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No.30786の一覧
[0] 目が覚めたら私があの子になっていた(ネタ)[この小説はPCから投稿されています](2011/12/07 10:49)
[1] 第二話[この小説はPCから投稿されています](2011/12/10 06:28)
[2] 第三話[この小説はPCから投稿されています](2011/12/21 08:50)
[3] 第四話[この小説はPCから投稿されています](2012/03/20 22:19)
[4] 目が覚めたら私が別人みたいになっていた[この小説はPCから投稿されています](2012/03/29 04:47)
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[30786] 目が覚めたら私があの子になっていた(ネタ)
Name: この小説はPCから投稿されています◆955184bb ID:c440fc23 次を表示する
Date: 2011/12/07 10:49
「ん? 眩しいなぁ」

 そう感じながら視線を動かすとカーテンが見えた。どうもその隙間から差し込む光がわたしの顔に当たったせいで目が覚めてしもたんやな。ま、ええわ。起きるには丁度ええ時間みたいやし。今日の予定は確か解散式やったなとそこまで考えて―――違和感に気付いた。

「何や? 目線が低い気ぃする……」

 しかもよく見れば部屋の内装も違う。どこかで見た事あるような気もするし、聞こえてくる声も自分がよく聞いとるものとちゃう気ぃする。……とりあえず背が低くなっとるのは間違いない。そう納得したところで、視線を動かして室内を見渡した。姿見でもあればええなと思ってやったんやけど……あった。

「えっと……」

 ベッドを移動して近くにあった鏡へ目をやる。そこには見覚えのある姿が映っとる。うん、それはええ。でも…………何で? 何でそれが見慣れたわたし自身やなくて”あの子”? しかもこれは……わたしが知り合った頃やんか! せめて今の年齢と同じにしてくれんと胸を触って楽しむ事が出来んやないかっ!
 あ、いかんいかん。まずは冷静にならんと。その理解を超えた状況に混乱する思考を落ち着かせるためにも深呼吸せな。何度か呼吸を繰り返し、改めて冷静に鏡に映る自分を見る。そこに映るんはおそらく九歳になる前かなった後のわたしの親友。髪をまとめる二つのリボンが特徴で、いつも明るくわたしを支えてくれた幼馴染。

「……なのはちゃん、やな」

 そう呟くわたしは八神はやてで二十歳の魔導師。そう、つい昨日までは確かにそうやった。機動六課最終日を明日に控え、解散式の挨拶を考えてもう当日を迎えるのみや。そう思って眠ったところまではしっかり覚えとる。ロストロギア絡みでこうなったんやろか? そう思うもそんな可能性はない。となるとこれは夢っちゅう事になるけど……

「……痛い、なぁ。となるとこれは」

 頬を軽めに抓ってみるなんて古典的な確かめ方をしたけど結果は予想通りやった。ま、今出来る事は一つ。とりあえず起きて着替えて今日を乗り切る事やな。なのはちゃんらしくせなあかんけど、そこは何とかなるやろ。

「喋り方だけ気をつけんとな。……訛りなんて出したら一発でアウト……だもんね」

 思わず本来の喋り方をしそうになって修正をかける。うー、出来るだけなのはちゃんの喋り方を思い出しながら言葉を発しないとあかんなぁ。そう自分へ言い聞かせる。気分はどこか偉いさんと話す時のように引き締めて、ゆっくりと着替えるためにタンスへ手をかけようとして―――なのはちゃんのプライバシーを侵害するようで少し気が引けた。

「ごめんな、なのはちゃん」

 わたしがこうなっとる言う事は、なのはちゃんはおそらくわたし―――八神はやてになっとるはずや。ま、意外とこのなのはちゃんの精神が二十歳のわたしに宿ってるなんてのもありやな。大穴で実はそっちもわたしのままなんて可能性も……それはないと信じよう。そう強く心の中で願って着替えの下着を取り出し、もう懐かしささえ感じる清祥大付属小学校の制服を眺めた……

―――フェイトちゃんは……変わってへんよな?





