振り出した雨は、容赦なくカグラの身体を打ち付けた。 頭をすっぽりと隠すフードのお陰でカグラ自身は濡れなかったが、それでも雷が鳴るほどの大雨だった。キリアとイヴがホテルに身を隠した当日、雨宿りすら見付からず、当てもなくカグラは街を歩いていた。『いいよ、むしろ、間に、合わなくて、よかった』 何度もあの日の光景が頭の中に蘇ってくる。 雨に打たれながらカグラは一人、街を歩く。泣きたいわけではない。奴隷として生きていた時も、使用人となった時も、二人はもっと複雑で、酷い地獄を見てきた。それを考えると、今この状況で彼女が居ないことは、むしろ幸いなのかもしれない。 あのような地獄を、もう一度体験するくらいなら。『ね、『カグラ・キサラギ』をモミジにあげる』 むしろ、死んでしまった方が幸せではないか。 今もまた、ガルベア連合王国に捕まった後のことを考えると、お世辞にも幸せな状況とは言えない。 それなのに、どうして半身が居なくなったような気持ちに駆られるのか。 カグラとモミジは二人で生きていた。それが一人になっただけではないのか。 カグラが上を向くと、ざあざあと振る雨がカグラの顔を打った。それは頬を伝い、冷たい地面へと流れ落ちていく。 そうして長い間、カグラは無心でいた。ただ、頭上から降る雨が自分の頬を伝うに任せた。 それでもまだ、自分は生きているのだと。(……どうした、少年) ふと声がして、カグラは振り返った。 そこには、一匹の猫がいた。ダンボール箱の陰に身を隠し、雨をしのいでいた。「なんでもないよ」 あえて、口に出してカグラは猫に伝えた。すると猫は、不思議そうに首をかしげた。(何でもないと言うには、少々思い詰めすぎではないか?)(どうしてさ? ボクは何も変わらないよ) 猫は、真っ直ぐにカグラの瞳を見ていた。(煢然(けいぜん)たる人生に慣れたうら若き乙女――いや、汝は少年であるか。独り法師に何を思う) 直感的に、老猫だと察する。豊富な語源にカグラは何を言っているのか分からず、臆した。(色んな言葉を知っているんだね)(詩が好きなものでな) 雷はなおも強く、スターランドの地に鳴り響いていた。(ねえ、ボクらはたぶん、恵まれていなかった。ミラノ・マートンのようにお金を持っていた訳ではないし、ライド・アライドのように守護隊に任命されることもない) その老猫には伝わらない人物の名前を出していることを、カグラは知っていた。 それでもカグラは猫に話し掛けた。なんとなく、伝わる気がしたのだ。おそらく自分よりも長く生きる、この老猫に。(ミラノ・マートンの言うとおりだよ。お金なんて、人の豊かさを左右したりなんかしない。でも――、思うんだ。それならどうして、世の中は不公平にできているんだろう)(それは、そういう世の中だからさ)(だったら、そういう世の中だからって、諦めるしかないの? 理不尽な世界に納得するしかないの?) その問いには、猫は答えなかった。代わりに、カグラに何かを示した。カグラは老猫の目線に合わせて、振り返った。(少年、聞いてごらん。ここには、数年前から悪魔が住み着いている。墓場で声をあげている。あれだけ『声』が強ければ、私達の耳にも届く) 言われたとおりに、カグラは辺り一帯に意識を集中した。すると、どこからか――若い男性の声が聞こえてきた。(許してたまるか。こんな事が許されていいはずがない、俺は絶対に許さない。認めていいはずがない。――姉さん) 雑音や悲鳴や色々な感情に塗り潰され、綺麗な言葉にはなっていなかった。だが、もしもそれを言葉に表すとしたなら、そういったような内容のメッセージだっただろう。 その声を聞いて、直感的にカグラは情報屋から聞いた、商業都市スターランドの殺人鬼を思い出した。 