのか?」

 これまでシグナムの瞳には欠片もなかった寂しさのようなものが見えた気がした。
 もしかするとまひろの境遇を身近な誰かと重ね合わせているのかもしれない。

「戦いは私に任せ、お前は妹のそばにいてやれ。そばにいるのがその子の為でもある」

 まひろへと振り返り、打ち震えるカズキの方へと分かるなとばかりにシグナムが手を置いた。
 カズキもそのまま一度は頷こうとするも、首は折れず中途半端な位置で止まる。
 シグナムの言葉は理解しているのだろうが、それでもという気持ちもあるのだろう。
 だがベッドで眠るまひろを見つめ数十秒、ついにカズキは頷いた。
 あの性格上、やりきれない部分もあるだろうと再度ぽんぽんとシグナムはカズキの肩を叩く。
 そしてもはや何も言わないまま、その場を後にしてカズキの前から姿を消していった。









 時刻は少し遡り、カズキがシグナムを伴ない眠るまひろを連れ帰っていた頃。
 夕食を終えたなのはは、ユーノに呼び出され、夜の暗闇の中を駆けていた。
 まだ春先とは言え、夜は肌寒くオレンジ色のパーカーにその身を包み込んでいる。
 その胸元では、赤い宝玉のペンダントが揺れていた。
 ジュエルシードを集めるにあたり、ユーノから譲り受けたペンダントであった。
 その正体は魔法の杖、デバイスであり、名はレイジングハート。
 夜の外出に加え、これから始まるかもしれない戦いを前に時折手で触れては握り締めていた。
 その足が向くのは、聖祥大付属小学校に程近い山の麓。
 生徒の間ではそれっぽく裏山と呼ばれる山であった。

「ひへぇ、はぁ……はぁ。ユーノ君お待たせ。ジュエルシードがあるかもって、本当?」
「御免ね、なのは。また、こんな夜に。お兄さん達に見つかったら、僕が抜け出したとでも言ってくれて良いから」
「うん、悪いけどそうさせてもらう。直ぐ近くだと思ったからって言えば、多分お兄ちゃんも許してくれるよ。それで、その場所って何処?」
「あそこだよ。あの工場跡」

 工場跡と聞かされ、実物を眺めるより先になのはの口元がひくりとひくついた。
 裏山にある廃工場、それは通称お化け工場の事だからだ。
 男の子達が探検に向かい化け物を見たとか、奇妙なうめき声を聞いたとか噂には事欠かない。
 女の子であるなのはにとっては、鬼門とも言えるような場所であった。

「ちょっと、嫌かも……」
「大丈夫、まだ発動はしてなくて。かすかにその力を感じるだけだから」
「そうじゃないんだけど……でも、そうならある意味ラッキーなのかな。うん、頑張れ私。念の為、先に変身しておくね」

 ユーノにもその方が良いと頷かれ、レイジングハートを握り締める。

「風は空に、星は天に、輝く光はこの腕に。不屈の心はこの胸に。レイジングハート、セットアップ」

 パスワードを用いてデバイスであるレイジングハートを起動する。
 夜の闇を払拭し、遠くまで届きそうな桃色の光がなのはを中心に膨れ上がった。
 その光の中でパーカーと赤色のミニスカートが消失、代わりに真っ白な厚手の衣服が現れた。
 学校の制服をイメージし、同じ白のイメージカラーを使用した防護服。
 バリアジャケットと呼ばれるそれを身に纏い、巨大化した宝玉を掲げる杖を手に掴む。

「うん、バッチリ」

 これで勇気百倍とばかりに、なのはが恐怖を抑えて微笑んだ。

「相変わらず凄い魔力だね。それなら大丈夫そうだ。危ない時は、僕も手伝うし」
「ユーノ君は小さいから危ないよ。大丈夫、きっと私にもやれるから」
「なのはの事は信じてるけど、心配な事には変わりはないよ」