「なのは、どうかした? 今日はやけに静かだね?」

「あ、うん。ちょう―――っ!? あ、いやちょっと考え事してて」

 美由希さんからの問いかけについ口癖を使ってしもたので慌てて訂正。それに美由希さんは少しだけ小首を傾げた。うん、年上やけど可愛いな。後でさり気無く胸触っとこか。そんな事を思いつつも、一瞬疑われたかなとも思って冷や冷やしたのは当然やな。
 ま、何とか誤魔化せたようで何より。そのまま追及される事もなく「もしよければ相談になるからね」ってお姉ちゃんらしい事を言ってくれた。……正直嬉しい気持ちと申し訳ない気持ちが半々で複雑になったわ。少しだけシャマルを思い出したんはここだけの話。

 美由希さんの言った通り、確かにあまり喋らんようにしとるんは事実。答えた通り考え事しとるのもあるけど、本音は喋ってボロを出さんようにって注意したらそうなった感じや。でも、こうしてみると分かる。わたしもヴィータ達と家族やったけど、血が繋がった家族はどこか違うなぁって。

「悪い母さん。その」

「はいはい、お醤油ね」

「ね、恭ちゃん。今度の休みなんだけどさ」

「俺は朝から忍に押さえられた。だから好きにしろ」

「ホント? やった! 何しよっかなぁ~」

 全部言わんでも通じ合う。それが自然と出来てるんはやっぱり時間と血の繋がりがあるからやろな。わたしらも時間をかけてそういう風になっていったけど、一番の差は何と言っても……

「ん? どうしたなのは?」

「私達の顔に何かついてる?」

「え? あ……何でもない」

 自然と浮かぶ笑みを止める事が出来へんわ。そう、お父さんとお母さんがおる。これはわたしにとっては結構大きな事。わたしはどうしてもお母さん役をやらんといかんかったし、お父さん役はおらんかった。やからかな? 一番下の立場って経験した事が少ない。
 ヴィータ達と一緒に過ごすようになってからはお母さんでありお姉ちゃんでもあった。甘える事が出来る相手は……おったといえばおったけど、どうしても基本は自分がしっかりせんとって思う事が多かったし。

 そう思いながらご飯を口へ運ぶ。気のせいか記憶の中にあるどのご飯とも違う味がした。自分が何もせんでも家事をしてくれる人がおる。こんな幸せな事はないわ。なのはちゃん、堪忍してな。少しだけ……ほんの少しだけお父さんとお母さんがおる時間の温かさに浸らせて。
 体を意図せず借りてしまった親友へ心の中で頭を下げ、桃子さん―――ううん、お母さんへ笑顔で空になった茶碗を差し出した。夢かどうか知らない。幻でも構わない。今だけは、わたしは八神はやてやなくて高町なのはになる。

「おかわり!」

「はーい」

 お母さんの笑顔が無性に嬉しい。と、急にお兄ちゃんとお姉ちゃんが動き出す。つられて目を動かせば時計が急ぐ時間になりつつある事を教えてくれた。ちょ、今おかわりしたとこやのにっ! そこへ差し出される茶碗。反射で受け取り、中を見るを量はそこまで多くない。

「あれ?」

「それぐらいならまだ食べれるから」

 お母さんの言葉が心に響く。感謝しながらご飯を心持ち急いで食べて鞄を手にして席を立つ。うん、まだ余裕や。

「行ってきます!」

「「行ってらっしゃい」」

 こうしてわたしの高町なのはとしての一日が始まった。色々と分からん事だらけやけど……ま、どうにかなるわ。そんな風に軽く考えてわたしは走る―――と転んでしまうんはあれか。なのはちゃんの体に慣れてへんからか。そう結論を出して全力疾走はやめとく事にした。
 まずは学校終わったらうちに行って確かめておかんとな。わたしの体を動かしとるんがなのはちゃんかそうでないかを。目の前に見えてきたバスへ駆け寄りながら、わたしは今後の事を考える。出来れば寝て覚めたら戻ってくれるとええなと祈りながら……





「……どうしようか、これ」

 目を覚ましたら足の感覚が鈍いし思うように動けない。隣で寝ているはずの二人もいなかった。不思議に思いつつ這いずるようにベッドから出ようとした時、私は気付いた。それはベッドの横にある車椅子。それはかつて私の大切な親友が使っていた物だから。
 そう思った瞬間、私がしたのは自分の周囲の確認だった。予想通りと言えば予想通りだったけど、この部屋ははやての部屋で体ははやてのもの。しかも誰もいない事から闇の書―――夜天の魔導書が起動する前だ。だから分かる。つまり一人きりで車椅子の生活をしなければならないって事だ。あまり混乱しないのはどこか現実味が薄いからだろうね。