名を、イロハと言っただろうか。(イロハさん――?) あの方角には、おそらく墓場があるのだろう。(神速の狂乱者、イロハだ。理不尽な世界をもし変えられるとしたら、彼や君のように、強くそれを求める人かもしれない)(……)(もっとも、「ある強大な力」さえ乗り越えることができれば、だが)(ある強大な、力?)(そうだ。世の中はまるで、大きな歯車のように回っている。それを動かしているいくつもの「機械」がいる。その歯車を止めるか、別の方向に導かなければ、世界は変わることはない) あらゆる方向に、あらゆる角度に存在し、正回転、あるいは逆回転し、世界をどこかへと導こうとする歯車。そして、その歯車の中に無数に存在し、歯車の回転を決める『人間』という存在。 老猫の言葉は、そのような意味だったのかもしれない。(導く……) カグラは猫の隣に座った。強い雨のためか、相変わらず他に人はいなかった。 老猫の言葉は、カグラの心に強く響いた。(ありがとう、おじいちゃん)(君は魔法使いなんだね。私も少し魔力を持っていて、普通の猫よりも長生きなんだ)(そうなの?)(『マルス』。他の猫は私をそう呼ぶよ)(マルスおじいちゃん。今、この世界は大きな波乱を迎えようとしているって、誰かが言っていたんだ。僕はそれに――巻き込まれようとしているのかも、しれない)(だとするならば、その流れは変えなければいけないな)(うん)(君のような若い力が、世界の運命を変えるのかもしれない。アダムがかって、そうしたように) その言葉は、カグラには理解できなかった。だが、カグラは一つの決意をした。 これから先、必ずどんなことがあっても生き延びよう、と――「あ、あの、すいません」「あ?」「実は、ちょっと追われていて。助けて頂けませんか」「……」「ちょっと、側に置いてくれるだけでいいんです」 イロハはカグラを無視した。だが、カグラは続けた。「役に立てると思います」「立つわけねえだろ馬鹿が。どっか行け」「今、あの人達はキリア・タンバとイヴをホテルに探しに行き、居なかったと報告をしています」 それが、カグラの能力だった。考えていることであれば、カグラは聞くことができる。イロハと一緒であれば、魔力など隠しても無意味だ。「なんだと?」「今、丘の方へ向かうという報告を受けたようです。彼等もそこへ向かいます」「……本当なのか」「これくらいの距離なら、ボクは聞くことができます」「てめえ、能力者か。どうして俺に助けを求める」「あなたも、能力者でしょう?」「はぁ?」「噂は聞いています、あなた、神速の狂乱者さん、ですよね。少なくとも、ガルベア連合の味方ではない」「……分かったよ、付いて来たきゃ勝手に付いて来い。死んでも知らんが」 つっけんどんな言い方をする男だった。だが、墓場での「声」を聞いてしまったカグラには、どうしても怖い人間とは思えなかった。おそるおそるフードを取ると、イロハは驚いた。「か、カグラ・キサラギと申します。よろしくです」 イロハはカグラの登場にも動じず、ひたすらに何かを追い掛けていた。 イロハの目は異様なまでにぎらついていた。思わずカグラはイロハに話し掛けた。「あ、あの、何か喋りませんか」「黙ってろ」 イロハの震える指が、落ち着きのない瞳が、丘を目指した。ガルベア連合王国に一体何があったのだろう。カグラにはその理由は分からなかったが、ただイロハの目的が一つ、達成されるのかもしれないということだけが分かった。「……怖いんですか?」「あ?」「強がっているけど、あなたは本当はとても弱い人のように見えます。少なくとも、ボクには」「……」「神速の狂乱者だ、殺人鬼だなんて言われていたけど、ずっとそう思ってた」 おそらく、姉を失った。