 まだ出会って二日目だが、同じ秘密を共有し共に困難に立ち向かおうと決めている。
 時間は関係ないとばかりに、お互いを案じあう。
 そしてユーノはお化け工場へと向けて歩き出したなのはの肩の上に飛び乗った。
 自分でも役に立てるとばかりに、歩くなのはを照らすように魔力の光源を頭上に灯した。
 ややおっかなびっくり、着実になのははお化け工場を目指し歩く。

「うう、夜の山って真っ暗で怖い。まひろちゃんもコレぐらい怖かったのかな」
「まひろって友達?」
「なのはの三人いる親友の一人。とても元気で感情豊かで、でもちょっと泣き虫で。だけどなのは達がお互いに親友になれたのもその子のおかげ」
「そう、大切な子なんだ」

 友達の事を語るなのはの表情は、とても膨大な魔力を秘めた天才には見えない。
 何処にでもいる、ありふれた女の子だとユーノは再認識させられた。
 それと同時に、そんな子を巻き込んでしまったと良心の呵責に悩まされる。

「その子がね。昨日、お兄ちゃんが家に帰ってこなかったんだって」
「もしかして、昼間僕に聞いてきたのは」
「大丈夫、その人は無事だよ。怖い夢を見た、それだけ」

 怖い夢を見たのはカズキだが、本人の為にもそこは気を使って言わなかった。
 そのままお喋りは続けられたが、恐怖を抑えるための反動だろう。
 山の傾斜をゆっくりと上り、ようやくお化け工場の目の前へやがてと辿り着いた。
 夜の闇の中で聳え立つ建物を見上げると、なんと圧迫感のある事か。
 話す事でまぎれていた恐怖心が、再びなのはに襲いかかる。
 さらに夜風のせいか、お化け工場の割れた窓ガラスの奥から唸り声のようなものまで聞こえた気がした。
 理性では隙間を通る風の音と分かっていても、じゃあ怖くないとは簡単に思えない。
 ごくりと喉を鳴らして唾を飲み込み、やや青ざめた表情でなのはが言った。

「そ、それじゃあ行こうか」
「色々と破棄されたゴミとかありそうだから、足元には気をつけて」

 そろりそろりと廃工場の入り口へと近付いていく。
 元は大型車を招き入れたであろう大型のシャッターは閉まってしまっている。
 目指したのはその横にある、人専用の出入り口であった。
 さびのせいか、ドアノブも重く、ドアを開く時もキィッととても嫌な音が響き出す。

「お、お邪魔しまーす」

 誰も居ない廃工場だと分かってはいても、ついついそう呟きつつドアから半身を滑る込ませる。
 その刹那、金属質の何かが足元に絡みつくのを感じた。

「ひっ!?」

 あまりに突然、予想外なソレに硬直し驚く暇もなかった。
 小さく上げた悲鳴すらその場に置き去りにするように、廃工場の中へと引きずりこまれる。
 なのはの小柄な体では抗う事もできず、次に感じたのは浮遊感。
 巨人の手により放り投げられたかのように浮き上がり、そして落ち始めた。
 ユーノが生み出した光源も今はここになく、完全な暗闇の中での落下である。
 前後左右はおろか、上下でさえも見失ってしまい、なのははただただ悲鳴を上げることしかできなかった。

「きゃあああああッ!」
「なのは。くっ、レイジングハート!」
「Flyer Fin」

 そんななのはの代わりにユーノが叫び、レイジングハートが応える。
 なのはの足元に桃色の光の魔法陣が浮かび上がり、魔力で生成されたブーツに羽が生えた。
 こんな場所でなければメルヘンに思える魔法に感動した事だろう。
 だが感動よりもまず、なのはは上下の感覚を取り戻した。
 そして意図してゆっくりと落下し、埃がつもった地面にやや放心状態で座り込んだ。