「…………はやても苦労したって言ってたし、私に出来るかな?」

 そう言いながら車椅子へ乗る。よく見れば簡単に乗れるような場所へ置いてあった。きっとはやてはこの生活を一人で送るために色々と考えてたんだ。そういうところからあのしっかりした性格が作られたのかも。にしても困ったな。本当なら今日は六課解散式で思い出の一日になるはずだったのに。

「これ、車輪を手で動かすんだっけ?」

 苦労しながら車輪を手で必至に動かす。思ったよりも力がいるな、これ。……あ、この車椅子自動で動くはずだ。はやてがその機能を使っていた事を思い出したので、車椅子を調べてみるとやっぱりあった。
 ゆっくりと進む車椅子。それに不思議な感覚を覚えながら、ふとこんな事なら車椅子生活の話を詳しく聞いておけばよかったなんて考えるのは仕方ないよね。何しろ正直現実逃避したくなるような状態だ。これが夢ならいいけど、現実にお腹は空いてるし意識もしっかりあるから困ったもの。否応なく夢じゃないって言われてるような気持ちになって、私はため息を吐いた。

「まずは食事だね。家事が出来ない訳じゃないけど……この状態では難しいかも」

 何度か訪れた事のあるはやての家。その構造を思い出しながらリビングを目指す。着替えは後回し。今はそれよりも顔を洗って食事にしよう。でも、誰もいないはやての家は正直新鮮で悲しい気持ちになる。私がここへ来るようになった時にはもうシグナム達がいたから賑やかだったし。
 こんな中で一人過ごしていたはやてには本当に頭が下がる。私も結構寂しい子供時代を過ごしたけど、それでもリニスやアルフに母さんがいた。だから一人じゃなかったし、体も健康で不自由は感じなかった。

 人気のない廊下を通り、リビングへ入った時に私はある事に気付いた。それはドアが大抵開けっ放しにされている事。最初はどうしてだろうと思った。一人の頃のはやては結構いい加減だったのかもなんて考えもした。でも、きっと違う。

「はやて、自分以外誰もいないから出来るだけドアを開閉しなくていいようにしてたんだ」

 それを考えて実行したはやての気持ちを察して私は涙が出そうになった。自分が暮らし易いようにと知恵を出すと必ず自分が孤独だと思い知る事になる。そんな中、はやては気丈に生きていたんだ。そう思うと胸が痛くなった。

「……そういえば、私が昔のはやてになってるなら今の私は子供のはやてかな?」

 これが夢じゃないとしたらそういう事だ。そう考えるとなのはとヴィヴィオの困惑する姿が目に浮かぶ。戻りたいけど、どうしてこうなったのかも分からない以上手の打ちようがない。そこへ聞こえてくるお腹の音。誰もいないけど気恥ずかしくなるな。

「と、とりあえず頑張ってみよう!」

 励ますようにそう言ってから私は冷蔵庫へ近付いた。こうして私の八神はやてとしての一日が始まった。色々と確かめたい事もあるけど、一番になのはに会いに行こうとそう思って。きっとなのはなら手を貸してくれるはず。事情を話しても仕方ないからそこは言えないけど、はやての現状を知れば力になってくれるから。
 優しい親友を思い出し、心の中ではやてに告げる。私が元に戻れた時、なのはだけじゃなくすずかにアリサも友達になってるから。シグナム達が現れる前に友達を作っておくね。それがせめてもの私に出来る事。例え夢でもいい。はやてが抱えるはずの寂しさを少しでも減らしてあげたいと思って……





「フェイト? どうかしたのかい? 今日は朝から何か変だよ」

「あ、その……色々と考える事があって」

 そう答えるとアルフさんは納得してくれたようで食事を再開した。一方の私は目の前の食事を眺めてため息一つ。朝誰かに揺り起こされたから、てっきり早起きしたヴィヴィオかと思ったんだよね。そしたらアルフさんで、しかももう見れないと思ってた大人モードだったから驚いたの何のって。
 そこからアルフさんに嘘を吐きつつ、状況を把握出来たのは一度大きく慌てたからだろうな。それにアルフさんが「フェイトがアタシを見て驚くなんて!」って言い出して泣きそうになったのもあるかも。おかげで朝から賑やかだったなぁ。

「……えっと、それでねアルフ」

 出来るだけフェイトちゃんの口調を思い出して喋る。つい気を抜くとさんを付けそうになるけど、そこは気を付けないとね。私がフェイトちゃんじゃないって思われると色々と問題だもんなぁ。