そのとき、カグラは一つの言葉を思い出した。『そう。魔法です。私の知っている段階では、センジュという元守護隊――今は軍隊に所属していますが。彼が発見した『イロ』という魔法使いを捕獲することで、連合王国はある法則を立てた』『一度に沢山の能力を使う『魔法使い』と、一つのことに集中している魔法使い。これを『能力者』と呼ぶことで、連合王国は能力者にターゲットを定めました。魔法使いには、単体では歯が立たないかもしれない。だが、能力者ならどうにかできると『イロ』の一件で、予測を立てたのです』 「イロ」と、「イロハ」。カグラが雨に打たれながら聞いた、「姉さん」という声。イロハにとっての「姉さん」とは、もしかしたら―― 思ったが、カグラがその言葉を口に出すことはなかった。「できることがあれば、手伝います」「……キヒッ。子供に俺の仕事を手伝わせるわけにはいかないねぇ」「……」 その後、カグラは見晴らしの良い丘でライドと出会う。咄嗟にカグラは隠れるが、何故かイロハはライドと向き合った。「……なんだ、貴様は」「アンタ、ガルベア連合王国の守護隊だな? それにしちゃ弱いねえ、信じられない弱さだ。ロハ、やめなさい。口が悪いわよ」「私を愚弄すると許さんぞ」「全く、がっかりだよ姉さん。せっかくセンジュの尻尾を捕まえたと思ったのに。心配しないで、そのうち見付かるわ。キヒッ」 刹那、イロハは消えた。たった五秒ほど見えない時が続いたかと思うと、まわりで苦しそうに動いていた仲間が動かなくなっていた。 カグラは驚いた。あれが、神速――「ゴミしか残ってねえ。キヒッ、一応聞いておくぜ。センジュって奴を知らないか、そこのゴミ」「な、んだと……」「知らないのか? 知らないよなあ。お前ごときでは知ることはないだろうなぁ。キヒヒ、なんてこった。期待したのによ」「き、貴様何者だ! 何故私達を攻撃する!」「ガルベア連合王国は等しく罪だよなぁ。ここで殺しておくか」 イロハはどうして、そこまでガルベア連合王国を憎むのだろうか。「いいか、いいこと? お前達守護隊の中に、センジュって奴が居る。俺はそいつを探してるんだ、知っていたら答えろ。知らなきゃ殺す」「……守護隊は、他の隊のことは情報にはない。そういうものだ」「あー、なんだか随分前にもそんな事を言われた気がしなくもないねぇ。キヒ、キャキャキャ! そうか、お前はまた別の目的で、能力者捕獲をしていたということか……」「一体貴様はさっきから、何の話をしているのだ! 私はキリア・タンバを捕獲するためにここに来ている、それ以外の理由などないわ!」「そうか。じゃあ死ねよ」 イロハはライドに向かって飛び掛った。「イロハさん!」「やれやれ。キリアを追ってきたつもりだったんだがな」「キシシ。懐かしいな、ジオン・テイスト! お前も現れるたあ、今日はついてるぜ」 カーキ色のベストに迷彩柄のシャツ、指貫グローブ。金髪の短髪に、左目に眼帯をつけた男。 昔、どこかで彼を見た気がする。そうだ、守護隊十三番隊がどうのというニュースで……「すまん、ちょっとどこか安全な場所へ避難させてやってくれ。誰のかは知らないが、関係者なんだろ?」 そう言って、ジオン・テイストはライドを投げてよこした。カグラは迷ったが、ライドを連れて非難することにした。 スターランドに探しに来たライドがこの状態なのだ。暫らくは、ガルベア連合王国の手が止まるかもしれない。 カグラはライドを連れて非難した。イロハの所在が分からなくなってしまうが、どの道ジオン・テイストとイロハの戦いに巻き込まれる訳には行かなかった。カグラはライドをホテルまで引き摺り、介抱した。『優しい世界を、つくるためだ』 何故か、ゴロウ・ダイジやステマ・ロサとは違い、この男は信用できるような気がしたのだ。