「なのは、なのはしっかり」

 肩の上でユーノがぺちぺちと頬を叩くも、中々なのはは帰ってこない。
 そんななのはを我に返らさせたのは、大量の光であった。
 ガシャンという音の後に、天井に設置された電球が一斉に点灯したのだ。
 あまりの眩しさに、なのはもユーノも反射的に瞳を閉じていた。
 そしてなのはは我に返り、地獄の光景をその瞳に映しだしてしまった。

「ヴオオオオオ!」

 この世の物とは思えない、大音量の遠吠えを前になのはが耳を塞ぐ。
 あるいはそれは、目の前の光景からの逃避であったかもしれない。

「そんな馬鹿な。ジュエルシードの憑依体がこんなにたくさん。発動は感じなかったはずなのに!」

 ユーノが叫んだ通り、二人の周囲には十体を優に超える数の異形がいた。
 まるで二人を囲い込み、取り逃がさないとしているかのように。
 ヒヒかオラウータン、類人猿のどれかが巨大化し、鋼鉄の体を得たような異形。
 なのはを中に引きずり込んだのは、恐らくその内の一匹の腕だ。

「猿渡さん、早くしてくださいよ。俺は腕が良いですぜ!」
「俺は足、あの細く白い足をガリガリとむさぼりてえ!」
「久々の肉、それも赤子の様にぷりっぷりの美味そうな肉だあ!」

 獲物を前に待てと指示されたように、今か今かと獲物であるなのはを興奮した目で見ていた。

「なのは、立って。レイジングハートを構えて!」
「あ、あ……」

 座り込んでいる暇はないとばかりにユーノが叱責するも、その声は届かない。
 それはそうだろう。
 いくら膨大な魔力があるとは言っても、なのはは昨晩までは普通の女の子だった。
 昨晩のように純粋に魔力が暴走し、感情の欠片もないままに襲ってくる相手はそれ程怖くはない。
 相手を超える魔力があり、どう対処すれば怖くないかなんとなく分かったからだ。
 例えるならば、燃え盛る焚き火を前にしてバケツ一杯の水を持っていたというところ。
 水をかければ火は消える、それを理解していれば怖がる必要はどこにもない。
 だが周囲を取り囲んだ異形達は、なのはをただの食料としてしか見ていなかった。
 科学の発達したこの現代に生まれた一人として、食物連鎖の段が自分より上の存在に会うことはまずない。
 追い立てられる獲物側の気分、それを耐える為には魔法の才能などなんの意味もない。
 その証拠になのはは肝心のレイジングハートを手から取りこぼしてしまっていた。
 なんとか拾おうとはしているが、立ち上がってくれない足と同様に手が全く機能していなかった。
 明確な意志を持って危害を加えようとする何かを相手にするには、余りにも早かったのだ。
 危機に陥るのも、危機の大きさも、全ては経験不足。

「落ち着け、お前ら」

 異形の猿達を宥めたのは、一人の人間であった。
 ガテン系を思わせる引き締まった大きな体をタンクトップに包み、怪しく笑っている。

「その脅えよう。昨夜、巳田が話していた女ではなさそうだが。魔導師なら聞いておくか。おい、こういう石を持ってねえか?」
「それはジュエルシード。返してくれ、それは危険な代物なんだ!」

 ユーノもまた、この時に経験不足を露呈してしまっていた。
 もしくはジュエルシードに対する責任感か。
 馬鹿正直に相手の問いに答えたも同然で、自分達がそれを持つ可能性を示してしまった。
 にやりと猿渡が笑みを深めたのを見て、ユーノも自分の失策を悟る。

(しまった。この状況で優先すべきはなのはだった。今の体調なら一度ぐらいは転移の魔法が使えるかもしれない。今からでも話を引き伸ばして)

