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No.30817の一覧
[0] [ストライクウィッチーズ]あったかもしれない物語[短編][|日0TK](2011/12/10 17:13)
[1] 言い訳的なry[|日0TK](2011/12/10 17:18)
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[30817] [ストライクウィッチーズ]あったかもしれない物語[短編]
Name: |日0TK◆beeeee3f ID:0937fb81 次を表示する
Date: 2011/12/10 17:13
ドーバー海峡を突破され、ロンドンまで撤退した宮藤たち501飛行隊。
地上部隊の撤退支援のために慣れない対地攻撃を強いられ、誰もが消耗しきっていた。

そこで、たまの休日に隊員を労う為か、坂本少佐にバーに連れて行かれた。
少佐に奢られ酒を呑む隊員、フィッシュ&チップスの味に閉口しつつも呑めるだけましとばかりに流し込む。

「・・・・・せめてあと一機、大口径銃が使えるウィッチがいれば」
宮藤中尉が口を開く。
「まぁそういうな宮藤。しかし確かに火力は足りてないな。今度、ルーデル大尉に相談してみるかな」
バルクホルン大尉が応える。
「ま、芳佳もさ、あんまり気負いすぎるなってば。みっちゃんは仕方なかったよ」
ハルトマンが慰めるように言う。

と、突然静かだった酒場に下品なブリタニア語のスラングが響く。
「何ダ?」「エイラ、あそこ」
見ると、どうやら酔客がバーで客を取る娼婦に酒をこぼされ絡んでいるようだ。
「アーア、ヤダヤダ。ただでさえマズイ酒が不味くなるナ」
一同は我関せずとばかりにテーブルに向き直るが、宮藤はじっとその様子を見ていた。
少しだけ、気になった。
なぜだろう?


「宮藤?」
バルクホルンが声を掛けてもまるで聞いていない。
陸軍の兵士に絡まれている娼婦はよく見るとまだ少女と言うべき年頃で、
純朴そうな顔立ちとおさげ髪に不釣り合いな胸元を強調するイブニングドレスとストールを身に纏っていた。
(もっとも、明るいところでは見れたものでは無い縫製と布地だろうけれど)
別段、変わった事は無い。
前線の傍ではよくある光景だ。

彼女は泣きそうな表情をしていたが、兵士が下卑た顔で何かを耳打ちすると、諦めたような表情で抵抗を弱め、
周囲をその兵士の一団に取り囲まれ手を引かれてボックス席へ歩き始めた。

一瞬目が合う。
その瞳から一滴の涙が零れ落ちる。
総て諦めた気力の無い目。


理由がわかった。
宮藤はその表情が気に入らなかった。思い出す。
扶桑海軍でロッテを組んでいたみっちゃんが、扶桑海で撃墜された日、出撃する間際にしていたのと同じ目だ。
私はウィッチだ。戦って死ぬ、魔女。
他人の人生なんて、構っている暇はない。

でも、

「なに、芳佳」
ハルトマンに目くばせする、すると即座に意図を読み取った彼女が頷く。
「まったく、芳佳は仕方ないな」
立ち上がる宮藤とハルトマン。

「私はお前達の編隊長だからな、一応しかたないんで付き合ってやろう。別にお前の為じゃないぞ、宮藤」
バルクホルンがぶつくさ言いながら続く。
「やりすぎるなよ」
坂本が釘をさす。
「うまくやりますよ」
宮藤は振り返らずに告げ、歩き出す。
彼女へ。


「お兄さん達、独り占めはよくないんじゃないの?」
反応し、足を止める先程の兵士
「ああ?なんだ、餓鬼はすっこんでろよ」
「まぁまぁ、別に私、咎めてるんじゃないよ」
「じゃあなんだ」
そこでハルトマンが割り込む
「混ぜてって言ってんだよ、バカだなぁ」
素早く娼婦の手を取り、背中側にくるりと引っ張り込む。
「あっ何しやがる!?」
「だから、私達と遊ばないか、と」バルクホルンが拳を振りかぶる。魔法発光「言ったのさッ!」
正面の兵士の鼻柱に痛烈なパンチ。ボウリングのピンのように男たちが倒れる。
「てめぇ!ウィッチか・・・・・!?」
「は、盛りが付いてる上に勘も鈍い?女の子ばっかで軍服な時点で気付けよ♪」
ハルトマンが懐からモーゼルをちらつかせた。

「わかるよね」
男達が怯む。
「黑い悪魔・・・・・」「やべえよ・・・・なぁ」
殴り飛ばされたリーダー格が立ち上がり叫ぶ
「ち・・・ちくしょう!憶えてろよ!」
ドカドカと足音を立て、帰る兵士たち。

「大丈夫?」
宮藤が娼婦に声を掛ける。
「え・・・・あの」未だに呆けて状況が呑み込めないようだ。
「とろい子だなぁ。でどうすんのさ、芳佳」
「名前は?」
「リネット・ビショップ・・・・・です」「そう」
リネットが戸惑って、それからおずおずと口を開く


「あの・・・・・・三名様ですか?」
「・・・・?」
バルクホルンは訳がわからない、といった顔をする。
ハルトマンは合点がいってニヤニヤしながら、芳佳の様子をうかがう。
彼女は宮藤の性癖を知っているからだ。

宮藤は、少し胸が痛んだ。
なぜだろう?自分の余計なお節介だったのは端からわかってる。
彼女は娼婦だ。

だが・・・・・・いや  





「うん、そう。三人」

気が付くとそう言っていた、自分でもよくわからない。
ハルトマンはいよいよ、にいいぃ、とにやけ、バルクホルンはやっと意味が分かったのか耳まで赤くなる。
「女だけど、いいの?リーネちゃん」
「はい、あの、お一人50ドルで『お酒をお注ぎ』します」

『お酒』ね・・・・じゃあ、そうしてもらおう。


「じゃ、こっちきて」
「え、あの・・・ボックス席じゃ」
リネットの手を取り、当惑するのに構わずテーブル席、501の面々の方に引っ張る。

「お酌、してくれるんでしょ?
酒が不味くてさ、せめてかわいい子に注いでもらわなきゃ呑めたもんじゃないの」
「あ・・・え?」
言わんとすることは分かったが、理解できない、という表情のリネット。


「わたし、芳佳。
扶桑海軍中尉、宮藤芳佳。
芳佳って呼んでね、リーネちゃん?」
「は、はい」


    ――――これは、劣勢に喘ぐ人類の一部隊、501飛行隊が現地徴用の隊員と共に戦線を押し上げ始める、
        伝説の始まり。 あったかもしれない、もう一つの物語。


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