簡単に人を捕獲したり、殺すような人間ではないように思えた。イロハの居場所は、魔力の流れを感じることで分かっている。イロハはジオン・テイストとの戦いの後、どこかに連れて行かれたようだ。おそらく、休める場所だろう。 そして――……「……」 ライドがゆっくりと目を開けた。カグラは少し安心した。「……ここは……」「ライドさん、気が付かれましたか」「……! 貴様は……」 ライドは目を見開いた。激しく起き上がった衝撃で、ベッドが揺れる。 能力者捕獲の件があるせいだろう。カグラは努めて、何でもない振りをした。ライドはカグラが落ち着いているからか、暫くカグラの顔を眺めたのち、ため息を付いた。「……何故、貴様がここにいるのだ」「色々、ありまして」「男の方はどうした」「? ボクは男ですよ?」「……」 ライドは一瞬「わけがわからない」といった顔をしていたが、何も聞かない事にしたらしい。カグラから目を逸らすと、歯を食いしばった。「ダイヤモンド・シティにも、もちろん行ったのだな、ガルベア連合王国の人間が」「はい。ゴロウ・ダイジという人間を筆頭とする軍隊が来ました」「そこでお前は、襲われたのだな」「はい」「能力者捕獲と称して、おそらく襲われたのだな」「はい」 ライドは何かを考えているようだった。カグラはリンゴの皮をむき、テーブルに置いた。椅子に座ると、ライドはまっすぐにカグラの目を見た。「ジオン・テイストという男を見たか」「さっき、そこで見ました。気絶したあなたを、ボクの方に投げてよこしました」「……そうか」 ライドは立ち上がった。痛みに悶えながら、服を着替え、自身の剣を腰に構えた。「すまない、世話になったな」「もう、出て行かれるんですか?」「ああ。ガルベア連合王国に戻る」「そう、ですか」「私はここで貴様と出会わなかった。そういうことにしておいてくれ」 やはり、ライドはカグラを捕まえる気がない。……どうして、これほどまでに連合王国内部でも差があるのだろうか。そう問い掛ける余裕もないまま、ライドは部屋を出て行った。 しばらくぼんやりとしていたカグラだったが、ふと気付いて立ち上がる。「……イロハさん」 カグラはフードを被り直し、イロハの魔力を確認し、その方へと向かってゆく。だが、途中でカグラは話しかけられた。(こんにちは) カグラが振り向くと、そこには猫がいた。以前も見た、知識深い老猫――マルスだ。 カグラは少し嬉しそうな声音で、マルスに声を掛けた。(マルスおじいちゃん)(少年は、これからどこに行くか決めたかね?) 答えは、まだ出ていなかった。カグラは俯いたが、その反応がマルスには分かっていたようだ。ふと顔を上げると、イロハの魔力を感じる方角を見た。(イロハの中で、何かが解決したようだな。ガルベア連合王国へと向かうらしい) 能力者捕獲が行われている、連合王国の本部へ――……? 何のために、と一瞬カグラは聞こうと思ったが、すぐにその理由は分かった。(姉を助けるそうだ) そうか。彼は、彼の人生にけじめを付けに行くんだ。イロハの中で何が変わったのかはカグラには分からなかったが、おそらくそうなのだろう。(お姉さんは、まだ生きているの?)(それは、私には分からないが) だが、連合王国に行く以上は、連合王国に姉が居るということだろう。 そうか――……。イロハの姉は、もう一人のカグラのように他界した訳ではないんだ。それが分かったことで、カグラは少しだけ安堵した。姉を探し続ける彼は、とても寂しそうだったから。(少年は、これからどうするんだい?)(ボク? ……ボクは……とにかく、ガングさんが助けに来るまで生き延びないと)(ガングさん?)(今、ガング・ラフィストという人が戦力を探して、ガルベア連合王国をどうにかしようとしているはずなんだ。