 最善は、知らない振りをして話を引き伸ばしなのはを逃がす事であった。
 だが全ては遅きに失していた。

「素直に吐くって顔じゃねえな。お前等、少し遊んでやれ。ちょっとやりすぎて、腕の一本ぐらいは食い散らかしても見逃してやる」
「いやっほー、俺が一番最初だ。腕、腕寄越せ!」
「肉、久しぶりの肉だあ!」

 何故か人間の猿渡の言葉を聞き、類人猿の異形達が飛び掛ってくる。
 ユーノはなのはと打ち合わせる時間も与えられないらしい。
 だが仮に時間を与えられていても、難しかったかもしれなかった。
 恐怖に心を支配され、色を失った顔で脅えるなのははまだ正気に戻っていないのだ。
 もはやレイジングハートを拾おうとする手さえも、止まってしまっていた。
 その手は体を小さくして自分を守ろうとするなのはの頭の上であった。

「レイジングハート、手伝って。時間を稼ぐよ」
「Protection」

 数体の異形が唸らせた拳を叩きつける直前、若草色の光がなのは達を包み込んだ。
 球状に膨らんだその光が、異形達の拳を受け止める。
 次々に拳が叩きつけられては火花を散らし、その威力を音と空気を伝わる震動にて知らしめてきた。
 しかも数え切れない拳の弾幕に、それ以外の視界が全て閉ざされる程であった。

「信じられない腕力、それ以上に数が多すぎる。なんとか隙を見つけて、くっ」

 せめてなのはをと転移の魔法を同時発動しようとすると、魔力障壁にひびがはいった。
 慌てて障壁だけに全魔力を注ぎ直し、立て直す。
 だがこのままではじり貧、いずれ障壁は破られ凄惨な結果が待つのは必死。
 現状を打破するには、ユーノ一人では足りなかった。

「ほら、出ておいで。怖くない、ちょっと腕を一本貰うだけだから。はっはー!」
「ニクニクニク、ニクゥー!」

 こんな状況だがなんとかなのはを宥め、正気を取り戻させるしかない。

「なのは!」

 君の為にもという願いを込めて、ユーノが名前を呼ぶ。
 それでも悪い方へと転がった運命は、容易に引き戻せなかったようだ。
 それが何処から転がり、近付いてきたのかは分からない。
 大勢の異形が足を踏み鳴らす危険地帯を、地面が揺れるたびに転がり動く。
 ユーノが生み出す障壁の向こう側、俯いたなのはの視線の先に髑髏が転がってきた。
 骨以外何もないその空洞と化した眼と、なのはの瞳が重なりあってしまった。

「嫌、もういやああああああッ!!」

 さらに目の前でそれが踏み潰され、完全なパニックを起こしてしまった。

「もう帰る。なのはが悪かったから、昨日約束したのにまた家を抜け出したから。ごめんなさいするから!」

 動かないはずの足を動かし、ここから出してとユーノの結界を内側から手で叩き始める。

「どうすれば、どうしたら!」
『結界を全力で維持して』

 ついにユーノまで焦りから冷静さを失いかけた時、それは聞こえた。
 信じられるかどうか、もはやそんなレベルの事態ではなく信じるしかなかった。
 野生の何かが多い中で理性的な、女の子の声。
 このままでは自分はおろか、なのはの命まで危ないと決断する。

「レイジングハート、僕の魔力を限界まで使って!」
「Protection Max Power」

 より強固な結界を敷いた直後、激震が結界だけでなく廃工場全体を揺らす。
 まるで雷が間近に落ちたかのような轟音も響いていた。
 パニックを起こしていたなのはも、その揺れで転び少し頭をぶつけて身悶えている。
 異形達の拳の嵐よりもよっぽど堪えると、結界の維持に務めるユーノの全身が総毛立つ。
 限界の先の限界まで、魔力を振り絞りついに魔力が空っぽになってへたり込む。
 それと同時に、ユーノが必死の思いで維持していた結界が砕け散ってしまう。
 だがその頃には、廃工場を揺るがす激震も終わりを迎えていたようであった。