「んー? 何だい?」

「地球へ行ってジュエルシードを集めてきて欲しい。そう言われたんだけど」

「準備が出来次第行くからそのつもりで、だろ? 大丈夫だよ。フェイトがそうしたいんならアタシもそれについてくだけさ」

 うん、アルフさんはやっぱりフェイトちゃん第一主義だ。それにしても、分かってはいたけどプレシアさんは相変わらずフェイトちゃんを見る目が冷たい。あれでもフェイトちゃんはずっと慕い続けたから凄いよ。私も覚悟してたけど少し圧倒されたぐらいだし。
 時の庭園はあの時以来だから色々と思う事はあった。出来る事ならプレシアさんとの関係をどうにかしたいけど、それは難しい事を私は知っている。プレシアさんはフェイトちゃんをコピーとしか思ってくれない。人形とまで読んで突き放し、最後も差し出された手を掴まなかったぐらいだ。

 ……でも、実は気になってる事がある。それは虚数空間へプレシアさんとアリシアちゃんの入ったポッドが落下したあの日の事。ユーノ君が絞り出すように言ってた言葉だ。

―――もしかしたら、プレシアはフェイトの事を思って手を掴まなかったのかもしれない……

 あのPT事件でフェイトちゃんの処分が軽く済んだのは、プレシアさんの指示で動いていたと判断された事が影響してる。クロノ君からユーノ君が聞いた話だと、情状酌量の余地が大きかったのはそこが決め手だったらしいし。
 だから、私は確かめたい。本当はプレシアさんがフェイトちゃんの事をどう思っているのかを。私達へ言ったようにアリシアちゃんのコピーとしか思っていないのか? それとも……それとも娘として愛していたのかを。

「ね、フェイト。何だか今日はいつもよりも表情が変わるけどどうしたんだい?」

「えっと……き、気分がいいからかな?」

「ふーん、そんなもんか。ま、アタシはフェイトが笑ってくれてればそれでいいけどね」

 アルフさん、やっぱりフェイトちゃんが好きなんだ。うん、きっとアルフさんがいたからフェイトちゃんも頑張れたんだと思うな。だからフェイトちゃんの気持ちになって言っておこう。

「ありがとうアルフ。そう言ってもらえて嬉しいよ」

 でも、何故かそう言った瞬間アルフさんがこっちを見て固まった。な、何か変な事言ったかな? 出来るだけフェイトちゃんっぽく言ったつもりだったんだけどなぁ。そう思ってちょっと戸惑ってると、アルフさんが目を潤ませて抱き着いてきた。
 ちょ、ちょっと苦しい! これ結構強い力で抱き締めてるよ! しかも顔が胸に埋められてるから息苦しいし! でも助けてって言うのも変だし、一体どうしよう!? と、とりあえず苦しい事は伝えないといけないよね。

「あ、アルフさんっ! ちょっと苦しいから緩めてっ!」

 その声でアルフさんも我に返ったのか腕の力を緩めてくれた。本気で呼吸が出来なくなるかと思ったや。そんな私を見てアルフさんが気まずそうな顔をしてる。やっぱり気にしてる。とりあえず急に抱き着いてきた理由を教えてもらおうかな。

「だってフェイトがそんな笑顔するの初めて見たから嬉しいんだよぉ~!」

 ……うん、ごめんなさい。この頃のフェイトちゃんって元気な笑顔を見せてなかったんだね。感情表現にも気をつけないといけないんだ。反省反省。これが今日一日で終わるのか続くのか分からないけど、出来るだけ周囲に違和感を与えないようにしないといけないよね?
 答えはないのは分かってる。それでもつい問いかけた。相手は当然私が魔法と出会って初めてぶつかり合った親友。この体を突然乗っ取ってしまう事になった大切な友達へ。

―――それにしても、私が小さい頃のフェイトちゃんなら六課の私がフェイトちゃんになってるのかな? ヴィヴィオとフェイトちゃんが混乱してないといいけど……




作者のつぶやき
入れ替わりもの? それも一人だとありきたりなので三人娘をそれぞれあべこべにしてみました。中身は六課解散前日のなのは達で外見は無印開始前のなのは達。
起承転結の起だけですが、これで誰かが暇潰せたと思ってくれればいいかなと思います。続きは……気が向いたらで。


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