ボクは、それを手伝うかもしれない) マルスは、じっと動かない。何かを考えているようだった。(……なるほど。ならば、私も付いて行こう)(え、どうして?)(何か、世界が大きく変わるような気配があるのだ。突如として、嵐の中心に現れた黒い影のような、何かが――以前から、魔力そのものは感じていた。だが、これは魔力ではない――思念だ) マルスの言っていることは、半分以上カグラには理解できないものだったが。それでも、カグラはマルスを抱え上げた。どんな事情があろうと、仲間が増えることは心強い。 カグラは、生きていくための仲間を作らなければいけなかったから。「……あ、君は」 声がして、カグラは振り返った。そこに居たのは、いつかのぼさぼさ頭の茶髪と、眼帯をつけた金髪の男――ジオン・テイストと、キリア・タンバだった。 今の今まで主張しなかった兎の耳が思い切り跳ね、フードがめくれた。「……あ」「カグラ?」「なんだキリア、お前の知り合いか?」「うん、ちょっと喫茶店でね」 慌ててフードを戻そうと思ったが、もう遅い。カグラは苦笑いをした。「なんだこの耳、すっげぇな……本物?」「ぎゃっ!?」 突然捕まれて、思わず素っ頓狂な声をあげるカグラ。そこに、またも声が掛かった。「あ、ガキじゃねえか」「……イロハ」「ジオン、アタシも連れてけ」「え?」「ガルベア連合王国にたてつくんだろ? 俺も行くって言ってんだよ」「……本当か」 事情は分からなかった。だが、カグラはイロハがジオンに声を掛けたことに驚きと、喜びを感じた。 イロハは無言でカグラを指差した。「コイツも連れて行く。能力者だ」「――え?」「俺の連れだ。文句は言わせねえ」 ジオンとキリアが、驚いてカグラを見る。唐突なことで、カグラは慌てた。「ふぇっ!? えと、ボクは――、人が来るまで逃げないといけなくて、その……」「追われていたところを助けた。お前の能力も利用させてもらう」 事情が事情だったので、カグラには反論の手段がなかった。 カグラは、一同を見渡して言った。「あ、あの、あなた達は?」「俺達は、ガルベア連合王国の戦争を止めるためのチームだ」 戦争を、止めるための、チーム。カグラは心の中で繰り返した。 もしかして。もしかしたら。カグラの中に、期待が生まれた。 カグラは、おずおずと上目遣いでジオンに言った。「……ガング・ラフィストという人物をご存知ですか?」「あれ? 知ってるのか?」 目の前が晴れたような感覚だった。 ちゃんと話は進んでいた。カグラが今まで逃げてきたことは、決して無駄ではなかった。 ガング・ラフィストだけが、この戦争において最も知識を持つ者であり、カグラがすがろうとしていた大木だった。「ぼ、ボクも手伝います!」「ガングの知り合いなのか?」「はい、ボクも能力者です。カグラ・キサラギと申します」「ボクっ娘にうさみみに金髪ツインテール……狙いすぎたとしか思えない……」 そう言ったのはキリアだ。大昔、自分も同じ感想を持った、とカグラは思う。「カグラは何ができるんだ?」「あ、えと、動物と会話……とか」「カグラはアタシと居たとき、遠く離れた奴らの会話を聞いていたぜ」「耳が良いのか」「あの、耳が良いというよりは、テレパスで、その……」 大柄な男が沢山居ると、どうしても気後れしてしまうカグラだった。「な、怖がらなくても大丈夫だ。よろしく頼むぜ、カグラ」 それは、新しい出会いだった。こうして、カグラ・キサラギがジオン・テイストの仲間となった。「ジオン、こんなに小さな女の子、連れて行って大丈夫かな?」「は? ……カグラ、おまえ男だろ?」「はい」「はぁ!? え、男!?」「どっからどう見ても男だろ?」 カグラは苦笑いをした。