「あれ……私なにして、ユーノ君? ユーノ君!?」

 まだ正気に戻って間がないからか、四つん這いで近付いたなのはが抱き起こす。
 それから慌ててレイジングハートを手に持ち、ギュッと抱きしめる。
 周囲には積もり積もった埃と今できたばかりの砂埃で何も見えない。
 一体何がどうなっているのか、記憶が飛んだ間に何が起こっていたのか。
 やがて、何処かから吹き込んだ風がそれら埃を押し流し、視界を明るくしていく。

「お、女の子?」

 なのはの直ぐ目と鼻の先で、背中を向けていたのは一人の女の子であった。
 外国の子か、髪はアリサよりも明るい金色である。
 服装は背中にマントを羽織っている為、良く分からないが、手にはデバイスを持っていた。
 なのはの白と桃色を基調にした何処か可愛らしいレイジングハートとは違う。
 無機質な黒と金属の銀色を基調とし、先端部分に黄金色の宝玉がついている。

「あの……」
「そこから、動かないで」

 そう背中越しに呟かれてなのはは現状を思い出す。
 慌てて周囲を見渡すと、数匹の異形が体の各所を破壊された状態で倒れていた。
 だがそれでもまだ、異形達は十体以上いる。
 あと何体と視線で数えていると、屋内の明かりが少し減った気がした。
 びくびくしながら上を見上げると、廃工場の天井に大きな穴が空いてしまっていた。

(全然、分からなかったけど、この子がやったの?)

 ユーノを抱きしめながら、なんだか良く分からない気持ちを少女の背中に向ける。

「バルディッシュ」
「Scythe Form」

 少女は言葉少なに、デバイスへと命令する。
 杖の先端部分にある黄金色の宝玉の脇にある斧の刃のような部分。
 そこが稼動するように先端へと向けて開き、魔力の刃を形成していった。
 魔法の杖から、魔法の大鎌へとその姿を瞬く間に変えた。

「やれやれ、千客万来。腕に覚えはあるようだが、俺の部下は全く減ってないぜ」
「直ぐに、終わらせる」

 その言葉は挑発をし返す為に、猿渡に呟いたようには聞こえなかった。
 少なくともなのはには、自分を安心させる為に少女が発したように聞こえた。
 視線は代わらず猿渡に向いているが、彼女の意識が自分に向かっているように感じたのだ。
 頼れる者が誰もいないこの状況で、たった一人で化け物達に立ち向かおうとしている。
 羨ましいぐらいに強い子だと、なのははその子の背中を見つめ続けていた。

「やってくれたな、このガキ!」
「危ない!」

 仲間を倒された事に怒りを見せた異形の一匹が、少女へと跳びかかり拳を振り上げた。
 重そうなその全体重をかけて拳を振り下ろし、それは床を砕いて肘の先まで突き刺さった。

「え?」
「え?」

 同じような呟きは、異形の一匹となのはの者であった。
 異形は目の前から少女がかき消え、自分はただ地面を穿っただけと気付いたから。
 なのはもまた少女がかき消えた所までは同じだが、その姿を次の瞬間には別の場所に見たからである。
 瞬き程の間に、少女は殴りかかってきた異形の背と頭に足を置き、その首に魔力の刃を引っ掛けていた。
 そのまま引かれる刃であったが、少し切り込みを入れた所でガリッと止まってしまう。

「残念だったな、俺達はあいにく頑丈なんだ。それとも、さっきみたいに砲撃を何度も撃ってみるか?」
「別に、必要ない」
「強がり、を!?」

 少女を捕まえようと、背中に腕を伸ばした異形が固まる。
 再びかき消えた少女。
 だが次の瞬間、背中へと伸ばされた腕が肘関節の部分で切り飛ばされる。
 頑丈と誇ったその腕が、見事に切断されて宙へと吹き飛ばされた。

「が、この。待て、止め、助け!」

 次は膝関節、反対側の腕の肘、最後の膝を守ろうとした異形の瞳を削り取った。
 三肢を破壊され目まで失っては、いくら頑丈であろうと関係ない。
 最後には襲い掛かる本人にさえ助けを求め、許されはせず床の上に倒れていく。

「い、一斉に襲いかかれ!」

 猿渡ではなく、類人猿の異形の誰かが叫んだ。
 先程のユーノとなのはに対するように、数頼りの波状攻撃を仕掛け始めた。
 今度ばかりは、状況が違った。
 ユーノは放心したなのはを守るべく、身動きが取れない状態であったのだ。
 だが少女はそんなハンデを背負う事もなく、動きまわる事ができた。
 それも瞬き程の間に、その小さな体で異形のが生み出す波の隙間を駆け抜ける。

「痛ぇ、腕。俺の腕が!」
「違う、それは俺の腕だ。返せ!」
「誰か俺の足を、俺の足は何処だ持ってきてくれ!」

 次々に異形達は地面へと倒れ伏し、哀れみを誘うような悲鳴を上げ始めた。
 斬れないはずの頑丈な体を、どのようにして少女は斬り裂いているのか。
 時々瞬間移動したように消える少女の姿をじっとなのはは見つめ続ける。

「そっか、関節。鎧とかでも関節部分は隙間が多いって、お姉ちゃんが言ってたような気がする。あの子……それを知ってて」

 とくんと、なのはは少女の活躍を前に小さく胸が高鳴る気がした。
 その目的は一切不明ながら、確実に彼女は今、なのはを助ける為に戦ってくれている。
 相手が多くても恐れず、普通の攻撃は効かずとも退かず、涼しい顔で逆境を跳ね返す程の強さ。
 格好良い、素直に感じた気持ちを言葉にするとそんな所であろう。
 なのはのようなよちよち歩きとは違う、これが魔導師。
 そして彼女が暴れまわった結果、あたり一面に生まれたのは異形の残骸だけであった。

「はあ、はあ……」

 ただし、数が数であり、後半からは異形達も関節を重点的に守ったせいか息を荒げていた。

「予想以上の動きだな。生け捕りにすれば、良いホムンクルスの材料になりそうだ。部下を失った失態は、それで十二分に補える」
「ジュエルシードを渡して」
「それはできないな」

 少女の目的を知り驚くなのはだが、それ以上に余裕を崩さない猿渡に驚いていた。
 あれだけいた異形は、一匹残らず退治されてしまっている。
 何故あれだけの異形を従えさせられていたかは分からないが、普通の人間に少女は止められない。

「別に力ずくでかまわない。貰っていく」
「気の強い事だ。だが、たった一人で戦い激しく消耗した今、この俺に勝てると思うな!」
「私はいつも一人、それで十分だ」

 猿渡の体の表面がバキバキと奇怪な音を出しながら変質する。
 それをある程度予想していた少女はともかく、なのはは驚きの連続であった。
 人間じゃない、いやだからこそあれら異形を従えられたとすれば納得がいく。
 より巨大に、先程までの異形の三倍から四倍近い大きさまで膨れ上がる。
 その姿はゴリラを元にしたような筋肉質で豪腕を持った怪物であった。

「関節を狙うような温い戦いが通用するか、試してみるか!」

 そう叫んだ猿渡が駆け出した瞬間、少女の足元の瓦礫が盛り上がった。
 そこから伸びてきた異形の腕が、少女の足をしっかりと掴み取っていた。

「しまっ、討ち漏らし!?」
「やりましたぜ、猿渡さん!」

 神速の速さを持つ少女も、純粋な力は見た目通りらしい。
 抜け出そうともがくも、ビクともさせられないでいた。

「一人は辛いね、お嬢ちゃん!」

 猿渡はそれでも容赦なく、少女へと踊りかかりその豪腕を振りかぶる。

「あ、駄目……」

 なのはにとってその目の前の光景は、スローモーションのように見えていた。
 助けに来てくれた少女が絶体絶命で、あと数秒後にはどうなるか分からない。
 今や異形と化した猿渡の言う通り、一人だから。
 そう、誰も他に助けてあげられない、なのはを除いて。

「だめぇぇぇぇぇッ!」

 レイジングハートを握り締め、宝玉がある先端を猿渡へと向ける。

「Devine Shooter」

 宝玉を中心に桃色の光の魔法陣が描かれ、魔力球が生み出され、射出された。
 少女に飛び掛ったばかりの猿渡へ、異形と化した彼の腹の部分にある人の顔に向けて。
 だが衝突の寸前で、猿渡が自分の腕で魔力球を遮った。
 ドンッと爆発し煙を上げるも、五体満足な状態で猿渡が飛び出してきた。
 そして当初の狙い通り、身動きのとれない少女へとその拳を奮う。

「なに!?」

 だが爆煙を脱した直後目にした先には、少女の姿はなかった。

「ど、どういう事だ?」
「れ、連射……できちゃった」

 なのはの驚いたような呟きを耳にして、まさかと猿渡が周囲を見渡す。
 すると遠く離れた場所に少女の足を掴んでいた異形の生き残りが沈んでいた。
 まるで何かに吹き飛ばされたように煙をあげながら。

「貴様!」
「狙ったわけじゃないけど、伏兵はお互いさま」

 なのはを睨もうとした猿渡のそばに少女は現れ、引きとめる。

「ふん、だが貴様達に俺を破壊する術はない。どう足掻いても勝ち目は」
「もう、終わった」
「なに!?」

 少女が呟いた直後、ゴリラの異形と化した猿渡の胸部分。
 人としての名残を残す猿渡自身の顔の額に亀裂が入っていた。
 スペード同士が上下に少し重なった無限を示す記号にも似たマーク。
 そこにだけ正確に少女の斬撃の後が刻まれていた。
 猿渡自身が気付いたからか、巨大な体積を誇るその体が維持できず崩れ始める。

「ば、馬鹿などうして。何故章印が弱点だと分かった、まさか知っていたのか!?」
「二十匹近くも相手にしていれば、偶然かする事もある」
「偶然だと、それにしても」
「けど確信に至ったのはあの子のおかげ」

 少女が振り返り、初めてなのはに正面から顔を見せてきた。
 綺麗な光をたたえつつも何処か寂しげな瞳を向けられ、なのはは少し慌てる。
 何もしてないとぷるぷる首を振ったが、既に少女は見ていなかった。

「あのシューター、威力はそれ程でもない。例え貴方がそれを知らなくても、防御を自慢しておいて顔へ当たるそれを防ぐのは不自然。だから狙った」
「くそ、最初から俺一人で……創造主、申し訳ありません」

 その言葉を最後に猿渡は完全に砂と煙として消え、周りの異形達も同様であった。
 そして少女は、その砂の中から青く輝くジュエルシードを拾い上げデバイスに封印する。

「あの、助けてくれてありがとう。私、高町なのは」

 ようやく完全に恐怖心から解放されたなのはが、少女に駆け寄っていく。
 そして自己紹介をして、少女の返答を待つ。
 だが少女はなのはへと振り返る事なく、地面を蹴って空へと浮かびあがった。

「あ、待って。お名前、聞かせて!」

 そんななのはのお願いもむなしく、少女は夜の闇の中へと飛んで消えていった。









-後書き-
ども、えなりんです。

フェイトちゃん、マジ謎のヒロイン。
そして私は一人と言われてしまったアルフェ……
フェイトって時々、アルフの事をガン無視しますよね。
一方なのは、頑張れ。
トラウマものの夜だったけど、なんとか頑張れ。

さて、次回は土曜日です。
再びシグナムとカズキペアのお話です。
それでは。


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